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#√汎神解剖機関 #ノベル #このノベルはフィクションです。 #実在の人物・団体とは一部関係ありません

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【このノベルはフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません】
 これは、USBメモリに格納されていた、とあるテレビ番組の事前インタビューの書き起こしである。

ー今日はよろしくお願いします。
 あ、よろしくお願いします。
ーなんでも、奇妙な経験をしたとのことですが……。
 そうですね。あれはいつだったかな、昼食に出たんですよ、行きつけの定食屋なんですけど。その日はなんだかいつもよりも混んでて……。珍しく相席って言われたんですよ。で、その人が、もう昼間っから酔っ払ってるんですよ。
「おおい店員よ、レモンサワーもう1杯頼むよ」
「もう、飲み過ぎじゃない? はいはい、もう一杯ね?」
 僕はその人見たことなかったんですけど、黒髪ロングの店員さんは知ってるみたいでしたね。親しげに話してたと思います。
ーその人の見た目はわかります? 再現Vに使えればと……。
 すみません、なぜか思い出せないんですよね。すみません。
ーいえいえ、店員さんは覚えてたので。大丈夫ですよ。
 相談ですよね、なぜか覚えていなくて……。ごめんなさい、話戻しますね。
 で、その男がすごく話しかけてくるんですよ。相席でそんなんあんまり無いでしょ? しかもピークの昼時ですよ? 食べて帰るぐらいだと思うじゃ無いですか。で、適当に相槌打ってたんですけどね?
「おお君ぃ、これは知人の話なんだがね?」
 そう言ってくるんですよ。まぁ、無視してもよかったんですけど、相槌打って聞いちゃってたのもあるし、なんでか聞いてみようかな、って思ったんですよね。
ーなるほど、その話を聞かせていただいても?
 そうですね。少し思い出しますね……。
「その知人…… 名前を、そうだなぁ、和田、としておこうか。その和田君には兄弟……ちょうど兄と弟が一人ずついたそうだ」
ー和田君、ですか。
 そうですね、確か。っていうかここ関係あります? 話続けますね。
「和田君の兄貴は大変優秀でねぇ。スポーツ万能で学問もできる、いわゆる才子でいうやつでね? 国立の医学部にもストレートでいけるぐらいだったのさ。対して弟はねぇ、少々体が弱くてね。病に伏せていたんだ。病院から出ることができない日々が続いてね。兄貴が高校に上がる頃には弟は意識不明…… 俗にいう植物状態ってやつだ」
 私も、こんな話が来ると思ってなくて、ふんふん、と相槌を打つしかできなくてですね……。
「この兄貴、すごい出来たやつでな。弟のために臨床工学技士になるんだ。わかるかね? 病院の機械技師みたいなもんだ。それで、弟の生命維持装置の管理など、甲斐甲斐しく弟の世話をしたんだってさ。健気だねぇ」
ーふむ、お話続けていただいても?
「それでな、その弟が一度、目が覚めたらしんだ。でも、寝たきりで、体も動かない。眼球しか動かない。心臓と眼球しか動いてない状況さ。意思疎通もこのままじゃできないんだ。それで兄貴は考えた、視線入力装置で意思疎通ができるんじゃないか、とね」
「耳自体は生きてるから、兄貴は聞いてみたんだ。『わかるか? 兄貴だ』と。そうするとな、その目の前の機械が動き出すのさ。よかった、成功だ。これで意思疎通ができるぞ、と。それで、その画面を見たのさ。そこにあったのは……」
ーあったのは……?
「『どうして? どうして僕だけ? 兄さん、なんで僕なの? なんで兄さんじゃないの? 妬ましい、妬ましい、妬ましい……!』
その後にも、いろいろ出てきたらしいんだけどな。正直ここで話すのも憚れるような内容だったらしい。わたくしもその兄貴に聞いてみたんだが、もう覚えていないらしいんだ。次に記憶を戻したのは、生命維持装置の前に立って、電源のボタンに指をかけていた時らしい。その時、ピー、という音が響いていたんだと」
ーふむ、普通に気分が悪い系のお話ですね。これが、今回お話しいただける話ですか?
 いえ……。で、私もその話聞いてて、ふと時計を見たらちょうど昼休みの時間終わりそうな時間で。出ようとしたら何か違和感があるんですよ。何か、すごい静かで。ふと見渡すと誰もいないんですよ。目の前にいたはずの男もいなくなってて。さっきまでうるさいぐらい賑やかだったんですよ? で、少し怖くなって店員さんを呼んだんですよ。さっきの長髪の店員さんです。
「お会計お願いします。……ところで、あの男は?」
「……なんのことです?」
 その店員さんの赤い目を見ても、嘘ついている感じもなくて。本当に、知らないって顔してるんですよ。
「ほら、さっき仲良くお話しされてた、レモンサワーを頼んでた……」
「こんな昼間っから飲む人います? それに私ここでバイトしてまだ数日なので、仲の良い人も何もないんですよね」
 確かに、その店員さんはあまり見たことない人だな、ってのはあったんですよ。だからこそ外見も覚えてたのかな。覚えてないんですけど。
 夢でも見てたのかな、無意識に寝ちゃったのかな、とかも考えたんですけど、時計もいつも通りで。確かに僕もカツ丼食べ終わってるので寝てるはずがないんですよ。それで、ふと自分たちが食べてたテーブルを見てみるとですね? 確かにお代がテーブルに置いてあったんですよ……。
ーふむ、ありがとうございました。ところで、再現Vの為に、可能な限りで結構なので、出てくる人物の外見に関して伺ってもよろしいでしょうか。その話をしていた男については覚えてないですか?
 は、はい。すみません、本当に覚えてないですね……。高笑いしていることはよく覚えてるんですが、顔や姿に関しては思い出そうとしてもなんだか靄がかかったようになって……。
ーすみません、わかりました。他の人の姿について聞いても良いですか?
 わかりました……。話に出てくる和田に関してはわからないので、店員さんしかいないんですが。確か、黒髪のロングヘアーに、赤い瞳、女性で、胸が大きかった気がします。いや、そんな胸は見てないのでわからないですが……。そういえば、ジャージだったかもしれないです、珍しいな、とは思ったんですよ……。
ーありがとうございます。ところで、その人って、こんな人ではなかったですか……?

 この音声データは、とあるレンタルルームの室内に残されていたUSBメモリに残されていたものである。しかし、そのような番組企画があるか各テレビ局に確認したところ、そのような企画は確認されなかった。

 このインタビューをしたと思われる人物、およびインタビューをされた男性は、今もなお行方不明である。

【このノベルはフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません】
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