バロン・サムディの娘
●歪曲
√汎神解剖機関――黄昏を迎えている人類は愚かな事に争いを止めない。
争いとは汎神解剖機関や連邦怪異収容局、羅紗の魔術塔などの『組織』だけに留まらず、世界中、何処にでも存在しているものだ。たとえば、人類は今まで『戦争』とやらを止められなかった。勿論、それには如何しようもない現実が関係してくるのだが。
戦争は言わずもがな、より、小規模なところに焦点を当てると、如何か。たとえば、学校。此処は見たところ小学校なのだが――さて。複数の生徒が一人の生徒を囲んで、何かしらをしている。嗚呼、罪だ。罪とやらがひどく蓄積をしている。
なあ……この学校にも七不思議があるって知ってっか? 七つだけじゃあないって話だけども、その中に、ひとつだけ本物があるみたいなんだぜ?
リーダーらしき男子生徒が囲まれている生徒に対して、ゆっくりと、話しかける。その表情は予想をしていた通りの愉悦で――この嘲りは底を知らない。
なんでも、夜の学校で『人形』か『ぬいぐるみ』を作ると魂が取られるんだとか。なあ、※※。俺達が見てるからよ、ちょっとやってきてくれよ。ああ、心配すんな。どうせオマエ、昨日屋上から飛び降りようとしてたんだろ……?
囲まれていた生徒は――少女は、言われるが儘に、それをやった。
そうして、少女は行方不明となった。
あ? 見てたんじゃねえのかって? 見てねぇよ。
だってよ、俺達が夜の学校に来た時点で、アイツ、いなかったんだぜ?
●お呪い
「君達ぃ! ちょっと小学校に向かってくれないか? いや、なに。少々、面倒な沙汰になってねぇ。とある小学生が怪異の封印を解くって星詠みが出たのさ。いや……より、正確に表現するなら『お呪い』かね? 所謂、友達が欲しいってやつさ」
暗明・一五六は普段通りに噛み煙草が酒を嗜みつつ、言の葉を手繰る。
「そうだねぇ。学校に潜入するんだから、それっぽい肩書は欲しいところさ。それと、今回は『七不思議』が関わってくるとも見えたぜ? その中から本物を探すのが君達の仕事さ。頑張り給えよ――ところで、陽気な死神ってのは如何思うかね?」
マスターより

にゃあらです。
永遠の交差点。
第一章。
七不思議についての調査です。
あなたは、勝手に七不思議を増やしても良い。
最終的には『本物』に辿り着ける事でしょう。
第二章。
不明です。
第三章。
簒奪者との戦闘になります。
78
第1章 冒険 『ある学校の七不思議』

POW
授業準備室を探る。どうしてこの棚は動かした後があるんだ?
SPD
噂話を探る。そう言えば噂が広まったのは、あの先生が働き始めた頃……
WIZ
学校の地図をみて推理する。もしかして、この形は……
√汎神解剖機関 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
学校の七不思議――√汎神解剖機関、日本の学生であれば――耳にした事がある筈だ。たとえば、トイレの※※さん。たとえば、音楽室の人物写真。たとえば、階段の数……。そうして、例に漏れず、この小学校でも|七不思議《うわさ》はあった。ただし、この小学校の七不思議は――その内の幾つかは本物だったのだ。
君達は学校に潜入し、七不思議の正体を突き止め『怪異』の存在を暴かなければならない。君達は七不思議に『遭って』も良いし、小学校の生徒や先生に話を聞いても良い。ところで、最近。女子生徒が行方不明になったとの話だが……。
その原因はいったい何だろうか。

WIZ
陽気な死神ですか?死を司る「機能」と性格は関係ないでしょう。
あえて言うなら…いずれ遭わねばならない相手なら陰気より陽気な方がいいですよ、ね。
私は陰気な方でしょうが…陰気でも隣人は陽気な方がいいものです。よ。
それはさておき、私向けの依頼ですね。
地図をよく見ながら拡張知覚(<第六感><視認><聞き耳>)を活用して<情報収集>し、【究極の回答】を作成して自分の胸の内に留めておきます。
潜入の段になったら高校生の臨時出張授業ということにすれば怪しまれずに潜入できるでしょう。
…怪しまれますか?もうこの際、怪しまれながらでも入構を許可されればセーフです。セーフ。
七不思議、『遭って』みたいですね。
|遭った《確信した》。
人形に籠められた思いについて、嗚呼、仮に、共感できてしまったならば、それは即ち『狂気』以外の何者でも、何物でもない。意識的なのか無意識的なのか関わらず、触れてしまった時点で悉くはお終いなのだ。まるでインスタントなアカシック・レコード、一部を把握しようと試みた瞬間に――情報とやらに押し流されて失せるのか。……陽気な死神ですか? 死を司る、或いは生を司る「機能」と性格は関係ないでしょう。あえて謂うなら……。永遠の交差点、お喋りが大好きな葉巻好きに何を期待しよう。たとえば、バナナの香り。馥郁に誘われて『迎える』と謂うのは如何か。いずれ、遭わねばならない相手なら、陰気より陽気がいいですよ、ね。私は陰気な方でしょうが……陰気でも、隣人は陽気な方がいいものです、よ……。ならば、そう、黒歴史を垂れ流されても良い、と、頷くのか。ああ……そうでした。陽気な死神と謂うものは、総じて、悪戯好きでもありますね……。
思考を遊ばせるのはこのくらいで十分。それはさておき、私向けの依頼ですね。校内の地図を――町内まで含めた方が『良い』のかもしれない――広げて、探索の開始だ。情報を収集するのであれば飛躍する沙汰、誑かされたのかと思うほどに不意な究極。……成程。最初に、目に留まったのは『ぬいぐるみ』だ。今時、ぬいぐるみをメインで売っている店が存在している時点でおかしい。そして何よりも、ヤケに多かったのだ。
おそらく、生徒の中にも『ぬいぐるみ』を持つ者がいるだろう。ぬいぐるみに関係する七不思議などが在れば『道』は見えてくる。……今日は高校生の臨時出張授業があります。そう、|して《●●》しまえば――怪しまれますか? もう、この際、怪しまれながらでも入構を許可されればセーフです。セーフ。数名の先生からの視線が痛いが、見て見ぬフリ。ところで授業の内容は如何しようか。……哲学という事にしましょう。
七不思議、『遭って』みたいですね……?
予言が消滅した。
あっ――ぬいぐるみと目が合った。
あの、ぬいぐるみは………|星越・イサではなかろうか《気の所為だ》。
🔵🔵🔴 成功

WIZ
なして小学校?
学業は好きでも嫌いでもねぇが、呪いに七不思議だぁ?
またけったいなもん星詠みしたなぁ、店主
まぁええわ、店で世話になったし手伝ったる
とはいえあんま期待しないでくれよ?
潜入ねぇ……
俺のこの姿を偽るんは無理や
せやから敢えてそのまま「霊能波」を用いて超常現象を見せつけて潜入やな
安心しぃ、殺しや壊したりは今はしねぇ
にしても、地図の学校の形ねぇ?
まつろわぬ妖が少し関係してそうではあるが
まあええわ、同じ様に念動力で物動かして移動しとったら何かしらヒントぐらいあるかもしれん
探すだけ探してみるかねぇ
さて鏡の中にでも入るのか、階段が異界に繋がっとるのか
行方不明になったんはイジメも原因やと思うが
病的なまでの執着心とは――おぞましいほどの嫉妬心とは――時に、人を破滅させるほどの悪夢を孕んでしまうものだ。地に落ちてしまった正義感とやらは、地に落ちてしまった信仰心とやらは、まったく別のものとしての貌を有する以外に道はない。……なして小学校? 何故なのかと問うたところで、彼方、返事とやらはやってこない。虚空へと唾を吐きつけるかのような心地になる程度だろう。学業は好きでも嫌いでもねぇが、呪いに七不思議だぁ? 人間だ。オマエの大好きな人間が誰かの為、或いは己の為に『縋った』ものだ。……またけったいなもん星詠みしたなぁ、店主……まぁええわ。店で世話になったし手伝ったる。まるで獣のように、まるで獣の数字のように、彼方よりの観察者か。とはいえ、あんま期待しないでくれよ……? 学内はやけに騒がしかった。いいや、普段の通りだ。
普段の通り――これが『おかしな』事だ。生徒が一人失踪しているのだから、行方不明なのだから、普通、大人達は一生懸命に捜索その他をするべきなのだ。それが、ない。ははぁ……臭い物に蓋をするってわけだ。で、潜入ねぇ……。俺のこの姿を――狐の皮を――偽るんは無理や。ならば、如何する。√を跨いでの|霊現象《ぶつり》だ。ポルターガイストが齎した混乱により『道』は拓かれる。安心しぃ、殺しや壊したりは今はしねぇ。暖簾を潜るかのような気軽さではないか。嗤うキムラヌートめいて。
にしても……学校の地図ねぇ。まつろわぬ妖が少し関係してそうではあるが……いや、この場合は怪異だなぁ? 適当な、曰くありげな物体を念動力で退けてみる。何かしらのヒントがあれば良い、その程度の思いでひっくり返した物は――校長先生の銅像である。さて……鏡の中にでも入るのか、階段が異界に繋がっとるのか、それとも……地下に部屋があったりするのか。階段だ。地下への階段が……真っ暗い底を……底無しを湛えている。
行方不明になったんはイジメも原因やと思うが……。
それもだが……ああ、これは、原因の原因が根本だと、俺は考えるねぇ。
ぬいぐるみだ。ぬいぐるみが底無しの代わりに詰まっていた。
🔵🔵🔴 成功

アドリブ・アレンジ・連携歓迎。
心情
…消えたい。消えさせたい…の間違いなのでは?
…虐め…ですかね。
無責任です。
…そして、それを放置した学校側にも…問題はありそうですが。
縫いぐるみ、ですか。
…なんか、某所で見た翼のついた猫っぽい何かになって…しまいましたが…他意はありません。
行動
|半身《レギオン》を全展開して、[暗視]や[地形の利用]をしつつ夜の学校に潜入です。
校内でも[闇に紛れる]、[目立たない]を使用して教室に潜り込み、縫いぐるみを作ります。
出来上がる迄に、半身での情報を得ながら、必要ならインビジブル融合をして、情報を収集をします。
何が危害を加えられるようなら【深海の捕食者】で[不意打ち]を。
患っているのだ。罹っているのだ。
熱に浮かされる夜めいて、壊れたソレを腕の中へ。
とある男の言の葉が、とある男の嗤い声が――リンドー・スミスの囁きが――|偽物《臓腑》の中で反響している。人間の弱さこそが狂気と呼ばれる病を運ぶのか、狂気に陥ってしまうからこそ『弱い』のか。何方にしても、嗚呼、現実を突きつけられてしまったら、男の調子が上がってしまうのも仕方がないのか。……消えたい。消えさせたい……の間違いなのでは? 四之宮・榴は理解した。いいや、理解をしてしまった。これは戦争よりも醜い『もの』なのかもしれない、と。……虐め……ですかね。無責任です。ああ、初めから責任を背負うつもりなど、罪を擁するつもりなど、毛頭なかったのだ。そして、勿論、この毛頭ないには……生徒以外も含まれる。……放置した学校側にも……問題はありそうですが。取り敢えずと展開してみた|半身《レギオン》ども。ちょっと前までは目が回るほどの情報量であったが、もう、慣れに慣れが重なってしまった。……縫いぐるみ、ですか。ぬいぐるみだ。無数のぬいぐるみが教室に並べられている。教室だけではない、廊下も、体育館も、その裏側も、人を模したぬいぐるみ塗れだ。もう……七不思議……では、ないですね……。陽は最早ない。警備をしている誰かさんに発見されなければ容易いものだ。
闇に紛れる、目立たない。ストーカーから遁走する為に身に着けた技能が『ここ』でも役立った。テキトウな教室に滑り込んで『ぬいぐるみ』を作る為の道具を借りておく。ちくちく、ちくちく、可愛らしく『できる』ように|魂《こころ》を籠めた。……なんか、某所で見た翼のついた猫っぽい、何かになってしまいましたが……他意はありません……。この噓吐きめ。ぬいぐるみがケラケラ嗤ってくる。嗤ってくる……? な……んで……? 情報を集める必要はない。四之宮・榴は既に――本物と――目と鼻の先であったのだ。
深海の捕食者による大きな顎――魂が吸い込まれるよりも前に。
ぬいぐるみを破壊した。
🔵🔵🔴 成功

