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天使の涙
●天使の涙
その瞳からひらひらと涙が零れ落ちていく。
どうしてこんなことになってしまったのだろう――体に異変が起こり『天使』となったのは数日前の事。オルガノン・セラフィムに追われて、逃げて。そしてどうしたらいいのかわからず彷徨っていたなら、捕まってしまったのだ。
それは好事家たちに様々なものを売りさばくことを生業とした後ろ暗いものたちに。
「どうしよう……どうしたらいいかわからないわ……」
少女の瞳から零れる美しい雫。それは地に落ちていくだけだ。
もうすぐ自分を売りさばくためのオークションが始まるらしい。他にも同じようなひとたちがいて。でも逃げ出すことはできなくてどうしようもできない。
誰か助けてと、そんな都合の良いことは起こらないと思いつつも――捕らわれた天使たちは願うのだった。
●予知
助けに行ってほしい人がいるの、と月喰・白世(ヴェド・h01125)は告げる。
それはヨーロッパのある都市。そこに捕らわれた天使たちがいるのだと。
オルガノン・セラフィムに追われていた天使たち。その美しい姿から良くない人たちに捕まってオークションにかけらるようなのと白世は続ける。
「わたしがみたのは、おんなのこひとりだったけど。多分他にもいると思うの」
オークションが始まる前に、捕まっているところに潜入して助け出せればいいけれど、明確なその場所はわからない。
わかるのは、そのオークションの会場だけなのだ。
「そのオークションはね、もちろんお金でもいいんだけど。自分の経験を話して、それがそこにいるお金持ちが気に入ったら、お金の支援をしてくれるみたいなの」
商品を買うよりも、その商品を欲するものがどのような話を持ってくるのか。それを楽しみにしているようなのだ。中には煽るようにほしいと高い金額をふっかけてくるものもいるかもしれないが。
「正面からオークションで上手に稼いでおとすのもいいと思うわ。めんどうなら、会場の裏口から侵入して皆助け出しちゃうのもできるわ」
悪い組織だから潰れちゃっても問題ないもの、と言いつつ――時間の猶予はないので助けたら素早く離れる事をおすすめするわと白世は続けた。
「だってアマランス・フューリーが追いかけてくるから」
それは「羅紗の魔術塔」と呼ばれる独自の秘密組織に属するもの。強大な羅紗魔術士である『アマランス・フューリー』はオルガノン・セラフィムを、もちろん「天使」を発見すれば天使を奴隷化しようとしてくるのだ。
「どうなるかはわたしもわからない。皆の行動で、変わってくると思うわ」
これまでのお話
マスターより

御目通しありがとうございます、志羽です。
今回は『汎神解剖機関』の世界をお届けです。詳細なスケジュールはお手数ですが、タグや個室で確認いただけると幸いです。
受付は冒頭追加後とタグでご連絡する形となります。
第1章⛺『助けを求める声』
皆さんはオークション会場へ。正面から乗り込むも、裏からそっと忍び込むも自由です。
詳細は冒頭追加時に。
こちらの行動で展開がかわります。大騒ぎすれば、気づかれて押し寄せられることになるでしょう。
またAnkerの天使さんはこちらで捕まっているのも大丈夫です。あわせプレイングで出逢い回なども大歓迎。
指定ない場合でも、どなたかと合わせてリプレイをお返しすることもあるかもしれません。
第2章は⛺👾👾👿となります。
どのようになるかは第1章での行動次第です。
第3章は👿👿⛺👾です。
詳細はまた追記します。
ご参加お待ちしております!
100
第1章 冒険 『助けを求める声』

POW
気合を入れて救助に向かう
SPD
必要な助けを素早く提供する
WIZ
魔法的な力を使って問題を取り除く
√汎神解剖機関 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
その会場は、擦れた繁華街の中ひときわ豪奢で明るい場所にある。しかし、少し入れば薄暗い通りがいくつも走るような、そんな場所に。
「お集まりの皆様! 今宵も沢山の商品を仕入れております」
まずはこちら、どこぞの謎の遺跡から見つけた怪しいツボ――と、オークションが始まる。
今日のメインイベントは見目麗しい天使たち。それまでは余興だ。
中央に舞台を据えた、まぁるい円形の一階席ははすり鉢状だ。
そしてその一階席を見下ろす二階席には、物好きな金持ちたちが金をお年、このオークションという名のショーを見に来ている。
怪しいものを買ったり、金はないがそれを欲したものがどのようなことを話すのか――それを暇つぶしとしているのだ。
賑わうオークション会場はとりたてて入場の規制はされておらず、誰でも簡単に、一階席には入ることができる。
そして現在、オークションは賑わっておりバックヤードはあわただしく動いていた。
しかし今日のメインである天使たちの登場は最後。まだ時間がある。
バックヤードに入ることは難しいこともなく、√能力者なら簡単にできるだろう。
バックヤードの一番奥からは、すすり泣くような声は天使たちのものだ。
粗末な木の檻に一人ずつ捕われている天使たち。それを壊すことは√能力者なら簡単にできる。
声をかけ、物音立てずひっそりと。異変を感じられる前にこの場所から彼らを隠しつつ逃げなければならない。
もし、騒ぎになれば早々に見つかることになるだろう。そうなれば、アマランス・フューリー達も気付いてやってくることは間違いない。
もう一つ、助ける手としてはオークションへの参加がある。
オークションを利用し助けるなら大金を積み上げるしかない。大金を持っていなくても、自分の経験をこの場で売ることができる。
天使が舞台に上がったら、欲しいと手をあげ。そして語ればいい。
ただ興味があってでもいい。自分と似た境遇から助け出したいや、はたまた同郷なのだと――察しの良い天使がいれば、話を合わせることもできるかもしれない。
それにどれほどの価値を見出されるかはわからないが、今宵の客は『助けを求め、助けられる、救われる話』が好みのようだ。
話の真偽を確かめる術は彼らにはない。だから作り話でもよさそうだ。
オークションを利用し助け出せれば、大きな騒ぎとはならないだろう。
アマランス・フューリー達に素早く気付かれることなく、安全な場所へと天使たちを連れていくことができるそうだ。
√能力者それぞれの動きで、この後の先の未来が変わっていくのは間違いない。

アドリブ&野良連携歓迎。
身長170㎝の少女の姿で事に望む。
SPD必要な助けを素早く提供する
「生きた人間や天使をオークションにかけるとは、まさに奴隷の人身売買。許せませんわね」
「この組織はいずれ潰さないといけませんが、今回は騒ぎにならないように裏から天使たちを救出しましょう」
愛用のハッキングツールを使って、オークション会場の警備室や警備カメラ等を電子ハック。
√能力《疾風怒濤》を使い、3倍の能力と3倍の技能で、素早くオークション会場の通路等の情報を手に入れて潜入する。
カタカタカタ、ターン!(ENTERキーを叩く。ハッキング完了)
救出途中で他の√能力者に出会ったら、情報を連携して速やかに救出する。

