シナリオ

悲鳴工場を破壊せよ

#√マスクド・ヒーロー

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 #√マスクド・ヒーロー

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「ああ…なんて素晴らしい場所なのかしら!」
 妖狐の女性が地下の工場で笑みを浮かべる。
 工場でのけたたましい騒音と言えば、機械音や警報音などを思い浮かべることだろうか。
 しかしこの工場では違う。女性が、生きたまま改造されようとしているのだ。
 悲鳴を挙げ、目を見開いて痛みに悶えている。
 そうして惨状を目にした彼女は呟くのだ。
「あぁ…ここは。素敵な素敵な、悲鳴工場ね…!」
 そうして原型を残したまま改造された女性戦闘員達は実用化され、前線へ出る。
 たすけて、いたい、くるしいと。
 逃げ惑う人々に助けを求めて手を伸ばす。
 その手についた回転鋸が、人々を切り刻むことになってしまうことなど知りもせずに……。

 …………。

「…以上が、予知の内容なのです」
 目の下に隈が出来たトロワ・レッドラビット(赤兎小隊長・h03510)が明らかに気力のない様子で座っている。
 ここまでの悪夢を見たのだ、仕方がないとも言えるだろうが…この惨状は何としてでも防がなければならないと思えるだろう。

「少し詳細に説明するのですよ…んむ…」
 炭酸飲料をコップ一杯飲み干して、深い溜息をつく。
「先ず、√マスクドヒーローに戦闘員工場が発見されたのです。それも新型で、人々に絶望や恐怖を与えることに特化した物…おぞましいです。
 その工場の指揮者は、朧魔妲姫。高飛車な性格で…見た目のいい女性の…悲鳴を聞きたがる悪癖があるのです。新戦力を導入して、さっき言った酷い事件を起こすのが奴の目的なのです…」

「…大まかな流れを説明するのです。
 まず能力者の皆には工場入口まで潜入してもらって、各自の能力で戦闘員生産の阻止をしてほしいのです。位置は各自連絡するですよ。
 恐らくは改造手術途中ですけれども、改造方法から考えるとまだ手術で人間に戻れると考えられるのです。手遅れが生まれないよう素晴らしい迅速な処理を行うことができれば、戦闘員を生まずに済みます。
 しかし、相手の側にも『星詠み』…予見を行った相手は居るはずなのですよ。相手から見ても新戦力が生まれることを阻止されるのは事件に変わりねえです。
 戦闘員の生産を完璧に阻止した場合でも、敵の幹部級が現れるかもしれねえです。十分に注意するのですよ。
 最後に工場長の親玉…『朧魔妲姫』についてです。
 伸縮自在の尻尾での攻撃、斬撃。侮れる相手ではねえです。特に"女性陣は優先的に狙われるかも"しれねえですから、守りを固めて反撃するのが主になると思うです」

「…行きたくもねえ戦場に行かされるなんてきっと苦しいはずです。そんな人々を産まないよう…頼みます」
 一通り資料を並べながら説明したトロワはそっと立ち上がり、深く頭を下げた。
 星詠みであるため関与できるのは『戦力となる√能力者に説明を行うこと』のみ。地面に向けられた顔は見えないが、感情を読み取れる能力者ならば『悔しさ』が伝わってくることだろう。

「到着したら一斉に行動するのですよ。気づかれる前にある程度行動をしなければ、改造手術が早められる恐れがあります。
 …任せました」

 そうして準備を整えた君達は、無事に潜入に成功する。
 目の前に広がるのは、まだ使われた形跡のない工場の設備達だった。元となる人々は何処かに捕らわれているのだろうか。

マスターより

三番かんぱねら
 はじめまして、三番かんぱねらと申します。
 今回がシナリオ初執筆となるため拙い部分あるかもしれませんが最大限務めます。
 皆様のキャラクターの特徴を把握するために簡単にプロフィールや履歴を覗かせていただくことがあります。
 できる限り迅速に書き上げるスタンスで参りたいと考えています。
 よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『戦闘員工場を止めろ!』


POW 設備を破壊する
SPD 戦闘員にされそうな人々を救出
WIZ 敵組織のデータを探して回収する
√マスクド・ヒーロー 普通7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

フロッシュ・ニッテカン
なんとも悪趣味なことだねェ……それを除いても戦力増強は面倒だ、早急かつ確実に片付けようか。
ボクとしては、可能なら幹部級を仕留めたいとこだしィ……うん。

ボクの札に設備を迅速に破壊できるものは無い、そしてデータ回収できるような技術も知力も道具も無い。。あるのは多色の稲妻と自慢の足だけ。
じゃー答えは1つ。救出だ。
これでも暗殺者さ、そして速さにちょォー自信あり。忍び足とダッシュを合わせた走法で、さッと駆け抜けて探そうかなァ。

