海の上の炎
太平洋のどこかにそれはあった。元々は戦闘機械群が石油と天然ガスを掘り出すために作ったプラントだった。鋼鉄でできた基部に何本ものパイプ。時折吹き上がる炎がその場所の存在意味を示していた。そのプラントを人類が手に入れたのは数年前、海上の基地に改造されたそこはギルロウと呼ばれていた。基地の中心には社と鳥居があった、海と火の神が奉られたその社を中心に基地は成り立っていた。あるべきものへの感謝が基地運営の基本となっていた。魚や海鮮資源の養殖とその実験も行われており研究施設としての側面も持っている。目下のテーマは海産資源の安定供給と海底の研究だった。海は地球の7割を占めているのだ、人類が有効に使うことができれば戦闘機械群に対してアドバンテージを持つことができる。
そんなギルロウの通信機が救難信号を受信したのは今朝のことだった。間違いなく人類の船からのものだった。太平洋とは言え嵐が来ることもある。補給基地でもあるギルロウである、救助の準備は迅速に行われていた。
「事件を一つ予知しました。太平洋上の基地、ギルロウ付近で嵐が起き、巻き込まれた船が助けを求めています。船の持っている何かを追って戦闘機械群が近づいているようですので早急に船の救助をお願いします。船をギルロウに寄港させることができれば後はやってくる戦闘機械群を倒すだけです。こちらの撃退もお願いします」
木原・元宏(歩みを止めぬ者・h01188)は海上の基地の様子をARのスクリーンに映しながらそう言った。
「無事に船団を助けることができればギルロウで一休みすることができるはずです。みなさん、よろしくお願いします」
元宏はそう言って√能力者達を送り出した。
「これが本物のクジラから取れたものなら龍涎香ってことになるのかもしれないけどな。クジラ型の戦闘機械群から取れたとなると話は変わってくるよな」
「倒したヤツらじゃ分析できないって言うから預かったけど、嵐は来るし機関部をやられるしで疫病神みたいだ。もしかして呪われてるんじゃないのか、これ」
「よせよ、確かにうっすら光ってるけどただのカプセル型のパーツだろ?」
「でもよ。低いうなり声のような鳴き声みたいなのがする気がするんだよ。海の怒りなんじゃないか?」
マスターより

こんにちは、九野誠司(くの・せいじ)です。
√ウォーゾーンの海上基地付近に航行不能になった船が漂っています。船の救出とやってくる戦闘機械群の撃破をお願いします。
プレイングの受付は「プレイング受付中」のタグでお知らせします。みなさまらしいプレイングを是非送っていただけますと幸いです。
それではよろしくお願いします。
24
第1章 冒険 『船団を救え!』

POW
資材を運んで応急修理
SPD
乗組員を他の船へ避難させる
WIZ
航路を見直し安全な航路を見つける
√ウォーゾーン 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

(戦闘機械群が襲ってくるような物って何だろう……?)
気になるけど、何であれ早く船を助けないとね
蒼月に乗り、飛行翼で空中を移動して船の元へ
船員に挨拶して協力したい旨を伝えるよ
「戦闘機械群がこの船を襲うという情報を得て助けに来たんだ」
「まずは、船を動かせるようにしないとね」
メカニックや忘れようとする力で船を修理
ギルロウまで航行できるように最低限の処置をする
「……ところで、戦闘機械群は何かを追っているみたいなんだけど」
「何か特別なものを持っていないかな」
一応、戦闘機械群が追っている『何か』の情報も得ておきたい
知っておいた方がいざ戦闘になった時に守りやすいだろうからね
※アドリブ、連携歓迎です
太平洋は穏やかな海ということになっている。その日も太陽の下光る水面が続いていた。
愛機蒼月で空を飛び救難信号を出している船を探していたクラウス・イーザリー(希望を忘れた兵士・h05015)は雲一つない穏やかな空を満喫していた。春の陽気があたりを包んでいる。穏やかな雰囲気の中だったが、クラウスは少しだけ難しい顔をして呟いた。
「戦闘機械群が襲ってくるような物って何だろう……? 気になるけど、何であれ早く船を助けないとね」
程なくして目的の船を見つけることができた。クラウスは遊軍であることを示す信号を出すと船の甲板に着陸する。WZから飛び降りると挨拶がてら船の修理を手伝いたいと申し出る。
「戦闘機械群がこの船を襲うという情報を得て助けに来たんだ」
クラウスがそう言うとWZを固定していた船員がびっくりした顔をする。
「なんだって!? おいおい、ただの貨物船だぞ。いや、ヤツらに見つかったら襲われるだろうけどよ。わざわざ狙ってくるほどのものはないだろう?」
クラウスは思案げな顔をする。
(誰か詳しいことを知っているものはいないだろうか、いや、まずは修理しないと逃げるのも無理か)
機関室にやって来たクラウスは工具を取り出すとエンジンの修理に取りかかる。不自然に焼き切れているパーツがいくつかあった。制御プログラムに異常があったらしい。何者かの妨害だろうか。それでもやらなくちゃいけないことがある、船の修理だ。
「まずは、船を動かせるようにしないとね」
スペアのパーツが無いものは【忘れようとする力】でなんとかするが動くようになるまでにはもう少し時間がかかりそうだった。その時間を待つ間、クラウスは船内で情報を集める。
「……ところで、戦闘機械群は何かを追っているみたいなんだけど、何か特別なものを持っていないかな」
何人かに当たると訳知り風の男が顎の髭を撫でながら答えてくれた。
「特別って言ったらな。一つだけ思い当たるよ。戦闘機械群と戦った船から貰ったものがある。なんでもクジラ型の戦闘機械群を倒したらしい。その腹の中から出てきたカプセル型の機械を受け取ってね。食料を分けてやった見返りに貰ったんだけどさ、うっすら光ってて不気味なんだ。確かに価値はありそうだけど、その後で嵐には遭うはエンジンは壊れるはでさ。どこかで調べれば何か分かるかもな」
クラウスはふうむと頷いた。そのカプセルが戦闘機械群を呼び寄せている可能性は高いだろう。もしかしたら、船の不調もそのせいかもしれない。嵐はさすがに運が悪いからだろうが。
🔵🔵🔵 大成功

