シナリオ

⚡——狼煙を。

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⚡️大規模シナリオ『オーラム逆侵攻』

これは大規模シナリオです。1章では、ページ右上の 一言雑談で作戦を相談しよう!
現在の戦況はこちらのページをチェック!
(毎日16時更新)

●√ウォーゾーン川崎市、とあるオーラム派拠点
「こんにちは」
 その青年はにこりと笑んだ。
 青年を通した機械扉は、青年の操作に応じ、しーん、と沈黙を守る。目にかかるくすんだ色の髪を右側だけさらりと退けて、穏和そうな色の目を晒す。
「はじめましての方が多いかな。俺はジェイド。ご存知の方もいるかもしれないが、俺は所謂、人類の裏切り者であり——来るべき日のため、戦闘機械群に潜入している工作員でもある」
 まあ、俺の身の上はともかくとして、とジェイドは本題にかかった。
 こうして、密やかに反逆の機を伺う談合をしているのも、本当は危険なこと。だが、ジェイドには何か策があるようだった。
「近く、レリギオス・オーラムの将『ゼーロット』が√EDENと呼ばれる地への侵攻を開始する。俺たち潜入工作員はのらくらとその妨害をしてきたが、いよいよ奴さんの堪忍袋も限界のようだ。
 しかし、その憤慨模様は、人類側についている√能力者たちに『予兆』というので筒抜けらしい。俺は人類側の星詠みにアテがあってね。そちらから、一報が入った」
 レリギオス・オーラムの侵攻を予知できたため、こちら側から急襲をかける、と。
「題して『オーラム逆侵攻』。俺たちが行うのはその支援だ。なぁに、他√から逆侵攻のためにやってくる√能力者の動きやすいよう、妨害工作をするだけだ。裏切り者を務める俺たちにとってはいつもと変わらないこと。
 とはいえ、潜入工作員も数に限りがある。というわけで、潜入工作員の他、囚われているあんたらにも、協力してほしい。頼めるか?」
 場に集う者たちの確固たる覚悟は感じ取ってはいたものの、信頼も確固たるものとするため、ジェイドは念入りに戦闘機械側からの傍聴を潰してから、この情報を提供した星詠みの名を口にする。
「知っている者がいるかはわからないが、俺のアテと言った星詠みは『ユタ・アリアロード』という。優秀な工兵で、俺の元先輩だ。√能力者に覚醒と同時、星詠みの力も得、人類軍側の栄光ある勝利のため、邁進している。√能力者には『裏切り者』の事情を話されるらしいが、殺し合いすらしたような相手が本当は味方だなんて、すぐには受け入れがたいだろう。それでもあの人は、俺を信じてくれた。
 俺もその信頼に応えたい」
 ジェイドは自らの行動理由を告げると、場にいる一人一人を見渡した。持てる全ての誠実と覚悟を示すように。
 前髪に隠れて見えない左目すら、しっかりと合わせられているとわかる。
「まずはブリーフィングだ。行動の方向性を決めなくてはならない。一口に妨害工作といっても、色々あるからな。爆破などを用いた物理的な破壊工作もあれば、ハッキングやジャミングによる情報面での妨害工作もある。
 他にも、√能力者たちの目指す最終目的によっても、何をすべきか変わるだろう」
 まずわかりやすいのは、レリギオス・オーラムの統率官『ゼーロット』の撃破。大将の首を狙うのは戦争の基本である。それなら、「将を射んと欲すれば、まず馬を射よ」という言葉がある通り、やがて来る√能力者たちが将を射やすいよう、馬——ゼーロット配下の戦闘機械の排除などに勤しむ必要があるだろう。ゼーロットが拠点としている羽田空港の「カテドラル・ゼーロット」への破壊工作も大きな一手となる。
 次いで、ゼーロットを直接下すのではなく、レリギオスそのものの戦力を削るという考え。不意打ちを狙ったり、分断して各個撃破を狙ったり、陽動や攪乱を行ったり。数が膨大なので、やれるだけのことをしよう。
 それから、「大黒ジャンクション」には巨大通路がある。そこからゼーロットは√EDENへ軍勢を送り込もうとしているので、進軍の妨害を行えば、優位な立ち回りが見込める。
 また、別のレリギオス・オーラムの拠点に潜入し、そこで囚われている√能力者に接するのもありだ。相手は戦闘機械群の一大派閥。協力者はいくらいても助かる。
 他にも「カテドラル・グロンバイン」への襲撃なんかも作戦候補のうちにあるらしい。川崎市最大のロボット工場があるカテドラルだ。戦闘機械を生み出す工場をストップさせられれば、今後の戦いがかなり楽になることだろう。
「ブリーフィングで『どの目的の支援行動をとるか』『どのような手法で臨むか』考えをまとめてくれ。あらゆる意見が出るだろう。全てが採択できるわけではない。ここで採用されなかった意見も、協力者の星詠みに報告すれば、今後の参考にしてくれるかもしれない。だから、忌憚のない意見を交わしてくれ。
 時間稼ぎは任せといて。破壊工作もだけど、俺は口八丁にも一家言あってね」
 漂う緊張の中、和ませるようににこりとするジェイド。
「カメラや通信は潰してる。ここでの会話が奴らの耳に入るとして、他愛のない世間話にでも改竄されるよう仕掛けもしてある。反逆の機は熟した」
 行こう、と鼓舞する。
 ——さあ、狼煙を上げろ。反旗を翻せ。

