シナリオ

小さなAnker達を守りぬけ!

#√EDEN #√マスクド・ヒーロー #Anker抹殺計画

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 #√EDEN
 #√マスクド・ヒーロー
 #Anker抹殺計画

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●未来の結び手を引き裂く者
 貴方達は、動物は好きだろうか?
 人の言葉は交わせないが、人間にはない…例えば、愛らしい鳴き声や豊かな体毛、動物特有の匂い、そして人間達以上に見せてくれる感情豊かな行動。それらが合わさり、動物達は知らず知らずに、擦り切った人間達の心を癒してくれる。
 心からの愛情を与えれば与えるほど、きっと彼らは心からの愛情を返してくれる。日々に新たな彩りをもたせてくれる。
 そして、彼らの存在が、|いつか他の世界の存在に気付く者《√能力者》たちにとっての、|いつか帰る場所《Anker》になり得るのだ。

 静かに、とある場所を監視する男がいる。
「こんな脆弱そうな|有機物《もの》ですらAnkerになるのか。信じられん…」
 ぶつぶつと何かを呟くが、ほとんどは聞き取れない。どうやらどこかと通信をとっているようだ。ノイズ混じりの通信の最後、男はそこだけはっきりと告げた。
 『Anker抹殺計画』をこれより開始する、と。

●√EDENにて
「みなさん。猫は、お好きですか?」
 √EDEN、都内の某広場。その場所は、星詠みとしての鳴宮・響希がいつも√能力者達を呼び出す定番の場所になりつつあった。
 白い犬(透けた手足はこの世のものではない証明である)はというと、暇そうな顔を浮かべたまま、響希の隣でくぁ…とあくびをしている。星詠みからの問いにそれぞれ何かしらの答えが返ってきた後、響希はにこりと微笑んで、それからこう告げる。
「僕が見た星詠みは…『Anker抹殺計画』の一つ。対象は、猫たちです。今から詳しく説明しますね」

 鳴宮・響希が見たのは、都内の保護猫カフェに身を寄せる猫達が『Anker抹殺計画』によって惨殺されるというものだった。
 都内のとある一軒家が全て保護猫カフェ仕様になっており、戦争あるいはさまざまな事情で捨てられたり、飼い主と離れてしまったり、あるいは野良になってしまった猫達を保護しているのだという。
「保護猫カフェだから、中には心を開きずらい猫もいるみたい。そうすると、|彼ら《襲撃者》が来た時にすぐに助けられないってこともあるかもしれないので…まずは、みなさんにはお客さんとして保護猫カフェを楽しんで欲しいんです」
 カフェでのルールをちゃんと守ってもらえれば、どうカフェでどう過ごすかは任せる、と響希は言う。1ドリンク制であること、触れ合うためのおもちゃは用意しているので持ち込みは基本的に禁止であること、餌やおやつはカフェで販売されているものに限る…など、さまざまなルールを説明するが、要は「猫達を大優先にし、彼らが安全に過ごせるように」すればいいのだ。
「そして、戦闘になれば、猫達だけでなく、カフェの店主さんも巻き込まれる可能性があります。最悪の事態にならないように気をつけてください」
 戦闘は襲撃者がカフェ内に侵入するところから始まる、と響希は言う。一軒家とはいえ決して広くはないので、なんとかして外へ追い出すことも考えた方がいいかもしれない。
「…うん、説明はこのくらいですね。後はみなさんの活躍次第です。いってらっしゃい」
 響希が説明を終え、√能力者を見送ろうとしたタイミングで、白い犬の柔らかそうな尻尾がゆらりゆらと揺れ、「…わん」と小さく漏らすのだった。

マスターより

高岡こころ
オープニングをご覧いただき、ありがとうございます。MSの高岡こころです。
√EDENより、猫カフェが狙われるシナリオをお送りします。
猫も好き。犬も好き。でも育て切れる自信はないので見守りスタイルです。飼い主さん本当にすごい。猫カフェ大好きです。もふもふいいですよね。ラガドールとかラガマフィンが好き。もふもふ。

※本シナリオは6月1日よりプレイングを受け付ける予定です

◆シナリオについて
:第1章:
猫カフェを楽しんでください。店主さんは優しそうな50代のご夫婦さん。
在籍している猫さんはたくさんいるので「こんな猫いるかなぁ?」くらいのニュアンスのプレイングを頂ければそれっぽい猫さんがやってくるかも?保護されたばかりで人慣れしていない猫さんもいますがご了承くださいませ。(※断章にて2~3匹ほどお出ししますね)

可能な限りプレイングを採用します。
第1章に限り、プレイング受付締切は作品タグ・マスターページにてご案内します。
同行する人がいらっしゃる場合、下記のようにお願いします。プレイングはできればお時間合わせての投稿をしていただけますと大変助かります。
①自分と相手の二人→文頭に【お相手様のキャラクターID】の記載をお願いします
②自分を含め3人以上↓
 代表者様:【グループ名】●●人(参加する人数)の記載をお願いします
代表様以外:【グループ名】の記載をお願いします
確認が取れない場合はプレイングお返しする場合がありますのでご注意ください。

:第2章:
集団戦 or 交渉戦 のどちらかになります。
どちらにもなり得るので、第2章に関しましてはMSのダイス判定により決まります。

:第3章:
外星体『サイコブレイド』との純戦闘になります。

第1章のみの参加でも、途中参加でも歓迎いたします。
第2章以降は判定数に届き次第プレイングを締め切る予定ですのでご了承くださいませ。
それではみなさんのプレイングを心からお待ちしております。
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第1章 日常 『ようこそ、にゃんこ天国へ』


POW 猫と戯れる😺
SPD 猫に萌える😻
WIZ 猫を愛でる😽
イラスト 猫猫 猫
√EDEN 普通5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●来訪
 √EDEN。都内某所。
 商店街からほど近い、住宅街の片隅。そこに、今回向かう保護猫カフェがある。
 外見はいたって普通の一軒家だが、玄関の表札の代わりには、保護猫カフェであることを示す、かわいらしい木製の看板がつけられていた。
 呼出チャイムを押すと、白髪の混じった優しそうな男性が出てくる。貴方達の姿を見て、にこりと微笑んだ。
「こんにちは。ようこそいらっしゃいました」
 貴方たちを招くと、玄関入ってすぐに手指のアルコール消毒をお願いされる。入ってすぐ右手側の部屋に貴重品以外を置いていくようにもお願いされた。もちろん、鍵付きの部屋になっているし、荷物の管理はしてくれるので安心して欲しい。
 保護猫たちは、どうやらリビングで過ごしているようだった。リビングに入る前に、男性から、利用料金の説明とカフェを利用する際のルールや注意点を話してくれる。大方、響希が説明していた通りなので、貴方たちは特に質問することはないだろう。
「猫たちの中には、人間に慣れていなくてあまり近づかない子もいますが、そういう子はあなたのことが気になったら自然と近づいてくれると思いますよ。
今日はぜひ、私達の『|保護猫《こどもたち》』と遊んであげてくださいね」


●小さなAnker達

 みゃあ、みゃあ。にゃおん、にゃあん。

 リビングのドアを開けると、保護猫たちの愛らしい声が聞こえる。広くあけられたリビングでは、猫たちが思うままに過ごしていた。どの猫たちもすでに成猫のようだ。
 壁にあけられた大きなコルクボードに、猫の写真とともに簡単なプロフィールが書かれている。このカフェに在籍している猫たちの一部を紹介しよう。

『ゆきこ』
 白猫の女の子。右目が青く左目は茶色。在籍したばかりなので、いつも隅っこのクッションかキャットウォークで遊んでいる。
『ぼたん』
 ラガマフィンの男の子。オレンジに近い茶色い毛並み。人懐っこい性格で、はじめましての人にも臆せず近づいてくれる。ちょっぴり食いしん坊。
『たいが』
 キジトラの男の子。小柄だけど元気。おもちゃで遊んだり、キャットウォークを昇り降りするのが大好き。在籍猫の中でとっても素早いかもしれない。

 他にも貴方の目を引く、魅力的な猫たちがきっといる。積極的に近づいてくれる子もいるし、そうでない子もいるし、何ならおやつやおもちゃにまっしぐらな子もいる。さあ、どの子とコンタクトしてみようか?

「こんにちは。ようこそ。遊んでくれる前に、ドリンクの注文をお願いしますね。おやつの購入やおもちゃの貸出はここからできますよ」

 男性と同じくらいの年代の女性がキッチンから顔を覗かして柔らかな微笑みを浮かべている。
 彼女から渡されたメニューには、ドリンクとおやつの写真とその料金が示されている。退室時に基本料金と購入したもの合算して会計という形になる――というのは、男性から聞いているはず。
 ドリンクはお洒落なものはそこまでないが、お茶・コーヒー・紅茶・ジュースと種類は多い。
 猫のおやつはカリカリタイプとジュレタイプがあるようだ。ここの猫はどっちも大好物なのよ、と女性は語る。
「じゃあ、これ。番号札を渡しておくので…用意できるまでは、猫ちゃんたちと遊んで待っててね」
 ドリンクを注文したあと、女性は貴方たちに番号札を渡す。
 番号札は……これまたかわいい猫の形をしている。この札からすら『にゃあん』と声が聞こえてきそうだ。
白野・ふわふわ
ねこは尊い生き物なのじゃぞ!
これから幸せになれるかもしれないねこたちを抹殺など
断じて許せんのじゃ!

ふふん、キャスト(猫)のふりで潜入なのじゃ
かしこいじゃろう、そうじゃろう!
ちゃんと『わんどりんく』も頂くのじゃ
(入るときはちゃんとお客として入る)
おやつ……(じゅるり)
わ、わかっておる!これはあの子たちのためのものであろう!
せっかくだし購入するのじゃ!大盤振る舞い、うけとるがよいのじゃ!

これなら人姿より目立たんのじゃ……って
ちょ、ちょっと待て!わしはおぬしらの遊び相手じゃないのじゃ!
しっぽにじゃれるでない!アーーー!!
(他の猫にじゃれられたり追いかけられたり)(猫同士の喧嘩やじゃれあいは激よわ)

●にゃんにゃん…にゃあん?
 ふわふわ、ふわり。
 そんな単語がよく似合いそうな白い「猫」がリビングに入ってくる。白野・ふわふわ(しろのふわふわ・h07445)は、雲のように柔らかい白い髪(いや、猫だからどちらかといえば、毛並みと形容した方がいいのかもしれない)にピンク色の瞳がよく映える猫だった。
(ふふーん!キャストのつもりで潜入なのじゃ!かしこいじゃろう、そうじゃろう!)
 一応、彼らのグループに混ざる前に人間の姿でドリンクもおやつも注文し受け取ってはいる。近くのサイドテーブルにドリンクを置いて、ふわふわは早速保護猫カフェの一員に変身したのだった。
 だが、それよりも、ふわふわにとってはドリンクよりも猫たちと触れあうためのおやつがたまらなく魅力的だったようだ。
(ぐ…わかっとる…これは、あの子達のためのもの…!)
 一瞬、自分も猫だしいいんじゃない?と己の欲望に駆られそうになりかけながらも、そこはぐっと我慢。だって、今日は、これから幸せになれるかもしれない猫達を守り抜かないといけないのだから。
 おやつはまた後であげることにして、ひとまずリビングを見て回ろうとする。ふわふわは猫だからリビングを歩いていても違和感はない。…店主だけは「ん?」と違和感を少し覚えるが、それだけだ。

(よし、これで『さいこぶれいど』ってのがきてもだいじょ…んん?)
 リビング全景を見ようと端っこに移動していたふわふわ…準備万端、というところで、本物の|猫達(キャスト)がふわふわの元に集まってくる。不審がる猫は別方角の隅っこからジィッと眺めているが、それ以外の猫たちは真っ白な猫に興味津々。
 ジリジリと近づかれてしまい、ふわふわからは冷や汗が。しまった、隅っこだしこんなに猫がくるとは思わないから逃げ場がない。その中の一匹が白くてふわふわなしっぽに前脚を伸ばされる。
(ちょ、ちょっと待て!わしはお主らの遊び相手じゃないのじゃ!!あッ、ちょっと、わしのしっぽにじゃれるでなーーーい!?)