まぁ戦闘機械群の合理的判断を考えたら余程ヤバいものを拾ったかそれ自体が撒き餌って可能性も否めないが…
当方工兵で【運搬】と【メカニック】持ち故とりあえず船の修理をしつつその怪しい機械を解析してみるか。
多分ぜったい碌なもんじゃないが…出所がクジラ型戦闘機械群の腹から出た…カプセル型
元戦闘機械群に属してた身として解析結果と照らし合わせてみるとなんか覚えがあるんだが…とりあえず修繕しつつ避難も促しておきましょ。多分これもしかして
船にやって来た石動・悠希(ベルセルクマシンの戦線工兵・h00642)は船長に修理に来たことを申し出ると船長は快く悠希を迎えてくれた。船の修理は7割くらいは終わっているようだった。悠希は修理がてらに件のカプセル型の機械を調べていた。
「まぁ戦闘機械群の合理的判断を考えたら余程ヤバいものを拾ったかそれ自体が撒き餌って可能性も否めないが…」
案の定、それは何らかの電磁場を発生させているようだった。それは中身を守っているようにも見える。まるで卵か何かのようだ。
「多分ぜったい碌なもんじゃないが…出所がクジラ型戦闘機械群の腹から出た…カプセル型」
と、突然、カプセルが脈打つ。電磁場が強烈に変化して周囲に火花が散った。機関室から悲鳴が聞こえる。
「おい! またエンジンが止まったぞ。どう言うことだ」
「うわっ、またプラグがいかれた。さっき飛んだ火花のせいか?」
どうやらこのカプセルが悪さをしているのは明らかなようだ。悠希はカプセルの解析を急ぐ。
「元戦闘機械群に属してた身として解析結果と照らし合わせてみるとなんか覚えがあるんだが…」
そう、これは何かに似ている、生物であるならば、卵。その中には複雑な情報がいくつも収められていた。回路が明滅し、驚異的な速度で何かが組み上がっていた。それはデータだった。
「多分これもしかして」
悠希は嫌な予感がしていた。カプセルが生成しているデータは卵が保持しているものに等しい。人間の卵子なら、そこにあるのは遺伝子。それは人間の設計図とも言えるものだ。戦闘機械群にとってはまさしく設計図がそれに当たるだろう。このカプセルは卵なのだ。戦闘機械群が次の知性を得るための揺りかごなのだ。恐らくこれを手に入れられた戦闘機械群は他の戦闘機械群を凌駕する知性を手に入れられるだろう。追ってきている戦闘機械群の狙いもこのカプセルである事は間違いなさそうだった。そしてこれを敵の手に渡してはいけないことも。
「これはかなり危険なものね。簡単に壊すこともできなさそうだし、ギルロウに付いてから壊すなりどうするなりを考える方が良さそうね」
悠希は船長にそう伝えると、機関部の修理を急いだ。
🔵🔵🔵 大成功