マスターより

九JACK
 √ウォーゾーン、大規模作戦、始動。
 どうも九JACKです。地理が苦手です。
 戦術的に「地形を利用する」くらいの描写ならできるんですが、戦略的に地図を見ての行動はどうにも苦手でして……地理が苦手な方、土地勘に自信のない方に易しいシナリオを展開したいです。何せ私に地理能力がない。
 そのため、地図周りのこととか、地名とかはこう、ものすごーく、暈します。東西南北くらいはがんばりますが……あまり綿密な地名とか方角とかが出ているプレイングは採用しづらいかもしれません。ご了承ねがいます。
 さて、ジェイドくんって誰よ、というのはまあ、彼こそ人間爆弾くんなのですが。一応ユタさん(h01414)の「助手」って感じですね。
 裏切り者側のシナリオはジェイドくんを介してユタさんが作戦の進行を支えるスタイルです。
 この作戦の参加者は「裏切り者」もしくは「囚われの√能力者」を想定していますが、カバーストーリーがうまかったら、普通の√能力者等でも参加できます。
 今回は第1章がブリーフィングのため、プレイングにて、二章以降の方針に関する意見を提出していただくことも可能です。が、「一言雑談(シナリオページ右上の吹き出し)での相談も反映される場合があります。
 手探りですが、よろしくお願いいたします。
 公開直後より受付、必要情報はオープニングに全て提示してあるため、一章は断章なしです。他、プレイング受付期間等はシナリオタグをご確認ください。
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第1章 冒険 『ブリーフィングルームでのディベート』


POW 力こそ正義。脳筋と言われるかもしれないが、それを実現出来る力量をこちらは持っているのだ
SPD 技術的観点から作戦の成功率を対談する。特殊な技術を√能力とする者もいるかもしれない
WIZ 異能の運用について。魔術や超能力等を用いた作戦を提案してみよう
√ウォーゾーン 普通7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

深淵系生活支援人工知能・ヱ解奇雅楽
【ハッキング・情報収集】で、ブリーフィングに参加します……参加するまでが一番のハードルなのですが、ここでハッキングする能力を見せないと潜入工作員の方々の信頼を得られませんからね。ジェイドさんの通信妨害を潜り抜けて、しれっと入り込みます。・・・私に肉体はありませんので、画面の隅でアシスタントをするのが主となるでしょうか。議事の要約・文字起こし、各作戦のメリット・デメリット、挙げられた手法などなど、画面にまとめて表示させていただきますね。 提案するのは作戦2オーラム派機械群への「情報面での妨害工作」 数の多い相手とは正面から戦えませんし、潜入工作員の損耗も懸念されます。意地の悪い攪乱を提案します。
永雲・以早道
俺は囚われているわけじゃないからどうやって潜り込もう
どこか侵入できそうな鉄格子とか通風口とかを見つけたら太刀で斬って壊して中に入ろう
その後で天邪鬼の嘘で入ったところを直せば後は残らないよね
嘘も使いよう

ブリーフィングではジェイドに質問
わかっていることを聞く
敵がどこにいるのか
警備の盲点はあるのか
敵に弱点はあるのか

その後で意見を言う
大黒ジャンクションにある√ウォーゾーンからの通路を壊しに行きたい
√を渡るための回廊は敵にとってもボトルネックになる場所だから
侵攻を遅らせることも敵を困らせることにもなる
内情がわかっていれば奇襲もしやすい

「一泡吹かせよう、俺達の目にはまだ光がある。そうだろう?」
ウララ・ローランダー
◆僕様ちゃん、ウララは囚われた√能力者として参加するね!
本当はもっと得意だった武器があったんだけど、捕まった時に全部取り上げられちゃって……今は簡素な武器(初期アイテム)しか持ってないんだ

◆ブリーフィングを行うのね、ジェイドちゃんや他のみんなもよろしくね!(握手)
僕様ちゃんは【作戦2】レリギオスの戦力削りに一票だわ!
捕まっていた僕様ちゃんたちに出来ることは限られていると思うの、でも、この身体さえあれば撹乱でも陽動でも出来るじゃない?
慣れない武器だけど、手元にある精霊銃を乱射しながら、わざと敵の前に躍り出てみせるわ
もしボロボロになって……倒されちゃったとしても、しっかり役目を果たしてくるよ!!
セージ・ジェードゥ
アドリブなど歓迎

【心情】
ようやく反撃出来そうで嬉しい限りだ。
破壊工作もできるし鍵開け・ハッキングも行える。外の人達には盛大にお暴れしてほしいな
俺たちの努力が報われる時が来た。何がなんでも機会は逃さない。

【行動】
俺は爆破と鍵開けやハッキング辺りはツールもあるから出来るだろうし救出作戦も行えるだろうと発言する。
しっかりと相談して互いのできることやできないことを見極め、補い合うように作戦立てを行いたい。
√能力者たちも決起してくれたとはいえ、非常事態が起こらないと限らないから慎重に行動したい。

