シナリオ

正解はいらない

#√ドラゴンファンタジー

タグの編集

作者のみ追加・削除できます(🔒️公式タグは不可)。

 #√ドラゴンファンタジー

※あなたはタグを編集できません。

 正解は必要なのだろうか。正解というものは誰かが決めたものなのだろうか、それとも絶対的な正しさのことなのだろうか。何かをするときに正解を見つけられる者はいるのだろうか。そこにはただ、信じる道があるだけではないだろうか。信じた道を行け、その先に何が待っていようと。間違いを繰り返しても諦めるな。

 その町の外れには古いダンジョンがあった。二千年以上前からあると、そんな噂もあった。町の人間は畏怖して言う、「違わぬ者の墓」と。かつてそこに住んでいた竜を倒した英雄「違わぬ者」から取られた名だった。ここにその英雄が眠っているわけではないが、英雄の痕跡として残るものでは最も古いものがここだった。一度も間違いを犯さなかった正しき心の持ち主、英雄はそう語り継がれている。その遺跡に、どうやらモンスターが住み着いているらしかった。かの英雄の残したものを守らなければならない。町の人々は冒険者にモンスターの退治を呼びかけていた。

「√ドラゴンファンタジーのとある町にあるダンジョンにモンスターが現れます。みなさんにはそのモンスターの退治をお願いします」
  木原・元宏(歩みを止めぬ者・h01188)は集まった√能力者達を前に話し始めた。
「ダンジョンは古いもので、過去の英雄によって主を倒され封印されました。そのダンジョンに再びモンスターが現れているようなのです。ダンジョンは魔法の門で厳重に封印されています。まずはその門を開ける鍵が必要です。鍵は町に保管されていましたが長い年月を経て錆び付き、その魔力を失っています。錆を取り磨いた後で鍵に魔力を込め直す必要があるでしょう。薬剤や√能力などを使って鍵を蘇らせてください。ダンジョンの中に入ると勇気を試される場所があるのでみなさんなりの方法で勇気を示してください。そうすればダンジョン最奥のボスのいる場所に行くことが出来るでしょう。ボスと相対したなら、後はボスを倒すだけです。よろしくお願いします」
 元宏はそう言って√能力者達を送り出した。

「門の向こうから何かの叫び声がするよな」
「ああ、それに何かがガリガリひっかく音やドカドカと門にぶつかる音もする」
「モンスターだよな。英雄の力も今は昔ってことか」
「そうだろ。死んじまったら役に立たねえよ。俺達の時代にモンスターが出るなんてついてないよな」
「まったくだ。何が英雄だ。どうせだったら全部埋めちまえば良かったのに。偉そうな碑だけ残しやがって、生き返ってなんとかしろって言うんだ」

マスターより

九野誠司
 こんにちは、九野誠司(くの・せいじ)です。

 √ドラゴンファンタジーにモンスターが現れました。ダンジョンに巣くったモンスターの退治をお願いします。

 プレイングの受付は「プレイング受付中」のタグでお知らせします。みなさまらしいプレイングを是非送っていただけますと幸いです。
 それではよろしくお願いします。
33

閉じる

マスターより・プレイング・フラグメントの詳細・成功度を閉じて「読み物モード」にします。
よろしいですか?

第1章 日常 『装備を修理する』


POW 装備を運搬したり、実際に装備して確かめてみる。
SPD 鍛え直したり、油を差したり、分解清掃したり……様々なことをする。
WIZ 枯渇した魔力を籠めたり、知識の抜けを埋める。
√ドラゴンファンタジー 普通5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

高輪・門路
〇準備は探索の基本
…まあ、私の装備は必要に応じて拠点から転送されてくるので
今出来るのは事前の準備ですね

(行動)
まずは、ダンジョンの前まで行って位置を計測し、√エデンに戻って√能力で内部を覗き見します。
そして、ダンジョンの構造やトラップ等予想出来る事は全て文字と図形に起こしてレポートにして、レポートを元に事情を説明して鍵を借りてきて、(メカニック)で鍵を構造解析してヘイズルから発掘用の携帯用微小加工用グラインダセットと錆び落とし剤を取り出して使って洗浄と復元を試みます。
あと、魔力はヘイズルのジェネレータで我流陰陽術の魔力操作術(属性攻撃)で何とかします。