心根の腐った方々はいるものですね…人身売買ですか
私も裕福な生まれではありますが、
こればかりは、誰に綺麗事と謗られようとも貫きます
命は、人が一生で手にし得る富如きで取引出来る代物ではないとね
裏口から侵入
見張りなどあるなら【竜漿魔眼】で隙を見計らって通り抜けるなり、倒すなり
物理は得意ではないですが、…ほら、魔道書の角でズドンと
本は大切にする主義ですが、この本は戦闘用ですし
気を失った見張りは、発見され騒ぎにならないよう物陰に隠します
一人でも多く保護しなくては
拘束か檻か、いずれ天使を開放次第、来た道を戻ります
することは同じで、違いは背後に天使達がいるだけ
ですが、一歩の重みは違う
…無事逃がしてみせますよ
賑わうオークション会場。
その様子を前にユズリハ・ロクスリー(叡智の旅人・h06477)は瞳細める。
「心根の腐った方々はいるものですね……人身売買ですか」
私も裕福な生まれではありますが、とユズリハは自分を顧みる。それでも、あのように楽しむということはどうあってもない。
こればかりは、誰に綺麗事と謗られようとも貫く――命は、人が一生で手にし得る富如きで取引出来る代物ではない、と。
ユズリハは賑やかな表から踵を返し、裏口へと向かう。
そしてもうひとり――身長170センチの少女姿の、明星・暁子(鉄十字怪人・h00367)にとってもこの会場の姿が受け入れられないものであった。
嵐と衝動――それを纏って暁子の能力は今、常の三倍。
「生きた人間や天使をオークションにかけるとは、まさに奴隷の人身売買。許せませんわね」
正義の心に目覚めた暁子にはわかる。こんな組織はあって良いものではないと。
「この組織はいずれ潰さないといけませんが、今回は騒ぎにならないように裏から天使たちを救出しましょう」
愛用のハッキングツール。それを使い、暁子は会場の警備室を電子ハックする。そこから、警備カメラへも仕掛けていった。
暁子が素早く手に入れていくのはオークション会場の見取り図。それに警備カメラにも偽の画像が流れている頃だろうか。これで多少、見つかるのを遅らせられるはず。
カタカタカタ、ターン! と小気味よくENTERキーを叩く音が響けば、全ては終わり。
途中、出会ったユズリハへと暁子は会場の見取り図を共有する。そこには商品として捕まっている天使たちの場所も書かれていた。
その地図をつかってスムーズに件の場所へ。監視カメラも二人の姿を映さぬダミー映像が流れているままのようだ。
雑多なバックヤードでは、すすり泣く声が聞こえてくる――檻がいくつか並びそこに入っている天使たち。
そして見張りと思われる男が一人。くわと大きな欠伸をしており、周囲にちゃんと気は配ってはいない。
しかしそれでも、こちらが姿を現せばすぐに気付くだろう。
「見張りがいる……」
暁子はどうする? とユズリハを見る。ユズリハは任せてくださいと見Z核。
ユズリハは全身の竜漿を右目に集中する。その右目は激しく燃え上がり、そして男の隙を示す。
大きく欠伸をする――その時に、背後へと回り込む。
ユズリハの手にあるのは魔道書。その角を思いきり、ズドンと鈍い音と共に頭に振り下ろした。
「!?」
その衝撃に男は倒れる。ユズリハは魔道書の角を撫でていた。
本は大切にする主義だ。だがこの本は戦闘用であるし、これはよしとすると。
倒れた男を発見され騒ぎにならないように物陰に。
そして、ユズリハは捕われた天使たちを解放する。
「助けにきてくれたのですか……?」
そうですと、ユズリハは頷く。一人でも多く保護しなくては――と、視線巡らせるといくつか、空いた檻があった。
「何人か連れて行かれている……」
けれどそちらは、オークション会場にいる何人かの√能力者に任せればいいとユズリハは思う。
暁子も、天使たちの檻を開けて一緒に行こうと手を差し伸べた。
来た道を戻っていく――することは同じだとユズリハは思う。
違いは背後に天使たちがいるだけ。だが一歩の重みは違う。
「……無事逃がしてみせますよ」
ユズリハは零す。この会場から脱出し、そして安全な場所へと連れて行くのだと心に誓って。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

*オークションへの参加
舞台に上がった同じ年頃の天使へと勢いよく手を挙げる
私、この子を頂きたいわ!
ずっと思ってたの
こんなに綺麗なお友達が居たらいいなって
さみしそうだもの、助けてあげたいわ
私はあまねくすべてに、手を伸ばす
こっそり相手へと目配せし
話を合わせてもらえたら
つぎはぎの見た目を醜いとは思ったことはない
だけど、きっとそれに惹かれる人も多いから
お金は持っていません
でも、私には歌があるから
【歌唱】【魅了】【ダンス】
ねぇ、私とこの子が歌って踊ったら
あなた達にはどう見える?
それはとっても、魅力的にならない?
つぎはぎの屍人とうつくしい天使
寄り添おうとするさまは、それだけの価値があると
娘本人に自覚はない
「ではいよいよと天使たちが始まります!」
高らかと、司会が告げる。天使たちが、部隊の上にあげられた。
周囲からは品定めするような視線が向けられ、天使たちは身をすくませる。
「ではまず……こちらの天使から!」
「きゃっ!」
手にかけられた鎖をひっぱられ、一人の少女が中心へ。スポットライトがあたり嫌でも目を引く状況だ。
不安そうな瞳をした少女――彼女は吉祥・わるつ(浄刹・h05247)と同じ年頃だった。
「私、この子を頂きたいわ!」
はい! と勢いよく手をあげたわるつ。わるつは彼女を見つめ、微笑む。
「ずっと思ってたの。こんなに綺麗なお友達が居たらいいなって」
その大きな瞳と小さな瞳をぱちりと瞬かせ、紡ぐ言葉は心からのもの。
さみしそうだもの、助けてあげたいわ――と、天使の少女の表情を見て思う。
ね、とこっそりとめくばせして、わるつは手を伸ばす。あまねくすべてに、手を伸ばすのだ。この目の前で取りこぼすことなんて、絶対しないしさせないのだと。
話を合わせて、と思い伝わるように。
すると少女も何か感じたのだろう。小さな声で、司会者へと様子を伺うように、あの子の所へ行きたいですと願い出る。
すると、舞台から降りることは許されないがよろしいと――逆にわるつを、舞台の上へと招いた。
ライトの下に立てば、わるつのその肌の色が違うことが誰の目にも見て明らかになる。つぎはぎの見た目。
二階席からは興味深げな視線も向けられるが、わるつはそれを嫌がらず受け入れる。
つぎはぎの見た目を醜いとは思ったことはない。
だけど、きっとそれに惹かれる人も多いから。だからこの視線は悪いものではないと思う、この場においては。
「それではこのお嬢さんの他に、買いたいと言う方は?」
ちらほらと、手があがる。示された金額は、少しずつ上がって――そして最後に、これ以上の方は? と司会者は尋ねる。
そして最後に、わるつを見た。
「あなたは?」
「お金は持っていません」
でも、とわるつはあたりを見回す。
私には歌があるから、と。
「ねぇ、私とこの子が歌って踊ったら、あなた達にはどう見える?」
それはとっても、魅力的にならない? と誘うように問いかける。
二階席から、じっと見ている視線を感じているから。
お友達になりたいわ、と天使の子の手をとる。しゃらりと鎖の堅い音が響く。
少しだけ、とその歌声をわるつは響かせて簡単にくるりと一緒に回って。
つぎはぎの屍人。そしてうつくしい天使――違う場所にいるものたちが寄り添おうとする。
歌声が響く、その中で司会へと耳打ちが一つ。それは二階席の誰かが価値を見出し大金を代わりに払うと告げたという知らせ。
その姿に、価値があると娘本人に自覚はなく。
きっと、優しい人が助けてくれたのと、目の前の天使へとわるつは微笑んだ。
でも、わるつはまだ彼女に降りかかる事を知っている。
だから最後まで、ちゃんと守って助けてみせるわと、知られぬように心の内でそっと紡いでいた。
🔵🔵🔵 大成功

