シナリオ

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|竜々哀歌:弥生《デス・オブ・バレンタイン》

#√ドラゴンファンタジー #喰竜教団 #プレイング受付中 #途中参加も歓迎

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 #√ドラゴンファンタジー
 #喰竜教団
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●光有らば闇も有り
「此度は、御協力ありがとうございます」
 拠点の会議室にてディラン・ヴァルフリート(|虚義の勇者《エンプティ》・h00631)は一礼する。
 √ドラゴンファンタジーに於ける喰竜教団の暗躍を予知したのだと彼は告げた。

 喰竜教団……|竜人《ドラゴンプロトコル》の遺骸を√能力者の肉体に接合することを「弱き姿に堕とされた竜に不死を与え、誇り高き竜の力を取り戻させる行為である」と固く信じる者たち。
 √能力者の中にはこの狂信者と交戦した者も少なくないだろう。
 例によって此度も教祖『ドラゴンストーカー』が竜人を殺めようとしているらしい。

「襲撃の現場となるのは、『竜の墓場』と呼ばれる……保養地になります」

 ディランの語るところによれば、それは知る者ぞ知る|辺境《田舎》の隠れ里。
 日々に疲れた竜人が疲弊した心身を此処で癒していくのだという。
 このシーズンはバレンタインデーに恋敗れた者が多く集まるのだとか。
 タイミング次第ではホワイトデーに散った者が合流する事もあるかもしれない。

「……既に、敵もこの地を監視して襲撃の手筈を整えている状態です。
 これを逆手に取って……皆さんには、現地の竜人と交流して頂ければ」

 その名の通り現地に居るのは大半が|竜人《ドラゴンプロトコル》。
 喰竜教団からすれば狩り放題の楽園だが、そこに竜人ならざる|√能力者《あなたたち》が交友を深める事で総じて差別意識の強い教団の狙いを引き付ける事が出来る。
 なお同じ|竜人《ドラゴンプロトコル》の√能力者でも同様の方針で問題ない。
 敵はそれはそれで勝手に盛り上がって襲い掛かってくるようだ。

「実際の襲撃は……まず手勢を放った後、教祖自身が前線に出るという計画です」

 本来はダンジョンに生息するモンスター『バーゲスト』の撃退が第一段階。
 その後に自ら現れる『ドラゴンストーカー』との決戦、という流れになる。
 特にドラゴンストーカーは高い戦闘能力を備えた|王権執行者《レガリアグレイド》だが……竜への執着を利用したり、知り合った竜人と協力したりする事で戦闘を有利に運べる可能性もある。

「……どうか、御武運を」
 最後は言葉少なに見送られ、あなたたちは戦場へと赴く。
これまでのお話

第3章 ボス戦 『喰竜教団教祖『ドラゴンストーカー』』


POW 竜骸合身の儀
自身の【身体部位一つ】を、視界内の対象1体にのみダメージ2倍+状態異常【竜化暴走】を付与する【竜化部位】に変形する。
SPD 竜骸蒐集
【大剣】が命中した部位を切断するか、レベル分間使用不能にする。また、切断された部位を食べた者は負傷が回復する。
WIZ 真竜降臨の儀
インビジブルの群れ(どこにでもいる)に自身を喰わせ死亡すると、無敵獣【真竜(トゥルードラゴン)】が出現する。攻撃・回復問わず外部からのあらゆる干渉を完全無効化し、自身が生前に指定した敵を【灼熱のブレス】で遠距離攻撃するが、動きは鈍い。
√ドラゴンファンタジー 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●狂愛の|王権執行者《レガリアグレイド》
 陽も落ちて月光のみが注ぐ闇夜、襲撃の主犯は遂にその姿を現した。
 犠牲となった竜人の遺骸を取り込み続け、本来の肉体を捨て去った喰竜教団が教祖。
 ドラゴンストーカーは恍惚とした様子で大きく息を吸い、そして吐き出す。