 隅っこから、「にゃあああああん!!」という鳴き声が聞こえてくる。
「あらあら…うふふ」
 リビングの端っこで起きるどんちゃん騒ぎ。店主にとってはいつも通りの光景。今日もみんな仲良しねぇ、と笑みをこぼされたのだった。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

アーネスト・マルトラバース・シートン
保護猫カフェ、いい取り組みかと思いますね。
とはいえ…ちょっとした曰く付きが襲い掛かってくるって所が気になりますね。
まぁ、猫ちゃんのためにも、遊んできますか。
さすがに、狼のままだとちとまずいので、人型で行きますよ。
まずは、そっと観察してから、ち○~るや、おもちゃで遊んでいきますね。

奴が来たらどうするか考えながら、猫ちゃんと触れ合おうと思います。

●オオカミさんとねこたち
「はーい、番号札……番の方ー。ドリンクができましたので取りに来てくださいねえ」
 番号札に書かれた番号を呼ばれたアーネスト・マルトラバース・シートン(若き狼・h00433)はキッチンカウンターに向かう。番号札と引き換えに、注文していたドリンクとおやつを受け取り、棒に玉や羽のついた猫じゃらしをレンタルしていく。

 保護猫カフェはいい取り組みだと思う。とアーネストは考える。
 様々な事情で居場所をなくした猫達が誰かと縁を結ぶための場所は、猫にとっては天国や楽園だと思うから。

(とはいえ、|ちょっと『曰く付き』《サイコブレイド》が襲いかかってくるって所が気になりますね)
 星詠みの読み取った|予感あるいは予兆《ゾディアックサイン》の実現するまでどのくらいの時の後かはわからない。だが、その時が来た時にすぐに対応できるように、アーネストは一旦猫達と遊びに興じることにした。
 本来のアーネストは勇ましくも美しいハイイロオオカミだが、そのままの姿では怯えられるどころか敵意を向かれてしまうし、広めとはいえオオカミの姿では少々手狭。ここでは人間としての姿で過ごすことにする。

 大きなクッションに腰を落とし、しばらく観察していると、おやつの匂いを感じたのか、アーネストの近くにいた黒い猫が近づいてきた。毛並みも瞳も真っ黒。赤いパッケージの液体おやつをガン見している。
 コルクボードの在籍猫リストを確認してみると、どうやら名前は『くろごま』で、雑種猫の女の子のようだ。
「くろごま…また美味しそうな名前ですね…」
 どうやら食べ物関連で名付けられる猫が多いらしい。新しいご縁ができればその名前も変わるかもしれないけど。
「…くろごまさん、おやつ、食べます?」
 そっと声をかけてパッケージを近づけると、くろごまは「にゃあん」と返事し、液体おやつをぺろぺろと舐め始める。
 アーネストは左手でおやつを持ちつつ、右手でゆっくり猫じゃらしを揺らす。猫じゃらしの先でくろごまとは別の猫達が戯れ始めた。なんとも平和な世界。穏やかな時間は、アーネストの心を癒すことに違いないだろう。
 だが、襲撃の時がいつでもきてもいいように、あらゆる策を脳内で巡らせつつ…アーネストは静かにこの時間を楽しむのだった。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

青柳・サホ
注文した紅茶を頂いてリビングへ。
念の為、あらかじめカリカリを購入して玩具も借りておく。
初めて来る猫カフェなので猫ちゃんとは当然初対面。
好奇心旺盛な子は近づいてきてくれるかもしれないけど、最初は見てるだけ。
何故なら猫ちゃんは見ているだけでかわいいから。

まずは紅茶を飲みながら猫ちゃんを眺める。
あそこで遊んでいる子かわいいな。キャットウォークの上の子もかわいい。
ぼたんくん。予めチェックしておいた在籍猫ちゃんの中で一番気になっていた子。
「食いしん坊か……」
もういろんな人からおやつをもらっているかな?と少し気になりつつもカリカリを手に乗せて差し出してみる。近づいてきてくれたらとても嬉しいのだけど。

●『ぼたん』といっしょ
「……番の番号札を持っている方ー。ドリンクできましたよー。
 ミルクとガムシロップが必要だったらここで入れていってくださいね。ゴミはこっちのゴミ箱に。たまに猫ちゃんが食べちゃうことがあるんです。すぐに捨ててもらえると助かるわ」
 番号札と引き換えに、プラスチックカップに入ったアイスティーをもらったのは青柳・サホ(春待・h01954)。ミルクやガムシロップを入れるかどうかはあなたの自由だ。サホ好みのアイスティーに仕上がったのなら、購入したカリカリとレンタルしたおもちゃを手に持って、早速猫達の元へ向かう。
(…この猫カフェに来るのは、初めて…どんな猫ちゃんがいるんだろう)
 猫が好きなサホは落ち着いて座れそうな1人用ソファを見つけると、そのまま腰を沈めてしばらくまったり。購入したアイスティーを少しずつ飲みながら、このカフェでのびのびと過ごす猫たちを見つめる。
(あそこで遊んでいる子、かわいいな…あ、キャットウォークにもいる…足場が透明だから下から肉球が見えそう…後で行ってみようかな?)
 まずは無理な接触はせずにのんびりと観察。猫達が移動したり何かをするたびに、サホの青い瞳が静かに動く。サホ曰く、「猫ちゃんは見ているだけで可愛い」のだ。
 特にここは「保護猫カフェ」という通常の猫カフェとはすこし違う。ちょっとした動きにすら驚いてしまう猫もいるかもしれないから、まずは様子を伺うことにしたのだった。

「にゃー」

 ふいに声がして、サホは思わず下を向く。サホの足元に、いつの間にかオレンジかかった毛並みをした長毛種ーーラガマフィンがいた。
「……あ。……『ぼたん』くん?」
「にゃあ」
 サホがすぐに猫の名前が出てきたのは、在籍猫の中で特に一番気になっていた猫だったから。
 ぼたんと呼ばれた彼は、ふわふわした毛並みを惜しげもなく見せつけてくれる。そして、クリッとしたまんまるの瞳は、サホの持つカリカリに釘付けだった。
 思わずサホの口元が緩む。確かコルクボードの紹介で「食いしん坊」って書かれていたけど、どうやら本当のようだ。
「食いしん坊って書いてあるから、みんなからもらっちゃったんじゃないの?…まだ足りないなら、食べる?」
 買ってきたカリカリを少しだけ手のひらに乗せて、ゆっくりと近づけようとしたら…ぼたんはヒョイっとサホの膝もとまでジャンプ。思わず手に乗せていたカリカリを落としてしまいそうになったけど、なんとか耐える。
 サホの驚いた様子も気にせず、くんくんと鼻を鳴らしたと、サホの手に乗せたカリカリをゆっくりと食べ始めた。ぼたんの口の中から、カリ、カリ、と心地よい音が聞こえてくる。
「…おいしい?」
 尋ねてみても、ぼたんは返事はせずに黙々と食べ続ける。少しした後、食べ終わったようで顔を上げて、じーっとカリカリの入ったカプセルを見つめた。『もうないの?』と聞かれているような気がする。
「……本当に食いしん坊さんだ」
 紹介通りのぼたんに、サホはさらに愛しい気持ちでいっぱいになる。
 あなたが引き続きぼたんにおやつをあげ続けるのか、それとも他の猫のためにとっておくのか…それはあなたの自由である。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

桐生・綾音
妹の彩綾(h01453)と参加

ねこカフェ!!(ときめき)そういえば故郷の村で猫買ってたなあ・・・。猫さんたち、守らないとね。まずは猫カフェを楽しもう!!あ、ドリンクはオレンジジュースでお願いします!!

私はベンガルの元気な子を希望!!まあ元気な子ならなんでもいいかな!!一緒に遊びたい!!おもちゃで遊んだり、おやつを食べたり、肩にのせたり!!ああ、楽しいなあ!!彩綾もおとなしい子してにゆっくり過ごしてるみたい。

簒奪者はこの無垢で大変な環境の中助けられた小さな命も狙うんだね・・・許せない。ペットショップも、優しい店員の方も、守らなきゃ。
桐生・彩綾
姉の綾音(h01388)と参加

猫カフェか・・・いいなあ。そうだね、お姉ちゃん、故郷には猫がいっぱいいたよね。まずは猫カフェを楽しもう。店員の応対も優しくて丁寧でいいね。ドリンクはアイスココアで。

猫はアビシニアンのおとなしい子がいいかな。まあ、おとなしいならどんな子でもいいかも。楽しく猫さんと遊んでいるお姉ちゃんを見守るため、隅っこのクッションでまったりと猫にえさをあげたりおもちゃで遊ぶ。うん、いい子だなあ。

簒奪者はそういう小さい無垢な命も狙うんだね。ただでさえ辛い思いをした猫さんなのに。守らないとね。ペットショップも、店員さんも。

●姉妹と猫と。
「猫カフェだー!」
 キラキラと目を輝かせながらリビングでのびのびする猫達を眺める桐生・綾音(真紅の疾風・h01388)と、そんな姉を見てふふっと笑う妹の桐生・彩綾(青碧の薫風・h01453)。今日は仲良し姉妹の2人でこの保護猫カフェを楽しもうとやってきた。
「ほら、お姉ちゃん、そんなに大きな声出したら、猫たちがびっくりしちゃうよ?」
「おおっと、そうだった」
 妹に注意されて、思わず綾音は手で口を塞ぐ。幸いなことに逃げ出してしまう猫はいなかったが、じーっと注視する猫がちらほらと。静かに過ごさなければ…。
「こんにちは、あなたたちも遊ぶ前にドリンク注文してくださいねぇ」
 キッチンから女性が声をかけてくれる。2人は明るく返事をしてキッチンに行き、早速ドリンクを注文。綾音はオレンジジュース、彩綾はアイスココアをお願いした。それと、猫のおやつの購入とおもちゃのレンタル申請も忘れない。
「…そういえば、村で猫飼ってたなぁ」
「そうだね、お姉ちゃん。…村には、いっぱい猫がいたもんね」
 猫の形の番号札をもらい、ドリンクを待ちながら今はもう亡き故郷のことを語らう。2人にとっては大切な場所。それを共有できることは貴重なことだ。
(……ここの猫さん達、守らないとね)
(うん、そうだね。優しそうな店主さんもだよ、お姉ちゃん)
(もちろんだよ、彩綾)
 店主も猫達も、いずれこの場所が|外星人たち《サイコブレイド》から強襲されることは知らない。だから、不安を抱かせないように、そこだけはこっそり耳打ちしあった。
 しばらくすると、持っていた番号札の記載された数字を呼ばれたので、2人はそれぞれの飲み物とおやつを受け取る。そして目を引く色の紐が何本も付けられた猫じゃらしもそれぞれの手に渡る。

 猫達の元へ向かうと、おやつの匂いを嗅ぎつけたのだろうか。「にゃあにゃあ」と愛らしい声が重なる。
 綾音のもとに駆け寄ってきたのは、細身だけど筋肉質な豹柄の猫。種類はベンガルだろうか。そして恐る恐る彩綾のもとに歩いてきたのは、こちらもまた細身だがこちらはすらっとした猫。
「わわっ、来た!えっと、この子は…!」
「あらら、ごめんなさいねー。」
 キッチンから女性がやってくる。2匹は女性がやってくるとすりすりと頭を彼女に寄せる。ふふと笑みを浮かべながら、あなたたちに2匹のことを教えてくれる。
「えっと、髪の短いお嬢さんのところに来た猫は、ベンガルの『ささみ』くん。男の子よ。すばしっこいけど、とても人懐っこいわ。猫じゃらしが大好きだからよかったら遊んであげてね。
 それで…髪の長いお嬢さんのところに来たのは…アビシニアンの『ゆかり』ちゃんね。アビシニアンっていうのは…エジプトあたりの猫さんなんだけど…この子は来たばかりだから、ちょっと人見知りさんなの。でも自分から来てくれたから…お嬢さんに興味があるかもしれないわね」
 女性がそう紹介すると、またキッチンへ戻っていく。
 2匹の猫は、まんまるな瞳であなた達のことを見つめている。もう待ちきれないという顔を浮かばせているような気がしたので、2人は顔を見合わせからにっと笑い合う。
「ほーら、ささみ!一緒に遊ぼ!」
「えっと…ゆかりちゃん、だっけ…おやつ食べる?」
 それぞれの元へやってきた猫を相手に、交流を楽しむ事にする。綾音とささみは早速リビングいっぱい使って遊び倒し、彩綾は隅っこにクッションを持ってきて、おやつをあげながらまったり。それぞれ自分と猫達が楽しみやすいやり方で過ごしていく。

 その中でも、2人はいつか来る簒奪者達のことを考える。
 このカフェで生きる猫たちはいずれも大変な環境の中から救い出されて、新たな縁を求めている無垢ないのち達。そんな彼らを狙おうとする彼らを許すことはできない。
 襲撃の時を思いながらも、今は自分達のもとにやってきた猫たちと大切に時間を重ねていこう。そう思う2人なのだった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

ニル・エルサリス
猫って不思議と何時間でも見てられるのよね。
しかも猫って自分の武器(可愛さ)を理解して最大限に活かす。とてもタクティカルだわ。
時には液体みたいに狭いところに潜り込めるし、時には良質なアロマのように吸い込める。肉球はひんやりとして心地よく、舌は唯一無二の感覚をアタシにもたらしてくれる。喉をゴロゴロと鳴らすあの音はどんな睡眠導入剤よりも効くわ。ふにふにとしたお腹、触り心地の良い毛・・・でも、バッキバキに割れた腹筋も捨てがたいのよね。

