シナリオ

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サンライズ・ロード〜荒野のハイウェイ〜

#√ウォーゾーン #受付期間:7/3(木)~ #~7/6(日)8:30

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 #√ウォーゾーン
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●予知『暴徒襲来』
 |陽の昇る道《サンライズ・ロード》。運び屋達はその道をそう呼ぶ。

 |大規模都市《メガロコロニー》ムーン・シティから|小規模都市《ミクロポリス》|太陽の街《ソル・カサバ》を繋ぐ旧輸送路の成れの果てであり、戦闘機械達のスクラップが乱雑に脇に寄せられて山を作る、広く長い荒野のハイウェイ。

 その道を数台の輸送車両が、明らかに限界を超過した高速で駆け抜けていた。

 後ろを追うのは無数のバギーやバイク。スクラップや大量の重火器、さらにはどこで手に入れたのか大型生物の骨格まで大胆につかってゴテゴテと悪趣味に飾り立てられたソレは、搭乗する者達もまた個性的だ。
 手足や身体、頭部に機械を埋め込み、ショッキングな原色のペイントや髑髏のアクセサリーが全身を彩る絵に描いたような暴徒達。
 それが輸送車の背後からケダモノじみた雄叫びを上げてその距離を徐々に縮めていた。
「ギャハハハハハッ!!おいおいデク人形ども!もっと気合い入れろや!そんなんでオレらから逃げ切れるとでも思ってんのか!?」

「隊長!もう無理です、追いつかれちゃいますよぅ!!」
「諦めんな7番、アタシらまでやられたらマジで飢え死にが出んぞ!数台死んでもいいからなんとしてでも辿り着かせろ!!」
 先頭を走る車両の上で機関銃を乱射していた|少女人形《レプリノイド》の1人が吐いた泣き言に、運転室のリーダー格の少女が吠える。
 その直後、真横で巻き起こった爆発に大きく車両が揺さぶられた。

「うぉっ!?」「きゃぁああっ!」

 機関銃を握っていた少女が吹き飛ぶのを横目に、リーダーの少女が窓から身を乗り出してそちらを見れば。改造されたバギーに無理矢理に巨大な砲台を搭載した奇妙奇天烈な兵器が並走していた。

「列車砲だぁっ!!?なんて物持ち出して来やがる!」

 方輪が弾き飛ばされ、大きく速度を落とした輸送車にバギーが横からぶつかり、異形の暴徒が飛び移る。

「ヒィィイヤッハァァァァァァァッ!!!随分粘ってくれやがったがそれも終わりだ!やっちまえ野郎ども!!」

 そして、スクラップの山の向こうから次々にバギーやバイクに乗った|簒奪者《レイダー》達が現れ、輸送車両を包囲していった。

「畜生、ここまでか……!」

●ブリーフィング 
「そうはさせないのが我々、というわけですが」

 なぜか妙にテンション高く予知を告げていた星詠みの水垣・シズク(機々怪々を解く・h00589)が急に平静を取り戻して告げた。
「先ほどお伝えした通り、2つの都市を繋ぐハイウェイで輸送車の部隊が襲撃を受けます。皆さんにはこの輸送車を護衛してもらいます」

 水垣の言葉を受け、スクリーンに襲撃者達の姿が映し出される。身体の一部を機械に改造した、まさに世紀末といった様相の暴徒の群れ。
 戦闘機械に降り、身体改造を受けて人を襲うようになった元暴走族。ハイウェイの周りに広がる荒野のどこかに拠点を構え、輸送車を襲って甚大な被害を出している危険な集団だ。
 拠点の場所は特定できていないが、彼ら暴徒に戦力の温存なる概念は無い。まとめて再起不能にしてやればそれまでだ。
「まぁ、彼らにも悲しい過去とかもね、あるのかも知れませんけどね。基本は自分の利益の為に戦闘機械に降った裏切り者です。余罪もたくさんありますし、遠慮なく吹き飛ばしちゃってください」

 しかし、一つだけ懸念点がある。
「彼らを改造した『改造博士』なるパトロンが居るようです。こちらもタイミングはともかく、黙って見ているということは無いはずです」
 暴徒たちを撃退した後、街に着く前には必ず戦う事になるだろう。
 逆を言えば、ソレさえどうにかすれば輸送路はグッと安全になるはずだ。

「で、足なんですけど。一応壊しても大丈夫な車を何台か手配しました。自前のがある方も多いと思うんですが、必要であればこちらをお使いください。あ、返却不要なんで、爆弾にしてぶつけるなりなんなりお好きにどうぞ」