「はぁ……偉大なるドラゴンプロトコルの皆様の匂い……」

 見透かすように視線を向ける先は非戦闘員の竜人が避難した幾つかの広場。
 それから――もし目の前に居れば、だが――相対する竜人を熱っぽい眼差しで見つめ、犠牲者の誰かから奪った顔をくしゃりと歪める。

「|真竜《トゥルードラゴン》でありながら今や……嗚呼、なんとおいたわしい……っ!」

 滂沱と溢れ出す涙。
 もし他者の感情を読める者が居れば、彼女が心の底から信仰対象を想い胸を痛めている事が分かるだろう。
 ドラゴンストーカーが竜に向ける想いには微塵の悪意も無い。
 ……その結果が竜人たちの殺戮であり、その亡骸を冒涜する継ぎ接ぎの肉体だ。

「偉大なる皆様は雨にも負けず、風にも負けず、失恋にも離別の哀しみにも負けず……
 完璧で究極の一番星でなくてはならないのです。かつて真実そう在ったように!」

 竜人以外を見る目は認識さえしたくないとばかりの嫌悪と侮蔑に満ちて、悪意なき殺意はただ彼女の信仰対象にのみ向けられる。
 ドラゴンストーカーにとってはこの信仰こそが絶対。
 如何な障害が阻もうとも、彼女は本懐を果たす為に全身全霊を捧げるのだろう。
 故に――討ち果たせ。完膚なきまでに。

※この章からの参戦プレイングでも
 それまで幕間で共闘していた等の形でNPCとの協力を希望可能です。
 詳しくはシナリオ冒頭のMSメッセージをご確認ください。
 
アリス・グラブズ
※アドリブ・連携歓迎

でたわね宗教家!
こいつら「いあ、いあ」言いながら自分の理想を押し付けてくるから嫌い!
ストーカーとはよく言ったものね!
不愉快だから殴るわ!

まずは一時的狂気に陥る謎のブレスを撃ち込んでSAN値直葬!(適当に狂気表から選んでねミ☆)
敵の行動を阻害した隙に、さっき周囲に散らばったバーゲストを|触腕でつまんで《技能:捕食》カロリー補充しならが、|岩や大木等を引き抜いて《アイテム:その辺で拾った物》|投げつけるわ《技能:投擲》!
さらに|触腕をビッタンビッタン叩きつけて《技能:怪力》|押しつぶすわよ!《技能:踏みつけ》
適当に暴れたらカロリーが切れる前にゴゴゴゴゴゴゴと地面に潜って退場!

●狂気と狂信
「でたわね宗教家!
 こいつら「いあ、いあ」言いながら自分の理想を押し付けてくるから嫌い!」
「……|宗派《ひと》違いでは?」

 教祖として一応心当たりが無いか振り返ってみたドラゴンストーカーの図。
 細部が大雑把なのは邪教に儘ある事だが……相手に竜要素が無い辺りやはり勘違いでは、と首を傾げて。
 直後、大剣と鉄拳がぶつかり合った。

「ストーカーとはよく言ったものね! 不愉快だから殴るわ!」
「まぁいいでしょう。竜の皆様が集う空間を穢す不純物は抹殺あるのみです」
 そんな事は些事に過ぎない。
 殺意を振るう理由は充分、戦端は無造作に開かれる。

「ドラゴンプロトコル様の偉大さ、その身で思い知りなさい!」
「繝ッ繝ャ繝ッ繝ャ繝上え繝√Η繧ヲ繧ク繝ウ繝€――」

 初手の激突で|アリス・グラブズ《繧ウ繝溘Η繝九こ繝シ繧キ繝ァ繝ウ繝?ヰ繧、繧ケ $B%"%j%9(B》(平凡な自称妖怪(悪の怪人見習い)・h03259)の怪力を感じ取ったドラゴンストーカーは早々に【竜骸合身の儀】を発動。
 奪い取った身体部位の一つ、大剣振るう片腕を|真竜《トゥルースドラゴン》と化すドラゴンストーカーの前で……少女は“外来種”の本性を曝け出す。