アドリブ、絡み◎
「可哀想な天使を救い出す手助けをしておくれ」
この地を治める神へ【静謐の祈り】で祈りを捧げる
紡ぐ言葉を怪しまれず、天使らを掬う道を示せるように
「その天使、儂に譲ってはくれぬだろうか」
元々言葉を紡ぐ為の道具である為ほろほろと言葉が零れ出る
いつかの主達が紡いだ言葉をこの場に合わせ、自分の言葉で言い換える
「昔救ってくれた馴染みによう似ておっての」
「とうとう恩を返すことも出来ぬまま時ばかり過ぎた」
「たとえ本人でなくとも、その顔が泣く所をこれ以上見とうない」
こういう場では我が強くなければ言葉は通らん
「のう天使よ、儂の手を取れ」
なんせ今は神ばふ中じゃ
お主の幸せが続くようまじないをかけてやろう
ひとり、天使が助けられた。けれどまだ、舞台の上には天使がいる。
「お次は……こちらの中年男性です。人のよさそうな顔をしておりますが、その通りの性格。小間使いなど……」
と、司会はつらつらと言葉を述べていく。
舞台上の彼を、玉梓・言葉(|紙上の観測者《だいさんしゃ》・h03308)は見つめていた。
この年齢となるとなかなか引取り手もいないのか、価格は低めから始まるらしい。
祈るように手をあわせている彼へと向け、言葉は紡ぐ。
「可哀想な天使を救い出す手助けをしておくれ」
この地を治める神へ、天使たちの困難を――この場での縁を取り持 ってくれるように祈り捧げるのだ。
天使らを掬う道を示せるように。
「その天使、儂に譲ってはくれぬだろうか」
そう祈ったなら、まずひとり。自分も手助けしようと言葉は紡ぐ。
ガラスペンの付喪神である言葉。ガラスペンは言葉を紡ぐ為の道具だ。
だからだろうか、ほろほろと言葉が零れ出る。
それに覚えているのだ。いつかの主達が紡いだ言葉を。その言葉をこの場に合わせ、自分の言葉へと言い換える。
舞台の上、照らされた天使へと言葉は笑み向ける。
「昔救ってくれた馴染みによう似ておっての」
それはどうして、助けようとしているのか――わかりやすくするために。
「とうとう恩を返すことも出来ぬまま時ばかり過ぎた」
眉をさげて、己がそれを後悔しているかのように。
「たとえ本人でなくとも、その顔が泣く所をこれ以上見とうない」
そしてこれも知っている。
こういう場では我が強くなければ言葉は通らいということも。
だから真っ直ぐ、言葉は天使を見る。
「のう天使よ、儂の手を取れ」
誰かに買われていくなら、自分で選ぶといい。それにこのような場面を好きなものも多いのであろう――司会へと、二階席の動向が耳打ちされる。
買い手がついたのか、司会は言葉をちらとみて大きく頷いた。どうぞそのまま、というように。
その様子を捉えつつ、言葉は大丈夫じゃと小さく紡ぐ。
「なんせ今は神ばふ中じゃ」
お主の幸せが続くようまじないをかけてやろう――差し出した、この手をとればそれはできる。
天使は、何かを感じたのだろう。
「まじないをかけていただけますか?」
捕まって、きっと心も疲弊していると思われるのに柔らかに微笑んだ。あなたを信じるというように。
🔵🔵🔵 大成功

オークションに参加します
バックヤードから上手く救出できたとして
今出されている天使も助けなければなりません
天使が舞台に上がれば手を上げる
お待ちください、あの天使は私の同郷の者
どうか話を聞いて頂けませんか?
天使は当然私を知らない
驚くでしょうが話を続け
あなたが幼い頃でしたから覚えていないでしょうけど私は覚えています
天使となっても、その容姿も仕草も変わらない
一目見た相手の印象を拾い、恰も以前から知っていたように述べる
長年探し続け、此処へ辿り着いた
この機は二度と訪れることはない
私が差し上げられる物ならば何なりと
プライドも恥も不要
地に頭を付けることになろうと
饒舌に、これが最後の機として
どうか、私にご慈悲を
助けられていく天使たちがいる。
道明・玻縷霞(黒狗・h01642)はオークションが滞り無く進んでいる様子を見つめていた。
きっと今頃、バックヤードからも救出されているだろう。しかし、バックヤードから上手く救出できたとしても今出されている天使も助けなければならない。
お次の天使は、とまた一人舞台の中央につれてこられる。
それに合わせて玻縷霞は手をあげ、舞台へと駆け寄った。
「お待ちください、あの天使は私の同郷の者。どうか話を聞いて頂けませんか?」
当然、天使は玻縷霞を知らない。驚くことだろう。
当然、舞台に上げられた天使の女はぱちと瞬いていた。
それが作り話であることはわかっているのだから。
「あなたが幼い頃でしたから覚えていないでしょうけど私は覚えています」
天使となっても、その容姿も仕草も変わらないと、玻縷霞は僅かに瞳細める。
今日、初めて顔を合わせたのは間違いない。けれど、玻縷霞はその印象を拾い上げ、恰も以前から知っていたように言葉を続けていく。
「幼い頃と同じ、その少し褪せたような髪色、とても懐かしく思います」
不運で離れることになったのだと、経緯を加えて。
長年探し続け、此処へ辿り着いたのだと。この機は、今逃してしまえば二度と訪れることはないのだとわかっている。
そんな風に切実に玻縷霞は続けた。
「私が差し上げられる物ならば何なりと」
どうか、と二階席へと膝をつき願う。すると――天使の女も、もしかしてというように言葉を。
彼は、私を助けてくれようとしていると察して。
「本当に……本当にあなたなの? 私が、アメリアだってわかるの?」
そう、名前を告げる。玻縷霞は彼女――アメリアへ、はいと頷いた。
「アメリア、覚えていてくれたのですね」
感動的な出会いのように。そして玻縷霞は、この場で地に頭を付ける事も厭わない。
プライドも恥も、不要なのだと。
「お願いいたします、これが最後の機なのです」
どうか、私にご慈悲を。
玻縷霞が頭を下げれば、二階席からざわざわと。何かをもめている――そんな空気だ。それは誰が競り落とし、与えるかを競っているのだろう。
しばらくした後に、誰が競り落とすか決まったのだろう。
どうぞ、あちらへと天使の女と共に玻縷霞は案内される。
「アメリア、本当にまたこうしてあえて、よかった」
何か、彼女は言おうとしたけれど玻縷霞は余計な事を言わないようにと言葉を重ねていく。
まだ、余計な事は言ってはいけませんと。
🔵🔵🔵 大成功

【藤ノ庭】アドリブ歓迎
・オークション会場へ正面から乗り込む。パーティドレスとストールでボディ全体を隠す
突入するにしても多少相手を油断させた方がいいと思うんです。
それに、人身売買するような悪徳商人がどんな顔してるか見てみたくないですか?
・思い出話で資金稼ぎ
神様と出会った、なんて話を信じますか?
今もその神様に取り憑かれている、って嘘っぽいですよね。
でも本当なんです。ほら、その証拠に…
(人外の肌をした肢を見せる)
私、神様から解放される方法を探してるんです。
その為に色々な所に足を運んで文献を探さないといけなくて…ご支援願えませんか?
うまくいったら遙斗さんに目配せで合図
コート、ありがとうございます