なのに、猫は、アタシに、靡かない。

どんな猫もイチコロな禁忌の力(液状オヤツ)。アレは危険だ。でも猫達を振り向かせるには・・・。

あ、ジュレタイプのオヤツとお茶をお願いね。

●こんな場合もある…猫だもの。
(猫って…不思議と何時間でも見ていられるのよね)
ニル・エルサリス(氷葬の|精霊銃士《エレメンタルガンナー》・h00921)はアイスティーを少しずつ飲みながら、リビング中の至るとところのびのびと過ごす猫達に想いを馳せる。
(しかも猫って…自分の|武器《かわいさ》を理解して最大限に
生かす。とてもタクティカルだわ)
 ニルの目の前では、さまざまな種類の猫達が一つの箱に体を詰め合って戯れ合ったり毛繕いをしている。猫はどうしてこんな狭い場所で寄せ合うように入っていくのだろうか。
(時には液体みたいに狭いところに潜り込めるし、時には良質なアロマのように吸い込める。
 肉球はひんやりとして心地よく、舌は唯一無二の感覚をアタシにモア他rしてくれる。喉をゴロゴロと鳴らすあの音はどんな睡眠導入剤よりも効くわ。
 フニフニとしたお腹、触り心地の良い毛……でも、バッキバキに割れた腹筋も捨てがたいのよね…)
 その様子を見ながら、ニルは無表情ながらもどこか上機嫌なようだった。猫達が仲良く遊び合うのは見ていて癒される。チロチロと舌を這わせながら水を飲んだり、夢中になっておもちゃを追いかけたり…そういう様子を見るのは楽しい。楽しいの、だが。

「……なのに、猫は、アタシに、靡かない」

 ニルのもとに寄ろうとする猫はいない。ニルの雰囲気が猫の波長とうまく合わないのか。もしくは、ニルの手には猫を引き寄せるためのアイテムがないのが大きいのか。
 チラリとキッチンを見ると、女性がにこりと微笑んで、「おやつ、よかったらいかが?」と勧めてくれる。
「あ、あれは…どんな猫もイチコロな|禁忌の力《液状おやつ》…あれは、危険…一気に猫達が押し寄せてくるし…」
 おやつをめぐって喧嘩する様子を想像してしまって、表情が僅かに曇りそうになる。
「大丈夫よ。みんなからおやつをもらって満腹の子もいるから。もしそうなりそうだったら私達がなんとか止めるわ」
「……」
 ニコニコとニルからの返答を待つ女性。うーんうーんと頭を悩ませること十数秒。観念したニルはカウンターに向かって注文をする。
「ジュレタイプのおやつを、お願いするわ…」
「はーい。すぐに用意するわね」

 そして、リビングのどこかでジュレタイプのおやつを灰色猫(名前は『おもち』。雑種の男の子)にあげながら、ご満悦なニルの姿を確認できたという。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

不忍・ちるは
他のかたと連携・掛け合い、おまかせ行動大歓迎

ねこちゃんがすき
紅茶をお願いしてフタ付きカップ片手にゆっくり座る

気付いたら横に居る子やおとなしい子と寄り添う時間を大切にして
通りすがりの子にはおはなをちょこんとごあいさつ
せっかくなのでジュレのおやつも追加で近付きづらい子へもこんにちわ
無理なく少しでも慣れてもらえたら嬉しいなって

ねこちゃんがいるこの空間に居ることを吸って
ほわほわ穏やかな気持ちを満喫する

…サイコブレイドさんねこちゃんすきですよね…
Anker候補としてねこちゃんの存在は大いに納得しますし
断固として阻止するんですけれど
…やっぱりねこちゃんすきですよね…?
紅茶をひとくち、気合を入れて待ち構える

●ほわほわ・チルタイム
「おまたせしました。お嬢さんは、紅茶だったわね。ミルクやお砂糖必要だったらここで入れていって…ゴミはこのゴミ箱に入れてくださいね」
「はい、ありがとうございます」
 不忍・ちるは(ちるアウト・h01839)が女性から注文していた紅茶を受け取り、自分の好みの甘さに調整したのなら、カポッとプラスチックの蓋を被せた。これで万が一猫に倒されてしまっても大丈夫。
 のんびりとリビング内を歩き、腰の落ち着けそうな場所を見つけると、クッションを引っ張り出して来て、ゆっくりと座り込む。
「ふぅ…」
 プラスチックのつまみを開き、出来立ての紅茶を口に含むと、淹れたての茶葉の深い味と香りが口内に広がっていく。
「おいしい…紅茶を飲みながら猫ちゃんを見れるなんて、幸せです」
 いい紅茶を味わえて、さらに大好きな猫達の姿を拝めるなんて、ちるはにとっては楽園や天国のように幸福感に溢れている。
 ふに、と紅茶の持っていない手に感触を感じて視線を下ろしてみると、黒と白のハチワレ猫がいた。フニフニ、とちるはの手に鼻を当てている。
「あら…あなたは…?」
 顔を上げて、在籍猫紹介のコルクボードを見る。同じような顔をした写真の貼られた紙にはこう書かれている。
 名前:『ダンディ』
 雑種の男の子。口元にお髭のような模様があるのが名前の由来。大人しいけど人間には興味津々。おやつが好きなのであげるとしばらくそばにいてくれることが多い。
「あら…ダンディさん、というのですね」
「にゃあ」
 名前を呼ばれたダンディは可愛らしい声でお返事。猫特有の、鈴のような高めのトーンの鳴き声がなんとも可愛らしい。
 ちるはがそっと手を伸ばしてみると、ダンディの鼻がチョンと指に触れる。彼なりの挨拶だろう。そのあとすぐに素直に頭を潜らせて、なでらせてくれた。
「あらまぁ…触らせてくれるのです?嬉しい」
 そのままダンディの毛並みを楽しんでいると、他にもちるはのことを見ている猫がちらほらと。ちるはからはきっと猫が気にいる波長を感じ取っているのかもしれない。
「んー…せっかくだから、追加で買おうかな?」
 一旦ダンディから離れて、キッチンへ向かう。追加注文したのはジュレのおやつ。小さな小瓶と木のスプーンを渡されて、少しずつ掬ってからあげてねと説明を受ける。
 戻ってきても、ダンディはまだそこにいた。ちるはが帰ってくれるのを待っていたのかもしれない。ちるはがジュレのおやつをダンディを上げていると、それまで見ているだけだった猫たちもやってくる。おやつの香りに惹かれたのもあるかもしれないが。
「ふふ、こんにちは。あなたも、おやつ食べる?」
 新しく掬ったスプーンを向けると、他の猫達がチロチロと舌を伸ばしておやつを楽しんでくれる。なんとも平和で穏やかな世界がそこにあって。

 そして、思うのだ。
 サイコブレイドも、実は猫が好きなのではないか、と。
(Anker候補として、ねこちゃんの存在は大いに納得しますし、断固して阻止はするんですけど…やっぱり、ねこちゃんすきですよね…)
 それは淡い願いだったり期待だったりでしかないけれど。だが、狙ってくる以上、ちるはもまた無慈悲な虐殺計画は止めなければならないという気持ちだ。だけど、今は。紅茶を飲みながら|彼ら《ねこちゃんたち》と過ごすこの時間を大切にしつつ、その時を待ち構えるのだった。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

槻上・優奈
猫は好きですよ。
気紛れに世歩くその可愛らしさが、心を癒してくれるから。

使う技能は3つ。
一つ目、ここのルール遵守の為の礼儀作法。
派手な装飾品など持つことは避け、猫を追いかけたりなどしない節度を持って怖がらせないようにします。香水の類も無し、猫から望まれない限りは抱っこもしない。
二つ目、いつでもウェルカムな優しさ。
人慣れしていないともなれば繊細な扱いが必要だと見ます。猫を優先し、猫が寄ってきた時のみに接する、温かい心を持ちます。
三つ目、猫と意思疎通を図る際の動物と話す技能。
戯れ愛でたい望みは、添えるだけ。猫たちの心に寄り添うように優しく語りかけるように。

紅茶と餌とジュレタイプのおやつが買えたなら、ねこねこタイム!

そう、私の場合ゆきこが気になっていました。
とても可愛らしくて……ここに入ったばかりだというから。
どんな事情でここに来たかも事前に夫婦の方々に聞いておきたいですね。
怖くないよと、思ってもらいたいのです。
見つけてもらえたら、気に入ってもらえるなら、嬉しいものです。

どうか優しい幸せを。

●ちいさな命はすみっこにて
 槻上・優奈(楽園を愛し護る者・h01682)は猫が好きだ。気まぐれに歩くその可愛らしさが、自分の心を癒してくれるから。
 だが、この施設を利用させてもらう以上、ここでのルールやマナーは守らないといけない。そう、『遵守』しなければならないのだ。
 猫たちがストレスを感じないように。必要以上に距離を詰めない。香水はつけない。彼らから望まれない限りは必要以上の行動はしない。
 行動を起こす時は、彼らから自ら近づいたとき、あるいは、望まれた時だけ。基本は、自分本位ではなく、彼らの心にそっと寄り添うように。
 特に、ここは「保護猫カフェ」。
 「保護猫」という肩書きがついている以上、ここに在籍している猫たちは特別な事情で身を寄せている猫達が多い。だからこそ、優奈はより一層ここでのルールを遵守しようーーそう心に決めて、この保護猫カフェにやってきたのだった。

「……番の方ー。飲み物ができたので、取りに来てくださいねー」
 持っていた番号札の番号を呼ぶ声が聞こえたので、優奈はリビングの周囲を確認しているのをやめてキッチンカウンターへ向かう。カウンターの向こうで、店主の1人である女性がニコニコと笑顔を浮かべてあなたを待っていた。
「あの。……番です。ここで引き換えで大丈夫でしたか?」
「ええ、もちろん。番号札、頂きますね。
 …お待たせしました。紅茶と…ジュレタイプのおやつですね。紅茶には特に何も入っていないので、お砂糖とミルクはここで入れて行ってね。ゴミはここのゴミ箱にすぐに入れてください。たまに、猫ちゃん達が間違えて食べちゃうことがあるので」
「そうなんですね。わかりました」
 紅茶を受け取り、自分の好みの甘さに調整すると、プラスチックのふたをカポッと被せる。空になった容器を小さなゴミ箱に入れたあと、小瓶に入ったジュレタイプのおやつと掬いとるための木のスプーンも一緒に受け取った。
 やっとこれで準備は完了!早速ねこねこタイム!
 嬉しさはわずかに顔に浮かばせて、優奈は早速気になっていた猫の元へ向かう。びっくりさせないように、ゆっくりゆっくりと歩いて近づく。その猫は、隅っこのクッションに埋まるように座っている。
 右目は青く、左目は茶色。オッドアイを持つ白猫。
(…いた。多分、あの子が…『ゆきこ』だ)
 コルクボードの紹介を見て一目で気になった新人猫。優奈には、雪原のような体と宝石の瞳をした彼女がことがどうしても気になった。とても可愛らしくて、このカフェに入ったばかりと書かれていたから。
「気になりますか?」と店主の男性が優奈に向かって声をかける。男性は穏やかな顔のまま、ゆきこを見つめていた。本当の娘のように。
「…はい。あの、あの子は、どんな事情でここに?」
 優奈は尋ねると、男性は少しだけ悲しそうな顔を浮かべて…それから、ゆっくりと話し始めた。
「ゆきこさんは、『多頭飼育崩壊』の中から救出されたんです。ニュースなどで見たことありませんか?」
 テレビやネットニュースで度々流れるその単語。
 動物を商品として考えていないブリーダーによる悪烈な環境の中のものと、優しさから始めた保護活動が何らかの原因や理由で崩壊したものがあるが、ゆきこの場合は後者だという。
「自分達よりずっと年上のお婆さんだったんですけどね。かわいそうかわいそうと餌をあげたりすみかを作ってあげたりしたけど、避妊手術を全くしていなかったみたいで。保護に来た時は、もうお婆さんはお家の中で亡くなっていて…何十匹もの猫が狭い家の中で繁殖し続けている状態だったんです。中には、生まれてすぐに亡くなった子や共食いされてしまった子もいて…ゆきこは、そんな悲しい環境の中でも、なんとか生き残ってくれたひとりなんです」
 ふと、優奈が店主を見ると、彼の目の端にはうっすらと涙が浮かんでいた。保護した時、迎え入れた日のことを思い出したのだろう。ハンカチでその涙を拭いながら、悲しそうに笑う。
「…すみません、悲しいお話になってしまって」
「いいえ、大丈夫です」
 無理に悲しみを隠したり誤魔化したりすることはない。だって、いまこうして幸せな空間に来れたのだから。
「…ゆきこ」
 そっと、声をかける。スプーンにジュレタイプのおやつをのせて見せてみるけど、体を沈めたクッションから動くことはない。ただじっと、真っ直ぐ、見つめてくるだけ。鳴き声ひとつもあげない。触れ合うことはまだ難しいかもしれない。