 変異した竜化部位は狙い定めた標的を屠る事に特化した天敵。
 その一撃はアリスに突き立ち、しかし傷一つ付ける事無く弾かれた。
 【||豺ア螳 ョ 繝翫 繝「繝 《シンウチュウノナマモノ》】――無敵の性質を発現したそれはダメージの上昇も、竜化暴走の汚染も寄せ付ける事は無い。

「真竜様を差し置いて無敵化ですか、不敬な……!」
「繝悶Ξ繧ケ繧偵¥繧峨≧縺ョ縺?繧擾シ」
「えぇい、里の皆様を見守ってチャージしたわたくしの信仰を甘く見ない事です!!」

 名状し難い謎のブレスは一時的な発狂をもたらす。
 元々狂気に染まっているドラゴンストーカーへの影響は分かり難いが、物理的なダメージと合わせ動きを止められれば充分だ。

 無敵化が限定的なものである事はドラゴンストーカーにも見当が付く。
 未だ幼く未熟なアリスの場合、それはカロリーの大量消費を伴うものだった。
 それが何の弱点になるというのか。
 |肉《・》なら、幾らでも転がっている。

「縺偵s縺阪?繧?¥縺ー縺?シ」
「チッ……!」

 ブレスの余波が薄く立ち込める中に響く咀嚼音。
 バーゲストの死骸を触腕が捉え、次々に捕食していく。
 補給の傍ら引き抜いた岩や大木、適当に拾う弾さえ巨体相応の大質量を誇るのだ。
 無論――規格外の怪力で投げつけるその威力が、先の比でない事は言うまでもない。

「縺セ縺?縺?縺ュ」
 地形が変わる程の破壊と舞い上がる砂塵。
 災厄級の投擲の嵐を防御し、未だ教祖が残している余力をアリスは見逃さない。

「この報いは、必ず……ッ」
「繝懊さ繝懊さ縺ォ縺吶k繧擾シ」

 削りには充分な猛攻だった事もまた事実。
 抜け目なく、容赦なく、最後は叩き付ける触腕の乱打が獲物を徹底的に打ちのめす。
 反撃ごと押し切り叩き潰す絶大な暴力が猛威を振るい……幕引きもまた唐突に。
 狂信者を統べる教祖と言えど流石に斃れただろう。
 仮に息があったとしても、後は現地の竜人なり他の味方なりがとどめを刺せる筈だ。

「縺九∴繧九o?」

 補給したカロリーも底をつく潮時を見極め、一帯を揺るがす地鳴りを残してアリスは地中に消える。
 後にはただ、悪夢のような破壊の痕跡が残されるばかり。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

クラウス・イーザリー
「……イネス、俺から離れないで」
敵に武器を向けながら彼女を背に庇う
逃げてもらった方が良いか……いや、彼女が独りになったところで追い付かれたら終わりだ
一緒に戦う方がまだ良いかもしれない
そう判断して、共に戦うことを選ぶよ

ダッシュで距離を詰め、電撃鞭でのマヒ攻撃とガントレットのワイヤーでの捕縛でイネスへの攻撃を妨げながら居合で戦う
攻撃時はイネスからの攻撃でできた隙を突くなど協力した戦い方を意識
彼女が危ない時は躊躇無く庇う

竜骸合身の儀を使われたら竜化部位に右掌で触れ、ルートブレイカーで変形を無効化する

彼女の未来は奪わせない
想い人に好意を伝えることすらできていないのに、こんなところで死なせたりはしない

●精一杯に背伸びをしてみても
「|退《ど》きなさい不純物。|塵《ゴミ》同然の身の程を弁える事です」
「……イネス、俺から離れないで」
「は?」

 ドラゴンストーカーの狂信に取り合ったところで意味は無い。
 怒りに嫉妬に他諸々、向けられる悪意が一段と苛烈さを増すのも構わずクラウス・イーザリー(希望を忘れた兵士・h05015)は|竜人《ドラゴンプロトコル》の少女を背に庇う。
 これで自分に狙いが向くのなら寧ろ都合は良い。

(逃げてもらった方が良いか……
 いや、彼女が独りになったところで追い付かれたら終わりだ)

