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雨恋い金魚と蛍の森
――雨々ふれふれ、もっと降れ。
雨を乞うように、水槽にゆうらり尾鰭をたなびかせているのは、沢山の金魚。
そして、リンと耳にやさしい音を鳴らす、金魚型の風鈴たち。
この地の伝承で金魚は、梅雨の時期だというのに干ばつに悩まされた際に、神様から遣わせられた、有難い雨を呼ぶ使者なのだという。
だから梅雨の時期、この地では、恵みの雨を祝う金魚祭り――『|雨恋《あまごい》祭』が開かれる。
場所は、十字に走った道に沢山の店が立ち並ぶ『|雨屋通り《あまやどおり》商店街』。
屋根付きアーケード商店街だから、雨が降ったって、ぶらり散策を存分に楽しめる。
むしろ雨のお祭りだから、各店、雨の日特典がいっぱい。
南北にはしる『味彩横丁』で楽しめるのは、主にグルメが中心。商店街の醍醐味である味彩メンチカツやコロッケなどの食べ歩きや、お祭り限定の沢山の金魚モチーフのスイーツやメニューが味わえる店々、雨宿りにぴったりなレトロ喫茶店などがある。
東西にはしる『相合小道』は、傘などの雑貨や装飾品や金魚風鈴などが買える店が並び、お祭りならではな催しや遊びも盛り沢山。
時期的に紫陽花も咲いており、色とりどりの傘もくるり、雨の日に彩りを添えていて。商店街グルメを目一杯楽しんだり、雨宿りしつつゆっくりレトロな喫茶店で過ごしたり、買い物や金魚すくいや紫陽花釣りなど、様々な楽しみ方ができるというわけだ。
金魚鉢紫陽花パフェや、紫陽花のように色が変わる二種類の手毬かき氷、おみくじが中に入った金魚焼きや、紫陽花ビー玉が入った金魚柄の瓶のフルーツラムネに琥珀糖サイダー、爽やかなミニ金魚鉢ゼリー、梅雨や金魚にちなんだドリンクやアルコールなどの食べ物や、商店街の雨空を彩り鳴る金魚風鈴など、この商店街ならではなものもいっぱい。
ちょっぴり憂鬱になりがちな雨の日のおでかけも、この雨屋通り商店街だったら、逆にうきうき嬉しいことがいっぱい。
楽しく雨宿りしながら、目一杯お祭りも楽しめるというわけだ。
さらにこの地の伝承は、雨乞い金魚だけではなく。
近くにある森は、『七色の森』と呼ばれているという。
その名の謂れは、森にある『龍の川』が、七色であるから。
そんな虹色の正体は、浅瀬の小川の底にきらきらと光る、鱗のような無数の石。
龍玉と呼ばれているそれは、護符やお守りや装飾などの加工品の素材になり、持ち主の願いが叶うと言われていて、商店街にも加工品を扱う店もあるが。自身で川で掬って、お気に入りの龍玉を見つけることもできる。
それに加えて今の時期、雨上がりの夜になれば、七色蛍が舞い遊ぶという。
まさに七色の森というに相応しい、今だけの絶景となるのだ。
けれど「龍の川」は森の奥にあり、知る人もあまりいない穴場だというから。
そう、そこはまさに――身を隠したい存在にとっては、うってつけの場所。
●雨恋祭と七色の森
「雨が降っている時の外出って、億劫になりがちだけど。雨だからこそ楽しめるお祭りってきくと、雨の日のおでかけもわくわくになりそう。金魚も、きれいだったりかわいかったり、色々な子がいるよね。わたしは、ちょっと愉快なお顔の出目金が好き」
楪葉・望々(ノット・アローン・h03556)はそう皆に小さく笑みながらも、訪れてくれた皆に礼を告げた後。星詠みの予知を語る。
「今回みんなに行ってもらうのは、√妖怪百鬼夜行だよ。凶暴で他者の血肉を喰らう危険な「古妖」の封印は、√妖怪百鬼夜行の各地に存在するけれど。「情念」を抱えた人がこの封印に引き寄せられて、その願いを叶えるという約束と引き換えに、古妖を封印から解き放ってしまったみたい」
解き放たれた古妖を自由にさせておく訳には、当然いかないし。
封印を解いてしまった強い情念を抱えた人も、古妖にそそのかされたとはいえ、封印を解いてしまい、自分の望みも叶わなかったという、落胆と後悔に苛まれているだろう。故に、封印を解いた彼についても、何らかのフォローをしてあげられるといいかもしれないし。古妖や人々に怪しまれぬよう、祭りを楽しむ客を装うことも必要だろう。
