⚡️オーラム逆侵攻『カワサキ・ライジング!』
「ぱんぱかぱーん! パンドラが来ましたよ! 何か大変なコトが起こりそうです!」
賑やかに声を上げた後、星詠み、パンドラ・パンデモニウムはごそごそと服の中から一枚の紙を取り出した。
「ええと……『√EDEN侵攻を企てる、統率官『ゼーロット』……! しかし幸いにも、戦闘機械群に侵入した二重スパイの妨害もあり、敵は未だ軍備を整えていない様子。
√ウォーゾーンの敵拠点『レリギオス・オーラム』をこちらが逆に急襲し、ゼーロットの軍備を先制攻撃で破壊しましょう! 『オーラム逆侵攻』のはじまりです!』
……ふう、噛まずに読めました!」
明らかに棒読みながら、星詠みパンドラはカンペを読みきり、√能力者たちを見回した。
「まあなんて言うんですかね……とにかくいっぱいやっつければこの後の展開が楽になります! くらいのシンプルな考えでもいいんじゃないかとは思います! とにかく、ゼーロットさんとかいうポンコツとその配下との戦いになります。ただし……」
と、パンドラは咳払いし、ピンと人差し指を立てて、ひとこと一言区切るように伝える。
「|前哨戦《第一章》を超えた|次の戦い《第二章》がどうなるかは、今の私では星を詠めません。じゃあどうなるかって言うと、……皆さんです! 皆さん自身が星の動きを定めてください! つまり、皆さん自身で「相談」をすることで、次の戦場が決まっていきます。星詠み以外の√能力者の皆さんも戦いの展開を左右し得る、ということですね。で、具体的には……」
パンドラはもう一度ごそごそと服の中をまさぐり、もう一枚のカンペを取り出す。
「えっと、こうです。
1:ゼーロットを直接ぶん殴るため羽田空港へ!
2:戦闘機械群を殲滅するため川崎市中央部へ!
3:√EDENへの侵略を防ぐため大黒ジャンクションへ!
4:囚われた√能力者を開放するため扇島へ!
5:謎の簒奪者「合体ロボット・グロンバイン」の拠点を破壊するため三ッ池公園へ!
……どれも大事な目標ですよね。どれが絶対必要とは言い切れず悩ましいですが、この5つのうちからどれかを選んでいただくことになります」
その投票は「一言掲示板」で行ってほしい。
もちろん意見を交わし他者を説得するもよし、意見とか大変そうだなと思うなら単純に「行きたい場所・番号だけ投票」でもいい。途中で方針を変えても一向に構わない。二章が始まるまでは自由に発言していただきたい。
……さらに言えば別に発言を強制するわけでもない。誰の発言もなかったら、行先はパンドラが決めることになるだろう。
説明を終えると、パンドラは川崎へと続く√を示す。
「最初からいきなりバトルになっちゃいます。心の準備をしておいてください。戦闘そのものも大事ですが、最終的にどの地を目指したいか、も考えてくださいね!」
マスターより

こんにちは、天樹です。
大規模シナリオのスタートですね。
今回は皆さんに行き先を決めていただくという進行になります。「一言掲示板」でご意見を頂戴できれば幸いです。長文の書き込みとかじゃなくても、「1:羽田空港」とかほんとに一言でもいいです。もちろん意見を出さなくてもいいですが、まあせっかくの機会なので、一言掲示板を使ってみてはいかがでしょうか。
では皆様のご参加を心よりお待ちいたします。
35
第1章 ボス戦 『DEM-504』

POW
|G《グラビティ》・オーバーライド
