シナリオ

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ひび割れた心に潜んでいる

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 日常はつまらない。まるで干からびてひび割れた大地のようだ。潤すには水が必要だ。とびきりのスパイスがついた水が。

「こんなところにセキュリティホールがあるなんて、相変わらず舐めてんな。そんなんで世界一のMMOを目指すなんて出来の悪い冗談にしか見えないよ。そんなのはエイプリルフールだけにしておけっての!」
 モニターの前に座った小柄な人影がキーボードを叩く音がする。ちょうどお気に入りのゲームにログインしていたところだった。まあ、ハッキングしながらだからお行儀が悪いことこの上ないのだが。不正を働かないくらいには良心はあるようだった。不意にメールが届く。
「なになに? 興味深い情報をありがとうございます。我々はウェド様の見つけた世界を壊す穴を突くことを決定しました。情報提供感謝します。レリギオス?」
 ウェドと言うのはこの人物のハンドルネームだ。冗談のようなメールを受けてコーラを飲みながら笑っていたウェドだったがそのうちに顔色が悪くなった。遊んでいたMMOの画面に得体の知れない怪物が現れたからだ。そいつはゲーム世界を文字通り破壊していく。
「サーバーにテロだって? どこからのアクセスだ? √ウォーゾーン? どこだよそこは。でも、『グレイムーン』のサーバーがある場所がわかった。横浜? ボクが行かないと、直接システムに繋げば間に合うかも!」
 ウェドはノートPCをひっつかむと横浜の西側にあるデータセンターへと向かった。2時間もあればたどり着けるはず、そしてテロリストを撃退できるはず、世界を守るための小さな戦いが始まった。

「√EDENに戦闘機械群が現れます。みなさんには現れた戦闘機械群の排除をお願いします」
 木原・元宏(歩みを止めぬ者・h01188)は集まった√能力者達に事件の説明を始めた。
「戦闘機械群はウェドと言うハッカーが流したセキュリティホールの情報を鵜呑みにして√EDENへと侵攻を開始しました。世界を壊せる穴と言うことですがそれは『グレイムーン』と言うMMOのプログラムのことです。ゲームを壊してしまうプログラムの穴のことなのですが、戦闘機械群は√EDEN攻略のための糸口と捉えてしまったようです」
 元宏は近未来的なゲームの画面を映し出した。
「これが『グレイムーン』です。エルフやドワーフもいて魔法もあるサイバーパンクと言った趣のゲームです。荒廃した地域もあるのでウォーゾーンと誤解したのかもしれませんね。戦闘機械群はデータセンターのある√EDENの横浜へ物理的に侵攻している他、ネットを通じてソフトウェア的にも侵攻してきています。まずは横浜のデータセンターに行って物理的な脅威を取り除いてください」
 次に元宏は虫の形をした戦闘機械群を映す。
「データセンターにいるのは虫型の個体です。これらは通気口などからデータセンター内に侵入して中にあるコンピュータを乗っ取ろうとしています。データセンターへの潜入して戦闘機械群の排除してください。データセンターがあるビルの近くにはウェド本人がいますので協力して事件に当たるといいでしょう。それではよろしくお願いします」
 元宏はそう言って√能力者達を送り出した。

 街灯がチカチカと明滅する道の先にそのビルはあった。表向きはオフィスビルで低層階にはレストランやカフェが入っている。横浜や東京で働いている人達のベッドタウンとして成長した街の片隅だった。夜になると人通りも少ない。
「ギリギリ間に合った。もう少しで電車も無くなるところだったからね。みんなはこれからお休みだろうけど、ボクの戦いはこれからだ。責任は取る。僕が愛した世界を守らないと。でも、レリギオスってなんなんだ? そんなハッカーチームもゲームも聞いたことがない。でも、やらないと」
 ウェドは小さく手を握りしめた。夜のビルは真っ暗で言いようのない恐怖が胸に去来する。でも、やらなくてはならない、それがどんなに無謀なことだとしても。
これまでのお話

第3章 日常 『インターネットで知り合った人と出会う』


POW 積極的に、自分の話をする。
SPD 軽妙なトークで、相手の話を促す。
WIZ (口下手)
√EDEN 普通5

 クリプトワームを倒すと街に朝日が昇ってきていた。ウェドは警備が来るまでにデータセンターを後にする。データセンターの壁には大穴が開いていたが、ここは√EDENだ。記録上も、この街の人の記憶にも何らかの事故として残るだけだろう。ウェドがこのことを憶えていられるのも朝日が昇るまでかもしれない。彼と少し話をするのもいいかもしれない。