 逃げるイネスをドラゴンストーカーが脇目も振らず追うとして、撃破の隙を作る事には繋がるだろうがその為に彼女を危険に晒しては本末転倒だ。
 それなら共に戦う方がまだ守り易い、とクラウスは判断する。

「イネス、やれるかな」
「は、はいっ。……それしか無いって、分かってます」

 大剣を構え直す少女は覚悟を決めているように見えた。
 気圧された身体に僅かな強張りはあるが、身を守る上ではプラスに働く範疇だろう。
 矢面に立つのは自分の役割だ。
 躊躇なく地を蹴り、殺意を迸らせるドラゴンストーカーへと切り込んでいく。

「痴れ者が! なんて羨ま……図々しい!」
「その勝手な狂信で、どれだけの竜人を……!」

 正面から放つ居合の一閃は禍々しい大剣に防がれた。
 タイミングを合わせイネスが繰り出す斬撃は翼にいなされる。
 竜人の膂力を以てしても傷は浅いが……それを受けた教祖は熱っぽい吐息を零す。

「嗚呼、ドラゴンプロトコル様……!」
「っ……!」

 恍惚としたドラゴンストーカーと怯んだイネス、同じく隙が生じたなら次の一手を先んじるのは地力に勝る前者の側。
 無論、させはしない。
 クラウスの電撃鞭が腕を封じ、致命的な一撃を事前に阻む。

「不純物の分際で……! 何処までも、良いところで邪魔をしてくれるものです!」
 激昂する教祖の腕にある縫合痕から血が滲んだ。
 【竜骸合身の儀】――喰竜教団の奉じる|真竜《トゥルースドラゴン》への、部分的な回帰。
 肥大化した左腕の単純な破壊力も然る事ながら、歪な顕現がもたらす竜化暴走の影響も未知数。
 ――だからこそ、クラウスは迷わず踏み込む。
 乾坤一擲の【ルートブレイカー】、その右掌は異形の竜爪が力を振るう前に変異を解除してみせた。

「竜の恩寵を、よくも……!」
「イネス!」

 ドラゴンストーカーの√能力は潰えた。
 あらん限りの殺意と共に襲い掛かる大剣に残る片手で対処するのは難しいか。
 だとしても、抑え込んでみせる。その覚悟と共に少女の名を呼ぶ。
 意識を引き付け好機を作る代償に、致命の凶刃が迫り――

「弁えるのはあなたよ。恥を知りなさい」
「はいぃ……!」

 ――そのまま明後日の方向へ流れた。
 気弱な少女の姿からは思いも寄らない、冷たく鋭利な言葉の刃。

 竜を絶対視する喰竜教団はドラゴンプロトコルにも信仰を向けるが、そこには竜人として零落した現状への忌避感が内包されている。
 おもむろにイネスが見せた尊大な竜の威風は――たとえ勇気を振り絞った賭けだったとしても――ドラゴンストーカーの意識を上書きするに充分な衝撃だったのだろう。
 大剣を手放さなかったのは最後の理性か。
 千載一遇の瞬間を逃す事なく、イネスとクラウスの斬撃が教祖を捉える。

「人間如きが……何故、そこまでわたくしの邪魔を……!」
「……彼女の未来は奪わせない」

 数多の竜人から奪い継ぎ接いだドラゴンストーカーの強靭は常軌を逸したものだ。
 肉体そのものが刃を拒もうとするのを感じ、ありったけの意思と力を注ぎ込む。

「想い人に好意を伝えることすらできていないのに、
 こんなところで死なせたりはしない」
「そんな……理由、で……ッ!」

 不服の声が最後まで続く事は無かった。
 限界を超えた身体は形を保てず、無数の屍肉に戻り崩壊する。

「……終わっ、た……?」
「そうみたいだね。イネス、大丈夫?」
「おかげさまで、たぶん……大丈夫、です……」

 ぺたりと座り込む少女に大きな外傷は見当たらない。
 良かった、と微笑んでクラウスも緊張を解く。
 虐殺を齎さんとする喰竜教団の襲撃は、犠牲一つ出す事なく退けられたのだ。
🔵​🔵​🔵​ 大成功