シナリオ

どうか僕らを踏んでくれ

#√妖怪百鬼夜行 #コルチカム

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 #√妖怪百鬼夜行
 #コルチカム

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●ガラスの靴で踏んでくれ
 その女性は人間よりも人間らしく、古妖よりも古妖らしく、膨れ上がった邪悪の権化であった。僕が、彼女を最初に『邪悪』で在ると認識したのは『顔を合わせた』刹那の内だ。妖艶さで包まれた邪悪さに、僕は強烈なまでの情念を植え付けられたのだ。封印を解いて、解いてくれたら、アナタにとっても素敵な事をしてあげる、と囁いてくれた。嗚呼、素敵なこと。僕がどんなに想像を膨らませても、爆発しそうになっても、決して味わえないだろう『邪悪』の所業。こんなものを喰らってしまったら、クラクラと、僕は誘いに乗る以外にない。そうして、僕は今、彼女のお遊びにやられている。おにいさん、おにいさん、私が思っていたよりも『おもしろい』人だと認めてあげる。認めてあげるから、その時が来たら『お願い』するわ……。ガラスの靴では物足りない。ハイヒールで踏んでくれ。

●灰かぶりは呼ばれない
「君達ぃ! 招待状が来ているから、ちょっと、舞踏会に行ってきてはくれないかい? 嗚呼、踊れなくても問題はないさ。自分だけの踊りって事にしたなら、なんだって構わないんだぜ。アッハッハ!!!」
 星詠みである暗明・一五六は上機嫌だ。
 上機嫌が過ぎていて、頭部、くるくると踊っている。
「√妖怪百鬼夜行で古妖の封印が解かれたのさ。それも、力が強いタイプじゃあなくって、厄介なタイプがねぇ。まあ、君達なら問題なく対処できるだろうが、精々、崩されないように注意し給えよ。そうそう、ヘルメットを用意しておいた方が良いかもしれないぜ。アッハッハ!!! 愉しみ給えよ」
 花言葉は危険な美しさ。如何か、犬のように。

マスターより

にゃあら
 にゃあらです。
 爪先か踵、脳天へ。

 第一章。
 舞踏会に参加しよう!
 古妖の封印を解いた者がいるかもしれません。
 接触できた場合、何故そうしたのか訊いておくのも良いでしょう。

 第二章。
 頭上注意。もしくは……。

 第三章。
 古妖との戦闘です。
 人間味が強いです。むしろ、人間よりも人間をしています。
78

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第1章 日常 『舞踏会への招待状』


POW 優雅にクラシックなダンスを踊る
SPD 情熱的に躍動感のあるダンスを踊る
WIZ 誰も知らない秘密のダンスを踊る
√妖怪百鬼夜行 普通5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

 ナンセンスさを前面に押し出し、エロスを讃えようとした場合、この舞踏会は最早『舞踏』の『踏む』だけを主としていた。何かしらに躓いて、転んでしまった誰かさんが下手糞と、罵られるよりも前に踏みつけられている。嗚呼、もっと、もっと『上手』に出来たのであれば「僕ら」は情念を満たす事が可能なのだろう。ここで能力者達は、君達は『封印を解いた者』の正体について理解してもよろしい。この舞踏会に参加している全員だ。この舞踏会に参加している『情念』を抱えた人々こそが、破滅を解き放った『オキニのひと』達であったのだ。まったく紳士的で、まったく淑女的な、この舞踏会。あなたが紛れ込むとしたならどう『おどる』としようか。もちろん、普通に踊っても宜しい。
 犬のように回るのか、猫のように躍るのか。
 選ぶのは他でもない、人の業である。
サーシャ・ヴァリアント
POW判定 アドリブ大歓迎。

また変な所に来ちゃいました?
舞踏会みたいですが……ダンスは【礼儀作法】の一環で踊れますけど。
たださっきから転んでは踏まれて喜んでる人が多いのはなんでしょう。
そういう人達(ドM)の集まりでしょうか。
踏んでほしいなら幾らでも踏んであげますけど。
たまにはお義理姉ちゃん以外のモノを味わってみるのもありかもしれません。
まぁお義理姉ちゃんに勝る逸材なんてあるわけないですけどね。
あの自信に満ちた表情が想定外(もしくは予定調和で)
苦悶に満ちて諦めそうになったり快楽に溺れそうになったり
それでも最後には私の事を思い浮かべて踏みとどまって
頑張るお義理姉ちゃんは無敵に素敵(以下長いので省略

 歩を進めれば、思考を転がせば、徐々に徐々に己がズレていくような感覚に陥っていく。この形容し難い心地にこそ、ひとつの愉悦のようなものが隠されているのかもしれないが、まったくオマエには――サーシャ・ヴァリアントには――関係のない事実である。また変なところに来ちゃいました? 勿論、√能力者ではないのだから『√を跨いでの移動』は認識できないのだが、それ以上に『変』な状況には否が応でも、嫌だったとしても気付けてしまう。舞踏会みたいですが……ダンスは礼儀作法の一環で踊れますけど……。真実、礼儀作法は不要なのだ。真実、誰もマトモに踊ってなどいないのだ。いや、紳士淑女の嗜みとして、ある種の|礼儀《マナー》は必要なのかもしれないが……。さっきから転んでは踏まれて、罵られて、喜んでる人が多いのはなんでしょう。そういう|人達《ドM》の集まりでしょうか。大正解ではないか、サーシャ・ヴァリアント。この舞踏会に参加している男女は隅から隅まで変異した磁石の有り様である。……踏んでほしいなら幾らでも踏んであげますけど。
 げし、げし、適当な輩を足蹴にしてやれ。その際、良い具合の科白を添えてやるべきだが、嗚呼、此処は敢えて『それ』の為に呼吸をする所以などない。ロリータ・コンプレックスの亜種として睨んでやれば、さて、十分なご馳走と謂えようか。たまにはお義姉ちゃん以外のモノを味わってみるのもありかもしれません。……お義姉ちゃんに勝る逸材なんて、あるわけないですけどね。目の前のソレは、足下のソレは『啼く』事しか出来ない。お義姉ちゃんの、あの自信に満ちた表情が……想定外……予定調和で、苦悶に満ちて諦めそうになったり、快楽に溺れそうになったり……それでも、最後には「私の事を思い浮かべて」踏み止まって……頑張るお義姉ちゃんは無敵に素敵……あ、踏み止まれなかった時のお義姉ちゃんも好きだけど、最後の最後は私のものだから……。
 そう考えていたら、嗚呼、踏んでいたソレ、藁にも劣るツマラナサだ。
 何処に魅力的な要素がある……。
🔵​🔵​🔴​ 成功

四之宮・榴
アドリブ・アレンジ・連携歓迎。

心情
…ダンス?
…したことが無いので…壁の華ってのを満喫して…下りましょう。
…僕に、連れなどいません…が…っ…え、あの…!
…に、苦手…なので、や、やめ…っ…僕、踊れないっ…から…っ…!
…もっと踏んで欲しいって、な、なんで?!

行動
お披露目服で仕立てたアオザイを着て参加します。
―と謂っても、僕はダンスの知識がありませんので、大人しく壁の華をしながら様子を見ます。
僕を誘う人が居るとは思えないので。
誘われたら、僕の性質上断れない為、√能力を使用して『魅力』を上げつつ情報収集したいのですが、踊れないのですよ、僕。
強かに相手を踏んでしまう。
直ぐ謝って、申し訳ないと…は、はい?!