捕らえられている場合はそのまま救出、改造途中なら敵も居るだろうし……この√能力で行こうかなァ。
暗殺なら騒ぎを起こさせず動けて、後の救出もやりやすい。すぱッと切断……じゃァ続きだね。

 フロッシュ・ニッテカン
(疾閃ライトニングスピードホリック・h00667)が率先して駆け出す。驚異の素早さだけでなく効率的にルートを模索しているようだ。
 音すら立てず、目にも映らず。影を縫うように、されども稲妻のような素早さで駆け抜ける。

 そうしてほんの少し経った頃だろうか、フロッシュが立ち止まると、本業の暗殺者らしく笑みを浮かべる。
「見ィつけたァ…♪」
 眼光がギラリと光る。
 彼女は瞬時に獲物…ではなく、要救助者の入った大きなコンテナを見つけ出した。上蓋が開いているため上から確認した。どうやら気絶しているようだが手足が鎖に繋がれている。素早さだけでは断ち切ることなど出来はしないだろう。
 しかし彼女に心配など必要なかったようだ。

「舐めてもらっちゃ困るなァ…別に、速いだけでやってるわけじゃないんだよねェ」
 瞬時に距離を詰め、トラップすら作動させることなく全ての鎖を断ち切った。
 仮にこの場に目撃者が居たとして、その目には残像すら映らないだろう。

「コイツら、どうしようかなァ…これでも使うか」
 このまま放置してはどの道危険、入口に移動させても後に増援が来たら見つけてしまう。
 フロッシュは気絶した要救助者を別の部屋に移動させ、簡易的に光学迷彩を被せることで隠してみせた。
 本格的な探索であればともかく、駆けつけた増援が部屋の前を通り過ぎるだけではまず見つかることが無いだろう。
「ま、こんなところだよねェ」
 部屋を振り返り口元で笑みを浮かべた後、フロッシュ・ニッテカンは部屋から姿を消した。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

バーストシンザン・オブライエン
荷車引っ張って空馬の暴走馬車みたいに突っ込むぶもっ
そして思い切り勢いをつけてからワープスピードで自分の体だけワープして荷車ドーンってやるぶもっ

ヒヒーン ブルブルブル
ヒーローらしくマスクもしてきたしかっこよく決めるぶもっ
でも彼が被ってるマスクはヒーローはヒーローでも競馬場のヒーローが被ってるメンコですが、彼にとってはそんなヒーローこそ、かっこいいヒーローのマスクなのです


もし警備の敵とかが出てきたらワープで翻弄して、キックしたり噛みついたりするぶもっ
人間と違って視界は350度もあるぶもっ 死角はないぶもっ

 一頭のサラブレッドが荷車を引き現れる。これしきの重さは大した弊害ではないのだろう。そうしてヒーローマスク…もといメンコを被り現れたのはバーストシンザン・オブライエン(シンザン産駒の生き残り・h00679)だ。
 重い荷車が新品のタイルに傷をつけつつ硬いタイルは踏みしめづらい。それでもこの程度の道悪は"現役時代"に体験済みといったところか。37といえば本来なら馬の中だと老齢にはなるのだろうが、それでも肉体は経験を覚えていた。
「ぶもーっ!!」
 人を丸ごと収納する大きさの、カプセルのような改造装置の列に突進せんと突き進む。しかし生身で金属片やガラス片が突き刺さるリスクをバーストシンザンは予見していた。
 ぶつかる直前、なんと十分加速した荷車だけが残り彼は姿を消した。まるでドミノ倒しのように複数個の装置が倒れていく。破壊は大成功だ。
 しかしその行動で轟音が鳴る。近くを警備していた雇われ警備員の一人が無線機を手に駆けつけていた。

 そこにあったのは、無残な残骸と荷車のみ。誰がやったのか、一先ず報告の必要がある…
 そう判断し無線機を起動しようとした彼の背中に強烈な一撃が加わる。
 背後から強烈なキックを食らわせ、瞬時に気絶させたのだ。
 ワープした時点で既にバーストシンザンは警備に気づいていた。
「ぼく、視界は350度あるぶも。死角はないぶもっ」
 無邪気に微笑みつつ、自信満々に答えてみせる。
 装置の破壊に成功し連絡すら途絶えさせた、驚異の差し…ではなく、ワープ能力を活かした完璧な成功だ。
 バーストシンザンは他にあるかもしれない装置を探すため、軽い足取りで探索に進むのだった。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

伏見・那奈璃(サポート)
人妖「九尾狐」の古龍の霊剣士×霊能力者、21歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、友達には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

√能力は指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の√能力者に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
基本戦闘職の為サポートの戦闘役として露払いや前衛を担います。
戦いの無いときは仲間の補佐や護衛役に回り行動を依頼達成のための邪魔にならないように行動します。