【重力慣性制御力場 】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【|慣性増幅打撃《イナーシャル・ブースト》】」が使用可能になる。
【重力慣性制御力場 】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【|慣性増幅打撃《イナーシャル・ブースト》】」が使用可能になる。
SPD
|G《グラビティ》・コンビネーション
【遠距離から、銃火器・榴弾砲・ミサイル 】による牽制、【高速機動で距離を詰め、指向性の重力操作】による捕縛、【至近距離まで接近し、ダブルパルスブレード】による強撃の連続攻撃を与える。
【遠距離から、銃火器・榴弾砲・ミサイル 】による牽制、【高速機動で距離を詰め、指向性の重力操作】による捕縛、【至近距離まで接近し、ダブルパルスブレード】による強撃の連続攻撃を与える。
WIZ
プロジェクト:Deus Ex Machina
自身の【ウォーゾーン 】を【真紅】に輝く【決戦モード】に変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にする。この効果は最低でも60秒続く。
自身の【ウォーゾーン 】を【真紅】に輝く【決戦モード】に変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にする。この効果は最低でも60秒続く。
√能力者たちの前に現れたのは川崎地区を防衛する無数の戦闘機械群だった。
『グッモーニン√能力者! しかしこの先へ行かせるわけにはいきません! あなたたちの狙いが、この川崎の重要ポイントたる5か所のどこであろうともです!』
なんかすごくいい感じに爽やかな戦闘機械だが、爽やかに重要なポイントのこと喋っちゃってる気がするけどいいんでしょうか。
まあ気にする必要はない、とにかくやっつけろー!!

【WIZ】希望です。
こんにちはパンドラさん!(ぺこり)
レリギオス・オーラムに攻撃を仕掛ける事が出来るのですね。
それは大仕事なのです!頑張ってきまーす!(ぶんぶんと手を振って現場に向かう七歳児)
こんにちはDEM-504さん!(ぺこりと挨拶)
ふむふむ…川崎には五カ所重要な場所があるのですね。教えて頂いてありがとうございます。
さっそく現場に…え、え、通せんぼしちゃいやなのですDEM-504さん。
もうっ、通してください!でないと大変なのですよ!
「しずく」、やっちゃってください!(結晶型レイン砲台「しずく」が「了解しました」と応答しシュバババーとレーザーを降らしていく)
あ…やりすぎちゃいましたか…?

連携歓迎です!
軽いな機械!
あたしとしてはもっと重々しく喋って欲しいんだけど機械。脅威度更新100%!みたいなさあ。やり直してほしい。
ということでイメージが壊れちゃうの嫌だからすぐ壊すよ!映画見てる時とかに思い出したらやだし!おはよう!さようなら!
√能力で両足を竜化!
相手の速度に負けないよう動き回って、打撃攻撃はハンマーを叩きつけてジャストパリィ!
そのまま増加した行動回数でハンマーで殴ったり、竜化した脚で蹴り飛ばしたりぶちぶち攻撃してくよー!
機械群は足周り壊したらぶっ飛ばして他の敵に当てていこうかな。
いやあ機械相手だと何も考えず潰せるからいいよね。爽やか爽やか!