アドリブは自由で。
学校に潜入ねぇ、んじゃ教育実習生とかまぁそのへんの肩書で。
見た目も√能力で|黒髪色白JD《大人しそうな三つ編み娘》に変えとくわ。
んで七不思議だっけ、|義妹《サーシャ》に聞いたのだと
階段の大鏡を見てると取り込まれてどっかに連れてかれちゃうとかなんとか、うろ覚えだけど。
まぁ√ドラゴンファンタジーには喋る魔法の鏡とか門とかあるんだし
ここにもそういうのいてもおかしくないかもね、行方不明になった子もそれで連れて行かれちゃったとか。
ちょっと見に行ってみますか。
(取り込まれて拉致られてどっかに連れてかれても良いし
取り込まれた後で物理で脱出しても良い、お任せします)
悪戯が大好きな男子にとって――ピラミッドの上から二番目、三番目にとって――この来訪はひとつの娯楽となった筈だ。いや、仮に彼女が転校生で『同い年』であった場合に限るのだが。兎も角、この※年※組にやってきた教育実習生――|黒髪色白JD《大人しそうな三つ編みの娘》――は男の子を性癖とやらをブチ壊すに十分な威力と謂えた。そのような沙汰を知ってか知らずか、|教育実習生《アーシャ・ヴァリアント》、己の変身能力には大層な自信を有していた。ま……これで、潜入するのは楽勝でしょ。肩書もしっかり手に入れられたし、あとは学内の調査をしていけば問題ないわよね。まったく順調ではないか。この順調さこそが最もおそろしい|旗《もの》なのだと気が付かなければならない。
んで七不思議だって、|義妹《サーシャ》に聞いたのだけど。階段の大鏡を見てると取り込まれてどっかに連れてかれちゃうとかなんとか、うろ覚えだけど。ニトクリスから鏡面でも貰ったのだろうか。或いは、破風の窓と違えたのか。何にせよ、時間も関係してくるに違いない。昼間ではなく夕方、夕方よりも夜中、きっと、月の光とやらも見え方に影響してくれる筈だ。まぁ……√ドラゴンファンタジーには喋る魔法の鏡とか門とかあるんだし、ここにも、そういうのいてもおかしくないのかもね。それこそ、行方不明になった子も、攫われちゃったとか……。初日の授業は見ているだけで終わった。男子生徒のお団子を抜けて、曰く付きの鏡とやらにご挨拶せねば……。ちょっと見に行ってみますか。
怪異とは――超常とは――隣人としての側面を忘れない。先生も生徒も、必ずと謂って良いほどに通る階段、其処に怪談の素が存在していたのだ。この階段を上った先には確か『家庭科』で使う教室があった筈だ。何かしらの関係性を見出せそうだが……それより。思ったより大きな鏡じゃないの。それに、なんだか、宝石のように赤い……? 赤いのはきっとオマエのカタチの所為だ。赤い双眸に、赤い髪、赤い……? おかしい。私は今、√能力で『姿を偽っている』筈なのだ。え……? 吸い込まれる。取り込まれる。呆気なく、それこそ、子供達のように――! ぽん! 吐き出された。此処はいったい何処だろうか。
何もかもが大きく思えて、身体を動かそうとしたところで、
|身体の中身が綿《可愛いぬいぐるみ》のようだ……!
🔵🔵🔴 成功

わたし、カタツムリさん!
あたらしいALTの先生のフリをするの!
でもALTって何かしら?
七不思議を調べれば良いんでしょう
楽しそうね
子どもたちに聞いてみようかしら!
わたしの知ってる七不思議を教えてあげるからあなたたちが知ってるものを教えてちょうだい!
教えないと英語の宿題を倍にするわよ!
わたしが知ってる七不思議はね
夜の校舎でくるくるまわるお野菜さんところころ転がるスイカなの
それに、カタツムリさん!
でも、カタツムリさんって何かしら?
せ、せんせー……わ、私も、気分が悪いです。
軟弱ね!!!
小松菜とパクチーの違いを答えよ、奇天烈な問題を出された人間災厄はくるくる、目の玉を只管に回してみせた。わたし、カタツムリさん! 小松菜もパクチーもきっと、カタツムリさんに食べられる為に生まれてきたの! のそのそ、優雅に、ぬたぬた、高貴に。まるで甲殻を背負っているかのようにランドセルを振り回した! あたらしいALTの先生のフリをするの! でもALTって何かしら? AEDの亜種だろうか。ADLの間違いなのかもしれない。なんだか、難しい話をしているのね。でも、わたし、カタツムリさんだから関係ないわ! 子供達はきっと先生の妖艶さに夢中だ。もしかしたら、トラペゾヘドロンを掲げずとも、勝手にくるくるしている男子生徒まで出てきてしまいそうだ。いや、もういる。せんせー! ●●くんが目を回して吐きそうです! まあ、軟弱ね! 立派なカタツムリさんになれないわ! 保健室に連れていきましょう! ところでカタツムリさんって何かしら?
三半規管の狂いに関しては一旦、置いておいて、調べるべきは七不思議であった。楽しそうね。子どもたちに訊いてみようかしら! 未来のカタツムリさんたち、何か知っていたら、カタツムリさんに教えてちょうだい! もちろん、わたしの知ってる七不思議を教えてからでもいいわ! 教えないと英語の宿題とくるくるの回数を倍にするわよ! ざわつく生徒たち。宿題の量が倍になるのは勿論だが、これ以上、くるくるしたらだっきの男の子と同じ目に遭ってしまう。いや、目が回ってしまう! え……えっと……その。家庭科室に、ぬいぐるみが置いてあるんだけど、そのぬいぐるみは、亡くなった生徒の魂が入っているから、動くとか……。まあ、面白いわ! そのぬいぐるみ、わたし、欲しくなってきたわ! それじゃあ、わたしが知ってる七不思議はね……。
夜の校舎でくるくるまわるお野菜さんところころ転がるスイカなの。
それに……カタツムリさん!
でも、カタツムリさんって何かしら?
カタツムリさんよりも無限に回っている。
回っているのは目玉なのだろうか、それとも、会話なのだろうか。
🔵🔵🔴 成功

「臨時で英語を担当することになりました、花喰・小鳥です」
花咲く笑みを浮かべる美人教師は大人気
機関からの斡旋という|名目《カヴァー》で学校に潜入
「The world was engulfed in nuclear flames.」
世紀末授業です
七不思議、それは図書室にひとつ伝わる
曰く放課後にひとりで利用している時、本棚の空いたスペースを覗くと吸い込まれてしまうという
「異空間と繋がっていて取り込まれる、なくはない話でしょうか」
しかし、と思う
お呪いなどと言っていた彼こそがそもそも七不思議のような見た目である
暗がりで見たら子供なら泣きます
「これが噂の空いた隙間ですか」
覗くとぐるぐると目が回る
小さな、小さな、粒々の塊。
四肢を一生懸命伸ばしても、ころころ、横たわるだけ。
花束と共に爆発したのは――幻惑と共に破裂したのは――サキュバス最大の武器であった。蝕まれた夢は永久の笑みに支配されており、その中では老若男女と関係がない。臨時で英語を担当することになりました、花喰・小鳥です。きっと機関の誰かさんの仕業なのだ。何者かが幸福である為にも、オマエ、脳味噌までも艶やかたる証明をしなければならない。斡旋と謂うよりも強制だ、強制と謂うよりも共生だ。|名目《カヴァー》の為にもしっかりと発音をするのだと、頭の中の|管理人《スーサイド》が騒いでいる。The world was engulfed in nuclear flames.生徒達が首を傾げている。先生達が頭を抱えている。ひどく世紀末なご挨拶ではないか。きっと、一番の核とやらは――己の皺くちゃにだけ、刻まれている。先生! 質問しても良いですか? 紙幣でお尻を拭うとどうなるのでしょう? なんという男子生徒か。彼はおそらく授業後に、こっぴどく、叱られてしまうに違いない。
果たして図書室にそのような漫画が置いてあるのだろうか。置いてあるとするならば、それはビタミン摂取の賜物とも考えられる。ともかく、七不思議。生徒複数人から聞いたのは|図書室《ここ》の曰くであった。なんでも、放課後に、ひとりで利用している時、本棚の空いたスペースを覗くと吸い込まれてしまうとか。……異空間と繋がっていて取り込まれる、なくはない話でしょうか。物語の一部として扱われる、見方によってはロマンティックで在ろう。しかし……ふと、思う。お呪いなどと言っていた、陽気な死神について言及していた、彼こそがそもそも七不思議のような見た目である。……暗がりで見たら子供泣きます。暗がりでなくとも、子供は引くでしょうか……? 描写をするならば待機列だ。ぽっかりと、何者かが、堪えきれなくて抜け出たかのようなスペース。其処に――書物の代わりに――宝石のような瞳がこびりつく……。これが、噂の、隙間……です……か?
ぐるぐる、ぐるぐる、小さな渦巻きに捕まった。
離れられない、逃れられない。
ぐるぐる、ぐるぐる、目が回る。
ビーズのようにされそうだ。
🔵🔵🔴 成功