そして時が来れば、古妖の元へと赴いて倒す――これが今回の依頼である。
それから望々は、依頼の詳細を説明する。
「古妖を解き放ってしまった人はご年配の男性で、古妖に、亡くなった奥さんとまた思い出のこの地で会わせてあげるって、そうそそのかされたみたい。でももちろん、そんなことは叶わなくて……自責の念に駆られつつもショックのまま、奥さんとの思い出があるこのお祭りの中、あてもなく商店街を歩き回ってるみたいなの。そして解き放たれた古妖は、明るいうちは人に紛れて次の唆すターゲットを探して、夜になると近くの森の隠れ家に戻るみたい。昼は一般人もいるし人も多くて見つけられないだろうし、今は標的を見定めるだけで古妖もすぐには行動には移さないようだから、夜に森の隠れ家に赴いて、倒すことになるよ。それまでは怪しまれないように商店街を巡ってお祭りを楽しんでる客を装ったり、古妖を解き放ってしまった人に声をかけたりとか、色々できる時間は十分あるよ」
皆が商店街に到着するのは午前中、古妖が森の隠れ家に戻る夜の時間までは自由に過ごせる。敵に怪しまれぬよう客を装い商店街の祭りを楽しむも良し、封印を解いた人を探すもまた良いだろう。
そして夜に雨があがる頃に、古妖は森に戻るというので。雨が上がった後、七色蛍が舞う森の「龍の川」の浅瀬を行き、潜む古妖を討って欲しいというわけである。
望々はそこまで説明した後、くるりと皆を見回して。
「古妖を退治するのが、一番の目的だけれど。雨の日の商店街の金魚のお祭り、とてもたのしそう。それに、商店街グルメも、美味しそうだよね。あ、そうそう……商店街の案内図や、各店の雨の日特典が書かれたパンフレットも、渡しておくね。あ、七色蛍は妖怪だから、蛍が舞う龍の川に入っても問題ないよ」
だから色々楽しんできて、と小さく笑んだ後。
望々は、よろしくお願いしますとぺこりお辞儀をして、皆を送り出すのだった。
マスターより

マスターの志稲愛海と申します。
よろしくお願いいたします!
※ご連絡※
第1章の受付は【6/14(土)朝8:30~6/18(水)23:59迄】です。
以降の章の受付等は、シナリオタグやMSページで連絡します。
各章の詳細を記載した断章を、各章受付開始前に掲載予定です。
戦闘章以外はPOW/SPD/WIZは気にせずOKです。
どの章からでも、気になった章のみでも勿論歓迎です。
可能な限り内容が採用できないプレイング以外は全採用予定です。
何名様ででも、何文字ででもお好みで、お気軽にどうぞ!
今回の依頼内容は以下です。
第1章、「雨恋祭」開催中の「雨屋商店街」の散策を楽しめます。
時間は、午前中から夜を迎えた頃までです。
グルメに買い物に他色々、沢山の店が並ぶ商店街で祭りのひとときを過ごせます。
内容はOP通り、詳細は断章に記載いたします。
お気軽に好きなように、商店街のお祭りを楽しんでください。
敵等に不自然に思われぬ為にも、自由に過ごしていただければと!
第2章は、第1章の結果を受けて内容が分岐しますが。
七色に輝く「龍の川」の浅瀬を行きながら、七色蛍舞う森の夜が楽しめるかと。第1章と同じような、お遊びメインな内容となります。
第3章は、古妖との戦闘です。
詳細は第2章クリア後の断章に記載いたします。
公序良俗に反する事、他人への迷惑行為、20歳以下の方の飲酒喫煙は厳禁です。
締切等はMS個別ページやTwitterでお知らせします。
●お願い等
同行者がいる場合は【相手の名前(呼称推奨)と、hからはじまるID】又は【グループ名】のご記入をお忘れなくお願いします。
グループ参加の人数制限はありません。
お一人様~何名様ででもどうぞ!
ですが、ご指定の同行者が参加していない場合は返金となる可能性もあります。
ご参加お待ちしております!
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第1章 日常 『お祭りを楽しもう!』

POW
お神輿担ぎに参加する!
SPD
屋台巡りをする!
WIZ
盆踊りに混ざる!
√妖怪百鬼夜行 普通5