まあ、今出来るのはこんな感じですね。

「…まあ、私の装備は必要に応じて拠点から転送されてくるので、今出来るのは事前の準備ですね」
 高輪・門路(狂歴史家・h00784)は『違わぬ者の墓』の前までやって来た。門の扉は古く、半ば岩にめり込むようにしてそこに佇んでいた。灰色の金属らしき素材で出来た門からは強大な魔力が漏れ出している。
「ふむ」
 門路は顎に手を当てて頷く。観察は十分に済んだ、この場所の座標も押さえてある。その場を去った門路は√EDENに戻ると【霊能波】を使って√ドラゴンファンタジーの同位置を覘きはじめた。
「鉱物で出来た竜がいますね。彼らが扉を叩いているようですね。さて、中の構造は……」
 門路はサラサラと中の構造を書き留めていく。図形も使って作り上げられたそれはダンジョンの構造を鮮やかに暴いていった。門路はレポートを書き終えるとダンジョンを管理している男の元に向かった。事情を聞いた管理人は門路に鍵を渡してくれた。
「ああ、モンスターがいるみたいだって報告は受けてたんだけどね。この町にはお金がなくて、冒険者を呼べずにいたんだ。あんたみたいのが来てくれると助かるよ」
「ダンジョンの中では魔力が活性化しているようです、モンスターの姿も多い。このままでは門が破られるのも時間の問題でしょう。ところで数々の壁画と共に黒いゲートのようなものが見えたのですが、何か心当たりはありますか?」
 門路がそう聞くも管理人は首を横に振るばかりだった。
「今まで、あの中に入った者はいないんだよ。何が出てくるかわかったもんじゃないし、宝も取り尽くされたダンジョンだろう? 誰があの中に入ろうって言うんだ。あんた、中に入るんだろう? ついでに確かめてきてくれよ」
 鍵を受け取った門路は構造解析を始める。管理人が思い出したように言った。
「素材は『灰色の銀』って言うらしいね。魔法金属ってやつらしい。たしかにボロボロの灰色だ。エルフの作ったものだって言われてるけど、怪しいもんだよ」
 門路はヘイズルから発掘用の携帯用微小加工用グラインダセットと錆び落とし剤を取り出す。丁寧に洗って錆を落としていくと鍵の様子が変わってきた。
「魔力はまだ戻っていませんが、気品のある意匠ですね。深い灰色も美しい。研究用に写真を撮ってもいいですか?」
「ああ、いいとも。磨けば光るもんなんだな。先生、あんたの見立ては正しかったってところなのかい?」
「まだわかりませんね。これから魔力を込めるところです」
 そう言うと門路は我流の陰陽術を駆使して鍵に魔力を送り込もうとする。数度の失敗の後、魔力の波長が合ってきたのか少しずつ鍵に魔力が込められていった。鍵の頭に付いていた宝石が薄い緑に光り始めている。
「もう少しと言ったところでしょう。時間をかければ鍵の力を取り戻せるはずです。まあ、今出来るのはこんな感じですね」
 門路はそう言うと鍵の模様を眺めた。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

青木・緋翠
ダンジョン探索ですね。楽しみです。

鍵を受け取って、修復を手伝いましょう。
ファイバーケーブルで鍵を囲み、増幅の古代語魔術を通すことで、先ほど込めていただいた魔力を増幅します。
さらに√能力『自動修復』を使い、鍵や素材と込められた魔力のメタデータを解析。欠けや素材の劣化も含め修復しましょう。

