ダリィと1機の旅々

お世話になっております。
【凪の帰路】をお願いします。
√ウォーゾーンのどこかの街の小規模な防衛戦を終えて、機体をボロボロにして、修理した後に帰宅するシチュエーションでお願いします。
口調は「~っス」の方と、「じゃねえの」が入り混じって、割とギャグ寄りです。
大立ち回りをした結果、愛機のウォーゾーン「ティターン」はボロボロになりました。
戦闘後、微々たる報酬を受け取って、格好つけてクールにそのまま帰還しましたが、道中で機体が完全に故障。
「格好つけずに修理費も別途貰っておけばよかったっス…!」
「でも仕方ないじゃん…。子供多かったし…」
メカニックの腕を駆使して何とか修理します。
「ておーーーい!?燃えてるー!?」
エンジンが火を噴いたので消火剤ぶっかける。
関節部分に瓦礫挟まってたので、工具でぶん殴って何とか取り出す。
亀裂入った脚部フレームに補修パテを塗って、補修テープを巻きつけて固定したり、現地資材の修理をふわっとお願いします。
予備のサブバッテリーを複数無理やり連結して、何とか機体を動かせるように。
「それにしてもこの子、何のかんのでタフっスよね。本当に量産型なんすかね」
機体の上に座ってたタブレットを操作して、損傷に合わせた歩行モーションに修正しながら夕焼け空を眺めてから、自分の√に帰還。
仕事を繋いでくれた星詠みさんに通信。
「これから帰還するっス」
「うん…。今回も赤字っス。とほほ…」
今日も愛機と共に死線を潜り抜け、引き換えに得たのはスクラップを売り飛ばした端金。
ダリィ・フランソワ(h07420)は街を振り返る。
「今日でこの|戦闘機械都市《まち》ともオサラバっスね」
少女の怜悧な美貌は量産型WZ「ティターン」の中に消える。そのままWZは旧時代の道沿いに谷を縫って元の√に帰る座標を目指した。もう街は見えない。
舗装路のひび割れを数度越えた。
がこん、ギャリッ、……ぷすん!
嫌な音を立てて機体が止まった。
「え? 今?」
ダリィは祈りを込めて機動ボタンを連打した。
「もう、格好つけずに修理費も別途貰っておけばよかったっス!」
思い返すのは戦闘後の光景だ。依頼主の農場の管理者夫婦が差し出した家中の金品と結婚指輪。背後には、精いっぱい被弾を防いだものの水路が破損したソルガム農園。ダリィに笑顔で礼を言う、夫婦に似てない子供達(彼らは養子の名目で管理者夫妻に引き取られた孤児達だ)。
「……だって仕方ないじゃん。子供多かったし」
コクピット内で膝を抱えてモニターをチェックする。動力異常、脚部関節異常、背部熱源感知。
「ておーい!? 燃えてるー!?」
慌ててコクピットから飛び出た。黒煙を上らせる背部外装を開きありったけの消火剤を吹きつける。
鎮火したら次は右脚部のチェックだ。跳ねた瓦礫が挟まっていた。腿の外装を半分開き、レンチの柄を突っ込んで動かそうとしたがなかなか硬い。
ガツガツと数度瓦礫を叩いたらどうにか割れ、隙間から落とすことができた。
瓦礫が駆動部に挟まったのは、膝部の装甲に罅が入って歪みやすくなっていたからのようだ。コックピットから速乾パテを発掘してしっかり塗り、補修テープで補強する。
「さてと……あちゃー、冷却管」
少し冷えたエンジンルームをウエスで拭いつつ点検する。装甲の補修テープの残りで管を直し、予備のバッテリーを3台連結して動かせる状態まで回復させた。
機体の肩に足を揃えて座り、タブレットをから機体の歩行モーションを現況に合わせて修正する。
「それにしてもこの子、何のかんのでタフっスよね。本当に量産型なんスかね」
赤々と燃える夕焼けに別れを告げ、WZは再び動き出した。
「遅くなったっス。これから帰還するっス」
やっと星詠みと連絡がつく。
「エンジンが……うん。今回も赤字っス。とほほ……」
見知った|√《せかい》の星空が、ダリィと「ティターン」を迎えた。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功