シナリオ

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妖怪たちの集う刻

#√妖怪百鬼夜行 #プレイング募集は「4月17日20:00まで」の予定です

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 #√妖怪百鬼夜行
 #プレイング募集は「4月17日20:00まで」の予定です

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●化け狸の奮戦
 大柄な狸が、街で暴れている。
 しかしその無法も、今この時だけは、人々にとって救いと言えた。
 何せ街は、現在、魔都と化している。原因は、ヘビの大群の襲来にある。
 もちろん、ただのヘビなどではない。妖怪全ての敵、強大なる邪妖。その分け身だ。
「マガツヘビの掟。わしの目が黒いうちに従う日が来ようとは」
 小さなヘビを徳利で叩き落としながら、ぼやく大狸。奇しくもその一撃で、襲われようとしていた人間の|つがい《カップル》の命を救いながら。
「フン、人間などどうでもよいが、ヘビ風情にでかい顔などさせんわい。のう皆の衆」
「もちろんだぽこ!」
 配下の化け狸達を呼び寄せながら、ふんぞり返る大狸であった。

●星詠みの導き
 狐堂・カイナ(古書店主代理狐・h02271)は、集まった√能力者達に、『√妖怪百鬼夜行』の異変を語り始めた。
「かの世界にはわしら妖全てに通じる掟があっての。それすなわち『マガツヘビの掟』」
 『全てのあやかしよ、マガツヘビを討ち滅ぼすべし』。
 それは、カイナ達、人とかかわる妖怪のみならず、邪悪なる古妖も例外ではない。
「そして今、その忌まわしきマガツヘビめが蘇りおったのじゃ」
 これは、√妖怪百鬼夜行の危機を意味する。
 そして掟は、その効力を発揮した。カイナ達と敵対するはずの邪悪な古妖達が、一丸となってマガツヘビと戦う事を提案してきたのだ。
「一時休戦、というわけじゃな。それほどまでにマガツヘビは強大で恐ろしい存在じゃと、そういうことなのじゃ」

 今回、マガツヘビが襲来したのは、東北のとある街。
 マガツヘビの肉体から剥がれ落ちた鱗や肉片、その一つ一つが、小型マガツヘビへと変じ、街を破壊しているという。
「小さき分け身でさえも、本体同様の能力を扱う強力な敵じゃ。じゃが案ずるでない、既に古妖が先に相手をしてくれておる」
 この街で、小型マガツヘビを一手に引き受けているのは、『隠神刑部』。化け狸の大将格で、強力な神通力と化け術を駆使する古妖だ。
「敵に回せば厄介な狸じゃが、味方となれば心強い。共に、街に跋扈する小型マガツヘビどもを蹴散らすのじゃ」
 狐な人妖のカイナが、少しばかり複雑な表情で告げた。
 ただし、小型、とはいえ、マガツヘビが強力な存在である事に変わりはない。この群れの戦力も、隠神刑部と同等と考えてよい。

「小型マガツヘビの群れを退治すれば、じきにマガツヘビ本体が姿を現すじゃろう」
 マガツヘビ自体も√能力者ではあるものの、短期間で繰り返し何度も倒されれば、その蘇りの力も失われよう、とカイナは言った。

「皆も先の予兆で知っておることと思うが、マガツヘビは、いささか頭の回転は鈍いようじゃ。だからとて……否、だからこそ、強大な力を奮わせれば何をしでかすかわかったものではない。疾く討伐してほしいのじゃ」
 そしてカイナは導く。忌まわしき大邪妖の待つ地へと……。
これまでのお話