アドリブ連携お任せします。
うーん嵐ですか、苦手ですけどもう来ないなら大丈夫かな…?
船の修理はある程度済んでるようですし、早く誘導してあげないと大変です。
クジラ型の戦闘機械群ということは…対潜哨戒かな?ソノブイをもっていきましょう。
真珠湾秘密基地から出撃して救難信号をたどって船まで近づき、ギルロウまで誘導します。
分隊はこの海域を広く哨戒して情報収集させます。
PCは船の前方を空中移動で警戒しつつ誘導
分隊は進路周辺にソノブイを投下して水中探査、海面に異常がないか目視警戒
暗くなってきたらスポットライト・マジックで海面を照らす
エルベのほとりで物を隠す微細な霧を船の周囲に発生させて視認させにくくする

救助の船に乗り航行不能になった船まで向かいましょう。
「兎も角、ギルロウまで行ければですね」
修理に関しては専門外な為、他の能力者に任せて、応急処置の動力でもギルロウまで安全に航行できる航路を探る。
航路が割り出せて動力も回復すれば暫くは出番がない、ふと戦闘機械群が追いかけて来るものが気になって聞いてみる。
「何か戦闘機械群と関係のありそうなもの積んでたりしませんかね?」
カプセル型の機械を教えられれば、その存在を見に行きます。最も機械の知識が有るわけでもないので本当に様子を見るだけです。多分他の能力者達も見に来たり調査をしてるでしょうから、その方達に状況を聞いたりします。
伏見・那奈璃(九尾狐の巫女さん霊剣士。・h01501)が船に着くと船はなんとか動くようになっていた。
「何か戦闘機械群と関係のありそうなもの積んでたりしませんかね?」
那奈璃が聞くと機関室を担当している技術者が答えてくれた。
「どうやら、戦闘機械群から奪い取ったカプセル型の機械が悪さをしてみたいです。カプセルに刺激を与えると強力な電磁場を発して周囲の機械を使えなくするみたいです」
ふむふむと那奈璃はそのカプセルを見に行く。黒いカプセルの表面は滑らかでうっすらとパルスのような光が浮かんでいる。
「先ほどまで調べてくれていた方の話によると、これは戦闘機械群の設計図を収めた卵のようなものだと言うことです。これ自体に通信機能はありませんが、電磁場のバリアが発する電波を感知して戦闘機械群がこちらに向かっているとのことです」
那奈璃は状況を把握すると艦橋に移動してここからギルロウまでの航路を割り出しにかかる。
「うーん嵐ですか、苦手ですけどもう来ないなら大丈夫かな…? 船の修理はある程度済んでるようですし、早く誘導してあげないと大変です」
その頃、真珠湾秘密基地から出撃した川西・エミリー(晴空に響き渡る歌劇・h04862)は救難信号を辿って船にたどり着いていた。船員から状況説明を受けると行動を開始する。
「クジラ型の戦闘機械群ということは…対潜哨戒かな? 分隊にこの海域を広く哨戒して情報収集させます」
そう言うとエミリーは分隊達を船の周囲に飛ばしソノブイを投下させる。今のところ戦闘機械群の気配はないようだが油断はできない。少しするとエミリーは艦橋に呼ばれた。
「この航路でいこうと思うのですが、だいじょうぶそうでしょうか?」
そこでは那奈璃と船長がギルロウまでの航路について相談していた。
「潮流を考えても問題ないでしょう。わたしが先行して誘導しますし、索敵についても手は打っていますから」
エミリーがそう言うと船長がそれで行こうと言った。
「兎も角、ギルロウまで行ければですね」
那奈璃がそう言うとエミリーも頷く。
「それではわたしも警戒のために出撃します」
「よろしくお願いしますね」
那奈璃はエミリーを送り出した。
時刻は夜になり、月明かりの下船は進んでいた。エミリーのスポットライト・マジックが海面を照らし、エルベのほとりが発生させた霧が船のまわりを柔らかく取り囲み幻想的な景色を作り出していた。注意深く周囲を警戒している事もありこのまま何事もなくギルロウまでたどり着けそうだった。エミリーは霧と光の舞台の上を舞う俳優のように空を進んでいった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第2章 日常 『信仰の拠り所』

POW
修理に必要な資材などを運ぼう
SPD
破壊された礼拝堂などを修理しよう
WIZ
修理のために図面を引いたりしよう
√ウォーゾーン 普通5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
船は無事にギルロウまでたどり着いた。ギルロウは基地中央の社を中心にした人類側の基地だ。燃料の採掘と海洋資源の研究をしている。レーダーからの情報によると敵が来るまでに数時間は余裕があるようだった。ここでしばらく休息を取ることが出来るだろう。基地の中心にある社に参拝してもいいし、基地名物の魚介類を食べてもいい。もちろんカプセル型機械を調べたり破壊を試みてもいいだろう。