●始動
 がこ。
 通風口から、音がした。ジェイドが鋭く視線を走らせ、銃を向ける。少しびっくりしたように目を見開きつつも、永雲・以早道(明日に手を伸ばす・h00788)は両手を挙げることで、敵意がないことを示した。
「誰だ?」
「驚かせてごめん。俺は永雲・以早道。√能力者だ。こっち側で力になれないかと思って来たんだ」
「どうやって入った? 通風口の痕は……刀だな。まさか破壊して? バレるぞ」
「そこは、見てもらった方が早いかな」
 言うなり以早道は奇妙な詠唱をする。
『嘘と本当を合わせて「ほんとう」と言う』
 詠唱により【天邪鬼の嘘】が発生し、「通風口が破壊された」のが「嘘だった」かのように通風口が修繕され、元通りになる。以早道の√能力の一つだ。
 これまでの道も、壊す、直すを繰り返してきた。大きな破壊ではないし、物音は最小限になるように、そして可能な限り破壊回数を増やさないよう道を選んできた。
 以早道が害意なしのポーズのままでいたこともあり、ジェイドはふう、と息を吐き、わかった、ありがとう、と告げる。
 ここでジェイドの反意を疑って、襲ってこない時点で以早道はほぼ白だ。ジェイドは銃を下ろす。
「疑って悪かったな。支援に来てくれたのはありがたい。人手はいくらあってもいいからな」
「俺もそう思う」
 ジェイドに相槌を打ったのはセージ・ジェードゥ(影草・h07993)。ジェイドと同じく人間爆弾として戦闘機械群側に潜入していた少年だ。
 ようやく、このときが来た、と思う。今までどれほどの時をこちら側で待っていただろうか。やっと訪れた契機、何がなんでも逃しはしない、とセージは覚悟を固めていた。
「ハッキングや鍵開け破壊工作などでの支援なら任せてほしい。外から来る人たちが心置きなく暴れられるよう、力を尽くすよ。
 その上で、他の場所の同志の手も借りられたら助かるな。俺たち同様潜入している者もそうだが、√能力者が囚われているのは、ここだけではないんだろう?」
「ああ。確かに人手は欲しいし、志を同じくする者同士で鼓舞しあえるのは作戦全体の士気にも関わる」
 セージの言葉に頷きつつ、ジェイドは記録を取る。
 それを聞きながら、以早道が疑問を述べた。
「具体的な作戦を決めるのもいいけど、現状も把握しておきたいな。敵の配置、警備の盲点とか、この辺りに多い戦闘機械の弱点とかを教えてほしい」
「ああ。まずはこの拠点に関してだが、√能力者の拘留を主な目的としている。そしてその管理を俺たち人間爆弾が負っている形だ。故に外部からの干渉を断って、こうしたブリーフィングを開く余裕がある。他の拠点では、裏切り者の人間爆弾への監視が強いというのを聞くから、その点ではここはだいぶ緩い。戦闘機械の配備も他と比べれば、少ない方だろう」
 あくまで「他と比べれば」だが、とジェイドは念押しした。
「この拠点から他の場所に行くのはそう困難ではない。ただ、カテドラル・ゼーロットは遠い気がするな」
 ゼーロットを討つのがナシって話じゃないが、とジェイドは告げた。ただ、他の作戦が推奨されるのは確かだろう。
 作戦4と振られた「√能力者の解放」、セージが希望したそれも、この拠点から始めるのには適している。
「僕様ちゃんは『レリギオス自体の戦力を削る』っていう作戦がいいと思うな」
 そう挙手したのはウララ・ローランダー(カラフルペインター・h07888)。彼女は戦闘機械群に捕まり、ほとんどの装備を奪われ、使い慣れない精霊銃くらいしか持っていない。
 他にも、囚われた√能力者には装備を奪われている者が多い。
「これでできることは少ないと思うけど、身体さえあれば、陽動や攪乱はできると思うの。慣れない武器でも、撃って走り回って、敵の戦力を削ってやるわ!」
 ウララの気合いと発言に、ジェイドの顔には朗らかな笑みが灯る。
「確かに、特攻は俺らも本懐とするところだ。この拠点の戦力から、少しずつでも削っていくのはいい考えだと思う。奴らの数を減らせれば、武器を取り戻すチャンスだって巡ってくるはずだ」
「それに、俺たちは一人じゃない。できること、できないことを補い合っていこう」
 セージの言葉に、ありがとう、とウララは明るく笑った。以早道も深く頷く。
「戦闘機械の弱点については、種類によって様々あるが、ここにいるのは個体個体は強くない。ただ数が夥しい」
 数の暴力で守っているということのようだ。
「消耗戦になるってことかな」
『いえ。殲滅だけが戦力を削ぐ方法ではありませんよ』
「ああ、やりようによっては、ってん?」
 以早道に答えた女性音声に、ジェイドは声の主を探す。するとその気配を察知したらしい女性が、あなたの通信端末です、と言った。
「……介入の対策はしたはずだが」
『ええ、とても苦労しました。ですが、これを突破できるレベルでないと、あなた方からの信頼を獲得するのは難しいと考えました。
 お会いできて光栄です、私は深淵系生活支援人工知能・ヱ解奇雅楽(馬車屋・イタチを含むコアなファンたちのAnker・h03630)と申します』
 ジェイドは少し瞑目した。が、これ以上の技量を自分は持たない。ヱ解奇雅楽というらしい彼女が味方であるというのなら、それは心強いことだろう。
 取り出した端末の向こう、電子の海にのみ存在する彼女に、ジェイドは先の発言の続きを促した。
「殲滅だけが戦力を削ぐ方法ではない、と。考えがあるのなら聞かせてほしい」
『そうですね。まあ、私の得手とするところ「情報面での妨害工作」です。数の多い相手と真正面から戦うのは潜入工作員のみなさんの消耗が激しいというのは以早道さんも懸念する通りと思います。情報操作による敵の攪乱を行い、動きを鈍らせてからの武力蜂起の方が、あちらに消耗を傾けることができるのではないでしょうか』
 大群を従える場合、指揮系統は単純化される場合が多い。単純な命令、それも機械から機械へ放たれるものなら、情報収集やハッキング技術に卓越したヱ解奇雅楽の分野だ。他にも、セージもハッキングが可能という話も出ている。
「アリだな。そういう消耗のさせ方もあるのか……。今のところ、作戦4『√能力者の救出』と作戦2『レリギオス自体の戦力を削る』が出ているが、他の作戦に挑みたい者はいるか?」
「2の方向で固まってきてるように思うけど、いいの?」
「ああ」
 どのような意見も無駄になることはない、とジェイドは告げる。
 このブリーフィング内で出た意見の中から、「今からすぐの行動」に採択されるのは一つきりである。が、大規模作戦であり、ジェイドと繋がるユタの他にも、多くの星詠みにより作戦が展開されている。ユタが干渉する任務もこれ一度きりとは限らないだろう。
 5つの作戦遂行に関する見解は次への参考となる。今回採択されなくとも、こういった利点があるから次はこの作戦に注力しよう、など「繋がる」のだ。
 故に、如何なる意見も無駄になることはない。それに、今回はまだ大規模作戦の序盤。序盤だからこそ、多くの意見を交わしておくのが大規模作戦全体にとって、重要となるだろう。
「それなら、俺は『大黒ジャンクション』の作戦を推したいな」
 永雲が挙手する。その言葉にウララが目をぱちりとした。
「大黒ジャンクション、そこから√EDENに攻め入ろうとしてるんだっけ、レリギオス・オーラムは」
「うん。√を渡るための回廊は敵にとってもボトルネックになる場所だから、侵攻を遅らせることも敵を困らせることにもなる。内情がわかっていれば奇襲もしやすいと思うんだ」
 大規模作戦は「逆侵攻」なわけだが、そもそもが「ゼーロットの√EDEN侵攻」を阻止するという目的に端を発している。√EDENへの侵攻を遅らせ、封じるには、大黒ジャンクションの作戦が鍵となると言っていい。
 √を渡ること自体は、√能力者でなくとも可能だ。だが、任意の√に渡れる√はそうない。自然、敵の進行方向が一箇所に集中する。そこを削っていくのは、ひいては作戦2と同じく「レリギオス・オーラム自体の戦力を削る」目的にも通じるものがあるだろう。
「仲間を増やすのもいいし、2と3は目的が違うようで通じるとこがあるんだね。甲乙つけがたいねぇ」
 ウララが唸るも、元気よく拳を握りやる気を示す。
「どの作戦になっても、僕様ちゃん、全力でやるよ!!」
「俺も同じだ」
「俺もだよ」
『私も異論ありません』
「それなら、」
 ジェイドは参加者たちの意思を受け、ヱ解奇雅楽のまとめたブリーフィング内での意見の画面表示に目を通す。
「作戦2でいこう。作戦3と4についても星詠みへ報告を提出しておく。今回はこれで進もう」
 やはり、賛同意見が多かったというのと、拠点に近い場所での作戦ゆえ、敵戦闘機械への対処がスムーズになるだろう。
 異論は挙がらなかった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第2章 集団戦 『ヤラレイター陸戦型』