学校とは未成熟な精神が集う感情の坩堝、とはよく表現したものですね
本来は管轄外ですが、怪異が関与しているとなれば話は別です
職務の遂行に当たりましょう
正規の手順に則って、まず教員に話を伺います
警察手帳を提示し社会的信用を得て、必要ならば多少の威圧も
とはいえ礼儀正しく誠意をもって接しますよ
女子生徒が行方不明になりましたね?
彼女について聞かせていただきたい
…まぁ素直に校内の実情を聞き出せるとも思っていません
社会的な体裁を保ちたがる大人は多いですからね…慣れています
ところで、虚偽等による捜査妨害がどのような罪となるかご存知ですか?
よろしければお教えしますが、如何でしょうか
糸は繋がった。もう、逃しはしない。
チョコレートの苦味を殺す為に、カカオの独自性を滅ぼす為に、多量の砂糖を投下していく。砕いて、潰して、滑らかにして、お子様の舌を喜ばせるのか。学校とは未成熟な精神が集う感情の坩堝、とはよく表現したものですね。一歩一歩を確実に進まなければならない。青信号を渡らなければならない。だと謂うのに、知っているクセに、未曾有と称されるスリルに騙されてしまう。……本来は管轄外ですが、怪異が関与しているとなれば話は別です。職務の遂行に当たりましょう。それにしても能力者、瀬条・兎比良、堅物が過ぎるのではないか。真面目が凄まじいのではないか。まるでカカオ〼をそのまま齧ったかのような、苦い、苦い、目が覚めてしまうほどの――ポリフェノールの絶壁――。
正規の手順に則って、まず、教員とのお話を試みなければならない。その為に必要なのは身分なのだが、成程、オマエは|警視庁異能捜査官《カミガリ》であった。警察手帳を見せつけたならば先生方、びくりと反応するだろう。必要なのは多少の威圧、その所以はおそらく――己が予想していた通りなのだ。ええ、とはいえ、礼儀正しく誠意をもって接しますよ。先生達が慌てている。表には出していないが、その視線だけでわかってしまう。女子生徒が行方不明になりましたね? 彼女について聞かせていただきたい。臭いものを暴くのだから、蓋の位置をハッキリとさせよ。
手帳にぎっしりと書き加えられたのは『彼女』の日常について。いや、女子生徒の性格や、在り来たりなものくらいか。つまりは、大人しいだとか、引っ込み思案だとか、そういう当たり障りのないものである。……まぁ素直に校内の実情を聞き出せるとも思っていません。社会的な体裁を……自分の安全を保ちたがる大人は多いですからね。慣れています。眼鏡の底、ピンク色の『それ』が先生達を捉えた。眼光、法の如く。
ところで、虚偽などによる捜査妨害が、どのような罪になるかご存知ですか? 動揺が感染していく。最早、繕う事すらも不可能であった。よろしければお教えしますが、如何でしょうか。……あの生徒は……いじめを受けていまして……それで……。
見て見ぬフリですね、では、自殺ではないから、関係がないとお思いで……?
🔵🔵🔴 成功

アドリブ絡み大歓迎
大きくても小さくても争いはある、それはそう
それを念頭に入れて模索するのが理性ある人だと思うけどね
さて、居なくなったお嬢さんはナニが連れて行ったのかな
用務員として潜入
髪色が目立つ?そのために帽子被ってるからたぶんセーフ
先輩用務員さんに色々教えて貰いながら校内を見ていこう
折角なので最近起こった妙な出来事について聞いてみたいね
この学校特有のルールや|禁忌《タブー》なんかがあればもっと良い
「でもやっぱり最近で一番の出来事は女生徒が居なくなった事ですか?
子どもの無邪気さは鋭利な殺意と良く似ているからね
件の男子生徒、ちゃんと学校に来ていますか?
手を繋いでいる。たくさんのぬいぐるみが、手を繋いでいる。
手を繋いで、泣いている。泣いているし、騒いでいる。
たすけて、たすけて、もう、ころして……。
大きくても小さくても争いはある、それはそう。戦争だって喧嘩だって、傍から見れば『同じ』なのかもしれない。結局のところは、お互いの正しさの為に殴り合っているのだから。それを念頭に入れて、それを心に構えて、模索するのが理性ある人だと思うけどね。思ったところでひとつ、争いですらない『罪』に衝突する。これは、もしかしたら喧嘩ではなく『いじめ』なのではないだろうか。消えたいと念じたのか、もしくは、死にたいと思ったのか。ともかく……さて、居なくなったお嬢さんはナニが連れて行ったのかな。……僕には、その『ナニ』かに悪意があったとは思えないけどね。古い手鏡で自身の姿を改めてみる。何処から如何見ても気さくそうな用務員さんだ。髪色が目立つ? そのために帽子被ってるからたぶんセーフ。ちょっと背が高いだけあってより注目の的か。先輩用務員さんまで、若干、驚きを隠せていない。お、おう。デカいな新人。取り敢えず、校内を案内するから付いてきてくれ。ここが職員室で、こっから先が一年生の……。
そうだ、※※さん、この学校にも、特有のルールとか、|禁忌《タブー》とかありますかね? 新人からの質問は尤もだ。こういう場所での清掃その他は曰くが憑いていても可笑しくない。ああ? そりゃあアレか。七不思議とかいうやつか……あるぜ? たとえば、ほら、教室の隅っこにあるぬいぐるみには近づいちゃいけない、とかな。ぬいぐるみ……? でもやっぱり最近で一番の出来事は女生徒が居なくなった事ですか? 子供の無邪気さは鋭利な殺意と良く似ているからね。件の男子生徒、ちゃんと学校に……?
ああ、来るわけねぇよ。何せ、
――ぬいぐるみと仲良くしている筈だからな。
いつの間にか『知らない』教室に居た。先輩用務員の姿は消え去っており、その教室の中には――大量のぬいぐるみ。
🔵🔵🔴 成功
第2章 冒険 『どこかにつながる教室』

POW
怪しい場所に居る子供を連れ戻す
SPD
偽の噂を流して別の場所に連れていく
WIZ
子供に不用意な行動を控えるよう説得する
√汎神解剖機関 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
其処は教室であった。
大量のぬいぐるみが転がっており、ぬいぐるみ一体一体から、泣き声のようなものが聞こえてくる。たすけて、たすけて、もう、ころして。あたまが、おかしくなっちゃう。いやだ。おれは、おれは、こんなつもりじゃなかったんだ。おれは、ただ、からかいたかっただけで……。自業自得だ。自業自得ではあるのだが、如何にか、助けてやらねばならない。いや、そもそも、助け出す事など可能なのか。ああ、それと。
もしかしたら、あなたも、ぬいぐるみになっているのかもしれない。

【アドリブ・連携歓迎】
※地の文はナレーションです※
あら? リサちゃんってば、いつから『そこ』にいたのかしら。
ずうっといました。ぬいぐるみ(※自称)だもの。
なりたいね、『七不思議』。狙ってるものね、密かに。
リサちゃんみたいに、カワイイ七不思議のほうが楽しいでしょう?
可愛くないぬいぐるみは邪魔です。
これより七不思議の座はリサちゃんのものになるのです。
呪いには呪いを。
|桐箱《おともだち》のチカラで、元に戻せないかな?
でも、ひとつくらい持ち帰ってもバレないでしょうか。
一番の悪い子、出ておいで。リサちゃんの|コレクション《おともだち》に加えてあげちゃう。
誰かにメッてされたら諦めますよ、潔きクマで在れ。
沈黙こそが金なので在れば、成程、縫い付けてやればいい。
呼吸だって要らない筈だ。臓腑だって要らない筈だ。
綿を詰め込む所以もない、火を放つかのように。
チクチクと、チクチクと、言の葉よりも鋭利な針が解れた部分を直していく。直されたのか、治されたのか、何方なのかは不明だけれども、人間の心とは斯くも脆いものなのか。ぬいぐるみがぬいぐるみを補修しているだなんて、なんとも、可愛らしい光景ではあるが――これは実にホラーでシュールな沙汰とも謂えよう。あら……? リサちゃんってば、いつから『そこ』にいたのかしら。わからない。その所以はリサちゃん自身にもわからない。判らないが、解らないが、ずうっといたのだから仕方がない。自称ぬいぐるみだもん、仕方ない。兎も角、七不思議だ。七つでは収まらないだろう不可思議だ。きっと不思議の中にもカーストとやらは存在しているに違いない。なりたいね、トップの七不思議。狙ってるものね、密かに。リサちゃんみたいに可愛くて、カッコよくて、強い七不思議の方が楽しいし素敵でしょう? 可愛くないぬいぐるみは邪魔です。これより七不思議は全てリサちゃんに『なる』のです。呪いには呪いを、罪には罰を。|桐箱《おともだち》のチカラで、元に戻せないかな? 戻せた。良かったね、リサちゃん。ひっぐ……ひっぐ、こわかったよぉ……ひっ……ぬいぐるみが動いてる……。あーあ。怖がらせちゃった。こんなに可愛いのに。
そんな事よりも『ひとつ』くらい持ち帰ったってバレないのではないか。こんなに良い子がいっぱい居るんだし、悪い子だってたくさんな筈だ。一番の悪い子、出ておいで。呪詛がでろりと触肢を伸ばし――藁人形に辿り着いた。リサちゃんの|コレクション《おともだち》に加えてあげちゃう。あれ? リサちゃん。でも、その子。なんだか、魂のカタチがおっきいね。……メッされない。潔きクマで在ろうとはしたけど、これが本当に悪い子なんだから応報だ。お友達が増えたから、今度はおててを繋ごうね。
もう、放さない。
🔵🔵🔴 成功

WIZ
子供を助けろだぁ?
おいおい、子守りできる様な柄でもねぇんだが?
勘弁してくれよ、人を襲う妖だぞ俺は
人助けとか性に合わん
……ああもう仕方ねぇ、店主の頼みだからな
手は貸してやるが期待はすんなよ?
妖として人間寄りから更に妖寄りに異形化しつつ恐怖を子供に与える
その際に催眠術を掛けてやる
恐怖の対象であるからこそ言う事をきかせる
「変に行動するんだったら俺が喰ってやる
だから、大人しくしろ、良いな?」
もし何かしらが襲ってくるなら「霊能波」を使用して守ってやる
ったく、気になる奴にちょっかい掛けたくなる気持ちは分からんでもねぇが、相手はちゃぁんと選べ、分かったか?
お人形さんごっこに必要なのは魂である。如何にして魂を綺麗に、或いは、汚く、維持するのかがコツなのだ。コツコツと積み重ねてきた知識は文字通りの歴史となって刻み込まれる。得難い経験こそが、未知への挑戦こそが、ある種の信仰心である事などお見通しであった。子供を助けろだぁ? おいおい、子守りできるような柄でもねぇんだが? 溜息を吐いた。溜息と一緒にいつかのフレッシュな匂いも散らかしてみせた。勘弁してくれよ、人を襲う妖だぞ俺は……人助けとか性に合わん。性に合わなくとも、生物として矛盾していようと、これは『お勤め』なのだから『やる』しかない。……ああもう仕方ねぇ、店主の頼みだからな。手は貸してやるが期待はすんなよ……? 必要なのは効率だろうか、それとも、人の精神への労りだろうか。何にせよ、見えないものを叩くのは得意であった。
肉体のカタチなど魂のカタチに比べれば――綺麗だろうと歪であろうと――似たようなものだ。骨を育てるように、肉を増やすかのように、人は妖怪として、異形となって這入り込む。……変に行動するんだったら俺が喰ってやる。だから、大人しくしろ、良いな? 恐怖による支配――緊張による硬直――良いも悪いもオマエにとっては平坦でしかなく、この物差しとやらはひどくおぞましいものであった。徐々に徐々に、いや、急速に染み込んでいった|催眠《もうろう》。さて、そんなオマエに向かってきたのは『呪い』だ。
呪いは『子供達』を狙っていない。明らかに、オマエだけを狙ってきた。それを容易に躱してやったならば|霊能波《エネルギー》をお返ししてやれ。ああ? なんだ、おい。俺ばっかり狙うって事は、つまり、守ろうとしてるってのかぁ……? 呪いは止んだ。今が子供達を助ける好機と謂えよう。ったく……気になる奴にちょっかい掛けたくなる気持ちは分らんでもねぇが、相手はちゃぁんと選べ、分かったか?
🔵🔵🔴 成功