「悪趣味なことを考える奴もいるのね。しかも黒幕が狐人だなんて…同族にされてしまったらたまったものじゃない。」
 伏見・那奈璃(九尾狐の巫女さん霊剣士。・h01501)は深くため息をつきながら補佐に回る。

 これまでの味方の貢献で改造装置は残り僅か。後は残った装置の残骸から重要な部品を切り刻んでしまえば惨劇は起こらない。
 神霊を身に宿し、慎重に移動する。警備は何故か少ないようだが、刀に手をかけていつでも振るえるよう、壁に隠れつつ進む先を伺い、縮地の要領で次の移動先へ進む。
 研ぎ澄まされた精神で進む姿は一本の絹糸のように滑らかで、鈴の鳴るような凛とした歩みだった。
 じきに破壊された装置の跡へたどり着く。

「ようやく到着しましたか。…けれど、着いたからには役目を果たしてみせますよ」
 那奈璃は深く息をつき、力を抜く。精神を統一した後に……開眼する。

「──ッ!」
 そうして、横に一閃。霊剣術により金属すらも切断、断面が鏡のように顔を映す。
 内部の基盤は完全に切断され、自身に倒れかかる残骸を狐の尻尾で振り払う。これでかの妖狐の企みは夢と散った。
 戦闘員が作られることもなく、警備も少ない。残るは黒幕となるまた一人の狐だけのはずだったが……
🔵​🔵​🔴​ 成功

第2章 ボス戦 『外星体『ズウォーム』』


POW ズウォームキャノン一斉発射
X基の【破壊光線砲】を召喚し一斉発射する。命中率と機動力がX分の1になるが、対象1体にXの3倍ダメージを与える。
SPD ネガ・マインド・ウェポン
触れた物品に眠る「過去の所有者の記憶」と交渉できる。交渉に成功すると、記憶から情報提供を受けた後、記憶の因縁の相手に3倍ダメージを与える【ネガ・マインド・ウェポン】が出現する。
WIZ ズウォーム・レンズアイ
自身の【蟲の如き眼球】を、視界内の対象1体にのみダメージ2倍+状態異常【無重力】を付与する【無重力ガン】に変形する。
√マスクド・ヒーロー 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

「おや…彼女の方向性には理解しかねるが、これはまた随分とやられてしまっている」

合流した君達の前に現れたのは外星体『ズウォーム』
情報にあった、幹部級の増援だ。親となる組織が同じだけで、方向性は違うようだが…戦力が落ちることを危惧して現れたのだろう。しかし事は遅く、既に破壊されてしまった跡を見渡し……

…言葉は不要と言ったところだろうか、既に『ズウォームキャノン』…もとい破壊光線砲を二基召喚し、戦闘の構えをとっていた。
龍城・雪那
・心情
工場は、他の人達がどうにかしてくれたようだね
それじゃあ、私達は――敵を、倒すだけっ!!
まずはあなたからというのなら……あなたを倒して、朧魔妲姫の元へ向かうっ!!

・戦闘
ステラと一緒に【スタードラゴンズ】で参加するよ
√能力『零なる無垢』で、敵の攻撃を防いで見せるっ!!
後は任せたよ、ステラ!!

・その他
アドリブ等は大歓迎です
ステラ・ティ・ナァ・イフュ
・心情
……セツナと会った時を思い出すかのような事態だね
まぁ、容赦する理由もないし、邪魔をするなら通してもらうよ

・戦闘
セツナと一緒に【スタードラゴンズ】で参加
√能力『不可思議斬撃』で攻撃しよう
敵の攻撃を食らって無重力になったとしても、【念動力】で体を制御して戦うさ
ボクだって外星体のはしくれ、無重力での動き方だって、心得ているよ