POW ヘッドキャノン
【頭部のキャノン砲から火 】属性の弾丸を射出する。着弾地点から半径レベルm内の敵には【爆発と炎】による通常の2倍ダメージを与え、味方には【敵に隙を与えない突撃プログラム】による戦闘力強化を与える。
SPD アームブレード
【腕部のブレードが超高熱 】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【オーバーヒートスラッシュ】」が使用可能になる。
WIZ アームガトリング
【腕部のガトリングガン 】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
イラスト 星月ちよ
√ウォーゾーン 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●集団戦
 ここの配備は「他と比べれば」少ない、とジェイドは言った。
 が。
 跋扈する『ヤラレイター陸戦型』。その数、幾知れず。
 「他と比べれば」という形容の大切さを知る。
「『ヤラレイター陸戦型』。この近辺に多いのはこいつだ。懐かしいな。新兵のときはよく相手にさせられていたよ」
 懐かしんでいる場合ではなさそうであるが、新兵を前に出させる相手というのなら、戦闘機械の中では程々の強さだろうか。
「というわけで、ご覧の通り『数』がすごい。真正面からやり合うのはただの消耗戦になる。ブリーフィングでもあった通り、ハッキングなどの戦闘ではない技能ではたらきかけるのもいいだろう。もちろん、武力による制圧もよしだ。後方支援と前衛で連携していけたら、効率的に削れるだろう。
 俺も戦う。援護射撃、隙を見ての爆弾設置といった感じの動きかな。手が必要なら遠慮なく呼んでくれ」
 さあ、戦端が開かれる。

