3
霧の森の天使を救え
●√汎神解剖機関・ヨーロッパのとある森
その女性、ミス・トフォグは霧の中に囚われていた。
物理的、心理的な意味の両方においてである。
事の始まりは、ボランティアで森の清掃活動に参加したこと。黙々とゴミ拾いに没頭していたら、何の前触れもなく彼女の肉体に異変が起こったのだ。
まるで、神様か誰かが悪戯で拵えた出来の悪い「人間の偽物」……とでも言うしかない、翼の生えた異形の姿へと変わってしまったミス・トフォグは、しかし戸惑っている暇もなくバケモノの群れに襲われる。
変異した彼女自身と似て非なる容姿をしたバケモノに追われて、森の奥へと逃げ込んで、気づいたら濃密な霧に包まれて1フィート先すら視界の利かない状況に陥っていた。
「……他の人たちは無事なのかしら」
霧の向こうから、バケモノのうなり声が聞こえてくる。多少は迷っているのかもしれないが、諦めることもなくミス・トフォグを追いかけてきているようだ。
こんな恐ろしい状況において、彼女は我が身よりもボランティアに参加した仲間たちを案じていた。
「アイツらはあたくしだけを執拗に狙っているみたい。だったら、人のいない方へ逃げれば被害を減らせるかもしれないわね」
他者のため、一身に危険を集中させるべく、足を動かし続ける。たとえ逃げた先に救いがなくとも、時間稼ぎくらいはできるものと信じて。
……しかし、ミス・トフォグは知らなかった。己にせまるバケモノたちの正体こそ、無事を願うボランティアメンバーの成れの果てだということを。
●ブリーフィングルーム
「『天使化』という病はご存知でしょうか」
田抜・くのえ(狸ではない洗い屋・h00255)は、真剣な様子で話し始めた。
最近になって突然流行し始めたそれを、あなた方はすでに見聞きしているかもしれない。天使化とは「善なる無私の心の持ち主のみ」が感染するとされるヨーロッパの風土病だ。
「この度、某所でボランティア活動を行っていた一団が発症したのを確認しました。ほとんどは『オルガノン・セラフィム』という怪物に身を堕として手遅れですが……たった一人だけ、理性と善の心を失わず『天使』として覚醒した女性がいるようです。皆さまには、彼女の救出をお願いいたします」
そう言って、くのえは要救助者の情報をあなた方に伝える。
「今は濃い霧がたちこめる森の奥でさまよっていらっしゃるので、まずは合流することからですが……このお方は責任感が強いらしく、皆さまを危険に巻き込むまいとするでしょう。ただ見つけるだけでなく、何らかの説得も考えておくべきと存じます」
霧の中で天使を探し出す。
一人で抱え込もうとする彼女を説得する。
最初の任務はその二点が重要になるだろう。
「残された時間はあまりありません。オルガノン・セラフィムは天使を捕食しようとしていますし、秘密結社『羅紗の魔術塔』の一員である『アマランス・フューリー』が奴隷として回収しようと動いています。どうか皆さま、天使さまをよろしくお願いいたします」
くのえは深々と頭を下げて、あなた方を見送った。
これまでのお話
マスターより

どうも、黒姫小旅でございます。
此度の成功条件は『天使を生還させる』です。頑張ってください。
●第一章
濃霧がたちこめる森の中、逃げている天使を敵よりも先に探し出してください。
天使は皆さまと遭遇しても「バケモノがあなた達にも危害を加えるかもしれない」として遠ざけようとするため、どのように接触するかも考える必要があるでしょう。
●第二・三章
天使を連れて逃げる、護衛しながら戦う等々、複数の分岐が用意されおり、シナリオ参加者のプレイングを参考にMSが独断で決定します。
●天使
ミス・トフォグ。25才の女性。金髪で銀縁メガネ。
上流階級の生まれのOLで、昔から慈善活動に積極的に参加してきました。
非能力者なので、死亡したら復活しませんし、√能力も使えない……はずですが、もしかしたら何らかの特殊能力を秘めているかもしれません。
●オルガノン・セラフィム
ミス・トフォグとともにボランティアに参加した人々が変異した怪物たちです。トフォグは彼らの正体を知りません。
現在は完全に理性を失っており、天使を捕食することだけに執着しています。
√能力者なので、死んでもやがて復活します。倒すことに遠慮はいりません。
7
第1章 冒険 『霧に閉ざされて』

POW
為せば成る。力任せに道を切りひらいてやるぜ。
SPD
五感を研ぎ澄ませて、道を探してみせるよ。
WIZ
魔法と頭脳を駆使して、霧をなんとかする方法を考えます。
√汎神解剖機関 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴

■行動
ミス・トフォグに対して取材を行う
あなたは天使ですか?それとも、新しく発見されたUMAでしょうか!?