・その他
アドリブ等は大歓迎だよ

悪があれば光がある。ヴィランがあればヒーローもある。
この先に二人居るのであれば、二人で立ち向かうのみ。
龍城・雪那(無垢なる赤き戦士イノセント・レッド・h02441)とステラ・ティ・ナァ・イフュ(コズミック・スター・h00373)
二人は生まれた星は違えども、共に能力者として、共にAnkerとして戦う二人組のヒーローだった。
異星体ズウォームが口を開く。
「何処かで会ったかな?だとしてもこの私に関係はないが…」
嘲笑うかのように言いながら、構えた光線砲の照準を雪那へと向ける。
ステラの事を『同族』と受け取ったためだろうか、優先的に地球人を狙ったのだろうか。真相は彼の心にしか無いものの、結果はその判断が間違いだったことを告げる。
「…なーにが、関係ないって?」
「何…ッ!?」
雪那が右の掌で触れた破壊光線が、完全に分解されて無に帰る。
その隙にズウォームの付近に刃状の触手が迫る!
「ぐ…っ」
寸でのところで横に転がり躱したが、ズウォームの硬い甲殻の一部は砕け血のような赤い液が溢れる。
「この私に……傷をつけたな!」
光線砲のチャージが済んでいないためか、はたまた奇襲を狙ってか。瞬時に虫の如き眼球から光線を放つ。その対象はステラだった。
触手での攻撃後を突く算段だ。激情したようにも見えたがまだ頭脳は残っているらしい。
「く……っ!?」
「ステラっ!」
寸でのところで光線を触手で防ぎつつ身体から逸らしたが…無重力ガンの効果でステラの体が重力より解放される。並の人間であれば身動きなど取れるはずもない。
しかしズウォームは見逃していた。
ステラもまた異星人であることを。
「…残念だったね、キミはむしろボクにホームグラウンドを与えたのさ」
ふわりと浮き上がった身体は念動力によりコントロールされ、触手で壁をつかみながら高速で移動する。
「…何故異星人が地球に手を貸す!」
「さあね。キミには逆立ちしても分からないことだよ」
機械の間を縫うように、壁を自らの足でも蹴りながら飛び回る。ズウォームは再び照準を合わせようとするも、簡単に捉えることはできずに破壊光線が壁を抉る。
「…人間など居るから地球は廃れるのだ!我々が支配さえすれば──」
瞬間。
ギロリ、とズウォームの方向をステラが睨みつける。

「ほう?事実を叩きつけられて何も言えんかね!」
「…違う」
「何が違う!貴様は──」
「"その排除すべき人間から目を離したのが運の尽きだってことだよ"」
「血迷い事を……何ッ!」

「ぶっ飛べぇええええ!!!」
無重力下で高速移動するステラを目を追ううちに、ステラの合図で雪那も移動していたのだ。完全に隙だらけの胴体にヒーローの鉄拳を打ち込み、吹き飛ばした。
睨んでいたと思っていたのは、背後の相棒に対するアイコンタクトだったのだ。
ズウォームの身体が壁に叩きつけられると同時にステラの無重力が解け、着地する。

「ステラ、怪我はない?」
「……ツバでもつければ治るよ」
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

フロッシュ・ニッテカン
目標達成、ボス発見……へェ~、組織ぐるみの悪趣味かと思ッてたけど、少なくともおまえは違ッたんだねェ。
まァ~それはそれだし、そッちはその気でこッちもその気。シンプルゥ♪
……じゃ、やろう。

光線砲の射線に入らないようダッシュしながら戦うよォ。武器は蒼雷のシックル、それの鎖を持ち、鎖鎌として振るう。
円や弧の残像が走る速度で振り回し、雷製であること活かして出したり消したり、撹乱していこうかァ。
ボクの本領は暗殺じゃァなくこッち……速さof速さの戦いさァーッと。

√能力の発動は、相手の動きが変わったのを合図に使うよ、うん。相手に当たらないギリギリを見切り、早業で投擲……コンボ開始さァ。
びィりびりくるだろォー?

「へェ〜…組織ぐるみの悪趣味かと思ッたけれど……少なくとも君は違ッたんだねェ」
「私はこの星をより良い星にするのみ。しかし彼女は人類を支配するために戦う…相反する考えではあるが、道中までは手を組むつもりだよ」
互いに軽く言葉を交わした後だろうか。

「…じゃ、やろう。」

フロッシュの一言を皮切りにズウォームは光線砲をチャージ、即座に二対共に照準が合わさる。
彼女は速さを活かし、照準から外れようと走る。雷製のシックルを鎖鎌として扱い円形に、弧を描く形にと変幻自在に光る残像を出して、消して、出して。
そうして一瞬照準がズレた隙に赤紫の稲妻を纏う斧、『フランキスカ』を投擲する。

しかし虫のような複眼を持つズウォームは、常にその動きを追っていた。
斧に一度視線を合わせる。投擲は当たらないと判断。この動きの間だ、正確な投擲など不可能に近い。
そう分析を終えたズウォームは視線を戻し、変わらずにチャージを行う。
「…終わりだ、この私から逃げられると思うな」

フルパワーの破壊光線がその場を射抜き、壁が深く抉れる。破片が煙幕のように広がり、後には赤熱した石の欠片。直撃した者の命はないだろう。

「他愛もない…」
「ふゥ〜ん……何が他愛もないって?」
「は……ッ!?」
ズウォームの身体が雷鎖により捕縛されている!
「気づかなかったかなァ?射抜いたのは残像なんだよねェ…もしかしてキミさァ、"コレ"に目をやッちゃッたわけだねェ…♪」
自ら投げた雷の斧、『フランキスカ』を束縛されたズウォームに蹴り込むと外骨格が強くひび割れる。
「目が良いんだねェ、だから視線で追ッちゃッたねェ!」
吹き飛んだ身体を鎖で引き寄せ、膝で更に斧を食い込むとひび割れが広がる。
「こォ〜れで…良しッ♪」
斧を引き抜き回収しつつズウォームを中心に高速で移動。遠心力で投げて壁に叩きつけた。
「連携ッてやろうと思えば一人でもやれるわけだよ。速さがあればねェ…」
🔵​🔵​🔵​ 大成功