●マスターより
 作戦2が採択されました。
 軽い示唆を入れましたが、「採択されなかった作戦」に関する意見も、今後のシナリオ展開で参考にしていきます。ありがとうございました。
 第2章からは「√移動により合流した」等の理由で継続参加でない方も問題なく参加いただけます。
 ジェイドの支援を受ける受けないはご自由に。特にプレイングボーナス等は設けておりません。
 よろしくお願いいたします。
セージ・ジェードゥ
アドリブなど歓迎

【心情】
√能力者のように強い力がないのは歯痒いがハッキングで出来るだけ倒す手伝いをしようか
伊達に長年“お世話”になっていたわけじゃないって教えてやるよ。

【行動】
俺は物陰に隠れて敵機へのハッキングを行って支援する。
ハッキング端末を使用して敵の一体のデータを改竄し『自分と同型の機械は敵』とさせる。
そのまま同士討ちさせた後、最後には仲間がいない場所で自爆させて広範囲を巻き込もう。
それを繰り返して敵を倒して行こう。必要なら仲間を援護するようにしておく。
永雲・以早道
作戦が決まったら後は行動するだけ
捕まってた人たちや人間爆弾の人たち
ジェイドや仲間達を助けるために一生懸命やる!

ジェイドに頼んで捕まっていた施設を派手に爆破して脱出
敵の気を引きながら一気に市街地へ走る
走り回って敵に的を絞らせないようにしつつ太刀で敵を斬り捨てる
常に移動しながら戦い敵を陽動、攪乱する
受けた傷は【なけなしの勇気】で癒やす

仲間のハッカーを通して連絡を取り合い情報を共有
仲間の作った罠にはめるために敵を誘い込んだり
敵を引き付けて攻撃役の仲間が狙いやすいようにと
仲間が有利に戦えるように立ち回る

「自由と開放のために拳を上げろ!」
仲間と辛い思いをしている一般人を鼓舞しようと声を張り上げる
深淵系生活支援人工知能・ヱ解奇雅楽
・・・私は、支援しかできませんので悪しからず。もっとも、性格の悪さでは負ける気がしませんが。【 情報収集、ハッキング】で敵集団の配置状況を把握。味方へ共有することで、潜入工作員の方々が消耗を避けられるようにサポートしますね。他、TenSaws_METT.exeで機械群の敵味方識別プログラムへ介入を試みます。元より、派閥争い・各勢力で対立しているのが常ですから……システム上の誤認による同士討ちを狙いたいですが、それが不発でも混乱はさせられると思料します。 もし、ナビゲートが必要な方がいらっしゃれば、サポートAIとして支援させていただきますね。……私、優秀で清楚な生活支援人工知能ですので。
ウララ・ローランダー
◆僕様ちゃんは宣言通り、精霊銃で陽動と撹乱を狙っていくね!
慣れない武器だけど、とにかく派手に動いていっぱいぶっぱなしてやるのだわ!!
倒れることも厭わないよ!さあ、ヤラレイターよかかって来いっ!!

◆ジェイドちゃんにも援護射撃してもらえたら心強いかな!?
後方支援組のハッキングと組み合わせて、敵を集めてもらえたら、いっぱいヤラレイターをボコボコに出来ちゃうと考えているよ!

◆敵がバラバラの時はシンプルな射撃を中心に、
敵が集まってきたら、√能力での攻撃も積極的にするつもりだよ
敵が集まっているところに、どかーん!と爆発する一撃を!!
攻撃力アップ効果も積極的に使っていきたいよね!

●決行
 ドォン!
 派手な爆破音に、ヤラレイターたちが反応する。幽閉されていた√能力者などが中から出てきたのだ。
「自由と開放のために拳を上げろ!」
「応!!」
 永雲・以早道(明日に手を伸ばす・h00788)に鼓舞され、捕虜も工作員も入り乱れて突撃していく。
 彼らを敵と断じたヤラレイターたちも【ヘッドキャノン】や【アームブレイド】、【アームガトリング】を展開する。
 以早道は仲間たちの支援のために【なけなしの勇気】を展開しつつ、自らも刀で応戦する。切りかかって注意を惹きつつ、一つ所に留まらずに攪乱した。
 以早道だけではない。ウララ・ローランダー(カラフルペインター・h07888)も精霊銃を構え、ヤラレイターたちに立ち向かう。
 まずはバラバラなうちに各個撃破だ。その方が都合がよい。
(僕様ちゃんたちの役割は引き付けること。慣れない武器だけど大丈夫。倒れるまで粘り続けてやるんだから!)