飄々とした態度で彼女に同行する
私自身のことを「救う価値も無い」と思わせれば、私のことは危険に巻き込むのも良しとしてくれるのではないでしょうか。
ミス・トフォグが攻撃されそうになったら身を挺して庇う
または下記√能力で攻撃を防ぐ
■√能力
√能力は「証拠を守れ!」をオルガノン・セラフィムに使用します。
全部倒すなんてキリが無いし、死んでも復活するなら行動不能になってもらいます。
この能力は相手に防御力10倍と毎秒負傷回復状態の効果も与えるけど
少なくとも今は、こいつらを倒すことが私達の目的では無いからね。
●
「あなたは天使ですか? それとも、新しく発見されたUMAでしょうか!?」
「て、天使? UMA?」
出会い頭に開口一番、インタビューを始めた八木橋・藍依(常在戦場カメラマン・h00541)に、ミス・トフォグは目を白黒させた。
「あ、貴方、何を言っているのよ」
無礼なほどに飄々と距離を詰めていく藍依に、ミス・トフォグは最初こそ戸惑っていたものの、気を取り直すと眉をつり上げて詰め寄ってきた。
怒ったか?
と藍依は身構えるが、相手の様子を見たところ予想とは異なるようで。
「よく聞きなさい。信じられないかもしれないけれど、今この森にはおそろしいバケモノがいるの。アイツらはあたくしが狙いみたいだから、近くにいると貴方まで巻き込まれてしまうわ。急いで離れなさい」
(……へぇ)
藍依は胸の内で感心した。
あえて不快にさせるような態度を取ったのに、ミス・トフォグは本気で藍依のことを心配しているのだ。「救う価値のない人間などいない」と、メガネのレンズを隔てた瞳に書いてある。
(『善なる無私の心の持ち主』、でしたか。なるほど。天使になるだけあって、底なしのお人好しですね)
ここからどうやって同行を認めさせたものか、と藍依は思案を巡らせて……ヒクと耳が動いた。
「そういうことであれば、あなたもどうかご無事で」
慇懃にお辞儀をして、バックステップで霧の中へと姿をくらませる。
そうしてミス・トフォグが遠ざかっていく気配をうかがっていると、程なくして別の気配が近づいてきた。
一つ。
二つ。
三つ、四つ……もっとたくさん!