「……大丈夫。怖くないよ」

 また、声をかける。でもやっぱりゆきこは動かない。
 でも、しばらくしてから、小さく細い声で「にぃ」と返してくれた。よく耳を澄ませておかないと聞こえないくらいの声。それでも、優奈には嬉しかった。ほんのちょっとでも心を開いてくれたみたいで。
 そして、願うのだ。何時か彼女にも優しい幸せが訪れることを。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第2章 集団戦 『暗殺組織の実働部隊』


POW 集団戦術
事前に招集しておいた12体の【組織の構成員】(レベルは自身の半分)を指揮する。ただし帰投させるまで、自身と[組織の構成員]全員の反応速度が半減する。
SPD 一人一殺
60秒間【殺意の喜び】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【ハチェットによる斬撃】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
WIZ マンハント
自身を攻撃しようとした対象を、装備する【ハンドガン】の射程まで跳躍した後先制攻撃する。その後、自身は【マスクを被って光学迷彩】を纏い隠密状態になる(この一連の動作は行動を消費しない)。
イラスト タヌギモ
√EDEN 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●決行、『Anker抹殺計画』
 √能力者が癒しのひとときを過ごしているその一方で。
 保護猫カフェである家の屋根には、幾つもの翡翠の瞳をした男が静かに座っていた。
「……」
 男は、何の言葉も紡がない。その瞳にはどこか、彷徨っているようにも見える、ような。
「サイコブレイド様」
 2軒隣の家の屋根から少女1人が飛び渡りながらやって来て、男に声をかける。彼女の目は、彼とは違い、冷たく鋭い氷のような目をしている。
 よくよく見れば、彼女のような風貌をした少女たちが何人もいる。そして彼女達は、いつの間にか保護猫カフェを囲むようにして周囲の屋根を占拠していた。
「そろそろ、私たちから動いても?」
「……ああ、そんな、時間か。」
「しかし、まさか私たちに与えられるのが、『猫』の殺戮だなんて」
 少女は小さく舌打ちする。一見あどけない少女の姿ではあるが、その内面は簡潔に言い表せないほどの加虐性に溢れている。彼女達が|殺戮行為《Anker抹殺計画の一つ》を行うにはその対象はあまりにも矮小すぎると感じているのだ。
「…だが、いつかの脅威になるのだ。脆弱なうちに殺してしまえば、それに越したことは、ない」
 そう言葉を紡ぐ男だが、その言葉の端端にはやはり若干の迷いが感じとるような気がする。少女は気づいていたが、それに追求することはない。これ以上の時間は無駄だから。
 やがて彼は少女達に『命令』を下す。翡翠の瞳はいまだに澱んだまま。

「ーー可能なら、俺が加担する前に片付けろ」
「ーー承知、いたしました。サイコブレイド様」


●襲撃
 にゃあ、にゃあ。 シャア、シャア。

 突然、猫達が鳴き出した。ある猫は不安げに身体を小さく丸め、またある猫は威嚇気味にその毛を逆立てる。
「あらあら、どうしたの、みんな?」
 普段の猫たちを知っている店主の女性が、キッチンから出てきて、様子を確認しようとしたところで、突然リビングの窓ガラスが割れた。
 分厚いガラス窓が割れた瞬間、猫達の悲鳴が響く。突然、彼らにとっての楽園が壊された瞬間だ。
「み、みなさん、大丈夫ですか!!」
 男性が窓ガラスの近くにいた猫達を保護しようとした瞬間、男性の眉間にジャキと何かが突きつけられた。
 重たく感じるほどの冷たい金属の感触。鼻腔を掠めるのは硝煙の匂い。
「動くな。今、その顔をあげたら、そのまま撃ち抜くぞ」
 少女の声だけが聞こえてくる。突然の状況に、男性は声も出ず、ヒヤリとした汗が流れていく。別の少女の声がカフェ中に響く。
「ここは、我らが占拠した。命が惜しければ、ここにいる猫達を全て殺戮させろ。抵抗するならば、この男を殺し…その後お前達全員も殺す」
「そ、そんな…!」
 店主の女性が悲鳴をあげる。夫を救うには|子供たち《保護猫たち》を、子供たちを救うには夫を犠牲にしなければならない。そんなのどちらも選べない。選べるはずなんて、ない。
「どうして、こんなことを…!私たちは、ただ…この子達の居場所を作って、未来をつなげたいだけなのに」
「それが、我らにとって厄介なことなのだ!!」
 女性の悲痛な叫びを打ち消すかのように、複数の少女の声が重なる。いつの間にか、カフェには何人もの少女が武器を構えていたのだ。

「さあ、選べ。たった1人の男か、脆弱な命たちか。どちらを先に犠牲にするのかを!!」

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第2章:集団敵『暗殺組織の実働部隊』との戦闘です
彼女達は選べと言っていますが、無視して戦闘しても大丈夫です
ただし、√能力者さん達の近くには「第1章にて、あなたと関わった猫」がいます。(第2章から参加予定の方は、実はもうカフェに来ていたでも、騒ぎを聞きつけてやってきたでも大丈夫です)
猫たちをどのような扱いをどうするかはお任せします。いずれにしても、猫たちは突然の敵に怯えたり威嚇したりしていることでしょう。居場所を壊されたショックで泣き止まない猫もいるかもしれません。
こちらに関しましては、プレイングの文字数の余裕のある範囲で書いていただければ大丈夫です。難しければ、戦闘に紛れてなんとか逃げ切ったなどで描写します。テキストフレーバーとして考えていただければ。

それでは、熱いプレイングをお待ちしております。
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白野・ふわふわ
ええい、猫たちをおびやかす不埒なやつらめ!ゆるさんのじゃ!
われこそはふわふわ、ケサランパサランじゃ!!

と敵の眼前に飛び出し、名乗りを上げて注目を集めるのじゃ
ねk……ゴホゴホ、ケサランパサランが急に現れて喋り出したら
多少びっくりするはずなのじゃ

敵の人数こそ増えてしまうが
ここにきている能力者はいっぱいおるし大丈夫だろうと踏んで
【もふもふ尻尾大しばき】をかますのじゃ
これだけ敵がいっぱいならばどこかには当たるじゃろうと踏んで

猫たちには【動物と話す】を使って
『ここはなんとかするから今は逃げよ!そして必ず帰ってくるのじゃぞ!』と声を掛けるのじゃ
大事なお家、大事なみんなのご縁じゃからのう!

●もふもふのもふもふによるもふもふのための大反撃!
「ええい、猫をおびやかす不埒なやつらめ!ゆるさんのじゃー!!」
 武装した少女達にシャー!と毛を逆立て威嚇する猫たち。そんな彼らにもみくちゃにされながらも何とか抜け出してきたのは、白野・ふわふわ(しろのふわふわ・h07445)。
 もこっ、ふわっ、きゅっぽん!という効果音が似合いそうな登場で、武装少女達の前に躍り出る。
「な…!なんだ、この丸い毛糸玉は!?」
 男性に銃口を突きつけられた少女は、あまりにも異質なーー現代日本には似つかわしくないファンシーな球体に呆気に取られてしまう。
「け、毛糸玉っ!?われは毛糸玉ではないのじゃ!」
 予想外の言葉にふわふわの体が風船のようにぷくーっと膨れる。やさしいふわふわでも怒る時は怒るのだ。
「われこそはふわふわ、ケサランパサランじゃ!!」
「……はぁ?ケサ…パサ…??」
 少女たちも予想しない言葉に一瞬戸惑う。似てるのは、白くてふわふわなくらいなのでは…と思う一員もいたが、「今はそれどころじゃないだろ!」と男性に銃を突きつけ続ける少女が喝を入れる。
「毛糸玉でもケサなんとかでも、そんなのどうでもいい!邪魔をするなら、殺すだけだ!いけ、お前達!!」
 我に返った少女たちが銃を構え直し、動き出した。拳銃による砲撃、ナイフによる近接戦、さまざま織り交ぜられながら始まってしまった戦闘。攻撃がされるたびに、店主の女性はきゃあと叫び、猫達もみゃあみゃあと鳴きだす。
 このまま戦闘を続けていたら、|大切な居場所《保護猫カフェ》が修復不可能な状態になってしまうかもしれない。少女達からの攻撃を何とかポワンポワンと弾みながらかわしていきながら、ふわふわは周囲を確認する。
(うむ…敵の人数は多いが、わしと同じ能力者もいっぱいおるし、大丈夫じゃろ…よしっ)
 多いなら多いなりに、やってみればどこかには当たるだろう…そう踏んで、ふわふわはぴょんと少女達の眼前に飛んでいく。少女たちが慌てて武器を構えるが、ふわふわの顔がにやーっと笑う。
「そりゃー!!わし渾身の一撃をくらうのじゃ!!」
 ふわふわの体についてきた、2本のしっぽをぶんと振り回す。いくらふわふわのしっぽがもふもふとはいえ、瞬間的な加速を伴えば重みも威力も増す。1本、2本と、間をおかず、一番近くにいた少女の頬にめり込んでいく。
「ぐえっ!?」
 喉奥から少女らしからぬ声が漏れ、そのまま倒れる。ふわふわもふもふと侮るなかれ!と言わんばかりに、倒れた少女の背の上にちょこんと乗ったふわふわは、えっへんとどうだ!ドヤ顔を浮かべた。
 そして、ふわふわと先ほどまで共に戯れあっていた猫たちに声をかける。
「おぬしらー!ここはなんとかするから今は逃げよ!そして…必ず帰ってくるのじゃ!ここはおぬし達の大事なお家。大事なみんなのご縁はわしらが守りぬいてやろうぞ!」
 ふわふわの言葉は力強く、共に遊んでいた猫達の耳にしっかり届いていた。それぞれが顔を見合わせ何かを決意したかのようににゃあと鳴き合うと、それぞれの方向に散り散りになって走っていく。
「く、そ…!こんなやつに倒されるとは情けないぞ、お前達!」
 猫達が無事に避難したことを確認したふわふわ。少女たちは謎のもふもふに戸惑いながらも引き続き攻撃をしようと武器を構える。
 ふわふわのもふもふ反撃はまだまだ続くのだ!
🔵​🔵​🔴​ 成功

不忍・ちるは
他のかたと連携・掛け合い、おまかせ行動大歓迎

この空間の尊さが分からないのは残念ですね
サイコブレイドさんは思うところあるみたいですが…
Ankerさんが人質?知らない事情ですね

ダンディさんを落ち着かせるようにいいこいいこ
動ければ奥さんのほうへ向かわせ
難しければお米様抱っこで守り通す

いつもの私なら無言で飛び掛かるところですが
敵に話しかけ注意を引いて安全優先で避難時間を稼ぐ
間に入るように少し前へ出てみなさんを背に手を広げ
威嚇する子が前に出ず、動けない子が下がれますように

自分を狙うように煽り気味でタゲ取りできたら『に』
即跳躍して武器を弾き、外へ蹴り飛ばす

私たちみんなのご機嫌を損ねたこと、後悔してください
ニル・エルサリス
先ずは、おもちになんとなくでも伝われば良いから小声で【目立たない】様に指示を出すわ。
今からアタシの言うことを聞いて頂戴?アタシが合図したら店長のところに走りなさい。大丈夫、アンタの事は絶対に守るから。

今回は戦略拡張精霊銃『A.B』のまま行こう。【弾道計算】を行い【クイックドロウ】で人質を取ってる敵に対して【武器落とし】を。
その後、愛用のガントレット(左手用)のワイヤーで人質に怪我をさせない様気を付けて【捕縛】、此方側に引き寄せる。ワイヤーを解いたら二人に逃げる様合図を行い、アタシは敵との間に割り込む。敵の攻撃には近くの【敵を盾にする】事で対応しながら、残敵の掃討を行うわ。

(アドリブ・連携歓迎)

●過ごした時間はわずかで及ばなくても。
 武装少女達の襲撃は続いている。彼女達が銃を発砲するたびに、綺麗に整えられたカフェの内装が次々と壊されていく。キャットウォークは崩落し、クッションからは羽や綿が飛び出し、白い壁は削られる。
 時間を重ねる悲惨になっていく光景に、店主も猫達もすっかり怯えていた。勇敢な性格をした猫はシャー!とめいいっぱいに威嚇するものの、少女達が怯むことはない。心の拠り所がなくなってしまう。人間でも猫でもその恐怖は計り知れないものだ。