修復が上手くいったら、ダンジョンの入口にファイバーケーブルを張り巡らせます。警察の立ち入り禁止テープの要領で、√能力者以外出入禁止の古代語魔法を通しておきます。これで住民が興味本位で立ち入ったり、モンスターがあふれ出ることは防げるはず。
念のため電磁バリアをすぐ展開できるようにしてから、入口を開けましょう。
如月・縁
違わぬ者、ねぇ。
お酒で違いに違った私からすると尊敬でしかないのだけど。
……英雄の痕跡だというのに、周りからは随分な云われようですね。
まあ、モンスターが飛び出しても大変ですしなんとかしましょう。

その鍵に、魔力をこめればいいのですか?
【|慈悲《ミセリコルディア》】で枯渇した魔力を注ぎ込んでみましょう。
透光の花弁が浮いているだけに見えるかもしれませんが、実際はちゃんと仕事しています。
錆びているとゆっくり、慎重に。
あら、錆ってこうやって取るんですね。勉強になります。

さてさて何がでてくるやら。

「違わぬ者、ねぇ。お酒で違いに違った私からすると尊敬でしかないのだけど」
  如月・縁(不眠的酒精女神・h06356)は苦笑交じりに言った。
「立派な方だったのですかね。古い時代の人のようですし」
 青木・緋翠(ほんわかパソコン・h00827)がそう言いながらファイバーケーブルをセットする。鍵を囲んで増幅の古代語魔術の準備をはじめる。
「……英雄の痕跡だというのに、周りからは随分な云われようですね。まあ、モンスターが飛び出しても大変ですしなんとかしましょう」
 町の人々からの評判を耳にした縁が少し場から同情した顔で言った。
「大昔すぎてみんな知らないのさ。これといった伝承もない千年以上前の偉人だからな。かく言う俺もよくわかってないんだけどね」
 ダンジョンの管理人がちょっと申し訳ないといった顔で言う。
「その鍵に、魔力をこめればいいのですか?」
「そうらしいね。まだ魔力が足りないらしい。こんなちゃんとした鍵だとは俺も思わなかったんだけどな。直るものなんだな」
「では枯渇した魔力を注ぎ込んでみましょう」
 縁が【慈悲】を使い魔力を注ぎ始める。それに合わせて翡翠もファイバーケーブルから魔術を送る。翡翠はその上で【自動修復】を使って鍵や素材と込められた魔力のメタデータを解析する。鍵そのものの情報を読み解いた翡翠は素材レベルでの修復を始める。
「『灰色の銀』ですか。魔法の金属とは凄いですね。魔力を注ぐと元の姿を取り戻していくなんて」
 翡翠がそう言うと縁もびっくりした顔で言う。
「もうだいぶきれいになってたけど、魔力を注ぐごとにびっくりするくらいきれいになりますね。……さてさて何がでてくるやら」
 透光の花弁が浮かぶ中、鍵は元の姿を取り戻した。鈍く厳かに光る細やかな意匠の銀の鍵、それがこの鍵の本当の姿だった。頭に付いている宝石は深みのある緑色の光を湛えている。

 翡翠達がダンジョンの入り口に着くと、野次馬達が集まっていた。
「あんたらがここに入るのかい? 英雄の墓荒らしってとこかな?」
 にやにや笑う中年の男に向かって縁が言った。
「立派な人にちょっと秘訣を聞こうと思って。あなたもそうしたら?」
「え? 俺!? いやあ、遠慮しておくよ。祟りは怖いからな」
 男はそそくさと姿を消した。それを見届けると翡翠はダンジョンの入口にファイバーケーブルを張り巡らせると√能力者以外出入禁止の古代語魔法をファイバーケーブルに込める。これで野次馬やモンスターを封じ込めることは出来そうだ。翡翠はその上でいつでも電磁バリアを展開できるように仕込んでおく。念には念を入れておいた方が安心だからだった。後は鍵を開けて中に入るだけだった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第2章 冒険 『ドラゴン全盛期の古遺跡を探索せよ!』