 じくじくと、首あたりが疼いている。
 疼いていると、ゆっくり、それが欲しいと臭わせてくるのか。
 痺れたいとさまよう海豚の罪、まん丸としたものを突くのだ。
 頭蓋の内――こぼれ落ちた脳髄の代わりとして――見えない怪物どもが海蛇めいて蠢く。蠢く彼等、或いは彼女等の泳ぎ方こそ舞踏に見えなくもないが、不可視なのだからナンセンスである。兎も角、四之宮・榴、オマエが見ているものだけは確りと現実であった。……ダンス? その……したことが無いので……壁の華っていうのを……満喫して……? 身に纏っているのはアオザイだ。一輪の花よりも花らしいのだから、声を掛けられるのだって必然と考えられよう。そこのお嬢さん、どうか、私と踊ってくれませんか。お一人のようですし、寂しそうな顔をしていますので。そんな面をしている覚えはない。覚えは欠片として無いのだが、しかし、患っているように見えたのは仕方がないのか。……はい。僕に……連れなどいません……が……っ……え、あの……! 驚きと共に吸い寄せられた。引っ張りだこよりも引っ張られた。まるで何処かのメイド様に遊ばれてしまうかのような、立ち眩み。
 様子を見ている場合ではない。思わぬ誘いに目を回している場合ではない。自らの性質にこそ乗っかるべきで、ここから、己の魅力とやらを活かしてしまえば宜しいか。……その、えっと……苦手なので……や、やめ……っ……あっ……! エスコートをされても、導かれても、身体がついていけやしない。強かに、運命的に――お相手の足を踏みつけた! 冷汗が止まらない。怒られるのだろうか、それとも、要らないと、突き放されてしまうのか……。お嬢さん、私は、お嬢さんを選んで正解だったのさ。お嬢さん、もう少し、強めに踏んでくれると助かるよ。……ご、ごめんなさ……へ……? 不意を打つかのように、脳髄を振盪させられたのかと疑うほどに。言の葉とやらを咀嚼していく。お客様をご案内せよ。
 ……踏んでほしいって……な……なんで……?
 何故だろうか。理解してはいけないものなのか、その逆なのか。
🔵​🔵​🔴​ 成功

野分・時雨
【狼と牛】
招待状が来ているならば行かねば。
招待を断るなんてとっても失礼ですからね。ね!わんちゃん。
牛にダンス経験なんてあるわけないでしょ。

√能力でプリンセスになります。
淑女然として舞って踏む。
躓くなんて以ての外。心得ましたとも。

すみませんねぇ!
足を踏むのが得意なもので。
わんちゃんは紳士的に回るのがお好き?では、仰る通りに。
お嬢さん顔上げて優雅に。踏み抜きます。

おや、同じように踏み踏みな方もいるようで。踏まれるの好きなの?踏むのが好きなの?
もう!物好きさんたちだな~。
緇・カナト
【狼と牛】
プリンセス牛君から招待状が届いたので
回る黒ワンちゃんがエスコートしてあげよぅ
オレから提案した√能力だけど
性別まで平気で変わるのスゴいよねェ
さす妖怪の牛鬼、時雨クン〜
…ところで舞踏会の経験は?

闘牛士ってこんな気分なんだろうなァ
直情的で分かり易い脚攻撃、
地団駄を踏むのが得意なんだっけ?
読みやすい足捌きなら躱すに限るよ
華麗なステップ、あんよが上手
淑女然として舞うのであれば
足元ばかり見てないで顔を上げて〜
相手の動きに合わせる努力をしようねぇ
|お嬢さん《マドモワゼル》?

足踏んだり踏まれるのが好きなんて
モノ好きも沢山のようで〜
オレには一生理解できないなァ
楽しく優雅におどっていようか

 荒らすべきは墓なのか、発くべきは陵なのか、冒涜的な一文からの始まりだが、しかし、発こうとしているのは――荒そうとしているのは――眠りこけていた本人である。そう考えたのであれば、そう思えたのであれば、むしろ、騒がしくしてやらない方が失礼だろうか。招待状が来ているのだ。手招きをされてしまったのだ。それこそ、吸血鬼の如くに堂々と行かなければ勿体ない。招待を断るなんて、正体を暴かないなんて、とっても失礼ですからね! まったく「もう」と啼きたくなる。地獄の果てこそが楽園なのであれば、愈々、この三月のウサギめいた行動が捧げものと成り得るのか。ね! わんちゃん。三回まわって吼えてくれ、そんなふうに、雰囲気とやらに揉まれてしまいそうだ。……プリンセス牛君から招待状が届いたので。オレは白い山羊でも黒い山羊でもなく、回る黒ワンちゃんだから。ちゃんとエスコートしてあげよぅ。それにしても、嗚呼、王子様が王女様に大変身なんて吃驚だ。……オレが提案した|能力《着替え》だけど、性別まで平気で変わるのスゴいよねェ。此処を掘るのか彼方を掘るのか。掘っている暇があるならば『牛』を見よ。可愛くてごめん。本当、心の底から『かわいい』ではないか。さす妖怪の牛鬼、時雨クン~。ところで舞踏会の経験は? 周囲の男女からの視線までも貰いつつ、さて、返答や如何に。牛にダンス経験なんてあるわけないでしょ。それはそう。
 さあ、甘いものだ。甘ったるいものを用意せよ。用意したのであれば次は紅茶だ。頗る渋い紅茶を出してやれ。淑女然とした誰かさん、まるで赤いものでも見たのかと疑うほどに、くるくる、くるくる、足を踏みそう。躓くなんて以ての外、転ぶだなんて論外だ。心得ましたとも、王子様……。ある種の奇跡であろうか。躱せば躱すほどにリズムが連なる。闘牛士ってこんな気分なんだろうなァ。直情的で、情熱的な、ひどく分かり易い葡萄酒作り。地団太を踏むのが得意なんだっけ? それとも、四股を踏むのが下手なのかい? 寸前のところで避けてやったならばワルツの亜種、帯を引っ張るかの如くに身体諸共。……わ、わ、すみませんねぇ! 足を踏むのが得意なもので。華麗なステップ、だなんて皮肉も胃が四つあれば消化も問題なく。あんよが上手、と悪態されても。足元ばかりで癖が治らない。……淑女然として舞うのであれば、足元ばかり見てないで顔を上げて~。顔を上げずに踊っていた所為か、くらくら、少しだけプリンセスの|脳味噌《ゼリー》が震えた。
 わんちゃんは紳士的に回るのがお好き? では、仰る通りに。
 ああ、情け容赦のない足蹴だ。小指を狙っての一撃だ。
 相手の動きに合わせる努力をしようねぇ、|お嬢さん《マドモアゼル》?
 ガラスの靴をカチャカチャやるのがマナーでしょ。
 そんなマナー、誰も知らない。
 知らなかったとしても、知っていたとしても、このダンス。周囲の人々にとっては興味深いものか。踏んだり踏まれるのが好きなんて、モノ好きも沢山のようで~。おや、同じように踏み踏みな方もいるようで。踏まれるの好きなの? 踏むのが好きなの? 痛いのではなく意地悪されるのが好きなの? もう! 物好きさんたちだな~。|お姫様《時雨クン》も結構な物好きだと、オレは思うけどなァ。でも、あっちのは、一生理解できないなァ……。
 楽しく優雅に踊ってくれ、日が暮れても尚、回ってくれ。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

ヴォルン・フェアウェル
またなんとも奇天烈な場面に出くわしたものだ
こういう場合、見目麗しい女性に踏まれたいという奴が多い気がするけれど…男でもいいのかな?

基本的なダンスのステップくらいなら覚えているよ、社交の場に必要な嗜みのひとつだからね
伊達に演技力で世の中渡ってきているわけじゃない
能力でそつなく見えるよう暗示をかけるのも忘れずに
優雅な足運びのついでに進行方向にある身体へ体重を乗せる
おっとすまない、ここいらの床はずいぶんと柔軟で不格好なことだね
他者に圧迫され見下され、支配されるのは愉しいかい?