「…おもち」
 ニル・エルサリス(氷葬の|精霊銃士《エレメンタルガンナー》・h00921)は、彼女の腕に抱かれながら怯える灰色猫の名前をそっと呼んだ。『おもち』と呼ばれた猫は、にゃあ…とか細い声で返事をする。
「今からアタシの言うことを聞いて頂戴?アタシが合図したら店長のところに走りなさい」
 ニルの|言葉《おねがい》はきっと伝わっているのだろう。それでも、不安げな顔を浮かべるおもち。だけど、次におもちの瞳に映ったのは、おもちだけに向けた、優しい微笑みのニルだった。
「大丈夫。アンタのことは、絶対に守るから」

「大丈夫大丈夫。いいこ、いいこ…」
 毛を逆立て興奮状態の『ダンディ』を優しく宥めるのは、不忍・ちるは(ちるあうと・h01839)。声の調子をそのままに声をかけ続けると、やがてダンディは落ち着きを取り戻していく。
「うん、やっぱりダンディさんはとってもいいこですね」
 優しく声を掛けながら、周囲を確認。キッチンから少し離れたところに店主の女性が猫達を心配そうに見つめていた。
「ダンディさん、店長さんのところまで行けますか?」
 ダンディは、不安げな表情を浮かべる。そんな彼の頭を、ちるはは優しい手で撫でてあげる。とても柔らかな毛並みだった。
「大丈夫。私のこと信じて。さぁ、走って。」

「おい!抵抗するなら、容赦はしな…っ!?」
 人質をとっているにも関わらず、臆するどころか真っ直ぐ向かってくる√能力者の姿に、少女は驚きながらも、ハチェットーー血まみれの小斧を取り出す。両手に武器を携えているのにも関わらずブレずにその場所から立っていられるのは、戦闘に特化した強者だからだろう。
 だが、そんなのは今は関係ない。ニルは冷静に愛用の銃に銃弾を装填する。頭の中でしっかり弾道を予想し、手慣れた手つきでトリガーにてをかける。
「やるなら、徹底的にってね…!」
 引き締めた瞬間、ニルの銃口から冷たい冷気と共に氷の弾丸が打ち出される。少女のハチェットと氷の弾丸がぶつかりあった瞬間、弾丸からいくつもの氷柱が生まれた。鋭い氷柱が一気に少女に襲いかかる。
「っ!?」
 氷柱が少女の武装が貫き、頬を切り裂く。少女の顔が歪む中、ニルは左手のガントレットからワイヤーを発射させ、怯んだ少女を縛りあげ無理やり引き寄せる。銃を撃ちつけられていた男性はそのまま解放される形になり、突然の変化に戸惑っている様子だ。
「おもち!店主さん!今のうちに逃げなさい!」
 ニルの声が店主とおもちに届く。我に返った店主の男性が慌てて立ち上がり、「ありがとう!」と一声上げて、避難していく。おもちも急いで行こうとするが、ちらりとニルを見る。
「さぁ、早く」と、ニルが再び声をかけると、おもちは「にゃあ」と鳴いてみせるとそのまま走っていく。
「邪魔、するなぁ!」
 人質を逃されてしまった少女は怒りのままハチェットをニルに振り下ろそうとする。その瞬間に、割って入って行ったのは、ちるはだった。
「邪魔なのは、そっち、ですよ?」
 怒りの表情の少女に対して、にっこりと笑って。大きく手を広げた後ろではミャアミャアと鳴く猫達がいた。広げた手は希望のアーチになり猫達がこれ以上前に行かないようにという願いを込めて。
「…この空間の尊さがわからないなんて、残念ですね。サイコブレイドさんは思うところがあるみたいですが…」
「…お前。なぜ、サイコブレイド様を知っている?」
「知っているも何も…こちらにも、『星詠み』がいますから」
 武装少女が興味の惹かれる単語を並べることで、注意を引くことに成功したちるは。その間、猫たちに目線を送る。ここはもう大丈夫、早く逃げて、と。そして、それはダンディにも。ダンディはちるはの瞳をじーっと見つめてから「にゃあ!」と大きく鳴く。
「ふふ、ダンディさんいいお返事です」
「…くそっ、戦闘中に猫とおしゃべりだなんて、いいご身分だな?!」
 苛ついた少女が再びハチェットを振り下ろす。それが、ちるはの狙いだった。ハチェットの刃がちるはの首を狙う直前、ちるはの体が大きく跳ねた上でハチェットを弾き、しなやかな足で少女を蹴り飛ばした。フェイントに耐えきれなかった少女の体はあっという間に窓ガラスを破り、カフェの外へと追い出されていく。
「……まだ、やる気ですか?」
 笑みは浮かべたまま、ちるはは少女達に告げる。少女達は笑ったままのちるはにびくりと震えながらも、再び武器を構える。
 そんな少女達に、ちるはは笑ったままためいきをつかせた。

「私たちみんなのご機嫌を損ねたこと、後悔してください」

 共に過ごした時間は1日にも満たず、あまりにも短い。
 それでもこんな素敵な場所を壊し、彼らの命を奪う彼女を、許すことはできないのだ。
 それが、ちるはの想い。いや、ここにいる全員の想いだ。 
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

八木橋・藍依
こんな小さな猫まで殺そうとするとは……
弱い者いじめなんて軽蔑に値します
人間相手なら殺していいって訳じゃないですが

目立たないように気配を隠しながら現場まで近付いて
アサルトライフル・HK416で攻撃します
隠れている敵も居ると考えられるので千里眼カメラで索敵を行い、居場所を特定したら私以外の√能力者にも情報を共有しましょう
特に一人一殺を発動しようとチャージをしている敵を優先して倒します

√能力は「未知との遭遇!」を使用します
猫たちを怖がらせないように安全に保護してくれるように頼みます
ここに来たばかりの私が相手だと、猫が怖がってしまうかもしれないので避難誘導を行っている人達の手伝いをしてあげてくださいね

●想う気持ちは一緒だから。
 タイミングが合わなかっただけ。だから、ここにいる|こどもたち《保護猫たち》と心を通わせるほどの時間はなかったけど。
「こんな小さな猫まで殺そうとするとは…」
 星詠みから依頼を受けて遅れてやって来た八木橋・藍依(常在戦場カメラマン・h00541)は襲撃され、ボロボロになっていくカフェや怯える店主や猫達を見て、心の底から怒りが湧いてきた。
「弱い者なんて、軽蔑に値します」
 でもだからって。人間相手なら殺してもいい…という訳ではない。
 とにかく、この襲撃を終わらせないと。
 愛用のアサルトライフルに弾丸を装填すると、急いで他の√能力者たちと混じっていく。だが、武装少女達を刺激するわけにはいかない。藍依は声を潜めながら、自身の銃弾が届く範囲まで移動する。他の√能力者達の対応をしているおかげか、目立つ行動を控えているからか、少女達が藍依の存在に気づいたのは、藍依のアサルトライフルから弾丸が飛び出した瞬間だった。
「…っ!?√能力者が、まだここにも…!?」
 不意打ちを打たれ、肩口を貫かれる少女の手から、捕まっていた猫が溢れ落ちる。特有の柔軟性を持って無事に着地した猫は慌ててその場から逃げ出していく。
「油断大敵、ですよ」
 猫が逃げ出したことを確認した藍依は再び少女に向かって発砲。武器を構えなおす間だった少女の急所に見事命中。そのまま倒れていく。
「…まずは、ひとり。あとは…」
 アサルトライフルを強く握りながら、藍依は千里眼カメラ…という名前のドローンを起動。小さな機械がカフェ中を巡る。崩れた物陰から別の少女が隠れているのを発見した。
「カフェ北東方向の壁にひとり隠れています。気をつけて。もし反撃に行けそうでしたら、お願いします」
 近くの√能力者に得た情報を共有してから、藍依は別の場所…破かれたクッションに身を寄せていた猫たちの元へいく。
 お互いの身を寄せ合いながらすっかり怯えて震えている。視線は戸惑いと焦りで常にあっちこっちへ彷徨っている。尻尾も垂れ下がっていた。
「…怖かったよね」
 本当なら元気な姿を見たかったけれど、それはこの事件を解決してから。藍依の手から、キューブ状の物体が浮かび上がる。
「異次元からの使者よ、我が願いを叶え給え」
 高らかに声を出したいところだが、猫達が驚いてしまうのでいつもよりは音量は控えめ。それでもキューブは彼女の言葉に反応すると、不思議な音と光を奏でる。
「なんて、綺麗なの…」
 システムに反応した店主の女性がやってくる。襲撃があるにも関わらず怪我せずに来れたのは,彼女の√能力ゆえだった。
「お願いします。猫達を安全な場所まで」
「ええ、もちろん…ありがとう。あなたも、どうか気をつけて」
 店主の女性が頭を下げると、その柔らかな手で猫達を抱き、安全な場所ーーカフェの外へ出ていく。

「とりあえずこの辺りは大丈夫そうですね。あとは…」
 藍依がひとり倒しても、まだまだ武装少女はいる。たったのひとり倒れただけでは、襲撃の手を止めようとはしない。これ以上、猫達の楽園を壊されないためにも、藍依は再びアサルトライフルを構えるのだった。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

桐生・綾音
妹の彩綾(h01453)と参加

いずれ脅威になるとしても今猫さんが安心していられる場所を壊す理由にならないでしょう?

簒奪者らしく無茶苦茶な理屈だね?厄介のはあなた達の方。人質を取るやり口も気に入らない。

ささみくんがふ〜っふ〜っと威嚇してる。勇敢な子だね。早く逃げて。追いかけさせないように鳳凰の戦乙女発動。60秒間のチャージはさせない!!【ダッシュ】で近寄って容赦無く大太刀で【切断】!!チャージを中断させるように全力で【グラップル】で蹴りを入れる!!

チャージを完了させる気はないけど、いざという時に【迷彩】【残像】【エネルギーバリア】で攻撃を凌ぐ準備をしておく。
桐生・彩綾
姉の綾音(h01388)と参加

真っ先にゆかりちゃんを抱っこして安全なところにつれていきます。保護猫ちゃん達は今が大切なんです。将来脅威になるからって殺すのは無茶苦茶でしょう・・・人質をとるやり方も気に入りません。

保護猫ちゃんをおいかけさせないようにたちふさがるように牽制攻撃。【零距離攻撃】も駆使して、チャージしきる前に疾風の魔弾でチャージを邪魔します。敵を前にして60秒間チャージなんて随分余裕ですね?絶対時間は稼がせません!!