アドリブ共闘絡み大歓迎
SPD
…そう来るか
先輩用務員が何処まで本物だったか気になるトコロではあるけれど、まずはこの|人形《子供》たちかな
恐らく自分で縫いぐるみを作ったのでは無ければ誰かが作ったヤツの中に入ったって意味だろう
人形に入った魂は悪いことをした魂
自分の思いつく限りの悪いことを勝手に告白する
周りの人形に糾弾される
全ての人形の罪が告白、糾弾されたら学校の外へ元の姿で校門前に放り出される
これが何処まで採用されるかな
僕の罪?んー、そうだなぁ
自分が死ねないのを良いことに、自分の命を軽くみているのと
√汎神解剖機関にそこそこ協力していることかな
憑き者サンプルは多いに越したことは無いんだって
僕の罪? んー、そうだなぁ。
自分が死ねないのを良いことに、自分の命を軽く見ているのと、√汎神解剖機関にそこそこ協力していることかな。例を挙げるならばクヴァリフの仔、だろうか。女神の子供は『子供』でしかなく、新物質として利用した場合、それは何処ぞの男と同じだ。
それに……憑き者サンプルは多いに越したことはないんだって。
影のように、闇のように――ミサンガのように――切れてしまった。いや、正確に描写をするのであれば、ミサンガは何者かによって引き千切られてしまったのだ。あまりにも不自然な切断に『ねがい』とやらも仰天する。……そう来るか。先輩用務員が何処まで本物だったのか、そもそも、この学校全体が本物なのかも、気になるトコロではあるけれど、まずはこの|人形《こども》たちかな……。耳朶を擽ってきたのは子供達の悲鳴だろうか。たすけて、の声も。ころして、の声も。如何やら、今のところは叶えられていないらしい。恐らく……自分で縫いぐるみを作ったのではなければ、誰かが作ったヤツの中に入ったって意味だろう。ならば、如何様にすればお呪いは終わる。女子生徒が消え去った原因は――さて、ドス黒い人間の精神の所為ではなかったのか。
人形に入った魂は悪いことをした魂。考えろ。自分が思いつく限りの『悪行』を勝手に告白してやると宜しい。……給食が食べられなくて、他の子の皿にこっそり移していました。ぐるりとオマエを囲んでいたお人形、ぎゃあぎゃあ、わあわあ、糾弾とやらを開始する。あの時、僕の野菜が多かったのはその所為だったんだ! 全ての人形の罪が糾弾された。これで、元の姿に戻って、校門前に放り出され――? 違う。これは『罪』の所為ではない。人形に入っている魂は――良いも悪いも、混じっている!
ナニかに悪意はなかった筈だ。
……成程、そういう事だね。これは、人形にする『こと』を『いいこと』だと思っているタイプの、より、厄介な……純粋な、少女のような、怪異……。焦りを誤魔化すべく煙草に火を点けた。斯波・紫遠は呪いの主が顔を出すまで『待つ』姿勢となった。
🔵🔴🔴 苦戦

アドリブ大歓迎。
きぃきぃきぃきぃ、五月蠅いわねぇ、泣いてたってどうにもなんないでしょうが。
まったくちんまいぬいぐるみ何かに変えるなんてアタシの自慢のボディが台無しだわ。
アンタ達ここから出たいなら後を勝手に付いてくるのね、ついてこないなら知らないけど。
(竜姫破砕撃を使って自身と取り込まれた連中にかけられたぬいぐるみ化を破った上で出てきた鏡をぶん殴って外に出ようとする)
せっこい能力だと、みみっちい能力だと、竜姫は宣告した。
正面から戦ってくれたなら、好感を持てたと謂うのに。
聳えている旗の根元にて、容易い予想の裏側にて、アーシャ・ヴァリアントはカタカタと震えた。赤い髪の気も赤い双眸も赤い翼も何もかも、何者かによって可愛らしくされていた。カタカタ、カタカタ、震えている所以は恐怖などではない。これは一種の怒りの表現なのだ。尤も、傍から見たのであればぬいぐるみ、ジタバタ動いているようにしか思えない。それに加えて犠牲者達の絶望的な訴え。モフモフとした耳朶だと謂うのに頭が痛くなりそうで仕方がないのか。きぃきぃきぃきぃ、五月蠅いわねぇ。泣いてたってどうにもなんないでしょうが。流石は刹那的の化身だと褒めておくべきか。失態を振り返るのは後でも可能だし、何よりも今は『こんな目に遭わせてくれた怪異』を叩きたくてたまらない。まったく、ちんまいぬいぐるみ何かに変えるなんて。アタシの自慢のボディが台無しだわ。さて、此処に|義妹《サーシャ》が存在していたら如何か。お持ち帰りを心に決めると考えられよう。ま、アンタ達、ここから出たいなら勝手に付いてくるのね、ついてこないなら知らないけど。
ドラゴンが――ドラゴンプロトコルが――生態系の頂点に『在る』所以。それは何か。答えは簡単。そう、シンプルに力が強いのである。力が強いのに加えて能力の無効化が可能だとした場合は如何に。その結果も容易にイメージが出来る筈だ。めり、めり、ぬいぐるみの内側から――魂が――輪郭が――脱皮するかの如くに現れる。そして、そのまま右掌で無数のぬいぐるみに触れたなら――あとは出口を探すだけか。はん。探す必要なんかないわよ。だって、アタシは鏡に引きずり込まれて『ここ』に来たんだし……。
右の拳でぶん殴った。
ぶん殴ったならば、あとは自由を味わうと宜しい。
🔵🔵🔴 成功

わたし、カタツムリさん!
まぁ、あの子たちの言っていたとおりね
本当にぬいぐるみが生きているみたい!
え?わたしもぬいぐるみ?
まぁたいへん!そんなのかわいすぎて困ってしまうわ!
√能力をつかってなにがあったのか聞いてみるわ
こうするとみんなとっても素直に喋ってくれるのよ
あなたたちどうしてそんなことになってるのかしら
自業自得っていうからには理由をわかっているのよね!
まぁ、なんとなくわかるけど
よく思い出して、反省をして
いなくなった子にごめんなさいをするのよ!
あら、でもそれで元に戻れるのかしら?
わたし、カタツムリさん!
わたしは別に戻らなくても困らないから知らないの!
チカチカと回転する蝶々に目の玉がつられる。
ぬいぐるみの一体一体が胸を押さえ、何かを必死に耐えていた。
七色の道を辿るかのように、保健室から這い出ていくかのように、一歩、それだけで世界は煌びやかだ。誰も知らないカタツムリの下半身について妄想するならば『こう』だろう。わたし、カタツムリさん! ところで、それは本当にカタツムリさんなのかしら? 先程の妄想はカタツムリさんではなく、ナメクジさんでもなく、仮にマイマイさんとしよう。もしかしてエスカルゴさんかしら? オリーブオイルでマッサージをしてあげる! そんな事よりもカタツムリさん、軟弱な生徒さん達の七不思議、大正解ではないか。まぁ、あの子たちの言っていたとおりね。ぬいぐるみが生きているみたい! え? わたしもぬいぐるみ? マイマイさんとご一緒ではないか。いやよ、マイマイさんと一緒なんて! でも、わたしがぬいぐるみだなんて、そんなのかわいすぎて目が回ってしまうわ!
実際、可愛らしいぬいぐるみなのだから――カタツムリさんのぬいぐるみなのだから――正気を失う者が出てきても可笑しくない。折角だから、おしゃべりをするわ! みんなはどんなおしゃべりがしたい? そうよね、正直におしゃべりすると楽しいわ! くるくる、くるくる、先程よりも多めにくるくる。カタツムリーグに巻き込まれたぬいぐるみたちは次々に|吐く《●●》破目になった。あなたたち、どうしてそんなことになってるのかしら。自業自得っていうからには理由をわかっているのよね! あら? 理由をお口に出して、ごめんなさいをしても元に戻れない? まあ、たいへん! いなくなった子は許してくれなかったのね! ごめんなさいは聞こえない。聞こえないし、よくよく見ていたら『いなくなった子』も此処にいるのかもしれない。
わたし、カタツムリさん! かくれんぼが得意なの!
でも、わたしは別に戻れなくても困らないから、知らないわ!
🔵🔵🔴 成功

成程、情報は得られましたがやはり表面的ですね
いじめ――いえ、傷害罪及び侮辱罪
未成年とはいえ叩けば他にどの様な余罪が出てくるやら…大人である教員には自覚を持っていただきたい
…まぁ、理解出来ないわけではありませんがね
現場らしき場所へ向かいましょうか
ぬいぐるみもこれだけ集まると不気味に感じますが、その感覚自体に害があるわけではない
それに、自業自得だからと見過ごせません
救いと報いは誰しもあってしかるべきだ
まだ避難が可能そうな子供がいれば速やかに安全な場所へ誘導を
√能力で避難の成功率が上げられるといいんですが
私より先を歩かせ、出来れば走らせます
ご安心を、退路は必ず護ります
過去形だ。
相手がか弱い女の子だったとしても、相手が可愛らしい少女だったとしても、
死者が生者を侵してはならない。
氷山の一角――冷たい冷たいお山の上――腰を下ろして一息吐くなど、背負っている『もの』からして不可能か。繕っていた大人どもを言の葉とやらで縛り付け、嗚呼、オマエは『異様』に囲まれていた。成程、情報は得られましたがやはり表面的ですね。表面的に加えて、少々、可笑しな話です。これがいじめ――いえ、傷害罪及び侮辱罪なのであれば、それこそ、大人達が呪われていないと謂うのは奇妙でしかありませんね。叩けば叩くほどに出てくるであろう余罪、それはきっと生徒も先生も同じなのだ。……まぁ、理解できないわけではありませんがね。兎にも角にも『ここ』が現場だ。いや、現場と謂うよりも『現行犯』か。……ぬいぐるみもこれだけ集まると無気味に感じますが、この感覚に『害』はなさそうですね。嗚呼、悪意はない。害意もない。かといって、これは正義感の仕業でもない。では、いったい。この自業自得とは――誰が勝手に決めているのか。
見過ごせません。救いと報いは誰しもあってしかるべきだ。たとえ『それ』が如何しようもない殺人者だったとしても、法で裁かれる以外あってはならない。泡となったお姫様のように、足を望んだお姫様のように、ああ、細やかに願う事くらいは『あって』も良いのではなかろうか。……此方が出口……いえ、出口なのかはわかりませんが、少なくとも、怪異の影響は薄れる事でしょう。慌てないで、私の『前』を歩いてください。走れる人は走ってください。上半身だけぬいぐるみな複数名、如何にか怪異の影響からは逃れられたのか。
ご安心を、退路は必ず守ります。
たとえ相手が――怪異が、法によって守られるべき者『だった』としても。
🔵🔵🔴 成功