まったくもって唾棄すべきほどに素晴らしい趣味じゃないか
ヒトの業というやつはどこまでいっても興味深いね

 嘘吐きの言の葉こそが蜜である。蜜よりも濃厚な塗料である。
 舐れども、舐れども、渇いてくるのだから、始末に負えない。
 牛と犬の追いかけっこを目にしながら、響く、何者かの喜びの詩。悦びに混じって耳朶を擽ったのは果たして女の愉しげな声であったのか。また、なんとも奇天烈な場面に出くわしたものだ。いつの日にか出会った大きな、大きな、女の子。もしもあの娘が『そういう』モノを抱えていたのであれば倒すのに苦労していたのかもしれない。……こういう場合、見た目麗しい女性に踏まれたいという奴が多い気がするけれど……男でもいいのかな? ちら、と視線を別のところに投げたのならば小さなグループ。男性を囲っている女性たちの瞳は、成程、|取り替え子《オマエ》に相応しい舞台であった。そうだね……まるで、僕が蟲毒の王様みたいだ。もしかしたら孤独の王様なのかもしれない。何方にしても潜り込もう。
 蟻の巣に侵入した幼虫の如く。寄生先を求めている針金が如く。基本的なステップくらいなら覚えているよ、社交の場に必要な嗜みのひとつだからね。ああ、演技だ。演技力の化身だ。伊達に『これ』で世の中渡ってきているわけじゃない。仮に、下手糞だとしても周囲の人間からは普通に見える。何故ならば、そう、自分すらも騙せるほどの『光』なのだ。幻の光が脳髄に染み込んで――瞼の裏側、花を咲かせる。おっと……? 近くにいた誰かさん。そんな彼女の身体にもたれかかって、圧し掛かって、踏むようにしてみせた。すまない。ここいらの床はずいぶんと柔軟で不格好なことだね。女性と目が合った。目の前の『黒』が白黒するよりも素早く――頭を掴んでやった。……他者に圧迫され、見下され、支配されるのは愉しいかい? 咽喉が鳴る。咽喉が鳴って、目玉が忙しない。如何やら完全な虜のようだ。まったくもって唾棄すべきほどに素晴らしい趣味じゃないか。へなへな、骨抜きな女に笑みをやった。
 彼女を解放してやれ。誰の所為だと|罵り《悦び》の詩。
 ヒトの業というやつはどこまでいっても興味深いね。
🔵​🔵​🔴​ 成功

一ノ瀬・シュウヤ
アドリブ、絡み〇
※リナリアを贈るでの負傷はまだ完治してない

少し怪我が良くなったからと動いたらこれだ…
なんだここは…舞踏会なのか…
いや、普通の舞踏会ではないな
何故か踏まれて…喜んでいるような気が…

…不味い
どうやら来てはいけない場所に来てしまったようだ
早くこの場を離れたいが、いきなり肩に手を置かれた
紳士的だが、どこか様子がおかしい男性に…俺も同類かと聞かれたが…
違う…まったく違う…
俺にそういう趣味はない
クソ…違うと言っているのに、そちら側へ引き込もうとしてくるな
まだ怪我が完治していないんだ
踊ったりしたら傷が開く…やめろ…
貴様、やめろと言っているだろう…!

…いかん、思わず蹴ってしまった
傷口が痛む…

 世の中には『過労』と呼ばれる、ひどくおそろしい『死因』が存在している。現代社会に生きる者は日々、その響きに脅かされているのだが、時々、響きを忘れてしまう者もいる。一ノ瀬・シュウヤもある意味ではその『ひとり』であり、最近は『忘れなくなってはきた』のだが――星とやらは如何やら、逃してはくれないらしい。……少し怪我が良くなったからと動いたら……エミの調子を見に行こうとしたら……これだ。ぐるりと、視線をさまよわせてみれば筆舌に尽くし難い光景。いや、筆舌する事は容易なのだが、あまり、理解し難い沙汰ではあった。なんだここは……舞踏会なのか……? 普通の舞踏会ではないな。怪異の影響でも受けているのか……? 女が男の足を踏んだなら、男は女に「ありがとう」と謂う。男が女の頭部を掴んだなら、そのまま何事かを囁いてみせた。何故か踏まれて……囁かれて……喜んでいるような気が……。気が付いた。気が付いてしまった。これは『怪異』による影響ではない。人が、人として『これ』を行っているのだ。……不味い。
 ひどく気まずいのだ。どうやら、俺が来てはいけない場所に来てしまったようだ。ズキズキと、嘲笑ってきたのは頭痛である。種が今か今かと、水と肥料を欲している。早く、この場から離れなければ――? そこの君、顔色が優れないけども、大丈夫か。パートナーが欲しいなら、あっちにノートがあるから書いてくるといい。紳士的な人物だ。しかし、どこか様子がおかしいようにも思える。……違う。まったく、違う。俺にそういう趣味はない。……そんな事はない筈だ。ここに招待されたのであれば、少なくとも……。話が通じない。いや、この男はおそらく、そういう『集まり』なのだから、それを前提に進めているのだ。クソ……違うと謂っているのに、そちら側に引き込もうとしてくるな……。それなら、せめて『踊るべき』と男が腕を引っ張ろうとする。まだ、完治していないんだ。踊ったりしたら傷が……やめろ……。ぐい、と。
 貴様、やめろと謂っているだろう……!
 足蹴にしてやった。足蹴にしてやったのだが、如何やら、それも悪くなかったらしい。いかん……思わず蹴ってしまった。……そっちの方だと? 何を莫迦な……。
 傷口が痛む……。
🔵​🔵​🔴​ 成功

第2章 冒険 『頭上からの災難』


POW 力づくで破壊、もしくは耐える
SPD 身のこなしで回避、もしくは見切って進む
WIZ 計算で安全地帯を把握、もしくは勘や幸運に頼る
√妖怪百鬼夜行 普通7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

 舞踏会は――足の踏み合いその他は――徐々に、徐々に、過激さを増していった。最初は足を踏むだけだったのが、道具だったり、ホニャララだったり、描写し難い有り様へと変化していく。そうして、場が完全に温まった頃、天蓋より何かしらが降ってきた。
 あれは『なに』だろうか。能力者の一人が素早く避け、それを拾った瞬間、変な笑いが出そうになった。ハイヒールである。しかも、ただのハイヒールではない。かなりのお値段なハイヒールである。男たちは歓喜してそれに中ろうとし、女たちも歓喜してそれを履こうとする。ともかく、何よりも重要なのは当たったら痛いと謂う事だ。
 打ちどころ次第では最悪の可能性も考えられる!
 普通の人間の頭部はそこまで頑丈ではないのだ!
四之宮・榴
アドリブ・アレンジ・連携歓迎。

心情
…さ、騒ぎのうちに…壁まで戻って、来れましたが、なんで…ハイヒールなんでしょうか?
…あんな雨は…さ、刺さりそうで…危ないです、けど…。
…あの|踵《ヒール》の鋭利さは、本当に武器に見えます。
…あの…それで…僕が踏むので…こっちに避難しませんか?

行動
能力を使用して[羅鱶]には、頭上を守る壁をしつつ、[羅鱶]自身を回復さてておく。常に護って欲しいので。
僕は頭以外刺さった所で、さほど痛みは慣れているし、回復は[インビシブル融合]で回復します。
一般人を、助けないと行けないのですが、助けた所でまた向かっていかれると意味がないのですけど。
一応、踏む事を提案して避難誘導をする

 結局のところ喫茶なのだ。カフェインだけでは物足りないと彼等は縋る。
 エナジー・ドリンクを基本としたカクテルだ。
 強烈ではないが故に――刹那ですらもないが故に――頭痛の種と謂うものは大きく、大きく膨らむのか。萌える事すらも、爆ぜる事すらも、気配すらもなく。只、じくじくと腐敗するかの如くに苛んでくるのか。ああ、まったくが災難ではないか。オマエのような存在はある意味で『彼等』にとっては上質である。……さ、騒ぎのうちに……壁まで戻って、来れましたが……。困惑に次ぐ困惑だ。現場の混乱は愈々加速し、舞台に降り注いでいるのはハイヒールである。なんで……? 何故なのかを問うたところで答えはない。もしかしたら、黒幕とやらが『ハイヒール』を好んで履いているのかもしれないが。……そう、考えると……黒幕様は……そっちの気があるのかも……しれません。逸れた思考を元に戻すと宜しい。……刺さりそうな……雨です、ね……? 危うい事に変わりはない。危うい連中に危ういものが灌がれるこの混沌。如何にして治めるのか、見物ともいえよう。
 ……あの|踵《ヒール》の鋭利さは、本当に……武器に見えますね。それとも……本当に、武器として、使っているのでしょうか……? 兎にも角にも最初は羅鱶だ。頭上を遊泳させてやればインスタントなヘルメットをしてくれる。もしも、ハイヒールに『怪物』を攻撃できる性能があったのだとしても、この回復とやらは崩せない筈である。……今回は、常に護ってもらいましょうか。ええ……僕の場合は、頭に刺さらなければ、痛みには慣れていますし……。助けなければならない一般人ども。いや、決して一般とは言えない、ヒトサマの群れ。……あの……それで……僕が踏むので……こっちに|避難《き》てくれませんか? もちろん……その、ハイヒールも、履きますので……。お淑やかな女性がお遊戯の際に豹変する。そんなイメージを抱かれたのか複数人が寄ってくる。
 ……その……あんまり、期待されると……困ります。
🔵​🔵​🔴​ 成功