 そこまで告げて、水垣はパンと手を叩く。

「いつもなら気をつけてとかなんとか言うんですが、今回に関しては心配無用な人も多いでしょう。派手にやっちゃってください。後始末は請け負いますんで」

 そう言って水垣はニコリとほほ笑んだ。
これまでのお話

第3章 ボス戦 『『改造博士』リモデ・ラーソン・ネオ』


POW 生物も無機物も材料サ!さあ、ボクの為に戦え!
半径レベルm内の敵以外全て(無機物含む)の【任意対象を配下WZに変え、戦闘力と再生力】を増幅する。これを受けた対象は、死なない限り、外部から受けたあらゆる負傷・破壊・状態異常が、10分以内に全快する。
SPD ボクには手出しできないヨ!
事前に招集しておいた12体の【元人間WZ(全方位自動防御バリア発生可)】(レベルは自身の半分)を指揮する。ただし帰投させるまで、自身と[元人間WZ(全方位自動防御バリア発生可)]全員の反応速度が半減する。
WIZ インビジブルもまたボクの改造対象サ!
【自身の下半身部分の即席改造ポッド 】によって視界内のインビジブル(どこにでもいる)を【戦闘可能な改造WZ軍(強さはLvの半分)】に変える。インビジブルは知性を獲得し、最近3日以内の目撃内容について協力的かつ正確に説明する。
イラスト タヌギモ
√ウォーゾーン 普通11

 城は砕け、暴徒達の王は墜ちた。
 だが、警戒を解く物は居ない。

 それも当然だ、暴徒達が最後に見せた無惨な末路を見て、今も響き続ける苦悶の声を聞いて。どこの誰がこれで終わったなどと思うというのか。一欠の異変すらも見逃すまいと√能力者達が気を張り巡らせる中。

 乾いた拍手の音が響き渡った。

「やー、スゴいスゴい。さすがは√を渡る精兵。彼ら、ソレなりに良くできてたと思うんだけど、まさか一人も欠けずに倒されるなんてネ」

 いつの間にかジードの投げ捨てた玉座に座っていたソレは。ひどくつまらなさそうな顔で手を叩く。
 甲殻類、蟹を思わせる改造を半身に施し、白衣を身に纏った異形のその姿。それはおそらく、星詠みが告げたパトロン『改造博士』リモデ・ラーソン・ネオであろう。

「あれ?反応薄いネ。反応間違ったカナ?……んっんー、コホン……クソォ!!!!ボクの最高傑作がこんなにもカンタンに!!許せないゾ!!……こっちの方期待してタ?」

 そう言ってケラケラと悪意に満ちた笑い声を上げる。
 見た限りでは戦闘向きとは思えない彼女がなぜこの場に、と警戒する√能力者達に対し、彼女はひじ掛けに肘をついて言葉を続けた。

「あー、警戒してるネ。まぁそれはそう。でもボク戦いに来たわけじゃないんだよネ」

 交渉だよ交渉、と軽く手を振ると、大きくその身を乗り出した。

「今ここで戦ってもサ、君たちだって損でしょ?こっちはこれ以上この街には手を出さないカラ。この辺の素材とかは放っといて先に行ってほしいって事なんだよネ」

 あまりにも勝手な主張だが、大量の非戦闘員を抱えた状態で戦うのが困難なのは事実ではある。

「正直サ、ボクもそんなに暇じゃないんだよネ、さっさと行った行った」

 ネオの手に従い、何人かの目が向いたその先に一発の弾丸が突き刺さった。
 ガン、と鈍い音が響く。直後、巨大な爆発が巻き起こり、その下から甲殻類を思わせる鋭いアームが浮かび上がった。

「へぇ……こっちの狙いに気づいてたカ。なるほど。バカじゃない奴も居たみたいだネ」

 ネオは玉座に突き刺ささった弾丸を睨み、初めて苦み走った表情を見せる。
 しかし、その表情もすぐに不敵な物へと戻り、その口元が大きく笑みの形に歪められた。

「まぁ、失敗したなら仕方ないか。あー、面倒だナー」

 地面から彼女自身の何倍もの大きさを持つ機械の下半身が地面を裂いて現れる。
 そして、その最下部のチャンバーが開き、インビジブルの眩い光の中から複数の巨大な人影が歩み出た。
 その姿は、先ほど撃破した暴徒達の王、ジードに非常に酷似している。だが、それらにジードにあった獣に似た欲望や意思は無く、操り人形のようにネオの言葉に従うのみだ。

「彼はそれなりに良く出来てたからネ。ま、量産のベースには十分デショって事で」

 暴徒の王の紛い物たちを引き連れ、ネオの機体が動き出す。

「あんまり手間かけずに被検体になってくれたまえ。それがお互いにとって得ってもんだよネ」