POW どんな仕掛けだって腕っぷしで突破してやるぜぇ!
SPD 罠を解除したり、タイミングを見計らって回避する
WIZ 隠された道を発見したり、謎解きを攻略して先に進む
√ドラゴンファンタジー 普通7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 さて、果たしてダンジョンの入り口を塞ぐ門は√能力者達が直した鍵によって開かれた。2千年以上も前のものであるダンジョンはきれいな石壁に覆われていた。トラップやモンスター達を退け、ダンジョンの奥へと向かって行くと黒い扉に隔てられた場所にたどり着く。ここを突破するには一人ずつ中に入り、勇気を示す必要があるようだ。扉の前には『お前の最も嫌うものが現れるだろう』と書かれている。手書きのその文字は『違わぬ者』の手によるものだろうか。何度も見えない敵と戦ったのだろうか、扉周辺には県でつけられたと思われる傷跡がいくつも残っていた。
「迷いながらでも、間違いながらでも進む。それが私に出来る唯一のことだ。死ぬまでそうするしかない」
 扉の近くの壁に石を彫ってそう書かれていた。それはかの英雄の言葉なのだろうか。

 黒い扉の向こうに行くには一人ずつ扉の中に入ってその人物が最も嫌うものと相対する必要があります。プレイング中に記入いただければそれと向き合いますし、無ければこちらで用意します。是非、自分を乗り越えて先に進んでください。
如月・縁
壁に掘られた字を撫でながら、『違わぬ者』って、間違いを侵さないヒトと思っていたけど…もしかして意味合いが違うのかしら?

最も嫌うものは『夜』。概念ですので真っ暗闇にでもなるのかしら。
……誰もいない、音のない空間は怖い。
いやでも眠れという圧力と、思い出すのはかつての|楽園《天上界》の瓦解。もう二度と立ち上がることはできない。そう想ってはいたけれど。

……胸元に忍ばせた手鏡【悪殺しの光鏡】を握りしめて、どうにか冷静を保ちたいですね。
【|慈悲《ミセリコルディア》】も発動して自分に絡まる闇と、不安を取り除けるといいのだけど。

アドリブ連携歓迎です。

 黒い扉の前に立っている者がいた。如月・縁(不眠的酒精女神・h06356)は壁に彫られた文字を撫でながら思う。
「『違わぬ者』って、間違いを侵さないヒトと思っていたけど…もしかして意味合いが違うのかしら?」
 果たしてどうなのであろうか。語るのは本人以外の者だ。当の本人がどう思っていたかまでは定かではない。ただ、町の人達のように軽々しく文句を言っていたわけでは無さそうだ。では、なにが。
 縁は黒い扉の中へと入っていった。扉の色と同じ闇がそこには広がっていた。
「……誰もいない、音のない空間は怖い。いやでも眠れという圧力と、思い出すのはかつての天上界の瓦解」
 縁は暗闇の中で呟いた。セレスティアルならそのことを意識しないわけにはいかない。壊れた空とその後に落ちた災厄。どこからともなく天使を罵る声が聞こえる。お前のせいだ、私の大切な人を返して、無数の悲しみと怒りが縁を襲う。縁は胸元に忍ばせた手鏡【悪殺しの光鏡】を握りしめた。この恐怖に負けないように。それでも心を冷静に保つために。小さな女の子の悲しそうな顔が闇の中に浮かんだ。誰も恨まない、そう呟いた彼女を抱きしめることはもちろん出来ない。無力感が心に募る。【慈悲】があたりを包んだ。それは間違いなく縁の願いだった。誰も傷つけることが無いそんな世界を望んでいた。
「もう二度と立ち上がることはできない。そう想ってはいたけれど」
 縁は扉の向こうにたどり着いていた。そこにあったのは小さな碑だった。
「へこたれても良い、間違っても良い。間違ったままにはするな」
 碑にはそう記されていた。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

高輪・門路
〇決して理解は出来ないけれども

わたしからすれば「世界の為に全てを間違えた者」それを「英雄」といいますけどね…

(行動)
探索ルートは前回決めた通り行けばまあ…仕掛けの類も調べはついているのでヘイズル内のツールとワイアークロ―で回避しつつ奥へ進んでいきます。
モンスターは基本的には先手が取れるのでアルテミスMk-1の射撃で足止めしつつキハールで駆け抜けます。

