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#√妖怪百鬼夜行 #ノベル

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●おたけ

 戦い方は人それぞれ。世界や他者から力を借りる者もいれば、自分の力を消費して戦う者もいる。|櫃石《といし》・|湖武丸《こたけまる》(蒼羅刹・h00229)は後者に該当し、霊力消耗が激しければその分反動がある。そう、現在のように……童の如く小さくなってしまうのだ!
 常に上をとれる戦いばかりではない。多少無理をすることもある。結果、少年の見た目となった湖武丸。
 元はそれなりに逞しく精悍な男、知人に目撃されても果たして気付くかどうか。気配そのものは変わっていないが、雰囲気は全く別。それは本人も感じていて、いつもよりぐっと低い目線で見る世界はどこか新鮮だった。見慣れた風景でも視線が違うだけで印象が変わる。
「……看板が高いな……」
 霊力が回復するまで時間がある。折角だ、ついでにこの姿で街中を探索してみようといつもの街を練り歩くことにした。小さくなってしまう程激しい戦いを終えた後だというのに、体力に余裕があるのは流石羅刹鬼か。

「あら! 坊や一人でお使い? 偉いわね~おばちゃんおまけあげちゃう!」
 肉屋で家族分のコロッケを買えばひとつ、あつあつ揚げたてのから揚げを貰った。普段の湖武丸は貰った事など無いし、そんなサービスがあるとも知らなかった。ありがたく礼をしてその場で頬張ると、カウンター越しのおば様はにこにこと笑顔で「子供はいっぱい食べて大きくならないとね~」と全く正体に気付いていない。

「ねぇ、あの子うちの学校の子じゃないよね。きょろきょろしてどうしたんだろ、迷子かな?」
「じゃあ助けなきゃ! ねぇ僕、どこから来たの? お母さんと逸れた?」
 道行く子供に声をかけられたり……。
「おっと小僧、可愛い顔して力強ぇな! おっかねー兄ちゃんに攫われないように気をつけろよ!」
 大人の視界下で盛大にぶつかったというのに、おじさんは責めるでもなく逆に褒めてくれたり……。
「そこのキミ! 子供が一人でこんなとこいちゃダメだよ。ふらふらしてると汚職警官に目をつけられるんだから!」
 正義感のある妖怪からカツアゲを心配されたり……。

「この姿も悪くないな……」
 幼少期に受けた視線は好奇や軽蔑の眼差しだった。場所と時代が違えば反応にも差があるとはいえここまでとは。戦には向かずとも、小さいことは不便ばかりではないらしい。
 周囲からの無償の優しさに触れ、湖武丸は暖かい気持ちとコロッケを抱え帰宅した。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

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