「御社が有るのでしたら参拝しませんといけませんね」
時間が有ると言うなら行かなければならないと、神職としての矜持で参拝しに行く。
特に自分の働く社と言う分けではないので本当に参拝だけなのだが、それはそれで
数時間後に起こる戦いの必勝祈願をしておきましょう。後は基地の中を散策しながら修理をしてる人たちを手伝ったり食事をしたりしながら戦闘機械群がたどり着くまで過ごします。

(無事に辿り着けて良かった)
船から降りてほっと一息
敵の襲撃までは時間があるみたいだし、基地の中を見て回ろう
折角だし名物の魚介類を食べてみようかな
他の√ならともかく√ウォーゾーンで合成じゃない魚介類を食べられるの、なんだか新鮮だ
……人類が負けずに持ち堪えられているの、きっとこういうものの研究をしてくれている人達のお陰なんだよね
改めてそういうことを考えて感謝しながら、しっかりご飯を食べて休憩する
食べ終えたら自分のウォーゾーンの整備をしながら敵の襲撃を待とう
ここの研究を未来に繋げるためにも
次の戦い、負ける訳にはいかないね
※アドリブ、絡み歓迎です

続・解析のお時間です。
このカプセルの中身の設計図を解析しない事には何も始まらない…
調べたうえで転用して役に立ちそうなものであればそれはそれでいいので戦闘機械群が襲撃しに来てもこれを奪われないようにすればいいからその場合は後が簡単。
問題なのは中身の設計図が人類側にとって危険極まりないものであった場合…その場合は破壊とまではいかないにしても設計図の改竄もしくは抹消を考えた方がいいだろう。
ともするとこりゃ工兵としても元戦闘機械群在籍者としてもやるべきことをやっておかねばなるまい…最悪の場合想定したうえで対処します。