『あ゙……ぁあ……』
『ぅ゙ぅ……』
ゾンビじみたその大群は、オルガノン・セラフィム。この濃霧でも天使を見失うことなく追い続けているのだ。
「――√能力【証拠を守れ!】」
藍依の特製カメラから放たれた現場保存フラッシュが霧中に閃き、オルガノン・セラフィムを行動不能状態に陥れた。
「全部倒すなんてキリが無いし、こいつらを倒すことが私達の目的では無いからね。少なくとも今のところは」
Ankerに倒されるのでもない限り、√能力者は死んでも復活する。復活する時間と地点は遠いかもしれないが……まあ、リスクと労力を考えればこの程度が適当であろう。
藍依はそう判断して、他の追手も足止めすべく動き出した。
🔵🔵🔴 成功

アドリブ・連携歓迎
窮地にあって仲間を案じるとは、素晴らしい方だ。
彼女が事の顛末を知らずに済めば、とも思うが、まずは救助を優先しよう。
「漆黒の外套」によって黒い霧を身にまとい、私の魔力から生まれた霧と森を覆う霧を混ぜ合わせる。その流れを読み、濃淡を見極め森の奥へと向かう道を探る。
彼女と合流できれば、一旦√能力を解除し声をかける。
「助かった。奇妙な化け物に追われ、逃げていたところだったのだ。」
「あなたも同じ状況のようだな。これも縁、一緒に行ってくれませんか。」
そう言って「Orge」を示す。
「こちらには犬がいる。多少は案内が出来るだろう」
……ああ、良い子にしていておくれ。普通の犬に見えるようにね。

濃霧は外が明るくとも、至近距離の視界は塞がれやすい。【属性攻撃(炎)】を光源代わりにしながら進もうか。
……問題は向こうも光源を持っているとは限らんことだが、地面の痕跡を検分しつつ、真新しい足跡を軸に追うことになるだろう。
……現実的な話をするか。
この濃霧下で『ひとりで』動こうとする方が危険だ。
周囲が把握し辛く、視界が開けない状態でただ闇雲に逃げるのは、
巻き込む巻き込まない以前に不意の事故の確率が高い。そうなって動けなくなるよりは――まだ、安全を確保するように動いた方が良い。
必要な時に『走れない』のは避けるべきだ。
……振り切る算段も薄い逃走より、
少しでも目のある解決を選ばないか?
※アドリブ連携歓迎
●
「窮地にあって仲間を案じるとは、素晴らしい方だ」
眞継・正信(吸血鬼のゴーストトーカー・h05257)は心から称賛した。
叶うことなら彼女が事の顛末を知らずに済めばよいものだが……ともあれ、まずは救助が優先である。
「――【漆黒の外套】」
√能力によって黒い霧をまとい、森を覆う濃霧に混ぜ合わせる。
さながら大鍋のミルクに一滴だけコーヒーを垂らすがごとく。魔力の漆黒は大いなる白に溶け込んで消えていくが、糸のように細まる黒霧の動きによって、大気に流れがあることや霧の濃淡を見て取ることができた。
「ふむ。……最も霧が濃いのは、二時の方角か」
「対象らしい足跡も、そっちの方に向かってるみたいだ」
呟く正信に応じたのは、斯波・戒焔(極地に至る双腕・h06146)。
正信が従える大型犬の死霊『Orge』と並んで地面を検分していたオッドアイの男は、特異技能で操る火球を松明代わりに足元を照らして見せた。
しめり気を帯びた土には、まだ新しいスニーカーの跡が残っている。土の抉れ具合や歩幅から、足跡の主が急いでナニカから逃げようとしているのが、優秀なカミガリである戒焔には読み取ることができた。
√能力で移動力を増した正信と、炎の明かりで視界を補助する戒焔は、五里霧中に囚われながらも着実に情報を拾い上げ、険しい道のりを進んでいく。
そうして、程なく。
「誰かいるの!?」
霧の向こうから、女性の声がした。
戒焔が掲げる灯火に、向こうが気づいたのだ。二人の√能力者は互いに目配せして、いったん異能を解除すると声のした方へと駆け寄った。
「助かった。あなたは化け物ではないらしい」
と、まずは正信が切り出す。
「我々は奇妙な化け物に追われ、逃げていたところだったのだ」
「まあ。あたくしの他にも狙われていた人がいたなんて、まったく気づきませんでしたわ」
正信の説明を、ミス・トフォグは素直に信じたようだ。