 陽動する以早道やウララたちの裏側で、セージ・ジェードゥ(影草・h07993)と深淵系生活支援人工知能・ヱ解奇雅楽(馬車屋・イタチを含むコアなファンたちのAnker・h03630)がヤラレイターたちにハッキングを仕掛けていた。
『なかなか手慣れてらっしゃいますね』
「伊達に長年『お世話に』なってるわけじゃない」
 セージの言葉に、ヱ解奇雅楽は画面の向こうでふふ、と笑う。
 実体を持たないヱ解奇雅楽はハッキングによる支援のみでの対応だ。セージもハッキングを中心とした味方の後方支援に回るというので、そのサポートとして立ち回ることとなった。
 ジェイドは陽動組に回って、援護射撃等で支援している。
 今のところは急襲が成功し、ヤラレイターを各個撃破できている。が、こちらはそう数が多いわけではない。そのうちヤラレイターの数による暴力に圧されてくるだろう。
 だが、ヤラレイターたちは戦闘|機械《・・》である。ハッキングによる介入、情報操作が成功すれば、状況は一転するだろう。セージとヱ解奇雅楽の目論見は一致していた。
 ほどなくして「それ」は起こる。
 ヤラレイターの一体の放ったキャノンが、別のヤラレイターに命中。誤射というには執拗に何発も穿たれ、撃たれたヤラレイターは撃破さらてしまう。
 そこから、別の個体が撃ったヤラレイターを『敵個体』と認識、アームブレイドの一撃を見舞う。『味方』を攻撃する個体を敵と感知、また別個体がそれを攻撃し、また別個体が撃ち、果てにはアームガトリングで一掃、という有り様。
『壮観ですね』
「ああ。味方機を敵と誤認させるっていうのが当初の考えだったけど、支援のおかげもあって、『全個体のプログラムを書き換えず、正常個体と誤認個体を紛れさせる』作戦がうまくいっているみたいだ」
 システムハッキングによる識別機能への干渉。二人で話し合ううちに、「全部を書き換えられない」という問題に「全部を書き換える必要はない」という対処を思いついた。
 全個体を敵と誤認させられれば、こちらに攻撃する個体が減るのは確かだ。だが、軍隊において、一部が足並みを揃えないだけでも、全体の動きに甚大な影響をもたらす。
 例えば、派閥争いによって、戦闘機械群の征服活動が停止しているように。或いは、戦闘機械群に紛れたセージやジェイドといった二重スパイにより、今正に大規模作戦が施行されているように。
 機械に感情があるのか。まあ、今回の敵の総大将と言えるゼーロットは人類を『生肉』と蔑視する『感情』を持つように見えるが、目の前に広がるヤラレイターたちはそうではない。
 敵か味方か。単純な命令により動く機械だ。一度濁れば、全てが汚水となるように、取り返しがつかない。
「よしきた! いっくよー!」
 ウララが入り乱れ、同士討ちの多くなり始めたヤラレイターたちに向け、【エレメンタルバレット『雷霆万鈞』】を放つ。
 雷の属性による攻撃、そこから広範囲に広がる【爆発】による攻撃が、ヤラレイターたちを軽快に吹き飛ばしていく。
 範囲内の味方には【帯電】による強化が与えられ、以早道の刀にもびりっと雷電が宿った。
 ジェイドなど人間爆弾の工作員は、ウララの√能力による爆発に合わせて爆破攻撃を仕込みつつ、援護射撃。
 全てのヤラレイターの情報が改竄されているわけではない。そのため、多少の負傷者は出たが、それは【なけなしの勇気】の影響を受け、回復していく。
 【エレメンタルバレット『雷霆万鈞』】の効果範囲外の敵も、ジェイドが射撃で対処、以早道が切り裂き、ウララが狙い撃ちで処理していく。
 ヱ解奇雅楽より共有された敵の配置情報を元に、殲滅を狙わず、同士討ちの輪から零れた個体のみを撃破、労力を割きすぎずに戦力の減衰を進めていくのだった。

 ジェイドがセージに確認を取る。
「ヤラレイターの他に戦闘機械の反応は」
「ある。長年いて慣れているとはいえ、やっぱり数が多いな」
「仕方ないさ。この調子で続く連中も削っていこう」
 焦る必要はない。着実に。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第3章 集団戦 『ターン・キー』


POW フォトンサーベル
60秒間【光熱】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【光熱剣】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
SPD ディフュージョン
【光熱剣】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
WIZ 遅滞戦闘
「全員がシナリオで獲得した🔵」と同数の【ターン・キー】を召喚する。[ターン・キー]は自身の半分のレベルを持つ。
イラスト 弥霧蕗
√ウォーゾーン 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●優秀な機械
「『ターン・キー』か。先程より難易度アップってとこか」
 ジェイドが呟く。
 『ターン・キー』は完全機械株式会社の所有する機械兵。防護盾と光熱剣を用いた近接戦を得意とする。
 派遣された機械兵ということで、ヤラレイターとは別システムにより、指令を受け取っている様子。ハッキングによる攪乱は改めて仕掛けなければならない。
 そして何より【遅滞戦闘】による数の猛威。『ターン・キー』が最も厄介と言える部分だろう。
 だが、この先の戦いのため、この場を制さなければならない。

●マスターより
 ヤラレイターより気持ち難易度高めのつもりでおります。「気持ち」=「|MS《私》の裁量」なので、特に具体的な制限はありませんが、心して作戦行動をとってください。
 引き続きジェイドと名もなき協力者たちの支援を受けられます。先の戦いで負傷者は出ましたが、こちらの損害は最小限に留められております。
※【遅滞戦闘】は『ターン・キー』のWIZ√能力参照。
永雲・以早道
戦う時に大事なものがある
士気だ
過信があるくらいに自信がある方がいい
弱気になることが多い俺だからわかる
だから声を出す
仲間を助けるため
背中を押すために

市街地であることを生かして物陰に隠れながらゲリラ戦を展開する
敵を見つけたら奇襲して離脱、物陰に隠れるを繰り返す
離脱する時は殿を務め√能力者以外が傷つくのを防ぐ