ヴォルン・フェアウェル
(わざとらしくため息を吐く)やれやれ、こうなってしまうと舞踏会というより乱痴気騒ぎだな
僕は紳士的に踊っていただけなのに

(降ってくるハイヒールを視認し)確かにヘルメットがないと労災まったなしだ
これに頭をぶつけて死ぬのは本望なのかな?
淑女の皆さんもずいぶんと必死じゃないか
量産型のシンデレラになるのはそこまで価値があるものかな

戯言は置いておいて、【顎肢にて死す】で広範囲の靴を人に当たる前に喰らわせる
こんな所で降ってくるような代物だ、魔術も神秘もあるのなら百足たちのいい餌になるだろうさ
詠唱と手の速さには自信があるんだ
別に誰が死のうと関係はないんだけれど、あまり黒幕の思う壺なのも癪だしね

 プールに沈んでいく女の影。齎された破滅を浴びよう。
 得難いものを得たのだと、満足そうな面をしている。
 毒々しい気配を覚えた所以は、さて、難に激突したが故で在ろうか。伽藍洞だと思われていた箇所に涌いてくる蟲の数々。ひとつひとつに意思が存在していたのであれば、成程、傍から見ている人物に『可哀想』だと障られるのかもしれない。やれやれ……こうなってしまうと舞踏会というより乱痴気騒ぎだな。わざとらしいため息に憑いてきたのはハイヒールの音であった。誑かす事も出来そうにない音であったのだが、何故だろうか、彼等彼女等は狂喜をしている。僕は紳士的に踊っていただけなのに……これは……精神を汚染するタイプの、厄介な黒幕かな。ともかく……ヘルメットがないと労災まったなしだ。認めてしまった時点で『それ』は存在してしまう。シュレディンガーのお嬢さんにでも出会った気分だ。で……これに、頭をぶつけて死ぬのは本望なのかな? それとも、本望だと思わされているのかな? 淑女の皆さんもずいぶんと必死じゃないか。量産型の野獣と、量産型のシンデレラ。そう『なる』のはそこまで価値があるものかな。問うたところで返事はない。初めから期待など欠片として『ない』のだが――戯言はここらでしまっておこう。
 毒虫の名を伝えるのであれば『大百足』。群れを為した彼等の行方は『ハイヒール』だ。肉も骨もないと謂うのに、硝子だと謂うのに、喰い尽くせるのはこれ如何に。こんな所に降ってくるような代物だ、魔術も神秘も、呪詛もあるのなら、百足たちのいい餌になるだろうさ。事実、磨かれていなくても上質だ。お偉い様か、傲慢様が、履いていたに違いない。詠唱と手の速さには自信があるんだ。まあ、この場合は『足が出る速さ』の方が重要なのかもしれないけれど……。誰かさんが蟲の泉に投身した。
 別に……誰が死のうと、誰が飛び込もうと、関係はないんだけど、あまり黒幕の思う壺なのも癪だしね。尺取虫は勝手にしてくれ、こっちの青林檎は凄まじく酸い。
🔵​🔵​🔴​ 成功

サーシャ・ヴァリアント
SPD判定、アドリブ大歓迎。

ガラスのハイヒール……?
落ちても壊れないとか強化ガラスなんでしょうか。
極一部がシンデレラみたいですけど魔法使いの悪いおばあさんでもいるんでしょうか。
モノによっては凄い残酷だったりしますしね、シンデレラ。

ううん、帰りたいですけど本当に悪い人がいるなら邪魔されそうですね。
とりあえず出口探しつつそれっぽい人がいないか探してみましょうか。
皆さん邪魔しないでくださいね、邪魔するとビリっときます、痛いですよ。
……喜んで向かってきそうな嫌な予感がしますが進みましょう。
(ガラスの靴や邪魔な連中を【受け流し】本気で邪魔な
連中には特別製スタンガンで【カウンター】を浴びせて退ける)

 ほんの数秒だ。数秒の感情の所為で、押し付けてしまった。
 痺れるほどに欲しかったのだ。満足してくれ、蛆のように。
 足の裏に刺さった硝子、たらりと嗤った赤色は一種の幻覚に違いない。何故ならばガラス製のハイヒール、これらの頑丈さは最早、常識とやらを逸脱していた。ガラスのハイヒール……? 硝子なのは精神だけで十分だと私は思います。その点、お義姉ちゃんの精神は粘土みたいに出来るので好きです。数分前の妄想が、数分前の膨らみが意識を持って行きそうで仕方がない。いや、お義姉ちゃんを意識するのであれば、全て、一切合切を取られても構わないと謂ったところか。それで……落ちても壊れないとか強化ガラスなんでしょうか。脳天砕かれようとも、肩に突き刺さろうとも、紳士淑女の群がりだ。これには蠅も吃驚で羽音すらも逃げようとした。極一部がシンデレラみたいですけど、魔法使いの悪いおばあさんでもいるんでしょうか。何処からか聞こえてくる、何者かからの訴え。誰が『おばあさん』よ、誰が……! 聞こえないフリでもしながら言の葉を続けると宜しい。モノによっては凄い残酷だったりしますしね、シンデレラ。美しさこそが武器なのだ。磨いてやればそれ即ち、数多の破滅させる宝石となる。ううん……帰りたいですけど、本当に悪い人がいるなら邪魔されそうですね。帰らなくても邪魔してきそうだ。聞き捨てならないとやってきそうだ。
 とりあえず……。出口は成程、想定外なほどにすぐ傍であった。数歩としないところに玄関口、時計を改めたのであれば永久の12時か。……皆さん、退いてくださいね。邪魔するとビリっときます、痛いですよ。また随分と火に油を注ぐではないか、お嬢さん。複数名の紳士が壁となって、ちら、と、期待の視線とやらを投げつけてくる。……嫌な予感がします。こういうのは、お義姉ちゃんの方が得意そうな気もしますね。進め、進め、じゃじゃ馬よりも進むべきだ。落ちてきたハイヒールをするりと躱し、その勢いの儘、紳士を縫っていく。そんな中、ひとりの命知らずが飛び込んできた。私を弟にしてくれませんか? 歓喜と共に踏んだのは地雷である。度し難さの頂に在った。
 ……あ。
 やってしまった。
 特別製のスタンガンを長めに当ててしまった。
 もちろん、死ぬほどではないが。
 死ぬほど痛い事に変わりはない。
🔵​🔵​🔴​ 成功

一ノ瀬・シュウヤ
【上司と部下】

今度は何だ…
急にハイヒールが落ちてきたな
咄嗟に見切りで直撃を避けようとしたが…

しまった…避けていたらさっき蹴った男性を踏んでしまった
違う…踏もうとして踏んだわけでは…
やめろ、熱い視線でこっちを見るな
クソ、このままだと避けにくい…
サイコドローンγで頭上に障壁を張って防ぐか
…あまり気が進まないが、さっきの男性も障壁内に収めよう
当たり所が悪いと死にそうだからな

…こんな時にスマホが
マキ…だと…
君は出張で忙しかったはずだろう

いかん、側にいた男性が訳の分からないことを言い出した
誤解だ…変な場所に迷い込んでしまって…
多分この雰囲気は以前来た事がある妖怪の世界だ
すまないが迎えに来てくれると助かる
笹森・マキ
【上司と部下】

収容施設が襲われたっていうから
急いで任務の引継ぎして帰ってきたのにぃ
シュウヤさんいな~い…どこにもいな~い…
エミちゃんもびっくりしてたし、どこいっちゃったのぉ
ん~、さっき繋がらなかったけど
ダメ元でもう一回シュウヤさんに連絡しよ

あ、繋がった
電波悪かったのかな
もしもし?エミちゃんだと思った?それともリツ君?
ざんね~ん、マキちゃんでした~♪
はいはい、マキがどうしたとか後でいいんで、今どこです?
ん?なんか踏んでくれとか変な声聞こえ……え、何…
あのぉ、医務室抜け出してそ~いうことするのはどうかなぁって
マキは思うんですけど~?