第3章 日常 『妖怪大宴怪!』


POW 大いに盛り上がる
SPD 楽しみを見つけていく
WIZ 穏やかに楽しむ
√妖怪百鬼夜行 普通5 🔵​🔵​🔵​

 巨躯が、地に伏せる。
 マガツヘビの躰が、崩壊していく。√能力の集中砲火を浴びて、限界を超過したのだ。
 しかし、霧散したはずの妖気が、再び結集を始めた。
『……これで終わりと思ったか? 思ったよなあ!?』
 マガツヘビの骸が再生を始めるのを睨み、ぎり、と隠神刑部が歯を軋らせる。
「これこそがマガツヘビ最大の厄介。たとえ滅したとしても即座に再生してくるのだ」
 さすがに、隠神刑部の消耗は大きいようだ。続けて死闘を演じる余力は、ない。
 それでも、隠神刑部は印を結ぶと、歪な社……『奇妙建築』をくみ上げ、マガツヘビの骸を閉じ込めていく。
『何するつもりだ糞が! この程度で俺が……』
「宴だ」
 隠神刑部が言った。マガツヘビではなく、傍らの√能力者達に。
「魂封じの宴。その儀式によりこやつを封じ、復活を先送りする。今はそれしかあるまい」
 儀式の方法、隠神刑部の語ったそれは。
 街の景色が、書き換わる。戻る活気、しかし、そこにいるのは人間にあらず。
 妖怪だ。
 隠神刑部の配下の化け狸を始め、様々な妖怪が、屋台を並べて大騒ぎ。食べ物、玩具に遊戯まで。
 作る妖怪、喰う妖怪。飲めや歌えや、突如始まる祭の景色。
「この妖怪の宴が生み出す妖力を用いて、わしが楔となり、マガツヘビを一時封じる。なに、この体など、わしの肉片の1つに過ぎぬ。安いモノよ」
 それならば……妖怪とともに宴を楽しみ、封じの儀式としようではないか。
ユーフェミア・フォトンレイ
穏やかに楽しみます。大食いなので宴で基本的にずっと美味しいものをもくもくといっぱい食べちゃいましょう。甘いものが好きですがなんでもおいしくたべますね。お酒もいけるほう(ドラゴンなので)ですが酔っ払ったりするまでは飲まないようです。あと強いて言えば賑やかなのが好きなので、宴の中でもそういうところの近くにいるかもしれません。

 突如開催された、妖怪達の祭と宴。
 ユーフェミア・フォトンレイ(|光の龍《ティパク・アマル》・h06411)は、化け狸や、それらと縁のあるであろう妖怪達で賑わう祭の場を、ゆるりと歩いていた。
 何処からともなく聞こえてくる、軽妙な祭囃子。隠神刑部が求めているのならば、ユーフェミアも、穏やかに楽しむことに異存はない。
「おおい、こっちで一緒に騒ごうではないか!」
 年かさの化け狸達の宴が、ユーフェミアを誘った。今日この時ばかりは、敵も味方も、主義主張も関係ない。
 既にあちこちから食べ物や飲み物を集めてきているようで、完全に宴会の様相。
 縁日的な食べ物から、居酒屋や食堂で供されるようなものまで。つまり、なんでもあり、ということだ。
「さあどんどん喰え喰え!」
「騒げ騒げ!」
 れっきとした宴の一員として、ユーフェミアをもてなす化け狸達。
「それじゃあ、お言葉に甘えて」
「さあて、どれほど食べられるもの……か……な……」
 試すようににやにやしていた狸の顔から、徐々に血の気が引いていく。ユーフェミアの予想外の食べっぷりを目の当たりにして。
 どうやら、外見から推し量ったユーフェミアの食欲を、大いに侮っていたようだ。
「さては、わしらをたばかっていたな」
「龍は恐ろしいものぽこ。くわばらくわばら」
 もくもく。
 甘いものをメインに、好き嫌いなく何でも食していくユーフェミア。この場の誰より食事を楽しんでいるようだ。
「さて、こちらもいけるクチかね」
 化け狸の中でも年かさの一体が、徳利を掲げてみせた。
「少しなら」
「……本当に少しかね?」
 狸、苦笑。
 いける方だとは思う。ドラゴンなので。もっとも|大酒呑み《うわばみ》というのとは違うので、たしなむ程度だ。……これは謙遜ではない。
 やがてユーフェミアの頬が桜色に染まる頃、何やら、歓声が上がる。
 ユーフェミアがそちらに目を向ければ、狸が、何か芸を披露しているようだ。
 何せ古妖の端くれ。皿回しのような伝統芸?かと思いきや……。
「イリュージョン?」
 スマートなマジックショーだった。
「ご笑覧あれぽこ~」
 仲間の化け狸を消したり突然呼び出したり。
 落ち着いて考えるとそれくらい出来て当然のような気がしたが、演出が意外と巧みで今風なので、なんだかすごいように見えてしまう。
 そんなこんなで、賑やかさを堪能し、楽しむユーフェミアからも溢れた力が、隠神刑部の元へと届くのだった。
🔵​🔵​🔵​ 大成功