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 ビルの谷間に身を躍らせれば、ネオンの輝く街の夜景はあっという間に視界から消え失せる。壁を蹴りつけて勢いを殺し、着地した谷底には、薄汚れた路地裏の光景が広がっていた。
 星と表通りの灯が僅かに届く、雑然としたその場所に、マスクで顔を隠した男の着地音が響く。それに対して振り向いたのは、一団の先客達。√EDENには不似合いな、揃いのスーツに身を包んだ彼等は、他所からの訪問者――簒奪者と呼ばれる者達だろう。
 突然の闖入者に、簒奪者達は速やかに銃を向ける。引き金が引かれるまではほんの一瞬。だがその間に、マスクの男の姿は照準された場所からかき消えていた。
 上だ、と彼等の内の一人が言うのと同時に、跳躍していたマスクの男が敵の一人を叩き伏せる。狭い路地裏を縦横無尽に駆ける彼の姿を、簒奪者達は捉え切れぬまま。ようやく捕まえたと思ったその影は、しかしせせら笑うかのように消えてしまう。
 ――分身の類か、そう悟った彼等の視界の端で、ネオンブルーの光が伸びる。
 マスクの男が手にしたそれは、ただのダイス型のキーホルダーにしか見えない。しかしそれが素早く振るわれ、青い輝きが十字を描くと、それに薙ぎ払われた一団が次々と倒れていった。

 彼等の間に流れた電圧の程を思わせる、バチバチと爆ぜる火花。その残滓が照らす、敵陣を切り拓くように生じた道筋を、マスクの男が睨めつける。
 その視界の先には、この一団の首魁と思しき『怪人』が居た。
 小さく舌打ちの音が響くと、『怪人』は人の姿を捨てて、広げた翼を打ち振るう。
 狭い路地裏から、敵の手の届かぬ空の上へ。しかし重力に逆らい飛び立つその初速に、マスクの男が追い付いた。
 強く地を蹴りつけ、最初の二歩でトップスピードに至った彼は、勢いのままに壁を駆け上がり、その手を伸ばす。飛翔する敵の足を掴み取ることに成功すると、そのまま自分の身体を引っ張り上げるようにして、『怪人』に対して組み付いた。
 ――離せ、そして堕ちろ。怒声を上げる『怪人』の抵抗を巧みに流し、マスクの男の攻勢は続く。
 支えのない空中で、密着して争う両者はまるで踊っているようにも見える。だが、それもやがて限界を迎え、二人は互いの位置を入れ替えるように錐揉み回転しながら、地面へと落下していった。
 階段の手摺に衝突し、壁を擦り、最後にはゴミ箱を跳ね飛ばしながら着地する。
 敵を地へと叩き落とし、立ち上がったのは――。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

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