4
花と願いと悪鬼夜行
「ええと、お集まりいただきありがとう。√妖怪百鬼夜行で封印されていた古妖が復活してしまったから、再封印に力を貸してもらいたいんだ」
ツバキ・ブレスフィールド(八方美人な月下美人・h02977)はどこか浮かない顔でそう告げた。集まった√能力者たちもそれには勘づいているくらい、わかりやすく。
「封印されていた古妖を解き放ってしまったのが……幼いこどもでね。曰く、亡くなってしまった両親にもう一度会いたい、という願いを叶えてあげると古妖との約束をしたらしい。
その子本人も、古妖の封印を解いてしまったことを酷く気にしている。もし余裕があればその子のフォローもしてくれると、とても助かるかな」
ツバキは如何にも困った、という顔をしている。これは余裕があれば、ではなくやってほしい、と暗に言っている気がした。
「古妖には付き従う妖怪も存在するみたいだから、そういうやつらが襲って来る可能性もある。もしかしたら、古妖を封印するのに特別な手段が必要になるかもしれない。
なかなか難しいけれど、ぼくもきみたちならなんとか出来ると信じているからね」
ツバキがふわりと笑う。人好きがするような、邪気のない笑み。
「古妖に小さな未来あるこどもの願いを食い潰される。そんな未来なんて、あってはならないとぼくは思う。
この未来が確定しないことと、きみたちの無事を祈るよ。頑張ってね」
ツバキが道を指し示す。救いたい未来と今を胸に、今一歩を踏み出したのは誰だったか。
これまでのお話
マスターより

みなさま、√EDENでは二度目まして。雛田導夢と申します。
こどもが復活させてしまった古妖を再封印しよう、という趣旨のシナリオです。
行動によるシナリオ分岐もございます。
第1章🏠『君に捧げる花を』
第1章は古妖の封印を解いてしまったこどものフォローのため、亡くなった両親のお墓に供えるお花をプレゼントしましょう。
ちなみにこどもさんはまだ幼い少年です。とても責任を感じています。
第2章A⛺『袋小路を駆け抜けろ』
分岐です。封印のための儀式をしましょう。
第2章B👾『悪い百鬼夜行』
分岐です。古妖に付き従う妖怪を退治しましょう。
第3章👿『大妖『荒覇吐童子』』
ボス戦闘です。古妖を再封印して解決しましょう!
みなさまのご参加、お待ちしております!
1
第1章 日常 『君に捧げる花を』

POW
色鮮やかな大輪の花を選ぶ
SPD
精巧に束ねられたブーケを選ぶ
WIZ
相手に伝えたい花言葉の花を選ぶ
√妖怪百鬼夜行 普通5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴

フランは色鮮やかな大輪の花を選んでお花を渡すの。赤、黄色、オレンジ……元気の出そうな明るい色がいいな。花言葉をつたえてもいいけど、今回のフランは見た目から入ろうとおもうなの。元気を出して、自分を責めないように、あなたのせいじゃないよってわかりやすいように。
でもちっちゃい子だって聞いたから、もしかしてフランよりちっちゃい子かもしれないの。
その子さえよければ、フランもいっしょにお墓参り行ってもいいかな?もちろん他に行くって言ってる人がいたらいっしょにねっ。
一人称:フラン、二人称:あなた・~ちゃん、口調:なの、~の、かな、だね(なのと語尾に着けがち)

○アドリブ・絡み大歓迎
供えたい花は決まっているのかい?
もしまだならボクの店にある花言葉辞典でも見ながら選ぶといいよ。
…お代?まさか、キミみたいな子供から貰う気はないよ。でも、そうだなぁ。折角だから、キミの御両親のお話を聞かせて貰えないかな?
中身は何でもいいさ。好きな物とか、どういう事を一緒にしただとか、キミの覚えている限りでいい。
こうやって話を誰かにすることは、亡くなった人の事を忘れない為にも、自分自身の為にもボクは大切だと思ってる。
ひとしきり話に花が咲いたら、花を買って供えにいこうか。
大丈夫、キミが選んだものなら何でも喜んでくれるさ。
今日聞いた御両親の素敵な話は、本にして子供にあげようかな。
「んー、これかな?」
いくつかの花を選んで、花束を。色鮮やかで華やかな、大輪の花。明るい色の、想いの花。
「これもいいかも、どうかな?」
「え、えと」
少年の控えめな反応にフランキスカ・ウィルフレア(絵本の妖精・h03147)は優しく笑顔を向ける。萎縮する心を解すように。
「こんなのもあるよ。選び方はたくさんだ」
「これはなあに?」
「花言葉辞典だよ。こういった思いの伝え方もありなんじゃないかな」
「そうね!それもとってもすてきなの!」
八雲・綴(遊糸・h03212)の提案にフランキスカが応える。ちらり、少年を見ればおどおどとした反応。まだ萎縮が抜けないらしい。責任を強く感じているのもあるのかもしれないが。
「ゆっくりでいいよ。キミの思いを伝える花だからね」
うつむき加減に少年が綴を見る。
「でも……お代は」
「…お代?まさか、キミみたいな子供から貰う気はないよ。でも、そうだなぁ。折角だから、キミの御両親のお話を聞かせて貰えないかな?」
「僕の……話?」
「そう、中身は何でもいいさ。好きな物とか、どういう事を一緒にしただとか、キミの覚えている限りでいい」
「え、えと」
言葉は素直で、雄弁。まだ萎縮する少年に、フランキスカがそっと寄り添う。
「ゆっくりでいいの。大丈夫」
「……」
息を飲む。そうして紡がれた言葉は。
「おとうさんとおかあさんは、花が好きだったんだ。
僕、おとうさんがたまに買ってくる花をおかあさんが喜んで生けてるのが……楽しそうで。だから、えっと」
潤む瞳は記憶の向こう側へ。ゆっくりとゆっくりと。
「大丈夫、キミが選んだものなら何でも喜んでくれるさ。そんなにも花が好きな御両親なんだから」
「フランもそう思うの!きっと喜んでくれるわ」
「あ、ありがとう、ございます」
目からあふれた涙をぬぐいながら、少年はいくつかの花を選んだ。色鮮やかな花、小さく優しく咲く花、ささやかな彩り。
選び終わった少年を見て、フランキスカがぽん、と手を鳴らす。
「フランもいっしょにお墓参り行ってもいいかな?もちろん綴ちゃんもいっしょにねっ」
「ボクもいいのかい?」
「もちろん!あなたがいいって言ってくれたらだけど」
どう? そう少年に聞くフランキスカの優しい顔に、少年はゆっくりとうなずく。
「もちろん……です。一緒に行ってくれたら、嬉しい」
「決まりなの!」
ぱっと明るく。花を携えて、三人は歩く。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功