【藤ノ庭】(アドリブ歓迎)
オークション会場を見ながらタバコに火を付ける
天使を売るオークション・・・本来なら突入して救出したいですけど、救助者の安全が第一ですし、ここは表から行きましょう
【落札為に思い出を語る】
俺はこの天使を妹の友達にしたいです。その為に、日本から来ました。ただ、お金が全然足りません。俺の両親は俺が10歳の時に事故で亡くなりました
それから10年間俺は妹の為ずっと生きてきました。妹を大学に入れるために学生の頃から働いて、今も高卒で働いています
それでもお金がたりないです。どうか俺に天使を買えるだけのお金をください
可能なら紫苑さんの話の後に自分のコートを紫苑さんにかける
その後撤退する
オークション会場を見ながら、志藤・遙斗(普通の警察官・h01920)はタバコに火を付ける。それを口に運び、吸い込んで、はきだして。
慣れ親しむ煙の香と共に瞳細めて零す。
「天使を売るオークション……本来なら突入して救出したいですけど、救助者の安全が第一ですし、ここは表から行きましょう」
そう言って遙斗は、傍らの饗庭・ベアトリーチェ・紫苑(|咲き誇る碧の天國《パラレル・パライソ》・h05190)へと視線向けた。
紫苑はパーティドレスとストールを纏いこくりと頷く。
「突入するにしても多少相手を油断させた方がいいと思うんです」
そしてふふ、と紫苑は笑む。その笑みになるほどと遙斗は僅かに眉あげて見せた。
「それに、人身売買するような悪徳商人がどんな顔してるか見てみたくないですか?」
面白がるような表情で紫苑は言う。あとできっと捕まっちゃうでしょうけど、今はこオークションにのってあげましょうと紫苑は言う。
そこにいる金持ちたちと直接話をするために。
上品なサロンのようでいて、物好きばかりが集まる場所。
あなたも物好き? なんていうような不躾なような視線を受けて、紫苑はにこりと微笑んだ。
そして近くの身なりの豪奢な婦人へと声をかける。
「神様と出会った、なんて話を信じますか?」
「神様と? ほほ……スピリチュアルな御話かしら」
いいわ、続けてと言われる。彼女の興味をちゃんと引けたようだ。
「今もその神様に取り憑かれている、って嘘っぽいですよね」
でも本当なんです、と声を潜める紫苑。
「ほら、その証拠に……」
ショールを少し捲り、人外の肌を見せる。婦人が瞳見開いて驚くと同時に、足もとそっと見せて。
「あなたに神様が憑いているというの?」
まじまじと婦人は紫苑を見る。そうです、と紫苑は頷く。夫人は興味深そうに、もっと話を聞きたそうなそぶりを見せていた。
「私、神様から解放される方法を探してるんです」
もうどのくらい昔からこの姿かとため息を混じり、そして夫人を見て人の体に戻りたいのですと紡ぐ。
「その為に色々な所に足を運んで文献を探さないといけなくて……ご支援願えませんか?」
きっとあなたはそういったこともされる方なのでしょうと紫苑は視線向ける。
そう話しながら、新しい天使のオークションが始まりましたねと舞台へと視線を動かした。
司会が次の天使はこちらと舞台の中央にあげたのは少女だ。
不安そうな顔をしている彼女は、妹と同じくらいの年齢だと遙斗は名乗りをあげる。
婦人は、紫苑と話しながらもどんな天使がオークションにかけられ、そしてどんな男がと舞台へと興味を示していた。
「俺はこの天使を妹の友達にしたいです。その為に、日本から来ました」
妹のために、と遙斗は言う。自分がいないときでも一人にしないように友達をと。
天使の少女も、酷い扱いはされなさそうだと察したのだろう。他に金額をあげているものいるが、あの人の所がいいですと司会へと願う。
「ただ、お金が全然足りません。俺の両親は俺が10歳の時に事故で亡くなりました」
その身の上話にそういった人は沢山いますものねと紫苑の隣で婦人は紡ぐ。まぁ可哀想にと婦人は言う。その声色は、憐憫であり自分がそうでないことを小気味よく思っているような響き。
「それから10年間俺は妹の為ずっと生きてきました。妹を大学に入れるために学生の頃から働いて、今も高卒で働いています」
真に迫る話なのは嘘がないから。妹を大切にする兄というのは、そのままの姿なのだから。
遙斗は自分が今までどうあるのか紡いで。そして残念そうな顔をする。
そこにいる天使を連れていき、妹に会わせたい。でもそれをするには、と。
「それでもお金がたりないです。どうか俺に天使を買えるだけのお金をください」
お願いしますと遙斗は言う。その様子を、夫人と共に見ていた紫苑は、彼は助手なのですと話を繋げるように。
「できたら、何時も手伝ってくれる彼の願いを叶えてあげたいのです」
再度、支援をお願いできませんか? と言えば婦人は微笑んだ。
「良いでしょう、面白い話を聞かせてくれましたし……」
婦人は小切手を手に取り、これくらいでいいかしら? とさらさらと今上がっている金額より多めに書き連ねた。足りないことはないと思うわと言って。
「また面白いことが……そうね、人間に戻れたら見せに来てくれるかしら」
「ええ、もちろん」
ありがとうございますと、受け取った小切手を持って紫苑は階下へ。
遙斗が気付けば目配せ一つ。上手くいったと。すぐ、紫苑はその金額で天使を競り落とした。
天使を連れ、そして遙斗は紫苑のもとへ。遙斗は自分のコートを脱いで、紫苑の肩へとかけた。
「コート、ありがとうございます」
遙斗へと引き渡された少女。少女はまだ不安そうな顔をしているが、大丈夫ですと遙斗は言う。
悪い様にはしませんと遙斗は言って。そして紫苑も信じてと微笑む。
天使を助けにきたのだからと。残りの数人も、助けると。
「そういえば、悪徳商人はどんな顔をしていました?」
「うーん……普通の顔でしたね」
ふと、最初のやり取りを思い出して遙斗は尋ねる。声をかけた婦人は着飾ってはいるがどこにでもいそうな人だったと。
きっと、こういった事が当たり前だから普通の顔なのでしょうと遙斗は思う。
そして足早に、このオークション会場を離れていくのだった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

ふぅん、これがオークション…
渦巻く慾に酔ってしまいそうだわ
ひとってこういうの好きよね
さて…ララはオークション会場に連れ出されてしまった可哀想な子達を救うの
この幼さを利用するわ
…神の力はララに味方してくれるはず
天使が現れたら、「にぃに!」と叫びましょう
女の子だったら「ねぇね」ね
ずっと会いたかったの
探していたの
唯一の家族だ、と
お願い
もう離れ離れになりたくない
助けて、と
切にいとけなく涙ぐみ天使の元へ駆け出そうとしたり
…生き別れたきょうだい──その再会を演出よ
合わせてよね?
魅了の眼差しで蠱惑し魅入る
慾に眩んだ連中に「救世主」となる栄誉を与えてあげる
本当の兄姉を思い出して
会いたくなってしまったのは…秘密
天使たちがひとり、ふたりと減っていく。それは√能力者たちが助け出しているから。
「ふぅん、これがオークション……」
舞台と、そして二階席にいるという金持ちたちをララ・キルシュネーテ(白虹・h00189)はつまらなさそうに眺めてほとりと零す。
渦巻く慾に酔ってしまいそうだわとその唇は小さく動いて。けれど笑みも紡ぐのだ。
「ひとってこういうの好きよね」
わかるようでわからない。何を求めているのかしら、なんてララは思う。
でもそれはさておき、今はこのオークション会場に連れ出されてしまった子達を救わねばならないのだ。
こんなところに連れてこられてしまった、可哀想な子たち。
でも大丈夫とララは思う。神の力はララに味方してくれるはずだから。
またひとり、舞台の上へと連れてこられたのは――偶然か、ララと似た髪色した少年だった。
不安そうな顔をしている。でも今まで買われて行った人たちが、悪い扱いを受けていないのも見て期待しているような雰囲気。
彼を助けましょうとララは声あげる。
「にぃに!」
その姿を目にし、驚いて思わず声をあげたというように。
「ずっと会いたかったの、探していたの」
そう紡ぎながら、唯一の家族と舞台のほうへ。
ララが舞台に上がるのを、司会は止めない。ああこれからきっと、皆様の見たいものがというようにその先を望んでいるようにも見えた。
切にいとけなく涙ぐんで、天使の少年のもとへ。だが少年はぽかんとして――それはそうなのだ。初めて、出会ったのだから。
だからララを見つめるし、ララはその視線を受け止めて彼だけに見えるように小さく笑み向ける。
合わせてよね? と魅了の眼差しを向ければ少年は揺らいで。
「本当に、おまえなのか?」
震える声でそう紡ぐから、上出来と。ララはもう離れ離れになりたくない、と手を伸ばした。
ぎゅっと抱きしめて――そしてララは、助けてと紡ぐ。
お願い、と次は二階席の観客たちへ。
慾に眩んだ連中に「救世主」となる栄誉を与えてあげると。いいこと、したいでしょう? なんて思いながら。
案の定、二階では誰が競り落とすかと盛り上がっている様子。
ララは小さく笑い零して、でも――と吐息零す。
自分でも気付かぬ間に、きゅっと少年の服の端掴む指に力が入っていた。
本当の兄姉を思い出して、会いたくなってしまった。
心に燻るのは寂しさにも似たものだろうか。でもそれは、ララだけの秘密。
🔵🔵🔵 大成功