前線で戦線維持しながら戦いできるだけ的になるように動く
瞬間の火力で圧倒するため山彦の声で手数を増やしながら戦う

仲間にハッキングを頼んでから奇襲

囲まれたり隠れている時に襲われた時は命懸けで血道を開く

「一番大事なのは生き残ること
生きている限り戦える」

「俺達の力を信じよう」

「ここは俺が預かる!」
ウララ・ローランダー
◆僕様ちゃんは√能力者だから倒されても何処かで生き返ることができるわ、でもジェイドちゃんたち人間爆弾はひとつ限りの命なの、協力して戦いつつも絶対に守り通さなきゃいけないのよ。

◆敵ちゃんは【遅滞戦闘】という、厄介な作戦を使ってくるのね……
こちらは数で劣るわ、人間爆弾の協力者ちゃん数人と組んで、隠れつつ敵を倒していくゲリラ戦をしていくの。
具体的には隠れながら索敵、集団からはぐれた敵を見つけ出して、集中攻撃で各個撃破して少しずつでも戦力を削るわ。

◆万が一敵の【遅滞戦闘】で囲まれたら、√能力者である僕様ちゃんが囮になって、人間爆弾の協力者ちゃんを逃がすのだわ。
派手に√能力を使って敵の注目を集めるのよ!
深淵系生活支援人工知能・ヱ解奇雅楽
・・・作戦は、『命を大事に』でお願いしますね? 【情報収集・ハッキング】で支援を行いますが、ヤラレイターが撃破されたことで、相手の挙動も慎重になると予測します。……実に優秀な機械ですね。だからこそ、罠にかける甲斐があるというものですが。 敵の戦況評価プログラムに介入を試み、『ターン・キーに有利に見える要素』を与えることで『兵力を揃えずとも、自分だけで勝てる』と誤認させる誘導を行いたいです。ふふ、所詮は脆弱な人類の愚かな反乱、自軍兵力は十分に揃っている、障害になりうるのは能力者だけ、同士討ちを避けるため単独で動くのは合理的な判断―――さあ、自分たちに有利な情報を、果たして疑って否定できますか?
セージ・ジェードゥ
アドリブなど歓迎

【心情】
全く、数が多いな。ある意味機械の利点と言えようか
俺たちが選んだ道だ!だったら最後まで全力でやってやろうじゃないか

【行動】
再びハッキングを使い召喚されたターン・キーを同士討ちにさせたい。
それからは銃を使い小型爆弾を放ち爆破と破壊工作を行う。
場所が見つかれば細い路地に誘導、再度ハッキングを行い先頭機体を操り後続の敵を倒させよう。
機体が壊れそうならまた別の機体をハッキングして攻撃させるを繰り返す。
その情報を伝達されないようにジャミングも行いつつその間は壊れた機体を壁にして態勢を低くし余波を喰らわないようにしたい。

●生きる強さたちよ
 十全な話し合いの時間はない。が、重要なことを確認し合う。
 そのために口を開いたのは√能力者のウララ・ローランダー(カラフルペインター・h07888)であった。
「僕様ちゃんたちは√能力者だから、死んでも生き返ることができるわ。でも、ジェイドちゃんたち人間爆弾はそうじゃない」
 ウララの言葉を受け、ジェイドは苦笑のような表情を浮かべた。
 そのうち、√能力に覚醒する人間爆弾も現れるかもしれない。だが、今はまだそうではない。√能力者でないという意味で一般人の彼らは、一つ限りの命だ。全身に爆弾を仕込んだ覚悟の兵士であろうと、死んだらそこでおしまいである。
 一つの命が散ったくらいで戦争は終わらない。そして、戦争とは数多の命を啜って膨らむもの。
 だが、ようやく掴んだ反逆の機。√能力者とレリギオス・オーラムを繋ぐ鍵となるであろう彼らを、失うわけにはいかない。
 ウララの言葉を継ぐように、深淵系生活支援人工知能・ヱ解奇雅楽(馬車屋・イタチを含むコアなファンたちのAnker・h03630)が今回の作戦の最重要事項を述べる。
『作戦は、『命を大事に』でお願いしますね?』
「……ああ!」
 ジェイドをはじめ、人間爆弾の工作員たちは頷いた。

 セージ・ジェードゥ(影草・h07993)が再びハッキングツールを展開、ヱ解奇雅楽共々、ハッキングによる情報操作、システム改竄により、ターン・キーたちの動きを鈍らせる作戦を立てる。
 ゲリラ戦。建物の陰に身を潜ませ、目視での確認も併せながら、セージはヱ解奇雅楽と打ち合わせていく。
「俺は引き続き、同士討ちを狙う作戦で行きたい。今度は俺も前に出て、破壊工作を行いつつ、うまく一体を引き付けて細い路地に誘導する。追いかけてきた他機体を誘導した機体に討たせたいが」
『なるほど。では立ち回りやすいように、私の方でも別方面から仕掛けましょう。私はターン・キーに有利となる誤情報を流して、動きを偏らせるという方向で取り組みます。タイミングを調整すれば、セージさんを『反乱軍からはぐれた兵士が出たため撃破が容易になった』として、敵を少しずつ送り込むことができそうです』
「それでいこう。ヱ解奇雅楽は他の人の援護もよろしく頼む」
『もちろんです。ですが、セージさん』
 ヱ解奇雅楽が念を押す。画面の向こう側から、その瞳はしっかりとセージを射抜いていた。
『先程も言った通り、『命を大事に』ですよ?』
「ああ。俺たちが選んだ道だ! 最後までやりきってやるさ。簡単に死んでなんてやるもんか」