(黒い扉)
多分、陰陽寮の同期の某陰陽師が出てくるはずですけど…
互いの当時のやらかしのせいで向こうの嫌いっぷりも凄いので
「まだ、生きとったんかい」
という言葉を残して即座に立ち去りそうですね
(ちなみに、「誰か」まではこの遺跡でも再生できないらしいです)

  高輪・門路(狂歴史家・h00784)は順調にダンジョンを進んでいた。すでに下調べは済んでいる。仕掛けられたトラップもヘイズル内のツールとワイアークロ―を使うことで問題なく対処できていた。わかっていれば罠は罠として機能しない。待ち構えるモンスターも動きの鈍い鉱石の竜だ。アルテミスMk-1で足止めしておいてキハールを使って躱していく。すぐに問題の黒い扉の前にたどり着いた。

「わたしからすれば「世界の為に全てを間違えた者」それを「英雄」といいますけどね…」
 門路はそう呟く。決して理解は出来ませんが、と扉を見上げながら。門路はその黒い扉を開けると中へと入っていった。
「多分、陰陽寮の同期の陰陽師が出てくるはずですけど…」
 中はそれらしい修練場で門路の危惧していた陰陽師の姿が見えた。写真でも見たかのように見事に同じ姿をしていたが、その顔だけは黒い煙に覆われていた。
「『誰か』まではこの遺跡でも再生できないらしいですね」
 門路は現れた相手を見ながらそう言った。相手はまだ、生きとったんかいと言い残すとその場を後にした。心が揺れない者にとっては恐怖も少ないのだろう。もうすでに心が決まっている者には。もうただただ、先へと進むだけなのだから。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

青木・緋翠
嫌うもの……は思いつきませんが、悲しみの欠落している俺としては、『悲しんでいるのに理由がわからない人』は対応に戸惑いますね。
ですが、待ち受けるものが何であれ、モンスターの危機を放置するわけにはいきません。

スマートグラスで周囲を分析しながら扉に入ります。

悲しんでいる人がいたら、「どうかしましたか?」と声を掛けます。
理由が分かっているなら慰め、わからなければそばに寄り添いましょう。
此処まで一本道でしたから、モンスターもこの扉を通らないと外に出られないはずですからね、時間の余裕は多少あるでしょう。

もし悲しんでいる人でなければ、戸惑いつつも冷静かつ効率的に対処できるよう努めましょう。

「嫌うもの……は思いつきませんが、悲しみの欠落している俺としては、『悲しんでいるのに理由がわからない人』は対応に戸惑いますね」
 そう言うと青木・緋翠(ほんわかパソコン・h00827)はスマートグラスで周囲を分析しながら扉に入った。中にはどこかの平和そうな村の光景が広がっている。ただ、気になるものがあった。女性が一人涙を流しているのだった。
「どうかしましたか?」
 翡翠が声をかけるも女性は首を横に振るばかりだった。
「どうして……」
 女性はそう言うがなにがどうしてなのかはまったくわからなかった。ただ、悲しいのだろうということは経験から理解できた。でも悲しみがなければ共感は難しい。翡翠はもどかしい気持ちを抱えながら彼女に寄り添うことにした。理由がわからない悲しみもあるのだ。慰める方法もわからずに寄り添うしか出来ないことも。それでも寄り添うことは出来る。ただ、その人のことをおもんばかることは出来る。隣にいて話を聞くことも、隣に立っていてあげることも出来る。
「此処まで一本道でしたから、モンスターもこの扉を通らないと外に出られないはずですからね、時間の余裕は多少あるでしょう」
 翡翠はそう考えて女性に付き添ってあげることにした。長い時間が過ぎたころ、女性は泣くのをやめた。
「ありがとうございます。隣にいてもらえることがこんなに嬉しいとは思いませんでした」
 女性がそう言うのを聞いたのと同時に翡翠は扉の外に出ていた。小さな碑と共に奥へと続く扉があった。
「モンスターの危機を放置するわけにはいきませんからね」
 翡翠は気持ちを新たにすると、ダンジョンの奥へと向かった。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