ショックを受けた様子で、頭を抱える。
「あたくしが引きつけていれば、他の人は逃げられると思っていたのに……」
「どうやらあなたも同じ状況のようだな。これも縁、一緒に行ってくれませんか」
「現実的に考えても、この濃霧下で『ひとりで』動こうとする方が危険だ」
ここは勢いで押し通すところだ。
そう判断した戒焔も加勢して、二人は左右から畳みかけた。
「周囲が把握し辛く、視界が利かない状態でただ闇雲に逃げるのは、巻き込む巻き込まない以前に不意の事故の確率が高い。そうなって動けなくなるよりは――まだ、安全を確保するように動いた方が良いぞ」
「こちらには犬がいる。多少は案内が出来るだろう」
「振り切る算段も薄い逃走より、少しでも目のある解決を選ばないか?」
「そ、それは……その通り、かもしれないわね」
理路整然とまくしたてれば、ミス・トフォグは曖昧に首を縦に振る。かくして二人は同行をみとめさせることに成功したのだが……それで一安心とはいかなかった。
クンクン鼻を動かす死霊犬『Orge』を先頭にして、進み始めた矢先のこと。
「必要な時に『走れない』のは避けるべきだからな」
と戒焔が言ったから、という理由でもあるまいに、突如としてミス・トフォグの足が止まったのだ。
「なんで……急に力が……?」
糸が切れたように、その場にへたり込んでしまうミス・トフォグ。怪我など異常は見当たらないが、極度に疲労しているらしい。
どうやら、事件は次の段階へと移行するようだ。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第2章 集団戦 『オルガノン・セラフィム』

POW
捕食本能
【伸び縮みする爪】による牽制、【蠢くはらわた】による捕縛、【異様な開き方をする口】による強撃の連続攻撃を与える。
【伸び縮みする爪】による牽制、【蠢くはらわた】による捕縛、【異様な開き方をする口】による強撃の連続攻撃を与える。
SPD
生存本能
自身を攻撃しようとした対象を、装備する【黄金の生体機械】の射程まで跳躍した後先制攻撃する。その後、自身は【虹色の燐光】を纏い隠密状態になる(この一連の動作は行動を消費しない)。
自身を攻撃しようとした対象を、装備する【黄金の生体機械】の射程まで跳躍した後先制攻撃する。その後、自身は【虹色の燐光】を纏い隠密状態になる(この一連の動作は行動を消費しない)。
WIZ
聖者本能
半径レベルm内の敵以外全て(無機物含む)の【頭上に降り注がせた祝福】を増幅する。これを受けた対象は、死なない限り、外部から受けたあらゆる負傷・破壊・状態異常が、10分以内に全快する。
半径レベルm内の敵以外全て(無機物含む)の【頭上に降り注がせた祝福】を増幅する。これを受けた対象は、死なない限り、外部から受けたあらゆる負傷・破壊・状態異常が、10分以内に全快する。
√汎神解剖機関 普通11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
●
「なんで……急に力が……?」
あなた方と出会ってから程なく、ミス・トフォグはバッテリーが切れたかのようにへたり込んでしまった。と同時に、周囲にも異変が生じる。
霧が晴れたのだ。
伸ばした腕の先すら見えないほどの濃霧が、あれよあれよと言う間に消えていき、草木の生い茂る森が 現れた。
そして、
『あ゙……ぁあ……』
『ぅ゙ぅ……』
意味のないうめき声を漏らしながら、枝葉をかき分けて『オルガノン・セラフィム』の群れが近づいてくる。
ミス・トフォグのボランティア仲間が変異したものだそうだが、今は理性なき殺戮獣だ。言葉は通じず、元の人間に戻すすべもない。そして、護衛対象の天使は疲れきった様子で身動きが取れないときている。
あなた方にできるのは、かの哀れな怪物たちに仮初めの死を与えてこの場から排除することだけ……と言いたいところだが、実はもう一点。あなた方は気づくことだろう。
オルガノン・セラフィムたちよりもさらに後方に、強大な魔力の気配があることに。
●