「こんにちはDEM-504さん!」
「おはよう機械!」
今日も元気だ、いい子は朝の挨拶忘れずに。
『グッモーニン√能力者! 挨拶は大事ですね!』
ぺっこりと頭を下げた|椿之原・希《つばきのはら・のぞみ》(慈雨の娘・h00248)と、勢い良くひょっこり手を上げたシアニ・レンツィ(|不完全な竜人《フォルスドラゴンプロトコル》・h02503)に対し、防衛線を引いていた戦闘機械DEM-504はギアを駆動させギッコンバッタンと大きく上体を倒した。礼のつもりらしい。
もちろん、希はいい子なので礼にはちゃんと礼を返すのである。
「はわわ、こ、これはごていねいに……」
『むっ、これはこれはご丁寧にアゲイン』
「これはこれはこれはごていねいに」
『これはこれはこれはこれは………』
のどかだなあ。
「……いやエンドレスかな! あたし運動力学の法則をぶち破る永久機関オブ挨拶を発見しちゃったかなぁ!?」
お互いに永遠に挨拶し続けかねない勢いの希とDEM-504に思わずツッコんだシアニに、DEM-504はおっと! といった様子で振り向いた。
『これはソーリー、-あなたにも挨拶アゲインをしなければ失礼に』
「いらないから! アゲインいらないから!」
『ホワッツ!?』
「ホワッツじゃないんだよ!? 軽いな! 機械軽いなあ!!」
ロボットとはもっと重厚でかっけー存在であってほしい! そう切に願わずにはいられないシアニが、うがー! と吠えた声に、希は可憐な目を大きく見開いた。
「えっ504さん軽いですか? 重そうに見えるですけど……」
「そっちの重いじゃなくてね! うわあ思ってた以上に大変だぞこのダブルツッコミ空間! でも希ちゃんは可愛いのでよしとするよ!!」
『心配ナッシン。私は全備重量1トン、あなたがたよりは多分重いと想定されます』
シアニの心労なんざ知らねえとばかりにドヤっと鋼の胸を張った504だったが、続けて若干声のトーンを落として続けた。
『もっとも、もちろんこの先の三ッ池公園に現れるというグロンバイン様よりは軽いと思われますが……』
「……そのこうえんにぐろんばいんさんがくるんです? 教えていただいてありがとうございます」
『えっ!? なぜそのことをご存じで!?』
「………いま504さんそういいましたよ?」
『オーマイ! なんという巧みな誘導尋問でしょうか、さすが√能力者です!』
無邪気な希に愕然とする504。何だろうこの機械。思わずシアニは頭痛を抑える。
「……軽いなあ! 機械、口軽いなあ!」
「えっ504さんのお口、軽いんです? お口はなさそうに見えたです?」
「いやそっちの軽いじゃなくてね! まあ可愛いのでよしとするよ!」
頑張れシアニ。ダブルツッコミ超がんばれ。
『くっ、しかしグロンバイン様降臨の場所を知られたからにはこのまま通すわけにはいきませんよ! さあおとなしくゴーホームです!』
「……知られたからにはっていうかさ……そっちが勝手に……まあいいや……これ以上イメージ壊れる前にすぐ壊すよ!」
「通せんぼしちゃいやなのです504さん! もうっ、通してください!」
かくしてなんやかんや、希&シアニとDEM-504の凄まじい戦いの火蓋は切って落とされたのだ!
「ツッコミ過労死する前にとっとと突破しちゃおう! この速さについてこられるかな!『|不完全な竜は急に止まれない《フォルス・ドラグアサルト》』!!!」
シアニの内部から膨れ上がった甚大な魔力がそのしなやかな脚部に収斂し収束する。天空のような輝く色彩の中で、彼女の両脚は変貌する! 竜のそれへと! 竜の疾さを身に宿す、これぞ彼女の√能力だ!
シアニは軽やかに鮮やかに、風を纏う竜の速さで大地を疾駆し、戦闘機械の背後へ廻ろうとする。だが敵もさるもの!
『ほほうあなたも変形型とは奇遇ですな! では私も! チェーンジ決戦モード!
スイッチオン! いやあ変形はいいですなあ!!』
ギガゴゴゴ! 小気味いいギアの駆動音と共に、DEM-504は高速形態へと変形し、シアニに陣形を破らせまいと疾走を開始したのだ!
「あたしは変形違う! 変身!」
『まあだいたい同じですよ!』
「どっちもカッコいいけど同じじゃないと思うな!! ロマンの方向性の違いについて一晩語り尽くしたい!」
ギャリギャリギャリ! 激しく討論する両者の間では、大地を削り土煙を立て、超高速の対決が巻き起こる! 時間を超え空間を歪ませて、翔竜とハイスピードマシンの音を超え光に迫る戦いが繰り広げられた! ロマンについて語りながら!
しかしその両者の均衡を破ったのは――。
「……「しずく」、やっちゃってください!」
『了解しました』
ぷよーんって飛んだ砲台が色々計算してしゅばばばーってレーザーを撃つ攻撃であった!