いろいろおまかせします!
資材の運搬…特に船からの積み下ろしなんかのお手伝いをします。早く終わらせて備えないといけませんね。
終わったらごはんを食べてちょっと島の散策に出かけましょう。
あとは…カプセル型の機械をつつきにいったり、出てる信号をジャミングしてみたり。
船がギルロウにたどり着いたのは太陽が南天を少し越えたあたりだった。ギルロウのドックに停泊した船は積み荷を降ろすと本格的な修理を受けていた。
(無事に辿り着けて良かった)
クラウス・イーザリー(希望を忘れた兵士・h05015)はギルロウの地面を踏みしめるとそんな感想を抱いた。海の上にあるとは言え海底から基礎が伸びているのだ。船のそれとは全然違う、揺れない地面がそこにはあった。安心とはこういうところから得られるのかもしれない。
「御社が有るのでしたら参拝しませんといけませんね」
伏見・那奈璃(九尾狐の巫女さん霊剣士。・h01501)はそう言うとギルロウ中心部にある神社へと赴いた。簡素ではあるがしっかりとした社と石でできた鳥居が那奈璃を迎えた。那奈璃が参拝を済ませると奥から宮司とおぼしき男性がやって来た。
「神職の方ですか? ここにそう言った方がいらっしゃるのは珍しい。船乗りや軍人の方がほとんどですから」
「ええ、神職の矜持として、ここに参らせていただきました」
那奈璃がそう言うと宮司は頷く。
「そうでしたか。ここには海の神と火の神が奉られています。海の平穏と、希望を照らす火を奉っています。本来ここは戦いの場というわけではありませんから。しかし、文明の光と平穏を守るためなら、力を貸してくれるでしょう」
宮司がそう言うと那奈璃はもう一度祈りを捧げる、この後起こる戦いの必勝を願って。
「これで全部ですね?」
川西・エミリー(晴空に響き渡る歌劇・h04862)が聞くと船員が答えた。
「そうだな。ありがとう。お嬢ちゃんのおかげでだいぶ楽をできたよ。食料は早めに売らなきゃならないしな。それに、天然物の魚介類が手に入ったんだ。丘のヤツらにはいい土産になるだろう。小さいけど、この船に冷凍設備があって良かったよ。俺らが生きてるのも嬢ちゃん達のおかげだ。ありがとうな」
「どういたしまして。わたしに出来ることをしたまでです。お役に立てたなら良かったです」
そう言うとエミリーは笑顔で船員達と別れた。
ギルロウの一角にある研究所で石動・悠希(ベルセルクマシンの戦線工兵・h00642)はカプセル型の機械と格闘していた。
「このカプセルの中身の設計図を解析しない事には何も始まらない…。設計図が人類に役に立つものなら転用すればいいから問題はないだろう。敵に奪われないように守りながら敵を撃退すればいいからね。問題は…」
悠希は難しい顔で解析をはじめる。
「指示通りに配線しました。プログラムの準備も出来ています」
協力してくれる研究員が言うと悠希は改めて指示を出す。
「こいつに何かしようとすると強力な電磁場が発生するんだ。それ用の実験室はあるか?」
「大丈夫です。今から使えるよう手配します」
「頼んだぞ。ともするとこりゃ工兵としても元戦闘機械群在籍者としてもやるべきことをやっておかねばなるまい…」
悠希は浮かない顔で作業を続けた。
ギルロウの端にはテラスがある。そこはレストランになっていて住民とやって来た船員達が羽休めする場所だった。船の船員達は合成アルコールのカクテルやビールを飲み、あまり食べることが出来ない天然物の魚のフライをおいしそうに食べていた。クラウスは海が見える特等席に案内されていた。
「折角だし名物の魚介類を食べてみようかな。他の√ならともかく√ウォーゾーンで合成じゃない魚介類を食べられるの、なんだか新鮮だ」
「そうですね。普段わたし達が食べているのは命を繋ぐための栄養という側面が大きいですからね。本当なら、食事も歌や踊りと同じように人を笑顔にするものですのにね」
やって来たエミリーがそう言う。√ウォーゾーンは厳しい世界だ。笑顔を失ってでも必死で生きている人達がいる。それでも、だからこそ、人に笑顔を届けられるようになりたい。エミリーはそう思っていた。
「ご一緒してもよろしいですか?」
那奈璃がそこにやって来た。
「ここの神社に行ってきました。祈りとは心を安らげるため。そして、未来を願うことなのかもしれませんね」
しばらくして料理が出てきた。白身魚のフライ、ポキ、カルパッチョ、メカジキのソテー……。南洋らしい豪快な料理が並ぶ。
「なんでもあそこの船を助けてくれた人達なんだってね。今日はうちのおごりだよ。楽しんでってね」
ウェイトレスが笑顔でそう言った。
「あるがとうございます」
エミリーも笑顔で返す。味はもちろん、養殖とは言え天然物の食材だ、抜群においしかった。生きている実感みたいなものがほんのりと感じられるような気がした。
「おいしいですね」
那奈璃がそう言うとクラウスも頷く。
「……人類が負けずに持ち堪えられているの、きっとこういうものの研究をしてくれている人達のお陰なんだよね。ここの研究を未来に繋げるためにも、次の戦い、負ける訳にはいかないね」
クラウスはそう言うと食べ物とそれを作ってくれる人達に感謝しながら残りをおいしく食べた。
解析の結果が出た。それはあまりよいとは言えない結果だった。
「中身の設計図が人類側にとって危険極まりないものであった場合…その場合は破壊とまではいかないにしても設計図の改竄もしくは抹消を考えた方がいいだろう」
事前にそう言っていた悠希も少し動揺しそうになるくらいだった。カプセルの設計図は、強力な自己進化システムだ。これを手に入れた戦闘機械群は次代に大きな進化を約束される。戦闘機械群の代替わりは早いだろう。手に入れた瞬間から生産される戦闘機械群にこのシステムが搭載されればその戦闘機械群は飛躍的な進歩を遂げるだろう。戦闘機械群による戦闘機械群の技術的特異点が生まれることになる。そうなればその戦闘機械群が覇権を握ることになるだろう。そして人類は大きく後れを取るに違いない。もちろん、機械であるが故に人間には適用できないし、人類側のコンピューターに組み込んだところで第二の『戦闘機械群』にならないとは言い切れない。人類にとっては猛毒にしかならないものだった。
「危険すぎる。これはカプセルごと抹消するしかないか」
悠希がそう言うとその場に居合わせたエミリーが言う。
「人を笑顔にさせるような進化ならいいのですけどね」
「残念だけど、最悪の場合を想定したうえで対処したほうがいいだろう」
悠希が悩んだ顔で言うとエミリーも頷いた。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第3章 ボス戦 『Great-Invasion『ORCA』』