アタッシュケースに敷き詰めた物こそが
今宵の私の武器となりましょう
我が主――偉大なる魔女様のコレクション
美しい竜漿石を魔石と謳い
一つ砕き、炎を喚ぶデモンストレーションで購買欲を唆る
稼いだ全額を
泣きはらす天使の少女に捧げましょう
足りないのでしたら声を張る
私は、奴隷で御座いました
魔女様に買って頂いたあの日迄は
カトラリーの握り方も
文字の読み方も
ネクタイの結び方も
……あの御方の喜ばし方も
お恥ずかしながら、何一つ出来なかった
我が主に出逢わなければ
私を構成する全てが無かったので御座います
それ故に私は
貴殿に手を差し伸べたい
この噺が事実か、で御座いますか?
……さて、私からは何とも
私の欠落は記憶なので御座います
からわらにはアタッシュケース。その中に敷き詰めた者こそが、今宵のヴィルベルヴィント・ヘル(RED HOOD・h02496)の武器だ。
「さて次の――何? ……、……失礼しました、こちらが本日最後の天使でございます!」
司会の者へと何かが伝えられている。ヴィルベルヴィントはその様子に、裏ですでに誰か動き、そして事が終わったのだと察する。
涙を流す少女が舞台に挙げられて、ヴィルベルヴィントは静かに手をあげた。
つり上がっていく値段――ヴィルベルヴィントへと、司会が貴方は如何なさいますか? と尋ねる。
その言葉にヴィルベルヴィントは、ただ静かにアタッシュケースを開いた。
開かれたその中にあったのは美しい竜漿石だ。
「これは我が主――偉大なる魔女様のコレクション。魔石でございます」
ご覧くださいと、一つ砕いて炎を喚ぶ。
この世界にはないもの。それに、客は興味を示す。これを代価にと告げれば司会は共に競売へとそれをかける。
「こちらで稼いだ全額を泣きはらす天使の少女に捧げましょう」
もし足りないのでしたら、とヴィルベルヴィントは紡ぐ。
私の話を聞いてくださいと声を張った。
「私は、奴隷で御座いました。魔女様に買って頂いたあの日迄は」
カトラリーの握り方も、文字の読み方も、ネクタイの結び方も、とヴィルベルヴィントは身振り手振りを交えていう。
その様が気になるのだろう。視線を感じ、そしてこれで良いのだと思う。
興味を引ければ、それだけ価値もあがるだろうから。
「そして……あの御方の喜ばし方も」
お恥ずかしながら、何一つ出来なかったと奴隷であった頃の自分を思い返すように。
「我が主に出逢わなければ私を構成する全てが無かったので御座います」
そう言ってヴィルベルヴィントは、天使の少女を見つめる。
「それ故に私は貴殿に手を差し伸べたい」
主のように、とまでは言わないけれど。それでもその境遇から脱する手伝いを、と。
そう話していると――竜漿石にも高値がついて。少女はヴィルベルヴィントのもとへ。
すると少女はヴィルベルヴィントを見上げて、あなたの話は本当なの? と小さな声で尋ねる。
それはどこかに魔女がいるのかと、これからその人のもとへ行くのかと思っているような口ぶり。
「この噺が事実か、で御座いますか?」
そしてヴィルベルヴィントは少女の問に囁くように返す。
「……さて、私からは何とも」
私の欠落は記憶なので御座います――その意味を、天使の少女は知らないけれど。
なんだかとても意味ある事のようにさえ、思えたようであなたについていくわと共に。
🔵🔵🔵 大成功
第2章 集団戦 『オルガノン・セラフィム』

POW
捕食本能
【伸び縮みする爪】による牽制、【蠢くはらわた】による捕縛、【異様な開き方をする口】による強撃の連続攻撃を与える。
【伸び縮みする爪】による牽制、【蠢くはらわた】による捕縛、【異様な開き方をする口】による強撃の連続攻撃を与える。
SPD
生存本能
自身を攻撃しようとした対象を、装備する【黄金の生体機械】の射程まで跳躍した後先制攻撃する。その後、自身は【虹色の燐光】を纏い隠密状態になる(この一連の動作は行動を消費しない)。
自身を攻撃しようとした対象を、装備する【黄金の生体機械】の射程まで跳躍した後先制攻撃する。その後、自身は【虹色の燐光】を纏い隠密状態になる(この一連の動作は行動を消費しない)。
WIZ
聖者本能
半径レベルm内の敵以外全て(無機物含む)の【頭上に降り注がせた祝福】を増幅する。これを受けた対象は、死なない限り、外部から受けたあらゆる負傷・破壊・状態異常が、10分以内に全快する。
半径レベルm内の敵以外全て(無機物含む)の【頭上に降り注がせた祝福】を増幅する。これを受けた対象は、死なない限り、外部から受けたあらゆる負傷・破壊・状態異常が、10分以内に全快する。
√汎神解剖機関 普通11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オークション会場から、天使たちは皆脱出した。
裏からひっそりと気づかれる前に、もしくは表から堂々と買われるという体面を持って。
最初は戸惑いや不安を見せていた者もいるが、√能力者たちが危害加えるような相手でないとわかり、信じてくれているようだ。
けれど――まだ、安全というわけではない。
会場を離れてからは、安全な道を選び進んでいく。オークションを行っていた者達からの追手はなく――一息ついた、その時だ。
ざわざわと、何か背筋をなぞるような嫌な感覚。
「っ!! あ、あっ……また、あの……!」
「みんなが変わった……かいぶつ……っ」
天使たちが、その姿を見た途端震えあがる。
かろうじて、人の形をしているのだ。しかしむき出しの肉のようで、そうではなく。
美しい色をしている羽根のように見え、そうではなく。足は骨のようでもあり金属でもあるよう。つぎはぎのようでそうではないそれは――怪物なのだ。
それはもうひとの手ではなく鋭い爪をもっていて。開いた口から零れるのは言葉ではない。
√能力者たちは知っている。
それが善なる無私の心の持ち主のみが感染するとされるヨーロッパの風土病「天使化」に感染した善人が変貌した、哀れな怪物であることを。
何かが少し違えば、助けたこの天使たちもそうなっていたかもしれない、オルガノン・セラフィム。
本能的に天使を追いかけてくるそれが、今現れてしまった。
往く手を塞ぐように。彼らを、救う方法はない。天使たちを守りながら、戦わねばならぬようだ。

「さぁ貴様の業を数えろ…」
心は熱く頭は冷静に。
【忍び足】で接近し攻撃。
防御は【エネルギーバリア】【受け流し】を使用、間に合わない場合のみ左腕を盾変わりに。 多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の√能力者に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
アドリブ・連携大歓迎。
よろしくおねがいします!

アドリブ&野良連携歓迎
身長200㎝の鉄十字怪人モードで事に望む
「オルガノン・セラフィムか。天使の《なりそこない》と言った風味だな」
「速やかに倒してやるのが、慈悲というものか」
愛用のブラスターライフルで遠距離戦を中心に戦う。
相手のPOW捕食本能に対しては、一旦【蠢くはらわた】による捕縛等をわざと受けたところで、
自らが身にまとう重甲に仕込まれた爆薬や炸薬を炸裂させて、内側から『オルガノン・セラフィム』を爆砕する。
「どうした。爆薬も炸薬も、まだまだたくさんあるぞ」
トドメは『ブラスターキャノン・フルバースト』で一気に薙ぎ払う。
オルガノン・セラフィムたちが囲むように迫ってくる。
このままでは行く先を防がれてしまう――そう思った矢先、道が開けた。
「内に秘めたる九頭龍よ、今此所に顕現せよ」
駆ける影がひとつ。
60秒間、龍氣をチャージした直後、近くのオルガノン・セラフィム達へと威力18倍の九頭龍を放ったのは龍統・ミツアキ(千変万化の九頭龍神・h00681)だ。
軋んだ悲鳴をあげながら、オルガノン・セラフィム達が倒れ隙間ができる。
心は熱く、頭は冷静に――一角を崩したミツアキは自分へと意識が向いたオルガノン・セラフィム達を相手どる。
「今のうちに!」
そして、道を開くと同時に、追われていた者達へとこの先へと示した。
ミツアキの横を通り抜け、この場所を切り抜けていく。
しかしオルガノン・セラフィムは逃がさないと、それは本能だろうか。邪魔をしているミツアキを狙って攻撃かける。
跳躍と共に黄金の生体機械の射程の中へ。黄金の生体機械が放たれたのを前にミツアキはその攻撃を受け流す。
「さぁ貴様の業を数えろ……」
多少の怪我を厭うことはない。この場を抑えることが、今は必要なことだとわかっているから。
そして明星・暁子(鉄十字怪人・h00367)も、助けた天使たちに先にいけと促す。他の者達もいる、此処をまず切り抜けるのが必要だろうと、身長200㎝の鉄十字怪人の重甲着装して。
「オルガノン・セラフィムか。天使の《なりそこない》と言った風味だな」
改めて向き直り、その姿をよくよく見る。人であったもの――しかし、今はと暁子は思う。
「速やかに倒してやるのが、慈悲というものか」
愛用の、様々な特殊弾丸を装填できる超重量型のヘビーライフル、ブローバック・ブラスター・ライフルを手にした暁子。
その狙いはもちろん、オルガノン・セラフィム達だ。
遠距離攻撃をかける中、飛び掛かってくるオルガノン・セラフィムがいる。
伸び縮みする爪による牽制――しかしそれは、硬い装甲に阻まれて意味がない。その身から蠢くはらわたが放たれ捕縛し、そして異様な開き方をする口による攻撃の気配。
だが、その攻撃を暁子はわざと受けていた。
自らが身に纏う重甲に仕込まれた爆薬や炸薬――それを食えば内側からオルガノン・セラフィムは破壊されることになるのだから。
噛みついた瞬間に炸裂したそれは、はらわたも破砕するようにぼとぼとと地に落ちた。
それに痛みを感じているのか、蠢くように地面這うオルガノン・セラフィムへと暁子は言い放つ。
「どうした。爆薬も炸薬も、まだまだたくさんあるぞ」
全部もらってくれて構わないぞと暁子は自分の前にヘビー・ブラスター・キャノンを召喚し並べる。その場から動けなくはなるがその銃口はすでにオルガノン・セラフィムへと向けられている。
一斉に発射される弾丸はオルガノン・セラフィムを撃ち抜いてその場へと落した。
ヘビー・ブラスター・キャノンの砲火の音が止めばその場には動くオルガノン・セラフィムはいない。
暁子は皆が駆けた方向を見詰めそして足を向けた。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