パトリシア・ドラゴン・ルーラー(サポート)
余はドラゴンプロトコルの高い身体能力を活かした白兵戦闘と、炎を操ることを得意としている。

闘争を好む気質ゆえに敵との戦闘が発生するシナリオには好んで参加するぞ。
余は己の実力に絶大なる自信があるために策を弄したり、虚言で欺いたりということは好まぬ。
いかなる敵が相手でも正正堂堂、正面から打ち破るのみだ。

√能力の演出は御任せしよう。
得意な技能は、攻撃には〈怪力〉〈焼却〉〈爆破〉を活用する。
敵の攻撃に対しては回避するというよりは〈鉄壁〉や各種耐性技能による圧倒的な防御力やタフネスで耐え抜くという感じだな。

それ以外については基本的には御任せしよう。
よろしく頼むぞ。

この世界における【マスクド・ヒーロー】とは、基本的に己の肉体のみで戦うものだ。それを鑑みるに、竜帝たる彼女…パトリシア・ドラゴン・ルーラー(竜帝・h00230)こそが、ヒーローに最も近い存在だと言えるかもしれない。

異星体ズウォームが強固な外殻の割れたまま彼女へと向き直る。
「向かってくるか…さて、何をするつもりだ?超能力か?視線誘導か?それとも魔法でも使うつもりかね?」

ただ歩き、尻尾を揺らし、堂々と歩み寄る。

「貴様こそ、攻撃はせぬのか?…来ないなら余から行かせてもらうぞ」

口元に笑みを浮かべ、パトリシアは返す。
僅かな静寂すら流れぬうちにズウォームは二対の破壊光線砲をチャージし始める。
それは最も静かな開戦の合図だった。
「貴様の手はそれか?よい、受けてやろう」
「──は?」

ニヤリと笑う彼女に最大限の警戒をしつつ、ズウォームは複眼を光らせる。
一挙手一投足、あらゆる動きに異常なし。
√能力の発動の予測すらない。
この女は死ににきたのか?と、異星体は思案する。
そうして光が収束し、轟音とともに放たれた。

「──随分と弱い。侵略者と言うからには、もう少し骨のある相手を期待したのだが……そもそも貴様には骨があるのか?」

鳴った音は爆裂音のようだった。しかしそれは光線銃が着弾した音ではなく、パトリシアが地を踏みしめた音。
炎を纏いし右の拳が収束した光線に激突する。
すると圧倒的な力で光線が押し返され、光線砲が見る影もなく鉄屑となった。

「な……なん、だと…?」
「弱き者に興味は無いのでな…終わらせてもらうぞ」

呆気にとられたズウォームを逃がすはずもなく、爆破の反動で加速したパトリシアが迫る。
複眼に光が収束し放たれるが、その程度で彼女が止まるはずもない。正面から受け切ってみせ、とうとうズウォームはその頭を掴まれる。外殻がまるで卵のようにパキパキと割れていく。強く声を挙げているが悲鳴なのか負け惜しみなのか、それは誰にも分からない。
「十分な準備すらせずに余の前に現れるとは。ましてや余を見下すなど……愚の骨頂ッ!!」

掌からの爆発!
異星体の頭は完全に吹き飛んだ。異星体ということで警戒するが、どうやら一般的な生物と同じく頭を潰されれば動かなくなるらしい。


ここまで救援者を除き完璧に進行している。
残るはこの事件の黒幕のみだ。
🔵​🔵​🔴​ 成功

第3章 ボス戦 『朧魔妲姫』


POW 朧魔解放
【朧魔鬼神から与えられた邪悪な闘気 】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【朧魔狐爪撃】」が使用可能になる。
SPD 狐妖尾乱舞
【鞭のように伸縮する狐の尻尾 】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
WIZ 朧魔覇獣:災餓天金狐
【邪悪な力を纏った焔 】のブレスを放つ無敵の【災餓天金狐】に変身する。攻撃・回復問わず外部からのあらゆる干渉を完全無効化するが、その度に体内の【朧魔鬼神から与えられた邪悪な闘気】を大量消費し、枯渇すると気絶。
√マスクド・ヒーロー 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