墓前に白菊を手向け、手を合わせる。
少年、君、なんて名前だ?
突然だけど!俺は『イタコ』でなー!
時間に限りがあるけど、お前さんの両親を呼んでやれる。
ただし!一生に一度キリで、10分しか呼べねー。
…信じて、話してみるかい?写真とかありゃ、呼びやすくなっから。
【生類変化拳・海若】で【相手にとって大切な存在】に化けるぜ。
…『本物』は、恨み言とか言いたくなっちまうかもだから。後悔や別れを告げんなら『偽物』がいいんだ。
時間を区切んのは、未練が湧くから。
『今は、寒くも、辛くもないところで、一緒に暮らしているよ』
『あなたをいつも、見守っているよ』
…化け術師が泣いちまったら、商売上がったりじゃねーか。畜生め。
墓前に手向けた白菊。手を合わせれば、隣の少年もゆっくりとまねるように手を合わせた。
不安そうな少年を見て、真弓・和虎(この手に護れるモノなど無く・h03578)はにっと笑顔を見せる。
「少年、君、なんて名前だ?」
「ええ、と……」
もごもごと口ごもる少年に、ぱっと言葉を渡す。
「突然だけど!俺は『イタコ』でなー!時間に限りがあるけど、お前さんの両親を呼んでやれる」
「え……」
少年の声が、かすかに揺れた。
「ただし!一生に一度キリで、10分しか呼べねー。…信じて、話してみるかい?写真とかありゃ、呼びやすくなっから」
そう言えば、少年はゆっくりとポケットを探る。出てきた小さなカードケースから、一枚、小さな写真を取り出した。
「これしか、ないんです」
「そーか。ありがとな。どれどれ……」
優しそうな男性と線の細い女性と、今より少し小さな少年の映った写真。
「じゃ、行くぞ。10分だけだかんな」
「は、はい」
ゆらり、揺らめくように。かすかな間。そしてそこに立っていたのは。
「おとうさん……!」
泣きそうな声。気丈にふるまっていた子は、ただのこどもに戻っていた。
伝えてあげることは一つ。それが偽物だとしても。
『今は、寒くも、辛くもないところで、一緒に暮らしているよ』
「うん、……うん」
『あなたをいつも、見守っているよ』
「ごめんなさい、……ごめんなさい」
「でも、」
すう、と姿が和虎のものに戻る。少年の顔は涙に彩られてはいたが、どこかつきものが取れたようだった。
「…化け術師が泣いちまったら、商売上がったりじゃねーか。畜生め」
🔵🔵🔵 大成功