アドリブ、絡み、負傷◎
「哀れな姿よ」
彼らとてこうなりたくてなったわけではないとは言え、野放しには出来ない
「終わらせる事が救いじゃな」
【誰彼】をくるりと開き見せるはいつかの面影
人の子だった頃の面影かもしれないし大切な人の面影かもしれない
天使達を守る様攻撃を受け止め、受け流し生命力を吸収する
「誰が否定しようがお主たちとて美しい」
無垢であり続けられなかったことがそれほどまでに罪であろうか
その御霊を天に還そう
「光あれ―――」
願わくばその魂がこれ以上囚われぬ様にと破魔を纏わせた【創世神光】
天使のなりそこない達を光で貫き、味方へは神の祝福を

話を聞く限り、遺伝する病気というわけでもなさそうだ
感染症の特徴にも該当しない…魔術的な由来?
…いえ、今は考える時ではありませんね
【霜月】、凍結を付与する刃を辺り一面に降らせます
威力自体は低いですが、何体来るかも知れませんし
点ではなく面で攻めましょう
とはいえ、回復を使われると厄介ですね
10分以内というのは、我々にとって制限なのか猶予なのか
凍結付与が、天使が攻撃を逃れ得る隙を生めばと思っていましたが、
詠唱錬成剣を炎か熱属性辺りにして、熱膨張を誘いましょうか
氷点下からの高温の刃で、敵の凍結部位の熱割れ、破壊を狙います
いつかきっと、治せる病になる日が来ると信じます
救う手立てが無いとは、苦しいものだ
傍らの、天使。そして、迫りくるオルガノン・セラフィム。
どちらも人から、その形へと姿を変えたのだと言う。
ユズリハ・ロクスリー(叡智の旅人・h06477)は追われながらも瞳を細め、思案する。
(「話を聞く限り、遺伝する病気というわけでもなさそうだ」)
何かしらの原因となるものがあったのかもしれない、と思うけれどそれもなさそうだ。
(「感染症の特徴にも該当しない……魔術的な由来? ……いえ、今は考える時ではありませんね」)
このまま、考えの中に沈みそうになるのを、頭を横にふるい払えたのは、その声が聞こえたかだろう。
「哀れな姿よ」
その言葉は玉梓・言葉(|紙上の観測者《だいさんしゃ》・h03308)は零したものだった。
彼らとてこうなりたくてなったわけではないとは言え、野放しには出来ない――そうは思わんか、と言葉は視線が重なったユズリハへと告げた。
ユズリハはそうですねと頷いて、迫ってくるオルガノン・セラフィムへと改めて視線向ける。
天使にはなれなかった異形。金で継がれたような身体に不完全な肉か、それとも別のものか。羽の成りそこないをぶら下げて、今にも崩れそうなバランスでそこにいるのだ。
「終わらせる事が救いじゃな」
|彼誰《おもかげ》をくるりと開き見せるは、いつかの面影。
それは人の子だった頃の面影かもしれないし大切な人の面影かもしれない――オルガノン・セラフィムたちにそれがみえるだろうか。
天使を狙って繰り出される攻撃を|彼誰《おもかげ》で受け止め、受け流しその生命力を吸収していく。
なりふり構わず、本能のままにとでもいうのか。オルガノン・セラフィムたちのその姿に言葉の瞳は柔らかに、優し気に細められていた。
「誰が否定しようがお主たちとて美しい」
無垢であり続けられなかったことがそれほどまでに罪であろうか――その答えを知るものはいるのだろうか。
しかし、言葉にはできることがある。その御霊を天に還そうと、その唇は紡ぐのだ。
「光あれ―――」
天から光属性の弾丸は放たれる。降り注ぐ光は一層、その威力を高めるのだ。
願わくばその魂がこれ以上囚われぬ様にと破魔を纏わせたそのひかりにオルガノン・セラフィムたちは包まれる。
天使のなりそこない達は光りで貫かれ、そしてユズリハには神の祝福を。
「凍て月の冷気よ、来たれ」
空をその手が撫でるように動く。ユズリハの示した先へと氷刃が振る。その威力は弱いものの、広くその場所を満たすものだ。
次々と現れるオルガノン・セラフィムたちと対するには点ではなく面で攻めるのが良い。その考えの通り、その場に足を踏み入れた途端凍り付き、その場で動けなくなるオルガノン・セラフィムたちは多い。
その傷を癒すべく、オルガノン・セラフィムたちは自分達へと祝福を呼ぶ。降り注がせた祝福を増幅し、その傷を治そうとするのだ。それは10分以内に全開する回復。
回復を使われると厄介、とは思うもののユズリハは思う。
10分――それは、我々にとって制限なのか猶予なのかと。
凍結してしまえば、その攻撃を逃れ得る隙に。そうユズリハは思っていたのだけれど、じきに抜けられてしまいそうでもある。
ユズリハは詠唱錬成剣に熱を灯す。
熱膨張を誘い、氷点下から高温の刃で其の凍結部位に熱を一気に叩きこむ。大きな変化に、熱割れを起し破壊されていくその身。
そしてまた、オルガノン・セラフィムたちの祝福とは違う、言葉の光が、祝福が続くのだ。
回復を上回る痛手に、その身は崩れおちていく。その姿を、ユズリハはただ静かに見つめていた。
「いつかきっと、治せる病になる日が来ると信じます」
救う手立てが無いとは、苦しいものだ――ユズリハは零す。
今はただ、倒し還す事しかできないのはユズリハも、言葉もわかっている。
けれどいつか、と思わずにはいられないのだった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

【藤ノ庭】アドリブ歓迎
遙斗さんから借りたコートを着たまま継戦
オルガノン・セラフィム…天使になりきれなかった善人
天使に至る人は元は同じなのに…
原因がわかる時が来たらもっと別の方法であの敵を救えるんでしょうか
「はい! すぐに終わらせましょう」
・戦法
遙斗さんが敵を足止めしている間に、敵の軍勢に対し植物を内部から生やして攻撃
最初はある程度無差別攻撃、弱りが見える敵を個別処理
トドメは敵に咲かせた華を束ね、自分で花束にして叩きつけ
「仕留めます!」
近づいてくる敵には花弁で作った残像で身を守る
慣れないドレスは動きにくいと思ってましたが
コートで抑えられてるだけで全然違いますね