POW
主砲『インビジブル集束砲』
【母なる意思 】から承認が下りた場合のみ、現場に【インビジブル集束砲】が輸送される。発動には複数の√能力者が必要となる代わり、直線上の全員に「発動人数×2倍(最大18倍)」のダメージを与える。
【母なる意思 】から承認が下りた場合のみ、現場に【インビジブル集束砲】が輸送される。発動には複数の√能力者が必要となる代わり、直線上の全員に「発動人数×2倍(最大18倍)」のダメージを与える。
SPD
全門斉射
指定地点から半径レベルm内を、威力100分の1の【主砲を除く全砲門からの一斉射撃 】で300回攻撃する。
指定地点から半径レベルm内を、威力100分の1の【主砲を除く全砲門からの一斉射撃 】で300回攻撃する。
WIZ
インビジブルビット起動
【主砲のエネルギーとなるクラゲ状のビット 】を召喚し、攻撃技「【分子結合阻害弾】」か回復技「【装甲修復】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[主砲のエネルギーとなるクラゲ状のビット ]と共に消滅死亡する。
【主砲のエネルギーとなるクラゲ状のビット 】を召喚し、攻撃技「【分子結合阻害弾】」か回復技「【装甲修復】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[主砲のエネルギーとなるクラゲ状のビット ]と共に消滅死亡する。
√ウォーゾーン 普通11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
数時間後、カプセルの電磁場を検知してやって来たのは『Great-Invasion『ORCA』』だった。クジラではなくシャチだった。恐らくクジラ型の戦闘機械群と同族と思われるORCAは件のカプセルを得て次なる段階に進化しようとする戦闘機械群から送り込まれたようだった。ORCAを倒すことが出来ればカプセルをもっと研究する時間も、破壊する時間も確保することは出来るだろう。

九野誠司マスターにおまかせします。かっこいい継萩・サルトゥーラをお願いします!
アドリブ歓迎。
「やったろうじゃないの!」
「まぁ焦んなや、楽しいのはこれからだ」
√能力は指定した物をどれでも使用ます。
戦うことが好きで好きで楽しく、戦闘知識や勘を活かしてハデに行動します。
楽しいからこそ冷静でいられる面もあります。
多少の怪我は気にせず積極的に行動しますがヤバいときは流石に自重します。
仲間との連携も行えます。
軽口を叩いたりやんわりと皮肉を言ったりしますが、他の√能力者に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!

(でかいな……)
母艦みたいなものなんだろうか
あんなのがこれ以上進化するのは絶対に避けたいね
蒼月に乗り、飛行翼で空を飛んで戦闘
空中ダッシュで素早く飛び回って敵からの攻撃を避けながら、グレネードやミサイル、プリズムランチャーで攻撃していく
インビジブル収束砲は自分が対象なら避けても被害が出ない方向に引きつけて、発射直前に見切り+空中ダッシュで回避
基地を攻撃するつもりなら限界突破を使って主砲に全力で攻撃し、発射前の破壊或いは機能不全を狙う
こんな感じの襲撃が続いてしまうのなら、カプセルは破壊してしまう方がいいのかもしれない
人類側が上手く活用できそうなら、その限りじゃないけど
※アドリブ、連携歓迎です

アドリブ連携歓迎
海上戦と聞けば、艦船ベースの少女人形としては聞き逃せないね!
遅くなったけど、真珠湾秘密基地から増援に来たよ!
海上スケーターシューズで海上を滑るように駆け抜けるよ!
√能力を発動。麾下の少女人形と輪形陣!
「全艦、|全兵装使用自由《オールウェポンズフリー》! 攻撃開始!」
砲撃を開始してもらうよ
敵がクラゲ状のビットを飛ばしてきたら、こちらは戦闘機型レギオンを出撃させ、迎撃。
余裕があれば、偵察・爆撃機型レギオンで爆撃しちゃうよ。
「今だ! 囲んで仕留めちゃって!」
敵の動きが鈍ったら、鶴翼陣に変更。敵を包囲しつつ一斉に魚雷を発射。ヨーキィちゃんも各種レギオンで一斉攻撃するよ

最悪の場合を想定してもらったからあれさえ倒せばまだ何とかできる時間は確保できる。
だから皆には時間を稼いでもらう。
ぶっちゃけ解析したうえで破壊するしかないが普通に破壊しても残骸からデータを得られかねないからね…だから皆が戦ってもらってる間こっちはもうカプセルの方をどうにかして安全な形で敵の手に渡っても無害な形…出来れば損害を与えれる程度に改竄しておきたい。
だからこそ√能力を今までは解析するのに使ってたのを製造する方向で用います。
その上で【メカニック】【武器改造】【防具改造】あとあんまり意味ないけど【肉体改造】と【医術】も併用して作り変えるないしカプセルを消費する何かを作るしかあるまい