……よくわからない?
ならばもう一度言おう。
ぷよーんって飛んだ砲台が色々計算してしゅばばばーってレーザーを撃つ攻撃であった!!
まあ端的に言えば、希の結晶型レイン砲台「しずく」が、星降る夜の奇跡のごとく、鮮やかにして華やかなレーザーの雨を降らせたのである。
そしてその対象は――
大地だ!
威力百分の1ながら300発のレーザーは見る間に大地を穴だらけにしてしまった。そこへ超高速の疾走マシンが突っ込んだらどういうことになるだろうか。超高速であればあるほど僅かなバランスの崩れが致命的となる!
『ぐ、ぐわあああ!!!!????』
DEM-504は天空に吹っ飛ばんばかりの勢いで大クラッシュ! そこへとどめとばかりにシアニのハンマーが空気を引き裂いて唸りを上げた!
「うりゃああ爽やかクラーッシュ! 爽やかにさようならー!!!」
爆裂的にぶっ飛ばされたDEM-504はキラーンとお星さまの彼方へと消え去ったのだった。その光景をぶんぶん手を振りながら見送った希は、少し心配そうにシアニを振り返る。
「ばいばいなのですー……えっと、やりすぎちゃいましたか……?」
「希ちゃんは可愛いから何でも良しとするよ! うんうん!」
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

連携可
おーおー、|戦闘機械群《ガラクタ共》がいっぱいじゃんね。
兎に角やっつけりゃいいんだろ?雑に薙ぎ払うのは|厄災《オレ》の大得意だ。派手にいこうじゃねェかよ。
さァさァ御出ましだぜ|下僕共《焔の精》。獲物は山積み、選り取り見取りだぜ?
移動速度が4倍になろうが、無数の熱線照射を完璧に避け切れるかよォ手前らァ!
一緒に戦場にいる奴の事も気に掛けつつ、バンバン焼き払っていくぜ。
オラオラオラオラァ!!!燃え尽きなァ!!!
「おーおー、役に立たねえ|戦闘機械群《ガラクタ共》がいっぱいじゃんね」
楽し気に哄笑する|凍雲・灰那《いてぐも・はな》(Embers・h00159)の痛烈な罵倒に、待ち構えていた戦闘機械DEM-504たちは一斉にブーイングを……いや、BEEP音を鳴らした。
『BEEP! BEEP! √能力者殿、失礼ながら認識に齟齬があるご様子!』
「ふーん。ガラクタじゃなきゃなんて言えばいいんだ? ポンコツ? それともジャンク?」
『むむむ! √能力者殿ののそのお考えは少々問題があります!』
「おー、一丁前にプライドでもあるってか? 鉄クズが?」
顎を逸らし、ギラつく瞳で挑発的に鋼の機械群を見下した灰那に対し、DEM-504たちは毅然と言い返した!
『よろしいですか、今はリユースやリサイクルの時代! ポンコツやガラクタを見下すのではなく、そこから新たな価値を再生することが地球のためになるエコなのです!!』
「……怒ってたのそこかよ!?」
『ポンコツの中にこそ未来がありガラクタの中にこそ可能性が眠っているのです! さあ√能力者殿もエコの道に目覚めましょう! さあさあ!』
一斉に迫ってくる戦闘機械たちに、灰那はブチ切れる! そらそうだ!
「√EDENに侵略して環境ぶち壊そうとしてるやつらがエコ語るんじゃねえ!」
『目先のことに囚われて長期的な視野を見失ってなりません。エコを軽視するのはエゴというものです。HAHAHA今私上手いこと言いました!』
「上手くねェからな!? ええい、兎に角やっつける!」
|おお、讃えよ《イア・イア》! 灰那の髪が真紅に燃え上がったかのような鮮烈なオーラが噴きあがる! いやそれは錯覚ではない、世界が紅に染め上げられたかのような焔が銀河の彼方、フォーマルハウトの虚空より呼び起こされたのだ!