【藤ノ庭】で参加【アドリブ歓迎】
タバコに火を付けながら
「やっと助け出せたと思ったらやっぱり追っ手は来ますよね
オルガノン・セラフィム・・・天使になり損ねた人間・・・できれば手荒な真似はしたくないんですけどね
仕方ない、敵対行動を確認。これより実力を行使します。紫苑さん行きますよ」
戦闘時
「制圧行動」を使用、紫苑さんの能力の範囲内の敵に霊震を与えて行動を阻害する
「動こうとしても無駄です、すぐに済みますので大人しくしていてください」
「動きは止めました。紫苑さん後はお願いします」
戦闘後
「残存勢力無しっと、取り合えず移動しましょう」
「コートが役に立ったみたいで良かった。」
コートはそのまま貸したままにします
「やっと助け出せたと思ったらやっぱり追っ手は来ますよね」
タバコに火を付けながら、志藤・遙斗(普通の警察官・h01920)はため息交じりに。わかっていたとはいえ、やはりこうして目の前に現れると相手をするのは一仕事になるから。
「オルガノン・セラフィム……天使になりきれなかった善人」
饗庭・ベアトリーチェ・紫苑(|或いは仮に天國也 《パラレル・パライソ》・h05190)は遙斗から借りたコートをそのまま着て、追ってくる者達を目にし零す。
天使に至る人は元は同じなのに……と、その心に波がたつ。
「できれば手荒な真似はしたくないんですけどね」
「原因がわかる時が来たらもっと別の方法であの敵を救えるんでしょうか」
そうであればいいのですが、と言いながら遙斗はこちらへと招く。オルガノン・セラフィムが爪を伸ばし攻撃を仕掛けてきたからだ。
予想はしていたものの、やはりこうなるかと遙斗は思う。
「仕方ない、敵対行動を確認。これより実力を行使します。紫苑さん行きますよ」
「はい! すぐに終わらせましょう」
逃げるその足を止めオルガノン・セラフィムたちへと、遙斗は体向ける。
そして紫苑は天使たちに逃げてと促した。
「抵抗するなら容赦はしない!」
オルガノン・セラフィムたちと向き合ったと同時に霊的疑似振動を放つ。
その振動はその場から動けなくなるほどに。オルガノン・セラフィムたちはその場に膝をついた。それでもなお、動いて追いかけようとするけれど。
「動こうとしても無駄です、すぐに済みますので大人しくしていてください」
さらなる力がかけられる。その爪を伸ばせはするが、上手く扱えずまず二人には届かない。
「動きは止めました。紫苑さん後はお願いします」
紫苑はこくりと頷く。動かない今であるならば――容易いことだ。
振るう力は、|華皇神《かこのかみ》の権能のひとつ。その体の内から植物を生やしていく。
その継ぎ接ぎのような花に、美しい緑を、花を。
蔦が絡み、オルガノン・セラフィムたちは戒められていく。
その鮮やかな、美しくもある光景に遙斗は瞳細める。動けなくなったオルガノン・セラフィムから、一体ずつ確実に。その身に咲く花を花束にして、紫苑はその手に。
「仕留めます!」
軽く見えるその花には見えぬ重さが掛かっている。振り下ろされた瞬間、オルガノン・セラフィムは地面にめり込む勢いで地に伏した。
花束を持つ姿はこれからどこかに軽やかに行きそうにも見える。手にしたそれを離せばふわりと空に消えて行った。
「残存勢力無しっと、取り合えず移動しましょう」
そして遙斗も周囲に敵の姿がないことを確認していた。
けれど、ここにずっといるわけにもいかない。先に逃がした天使たちも心配である。
紫苑はそうですねと言いながら、ふと零す。
「慣れないドレスは動きにくいと思ってましたが、コートで抑えられてるだけで全然違いますね」
「コートが役に立ったみたいで良かった」
まだもう少し、何かあるかもしれない。必要がなくなるまで――安全な場所に天使たちを送り届けるまでどうぞそのままでと遙斗は言う。
その言葉に紫苑は、お言葉に甘えますねと小さく笑み返すのだった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

オルガノン・セラフィム……彼等も元は何の罪もない善人
ですが、現段階で治療法する術はありません
彼等を止める為には、殺すしかないということ
仕方ないと、そんな言い訳をするつもりはありませんが
殺しに来るのであれば、私達も抗います
……生きて、帰る為に
同行して頂いたアメリアさんには離れないよう指示
気配を消す動きが見られるので近い方が守れるでしょう
喧嘩殺法による攻撃
敵からの攻撃は回避では巻き込む可能性があるので
回避はせずにオーラ防御でそのまま防ぐ
天使達に攻撃が向かうようなら敢えて体で受け止める
その後、因果応報で反撃
気に病むことはありません
貴方達に何の罪はなく、私達は貴方達を守る術がある
ただ、それだけのこと
天使――アメリアを連れて道明・玻縷霞(黒狗・h01642)も逃げる。
追いかけられ、そして追いつかれたらその爪がアメリアに向くことを玻縷霞はわかっていた。
とはいえ、オルガノン・セラフィムが、彼等も元は何の罪もない善人であったことを玻縷霞は知っている。
(「ですが、現段階で治療法する術はありません」)
彼等を止める為には、と玻縷霞の視線は厳しくなる。
今、取れる選択は一つしかないからだ。
殺すしかない――その選択を、仕方ないと、そんな言い訳をするつもりは、玻縷霞にはなかった。
「殺しに来るのであれば、私達も抗います……生きて、帰る為に」
その呟きはアメリアにも聞こえていた。彼女ははっとしたような顔をして、玻縷霞を見る。玻縷霞はその視線に答えず、ただ一言。
「離れないように」
「はい」
オルガノン・セラフィムが向かってくる。気配を消すような動きがみられる――狙いは彼女のようだ。
それならばやはり、近い方が守れる。
オルガノン・セラフィムが視界から消えたように見えたがそれは跳躍。虹色の燐光を纏い気配を消す。黄金の生体機械がアメリアを狙って伸ばされるが、しかし。
その間に玻縷霞が割って入る。回避すれば、アメリアを巻き込む可能性がある。
オーラでその身を硬め、防いだのだ。そのまま、その拳を玻縷霞は前へと突きだす。
黄金が玻縷霞の上を撫でる。それに素早い殴打で反撃をいれたなら先程受けたダメージは消え去っていた。
与えられた痛みを、傷を返すそれは|因果応報《マーシレスカウンター》。
その場にずしゃりと落ちた天使。一瞬、アメリアは身をすくませる。
痛ましい視線をオルガノン・セラフィムへと向けている彼女。襲ってきたとはいえその姿を痛ましく思っているように見えた。
そして玻縷霞が自分のために戦い、さっきも傷を負ったことに何かを感じているのだろう。
彼女が、何かを口にする前に。
「気に病むことはありません」
貴方達に何の罪はなく、私達は貴方達を守る術がある――ただ、それだけのこと。
玻縷霞は大丈夫ですとアメリアに言い聞かせるように紡ぐ。
安全な場所へとちゃんと、送り届けますのでもう少し頑張ってくださいと。
🔵🔵🔵 大成功

銀の右目、左目は前髪でメカクレ状態
天使を背に隠す
貴殿方は、あの者達が善人であった事を御存じなのですね
或いは泣きはらしていた少女の知古も…この中に
少女に赤い外套を被せましょう
私が迎えにくるまで
耳と目を塞いでいて下さいますか?
何も見ずとも良い様に、何も聞かずとも良い様に
御安心下さいませ
ふふりと微笑んでみせ
直ぐに片付けて御覧に入れましょう
恭しい所作の執事の礼から徒手空拳の構えを取る
迫る手近な一体へ肉薄し百錬自得拳を
別の一体へカトラリー投擲
続いては拳→喧嘩殺法、捕縛されれば怪力で曳き千切り
集団を相手取り、一歩も譲らないと気魄帯びて
天使が狙われれば最優先で庇う
事態が収束すれば
御怪我は御座いませんかと声を