『ようやく晴れたな。あの霧はなんだったのか……いや、今は目の前のことに集中するとしよう』
羅紗の魔術士『アマランス・フューリー』は、前方に視線を戻した。
オルガノン・セラフィムの群れは、|何か《・・》に引き寄せられるようにして一心不乱に歩き続けている。
『アレは|新物質《ニューパワー》として有用だ。羅紗魔術にて奴隷化し、『羅紗の魔術塔』に連れ帰らせてもらう』
アマランス・フューリーは呟いて、身に纏う『羅紗』に込められた古き呪文を解放した。
●
アマランス・フューリーは、まだあなた方や『天使』の存在には気づいておらず、オルガノン・セラフィムの奴隷化に集中しているようだ。
この状況は幸運といえるだろう。集団敵とボス敵をまとめて相手にするのは困難がすぎる。何なら放置して、このまま捕獲してもらえば多少は戦闘が楽になるかもしれない。
しかし、オルガノン・セラフィムの持ち帰りを許せば、後々に敵が厄介な力を得てしまう可能性があった。
事ここに至っては、「天使を守る」という目標だけに限らない。
邪悪なる『簒奪者』の利得を防ぐためにも、できるだけ多くのオルガノン・セラフィムの数を減らすことが求められる。
なるべく素早く、奴隷化が完了する前に。

連携・アドリブ歓迎
……この霧は、彼女が作り出したものだろうか。
ならば、利として活かさねばなるまい。
ともあれ、この窮地を乗り切ってからの話だ。
ミス・トフォグには「Orge」を付き添わせる。
一匹で守り切れるとは限らないが、少なくとも私を呼ぶことはできるはずだ。
頼りにしているよ。
早急に決着をつけるため、「聖者本能」を放つセラフィムから狙い、回復を阻害する。
一撃で仕留めるのは難しいかもしれないが、「漆黒の外套」を纏い攻撃力を高め、「範囲攻撃」として複数のセラフィムを一手に引き裂く。
セラフィムたちも、元は人だったのだ。
ならば、これは独善かもしれないが――奴隷化の未来よりも、かりそめの安らぎを与えよう。
●
「……この霧は、彼女が作り出したものだろうか」
眞継・正信(吸血鬼のゴーストトーカー・h05257)は首を傾げた。
ミス・トフォグの疲労と霧の消滅。無関係というにはあまりにもタイミングが合いすぎているが、少なくとも当の本人は何もわかっていない様子だ。
もしも予想が正しいならば利として活かすべきだが……何にしてもこの窮地を乗り越えるのが先決だろう。
「Orge、彼女を守れ」
ミス・トフォグに付き添うよう死霊犬に命じて、正信は前傾姿勢を取った。
「さて、行こうか。【漆黒の外套】」
老紳士の体躯を、再び『黒』が包み込む。
夜の気配に満ちた霧をまとい、その青眼で睨むのは敵本体ではなく彼らの頭上だ。
「【聖者本能】。……降り注ぐ祝福を増幅し、『死』を除いたあらゆるダメージを高速で回復させる御業、か。早急に決着をつけるには、最も厄介な√能力だな」
無数にいるオルガノン・セラフィムから、祝福を振り撒こうとしている個体に狙いを定めて、正信は疾走した。
バキ、と落ちていた小枝を踏み折る。
パキ、と獲物を求めて鉤爪が鳴る。
夜霧の狩人と化した吸血鬼は五指を閃めかせ、手近にいた五体をまとめて引き裂いた。
「独善かもしれないが――奴隷化の未来よりも、かりそめの安らぎを与えよう」
ズタズタになって倒れ伏す、元は人だった怪物たちに静かな一瞥をくれて、正信は次なる標的に向かって跳躍する。
一体たりとも回復を行わせないよう、俊敏に。
いざミス・トフォグに危険があれば、即座に舞い戻れる距離を保ちつつ。
万全の立ち回りで、正信は危なげなくオルガノン・セラフィムの群れを突き崩していく。
🔵🔵🔵 大成功

戦闘時は身長200㎝の恐ろし気な鉄十字怪人の姿を取ります。
MS様の格好いい演出をお願いします。
セリフ例
「ここは私に任せろ。ポチッとな」(《怪人大作戦》のスイッチを押す)
「自律浮遊砲台ゴルディオン、攻撃開始!」(アイテムです)
愛用の武器はブラスターライフル。
√能力は指定したものを何でも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。よろしく!