WIZ アドリブアレンジ歓迎
ぬいぐるみになってしまいました…
迂闊だったのは認めますが、
不確定事象を恐れず行動するのが私です。
全く凝りていませんし
心が自由で念話ができればぬいぐるみになっても
私の在り様は変わりません。
高校生の<コミュ力>を発揮して
ぬいぐるみ化した皆さんのお悩み相談会といきましょう。
死にたい?
この宇宙から|命《狂気》が失われるのは惜しいことです。
頭がおかしくなる?
いいことじゃないですか!
からかいすぎた?
それはよくありませんね。人の|心《狂気》を傷つけては…
元に戻れるかって?
|わからないこと《不確定な未来の事象》について考えても仕方ありません!
ついでに<情報収集>します。
飛躍した結果が信仰である。
陽気な死神とは――確か、土曜日の男爵ではなかったのか。
爆ぜた予言の結果が――失せた予言の末路が――このザマなので在れば、ある意味では好都合だったのかもしれない。アカシックレコードを受け入れる為には何よりも『器』が不可欠だ。その器が、傷まず、罅割れず、砕けそうにない材質となった場合は、むしろ『これ』を喜ばない訳にはいかない。ぬいぐるみになってしまいました……迂闊だったのは認めますが、不確定事象を恐れず行動するのが私です。そう、前を向いて行くべきだ。まったく懲りていませんし、心が自由で念話ができれば『この状態』でも、欠片として問題ありません。そうとも、星越・イサは星越・イサ。有り様や在り方を改める必要など――ミリ単位として『ない』のだ。とりあえず……お話をしてみましょうか。
高校生のコミュニケーション能力を侮ってはいけない。いや、今まで能力者として様々な経験を培ってきたのだ。たとえ相手が誰であろうとも、一定の『興味』は引き出せる筈。今からするのは相談会だ。お悩み、傾聴したならば、きっと呪いの正体にも辿り着けるに違いない。死にたい? 死にたいと、そう、仰ったのですか。この宇宙から|命《狂気》が失われるのは惜しいことです。頭がおかしくなる? いえいえ、頭なんて、今の状態では無いも同じではありませんか。それに……頭がおかしくなる『こと』はいいことじゃないですか! ぬいぐるみの群れが一斉に泣き出した。わんわん、わんわん、やかましい。……からかいすぎた? それはよくありませんね。人の|心《狂気》を傷つけては……。予言の消失からオマエ、少し化けの皮が剥がれてはいないか。こほん……元に戻れるかって? |わからないこと《不確定な未来の事象》について、考えても仕方ありません!
お話のついでに情報を掻き集めるとよろしい。
さて、ぬいぐるみ。
なんだか、見覚えが有るのではないか?
🔵🔵🔴 成功

榴 (h01965)と参加
「ここは?」
気がついて見回せば教室と思しき場所
一面に転がるぬいぐるみの山
「ああ、榴。あなたもいたんですね」
彼女の姿に心強さと安堵を覚えながら、伸ばした自分の手がおかしい
黄色い、もこもこした生地? 羽のような
窓ガラスに映った私はまごうことなき『ひよこさん』だった
落ち着いて。そう、まずは一服して
この手は煙草を掴めなかった、だいたい指がない
また可動域が狭すぎて無理に動くと裂けそう
綿が出ちゃう
「榴、私たちはなんらかの怪異の攻撃を受けています」
幸い榴は無事のようです
他のぬいぐるみたちは行方不明の生徒みたいですね
手がかりはあるでしょうか?
【魂魄蝶】を発動
とにかく話を聞きましょう

アドリブ・アレンジ歓迎。
小鳥(h01076)
心情
…おや?
さっき居た教室…ですか、此処?
…この学校ってどこもこんな感じだったので…記憶が…
…って、もしかして…小鳥姉様、ですか!?
何故、小鳥姉様が可愛らしい|人形《ひよこさん》に!?
…僕は|【深海の捕食者】《この子》が護ってくれたので…大丈夫ですが…小鳥姉様は、全然大丈夫では、ありませんね。
行動
【深海の捕食者】が|あの《・・》嗤う縫いぐるみを食い破ったのは、記憶しているのですが。なんか見慣れぬ、縫いぐるみに話しかけらます。
口調・雰囲気から何となく察するものがあり、最後に煙草を探す仕草から思わず確認をしてしまう。
取り合えず、小鳥姉様を元に戻さないと!
夢と現の狭間、交差している。
啄まれた綿が――噛み千切られた断面から――ヤケにリアリティのある臭いが漂った。漂ったかと思えば、鼻を抓もうとしたかと思えば、刹那、思いがけない状況に身体が落ちる。……おや? 果たして此処は『何処』なのだろうか。先程まで存在していた『教室』とは、遥かに、怪異の気配が濃厚だ。……この学校って、どこも、こんな感じだったので……記憶が……いえ、僕が、これにも『慣れて』しまったのでしょうか。わからない。わからないが、あの、嗤うぬいぐるみに対して|深海の捕食者《かれ》が反応した事だけは覚えている。ふと、足元から柔らかな感触。視線を真下へと投げたのであれば――ピヨピヨ、ピヨピヨ、見慣れない|ひよこさん《ぬいぐるみ》からのお声かけ。……って、もしかして……。
くるくる、くるくる、勝手気儘をやっていた目の玉。如何にか治まってくれたと謂うのに、また、酷使をしなくてはいけない。ここは……? 気付けをされるよりも前にもう一度のくるり。一面に転がっているのは――さて、自分の身長ほどの、ひどく大きなぬいぐるみの群れだ。そして、視線を上げたならば見慣れた顔。ゴスロリがお似合いな彼女はさて、オマエの|義妹《かわいい》ではなかったのか。ああ……榴、あなたもいたんですね。義妹が何故だか騒がしい。義妹が何故だか狼狽えている。まるで、恋バナでもしているかのように、くるくる、くるくる、目を回している。……いや、そんなはず……いくら怪異と謂っても、そんな……? 心強さと安堵の中に這入り込んできた奇妙な予感。かるく、伸ばしてみた自分の手がおかしい。黄色くて、もこもことしていて、なんだか、羽毛のような……? ご都合主義的に存在していた窓ガラス、其処に映り込んでいたのは小鳥ではなく……ひよこさん。落ち着いて、落ち着いて、そう、まずは一服……。如何して煙草が掴めよう。そもそも、今のひよこさんには指がない。そして、如何やら義妹も確信してしまったご様子だ。小鳥姉様……? こ……小鳥姉様が……可愛らしい|お人形《ひよこさん》に!? 慌てている義妹の足あたりをぽんぽんしようと試みた。試みたが、ああ、可動域が狭すぎて――裂けそうだし、綿が出ちゃう……。こ、小鳥姉様、動かないでください……その、出ちゃいますから。
榴、私たちは、なんらかの怪異の攻撃を受けています。
……いえ、私の勘ですが、これは、攻撃ではないのかもしれません。
攻撃ではない……ですか? えっと、僕は……この子が護ってくれたので……。
攻撃であろうと、攻撃でなかろうと義妹としては関係がない。何よりも義姉が被害に遭っているのだ。今すぐ元に戻さなければならない。囁け、囁け、囁けば囁くほどに『肌の色』が見えてくる。見えては来るのだが、これはたっぷり10分必要そうだ。榴……治療は後でも良いから、まずは、お話を聞いておきましょう。他のぬいぐるみは行方不明の生徒さん。生徒さん達から『手がかり』を貰えば呪いの正体も暴ける筈。
……ぼく、お父さんが読んでいた本で、見たことあるよ。
あれ、えっと……ブゥードゥーだったかな。
榴、前言撤回、可能な限り、早く治してくれると嬉しいです。
……わ、わかりました……小鳥姉様……!
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功
第3章 ボス戦 『ブードゥー教狂信者のベナン人霊『エジリ』』

POW
黒いブードゥー人形
60秒間【触れた者を呪うオーラをまといながら祈り】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【60秒後に死ぬ呪い】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
60秒間【触れた者を呪うオーラをまといながら祈り】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【60秒後に死ぬ呪い】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
SPD
白いブードゥー人形
爆破地点から半径レベルm内の全員に「疑心暗鬼・凶暴化・虚言癖・正直病」からひとつ状態異常を与える【死に至る病原菌の塊】を、同時にレベル個まで具現化できる。
爆破地点から半径レベルm内の全員に「疑心暗鬼・凶暴化・虚言癖・正直病」からひとつ状態異常を与える【死に至る病原菌の塊】を、同時にレベル個まで具現化できる。
WIZ
灰色のブードゥー人形
半径レベルmの指定した全対象に【灰色のブードゥー人形】から創造した【人形もしくはぬいぐるみ化する闇】を放つ。命中した対象は行動不能・防御力10倍・毎秒負傷回復状態になる。
半径レベルmの指定した全対象に【灰色のブードゥー人形】から創造した【人形もしくはぬいぐるみ化する闇】を放つ。命中した対象は行動不能・防御力10倍・毎秒負傷回復状態になる。
教室は最早ない。
教室と思われていた空間は――学び舎だと思われていたこの場所は――刹那の内に『陽気な死神』の悪戯によって塗り潰された。最初、君達は此処を『冥府の入り口』なのだと認識するだろう。その認識は間違いではない。何故ならば、君達は永遠の交差点に迷い込んでしまったからだ。自動車はない、自転車はない、人の気配も何もない。ぬいぐるみだけが信号待ちをしていて――ああ、ブードゥー人形が幸せを望む。
……あたしはエジリ。
お父さんから、ここを守っていてねって言われたんだよ。
でも、でも、お父さんは何にもわかってないんだもん。
陽気なだけじゃ幸せにはなれないって。
だから……あたしはみんなをお人形にするんだ。
人間が、みんなが、お人形になったら、それはすっごく幸せな事だと思うもん。ねえ、あなたもそう思わないかな? 思うよね! そうだよね!
邪教として歪められた結果がこの少女だ。奴隷として虐げられてきた結果がこの霊魂だ。嗚呼、確かに――少女は悪意なんて欠片と持っていないし、きっと、法で守られるべき者であった。だが、君達はやらねばならない。この、純真無垢な少女の霊を祓わなければならない。たとえ、誰かに罵られようとも。
ゲーデが手招きしている。バロン・サムディが踊っている。
そうして――人形が色を吐き出した!