大丈夫、落ち着いて
私達が居る限り、あなた達には傷ひとつつけさせない
私は、怖がる天使の皆さんの心を落ち着かせるね
セラフィムの聖者としての本能が動くなら、私の攻撃はきっと効かない
なら、守るべき皆さんを支えることで、戦う皆さんをフォローします
私の歌は、世界を変えられる
そうやって、いつだってあの故郷で生きてきたから
【歌唱】【勇気】【魅了】
彼らを励ましてくれるのは、きっと彼らの大切な人達
すぐに物陰に隠れてじっとしててね
これであの人達には見つかりっこないから
怪物になった人達の救い方は存在しない
幻影の人達だって、きっと怪物になっているんでしょう
わかってる、だからこそ
私はあの人達の眠りも、祈りたいの
【覚悟】
ヴィルベルヴィント・ヘル(RED HOOD・h02496)の銀の右目、左目は前髪に隠れている。しかしそれでも、オルガノン・セラフィムの姿はしっかりと捉えていた。
その背に、助けた天使を隠すかのように。
「あの中に……いるのかも……でも、どうして」
そんな小さな声をヴィルベルヴィントの耳はぴくと動いて拾い上げる。
「貴殿方は、あの者達が善人であった事を御存じなのですね」
こくりと頷く少女――ああ、とヴィルベルヴィントは思う。
この少女の知古も……この中に。もしかしたらいるのかもしれないと。
ヴィルベルヴィントは纏っていた赤い該当を脱ぎ、そして背中に庇った天使の少女へと被せる。
「私が迎えにくるまで耳と目を塞いでいて下さいますか?」
何も見ずとも良い様に、何も聞かずとも良い様にとヴィルベルヴィントは柔らかな声で紡ぐ。
少女がこくと頷くと同時にヴィルベルヴィントは周囲を見回す。
どこか、物陰に――そう思っているとこっちと手招きする少女、吉祥・わるつ(浄刹・h05247)の姿が見えた。
物陰に何人かの天使たちを隠して、ここなら守れるからと。
ヴィルベルヴィントは、少女の背中をそっと押してあちらへと促す。
しかしひとりで、あのオルガノン・セラフィムたちへと立ち向かうのかと彼女は心配そうな視線を向けた。
「御安心下さいませ」
その視線に気づいたヴィルベルヴィントは、ふふりと笑って。直ぐに片付けて御覧に入れましょうと、恭しい所作で執事の礼をとる。
「お早く」
どうかお気をつけてと少女はいってわるつの方へ。ヴィルベルヴィントとわるつの視線が合う。
お願いいたします、任せてとその視線ひとつで意思の疎通をし、ヴィルベルヴィントはオルガノン・セラフィムたちへ徒手空拳の構えを向けた。
そしてわるつは、天使たちへと向き直る。
「大丈夫、落ち着いて」
私達が居る限り、あなた達には傷ひとつつけさせないと、わるつは声をかける。
怖がっている、不安がっている。それは手に取る様にわかること。
オルガノン・セラフィム――セラフィムの聖者としての本能が動くなら、私の攻撃はきっと効かないとわるつは思う。
なら、守るべき天使たちを支えることで、戦う√能力者たちをフォローできる。
こちらに気を回さず戦えるだけでもきっと違うだろうから。
だから、わるつはすっと一呼吸。
その歌は、世界を変えられるから。
(「そうやって、いつだってあの故郷で生きてきたから」)
わるつは歌う。それは世界を変える歌だ。どうして歌をなんて視線を向ける天使もいたけれどその歌に魅了される。
そしてその歌を聞いたなら、傍らに励ましてくれる大切な人の姿が。それが幻影であっても、天使たちにとっては勇気づけられるものであることは間違いない。
歌が届いたのをわるつは目にし、そして改めて声かける。
「物陰に隠れてじっとしててね。これであの人達には見つかりっこないから」
天使たちの傍らにいるだれか。それはきっと今まで彼等と共に過ごしてきた者達なのだろう。
そしてオルガノン・セラフィム――怪物になった人達の救い方は存在しない。
今、幻影として横にいる人たちだって、きっと怪物になっているのだろう。
(「わかってる、だからこそ」)
私はあの人達の眠りも、祈りたいのとわるつは知らず、手をぎゅっと握りこんでいた。
そして、戦うヴィルベルヴィントを見守るように視線向けた。
ヴィルベルヴィントは流れるように拳を突き出す。
そして今、肉薄し|百錬自得拳《エアガイツ・コンビネーション》を持って懐に入った一体を倒し切る。
しかし他方からもくる姿に、すかさずカトラリーを投擲しその爪を弾く。
だがオルガノン・セラフィムも引かず、蠢くはらわたを投げかける。それを掴んだヴィルベルヴィントは怪力で曳き千切りつつ逆に引き寄せる。
囲まれても、一歩も譲らないと気魄帯びてただ荒々しくその拳を振るった。
その四肢、感覚全てを持ってヴィルベルヴィントは戦い抜く。
その場に動くものがいなくなれば――乱れた服装を軽く整えヴィルベルヴィントは柔和な雰囲気を纏い直す。
先程まで戦っていたのが嘘かというほどに。
「御怪我は御座いませんか」
心配していた天使の少女は頷いてほっとした顔を見せた。その様子を確認しヴィルベルヴィントはわるつへと、他の方々はと尋ねる。
「大丈夫、落ち着いてるよ」
でも本当に安全な場所はここではないと知っている。
わるつは移動しようと皆を促す。今、天使たちは励ましを得て心に力を得ていた。
ここではなく安全な場所へ――その言葉に、足は自然と動き始める。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第3章 ボス戦 『羅紗の魔術士『アマランス・フューリー』』

POW
純白の騒霊の招来
【奴隷怪異「レムレース・アルブス」】を召喚し、攻撃技「【嘆きの光ラメントゥム】」か回復技「【聖者の涙ラクリマ・サンクティ】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[奴隷怪異「レムレース・アルブス」]と共に消滅死亡する。
【奴隷怪異「レムレース・アルブス」】を召喚し、攻撃技「【嘆きの光ラメントゥム】」か回復技「【聖者の涙ラクリマ・サンクティ】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[奴隷怪異「レムレース・アルブス」]と共に消滅死亡する。
SPD
輝ける深淵への誘い
【羅紗】から【輝く文字列】を放ち、命中した敵に微弱ダメージを与える。ただし、命中した敵の耐久力が3割以下の場合、敵は【頭部が破裂】して死亡する。
【羅紗】から【輝く文字列】を放ち、命中した敵に微弱ダメージを与える。ただし、命中した敵の耐久力が3割以下の場合、敵は【頭部が破裂】して死亡する。
WIZ
記憶の海の撹拌
10秒瞑想して、自身の記憶世界「【羅紗の記憶海】」から【知られざる古代の怪異】を1体召喚する。[知られざる古代の怪異]はあなたと同等の強さで得意技を使って戦い、レベル秒後に消滅する。
10秒瞑想して、自身の記憶世界「【羅紗の記憶海】」から【知られざる古代の怪異】を1体召喚する。[知られざる古代の怪異]はあなたと同等の強さで得意技を使って戦い、レベル秒後に消滅する。
√汎神解剖機関 普通11
オルガノン・セラフィム達がこれ以上追ってくる様子はなkった。
その全てを、倒すことができたのだ。そのことに、思うことがあるものもいるだろう。
けれどまだ、安心は――できなかった。天使たちと√能力者たちの前にひとつ、影がおちる。
「|天使になれなかった出来損ない《オルガノン・セラフィム》を追ってきたら……これは、なんと運がいい」
ふわ、とその場に降り立った女。しゃらと衣擦れの音をさせ静かに視線を、√能力者たちの向こうの天使たちに向けている。
「天使を捕獲する機会が巡ってくるとは」
これは僥倖と女は紡ぐ。その言葉は何の色も乗せぬような響き。
天使たちは、本能で感じる。この者についていってはいけないと。
「さて……そこをどいてくれぬか? さすれば手は出さぬが……そうはいかぬか」
やれやれというように肩を竦める。そして女は、羅紗の魔術士『アマランス・フューリー』は邪魔をする者は排すると一歩前へ出た。