「……これからがお楽しみだったと言うのに……これはどうしてくれるのかしらねぇ…!」
狂気的な笑みを浮かべるものの、怒りを堪えきれておらず邪悪な闘気が溢れ出している。
彼女こそが発生するはずだった事件の首謀者、そしてこの工場の発案者、朧魔妲姫だ。
「虫野郎が戦っているうちに大雑把に探し回ったけれど、全然見つからないのだもの。少しの時間も稼げなかったアイツが悪いのだけれどね……
 …そうだわ。フフ…フフフッ…
 それじゃあ、あなた達の悲鳴で落とし前をつけさせてもらおうじゃないの…!」
フロッシュ・ニッテカン
さッきの虫さんの方が頭目らしいというかさー……。まァー急かせたのはボクらだけども、大雑把でどォーすんの。
ま、良ッか。淡白なまま倒したげよー。

攻撃もとても分かりやすゥーい。尻尾が何本あろうと楽々にィ……いぎッ!?
範囲攻撃の、2回攻撃……そ、そッか、√能力を先出ししてて……はぐゥ!?あッ……んぎィ!……ち、ちくしょ……あがぁ!?やだァ……痛いよォ……やめ、はぎゃァ!!
か、改造も痛いのも、やだよォ……あぎゃァ!

……意外と気付かないね。超短ダッシュと早業で受け流してたの。伸びる尻尾なんだから軌道の見切り可能なのに。
こっちの√能力の準備完了。尻尾を足場に残像が出来る速度で接近、そして……ずどォーん!だ!

「大雑把って…急かせたのはボクらだけども。仮にも頭目さんがそれでどォーすんの…」
「やかましいサイボーグだこと。その可愛らしい声を悲鳴に変えてやるわ…!」

 片や嘲笑うように、片や狂気と怒りを込めて笑みを向ける。先に仕掛けたのは意外にも朧魔妲姫だった。

「あらあら、速さ自慢なんじゃなかったのかしら?」
「分かりやすい…伸びる尻尾なんてさァ、軌道が簡単に予測できちゃうんだよねェ〜」

 事実としてフロッシュは難なく尻尾の初撃を捌いてみせる。
「退屈だしィ、淡白なままやらせてもら……ッぎゃァ!?」

 二撃目。目にも止まらぬ素早さの一撃は何とか弾くものの、大きく体勢を崩される。

「そ、そっか…√能力を先出ししてて……速いッ!?んぎィいッ!!?」
「あらあら、さっきの態度はどうしたのかしら!まぁだまだ…これから!」
「んぐゥッ!!」

 鞭のように振るわれた尻尾が義肢に迫り、金属音と共に吹き飛ばされる。地面を転がるその体にまた、鞭が迫る。

「ウフフッ、アハハハハハッ!」
「あがァッ!や、やだよォ!痛いッ!やめてよォ!」
 まだ60秒も経たない頃だろうか、その状況は誰の目から見ても嬲られ、痛めつける姿。朧魔妲姫が恐れられる姿そのものだ。また鞭を振り下ろし、吹き飛ばされる。

「あなたはサイボーグなのよねえ、その義肢を私特製のものにしてあげる!それまでは死なないくらいに私が可愛がってあげるの!ほら、ほら、もっと聴かせなさい!!」
「や、やだよォ……痛いのも改造も…あがァ…ッ!」
 腹部に重い鞭の一撃。それを防ぐために差し出した鎌が吹き飛ばされるように朧魔妲姫の頭を遥かに越えて飛んでいく。
 すかさず闘気を纏った妖狐の姿は瞬時に近づき、その頭を踏みつける。
「武器もなくなっちゃったわねぇ……ウフフッ、命乞いすれば生かしてもいいけれど?あなたはお気に入りだから、改造せずに私のペットにでもしてあげるわ…ほら、ほらぁ…♪」
「ゆ…許してェッ……ご、ごめんなさいィ……だから……」

「だから?」

──60秒経過。

「だから、その汚い脚を退けてよォ…♪」
「……は?」

 朧魔妲姫の身体に高圧電流が走る!
 青紫の雷が大きく怯ませた!

「きゃあああっ!?う、嘘…自分ごと!?ありえない!そんなの電流に耐性がないと…!」
「あはァ、良い悲鳴!さ、行ッくよォ♪」

 怯み闘気が解除された瞬間畳み掛ける。初撃の義肢による蹴りが腹に入り、大きく吹き飛ばす。
「いィ〜ッち…」

 二撃目、飛ばされた鎖鎌を引き寄せて背後から電流を流しながら背中に深い傷跡をつける。
「にィ〜いッ…」

「……さァあんッ!!」
「キャアアアアアッ!!?」
 そして、三撃目。フロッシュの圧倒的な素早さが可能にしたのだ。電撃で黒煙の上がるその身体を鎖で投げ飛ばし、朧魔妲姫は自らの作った改造装置のスクラップに叩きつけられた!