改造人間のカード・アクセプター×サイコメトラー、21歳の女です。
普段の口調は「凛々しい(私、君、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)、心を許したら女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」です。
√能力は指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!

■行動
演技は意味がなさそうです。そしてミス・トフォグさんが心配です。
とても疲れているみたいですし、ミネラルウォーターと携帯食を彼女に与えます。お腹が空いているみたいならどうぞ。一度に食べると咽せるので少しずつ食べてくださいね。
オルガノン・セラフィムの正体に関しては伏せておきましょう。
この事実は……彼女にはあまりにも残酷過ぎますからね。
■√能力
√能力は「新聞記者の格闘術!」を使用します。
相手の√能力「生存本能」で隠密状態になられると非常に危険なので、こちらからの攻撃は最小限でカウンター攻撃を中心に行っていきましょう。再行動も惜しみなく使い、ミス・トフォグに対して攻撃するような隙は与えません。
●
「お腹が空いているみたいならどうぞ」
疲弊するミス・トフォグに、八木橋・藍依(常在戦場カメラマン・h00541)はミネラルウォーターと携帯食を差し出した。
先刻の不愉快な演技は無意味と悟り、素直に心配しているのを表に出した藍依の態度に、ミス・トフォグは戸惑ったような表情を浮かべつつも「ありがとう」と飲水の容器に口を付けた。
「一度に食べると咽せるので少しずつ食べてくださいね」
そう言い残して、オルガノン・セラフィムの群れへと対峙しようとする藍依を、天使の女性は引き留めようとする。
「あっ。危ないわ。バケモノがすぐそこまで……」
「…………」
化物、と。
彼らの正体を知らずにトフォグがそう呼ぶのを見ると、つらいところがある。……しかし、それでいいのかもしれない。この事実は彼女にとってあまりにも残酷過ぎる。
「知ってしまう間もなく、終わらせましょう」
決意とともに拳を固める藍依。
その隣に、サポートとして駆け付けた能力者が並び立つ。
「奴隷化か、それとも死か……か」
御巫・朔夜(バレット・アクセプター・h01246)は、哀れなるオルガノン・セラフィムたちを複雑そうな眼差しで眺めていた。
自らも奴隷だった過去を持つ身としては、彼らが置かれた状況に思うところがあるが、しかし同情で手を鈍らせることはしない。
速やかに、徹底的に、脅威を排除する。
朔夜の体に染み付いた技術は、そのためにあるのだから。
――そして、サポートはもう一人。
「先陣は私に任せろ!」
ズシィン……ッ! と地を響かせて降り立ったのは、体長2mもの重装甲をまとった明星・暁子(鉄十字怪人・h00367)であった。
最前線にて鉄の城壁のごとく仁王立ちした暁子は、雄々しく宣言する。
「ゴルディオン、起動!」
使い手の思念を受信して、半自律浮遊砲台が空へと浮上した。
低い駆動音ともに砲身を巡らせて敵群を照準。各位機能に異常なし。安全装置解除。全弾発射用意……――――
『『『……うがっ!』』』
砲撃に先んじて、オルガノン・セラフィムたちが一斉に跳躍した。
√能力【生存本能】。
蚤のような挙動で一足飛びに間合いを詰めると、そびえ立つ鉄十字怪人を八つ裂きにせんと黄金の生体機械を煌めかせるが、生憎その動きは想定内だ。