第3章 ボス戦 『リンドヴルム『ジェヴォーダン』』


POW ミステリアス・ジェヴォーダン
10÷レベル秒念じると好きな姿に変身でき、今より小さくなると回避・隠密・機動力、大きくなると命中・威力・驚かせ力が上昇する。ちなみに【大狼】【飛竜】【過去の英雄】への変身が得意。
SPD ジェヴォーダンの烙印
【獣型モンスターの群れ】を召喚し、攻撃技「【ビーストファング(噛みつき)】」か回復技「【ヒーリングムーン(癒やしの月光)】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[獣型モンスターの群れ]と共に消滅死亡する。
WIZ 偽竜創造
自身が受けた武器や√能力を複製した【真竜を模した部位】を創造する。これは通常の行動とは別に使用でき、1回発動すると壊れる。
イラスト 桜木バンビ
√ドラゴンファンタジー 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

「なんだ? お前達は。俺様の住処に何をしに来た? このくだらねえ町を滅ぼそうと思っていたところに、まったく退屈しねえな」
 ダンジョンの奥にいたのは『リンドヴルム『ジェヴォーダン』』だった。この竜はからになったダンジョンを見つけると幸運とばかりに住み着いたのだった。誰かが残したのか、ここには魔力を蓄えた武具や道具がいくつも置かれていた。ジェヴォーダンはその魔力を食べ、自らの力に変えていたのだった。
「誰が間違わないだ? ここにいたヤツは間違ってばかりだ。ただの諦めの悪い凡人だ。なんとかするまでやめないなんてバカの極みだぜ。おいしいところだけ持って行けばいいんだよ。お前らを殺して力をいただいてな」
 ジェヴォーダンはにやりと笑った。
アリス・セカンドカラー(サポート)
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
私はエナジーを糧にするサイキックヴァンパイア、よって攻撃が保有する位置エネルギーやら運動エネルギーやら諸々のエネルギーを吸収して継戦能力を維持するのも敵対者を自分好みの姿にしてエナジードレインでえっちなのうみそおいしいです❤するのも料理のうちよ♪
そもそも料理って調理の他に物事を上手く処理するって意味もあるしね。状況を解決する手段も料理ってわけ、OK?これが私の|混沌魔術《ケイオスマジック》よ。
私達の知覚を離れた客観的真理はなにもなく、ゆえにあらゆることは真実であり可能である、ってね♪
|生存技法《サバイバル》でたいがいのとこから生還する自信があるわ☆

「ちょうどいいえさが向こうからやって来たじゃねえか」
 ジェヴォーダンはやって来たアリス・セカンドカラー(時間と空間を超越する唯一つの窮極的かつ永遠の『夜』少女・h02186)に向かって言う。
「どちらが料理される方なのかな? 私達の知覚を離れた客観的真理はなにもなく、ゆえにあらゆることは真実であり可能である、ってね」
 アリスが指を立てて説明するように言うとジェヴォーダンは明らかに不快な顔をした。
「小生意気な女だ。食べるのは俺様に決まっているだろう!?」
 ジェヴォーダンは自らの姿を大きな狼へと変える。大きく吠えるとアリスを噛み砕こうと襲いかかる。
「料理っていうのはあしらうってことでもあるのよ。私はエナジーを糧にするサイキックヴァンパイア、その運動エネルギーと質量を少しだけいただくよ」
 アリスの混沌魔術が事象を歪め因果を無理矢理に繋げる。アリスを噛み砕こうとする運動エネルギーは甘い蜜となり、その顎の質量のほんのひとかけらをケーキの上の苺をかすめ取るようにいただく。質量の方が大きなエネルギーだ。
「さて、おいしい食事も出来たし、そろそろ帰るかな」
 アリスは生存技法を駆使してどこへともなく帰って行った。
🔵​🔵​🔴​ 成功