というのは冗談で
分かりました、迎えに行きます
少々お待ちください~

 お気に入りのスイーツを購入したい。限定品のチョコレートを皆で楽しみたい。皆がギャアギャア騒ぐものだから、休まざるを得ない。さて、その三つに共通する悪夢とは何か。まるで大渦巻き、女神の悪戯にでも巻き込まれたのかと疑いたくなるほどの頻度。つまりは厄介事、後でも先でも降ってくるのか。今度は何だ……急に、ハイヒールが落ちてきたな。意識していようとも、無意識であろうとも、一ノ瀬・シュウヤは練達である。不意を打つかのような状況にも咄嗟、即座に身を逸らす事くらいは容易と見える。見えたのだが……。しまった……。誰も彼もが舞踏会、ダンスがお上手なワケではない。先程、蹴りつけてしまった男性に、今度こそとやらを『やって』しまったのだ。……やはり、貴方は、そちら側なのですね。わかりました。私は、貴方のような男性を探していたのです。最悪が加速していく。勘違いが増幅していく。まったく、ハイヒールが激突するよりも頭が痛いか。違う……踏もうとして踏んだわけでは……やめろ、熱い視線でこっちを見るな。散々である。泣きっ面に※※である。クソ、このままだと避けにくい……。小型の怪異を詰め込んだγの出番だ。防御用のドローンが宙を舞い、踊り、障壁を展開していく。……あまり気が進まないが、さっきの男性も障壁内に収めよう。ああ……嫌だ、嫌だと謂いながら、私を傍に置いてくれるのですね。……違う。当たり所が悪いと死にそうだからだ。
 上司が頭を抱えている頃、部下である女は緑色をさまよわせていた。右を見ても左を見ても前を見ても後ろを見ても、上司の姿はまったくない。収容施設が襲われたっていうから、急いで任務の引継ぎして帰ってきたのにぃ。さまよわせていた目の玉をぴたりと止め、空気とやらを吸い込んだ。シュウヤさんいな~い……どこにもいな~い……。怪異か、人間災厄か、最悪の場合、|簒奪者《●●●》と遭遇しているのかもしれない。ん~……エミちゃんもびっくりしてたし、どこいっちゃったのぉ……。さっきの電話は繋がらなかった。手が離せない状況だった可能性も考えられる。ダメ元でもういっかい……プルルルル。プルルルル。
 くそ……こんな時に……。障壁の展開は完了したが一時的な処置に過ぎない。より適切な方法を模索すべきだが――スマートフォンがやかましい。……誰からだ。画面に映っているのは部下の名前。如何やら出張から戻ってきたらしく、それは連邦怪異収容局員の所為でもある。マキ……だと……。忙しかった筈だが……いや、俺が原因か……? √越しでの繋がりだ。いつかの乙女心を彷彿とさせるサマ、嗚呼、何処かの人間災厄は如何に思うのか。
 もしもし? もしも~し! エミちゃんだと思った? それともリツ君? 電話の向こう側、何やら騒がしいご様子。いつも以上に大きな声でお話してやると宜しい。ざんね~ん、マキちゃんでした~♪ それで、君、あっちの案件は……。はいはい、マキがどうしたとか、仕事の話とかはどうでもいいんで、今どこです? 今はですね、私の足を踏んでくださるところなんですよ。混じってくる知らない人の声。これには部下も点としたお目目。
 いかん……訳の分からない事を、電話越しに……。頭痛の勢いは止まらない。胃袋まで悲鳴をあげている。え……何……? あ、あのぉ、医務室抜け出してそ~いうことするのはどうかなぁってマキは思うんですけど~? 誤解だ。変な場所に迷い込んでしまって……。たぶん、この雰囲気は、以前来た事がある……。すまないが、迎えに来てくれると……。
 冗談ですよ冗談。あと、そのくらい素直にならないと、二人が迷惑するからね~。分かりました。迎えに行きます。少々お待ちください~。
 少々ほども待てそうにない。
 待てそうにないが、此処は我慢だ。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

野分・時雨
【狼と牛】
あー疲れた!回り疲れ。
脳味噌ぐらぐら。もう回りません。
わんちゃんまだ回れる?三回回ってわん?

さて、牛が座ると雨が降るなんて言われますが。靴が降ってくるとは思わなかったな~。立ったら止まないかな。

一足キャッチ。重。
ハイヒールてかヘビーヒール。
男なら喜んであたりに行くべきかな。
カナトさん傘貸しましょうか?それとも蹄?
ヒール降ってきたら脚を蹄形態にして蹴り反らします。

探せばサイズ合うものあるかもよ。
履かせる、脱がす、落とす……靴を落とすってどういう感情?踏みにじりたいのかな。物理的に、心理的に!
緇・カナト
【狼と牛】
あの程度で踊りまわり疲れたの?
コーヒーカップじゃあるまいし
経験不足すぎるんじゃないかなァ若人よ
…いや仔牛クン?

牛が座ると雨が降るってそうなんだ〜
それじゃあ此のハイヒールは時雨君が原因だね
立っても止まなそう
止まない雨と違ってヒールの靴だし

空じゃなくって上から降るなら
天井裏には何か居るかな
足のないヤツは靴に用無し
墓守霊でも天蓋に嗾けてみようか
誰か見付かれば遊んであげるとイイさ
|トーテンタンツ《死の舞踏》は得意技でしょう

…やれ、蹄に合う靴は見つかったかい灰かぶり君
傘より適役探してみるのも如何だい
引き続き降るヒール靴は躱してまわって
元凶も降ってくるのなら
目的ごと踏み躙ってあげるのになァ

 くるくる、くるくる、地球儀のように。ぐるぐる、ぐるぐる、天体模型のように。赤いマントにやられたのだ。目が回ったって仕方がない。あー疲れた! 回り疲れ。もしかしたら、憑かれていた方が幾らか楽だったのかもしれない。お姫様だったお牛様、こんがりと焼かれるのはもう勘弁と笑う。脳味噌ぐらぐら、世界ぐるぐる。もう回りません。紅茶の中へと沈んでしまった角砂糖、スプーンによる暴力を今か今かと寝て待つのか。あの程度で踊りまわり疲れたの? コーヒーカップじゃあるまいし。狼からの皮と肉だ。革製品も悪くはないと鬼のような返しをしてやれ。わんちゃんまだ回れる? 三回まわってわん? ぼくはもう反芻してしまいそう。経験不足がすぎるんじゃないかなァ若人よ……いや、仔牛クン? いっそ胃袋諸共に吐き出してしまえ。世界はひどく小さい、それ故に踵が落ちてくるのだ。
 さて、牛が座ると、牛が目を回すと雨が降るなんて言われますが。空ではなく天蓋を見よ。天蓋ではなく騒ぎを知れ。霰よりも凶悪なハイヒールどものご登場だ。靴が降ってくるとは思わなかったな~。今すぐにでも立ち上がった方が宜しい。立ち上がって今すぐに避ける準備をすると宜しい。でも、四つ足じゃないとバランス保てそうにないんだよね。いっそ蜘蛛の足にでもなれば良い。いやいや、そんな、勿体ない事あとにしてくれ。牛が座ると雨が降るってそうなんだ~。それじゃあ、此のハイヒールは時雨君が原因だね。立っても止まなそうだし、立とうとしても難しそう。止まない雨と違ってヒールの靴だし……。足を出すべきか手を出すべきか、口を出すべきか、ホニャララすべきか。兎角、折角の投擲だ。受け止めてやるのもひとつの手段であった。
 一足キャッチ。重。フットワークが軽いだなんて今時のヒトサマは宣うけれども、これではハイヒールですらもなくヘビーヒールだ。男なら喜んであたりに行くべきかな。カナトさん傘貸しましょうか? それとも蹄? 降ってきたそれらを蹴散らすと同時に大嵐だ。ハイヒールの台風、オマエを目玉として荒れ狂う。いやいや、時雨君。周囲のヒトサマの事も考えてくれよ。まあ、それは置いておいて、空じゃなく上から降るなら……。鼠は壁の中になど存在しない。存在しているのであればキャットウォークだ。天井裏に何かいるかな。足のないヤツは靴に用無し。此処はブラックドッグらしく『墓守』に倣ってやれば嬉しい。さて、嗾けてみようか。誰か見つかれば遊んであげるとイイさ。
 |トーテンタンツ《死の舞踏》は得意技でしょう。
 きゃん、犬や牛よりも仰天している、誰かさんの悲鳴。
 次は其方が踊らされる番だ。
 やれ……蹄に合う靴は見つかったかい灰かぶり君。傘より適役探してみるのも如何だい。探せや探せホールの内部。内臓を曝け出したとしても、嗚呼、シンデレラには至れない。履かせる、脱がす、落とす……靴を落とすってどういう感情? 踏みにじりたいのかな? 物理的に! 心理的に! さあね。でも、オレはこの感情を知ってるよ。元凶も降ってくるのなら、目的ごと踏み躙ってあげるのになァ。
 骨諸共に食んでやれ、捕縛すべき蝶々へ。
 まわれ、まわれ、飽きもせず。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