古妖の封印を解いてしまった少年の元へと訪れる
彼や彼女達の負う人生の物語。ときに幸せばかりでは無いことを、厭でも知っている
やあ、と柔らかく声をかけ、少年と同じ高さになるよう腰を下ろす
「大丈夫さ。過ちというのは、人が成長していくのに大切なことだからねぇ」
君の両親にも見守ってもらおう、と贈った花は彼の人生へ希望の意を込めて
カスミソウ(感謝、幸福)とガーベラ(希望)
「たくさん落ち込んだら、おいしいものを食べて、心が元気になったら前を向くといいよ」
「君の時間は君の自由だ。その分、君が大切にしてあげて欲しい」
微笑んで、少年の背中を押す。時を刻む者からの、ちょっとしたアドバイスを添えて
刻・懐古(懐中時計の付喪神・h00369)が少年を見つけたとき、彼は今にも泣きそうな顔をしていた。
「やあ」
柔らかく声をかけ、少年と同じ高さになるよう腰を下ろす。かすかに少年の肩が跳ねるのを見た。
「大丈夫さ。過ちというのは、人が成長していくのに大切なことだからねぇ」
懐古の言葉に少年はうつむき加減にうなずいた。まだ飲み込めてはいないらしい。それも仕方がないことだ。
君の両親にも見守ってもらおう、と贈った花は彼の人生へ希望の意を込めて。
「カスミソウとガーベラだよ。どうぞ」
「あ、……ありがとうございます」
おどおどしたように、それでもしっかりと大切そうに花を受け取った少年の頭にぽんと手を置く。
「たくさん落ち込んだら、おいしいものを食べて、心が元気になったら前を向くといいよ」
少年は懐古の目をしっかりと見た。
「君の時間は君の自由だ。その分、君が大切にしてあげて欲しい」
ゆっくりとうなずいた少年を見て、懐古も優しく微笑んだ。
🔵🔵🔵 大成功

ふにゃっとした笑顔を浮かべながら、少年の隣に腰を下ろす。その目は眠たげだが、どこか真剣さを帯びている。
「お墓にお花を供えるなんて、すごく優しいじゃないか。でも、一人で責任を感じる必要はないんだぜ。君が想いを込めるだけで、それで十分さ。」
花棚に目を向けながら、
「ねえ、ご両親に伝えたい気持ちって、どんなのかな?たとえば、これ。花には花言葉ってのがあってさ、少年が伝えたい気持ちの花を一緒に選ばないかい?」
俺は少年の選んだ花の束をそっと手に取り、柔らかく微笑んだ。
「これなら、ご両親もきっと喜んでくれるよ。一緒に届けに行こうな。」
「ほら、これが君の気持ちの形だ。大丈夫、ちゃんと届くさ。」
アドリアン・ラモート(ひきこもりの吸血鬼・h02500)はふにゃっとした笑顔を浮かべながら、少年の隣に腰を下ろす。その目は眠たげだが、どこか真剣さを帯びている。
「お墓にお花を供えるなんて、すごく優しいじゃないか。でも、一人で責任を感じる必要はないんだぜ。君が想いを込めるだけで、それで十分さ」
「……」
少年はおどおどとしているが、小さくうなずく。アドリアンは花棚に目を向けながら、
「ねえ、ご両親に伝えたい気持ちって、どんなのかな?たとえば、これ。花には花言葉ってのがあってさ、少年が伝えたい気持ちの花を一緒に選ばないかい?」
そう言えば、少年がうなずく。ひとつひとつの花の花言葉を確認しながら、花を一緒に選んだ。
アドリアンは少年の選んだ花の束をそっと手に取り、柔らかく微笑んだ。
「これなら、ご両親もきっと喜んでくれるよ。一緒に届けに行こうな。」
「は、はい。……喜んでくれたら、いいな」
少年は小さく笑っていた。手に持った花束が、揺れる。
「ほら、これが君の気持ちの形だ。大丈夫、ちゃんと届くさ。」
🔵🔵🔴 成功
第2章 集団戦 『悪い百鬼夜行』

POW
妖怪大行進
命中する限り「【百鬼夜行の一斉突撃】による攻撃→技能攻撃→[百鬼夜行の一斉突撃]攻撃→技能攻撃」を何度でも繰り返せる。技能攻撃の成功率は技能レベルに依存し、同じ技能は一度しか使えない。
命中する限り「【百鬼夜行の一斉突撃】による攻撃→技能攻撃→[百鬼夜行の一斉突撃]攻撃→技能攻撃」を何度でも繰り返せる。技能攻撃の成功率は技能レベルに依存し、同じ技能は一度しか使えない。
SPD
百鬼大悪戯
爆破地点から半径レベルm内の全員に「疑心暗鬼・凶暴化・虚言癖・正直病」からひとつ状態異常を与える【大つづら(爆発する)】を、同時にレベル個まで具現化できる。
爆破地点から半径レベルm内の全員に「疑心暗鬼・凶暴化・虚言癖・正直病」からひとつ状態異常を与える【大つづら(爆発する)】を、同時にレベル個まで具現化できる。
WIZ
万夜大宴会
半径レベルmの指定した全対象に【妖気】から創造した【妖怪料理】を放つ。命中した対象は行動不能・防御力10倍・毎秒負傷回復状態になる。
半径レベルmの指定した全対象に【妖気】から創造した【妖怪料理】を放つ。命中した対象は行動不能・防御力10倍・毎秒負傷回復状態になる。
√妖怪百鬼夜行 普通11
願いと引き換えに。そんな甘い話があるはずがない。
だが、甘い話に寄って来る者もいる。大助かりだ。まあ、今となればただの邪魔者。
もし邪魔立てするなら生かしてなおけぬ。邪魔立てせずとも、生かしてはおけぬ。
悔いるのなら、自分の愚かさを悔いるがいい。
少年は花を抱えて墓へ急ぐ。しかし、そんな彼の元に、影が向かう。