高輪・門路
〇獣狩り

アドリブ歓迎
竜が竜たる為には定命の者に関わろうとした事自体が間違いなんですが…
その事は理解していないみたいなので、その身に刻ませてもらいます

(行動)
インレ・キハール・ハイゼンスレイを転送・装着/装備して戦闘開始

キハールを装備したハイゼンスレイに跨って駆り、(空中ダッシュ)で間合いを外しながらハイゼンスレイのビーム速射モード(牽制射撃)と我流陰陽術の「石化呪」(呪詛)を交互に放って頭部を狙います
後は√能力で変身を解除し、カヴァーチャの障壁(オーラ防御・鉄壁・エネルギーバリア)で攻撃を捌きつつ隙を見てハイゼンスレイのカノンモードの大出力ビーム射撃(貫通攻撃)で一気に削ろうとします
如月・縁
何しに来たって…退治です。扉を開けようとあんまり煩いから苦情が入ってます。
おいしいところだけ持っていく、一理あります。
でもヒトの綺麗な部分だけもらおうとすると…痛い目見ますよ?
|女神《わたし》でさえ、昏い事はたくさんあるんです。

武器を振って【|舞踏環《ワルツ》】を発動。モンスターの群れをまとめて攻撃、本体にも効くでしょうか。2回攻撃でなるべく短時間で相手を撃破したいですね。

英雄の遺したものの状況を確認しつつ、石で何か書かれてないかも見てみましょう。
努力の英雄さんに安寧の眠りがあらんことを。
青木・緋翠
俺も間違うことは良くありますし、人は間違う生き物だそうですから
すべて1回で成功するのであれば、それこそ人間として間違っているのではないでしょうか

それはそれとして、ジェヴォーダンは実際に英雄さんをご存知なんですね
千年以上前の方だそうですが、諦めの悪さではいい勝負ではないでしょうか

√能力でジェヴォーダンに対し、震度6の振動を与えます
揺れるのは対象だけですから、味方には影響ありませんし大きさが変わっても問題ありません
揺れで足が止まってるうちにトンファーガンで攻撃します