第3章 ボス戦 『レディ・コルチカム』


POW 戦えないとは言ってないわ?
自身を攻撃しようとした対象を、装備する【ハイヒール】の射程まで跳躍した後先制攻撃する。その後、自身は【甘い香】を纏い隠密状態になる(この一連の動作は行動を消費しない)。
SPD おにさんこちら♪
視界内のインビジブル(どこにでもいる)と自分の位置を入れ替える。入れ替わったインビジブルは10秒間【魅了】状態となり、触れた対象にダメージを与える。
WIZ お願い助けて?
10秒瞑想して、自身の記憶世界「【お気に入りリスト】」から【使えそうなヒト】を1体召喚する。[使えそうなヒト]はあなたと同等の強さで得意技を使って戦い、レベル秒後に消滅する。
イラスト 東雲陵
√妖怪百鬼夜行 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

 へたくそ。
 へたくそ。
 へたくそばっかり!
 誰も彼もが踊れていない。踊らせてやったと謂うのに、やりきれていない。変態さんやおにさんが、たくさん、たくさん、いるけれども。アレもソレも『お気に入り』と謂うにはあと一歩。そうやって、ぼんやり|天蓋《そら》から見ていたのに――足元を掬われるなんて最悪だ。いたた……何よ、何よ。面白くないわ!
 どうか僕らを踏んでくれ――その一言が表しているのは、嗚呼、彼女の美貌に他ならない。コルチカムの危険性は言の葉からもわかる通りだ。面白くないから、そうね。代わりに『おにさん』で遊んであげるわ。さあ、お花はここよ。触れるものなら、触るといいわ。
 お騒がせなシンデレラ。永遠をヴェールとしたシンデレラ。
 果たして彼女が――破滅以外を纏う事などあるのだろうか。
四之宮・榴
アドリブ・アレンジ・連携歓迎。

心情
…シンデ…レラ…?
…随分と現代チックに…。
…貴方様に、恨みは…ありま…いや、割とあるかもしれない、ので…取り敢えず、倒されて、下さいませ。

行動
色々反芻して、碌でもない目にしか合ってない事を思い出してほぼ反射的に能力を使用する。
10秒も瞑想してると、真っ平らになりますが。
僕と同じ強さ?
遠距離は「タロット」。
距離を縮められたら、迷わず「漆黒のファイヤースターター」を2m程にして燃しながらぶん殴ります。
「深海の捕食者」も併用して、[受け流し]から[カウンター]で、回復は[生命力吸収]と[インビシブル融合]。ガードは[ジャストガード]を。
僕と同じ回復力も欲しいですね?

 酸味の強い林檎に導かれたのか。小人の騒ぎに気付いてしまったのか。何方にしても毒々しく、柔らかな印象とやらは一瞬にして消え失せた。お転婆な娘だと、じゃじゃ馬な娘だと、そんなふうに描写をしたところで――国が傾く現実を隠す事など出来なかった。おお、シンデレラ。まるで己こそが主役なのだと、勘違いでもしているのかと疑うほどに見下してきたのか。……随分と、現代チックに……。もしかしたら『シック』と言い換えても良いのかもしれない。蹴っても殴っても、突き落しても罵っても、誰もが彼女に夢中だったのだ。……貴女様に、恨みは……。無いと言い切れなかった。偽物の臓腑の底に溜め込まれた右往左往、これを確りと正す為にも、コルチカムを手折らなければならない。……割と、あるかもしれない、ので……取り敢えず。まったく得難い図々しさだ。いや、この感情は――ひとつの羨望の類なのかもしれない。……そんな、筈は……ともかく、倒されて、くださいませ。
 本能的な沙汰であった。反芻しているのか、していないのか、その途中なのかも曖昧な儘、反射的に|能力《ちから》を解放してやる。空を泳いでいた、宙で遊んでいた、彼等の応答については最早、言の葉にする必要もないのか。鯨が謳っている。白いものとして謳っている。これに驚いた誰かさんは、さて、上手に瞑想を出来るのであろうか。真っ平になりますが、それでも……するのですか? 女は度胸である。それに加えての我慢である。この程度の圧し潰しに屈するなど――彼女にとってはありえない事か。……お願い、助けて。なんて謂うけれど、私はそう簡単には斃せない。いったい誰とおんなじ強さで在ろうか。呼び出された何者かは――お気に入りのヒトサマは――『あなた』を真似るに違いない。
 僕と同じ……違う……? 結局のところ『あなた』なのだ。あなたとは=でコルチカム自身とも考えられよう。そう、貴女を力にしたところで、私より強い筈がないわ。事実だ。√能力者よりも簒奪者の方が『素』では強い。しかし、その強さの穴を埋める事こそが要と謂えよう――逆立ちをしている女帝、危険な美しさの何処を抉ろうとしたのか。
 伸縮自在による攻勢はまさしく修羅か。美しいものを相手に殴打と燃焼とは、中々、随分と厳しい立ち回りである。……痛いじゃないの。ねえ、貴女、面白くないわ。面白くなくても構わない。天蓋からの奇襲――捕食者の胃袋の中身や如何に。
 ……僕は、貴女様に、どのような、感情を……。
🔵​🔵​🔴​ 成功

サーシャ・ヴァリアント
SPD判定、アドリブ大歓迎。

魔法使いのお婆さん……じゃないですね。
でもシンデレラというには貧相な格好です。
ドレスとか装飾品もっといっぱい付けてきてください。
小さい女の子の夢ですよ、まったく。
何ですか、私にだって普通に憧れる代物はあります。
まぁ義理姉ちゃんを前にしては全て霞んで見えるんですけどね。
あの燃えるような生命力に溢れた目がくるくる変わる様は万華鏡のようで見ていて飽きません。

おっと幽霊さんに抱きつかれるのはお断りです。
貴方のご主人様はあちらですよと【魅了】お返しします。
はしたないシンデレラですね、これじゃめでたしめでたしには程遠そうです。
淑女として|教育してあげますね《魅了と催眠で調教》。