はぁ?
人間を人形にして何になるん?
人形みたいに人間を使って遊ぶんやったら否定はせんわ
せやけど、人形にして皆同じにして幸せだぁ?
ソレはテメーのエゴだろが小童
抗う人間を嬲るんが愉しいんだろうが
そも化け物が幸せなんてもん望んでんじゃねぇよ!
今まで霊能波ばかり使用してきた為、今回も使うと見せかけて騙し討ち
「九尾妖力術」
相手が霊体だろうが何だろうが関係ねぇ
物理的に殴れるんだったらぶん殴って目ぇ醒させたるわ
その面も肉体も尻尾で薙いで貫いたる
無垢やから罪は無いなんざ関係ねぇな
知らない事が幸福だ?
んなもん知っているから言えるだけなんだよ
テメーの考えを他者に押し付けてんじゃねぇ小童
呪いの威力が跳ね上がっている。
永遠の交差点――生と死の狭間に――傾斜が在るとは思えなかった。転がってきた木の実に気付いた少女は、よいしょ、と、小さな『それ』を拾ってみせる。足を向けた先は『おしまい』だと謂うのに種子の類が――萌芽の前兆が這入り込んでくるのは如何に。ねえ、お兄ちゃん。お兄ちゃんはさ、あたしと遊びたいのかな。それとも、あたしで遊びたいのかな。邪気が無いと、無垢そのものだと、そう描写をすべきなのだが、今の少女の姿形は如何しても『魔障』の類に思えてならない。……はぁ? 人間を人形にして何になるん。きっと何にもならない。何にもならないからこそ、それは幸福で平穏なのだ。人形みたいに人間を使って遊ぶんやったら、否定はせんわ。せやけど、人形にして皆同じにして幸せだぁ? ソレはテメーのエゴだろが小童。ぴくりと、少女の身体が反応した。そっか……お兄ちゃんは、なんだか、哀しいひとなんだね。臓腑がざわつく。鷲掴みにでもされたかのような、堪忍袋を弄られるかのような、筆舌に尽くし難い噴火口――抗う人間を嬲るんが愉しいんだろうが。そも――化け物が幸せなんてもん望んでんじゃねぇよ!
覗き込むのは此処までだ。強かさを演ずるのは此処までだ。いいや、強かに打つならば『今』だろう。その巨躯を活かして――その膂力を存分に揮って――只、九つを強靭とする。無垢やから罪は無いなんざ関係ねぇな。純粋だったとしても、それは一種の嘘吐きや。少女は闇を放つよりも先に|臓腑《モツ》を落とすか。落としたとして、それを見る為の面も|虚《な》い――知らない事が幸福だ? んなもん知っているから言えるだけなんだよ。テメーの考えを他者に押し付けてんじゃねぇ小童。
少女はぽっかりと口を開けていた。
いや、もう、口らしき部位は無いのだが。
🔵🔵🔴 成功

WIZ アドリブアレンジ歓迎
ブードゥー教とは!遠き地の信仰を学び、
日本に広めようとなさるとはなんと尊い行い!
信仰は違えども私達はきっと同じ方向を向いているはずです。
ぜひお互いの信ずるものについてお話を…
…いやいやいやいや人をぬいぐるみにするのはだめですって!
反省してください!
そういえば私<念動力>をちょっとは使えました。
苦手なのであんまり使わないんですが
ぬいぐるみの身体をのそのそ動かして、
見覚えがある気がするぬいぐるみに触れて
【運命の不協和】を使用し情報を引き出します。
済んだらエジリさんに情報の強制送信、DDoS攻撃を仕掛けます。
過去と未来が交差する一瞬、現在もまた一つの永遠の交差点です!
交差点に迷い込んでしまったアカシック・レコードの一部、幾らバロン・サムディが賢者で在ろうとも此処までの量は想定外であった。陽気な死神よりも陽気な君、星のように輝くので在れば、先ず、その揃っている所以を教えてあげると宜しい。ブードゥー教とは! 遠き地の信仰を学び、日本に広めようとなさるとはなんと尊い行い! 星越・イサの大きな声に、なんとも意識的な発声に、少女はくるくると目を回した。え……え? あ、あたし……別に、お勉強とか、あんまり好きじゃないもん……??? 信仰は違えども私達はきっと同じ方向を向いているはずです。ぜひ、お互いの信ずるものについてお話を……。電波を遮るように、運命を撥ね退けるかのように、少女はお人形をぎゅうと抱きしめた。その……お姉ちゃんも、お人形さんになってくれてるよね。あたし、お姉ちゃんだから、かわいいお人形さんになれたんだと思うもん……。ペストマスクなんて要らない。要るのは呼吸、肺臓の膨らみなのだ。いや……いやいやいやいや、人をぬいぐるみにするのはだめですって! 反省してください!!! 狂気を大事に大事に背負っていた結果である、意志の疎通なんて初めから無い。お姉ちゃん……あたし、反省しなくちゃいけないの? なにを……? どうして……?
兎にも角にも陽気な君、既にぬいぐるみなのだから、如何やって動くのかを考えなければならない。いいや、考えなくてもその術については頭の中に|狂気《あ》った筈だ。そういえば、私、念動力をちょっとだけ、使えました……。苦手なので、制御するのが難しいので、あんまりやりたくないんですが……。のそのそ、のそのそ、芋虫めいて。芋虫が近づいたのは他の芋虫さん達だ。見覚えがあるような、そうでないような『ぬいぐるみ』に――綿を伸ばした。ええ、ええ、任せてください。私がちゃんと、元の場所に返してあげますから。情報は十分だ。過剰なまでに手の中だ。しかし、嗚呼、情報は文字通りの屑として散らかった!
お……おね……お姉ちゃ……なに、これ……あたま、いたい……。少女の脳内へと――魂へと――強制的に送信された無量の沙汰。DDoS攻撃が呪いそのものを薄め、溺死状態にさせていく。過去と未来が交差する一瞬、現在もまた一つの永遠の交差点です! 汚染されたミームと宗教に対しての歪曲。無辜なる邪悪に対しての痛恨であった。
🔵🔵🔴 成功

思いません
貴方は楽しいでしょうが、それは貴方だけのもの
確かに悪意も害意も無いようですね
そしてある種の善意に満ちていらっしゃる
それでも、被害が出ている以上は加害者だ
でしたら私は警察として、彼女の行為を否定します
ここが死神の辻ならば、貴方はもうどこにも至らない
さて、死ぬつもりもありませんので手早く済ませましょう
拳銃に√能力を乗せ迎撃
最悪、命中せずとも着弾地点さえ範囲内ならば許容です
むしろ周囲にも邪魔が多い場合、より巻き込める方が望ましい
確実に、彼女を止めます
私にはその虐げられた過去は変えられないし、その狂気は救えない
ならばせめて、"彼女たち"の行く先に悲しい未来が続かないように
俺が継いでやるから
約束とは呪いである。
男で在ろうと、女で在ろうと、大人で在ろうと、子供で在ろうと、罪は罪なのだと認めなければならない。たとえ、如何様な聖人で在れ、たとえ、如何様な悪人で在れ、過去、現在、未来を視なければ――真に応報する事は困難で在ろう。……思いません。貴女は楽しいでしょうが、それは貴女だけのもの。確かに、悪意も害意も無いようですね。そしてある種の善意に――使命感に――満ちていらっしゃる。成程、考えてみればオマエと少女、よぉく似ているのかもしれない。善き歩行者はたとえ、永遠の交差点で在ろうとも手を上げて進むべきなのだ。……お兄ちゃん、お兄ちゃんは、さっきのお兄ちゃんとは逆なんだね。それでも、答えはまったく同じなんだもん……頭が痛くなってくるよ。鞭を打たれたかのように、煮え湯を飲まされたかのように、遂行をしなくてはならない。いや、これはきっと強制ではなく――信念が孕む『もの』であった。
それでも、被害が出ている以上は――拉致監禁が暴かれた以上は――貴女は立派な加害者だ。でしたら、私は警察として、貴女の行いを否定します。嗚呼、もうお終いだ。|お父さん《バロン・サムディ》が楽観的で在ろうともお終いだ。輪っかの頑丈さについては『彼』の方がよく理解をしている。ここが死神の辻ならば、貴女はもうどこにも至らない。ランタンに火を点そう。天国も地獄も無いのであれば――さまようウィリアムは何を想う。
さて……。相手が死神の娘だったとしても、今ここで『死ぬ』つもりはない。白い小鳥が羽搏くよりも前に灰色、その弾丸を放ってやると宜しい。十分だ。もう、十分だ。範囲内に少女が『存在している』時点で――|異能《ハシバミ》は効力を発揮する。確実に、貴女を止めます。貴女に罵られても構わない、貴女に何を言われても構わない。そう……私には、その虐げられた過去は変えられないし、その狂気は救えないのだから……。足先に落ちてきたのは眼球か、或いは、脳髄か――前頭葉で呼吸が可能だなんて、まったく、面白くもない冗談だ。手早く済ませた、それだけのこと。
せめて、彼女たちの行く先に悲しい未来が続かないように、俺が継いでやるから。
お兄ちゃんは……あたしの、あたしたちの、これ、背負ってくれるの?
だったら、うれしいな。あたしだけじゃ、抱えきれないもん。
🔵🔵🔴 成功

榴 (h01965)と参加
影神子に煙草を咥えさせて貰い火を着ける
紫煙を漂わせながら敵を『おびき寄せ』る
しかし、生地に火が燃え移りそう、もう諦めます
「榴!」
彼女がいつになく積極的に前に出る
愛らしい私に保護欲が掻き立てられて? それはないですか
「私は今あまり幸せではありません」
煙草も吸えないしお薬を打つのも難しい
嘴に天獄を咥えて『串刺し』にして『傷口をえぐる』
「あれが以前話していた……」
彼女の|奥の手《深海魚》につぶらな瞳で見つめる『ひよこさん』
あんな魚に任せて榴は私を見捨てたのでは?
疑心暗鬼が私に取り憑いて|離してくれない《精神汚染》
事実はわからない、綿が飛び出てる
ぬいぐるみを斬って齧りましょう

アドリブ・アレンジ歓迎。
小鳥姉様(h01076)と参加
心情
…お父さんとは…?
…幸せに定義はありません。
人に害を及ぼすなら、無垢でも敵でしかないのです。
…お互い…死ぬまで|殴り合い《近距離戦》を、致しましょう?
…僕は、魚になります。
…小鳥姉様、1人にします。…御免なさい。
行動
小鳥姉様との[連携攻撃]を念頭に[ダッシュ]で距離を縮め、タロットの[貫通攻撃]と深海の捕食者で[受け流し]からの[カウンター]で猛攻をします。
回復は、武器攻撃による[生命力吸収]を。
行動を停止させられる訳にはいきませんから。
――が、僕が餌になれば干渉を受けません。
死亡する前に僕を生贄にして【僕が愛した深海魚】を発動させる。
まるで――酩酊をしている小鳥のようだ。目を回している榴のようだ。何かを求めて、何かを欲して、幻視をしているかの如くに少女は『お父さん』と呟いている。天を視ているのか地を視ているのか、生を視ているのか死を視ているのか、判断すらも難しいが、兎も角。……お父さんとは……? 幸せに、定義はありません。何をしているから幸せだとか、何を出来ないから不幸だとか、そんな『こと』は――確かに、自己の視点でしかないので在ろう。……ええ、人に害を及ぼすなら、無垢でも敵でしかないのです。たとえば、|出来損ない《オルガノン・セラフィム》、此方を殺しに来てくれるのだから、対処せざるを得ない。……如何でしょうか? お互い……死ぬまで、殴り合いを、致しましょう? 四之宮・榴からの、√能力者からの宣戦布告だ。如何してかはわからないがムキになっているようにも思えてならない。……お姉ちゃん? それは、あたしは良いんだけど、なんだか、無理してないかな。少女に何かを察せられてしまったのか。……僕は、いたって正気ですので……。
義妹と少女が何かしらお話をしている。背丈がぬいぐるみなので、嗚呼、言の葉が雨のようにやってくるのか。わからない。わからないのではなく、あまり耳にしたくない。|影神子《かげ》に煙草を咥えさせ、貰い火をつける。それこそ、羽虫を誘うかの如くに紫煙を漂わせた。けほっ……な、なに、これ……? 甘い匂いが齎したのは強烈な目眩だ。脳髄がずるりと傾いて――そのまま、少女の身体も。……あついです。生地に燃え移って終いそうだ。綿が出るのか丸焼けか、味わうのはもう諦めるとした。
めまいが蔓延る中で――恍惚がさまよう底で――ゴスロリの君は前へと駆けた。念頭に置いているのは義姉との連携だが、それよりも逸って、逸って仕方がない。所以は解せないが、所以は判らないが、只管に――嗚呼、隠者が前に出るとは何事かと。お姉ちゃん、顔色が悪いよ。なんで、そんなに自棄になってるの? ……僕が自棄に、なってる……? そんな筈はない。今、少女の一撃一撃を冷静に|深海の捕食者《かげ》で流しているのだから。そうなんだ。でもお姉ちゃんが一番、ぬいぐるみになりたがってるように思えるもん。闇に触れてはならない。この『闇』とは『人の心』であった。
榴……! 嘘ではないし、感覚的な話でもない。あの義妹が、彼女が、いつになく積極的に『前』へ『前』へと身を投げている。愛らしい私に保護欲が掻き立てられて? それとも、恋をしている誰かに良いところを見せたいから? いいや、それも、これも、ない。遠くだ。今、義妹が遠くへと行きたがっているように思えて、頭が伽藍洞になって終うかのよう。私は今、あまり幸せではありません。隠蔽された槍衾の如く、托卵をする何者かの如く、煙草も吸えないしお薬を打つのも難しい、だったら、討つしか道はないのか。咥えた天獄の行方こそ如何に――少女が霊体だったとして、嗚呼、この汁気は何処からやってくる。
……僕は、魚になります。
……小鳥姉様、一人にします。
……ごめんなさい。
お姉ちゃん、それは、ずるいよ? 四之宮・榴は生贄である。永遠の交差点にて冒涜的な沙汰をするとは、嫌がらせをするとは流石と謂うべきか。インビジブルが貪っていく。インビジブルが啜っていく。欠片としても四之宮・榴が見当たらなくなったら――其処で泳いでいるのはデメニギスか。あれが……以前、話していた……。つぶらな瞳で奥の手を視た。ひよこさんはうさぎさんよりも寂しがり屋なのだと、あの|榴《フレッシュ》は忘れたのか。あんな魚に任せて、榴は私を見捨てたのでは? こびりついた疑心暗鬼。精神の汚染は留まる事を知らず――事実を別の事実として、塗りたくる。綿はもう出てこない。出てこないほどに、あふれたのだ。他のぬいぐるみを斬って、何度も、何度も、反芻をする……。
反芻をしているのは魚も同じだ、お馴染みだ。
焦がれていく、焦がしていく。
……愛されているんだね、うらやましいな。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功