反撃が来た場合は電磁バリアで防ぎましょう
周辺へ被害が出そうな場合も、同じく防ぎます
貴重な遺跡ですし、名前だけとはいえお墓ですからね

「何しに来たって…退治です。扉を開けようとあんまり煩いから苦情が入ってます」
 如月・縁(不眠的酒精女神・h06356)は当たり前のように言った。そのままジェヴォーダンに構えた槍を突き出す。
「おっとあぶねえ。そんな攻撃が当たるかよ。 お返しだ!」
 ジェヴォーダンは飛竜へと姿を変えると大きく羽ばたいて風を起こす。そのままかっと目を見開いて耳をつんざくような大声で吠えた。
「震えやがれ!」
「竜が竜たる為には定命の者に関わろうとした事自体が間違いなんですが……。その事は理解していないみたいなので、その身に刻ませてもらいます」
 高輪・門路(狂歴史家・h00784)が冷静に話す。門路はインレ、キハール、ハイゼンスレイを呼び出す。そのままハイゼンスレイに跨がるとビームを連射してジェヴォーダンを牽制する。
「少しは驚けっての。そんなちびた光、俺様には効かないぜ」
 ジェヴォーダンは門路を捕まえようと飛び上がり爪を伸ばすが突然やって来た揺れに体勢を崩す。
「俺も間違うことは良くありますし、人は間違う生き物だそうですから。すべて1回で成功するのであれば、それこそ人間として間違っているのではないでしょうか」
 青木・緋翠(ほんわかパソコン・h00827)は和やかな顔で言った。パソコンの付喪神でも間違うことはある。仮定が違っていたのか現象を捉え切れていなかったのか。計算が正しくとも成功にたどり着かないこともあるだろう。それに、間違うとは高度な機能だ、自律的に考えられなければ起こることはない。翡翠は考えることができる、なら間違いを糧に成長することもあるだろう。
 緋翠はトンファーガンを光らせると電撃でジェヴォーダンを狙い撃つ。
「ふざけるなよ小僧ども、ちまちましやがって。来い!」
 ジェヴォーダンが呼び出した大きなネズミの群れが翡翠達を襲う。縁が【舞踏環】を使って襲ってくるネズミたちをまとめて払っていく。
「おいしいところだけ持っていく、一理あります。でもヒトの綺麗な部分だけもらおうとすると…痛い目見ますよ? 女神わたしでさえ、昏い事はたくさんあるんです」
 縁はまったく困ったものです、とでも言いそうな顔で槍を振る。
「そんな邪魔な部分は俺様も欲しくないな。甘いところだけいただくぜ。そら!」
 ジェヴォーダンは真竜を模した爪を創り出すと両手を振り縁達を切り刻もうとする。
「それが甘いと言っているのですよ。あなたはあくまで模造品でしかないようだ」
 門路はカヴァーチャの障壁を打ち立ててジェヴォーダンの爪を弾く、金色の波紋が空間を彩る。門路は爪を振り切った後の無防備なジェヴォーダンに向けて大出力ビームを撃ち込む。ジェヴォーダンはそれを避けることが出来ない。創り出した腕でビームを受けるが一瞬で焼け落ち胴を抉られる。
「ふざけるな。俺様が負けるだと。ありえねえ」
 ジェヴォーダンは【過去の英雄】へと変身する。壮年の、額に傷のある男だった。
「それはそれとして、ジェヴォーダンは実際に英雄さんをご存知なんですね。千年以上前の方だそうですが、諦めの悪さではいい勝負ではないでしょうか」
 翡翠が訊ねるとジェヴォーダンは苦いものを思い出したように顔を顰めた。
「そうだ、俺様を倒しやがったヤツだ。何度倒してもやって来やがって……。俺様の方が弱かったわけじゃない!」
 変身したジェヴォーダンは大剣を持った両手に力をみなぎらせて翡翠を両断しようとする。翡翠は電磁バリアを展開するが剣の切っ先はバリアを破って翡翠の脇腹に食い込んだ。
「その姿が英雄さんのものなんですね?」
 傷の痛みに顔を顰めながらも翡翠は聞いた。
「そうだ、これが最後に会ったときの姿だ。奴め、この俺様を真っ二つにしやがった。何度も何度も現れて俺を何度も殺しやがって」
 そう言ったジェヴォーダンの顔は複雑そうだった。ふうっと息を吐くと翡翠へととどめの一撃を決めるべく大剣を振り下ろす。そこに飛び込んできた縁が槍で受けるが受けきれず肩口を斬られる。
「別れが寂しかったのですね」
「黙れ! 俺は真竜へと至る者。失敗を重ねるようなヤツの事などなんとも思わない!」
 ジェヴォーダンはむきになって言うともう一度大剣を振り上げる。
「そこはわたしの間合いの中です。あなたのではありませんが」
 浮遊して機を窺っていた門路がもう一度カノンを撃ち出す。背中を撃たれたジェヴォーダンはそれでも大剣を振り下ろすが翡翠のトンファーガンが胴を捕らえ、縁の槍が心臓を貫いた。
「真竜になるまで、俺は諦めんぞ」
 元の姿に戻ったジェヴォーダンはそのまま動かなくなった。

「貴重な遺跡ですし、名前だけとはいえお墓ですからね」
 戦いの後、翡翠はダンジョンに被害が無いかを確かめていた。幸い大きな損害はないようだった。縁が奥の部屋を見回すと、丁寧に刃こぼれを直した大剣、使い古されたチェインメイルなど、「違わぬ者」が使っていたと思われるものが置いてあった。業物と言うよりは扱いやすく丈夫なものという印象だ。魔力など感じないが、小さなお守りが壁際に大切に置かれていた。壁には文字が彫られている。
「救えなかった命のために」
 そのことを思い出す度に立ち上がったのだろうか、誰かを助けられるかもしれないと、自分は冒険者なのだからと。出来ることを探したのだろうか。
「努力の英雄さんに安寧の眠りがあらんことを」
 縁はそう言うとダンジョンを後にした。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

挿絵申請あり!

挿絵申請がありました! 承認/却下を選んでください。

挿絵イラスト