「ここにカウンターです! ――【新聞記者の格闘術!】」
「合わせる。――【ブレイキング・ブースト】」
黄金の爪と黒鉄の甲冑が激突する寸前。
√能力を発動した藍依と朔夜が間に割り込んだ。
「ソードブレイザー!」
朔夜は超技術で構築された光の武装剣を出現させる。√能力でブースト加速した剣閃は目にも留まらず、残光が宙に描く軌跡が斬撃の網となって怪物たちを絡め取った。
そして、もう一方の藍依は徒手空拳。
「殴殴殴殴殴殴殴殴殴!!!」
拳打の乱れ撃ちだ。
さながら二丁のガトリング砲よろしく双肩を回転させ、藍依は敵の先制攻撃を迎え撃つ。「他の者を攻撃する暇なんて与えない」という強い意志を込めて、己の肉体が壊れるのもいとわずに吐き出し続ける拳の弾幕は、怪物の群れをみるみる押し返していった。
「よしっ。後詰めもまた、私に任せろ!」
藍依と朔夜の猛攻によってオルガノン・セラフィムは大幅に数を減らしたところで、暁子が最後の仕上げに取りかかる。
ゴルディオンが上空から、標的を再照準。暁子自身も愛用の馬鹿デカいブラスターライフルを構えて、準備万端だ。
「攻撃開始ィィ!!」
仲間が左右に避けると同時、ありったけをぶちまけた。
空間を“面”で制圧する一斉射撃は、相手が隠密状態になろうが関係ない。雨あられの銃砲は残る敵をことごとく蜂の巣にして、爆煙に散らしたのだった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴 成功

無意識に、尚且つ意図せず能力を行使続ければこうもなるだろう。
問題はアレを連中に捕らえられる前に殲滅してやらねばならぬ事だが――
向こうの連撃を封じつつ素早く『距離を取れるように』構えるべきだろう。
【極地に至る双腕】を【属性攻撃(炎)】【マヒ攻撃】【呪詛】【焼却】を絡めて焔の方で。
燃え尽きなければ震動にて阻害し、燃え尽きるまでその場に縛り付けてしまおう。
……向こうが気付かない間に向こうの状況を調べられれば御の字だが、
無理そうならばトフォグを担いで逃げる準備を整えてしまおう。
あの手練れを相手取るには少々骨が折れる――と、見た。
※アドリブ歓迎
●
「無意識に、尚且つ意図せず能力を行使続ければこうもなるだろう」
疲労困憊のミス・トフォグを肩越しに見遣って呟いた後、斯波・戒焔(極地に至る双腕・h06146)はオルガノン・セラフィムに向き直った。
問題はアレを連中に捕らえられる前に殲滅してやらねばならぬ事だが――
「素早く『距離を取れるように』構えるのが、肝要になるな」
置かれた状況と提示された目的から取るべき戦法を選択し、戒焔は己の称号と同じ名の√能力を発動する。
「――極地へ、至れ。【極地に至る双腕】!」
直後、破壊の嵐が吹き荒れた。
属性正転。灼熱の焔は半径にして18mにも広がり、怪物の群れを瞬く間に飲み込んでいく。
呪詛を込めた業火は捕らえた獲物を麻痺させ、絶え間ない激震を与え続ける。天使のなり損ないたちは四肢をもつれさせて転倒し、ハラワタを痙攣させて、一歩も進むことなく灰と化した。
「……おおよそ、倒し尽くしたか?」
先の仲間たちが善戦したおかげだろう。いまのオルガノン・セラフィムが最後だったようだ。
つまり、そろそろ次の段階に移る算段を立てる頃合いである。
戒焔は思案しながら、戦場のさらに向こう側へと意識を向けた。
「簒奪者『アマランス・フューリー』。こちらが気づかれていない間に相手のを状況を調べられれば御の字だが、さすがに難しいか」
得られる情報は限定的。
