シナリオ

#√EDEN #ノベル

タグの編集

作者のみ追加・削除できます(🔒️公式タグは不可)。

 #√EDEN
 #ノベル

※あなたはタグを編集できません。


 どこか不思議なお客さんだな。店員の僕はそう思いながら眺めていた。どこかアルコールがかおる女性へ視線を思わず向ける。
 ――そうして、如月・縁は大きな花束を買っていた。
「誰かにプレゼントですか?」
 そう尋ねられると、彼女は自分が住んでいるバーでお花見をするのだという。花見というと外に出てやりそうなことだけど、バーってそういうのなのかな。僕はまだ成人したてのアルバイト、全然そういうのはわからないから。そう伝えると、呑みに来てみる? と穏やかに微笑んでもらえた。綺麗な笑顔、だと思った。美人さんだなぁ、バー通いなのか、バーで働いているのかはとうとう聞けなかったけど、ともあれそういうオトナな店でも華となる女性に違いない。
「それにしても……これだと、ちょっと大きくて運ぶのが大変かもしれません」
「あら? 往復すれば大丈夫かと思って……」
 それだと大変ですから、僕が手伝いますよ、そう言うと、その女は目をぱちぱちさせて、いいの? と聞いてくる。もちろんです、運ぶのも含めてバイトですし、というとありがとう、とまた微笑んでくれて。ちょっと小躍りしたい気分で、僕は荷物の準備をした。

 ●
 そうしてバーの前にたどり着いた。道すがら、いろんな酒場を転々としているということを聞いた。今回お花見するバーは、お気に入りの場所らしい。きっと店員さんも喜んでくれますよ、そうだといいのだけれど、そんなやりとりが続く。
「――あ、ここですか」
 ついたバーはなんてことのないお店。でも僕が入るにはちょっと勇気があるかも。個人経営って感じのお店だ。
「ありがとう、おかげで皆が楽しめると思うわ」
 それほどでも、といいかけて、お店自慢の花なんだから、ええ、楽しんでくれると幸いです、とお店の人モード。彼女は目を細めて、それから一輪の薔薇を僕の胸ポケットにそっと差し込んできた。
「これはお礼。花屋さんにあげるのもなんだけれども――気持ちだけは贈らせて頂戴ね」
 そう言われて僕はドキドキしてしまった、素敵なことをしてくれる! 女神様のようだと思った、華がある人、って、本当にこんな人なんだろうなあって。
 帰り道、彼女が無事に花見を済ませられるか考える。きっと失敗することはないだろう。良い酒の席になって、皆が皆楽しく過ごすに違いない。いいな、僕もバイトが終わったら、あのバーにフラッと寄ってみようか。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

挿絵申請あり!

挿絵申請がありました! 承認/却下を選んでください。

挿絵イラスト