 毒リンゴに接吻したのか、カボチャの馬車が事故を起こしたのか、或いは両方だと世界は嗤う。白雪のような肌だとしても、灰かぶりのような境遇だとしても、嗚呼、性格がお終いをしているのだから度し難い。魔法使いのお婆さん……じゃないですね。とんだ奥様ではないか。とんだおばさんではないか。幾つになっても女性は乙女だと考えられはするのだが、愈々、此処まで執念深いと醜くも思える。……シンデレラというには貧相な格好です。ドレスとか装飾品、もっといっぱい付けてきてください。小さい女の子の夢ですよ、まったく。コルチカムは怒りよりも前に驚きを前面に出した。……貴女みたいな娘が『夢を見る』なんて、私、吃驚して倒れてしまいそう。そのまま倒れてくれれば良かったのに。……何ですか。私にだって普通に憧れる代物はあります。有ったとしても拗らせ上手なのはお互い様だ。様々な『もの』を仕掛けて悉くに成功する。この体験こそが蜜とも解せた。
 まぁお義姉ちゃんを前にしては全て霞んで見えるんですけどね。……盲目の間違いでしょう? 如何やらコルチカム、サーシャ・ヴァリアントの在り方を少しくらいは『わかる』ご様子だ。そうですね。あの、燃えるような、生命力の溢れた目が、精神的にも物理的にもくるくる変わる様は万華鏡よりも綺麗で、見ていて飽きません。まあ、素敵な言葉! でも、貴女は私と同じか、それ以上に、やみつきになっているのでしょうね! 鬼ごっこか、かくれんぼか。手の鳴る方へ。ハイヒールが踊るように!
 おっと。幽霊さんに抱きつかれるのはお断りです。変態さんよりはマシですが、お義姉ちゃん以外は許しません。貴方のご主人様は『あちら』だと。甘い水は『あっち』だと。呪いのように返してやれ。……ちょっと待ちなさい。貴女、能力者じゃないのに見えて……? これはお仕事です。ついでに、はしたないシンデレラに教えてあげます。これじゃめでたしめでたしには程遠そうです。淑女として――深窓の令嬢として。
 有り様とやらを施してやると宜しい。
 ……ね。ねえ、その宝石。その、赤いの。なんで私に向けて……?
 五円玉よりも吸い付きが好い。何もかもは王子様の為に。
🔵​🔵​🔴​ 成功

ヴォルン・フェアウェル
確かに君は大輪の花だね、悪臭で虫を呼び寄せるたぐいの
僕はもう少し控えめな香りが好みだな、触れるのはごめんこうむるよ

【貌なしの暴食】発動
人をへたくそと詰る前に、足元をすくわれる自分の迂闊さに目を向けるべきじゃないかな
そんなことだから穴に落ちるのさ、深い深い穴にね
先制攻撃をしてくればカウンターと早業で返す
始終身体が振動しているんじゃ、狙いを定めるのも一苦労だろう?
姿を隠したって残り香が強いから隠密にもなっていない
肉薄してくれば|花弁《リリア》の零距離射撃で撃ち抜いてあげるよ

傲慢なシンデレラ、君に王子様がやってくることはないようだ
ガラスの靴も失くしてしまったことだしね?

 貌を忘れたアバドーン、舞台は最早なく、脳漿ロンドの魔の手。
 大きくても、小さくても、美しくても、可愛くても、簒奪者という三文字が引っ付けば何もかもは台無しである。振り撒いた香水の数々が混沌を孕み、ある種の錘となって圧し掛かってきた。ああ、めまい。こんなにも強烈な女性は此方から願い下げである。確かに、君は大輪の花だね。悪臭で虫を……彼らを呼び寄せるたぐいの。虚無が服を着ていると謂うのに、永久のお別れが歩んでいると謂うのに、この口撃は凄まじいものだ。ひとつ、ひとつの言の葉を咀嚼した彼女は――シンデレラの偽物は――今にも狂ってしまいそうなほどの怒りの中だ。貴方、人を怒らせるのがお上手なのね。それとも、それが演技だとでも謂うのかしら。まあ、僕は演技も得意だけど、これは本心からの言葉だよ。僕は、もう少し控えめな香りが好みだな。触れるのはごめんこうむるよ。跳躍したのはハイヒールか、もしくはコルチカムか。何方にしても穴があったら入りたい現実だ。精神的ではなく、物理的に。
 人をへたくそと詰る前に、人をへたくそと嗤う前に、足元をすくわれる自分の迂闊さに目を向けるべきじゃないかな。甘い香りを纏うよりも前に真っ逆さま、罅割れた大地の|虚空《あな》とやらに身を投じていく。そんなことだから穴に落ちるのさ。深い深い穴にね。いや……っ。臓腑が浮かんでいるのか、脳髄がへばりついているのか。兎にも角にも、何もかもが震動している……! 落っことしたハイヒールの行方こそ無意味。空気を蹴ったところで、より、膝が笑うだけか。終始身体が振動しているんじゃ、頭の中が踊っているんじゃ、狙いを定めるのも一苦労だろう? ああ、隠密もクソもあったものではない。たっぷりと馥郁を蓄えているのだ。肉と肉がつくか、はなれるか。|花弁《リリア》の危険な美しさは如何に――傲慢なシンデレラ、君に王子様がやってくることはないようだ。
 撃ち抜いてあげるよ、その、自尊心と共に。
 ガラスの靴も失くしてしまったことだしね?
🔵​🔵​🔴​ 成功

野分・時雨
【狼と牛】
へたくそだってよ!
わんちゃんの踊りのことかな。
どう?強そうなお姉様ですが。好み?
素敵な御御足で踏まれたい気持ちも理解できます。
遠くから見ていないで、一緒に踊ってくださいませ!

畜生のエスコートで失礼。
うふふ、触って良いんですか。
お花は逃げ足が早いね。
インビジブルさんまで魅了されるとは!

ひと撫ですれば裏返し!
武器は絹索。素早く投げ、引き戻し。
移動範囲を狭め、足に絡めるよう狙いましょう。
ごめんなさい、お嬢様。足を狙いますよう。
狼さんは慈悲深いので。痛みなく済ませてくれるでしょう!
緇・カナト
【狼と牛】
強そうなお姉様が好きなのは仔牛クンの好みでしょ〜
下手くそステップなプリンセスだったのは
先程までの時雨君〜
素敵に踏まれたい気持ちも理解できるらしいし
ここは華を持たせてあげるとしようかねェ
上手に誘って踊ってあげたら?
一曲と言わず互いに満足出来るなら

ただしハイヒールの御礼参りはオレからも一発
魔香の漂う手斧を投げても
お返し来るのは織り込み済みで
本命なのはベラドンナ香る幻影の花畑
舞台は揃った、ならば後は
若いふたりでお楽しみあれ?
まぁ精霊宿した銃で
援護射撃くらいも添えてあげようか

幕引き終わりの曲には死の舞踏でも
何処を切り落とされたいかな、
お騒がせなシンデレラ?

 魔女の眼か、美女の眼、何方かに囚われた時点で有象無象はお終いである。隷属を誓う事となった目の玉の数々は恐怖よりも強烈な感情とやらに狂わされていた。誑かされた人々は妖精の鱗粉に盲目とされ、まるで墓場の住民、白骨と成るまで踊りに踊るのか。へたくそだってよ! 罵られたのだ。莫迦にされたのだ。ならば、いっそドードーの如くにくるくる走ってやれば好い。わんちゃんの踊りのことかな。どう? 強そうなお姉さまですが。好み? 好みなのか否なのか。そういう問題ではないと嘶いてやれ。いや、嘶くのは馬で在るべきで、狼は牛の言の葉に応えるのみか。強そうなお姉様が好きなのは仔牛クンの方でしょ~? それに、下手くそステップなプリンセスだったのは先程までの時雨君~。お互いの足を踏み合っているのは結構だが、嗚呼、無視をされてしまったコルチカムはムカムカだ。ねえ、私をいないもの扱いしないでくれる? それとも、輪の中に入れる程度で、私が目を回すとでも……? いえいえ、そんなつもりはこれっぽっちもありません。素敵な御御足で踏まれたい気持ちも理解できますし、ハイヒールで脳味噌ぐらぐらしたい気持ちもわかります。遠くから見ていないで、遠くで笑っていないで、一緒に踊ってくださいませ! ひどく拙いお誘いだと、ひどく千鳥足なお導きだと、コルチカムは頭を抱えた。ここは華を持たせてあげるとしようかねェ。上手に誘って踊ってあげなよ、仔牛クン。素敵に踏まれたい気持ちも理解できるらしいし、一曲と謂わず互いに満足出来るなら。三人でフォークダンスとは随分と斬新ではないか。何方かと謂えばかごめかごめ、籠の中の鳥の羽をもごう……。
 畜生が。可愛らしいお姉さんからの、美しいお姉さんからの、お姉様よりもはしたない悪態。畜生のエスコートで失礼。うん、ぼくは招待されたんだし、招待したって問題ないだろう。うふふ、触って良いんですか。やってられない。誰がこんな、蜘蛛の巣の中でダンスが出来るのか。蝶々はひらひらと目眩を残し、別の何かしらと入れ替わった。お花は逃げ足が早いね。インビジブルさんまで魅了されるとは! お魚さんが蜜の海で泳いでいる。泳いでいたところに――ハイヒールが跳ね起きた!
 ハイヒールの御礼参りはオレからも一発。何が先決なのかと問われれば鮮血、魔女か悪魔の『それ』を纏わせ、ただの一投を繰り出した。繰り出したと同時に迫ってきたハイヒール。……貴方、ひどく暴力的な男性は、嫌われるわ。ああ、ごめんよ。こう見えてもオレ、結構、ケダモノめいた男でねェ。さて、いよいよ舞台は整った。ならば後は若いふたりでお楽しみあれ? ふらりと狩りを中断したならば本番は此処から。客席に座らせた精霊からは|文句《ブーブー》、雷めいた主張の激しさか。
 ひと撫ですれば裏返し!
 へたくそとへたくそ、へたくそばっかりな舞踏会だ。あんよが上手と世辞も出来ず、ふらふら、危険な美しさは影も形もなくなった。え……? あれ? 私……どうして。ごめんなさい、お嬢様。足を狙いますよう。投げ込まれた羂索がプリンセスをひっ捕らえた。そのまま、引き寄せられる姿は蜘蛛の餌か。狼さんは慈悲深いので。痛みなく済ませてくれるでしょう! ああ、踏まれた。足も踏まれたし影も踏まれた。もう逃げられない。鉄槌は既にされたのだ。じっくりと料理されるのを待ってくれ。
 幕引き終わりに死の舞踏でも。何処を切り落とされたいかな。
 足だろうか。腕だろうか。
 お騒がせなシンデレラ?
 ――首はダメだと謂っていた!
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