「揺れる燈火、虚ろなる赤。我が命に従い、生命の熱を識り、生命の熱を絶て――――『|炎を齎す者の召喚《サモン・ミニオンズ・オブ・クトゥグア》』ッ!!」
それこそは恐るべき古の物の血を引く灰那の力! 沸き立つ炎の躍動は地上の物理法則に従わぬ異形の落とし仔たる所以を明かすもの。燃え盛る炎の魔神たちは旧き軛から一時解き放たれた喜びを破壊という名で刻み付ける!
「さァさァ御出ましだぜ|下僕共《焔の精》! 獲物は山積み、選り取り見取りだぜ? 雑に薙ぎ払うのは|厄災《オレ》の大得意だ。派手にいこうじゃねェかよ!」
高らかに嗤う灰那の命の下、跳ねまわる炎の精たちは鮮烈な光を引いて一斉に戦闘機械群へと襲い掛かった!!
『むむ奇怪な! 私たちは機械ですが! HAHAHA上手いこと言いました!』
「上手くねェからな!?」
『されどこの速さについてこられますか!』
だがDEM-504どももただのガラクタのポンコツのジャンクではないのだ! 鋼のボディが真紅に染まった次の瞬間、赤い流星が流れ行くかのような色の付いた風が吹き抜ける! それこそは超高速モードへと切り替わったDEM-504の機動戦形態だ!
赤い軌跡だけが残像を空気に刻み、右に左に灰那を目掛けて押し寄せる。炎の精たちは熱線を放ち炎を渦巻かせ迎撃せんと試みるが、戦闘機械たちはその高速機動性を活かしすべてかわしていく。
『HAHAHA!いかがですかな能力者殿! これでも我らがポンコツだと!?』
「気にしてたんじゃねえか! ……だがな」
されど灰那の口元に浮かぶは不敵な笑みに他ならぬ。
「やっぱりてめぇらはポンコツだぜ。マシンであるてめぇらの一番の天敵は何だ? そう、這い寄るものに対する燃えあがるもののような……天敵はよ?」
『何ですと!?』
「そいつぁ……『オーバーヒート』だろうがよ!」
おお見よ! 炎の精たちの攻撃は外れはしたが、同時にその目算を見事に達成していた! 周囲一帯を炎の渦に包み込み、大気の温度を急激に上昇させていたのだ! 焔の嵐のような攻撃を回避するため過剰なほどの超高速形態で機関を過熱化させていた……いや、「過熱化させられていた」ともいうべき戦闘機械たちはもはや冷却が追いつかぬ!
『し、しまったですぞ!?』
「オラオラオラオラァ!!! 燃え尽きなァ!!!」
バーストを起こし動きの止まったDEM-504たちに対し、炎の精は一斉にとどめの業火を撃ち放った!
『GHAAAA!!!!!!』
次々と爆発していく機械群の中を、灰那は悠然と歩み去る。
その顔を炎に照らされながら、まなざしは冷たく冷えて。あたかも――冷たい炎のように。
🔵🔵🔵 大成功

アドリブ連携歓迎
いざゆかん巨大ロボ!もう目の前に軽量二脚みたいなのが居ますけど!
サクッと撃破していきましょう
加速した相手に対して選択√能力を発動
早業で敵の動きを情報収集し学習力で先読み、自在に曲がる叢雲の弾幕で敵の動きを誘導しこの場でもっとも殺傷力の高い物体……即ち味方の√能力にぶつけましょう
こちらの攻撃には量子干渉弾頭を乗せ、着弾地点が分解されるのを見せてこれが本命だとフェイントしつつ、足元を崩すことで加速力を活かしきれないよう破壊工作
接近されても歪曲装甲で狭間を発生させ脚とスラスターを切断するカウンターで削りリフレクタの空中移動で距離を取りましょう
どけどけー!怪我しますよー!