【物部】
※地の文はナレーションです※
あらあら、あの子が呪いの源みたいです。やっつけないとね。
だって七不思議のトップはリサちゃんになるんだもの。
こんな時は、そう! タケちゃんを呼びましょう。
来てくれましたね、さすがリサちゃんのタケちゃん。
リサちゃんがどこにいたって駆けつけてくれるんです。
リサチャンのためなら、大事な『タケちゃん号』だって貸してくれるんです。
貸してくれるよね?
貸してくれるって! やったねリサちゃん!
ふたりの愛の力、見せつけてやりましょう。
愛の相乗り、突っ込めタケちゃん号! レッツゴー☆
|藁人形《わるいこ》は――『呪い』は、アナタに返してあげましょう。
アナタは『関わった』。『関わった』でしょう? あらあら。
じゃあもう、逃げられませんね。逃がす気なんて、リサちゃんにはありませんけどね。
逃がさない代わりに、最後にぎゅ~くらいはさせてあげましょう。
だってリサちゃんは、可愛くて、カッコよくて、強い七不思議だもの。
七不思議のトップだもの。テッペンだもの。『器』があるね、然るべき。

【物部】
ウェ~……リサちゃん、ホントにやんないとダメなの~?
このバイク高いんだけど~……でもやっちゃ~う☆
チャラ男たるもの、破天荒上等~!
後ろに乗りなマイハニー、後悔は明日以降のオレがするぜ。
枕を濡らしたその時は、キミが抱き枕になってくれよな。
行くぜリサちゃん!
可愛いぬいぐるみだからって、振り落とされちゃダメだぜ♡
突っ込めタケちゃん号! 当たって砕けろタケちゃん号!
いや、やっぱできるだけ無傷で頼む……!
何はともあれ――抵抗は無駄だぜ。
オレはとっくに、リサちゃんの|呪い《ラヴ》に染まっちまってるんだからさ。
さあさあ、ご注目。これより此処はリサちゃんのダンスフロア。
お手をどうぞ、リトルプリンセス。オレと踊ろうぜ終焉まで。
かわいいかわいい、クマちゃんの迎えに来るまで。
リサちゃんは呪いのお人形サンとは違うぜ。
オレがつけた大事なお名前があって、オレから|愛着《ラヴ》もたっぷりだからネ☆
だが――呪いはリサちゃんの十八番だぜ。
矛盾してる~? 宇宙規模で見れば些細些細~☆ チヤラヲ的にはセーフ!
お友達を増やす方法と幸せになる方法、ひどく似ていた。
お呪いの強さは――呪詛の濃厚さは――人が、知的生命体が、集れば集るほどに膨れ上がる。それが祝福の類だったとしても闇色が滲み出てしまう所以とも考えられた。たとえば『こっくりさん』、人数が増えれば増えるほどコインの挙動も不振と成るのか。あらあら、あの子が呪いの源みたいです。やっつけないとね。少女が不思議そうに|お人形さん《リサちゃん》を見ている。なんで? ねえ、なんで、お人形さんなのに、あたしのことを睨んでいるのかな? 純粋な疑問ではあった。無垢から来る敏感でもあった。しかし、嗚呼、リサちゃんにとってはトップへとのし上がる為の踏み台にすぎない。七不思議の|頭《ヘッド》はリサちゃん。そうだよね。こんな時は、ええ。タケちゃんを呼びましょう。
つんつん、つんつん、少女が不思議そうに|お人形さん《リサちゃん》を突いている間、手招きされたチャラ男の反応や如何に。ウェイ!? タケちゃん号の出番だって聞いたけどさ、リサちゃん? オレの自慢のタケちゃん号、何に使うつもり~? ってそこのリトルプリンセス??? リサちゃんに何やってんの??? 呪われるぜ? 呪われるも何も最初からお呪い側だ。兎にも角にもつんつん、やめてみる。あ、お兄ちゃんだ。お兄ちゃんは、このお人形さんのお友達なのかな? あたしが、お兄ちゃんをお人形にして、もっとお友達にしてあげるもん。ウェイウェイ、リトルプリンセス。それはお断りってやつだぜ? しゅん、と少女が悲し気なお顔をした。そんな悲し気なお顔のお隣で『頬を膨らませる』テディベアひとつ。リサちゃん??? オレ、なんか変なことしちゃった系??? リサちゃんはお利口さんだから『おねがい』を聞いてくれたら赦してくれる。良かったね。
ある種の嫉妬を飲み込んで『タケちゃん号』を示す。貸してくれるよね? 圧である。凄まじいほどの『圧』がチヤラヲに圧し掛かった。り、リサちゃん、ホントに? ホントにやんないとダメなの~? このバイク高いんだけど~……でもやっちゃ~う☆ ちょっと渋っていたけれども流石はチヤラヲ、その破天荒さは留まる事をしらない。お……お兄ちゃん? 何するつもり? あ……あたしを、それで……轢くつもりなのかな? ごめんなリトルプリンセス、このバイクは二人乗りなんだぜ。それより、後ろに乗りなマイハニー、後悔は明日以降のオレがするぜ。枕を濡らしたその時は、キミが抱き枕になってくれよね。ああ、覚悟は決まった。覚悟が決まったのならば、やるしかない。
貸してくれるって! やったねリサちゃん! ふたりの愛の力を泥棒猫候補に見せつけてやるべきだ。後ろに乗っかって十分な距離を稼いだら――愛の相乗り、突っ込めタケちゃん号! レッツゴー☆ 文字通りに当たって砕けろだ。いや、砕けたら修理費とか諸々大変なのだが。……やっぱできるだけ無傷で頼む……! こないで……! 少女の悲鳴が聞こえる。少女の命乞いが聞こえる。永遠の交差点で事故とは洒落にもならない。……抵抗も、命乞いも無駄だぜ。オレはとっくに、リサちゃんの|呪い《ラヴ》に染まっちまってるんだからさ……! 気障な男も振り切ってしまえば悪くない。
後部から――|お人形さん《リサちゃん》から、呪い返しとやらのテンプレが飛んでくる。藁人形は……わるいこは……呪いは、アナタに戻してあげましょう。少女は関わった。関わったのだから、遁走する術など最早ない。逃げ道なんてわざわざ用意する必要なく、最初から、リサちゃんの綿の中ではあった。……あれ? なんで、あたしが……罹ってるのかな? 情け容赦のない五寸釘だ。いいや、五〇寸釘だ。リサちゃんが構えを『した』と同時に――外星体の右掌が躍り出る。
さあさあ、ご注目! これより此処はリサちゃんのダンスフロア! 「お手をどうぞ」リトルプリンセス。オレと踊ろうぜ終焉まで。かわいい、かわいい、クマちゃんの迎えが来るまで。少女は脱力した。まるで『宙のおわり』と衝突したかのように、がくんと、崩れ落ちた。え……? あれ??? お、お兄ちゃん。もしかして、もう、遊べないのかな。ああ、遊びはおしまいだ。でも、安心してくれ。リサちゃんは呪いのお人形サンとは違うぜ。オレがつけた大事な名前があって、オレから|愛着《ラヴ》もたっぷりだからネ☆ 愛着を言い換えるならば執着か。最後の最後に仕掛けてきた、ぎゅう、強い強い七不思議からのファンサービス。然るべき器に囚われたなら――嗚々、少女はドールと同じにされるのか。
リサちゃんの十八番で勝負したってのが、リトルプリンセスの敗因さ。
矛盾してる~? 宇宙規模で見れば些細些細~☆
チヤラヲ的にはセーフ!
箱の中身を確かめようとした。
確かめようとして、其処に希望はないのだと今更。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴 成功