 ヱ解奇雅楽により、セージたちのハッキング作戦が全員に共有される。
 永雲・以早道(明日に手を伸ばす・h00788)が静かなる闘志を宿し、頷いた。刀を持ち、先陣を切る。
 【フォトン・サーベル】に60秒もチャージさせる間など与えない。そんな決意と覚悟による猛攻に、ターン・キーは圧される。
 が、この戦いは一対一ではない。一機抑えても、別の機体がチャージをするだけ。以早道がどれほどの大立ち回りをしようと、全ての機体の√能力発動を抑えられるわけではない。
 そんなことはわかっているのだ。
 必要なのは、絶望することじゃない。できないことを数えることでもない。
 建物などの遮蔽物を利用し、狙いを定めさせない。それがだめでも、攻撃を受けても、戦い続ける。
 大事なのは「士気」だ。戦い続けようとする意志だ。「心」だ。
 ——生き残る。その意志が、事実が、次に繋がっていくから、途切れさせない。
 工作員たちも、牽制射撃を放つ。以早道に援護を、と。
 √能力のない彼らにできることは少ない。それでも諦めない。生きて勝つ。体に爆弾を埋め込んだ彼らは「死んでも勝つ」という決意の下、ここに立つ。だが、生き延びることを諦めているわけじゃない。
「一番大事なのは生き残ること。生きている限り戦える」
 今一度、高らかに以早道は宣告する。ウララやヱ解奇雅楽も言っていたことだ。
 戦場に響き渡る【山彦の声】。以早道の声がいっそう明瞭に聞こえるのは、それが増幅しているのかもしれない。
 なけなし……否、ありったけの勇気を。心は伝播する。それなら、鼓舞する言葉を。
「俺たちの力を信じよう!」
 以早道の【山彦の声】によりコピーされたターン・キーの【フォトン・サーベル】が、その能力の正統なる持ち主へと返っていく。
 同型機と同等の能力による威力18倍攻撃。【山彦の声】は一度使ったら、再使用には都度発動が必要だが、ターン・キーは僅かながら、圧倒された。
「ここは俺が預かる!!」
 感情などないかもしれない。けれど、気勢でこちらは負けない。そんな概念が相手になくとも、自分たちが信じればいい。渡り合える、と。負けない、と。
 自信は過剰なくらいがいい。だから大きく声を張る。強がりでも、自分を大きく見せたなら、敵は怯む。そこを衝けば、いつか敵う。

 以早道の頼もしい声に、負けてられないわね、とウララも【エレメンタルバレット『雷霆万鈞』】の準備を整える。慣れない武器だが、範囲攻撃。敵に与える爆発攻撃が機械と相性がいいのはヤラレイターとの戦闘で実証されている。
 嬉しい誤算というやつだ。
 遮蔽物の多い中で、ターン・キーは問答無用の範囲攻撃となる【ディフュージョン】を放ってくるが、こちらは少数精鋭。うまくダメージが入らない。数はターン・キーの方が勝っている上、視認による攻撃ではないため、精密性も低い。
 数がいるからこそ、精密性がなくとも脅威なのだが。
 その中、背後からセージがターン・キー一体に射撃を行う。奇襲は成功だが、撃破はできない。しかし、セージはターン・キーにしっかりと敵と認識され、追いかけられる。
 その機体に続こうとするターン・キーたちの元に、雷属性の銃弾が放たれた。【エレメンタルバレット『雷霆万鈞』】だ。
 爆発攻撃により、行く手を阻まれたターン・キーたちはウララを優先的に排除しようと動く。
 『通常装備なし、精霊銃を用いて戦うが、使い慣れていない模様』——ターン・キーたちに共有されたウララの情報。『√能力は厄介だが、近接戦闘方法がない』となれば、近接戦闘を得手とするターン・キーたちはウララの排除に迷いなく回り、囲む。
 それがヱ解奇雅楽によりもたらされた脚色情報とも知らずに。
『ちょっと数が多いかもしれません。行けますか?』
「行けるわよ!」
 最悪、自分は倒れても生き返る。だから、体を張って、工作員たちを守る。
 その上で、生き残る意志も欠かさない。ウララは精霊銃を抱えて突撃した。

 誘きだした個体をハッキングしながら、セージは細路地へと出る。味方も離れたが、敵影も少ない。
 ハッキングの進捗状況はヱ解奇雅楽にも共有され、こちらの状況に合わせて、敵を送り込んでくれているようだ。
 やがて、セージを追いかけていたターン・キーが、セージから後続機体へと標的を変える。
 同時複数へのハッキング、同士討ちが難しくとも、これなら。
 機体の損壊が激しくなれば、別の個体にハッキングすればいい。当然、ハッキングしている事実が伝わらないような隠蔽も施している。物陰に隠れ、状況を確認しつつ、爆破などでの破壊工作でターン・キーの動きも制限し、順調に作戦を進めた。

 大規模作戦「オーラム逆侵攻」は始まったばかり。殲滅とはならないが、ハッキングによる混乱を生じさせ、物量的にも消耗させた。
 こちらの士気は落ちるどころか高まっている。
 次の指令や作戦行動にも、問題なく移行できるだろう。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

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