「良い悲鳴を出してくれるのは、キミだッたてことだねェ……ん〜ッ、我ながら悪趣味ィ♪」
🔵​🔵​🔵​ 大成功

クルシェイド・ヴィスターク(サポート)
 ドラゴンプロトコルの|錬金騎士《アルケミストフェンサー》×雷の|精霊銃士《エレメンタルガンナー》、28歳の男です。
 普段の口調は「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」、兄弟姉妹には「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 √能力は指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!

事件の頭目、朧魔妲姫が明確に不機嫌な様子で呟く。
「チッ…野郎の悲鳴に興味はないのだけれど」
「おいおい、第一声がそれかよ」

対するクルシェイド・ヴィスターク(ドラゴンプロトコルの錬金騎士アルケミストフェンサー・h01855)もまた身構える…が、対する妖狐は目の前で欠伸をしてみせる。
「帰りなさい?私は今不機嫌なのよ」
「…舐められたもんだなあ」

クルシェイドは下がるつもりは毛頭無かった。
彼女の起こすはずだった事件は許された行いではない。
前に一歩踏み出したと同時に、戦の火蓋が切って落とされた。

「おおっと、これは速い…!」
直線的に飛ばされた尻尾がその身体を突き刺さんと伸びる、しかしその一撃を瞬時に回避。
続くもう一本の尻尾が鞭のように振るわれるも工場の床を転がるようにして回避、瞬時に姿を消す。

「入れ替わり…ね。どこから来るの?私の背後?それともぉ…そのスクラップの後ろかしら?」

女性が相手ではない彼女は冷静だった。

「……こうなったらやるしかないか…!」
スクラップの山を吹き飛ばし現れたのは、灼熱の炎を吐く真竜だった。

「ぐぅ……なら、こちらも行かせてもらうわ…!」
同時に朧魔妲姫も、闘気を纏う災餓天金狐へと変貌する。
互いに無敵の状態であり、この状況を先に終えた方の負け。互いにリソースが枯渇した際には気絶する。
|我慢比べ《チキンレース》の開幕だ。

互いに見合い、動かない。
緊張が走る。

『如何に何もしないか』

それを競うのは、互いに初めての事だったかもしれない。

互いに、力が徐々に減っていく。
邪悪なインビジブルが味方する朧魔妲姫が優勢…ではあるが
しかし、朧魔妲姫は目の前はクルシェイドのみではない。
闘気の半分ほどを使用した頃、クルシェイドもまた変身を解く。息も絶え絶えの状態だった。
「……"取るに足らない相手"と舐めていた相手に、ここまで力を使わされた気分はどうだ?」
「このぉ…ッ!」

再び伸縮する尻尾が鞭のように振るわれるものの、地に這いつくばりつつ退避する。朧魔妲姫には壁の向こうを攻撃する術はなく、あえなく追跡を終える。
「倒すのは私ではないのでな。ヒーローは遅れてやってくる、って奴だよ」
「チッ……後で必ず、必ず…殺してあげるわ…!」
「あの子達をやれるものならな」
🔵​🔵​🔴​ 成功

龍城・雪那
・心情
朧魔……もしかして、朧魔機関?
どちらにせよ、あなたを許す訳にはいかない!!
いこう、ステラ!!

・戦闘
引き続きステラと【スタードラゴンズ】で参加
√能力『招来、星暴龍』でノヴァ・ドラグオンを召喚し、攻撃技の【ノヴァ・スペクトラ】で攻撃してもらうよ!!
あいつがこっちを狙ってきても、朧魔機関に捕まってた時に、変な生き物で改造されそうになった時に比べたら我慢できる(はず)!!

・その他
攻撃技【ノヴァ・スペクトラ】はざっくり言うとドラゴンが口からビームを放つ技です
アドリブ等は大歓迎だよ
ステラ・ティ・ナァ・イフュ
・心情
さて、いよいよ黒幕のお出ましだね
朧魔鬼神……トモダチの記憶に、そんな名前があった覚えがあるね
ということは、ボクの『敵』でもあるか

・戦闘
引き続きセツナと【スタードラゴンズ】で参加
√能力『不可思議連撃』で攻撃して、少しでもセツナに攻撃が当たらぬよう引き付けていこうか
問題は、敵の速度を捉えきれるかってところだけど……どうにか、【念動力】で動きを止めたり、周囲の物を有効利用できないか、試しながら戦っていこうか

・その他
アドリブ等は大歓迎だよ

「朧魔?もしかして…朧魔機関?」
「あら、私達のことを知っているのね」
「…うん。知ってる。どちらにせよ…貴女を許すわけにはいかない!」
 龍城・雪那にとって朧魔機関は近年の相手であった。この"悲鳴工場"で行われようとしたことと同じように、彼女もまた怪人にされかけていた所を寸でで助けられたのだ。
 それを√能力に目覚めた今、止める立場となった。出来事に様々な差異こそあれど、雪那の瞳にこの戦場がどう映っているか…それは彼女にしか分からない。
 たった一人の相棒を除いて。