なるべく攻撃は喰らいたくないですが、いざという時の【残像】【第六感】【エネルギーバリア】の備えはしておきますね。

●怒りの翼を宿して

「フシャーッ!!」

 桐生・綾音(真紅の疾風・h01388)に抱かれた『ささみ』が少女達に向かって威嚇している。小さな体には似つかわしい大きな声だが、それに臆する彼女たちではない。
「ささみー、落ち着いてー。大丈夫だよ」
 ゆっくりと、何度も声をかけていくと、徐々に落ち着きを取り戻していく。そうしてやっと綾音の顔を見ると、小さな頭を綾音の首に擦り寄せていく。
「よしよし。ささみは勇敢な子だね。でもここは危ないよ。私たちは大丈夫だから早く逃げて?」
 綾音が声をかけると、ささみは綾音の首から離れて、もう一度、綾音の瞳を見つめる。
 強くて優しい金色の瞳。
 ジィッと見つめることで何かを思い掴んだのか、ささみは「にゃっ」と短く声を発すると、そのままするりと腕から抜けていくとあっという間に走っていく。カフェで知った彼の素早さを改めて実感した。
「お姉ちゃん」
 ささみが勢いよく逃げていく様子を見送っていると、キッチンから妹の桐生・彩綾(青碧の薫風・h01453)が隣にやって来た。すでに彼女は戦闘準備に入っているようで、その手には手入れが十分された銃があった。そういえば、彩綾と一緒に遊んでいた猫がいないようだが。
「彩綾。『ゆかり』は?」
「先に安全なところに連れて行ったよ。怖がりさんみたいだし、パニック起こしちゃうといけないから」
「そっか。だったら、ここからは遠慮なく戦えるね」
「戦えるけど、あんまりカフェを壊しすぎないようにね?」
 綾音もまた、鳳凰の大太刀を構える。姉妹ふたりの存在に気づいた少女が声を上げる。
「こっちにも√能力者がいるぞ!殺せ!!」
 ひとりの一声に、一斉に武器を構える武装少女達。彼女達の瞳は氷のように鋭く冷たい。
「保護猫ちゃん達は今が大切なんです。将来脅威になるからって殺すのは無茶苦茶でしょ…」
「そうだそうだ。簒奪者らしい無茶苦茶な理屈だよね。厄介なのはあなた達のほう。こうして人質をとるやり口も気に入らないね」
 姉妹の口から出るのは、痛いほどに突き刺さりそうな言葉。だが少女達は怯むことも武器を下すこともない。
「…私達は、ただ、脅威を取り除くだけだ!」
 ハチェットーー血まみれの小斧を構える。逃げ遅れた猫が武器を見た瞬間、ささみと同じように威嚇をし始める。
「チャージなんて、させない!」
 綾音が大太刀を振るうことで、その背に鳳凰の翼が宿る。大技を繰り出される前に、そして猫達が少女達に飛びかかってしまう前に、翼を大きくはためかせ一気に接近する。その間にも、彩綾が牽制射撃も織り交ぜることで、綾音が気にせずに前に行けるように道を開けていく。
「チャージなんて随分と余裕ですね。そんな時間は稼がせません!」
「…ッ!応戦しろ!!」
 彩綾の射撃を止めようと別の少女がチャージ完了していないが、ハチェットを振り下ろす。エネルギーバリアの大怪我になることはないが、それなりに威力のあるハチェットは、彩綾の白い肌をかすめていく。
「彩綾!大丈夫!?」
「大丈夫だよ、お姉ちゃん!こっちは止めておくから!」
 流れる血を抑えながら、射撃の手を止めず、姉のことを心配してくれる彩綾を見て、綾音の翼がさらに赤く輝く。
「彩綾に手を出したこと、許さないからね!」
 そして一気に少女達の距離をつめたところで、綾音は大太刀を文字通り大きくぶんと振り下ろす。大太刀から逃れなかった少女はそのまま両断されたり、振り下ろした衝撃に巻き込まれて吹っ飛ばされていく。
「くっそ…まだ、だッ!」
「やらせないって言った、でしょ!!」
 襲いかかってくる少女に対して、綾音はすぐに振り返り、長い脚を少女の腹部に突き刺すように蹴りを入れる。少女の呼吸が止まると同時に、彼女もまた崩れた瓦礫に飛ばされていき、その一部となる。
「お姉ちゃん、ナイス!」
「えへへ、彩綾も牽制ありがとう!でも…」
 改めて周囲を確認。自分たちの目の届く範囲にいた猫たちはなんとか逃げ切った様子ではあるが、いまだに諦めの悪い少女たちがカフェを闊歩しているようだ。
 別方向にも、助けを求める猫たちもまだまだいる。
「まだ、戦闘は終わる雰囲気じゃなさそうだね」
「そうだね…油断は禁物だよ…サイコブレイドってやつもいないし」
「うん。さてと…続けようか、彩綾」
「わかったよ、お姉ちゃん」
 そう声を掛け合って、姉妹はそれぞれの武器を構え直すのだった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

青柳・サホ
保護猫ちゃんはいろんな過去をもってここにいる。
人との信頼を育んで、ずっとお家をみつける為にここにいるの。
そんな猫ちゃんが、怖がってる、怯えてる。
「あんた達に何の権利があるって言うの」
招かれざる異物はさっさといなくなって。

猫ちゃんを庇いながらの戦闘。
【水鏡】でピンポイントに射撃を撃ち込む。
近づかれないように距離をとって行動。
隙を見て猫ちゃんをリビングから出せないか様子を窺う。

猫ちゃんの人への信頼を損なってしまったら、そうなったら辛すぎる。
大事に大事にお世話をしてきたご夫婦の猫ちゃんへの愛情は無駄にさせない。
「ここの猫ちゃん達は、皆、私が守るから」

●鋭き瞳を向けて
「にゃお、にゃお…」
 青柳・サホ(春待・h01954)の足に絡みつくように、ラガマフィン『ぼたん』がふるふると震えて怯えている。
 だって、さっきまで穏やかだったカフェが、突然見知らぬ者達によって壊され始めたのだから。
 そんなぼたんの頭を、サホは優しく撫でる。サホの手の温もりが伝わったのか、ぼたんの垂れ下がったしっぽが徐々に上に向く。その様子を見たサホは安心したが、すぐに武装少女達を睨みつける。
「お前も、√能力者か?」
 すかさず武器を構える少女。だが、サホは彼女の答えに答えず、ただ淡々と想いを告げる。
「……保護猫ちゃんは、いろんな過去を持ってここにいる。人との信頼を育んで、ずっと、お家を見つける為にここにいるの。そんな猫ちゃんが、怖がってる。怯えてる…見て、わからない?」
 冷静なつもりだが、言葉を発するたびに、少女達への苛立ちと怒りを滲み出していく。
「あんた達に、何の権利があるって言うの?」
「何度も言われるな。こんな奴らでもAnkerになり得る。そうなっては困るんだ。それを未然に防ぐために、私たちは殺しに…」
 少女が言い切ることはなかった。銀色のオートマチック銃による発砲が少女の肩口を貫く。硝煙を吐かせながら、サホの青い瞳は真っ直ぐ少女達に向けられていた。
 必死に生きているあの子たちを『こんな奴ら』という言葉でまとめた少女たちを、どうしても許せなかった。許してはいけないと。

「招かざる異物は、さっさといなくなって」

 自分を頼ってくれるぼたんをできるだけ後ろに下げながら、サホは攻撃を続ける。少女たちもまた負けじと銃撃で応戦した。お互い距離を詰めながらあるいは離しながら、互いに譲り合うことはない。
 先に動き出したのは少女だった。一気に距離を詰め、ハンドガンが唸る。咄嗟にぼたんを抱き上げなんとか回避したものの、再び周囲を見てみると少女の姿はなかった。
「ははッ、どこにいるかわからないだろう!?」
 どこからか嘲笑う声が聞こえる。特殊加工された防具で姿を隠したようだ。一般人ではその一端すら見つけ出すのも困難であろう。
 だけど、サホは少女たちの恐れる√能力者のひとりだ。彼女の√能力なら。
「……大丈夫、見えているよ。」
 どんなに姿を隠そうとも。光学迷彩を通さない√がどこかにある。
 サホの能力『|水鏡《ミズカガミ》』によって、そんな環境があるどこかの√を通して、姿を隠した少女を見つけることは容易い。
 迷いなく、銃口を向ける。ぱあん!と弾けた瞬間、少女の驚く顔の真ん中を撃ち抜いた。ばたりとそのまま床に倒れる。
「…ぼたんくん。あなた、意外と重いね」
「にゃあ」
 怒りのエネルギーもあってか、安心した瞬間、ぼたんの重みがずしりとかかってきた。ちなみに、オスのラガマフィンの平均体重は6.5キロから9キロほどだ。成猫なりたてのぼたんは6キロ代ではあるが、それでも重い。
 ぼたんをそっとおろして周囲をみると、ちょうどリビングのドアが近くにある。そっとドアを開いて、ぼたんを導く。
「ぼたんくん。あとは私たちに任せて。あなたも、ここの猫ちゃん達も、みんな、私が守るから」
 頭を撫でながらそう伝えると、ぼたんはサホの顔をじーっと見てからトテトテと歩いていく。サホの言葉はちゃんと伝わったようだ。

「…みんな、必死に生きて、生き延びて、やっとここに来れたのに」
 これまで積み上げた愛情や信頼を、彼女たちは無惨に壊した。恐怖というもので上書きされて、下手したらもう戻らないかもしれない。
 サホはどうしてもそれが許せなかった。
 だから、サホは少女達を、そしてこれから対峙するでろうサイコブレイドを必ず倒すと決意したのだ。
🔵​🔵​🔴​ 成功

アーネスト・マルトラバース・シートン
こいつら、人質を取ったか。
だからと言って、かわいい猫ちゃんを危険にさらさっれるわけにはいきませんよ。
とはいえ、そのままだと埒があきませんね。
猫ちゃんを隠して、そのまま√能力で接近してハチェットで頭を叩き割りますよ。
「ここで待っててください」

●身を隠せばこちらのもの
「みゃああ…」
 銃口を向けられていたのは黒い猫。アーネスト・マルトラバース・シートン(若き狼・h00433)と遊んでいた黒い猫『くろごま』だった。直接見たことはなくても、これまで見た凶行で恐れを感じてしまったのだろう、尻尾は垂れ下がり、震えていた。
「人質の男は逃げてしまったが、せめて、猫だけでも…!」
 ぱあん!と発砲音が響く。「みゃお!」とくろごまが声を上げながら、小柄な体を一生懸命動かしてなんとか躱していく。だが、相手はプロの暗殺部隊。いつ彼女に当たってしまうかわからない。

(このままだと埒があきませんね…なら、一刻も早く…)
 アーネストは狼の姿の時のように、身をできるだけ低くした上で近づいていく。戦闘や殺戮に夢中な少女達はすぐ近くをアーネストが通り過ぎていることを気づかずにどんどん道を譲っていく形になる。
「…? おい、そっちに…!」
 別の少女が不意に己の目に映った姿の一端を見つけ声を上げるが、その時にはすでに遅く。
 懸命に逃げていたくろごまをヒョイと拾い上げ、破れ飛んできたカーテンの中に隠すと、アーネストはそのままくろごまを狙っていた少女の頭めがけてハチェットを振り下ろす。
 声を、一文字も発することも許されないまま、肉も頭蓋も砕かれた少女だったそれは、そのまま床に倒れ込む。一瞬、血の匂いはするが、それもすぐに消え失せることだろう。
「くろごまさん、大丈夫ですか」
 亡骸を見せないように、カーテンを捲り上げ、くろごまに顔を近づける。みゃ!という元気な声が返ってきて安心したアーネストは優しい声色で伝える。
「まだまだ危ないと思いますから、ここで待っていてください」
 頭を撫でてあげると、くろごまはみゃお!とまた元気に返事したのだった。
 
🔵​🔵​🔴​ 成功

槻上・優奈
酷く、目に余る。

しーっ(初手夜凪)

有無を言わせません。敵全員を行動不能へ。
店主たちを猫たちをゆきこを護る。怖がらせないこと前提の優しさを持ち、ゆきこを庇える立ち位置に移動。
敵に対しても労わることを忘れずに時間稼ぎの応対。
それでね、大事なことを教えたかったのです、

そうそう思い出した(二撃目:星落ちに切替)
あら、大丈夫ですか?
疲れているのかも……少しだけ聞いて。

√能力による敵たちへの急激な精神攻撃と精神汚染で目的と自己を忘れさせ掻き乱す、それが罰。
窓ガラスを割ることも、小さな生命を壊す殺意も、恐怖を与えることも許さない。
人として当たり前のことを護り償うのだと言いくるめ分からせる、
彼女らが壊そうとした生命が尊く美しいと気付かせる!
叶ったらごめんなさいも言わせなくてはね?

此処は皆の居場所であり猫たちの憩い。
人慣れしていないだろう子らを怖がらせる罪の重さをご理解いただきたい!
ゆきこはちゃんと私が責任持って護る、生命を繋ぎます。
いつか元気良く、居場所となれるようにね。
大丈夫、怖くないよ!(動物語り)

●優しい音を、落とすように
 酷く、目に余るものだーー
 と、槻上・優奈(楽園を愛し護る者・h01682)は感じた。先程までの癒しの空間は外部からの侵略者によって壊されてしまった。店主や一部の保護猫達は巻き込まれずに逃げていったものの、まだ逃げ遅れてしまった猫達がいる。
 その中に、優奈と遊んでいた猫『ゆきこ』がいた。クッションにしがみついたまま、離れようとしない。そのクッションがまるで最後の砦と言わんばかりに。
「殺せ!Anker候補を、できるだけ多く殺すんだ!」
 武装少女が叫ぶ。少女の一声に、彼女達は銃やハチェットを振り翳し、次々とカフェを破壊していく。そして、その中のひとりが逃げ遅れたゆきこに気付き、そのまま、ハチェットを振り下ろした。
「にゃ…」
 ゆきこのオッドアイが、血まみれのハチェットを捉える。このまま、小さな首が跳ね飛ばれてしまうかと、思われた、その時だ。