アドリブ連携他お任せします。
ヨーキィちゃんがいれば連携します。
シャチ型だったんだ…今回はこれだけかもしれないけどまだ本隊がいるってことだよね。
あとでカプセルも壊さないといけないし…
上側の装甲は厚そう。ところどころ追加装甲がなさそうな場所があるみたい?
下側は副砲がいっぱいついてるからこれを壊しながら無力化かな…?
さあ行きましょう、フィナーレはもうすぐです!
行動
ヒレの部位破壊で機動力を奪う
装甲の薄そうな場所を情報収集
副砲にレーザー射撃
相手のビットが起動したら弾幕で迎撃
オルタネート発動からの残像を残しながら空中移動、接近して零距離射撃で貫通攻撃を狙う
爆弾を主砲チャージ中の口の中に放り込んで爆破

「やって来ましたね、ギルロウの人達にとっては迷惑な話です。速やかにお引き取り願いましょう。」
と言ってみた物の、海から迫る海洋生物型の物を相手にするには、遠隔攻撃で攻撃するしか手段がない那奈璃としては。援護に徹するほかない。
「牽制は任されますので、申し訳ないのですが後はお任せしますね。」
「霊能波」を使い他の√能力者を攻撃しようとするORCAの出鼻を挫く様に攻撃を加えていく。
「さぁ、好き勝手はさせませんよ。」
ORCAを無事倒すことが出来れば、例のカプセルのについてどうするのか聞いてみましょう
「このままだとまた次の戦闘機械群がやってくるかもしれません、何らかの対処は必要と思いますが。」
空を飛ぶシャチがギルロウを目指していた頃。また別の方角からギルロウに向かう者がいた。ヨーキィ・バージニア(ワルツを踊るマチルダ・h01869)は真珠湾秘密基地を出航し、増援としてギルロウに向かっていた。
「海上戦と聞けば、艦船ベースの少女人形としては聞き逃せないね!」
ヨーキィは意気込むと速度を上げてギルロウに向かう。波しぶきが白く跳ね、長いウェーキが船の後に続いた。
「最悪の場合を想定してもらったからあれさえ倒せばまだ何とかできる時間は確保できる。だから皆には時間を稼いでもらう」
石動・悠希(ベルセルクマシンの戦線工兵・h00642)はカプセルを見つめながら難しい顔をしていた。
「ぶっちゃけ解析したうえで破壊するしかないが普通に破壊しても残骸からデータを得られかねないからね…だから皆が戦ってもらってる間こっちはもうカプセルの方をどうにかして安全な形で敵の手に渡っても無害な形…出来れば損害を与えれる程度に改竄しておきたい」
カプセルは進化の鍵とも言うべき恐るべきものだった。戦闘機械群に渡すわけには絶対にいかない。もう一つの戦いがギルロウの研究施設で始まろうとしていた。
「やって来ましたね、ギルロウの人達にとっては迷惑な話です。速やかにお引き取り願いましょう」
伏見・那奈璃(九尾狐の巫女さん霊剣士。・h01501)はギルロウに配備された対空砲の上からORCAを見て言う。空を飛ぶシャチ型の母艦、大型空母よりも一回り大きいくらいのそれが悠然と空を泳いでいた。刀を使う那奈璃がORCAを攻撃するには数少ない遠隔攻撃を使うしかない。攻撃は他の者に任せて、援護に徹することにする。
「牽制は任されますので、申し訳ないのですが後はお任せしますね」
「何言ってんだ? 弾はしこたまあるんだ。あのデカブツを蜂の巣にしてやりゃいいんだ!」
テンション高く継萩・サルトゥーラ(百屍夜行・h01201)が叫ぶ。戦いに魅入られたサルトゥーラは巨大母艦との戦いにアドレナリンを放出させていた。戦闘用ドラッグの効果もあり、さながらバーサーカーと言った風情だった。両手に持ったガトリングガンのずっしりとした重さを感じながらサルトゥーラは開戦の時を待つ。
「シャチ型だったんだ…今回はこれだけかもしれないけどまだ本隊がいるってことだよね。あとでカプセルも壊さないといけないし…」
川西・エミリー(晴空に響き渡る歌劇・h04862)はそう言うとギルロウから飛び立つ。カプセルのことは悠希に託しつつヨーキィと合流するべくエンジンを吹かす。プロペラが風を切り、雲が後ろに流れていった。
(でかいな……。母艦みたいなものなんだろうか。あんなのがこれ以上進化するのは絶対に避けたいね)
クラウス・イーザリー(希望を忘れた兵士・h05015)は愛機、蒼月に乗り上空からORCAを迎撃する。その威容は蒼月に比べれば小さな島くらいに思えた。並んだ砲塔がこちらを威嚇するように向きを変え、低い声でORCAが鳴く。
