人間災厄「裏無い詞」の権能に関する報告書
対象:認識番号■■ー0641
クラス:人間災厄
※特別収容プロトコルを含む|阿多・乱《あた・らん》としての基本情報は添付の|調査書《ステータスシート》を参照してください
■権能
『占いの結果が絶対に当たらない』という権能を有しており、対象を同行させた異能捜査官は、現場の最高責任者の判断によってその権能を使用させることが可能です。その際に水晶玉で相手の顔を覗き込む、手相を見るなどの形を取りたがりますが、これらの行為に意味はなく、権能としての言葉を発した時点でその効果が発揮されます。
■実験記録0641-01-20■■/10/■5
対象:椿研究員の所持していた10円硬貨
内容:硬貨を床に落とした時、表裏のどちらの面が出るかを占うよう依頼
結果:試行回数27回。対象が飽きた旨の発言をするまで占いとは逆の結果が出続けた。実験は一旦中止。一度も当たらない確率はこの時点で1/134217728である。
■実験記録0641-32-20■■/11/■2
対象:椿研究員の所持していた10円硬貨
内容:「次にこの硬貨が床についた時、表裏のどちらの面が上になるか」を占うよう依頼し、「表が出る」との占いを得る。その後Dクラス職員D-115のみ硬貨を持って■■県のサイト807に移動。翌■3日の0時00分に表を上にした硬貨を床に置く
結果:硬貨を床に置く直前にD-115が急性の■■を発症、硬貨はその弾みで落下し、裏面が上の状態で静止した。
■総括
対象の権能は未来視、予言の類ではなく、『占いが外れる』という結果に至る何らかの作用を伴うものだと推測されます。対象は人間に対し好意的ではありますが、担当する捜査官はその潜在的危険性が極めて高いことに留意してください。権能の使用を求める際にも極力占いの対象を絞り、直近の内容に抑えてください。また、権能が発揮されているか否かを判定する方法は調査中の段階にあるため、対象の口にした占いと疑われる発言は全て記録し、報告してください。
=Note=
占いと疑われる発言は全て報告? そりゃ無茶だろ。――春原捜査官
「明日の朝食はドーナツですね」って言ってました。――Dー117
5年後の私は子供と誕生日を祝っているそうでーす。――奏捜査官
俺はそろそろ靴を替えた方が良いと言われたな。――Dー539
奏捜査官を速やかに保護し、サイト92へ移送。また、対象の管轄を八曲署に移すよう上申。――椿研究員
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功