現在の状況と最終的な目標をかんがみて、ここから取るべきは……逃げの一手と見た。
「あの手練れを相手取るには少々骨が折れる」
と独り言ちながら、戒焔は逃げる準備を整えるべくミス・トフォグの傍へと駆け戻るのだった。
🔵🔵🔴 成功
第3章 集団戦 『暴走護霊『樹海を目指す群生植物』』

POW
我はいずれ生を育もう。だが今は、死こそを求めん。
【|種《己》の使徒たる無貌の鹿 】を召喚し、攻撃技「【潰されよ、そして我が|肥《糧》となれ】」か回復技「【穢れたる命よ、我と同化し清浄な森に還れ】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[|種《己》の使徒たる無貌の鹿 ]と共に消滅死亡する。
【|種《己》の使徒たる無貌の鹿 】を召喚し、攻撃技「【潰されよ、そして我が|肥《糧》となれ】」か回復技「【穢れたる命よ、我と同化し清浄な森に還れ】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[|種《己》の使徒たる無貌の鹿 ]と共に消滅死亡する。
SPD
|森《我》は繁茂するもの、先ず目指すは原野なり。
【|種《己》の使徒たる無貌の鹿 】による近接攻撃で1.5倍のダメージを与える。この攻撃が外れた場合、外れた地点から半径レベルm内は【白光植物の群生域】となり、自身以外の全員の行動成功率が半減する(これは累積しない)。
【|種《己》の使徒たる無貌の鹿 】による近接攻撃で1.5倍のダメージを与える。この攻撃が外れた場合、外れた地点から半径レベルm内は【白光植物の群生域】となり、自身以外の全員の行動成功率が半減する(これは累積しない)。
WIZ
|森《我》は侮らぬ、汝らは|森《我》の天敵なり。
「全員がシナリオで獲得した🔵」と同数の【|種《己》の使徒たる無貌の鹿 】を召喚する。[|種《己》の使徒たる無貌の鹿 ]は自身の半分のレベルを持つ。
「全員がシナリオで獲得した🔵」と同数の【|種《己》の使徒たる無貌の鹿 】を召喚する。[|種《己》の使徒たる無貌の鹿 ]は自身の半分のレベルを持つ。
√汎神解剖機関 普通11
●
この場面では、逃げるのがベスト。
オルガノン・セラフィムの群れを排除したあなた方はそう判断して、いくらか体力の回復したミス・トフォグとともに逃走を開始することになる。
それを羅紗の魔術士『アマランス・フューリー』は、生い茂った草木の向こうから察知していた。
『……チッ。こっちに来ればいいものを、狩りの邪魔だけしてすぐ逃げるとはな。やすやすと帰してやるのは業腹だが、しかしわざわざ追いかける価値があるかと言えば……む?』
つまらなそうな表情だったアマランスは、ふと何かに気づいて、両の眼を見開いた。
『まさか、そんな……あれは本物の「天使」か! そうなれば話は違う。是が非でも、我が手に収めなくては』
俄然やる気が満ち満ちて、アマランスは身にまとう羅紗を輝かせると、白魚のごとき手の平で地面に触れる。
『目覚めよ、我が奴隷怪異。ーー暴走護霊「樹海を目指す群生植物」!』
ゾワワッ!!
魔術師を中心として森がざわめき、土を持ち上げて出現したのは白く光る不思議な植物だった。
邪気を帯びた白光植物はどこからともなく『無貌の鹿』を召喚すると、主人たるアマランスの命令に従ってあなた方を追撃させる。
さあ、追いかけっこの始まりだ!
怪異植物の勢力がおよぶ範囲外まで逃げきれたら、あなた方の勝利。その前にミス・トフォグが敵方に奪われてしまったら敗北。
どちらにしても、結末にたどり着くまであと少しである。