戦端を開いたのはヨーキィとエミリーだった。海上スケーターシューズで海上を滑るように駆けるヨーキィと空を駆けるエミリーが上下から挟み撃ちにする。
「上側の装甲は厚そう。ところどころ追加装甲がなさそうな場所があるみたい? 下側は副砲がいっぱいついてるからこれを壊しながら無力化かな…?」
エミリーが分析した結果を伝えるとヨーキィが頷く。
「わかったよ。全艦、全兵装使用自由! 攻撃開始!」
少女人形達を展開させるとORCA下部の砲塔へ射撃を始める。
「さあ行きましょう、フィナーレはもうすぐです!」
エミリーは陽動で上空へと滑り出るとORCAの装甲の薄そうな場所を探しはじめる。エミリーの上からまばゆい光が降り注ぐとエミリーを照らした。月の下でエミリーは舞台俳優のようにきらびやかに輝く。ORCAは口の手法を撃つがエミリーはひらりと舞うようにそれを躱した。
前線を支えたのものはもう一人いた。空中を風のように舞いながらミサイルを撃ち続けるクラウスだった。ORCAからの砲撃を急加速で避け、確実にミサイルを当てていく。ORCAはじれるように距離を取った。
「おいおい、ORCAの名前が泣くぜ! ガンガンかかって来いよ。ずいぶん活きが悪いじゃねえか!」
サルトゥーラがそう挑発するとORCAが砲門をサルトゥーラに向ける。弾丸の雨が降り注ぐがサルトゥーラはどこ吹く風だ。肩や腕に被弾するのもかまわずにガトリング砲を打ち続ける。命中した弾丸の発する酸がORCAの砲塔と装甲を弱らせていった。
「だいたいわかってきたがもう一息か。自己進化、つまり、進化が進化を呼び人には及びもつかない次元にまで知性を高められるという事だ。指数関数的に進化が進む。ならその底を小さくしてやればいい。そうすれば使ったものを退化させることができる。問題はそのための関数の組み込みか。もう少し時間が欲しいな」
悠希は唸りながらも作業に取りかかる。進化カプセルを退化カプセルにした後に破壊すれば万一戦闘機械群が残骸からサルベージ下としても毒薬として機能するだろう。
「いけません!」
那奈璃の声が響く。ORCAの砲門がギルロウを向いている。折るかが一声鳴くとギルロウに向かって一斉射撃が飛んだ。
「舐めんな!」
サルトゥーラが前に出てガトリング砲で威嚇すると砲撃はサルトゥーラの方に向かう。クラウスの蒼月もギルロウを背にするとORCAの主砲に狙いを定める。ギルロウに砲撃が届く寸前、那奈璃の霊能波がORCAの下部砲塔を内側から壊す。サルトゥーラの強酸でボロボロになっていた砲塔はボロボロと破片となって海に消えていった。
「さぁ、好き勝手はさせませんよ」
那奈璃はそう言うとORCAに向かって追撃の一撃を放つ。残る主砲がギルロウを狙うが蒼白に染まった蒼月が一気に近づくと主砲にグレネードを投げ込んだ
「させないよ」
主砲の発射と同時にグレネードが爆発しORCAの口付近を吹き飛ばす。
「今だ! 囲んで仕留めちゃって!」
ヨーキィが指示を出すと鶴翼陣をしいた少女人形達が一斉に魚雷を撃ち出す。そのさなか、急降下したエミリーが残像を残しながらORCA前面に接近すると零距離から銃弾を見舞う。前面の装甲が剥がれ内部がむき出しになったORCAにエミリーが爆弾を投げ込むとORCAは内側から弾けるように爆発して海に消えていった。
「こんな感じの襲撃が続いてしまうのなら、カプセルは破壊してしまう方がいいのかもしれない。人類側が上手く活用できそうなら、その限りじゃないけど」
クラウスが懸念を口にすると那奈璃も続く。
「このままだとまた次の戦闘機械群がやってくるかもしれません、何らかの対処は必要と思いますが」
研究施設で作業をしていた悠希が疲れた声でそれに応えた。
「インバースプログラムを組み込んだ後で入念に破壊したよ。これでサルベージされても自己退化プログラムとしてしか機能しない。ひとまずは安心ってところだ。時間を稼いでくれて助かった。自分はもう休むよ」
カプセルだったものは海に流されその後のことは知られてはいない。だが、超進化した戦闘機械群が現れた報告がないところを見ると悠希の仕事はうまくいったのだろう。海の上の炎はまだ人々の希望として太平洋の上に浮かんでいるそうだ。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功