一ノ瀬・シュウヤ
【上司部下】

あの女性、こんな事態を起こしたなら只者ではないだろう
マキが来るまで耐えるしかなさそうだが
側にいる理解に苦しむ性癖の男性はどうしたものか…
言うことを聞くか分からないが避難するよう伝えるか
…頼むから俺の側から離れてくれ

そういえば、おにさんがどうとか言っていたが
おにさんというのがどこかにいるのか?
もしやまた…見えない敵か…

…凄い勢いでマキが来たな
帰って来た早々すまなかっ…
…いや、あの男性の事を聞かれても困る
そんな厄介なものは無い…変な事を言うな

どうやらマキは踊るか戦うかレディに聞いているようだが
踊るなら楽しそうに踊りそうだが
戦いになると途端に苛烈になるからな…
傷も痛むし少し離れて見守ろう
笹森・マキ
【上司部下】

あ、シュウヤさんがインビジブルに狙われてる
急いで助けに行かないと~っ
滑りこみセーフ!
…ん?セーフだよね?
間に合ってなかったらごめんですよ、シュウヤさん

?なんかシュウヤさんの事を見てる男の人がいますね
あ~、あの人が電話の時の~?
シュウヤさんって昔から女難の相も男難の相もありそうですしね

おや~?お姉さん…つまらなそうな顔してますね?
ここって見た感じ踊る所だし、もしかして踊れなくて苛ついてます?
だったらマキと踊りませんか?
踊るっていっても踊り方知らないんで変なステップ踏みそうですけど~
戦いの方が良いステップ踏めるかも?わかんないけど?
どうします?戦うなら√能力で戦うし踊ってもいいですよ♪

 ぶん回された乙女心、キラキラとした星の数については、最早、忘れてしまいたいほどであった。未曾有の気配と未知の香り、これに隠語としての🌈を添えたのであれば、混沌、誘われたのかと疑うほどに頭が痛いか。あの女性……こんな事態を起こしたのなら、意識的でも、無意識的でも、只者ではないだろう。拭いきれない疲弊と共に女性の|美貌《かお》、覗き込んでしまったのならば、嗚呼、ババを引くかのよう。マキが来るまで耐えるしかなさそうだが……しかし。くるり、回って魅せた女性の視界、最初に這入り込んだのは例の男か。あら……私が背中を押さなくても、既に、良い人を見つけていたようね、彼。眩暈がした。違う……そういう、相手ではない。理解に苦しむ男性からの熱烈な視線。愈々、無視する事すらも至難となってきた。頼む……頼むから、俺の側から離れてくれ。避難指示なのか非難なのか、一ノ瀬・シュウヤ本人にも不明な有り様であった。ふうん。貴方なら、私の『お気に入り』に出来そうだわ。その|男性《子》が嫌なら、私が、貴方を貰ってあげてもいいのよ? 勘弁してくれ……。見えていても、見えていなくても、脅威である事に変わりがない。纏わりついた嫌な気配はスタンピードよりも質の悪い何かである。
 そういえば、おにさんがどうとか言っていたが……。|騒霊《ポルターガイスト》も吃驚な、怪異も仰天な遊泳である。足元を舐ってきた気持ちの悪さは、さて、ウナギかウツボのソレであった。おにさんというのが、ここに、いるんだな……? やはり、また、見えない敵か……。あら、貴方。見えていないの? 私が、貴方を『もの』にしたなら、全部、全部、見せてあげるわ。まったく、嬉しくもないお約束だ。伸びてきた掌を叩いてやったなら、彼方、待望していた『声』ひとつ。滑り込みセーフ!!!
 電話越しの彼はひどく混乱していた。混乱などの感情を隠すのが得意だと思っている彼だ。上司の弱さを支えるのも部下の役割と謂えよう。あ、シュウヤさんが狙われてる。狙われているだけならば問題ない。何故ならば、あの上司は強いのだ。だが、如何やら狙っている側が大問題。|見えない敵《インビジブル》に包囲されては多勢に無勢もてんてこ舞いか。急いで助けに行かないと~っ。そうして、滑り込んだ。滑り込んで、危うく転びそうになった。……ん? セーフだよね? 間に合ってなかったらごめんですよ、シュウヤさん。少なくとも正気は保たれていた。嗚呼、良かった良かった。
 凄い勢いでマキが来たな……? 背負えるならば幾らでも背負う。そんな覚悟を、そんな誓いを、見透かされているかのような感覚であった。如何にか、自身の不調を装えたところで改めてのご挨拶。帰ってきて早々すまなかっ……。圧が凄い。何の圧が凄いのかと問われれば、例の男性だ。ジッと、ジッと、無気味なほどの目の玉が此方を捉えている。……あ。あ~……あの人が電話の時の~……? シュウヤさんって昔から女難の相も男難の相もありそうですしね。女神にスミスにetc、いっそ頭を抱えてしまいたい。……あの男性の事を訊かれても困る。それに、何より、そんな厄介なものはない。変な事を言うな……。真実は隠しておきたいものだ。立っているのもやっとな今。
 コルチカムは頬を膨らませていた。自分のような花を放置しておいて、イチャイチャ、戯れている事に我慢ができない。おや~? お姉さん……つまらなそうな顔をしてますね? 誰の所為だと、オマエの所為だと、危険な美しさは只訴える。ここって見た感じ踊る所だし、もしかして踊れなくて苛ついてます? だったら、何よ。代わりの相手でも用意してくれるっていうの? 最早、演じる必要はない。ファム・ファタールの化身だとしても、鍍金が剥げたらこのザマだ。だったらマキと踊りませんか? お辞儀をしてやった。これは一種の挑発である。文字通り、手袋を投げつける行為に等しい。
 どうやら……マキは……俺の代わりをしてくれるようだが……。踊るだけならば構わない。楽しく踊るだけならば、己も観客として此処にいよう。しかし……。戦いとなると途端に苛烈になるからな。傷も傷むし、頭も……いや。少し離れて見守るとしよう。舞台はようやく整った。音楽は息絶え、構えた|銃剣《夜冥》がギラギラと謳う。
 踊り方知らないんで、変なステップ踏みそうですけど~。
 あら、へたくそ! へたくそと踊るつもりはないわ!
 どうします? もう、問いかけも必要ないとは思いますけど。
 鬼も悪魔も肉の袋に等しかった。やらせない、やらせはしない。そう考えた時点で魔弾とやらは撃ち込まれる。お姉さん、運動不足じゃない? そんなのだからハイヒールを落としちゃうんだよ。呆気ない風穴であった。呆気のない、漿液であった。
 どうか僕らを踏んでくれ。
 死に体となっても、踏んでくれ。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

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