あら?誰あなた?
お人形になるのが幸せ…?
まぁ、お馬鹿さんね!
お人形になったら美味しいものが食べられないし、迷惑よ
わたしがお人形遊びをするのなら良いけれど!
嫌ね、なにあれ?
なんだか汚らしいわ!とっても便所虫さん!
わたし、カタツムリさんだから| そんなのきかないわ《すぐ生き返るのよ》
ところであなたとってもかわいいわね!
まぁ大変!虚言癖にかかってしまったみたい
わたし、嘘つきさん!
串刺しにして金属バットでたくさん殴るしスイカもぶつけるわ
あ、このスイカかわいいでしょ?この前お庭でとれたの
かわいいからスイカ割りができないからあなたの頭を割って遊ぶの!
わたし、カタツムリさん!
汁気も呪詛もたっぷりだ。
ファム・ファタールの言の葉は暗号よりも困難で、先ず、指先で把握しなければならない。地獄にこそ情念が宿っているのか、至極にこそ情念は生えてくるのか、何方にしてもカタツムリさん。その柔軟な殻の中身は『くるくる』と回転しているに違いない。あら……? 誰あなた? お人形になるのが幸せだと、ぬいぐるみになるのが幸せだと、名前も知らない少女が宣う。キラキラと輝かせていた双眸が、フッと、闇を孕んだのには訳が在るのだろうか。兎も角、カタツムリさんは正直だ。まぁ、お馬鹿さんね! お人形になったら、ぬいぐるみになったら、美味しいものが食べられないし、迷惑よ! お姉ちゃん……お姉ちゃんみたいな人こそ、お人形になった方が良いんじゃないかなぁ。少女も負けじと口撃だ。口先が槍だったとしても、剣だったとしても、カタツムリさんの精神には響かない。わたしがお人形遊びをするのなら良いけれど! それに、あなた、ひとりでおままごとをするのがお似合いよ! お姉ちゃんの口の悪さが妹に感染したかのようだ。あなた、ひどいこと言うのね! ひどいことを言うあなたにはお仕置きが必要よ! お姉ちゃん……? 誰とお話してるの……? わからない。わからないが、きっと、望遠でならば見えるものだ。
嫌ね、なにあれ? 真っ白いお人形が、ブードゥーのお人形が、鼠のようにはりきった。ぐるぐる、ぐるぐる、花火のように蠢いて『病』とやらを蔓延させる。なんだか汚らしいわ! とっても便所虫さん! ……ひぐ。|便所虫さん《ひとこと》を喰らった少女は涙目だ。お姉ちゃんは……なんで、そんなに、お話をしてくれないの……? 病に感染したところで、寄生されたところでカタツムリさんのおめめ。七色だったと謂うのに元通りか。わたし、カタツムリじゃないわ。カタツムリさんだから、そんなのきかないのよ。息を吹き返した。ああ、青い。何が蒼いのかと問われれば、少女のお顔の方だ。ところであなたとってもかわいいわね! まぁ大変! 虚言癖にかかってしまったみたい。わたし、嘘つきさん! わぁん、わぁん……。ぽろぽろ、ぽろぽろ、雫が落ちる。
ぐずぐずしていたダンゴムシさん。少女に対して、カタツムリさんは情けも容赦も知らない。知っているのは少女の中身の方。あ、このスイカかわいいでしょ? この前お庭でとれたの。剛速球だ。少女の顔面にぶち当たったスイカ、かなりのニマニマを湛えている。かわいいから、スイカ割りができないから、あなたの頭を割って遊ぶの! え……え??? いま、なんて……? わたし、カタツムリさん! ナメクジさんみたいに、軟弱ではないの!
ぐしゃ!!!
串に刺してから、固定してから、たくさん。
🔵🔵🔴 成功

まぁ人間が皆、人形になればある意味平和かもね。
人形にゃ空腹も学校も競争社会もイジメもないだろうし。
でもアタシはそんなの御免だからアンタをぶっ飛ばす。
アンタの全力の一撃をしてみなさいな、受けた上でぶっ飛ばしてやるわ。
と攻撃を宣言し相手がチャージするのに合わせてこちらも竜漿を全身に漲らせるわ。
(この段階での高出力の竜漿に竜皮衣が耐えきれず吹き飛ぶのを防具を脱いだってことで)
相手の攻撃タイミングを【見切り】全力の【オーラ防御】で
呪いを|弾き《【吹き飛ばし】》【カウンター】で
【怪力】を用いた竜姫渾身撃を叩き込んであげる。
ふぅ……これするとあられもない格好になっちゃうのが欠点ね。
早めに退散しましょ。
人間の底知れない悪意については――人間の底なしの欲望については――何故だか、オマエは知っているような気がした。目を逸らす必要がないほどに丸洗いされていたオマエは、さて、如何様な思考を抱えて少女に挑むのだろうか。まぁ……人間が皆、人形になればある意味平和かもね。人形にゃ空腹も学校も競争社会もイジメも、殺意もないだろうし。でも、アタシはそんなの御免だからアンタをぶっ飛ばす。……お姉ちゃん? それ、本当に、お姉ちゃんの意思なのかな? あたしには、お姉ちゃんが本気で言ってるようには思えないもん。お姉ちゃん……? お姉ちゃんですって? アタシを『お姉ちゃん』って呼んで良いのは|義妹《サーシャ》だけよ。これで、アンタをぶっ飛ばす理由が増えたわ。アンタの全力の一撃をしてみなさいな。受けた上で、受け止めた上で、確実にぶっ飛ばしてやるわ。宣言である。宣戦布告である。ドラゴンプロトコルの言の葉に嘘偽りはなく。その『威』に少女は気を引き締めた。そっか……わかったよ、お姉ちゃん……。
祈りは神に届くのだろうか。祈りは|お父さん《バロン・サムディ》に届くのだろうか。嗚呼、少女の信仰心は本物で『死』の呪いが蓄積されていく。それに呼応するかの如くにアーシャ・ヴァリアント、ドラゴンプロトコルの体内で|竜漿《ちから》が開放の瞬間を待っていた。来なさい……! 見切りの技術など最早、不要であった。少女は自分の姉に対して『する』ように――オマエの胸の中へと――死を以て飛び込んできた。その時だ。|竜皮衣《ドレス》が爆ぜると共に呪いが弾けたのは。……へ? 少女の驚きは計り知れない。歯ぁ食いしばりなさい。食いしばったところで、アンタがこれを受け止めきれるかはわかんないけど。|竜姫渾身撃《ドラゴニック・スマッシュ》――真正面からの致命であった。
ふぅ……これすると、あられもない格好になっちゃうのが欠点ね。
誰も見ていない今が好機だ。土煙と一緒に失せると宜しい。
早めに退散しましょ。
🔵🔵🔴 成功

……あぁ?哀しいだぁ??
テメーに俺の何が分かるってんだ??
分かった様な口利くんじゃねぇ小童
寂しがりなテメーと一緒にすんじゃねぇ
父親とやらのお願いを聞くんは悪い事じゃねぇ
そこから自分で考えて何かを成そうとするのも悪くはねぇ
けどな、誰かに縋ってねぇと楽しめねぇテメーと俺を同列に騙るな、餓鬼
九つの尻尾で牽制しながら小童の中心部分に「霊能波」
その辺りに居るぬいぐるみを盾にするのも厭わない
この状態で元に戻れるとは思ってねぇ
ならせめて何かの役に立って死ぬ方が存在意義がある
孤独と孤高は違ぇんだよ
真に独りってのは誰の力も借りずに何かを為す奴だ
寂しいんだったら初めからそう言えば良かったんだろうがよ餓鬼
アドリブ可
筆舌に尽くし難いものに――形容し難いものに――遭遇した時、人は頭を抱える事しか出来ない。それに関しては少女も同じ様子であり、未だ、存在をしている化け物に『怪訝』とやらを突き刺してみせた。……あぁ? 哀しいだぁ? テメーに俺の何が分かるってんだ?? 理解ではない。むしろ、少女は理解したくないとまで思っているのか。噴火口を前にしてぼんやりと、口を開けている。分かったような口利くんじゃねぇ小童。寂しがりなテメーと一緒にすんじゃねぇ。結局のところ、人と化け物が分かり合えないのだ。化け物と化け物が分かり合えない事だって、日常の通りである。父親とやらの願いを聞くんは悪い事じゃねぇし、そこから自分で考えて何かを成そうとするのも悪くねぇ。けどな、誰かに縋ってねぇと、誰かに背負ってもらわねぇと、楽しめねぇテメーと俺を同列に騙るな、餓鬼。……あのさ。何か、食い違っている気がするから、言っておくね。あたし、あなたみたいにはなりたくないもん。心の底からの拒絶である。
亀裂は最早治まらない。治める必要すらもないのだから、あとは、明快な殺し合いであった。膨れ上がった闇を縫うかのように躱し、少女の|呪詛《おまじない》とやらを掃いていく。掃いた先に存在しているのは――無数の|お友達《ぬいぐるみ》であったのか。なあ、これ、元には戻らねぇよな。なら、せめて、何かの役に立って死ぬ方が存在意義あると思わねぇかよ。……なに、してるの。あなた、たぶん、このままだと、誰にも理解されずに終わっちゃうよ。それでも、良いのかな……?
孤独と孤高は違ぇんだよ。
波が少女を叩きのめした。地に伏せた『それ』を何度も、何度も、踏みつける。真に独りってのは誰の力も借りずに何かを為す奴だ。寂しいんだったら初めからそう言えば良かったんだろうがよ、餓鬼。……もういいや。あたしも、見なかった事にするの。
🔵🔵🔴 成功

アドリブ共闘大歓迎
なるほど、そういう系か
無垢な善意ほど暴力的なものはないね
生憎同情するほど君と親しくないし、叱りつけてやるほど優しくないからさ
せめてもの情けであるべき場所へ送ろう
√能力使用
攻撃は受け流していく
第六感、医術、見切りで致命傷をさける
幸せだ何だって言っているのに振りまいてんのが病原菌ってダメだろ
こんなモノ早く燃やしてしまったほうが良い
人間を人形にしたところで幸せなんて訪れないし、オマエが人形を引き連れて行ったところで父親は何もしない
それしか知らなかったって言うには遅すぎだ
コレが弄くり回した大人のエゴか
ああ、無性に腹が立つ
ふたつの剣は躊躇なく、肉の柔らかさを伝えてくれた。
ブラック・ドックの鳴き声に――チャーチグリムの黙祷に――少女は何を想うのだろう。永遠の交差点で出会った二人は|陽気な死神《バロン・サムディ》の影を見る。いや、仮に影を見たとしても、其処に安らぎなどは齎されない。なるほど、そういう系か。無垢な善意ほど、純粋な子供ほど、暴力的なものはないね。蝶々の翅を毟ったのか、蟻の巣に水を流したのか、真相の沙汰とやらは兎も角、少女の地獄に変わりはない。生憎、同情するほど君と親しくないし、𠮟りつけてやるほど優しくないからさ。せめてもの情けであるべき場所へ送ろう。くゆり、紫煙が漂ったのならば、少女の鼻腔を擽ってみる。むずむず、けほけほ。文字通りに、煙に巻かれたようで。……お兄ちゃん、冷静だもん。あたし、そんなにも、悪い子に見えていたのかな……? 悪い子じゃないから、質が悪いんだ。
ブードゥー人形の群れが――力尽きる寸前の少女を守るように立ち塞がった。ぶくぶくと、致命の病を吐き出しながらも『正直』な気持ちを目覚めさせていく。白かった。何もかもは真っ白だった。白色だったからこそ、感染の経路を暴けたのか。幸せだ何だって言っているのに、振りまいてんのが病原菌ってダメだろ。こんなモノ早く燃やしてしまったほうが良い。怨讐の炎が地獄よりも沸き立ち、無銘の鋭利さへと纏わりついていく。憑いてきた|香煙《エモノ》を狗神の膂力で以て――業火絢爛――叩きつける。
人間を人形にしたところで幸せなんて訪れないし、オマエが人形を引き連れて行ったところで父親は何もしない。……お、お父さん……褒めて、くれないの……? いや、そんなの嘘。噓だもん……。遅いのだ。何もかもは遅いのだ。それしか知らなかったなどと、言うには遅すぎたのだ。泣いている。女の子が泣いている。泣きながら、炭となって。コレが弄り回した大人のエゴか。ああ、無性に腹が立つ。
塵も残さず消え失せた。
別の意味での呪いだけがのたうち、回ってくる。
🔵🔵🔴 成功