「…確かにその名前に聞き覚えがあるよ。ってことはボクの『敵』でもあるか」
ステラ・ティ・ナァ・イフュは雪那の隣に歩み寄るようにして、一瞬ちらりと雪那へ顔を向ける。
 曇り無く悪を見据える姿を見て、再び朧魔妲姫へと向き直った。そのマスクの下は見えずとも、繋がり合うものがあるのだろう。

 しかし朧魔妲姫もただ立っているだけではなかった。その空気を壊すように、伸縮する尻尾が鞭のように振るわれる。
「セツナ、伏せて!」
「勿論!」
 素早い一撃だったが、二人も確かにただ立っているわけではなかった。屈みながら避けると尻尾が風を切る音と共に頭上を掠める。

「フフフッ…仲が良いのね。貴女たちを捕らえて生かさず殺さず……そのマスクを剥ぎ取って絶望した顔を見るのが楽しみだわ…!」
 恍惚とした顔を浮かべてみせ、息を荒げてみせる。普通の少女にはその姿はとても恐ろしいものに見えたかもしれない。
 しかし二人はもはや普通の少女ではなかった。

「ステラ、まずは私が…」
「…いや、セツナ、ここは任せてくれ」
「それはまたどうして?」
「アイツ、ここまでの戦いで消耗してるみたいだ。ボクが時間を稼ぐから"アレ"頼むよ」
「…了解っ」

 闘気を纏っていないためだろうか、初撃を空振ったことに焦りを感じている様子が見られる。
 ただ恍惚しているだけでもなく痛めつけられた屈辱で相当動きに隙がある。少しでもきっかけがあれば激昂してもおかしくはない。
 向こうから来ないのも少しでも体力を回復するためだろう。

「お話は終わったのかしら?フフフ…一人で来るなんて。そんなに私に痛めつけられたいのね…?」
「はいはい。好きに言ってなよ」
 消耗したと言えど朧魔妲姫の力は相当のものだった。
 ステラの初撃は目からの光線、難なく尻尾で弾いてみせる。9つも尾があるのだ、いくつかは防御にも転じられるのだろう。
 続く朧魔妲姫の軽く振り払われた尻尾の一撃。
 先程までの素早さは無くとも近くで回避することは難しい、ならば──
「キミだけの特許じゃないんだよ?」
「あらあら。異星体だったの?」
「…気づいてなかったのか」
 やや呆れながらもステラは鞭のように振るわれる尻尾に触手を巻き付ける。すぐに尻尾が縮み避けられてしまったものの少しの隙は作れた。ここで畳み掛ける!

「でも、キミとは違ってこんな器用なこともできるんだ」
「……ッ!?」
 念動力で動きを止め一瞬の隙を活用できるまでの隙にする。直後朧魔妲姫の足元に触手が巻き付き、動きを封じた。
「この…足程度!」
 反撃に伸ばした尻尾すらステラは読み先んじて回避した。それでも、顔を掠めるほどの僅差であった。

「女の子ばかりみてるからそうなるんだよ……じゃ、お仕置きの時間と行こうか」
「離しなさい!…きゃああッ!?」

 尻尾ごと身体を触手で巻きつけて持ち上げる。地に足をつけず触手を巧みに回して尻尾のコントロールを失わせた事で、対する朧魔妲姫は手当たり次第に尻尾を振り回す。壁が破壊されていき、瓦礫が飛び散る。

「よし、これだ。セツナももう少しのはず…」
 ステラは念動力で瓦礫を積もらせ、朧魔妲姫の周囲を囲んでいく。まるで逃げ場をなくしていくように。

「いい加減にしなさい!その触手でトドメすら刺せないクセにッ、馬鹿にしてぇええ…ッ!!」
 図らずも激昂している様子だ。彼女の視界には今、ステラしかいない。その時だ。
「…ふふっ」
 背後から差し込む光で全てを理解したステラは微笑みを浮かべつつ、朧魔妲姫の身体を瓦礫に叩きつけて沈ませる。

「今だ!」
「【ノヴァ・スペクトラ】!いっけぇええええ!!!!」

 雪那の手により召喚された星暴龍が床のタイルを踏みしめ、口から光のブレスを放つ。
「そんな……ッ…覚えておきなさい!貴女達いつか必ず───」

 身動きのできないまま瓦礫ごと光に呑まれる。
 背後にあった改造装置ごと消し飛ばされ、長く大きな破壊跡を残していき……

 …光が収まる頃にはもう、朧魔妲姫の姿はなかった。

「や……やった……?」
「どうやら…そうみたいだ。頑張ったね、セツナ」
「…うん!ステラもありがとう!」

 数多のヒーローの手により、悲鳴工場とその戦闘員の完成は防がれた!
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

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挿絵イラスト