「ーーしー…」

 優奈はそっと口元に己の指を当てると、通常ではあり得ない神秘的な音を奏でる。その音を聞いた瞬間、少女のハチェットが手から離れ、クッションの隣にズドンと落ち、彼女も倒れ込む。周りにいた優奈の音を聞いた少女たちも頭を抱えたり、その場で蹲ってしまう。
「おい、どうした!?」
「にゃお?にゃあ…」
 何があったのかわからず、攻撃範囲外の武装少女とゆきこはただただ戸惑うばかり。ゆきこはクッションから離れたが、そのそばを離れようとはしない。
「大丈夫ですか、ゆきこ」
 敵が沈黙したことを確認して、優奈がゆきこの元へ近づく。ゆっくりと近づくのは、ゆきこを驚かせない為ではあるが、武装少女たちがこちらに近づくことは数瞬ないと判断したからだった。
 みゃおとか細い声を出しながらも、助けてくれたことはわかったのだろう、そっとゆきこは優奈へ近づいた。優奈も「よかった」とそのままゆっくりと抱き上げた。
「くそっ!何をしたんだ、√能力者!!邪魔するならお前も…!」
 難を逃れた少女達が、倒れていた少女たちの間を抜けながら、一気に優奈の元へ近づく。少女からの銃撃をゆきこから庇うために、少しだけ負傷してしまうが、優奈は余裕そうに微笑んだまま。
「どうして、笑っている?」
「…ふふ、だって…」
 笑みを浮かべたまま、次の瞬間には、優奈から『忘れようとする力』が発生。通常よりかなり増強されたそれは、少女達の脳を麻痺させる。
 うつろな目でぼんやりした少女たちを確認した優奈は、彼女達を諭すように言葉を紡ぐ。
「少しだけ、聞いて?
窓ガラスを割ることも、小さな生命を壊す殺意も、恐怖を与えることも許さない。人として当たり前のことを護り、償いなさい?あなた達が怖そうとした生命は、こんなにも尊く美しいものなのですから!」
 麻痺され判断能力の鈍った脳では優奈の甘い優しい声はそれが正しいことであると強く認識される。少女達はふらふらする頭を抱えたまま、武器を下ろし、そのままその場に座り込んでしまった。
 突然の戦闘終了に、ゆきこは不思議そうに眺めている。そんなゆきこに、優奈は変わらない微笑みで「大丈夫、怖くないよ」と優しく語りかける。

 人慣れしていない|こども達《保護猫たち》を怖がらせる罪は図るほどなく重い。√能力者達の活躍により、犠牲になった猫はいなかったが、それでも心に傷を負った猫達は少なからずいるだろう。
 だが、これ以上悲しい思いを背負わせないためにも、サイコブレイドとの決着に臨まなくては、と、優奈は静かに決意するのだった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

第3章 ボス戦 『外星体『サイコブレイド』』


POW ハンターズ・ロウ
【暗殺】の体勢を取る。移動力と戦闘力を3分の1にする事で、肉眼以外のあらゆる探知を無効にする。嗅覚・聴覚・カメラ・魔術等、あらゆる探知が通用しない。
SPD サイコストライク
【装備中の「サイコブレイド」】による高命中率の近接攻撃を行う。攻撃後に「片目・片腕・片脚・腹部・背中・皮膚」のうち一部位を破壊すれば、即座に再行動できる。
WIZ ギャラクティックバースト
60秒間【サイコブレイドに宇宙エネルギー】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【外宇宙の閃光】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
イラスト sawada2
√マスクド・ヒーロー 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●譲れない想い、あるいは。
 武装少女達の襲撃を終わらせた√能力者達。
 店主と保護猫達は全員退避されることは叶ったものの、保護猫達の居場所である保護猫カフェはすっかり元の雰囲気とはかけ離れてしまっていた。大きな窓ガラスは窓枠ごと破られ、床と壁はどこもかしこも穴だらけ。キャットウォークは崩され、クッションのカバーは破られ綿や羽毛が飛び出て床に散らばっている。

「……あいつらを、ここまでやれるのは…さすがだな、√能力者」

 ぱきり、とガラスのかけらを踏みしめながら、大男があなた達の前に現れる。
 額には、サングラスの奥にある翡翠の瞳がもう一つ。着込んだコートから溢れる緑の光を放つ青黒の触手。常人のそれではない異形の手にはこれまた見たことのない形状の大きな剣が握られている。
 あれが…いや彼が、外星体『サイコブレイド』。今回の事件の、首謀者となるもの。

「…すまないな」
 邂逅一番、口にしたのは謝罪のことば。だが、次の瞬間には彼は攻撃手段をとる準備をしていた。
「俺にも、譲れないものがある。お前たちと同じように、こんな俺を待ってくれる|護るべきもの《Anker》がいるのでな。こうなった以上は、情けをかけるつもりはない」

 ギラリと三つの翡翠の瞳があなた達を凝視する。
 そして、静かに、宣誓する。

「ーーサイコブレイド。
 これより、外星体同盟からの命により、『Anker抹殺計画』を遂行する。
 対象は、計画の遂行を阻む|√能力者《お前達》、全員だ。」
桐生・綾音
妹の彩綾(f01453)と参加

外星体同盟、か。この人はAnkerの大切さに気づいていながら容赦無くAnkerになりうる猫ちゃんを抹殺しようとしている。ものすごい矛盾だよね。それほど同盟の命令に強制力あるの?

貴方がその気なら私と彩綾も譲れない。どちらの意地が勝つか、勝負だ!!

敵は手数が多いね・・・【迷彩】【残像】【第六感】【オーラ防御】で確実に一撃ずつ【ジャスト位ガード】で防いで疾風の秘技で【カウンター】で返す。攻撃のリズムを防ぐために時々【フェイント】で【怪力】【グラップル】。全力で蹴りをいれる。

なぜこのような事をしなければならない羽目になったのか。サイコブレイド、謎が多いね。
桐生・彩綾
姉の綾音(h01388)と参加

いいたいことはそれだけですか?貴方にも大切なAnkerがいるんでしょう?それなのに何故Anker抹殺計画に従うんですか?保護猫ちゃんの居場所を散々に荒らしてでもなしとげたいことなんですか?

貴方がその気なら私たちも相応に相手します。こちらも、譲れない!!

刹那の光芒発動!!【残像】【第六感】【エネルギーバリア】で防御態勢をとりながら【スナイパー】【クィックドロウ】で確実に【貫通攻撃】で撃ち抜いていきます。いざという時は【零距離攻撃】も使いますよ。

サイコブレイド、本意じゃなかったようで。でも油断はできないよね。
アーネスト・マルトラバース・シートン
彼が、例の曰く付きですかね。
ですが、如何なる事情があろうとも、わたくし達は引くわけにはいきません。
なれば、この小さな命も守るためにありますからね。
狙いはわたくし達のようですね。
猫ちゃんは無事ですし、ここから本番と行きましょうか。
奴が攻撃しようとしたら、ハチェットを持って攻撃、そして、√能力の発動で闇に隠れて狼に戻った後、奴の後ろを襲撃して噛みつく。
「後の事は分からずとも、今は食い止めさせていただきます!」

●譲れないもの
「…………」
 √EDEN、某所都内。一軒家型の保護猫カフェにて。
 三つの翡翠と異形の手腕を持つ大男が、あなた達√能力者をじっと見据えている。
 だが、その視線はまっすぐ射抜かれている感覚はない。どこか、彼方にそらしているような、そんな不思議な感覚をこの場にいる貴方達全員感じることだろう。

「…彼が、|例の曰く付き《サイコブレイド》、ですかね」
 アーネスト・マルトラバース・シートン(若き狼・h00433)は己のハチェットを引き抜きながら、サイコブレイドの動きを注視していた。
「ですが、如何なる事情があろうとも、わたくし達は引くわけには行きません。彼らの命を守るためにわたくし達はいますから」
 アーネストのいう『彼ら』ーー保護猫カフェの店主と保護猫たちはすでに避難退避を完了している。逃げ遅れた者はいない。
 この場に残っているのは、壊されたカフェと床に倒れた武装少女達、そして√能力者とサイコブレイド、だけ。
 力を加減したり、遠慮したり理由は、ここにはもうない。

「…外星体同盟、か…ねぇ、あなた。Ankerがどれほど大切なものか知っているはずなのに、どうしてそれになりうる猫ちゃん達を殺そうとするの?ものすごい矛盾だよね」
「貴方にも大切なAnkerがいるんでしょう?それなのに…そんな計画に従うんです?保護猫ちゃんの居場所を散々荒らしてでも成し遂げたいことなんですか?」
 桐生・綾音(真紅の疾風・h01388)と桐生・彩綾(青碧の薫風・h01453)、二人の姉妹がそれぞれサイコブレイドに問いかけてはみるものの、彼からの返事や答えはない。対峙した時に「待ってくれるAnkerがいる」と言葉はあったが、それ以上の回答はないのだろう。彼は武器を下ろすことなく対峙し続けている。
「…答える気はないみたいだよ、お姉ちゃん」
「そうみたいだね…」

「それだけか。お前たちが、俺に言いたいことは。」

 サイコブレイドはそれだけ尋ね、けれども、√能力者たちの答えを待つことなく、動き出す。大きな剣を振り翳しながら、接近する。
「…みなさん、来ます!」
 彼が動き出したことにいち早く気づいたアーネストが動いた。人間形態だった姿を本来の狼の姿に戻り、崩かれたカフェを走る。
 目標を姉妹ではなく自分に変えさせることで、己の持つハチェットがサイコブレイドの届く範囲まで一気に近づく。瞬時に振り上げたハチェットはサイコブレイドの腕を切り裂く。
「!」
 サイコブレイドの瞳たちが揺らぐ。揺らいでいる間にも、狼は音もなく闇に紛れ、振り向かない内に背後から噛みついた。ぐっ…と男の低い声が漏れる。
「今は、食い止めさせていただきます!」
「狼め…!」
 肉ごと噛まれたサイコブレイドは顔を歪めながら、噛まれた背中の一部を無理やり剥がす。いや剥がすというより己の手で一気にこそぎ落としたのだ。こそぎ落とした背中と共にアーネストは強制的に剥がされた。
 だが、休む間もなく、次の攻撃が入る。綾音と彩綾からの攻撃。
「貴方がその気なら私も彩綾も譲れない。どちらの意地が勝つか、勝負だ!」
 綾音は愛用の武器『鳳凰の大太刀』に特別な力を託し、綾音が前に入る。綾音の後ろからは、彩綾の精霊銃による援護射撃が入る。自らの√能力のおかげで射程距離はしっかり確保されているし、その後隠密状態になれるのである程度の安全は確保される。
 サイコブレイドは、彩綾の銃撃を回避することはなかった。保護猫カフェという狭い空間の中で彼の体格では避けられる余裕はなかったのだ。
 翡翠の瞳たちは、目の前にやってきた綾音を捉えた。サイコブレイドの大剣が、そのまま綾音に振り下ろされる。己の体を犠牲にして、それが2回一気に続く。
「ーーお姉ちゃん!!」
 彩綾の声が響く。綾音は己の持つできる限りの|技能《スキル》を以て受け止め流そうとするものの、全て躱わすことは難しく、肌が切り裂かれるほどの斬撃を受けてしまう。
「負ける、かぁっ!!」
 痛みに耐えながら、綾音は変形させていた鳳凰の大太刀を大きくおろした。サイコブレイドの肩に刀身が入る。翡翠の瞳がまた揺らいだ。サイコブレイドの体は√能力者からのではない、自己犠牲による傷がじんわりと増えていた。
「ねえ、どうして、なんでこんなことをしないといけなくなったの!」
 綾音が尋ねる。だが、サイコブレイドはなにも告げない。変わらず、答える気はない様子だった。
「まだ油断できないみたい…」
 隠密状態を保った彩綾がサイコブレイドの姿を見ながら、言葉を漏らす。傷だらけでも動き続けるサイコブレイドは、なんとも異様で、異常で、そして、哀しみを伴っていた。

 翡翠の瞳たちは、いまだに、貴方達を捉えて離そうとしない。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​ 成功

槻上・優奈
不思議です。
本来のあなたが猫を扱ったとして、今と同じ結果にならない。そんな気がするのですよね。
だってあなたは……、

……失礼。
目程嘘を吐かないものが無いものでして。ふふっ。

とはいえ、一度死んでもらう他無い。

右手首のアヴァロンを起動後幻想の鍵を差し込み、高次元透過処理によるインビジブル化を実行。
簡単に右手だけ顔の前に翳して変身を。

SELECT.

青髪に紫の瞳への変化を。
幻想司る夜闇の騎士の出番です。
目視で相対しつつ星砕きを。
それが完了後2撃目。60秒間機剣で向こうの攻撃を耐え凌ぎ、ゆきこに一度でも攻撃がいかないようにします。満ちたらリミッター解除、限界突破で思い切り蹴りつけて葬ってさしあげます!
星々の囁きを聞き届けなさい!

ゆきこに眩し過ぎないように、一連の行動による視覚的効果は最大限抑え、激しくなる戦闘に巻き込まないよう優しさと動物語りを以て優しく逃してあげたいが……ゆきこはもう私の居場所のようにも感じられる。側にあるなら止めません。
あなたの想いさえもが、此処では許される。絶対に、死なせない!

●夜闇の戦士として
 槻上・優奈(楽園を愛し護る者・h01682)もまた、静かにサイコブレイドと対立していた。
「不思議です。本来のあなたが猫を扱ったとして、今と同じ結果にならない。そんな気がするのですよね」
「……」
「言いたいことだけ言って、ずっと、ダンマリですか。だって、貴方は」
 翡翠の瞳が、ギロリと優奈を睨みつける。それ以上何も言うな、と訴えかけているように感じる。だが、眼光鋭いそれに優奈は臆することはなく、微笑みを浮かべる。
「…失礼。目程嘘を吐かないものがないものでして。
とはいえ、貴方には、一度死んでもらうほかありませんが」
 言葉を紡ぎながら、右手首に嵌めていたアクセプター『アヴァロン』を起動し、幻想の鍵をガチャリと差し込む。

「ーーSELECT.」

 右手を顔に翳して見れば、それは変身の合図。
 赤い髪は青空のような青に、黒い瞳は夜空のような紫に。姿を反転させた優奈はそのままサイコブレイドに向かって突撃していく。
(ゆきこは…なんとか他の猫達と逃げてくれた。なら)
 遠慮する理由は、ない。
 己の持つ力の限界を超えた牽制と共に、飛び蹴りをすることでサイコブレイドの足を拘束しようとした。突然の衝撃にサイコブレイドの大きな体がぐらりと揺れて後ろに倒れる。倒れた瞬間、優奈は高くジャンプするとそのまま、腹部に向かって蹴りを落とす。
「ぐ…っ!」
 優奈の蹴りによって腹部は思い切り凹み、思わず息が漏れるサイコブレイド。だが、彼もやられっぱなしではない。瞬時に態勢を整えると、その姿をくらませた。
 優奈が周囲を確認しようとするにも、予想しない角度からサイコブレイドの攻撃が次々と飛んでくる。
「…っ、結構厳しいですね…!」
 銀色の機剣で受け流し耐え忍ぼうとしたものの、完全に受け流すことはできず、優奈の体が次々と刻まれる。痛みも出血も伴うが、こんなのゆきこ達の恐怖と比べれば全然なんともない。
「……終わりか?」
 サイコブレイドが、短く言葉を紡ぐ。だが、優奈は答えることはない。だって、まだ終わりではないから。

 ーー|時間は満ちた《60秒経った》。
 耐え抜いた時間だけ、威力は補填される。サイコブレイドの首に向かって飛んだ。優奈の蹴りは確実に捉え、そのまま頭が吹っ飛ばされる勢いで蹴り上げた。
 サイコブレイドの表情がわずかに歪む。だが、頭が吹っ飛ばされることはなかった。首に命中し、かなりの威力を受けたにも関わらず、サイコブレイドは首が凹んだくらいでサイコブレイドは倒れることはなかった。
「強い…っ!」
 こちらも態勢を整えようとしたところで、優奈は胸元の皮膚が剥がれていることに気づいた。そこには攻撃が届いていないはずなのに。
 赤く滲むそれを見ているうちに、サイコブレイドの大剣が優奈の体に切り掛かってくる。
「……!!」
 咄嗟に機剣を振り上げることで、致命傷を負うことはなかったが、規格外の大剣は確実に優奈にダメージを与える。
「やりますね…ですが、まだまだ…!」
 傷を押さえながら、優奈は再びサイコブレイドに向かって剣を構えるのだった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

不忍・ちるは
他のかたと連携・掛け合い、おまかせ行動大歓迎

お言葉を返すようになりますが、こちらこそすみません
たぶんここにいるみなさん同じ想いだと思いますが
私たちにも譲れないものがありますので

あなたがねこ好きで遊びにきているならマナーお教えしますよ?
みんな避難できたとはいえ
この心穏やかになる場所を狙った時点で私はおこですからね

今この目の前にいる状態から逃がさないように
移動を牽制し他のかたの攻撃へバトンをつなぐ
足元から掛けて、多少の被弾は厭わず近距離戦へ持ち込む
狙えれば武器落としと相手の首元へ飛び乗って投げ叩き飛ばす

ねこちゃんは家につくと言われますが
それでもまた店主さんたちと愛情いっぱい生活が迎えられますように
ニル・エルサリス
アンタ、自分は護るべきものの為に不本意だけどAnker抹殺計画をやってますって雰囲気出すのやめてくれないかしら?別にアタシはアンタの境遇に興味無いし、おもち達を救えるのならそれで良いのよ。

店主達が退避してくれたお陰で流れ弾の心配は不要。室内戦なら・・・試作型戦略拡張アタッチメント『S.K』の出番ね。
敵の得物は剣か、【牽制射撃】で【弾幕】を張り、倒壊した家具等を上手く【地形の利用】して相手の接近を防ぎたいわね。
仮に接近を許したら、【迎撃格闘術】で応戦、相手の攻撃には【見切り】からの【カウンター】を狙って再度距離を離すプランで行くわ。
(アドリブ・連携歓迎)
八木橋・藍依
謝るな
哀れむな

自らの意思でその剣を振ったはずではないか
赦されざる悪を全うするのではなかったのか

あなたの殺人には大義が無い
だから私はあなたが嫌いだ

保護猫カフェ、大変なことになってしまいましたね
もう手遅れかもしれませんが
拠点防御の技能を使用してカフェを守りながら戦いたいと思います
カフェの人達が戻ってきた時に良かったと思えるように
保護猫さん達の居場所が無くならないように

敵は近接攻撃を得意とするので
私は主に遠距離からの攻撃を行います
HK416をはじめとした装備している各種武器と
√能力「亡き友の為に」により入手したG28(HK417)で攻撃する
スナイパーライフルで狙撃して特大ダメージを与えたいと思います

●互いの|違《たが》いは交れぬまま

「…謝るな。哀れむな、サイコブレイド」

 サイコブレイドの言葉に、八木橋・藍依(常在戦場カメラマン)の笑顔は消えた。彼に向けたのは、軽蔑を含めた冷ややかな視線。かけられる言葉も刺すように冷たい。
「自らの意思でその剣を振ったはずではないか。赦されざる悪を全うするのではなかったのか」
「……それ、は」
 サイコブレイドの瞳が揺らいだ。明らかに動揺している様子だ。
「貴方の殺人には大義がない。だから、私は…あなたが嫌いだ」
 そして、ふとサイコブレイドが視線を合わせた時には、藍依の姿は明るく朗らかな新聞記者ではなく、あの武装少女達以上に無機質な装備に包まれた兵士の姿になっていた。

「アンタ、『自分は護るべきものの為に不本意だけどAnker抹殺計画をやってます』って雰囲気出すの、やめてくれないかしら?」
 ニル・エルサリス(氷葬の|精霊銃士《エレメンタルガンナー》・h00921)は変わらない表情のまま、精霊銃をサイコブレイドに向ける。
「お前は…知りたくないのか…どうして、こうしているのか」
「別に。アタシはアンタの境遇に興味はないし、おもち達を救えるのならそれでいいのよ」

「お言葉を返すようになりますけど…こちらこそ、すみません」
 ニルの隣にいた不忍・ちるは(ちるあうと・h01839)が言葉を挟む。
「私たちにも譲れないものがありますので」
「…そう、だろうな。だからこそ、こうして戦うしかない」
「……あなたがねこ好きで遊びに来ているならマナーくらい教えますよ」
 武器を構えながら、「でも」と、短く言葉を挟む。微笑みは浮かべたままだったが、声は非常に平坦なものであった。
「みんな避難できたとはいえ、この心穏やかになる場所を狙った時点で、私はおこですからね」

 サイコブレイドは傷だらけだった。剥がれ落としたところから次々と血が滲んでいる。他の√能力者との攻防もあったが、その大半はサイコブレイドが自ら傷つけたものだった。
 どうしてそこまで身を滅ぼしながら計画を進めようとするのか。今の時点ではわからない。何時かわかるのだろうか、どうだろうか。
 だけど、今は、居場所を壊し、そこに住まう猫達に悲しみと絶望を与えたサイコブレイドを許すわけにはいかない。
 動き出したのは、ちるはの方だった。知られざる【|睡眠学習効果《おじいちゃんの刷り込み》】の覚醒により、今最も必要な力を倍増させたことで、一気に速度をあげてサイコブレイドに接近する。その後ろから、藍依のスナイパーライフル・G28(HK417)による遠距離射撃のサポートが入る。
 手遅れかもしれないけれど、これ以上このカフェが壊れないように。カフェの人達が戻ってきた時に良かったと思えるように。保護猫さん達の居場所が無くならないように。
(そのためにも、倒さないと。)
 藍依は祈るようにスナイパーライフルのトリガーをひき続ける。藍依の銃弾が、次々とサイコブレイドの肩や腹部を貫く。苦痛に歪むサイコブレイドだが、反撃の手を止めることはない。攻撃を受けるたび、返すたび、己に傷を与えてその機会を見出す。
 戦闘の手数はサイコブレイドの方が上手だった。だが、相手は一人だ。√能力者は複数いるし、その分対策はできる。
(ちるはへの接近はできるだけ避けたいわね。だったら)
 店主たちが避難できたおかげで、流れ弾による被弾の心配はないことを判断したニルは、まずは藍依と同じように銃撃による牽制を行うことにした。『試作型戦略拡張アタッチメント『S.K』』を精霊銃に組み込み、散弾銃型に切り替えると、弾幕を張るように牽制射撃を行った。倒壊した家具などをうまく障壁がわりにして、射撃を続ける。

 戦闘の流れも早いが、相手の負傷スピードもいつもより早い。それは、こちら側にとってはデメリットなどないのだが。
「あなた、このままだと死んじゃいますよ?」
 一番接近したちるはが、接近戦を狙って次々と武器を振るう。サイコブレイドも手数を増やそうと己の体を次々と傷つけていくが、ちるはには妙に違和感を感じたのだ。
「それがあなたの能力だとは思いますけど、いくらなんでも多様しすぎなのでは?しに急いでいるようなものですよ」
「……計画のためなら、だ」
「……Ankerのためではなく?」
 サイコブレイドは、再び口を閉ざした。サイコブレイドの翡翠の瞳はいつの間にか赤く染まっていた。血液なのか、涙なのかすぐには判別できない液体が目の端から落ちていく。
「ちるは、援護するわ」
 会話が途切れた瞬間、ニルも聖霊銃に己の拳も加えて、一気に接近した。蹴りをメインとした|格闘術《アーツ》と銃撃による連続攻撃によって、確実にサイコブレイドにダメージを与えていく。
 サイコブレイドは、声は漏らすものの、怒号などを告げることはなkった。ただ、静かに彼らの攻撃を受け入れ、流し、反撃していく。静かで激しい攻防が続く。

 そして、「終わり」は突然だった。
 藍依のスナイパーライフルの銃弾のひとつが大剣を持つ右手首を見事貫いた。それを、ちるはもニルも見逃さなかった。ちるはは多少の被弾は覚悟の上でさらに接近し、大剣を落とす。ニルも続けて、格闘術を叩き込むことで追撃。
 ニルからの追撃でふらついたところで、ちるははサイコブレイドの首元に飛び乗ると、そのまま投げ叩き飛ばした。
 バリン、と、窓ガラスの割れる音がして、そのまま外へ飛んでいく。

 夕焼けが眩しいくらいに照らしていた。
 ちるははサイコブレイドの体の上にまたがっている。その手にはとどめを刺すためのスライサーが握られていた。
「これで、終わりです。サイコブレイド」
 ちるはは、静かに事実のみを告げた。傷と血に塗れたサイコブレイドは、深く深く大きなため息を吐かせた。
「……すまないな」
 対峙した時にも発した言葉を再び告げる。
 表情は変わらない。だが、どこか達観しているような、諦めを滲ませているような、そんな雰囲気も感じた。
「…彼らにも、悪いことをした、な」
 彼らとは、きっと店主と保護猫達のことだろう。そして壊してしまった居場所のことも。
「『遺言』は、それだけ、ですか?」
 尋ねてみたが、これ以上返事は返ってこない。翡翠の瞳は赤に塗れたまま静かに閉じられた。
 ちるははそれ以上できることもなく、そのままスライサーをサイコブレイドの急所に振り下ろしたのだった。


●終幕:いつか帰る場所がここでなくなるために。
 武装少女とサイコブレイドによる被害は甚大なものであった。だが、周囲の家屋まで被害が及ばなかったのは不幸中の幸いか。
 襲撃された保護猫カフェには警察による規制線が貼られ、現場検証が行われた。かなりの被害だったために、完全な修復に至るまでには数ヶ月の時間がかかるという。
 一度は散り散りになってしまった猫達だが、√能力者達との約束が効いたのか、誰一匹として行方不明になってしまった猫はいなかったという。
「みなさんのおかげで、店主さんも猫さんも無事だったみたいです。本当にありがとうございました。」
 星詠みの鳴宮はあなた達を労るように優しく微笑む。隣の白犬も静かに尻尾を揺らす。「おつかれ」と言いたげな様子だった。

 猫たちは、保護猫カフェが完全に元に戻るまでは、店主といろんな保護団体と協力してそれぞれの場所で過ごしているという。そして、カフェが復活した暁にはまた再び集まろうとのことだった。
 だが、その前に、彼らにとっての帰るべき場所ができることを祈ることにしよう。

 今日も、街のどこかで「にゃあ」と猫の声が聞こえてくる。
 幸せそうに寄り添う猫達の歌が、聞こえてくるのだ。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

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