「いざゆかん巨大ロボ! 目指すは三ッ池公園ですよ!」
『あ……あんた何者だ! 三ッ池公園に我らが偉大なる合体ロボット・グロンバイン様の拠点たる天蓋大聖堂カテドラル・グロンバインがあり、厳重な武装と軍勢に守られているが、川崎市周辺で最も巨大なロボット工場であるここを破壊できれば、ゼーロット様を飛び越えて、戦闘機械群全体に打撃を与えることができることを知っているとは!』
「おっけー今だいたい知りました! ……っていうかあなたたちのプログラムには相当致命的なエラーがあるようですね!」
『ほう、戦闘を極めた私たちのプログラムにエラーが!? 面白い、見せていただきましょうか!』
「わーいアホの子たちだー」
|真心・観千流《まごころ みちる》(真心家長女にして生態型情報移民船壱番艦・h00289)は彼女を取り囲んだ戦闘機械DEM-504に対し、ダメだこいつら―的な天真爛漫な笑顔をにこやかに振りまくと、不意に声のトーンを落とした。
「……えっとですね。私も生態型情報移民船。すんごくでっかいカテゴライズすると、まあ|機械群《あなたたち》の一種に含まれなくもなくもないかなーみたいなスタンスにいなくもないわけで……遠い遠い縁者みたいなあなたたちがそこまでアホを晒すと私まで恥ずかしくなるのでやめてもらえないですかね!」
『な、なんですと! 我々だって一生懸命警備の任務を務めているのです。一生懸命なロボに対してそういう、そういう強い言葉を使うのは良くないと思いますぞ!』
「うわーミニマムに正論吐きながら√EDENに侵略しようとしてる時点でマキシマムにクソ悪党なのもやめてもらえないですかねめんどくさいから!」
観千流は心底うんざりした顔でさっさと戦闘態勢に入る! 彼女はここに漫才しに来たわけではないのだから!
「もうサクッと撃破しちゃいますよ! |異能ならざる未来の予言《ロジカル・デスティネーション》!!」
瞬時、観千流の周囲の時間の流れが鉛のように重くなる。いや、彼女の思考速度が超高速に移行したことにより観測時間が相対的に低下したのだ。刹那と呼ぶのさえ遅いその一瞬の中で、観千流は戦闘機械たちの行動パターンを把握し認識し完全に掌握する!
スローモーな時間の中で観千流は銃を抜き放ちフルオートで斉射。音が聞こえてくるのはまだ先の話だ。
しかし侮ることはできぬ、その瞬くほどの時の間の中でさえ、さすがにマシンゆえの高速性と正確性、DEM-504たちは即座に対応し高速機動形態へと変形を開始していることを観千流は観測している。
迫りくる敵影を空間を歪曲させてかわし、観千流は空を駆け舞うように身を翻しながらその動きを見定めた。
「確かに、あなたたちの反応速度は早く処理も迅速、ですが――」
観千流の弾丸が大地を砕き分解していく。その恐るべき威力を明確に測定した戦闘機械群は、彼女の射界を回避し包囲陣形を取ろうと動く。……観千流の読み通りに。
「だからこそ、あなたたちは1を聞いて10を予測しすぎる。さきほど私が言った一言から情報が全部知られていると思い込んだようにね」
そう、冒頭の会話は観千流が敵の思考パターンを読むために撒いた伏線! 決してただのギャグではなかったのだ! ほんとだよ! 信じよう!
「だから……行動も誘導しやすいんです!」
ばら撒いた銃弾と削れた大地により誘われるように、DEM-504の集団はいつしか大きく動かされていることに気が付かぬ。驟雨のような弾丸を回避し攻撃に転じようとした瞬間に、彼らは理解する。
目の前にもう一団の自軍集団がいたことを!
『こ、これは!! 気を付けるのです私たちぃぃ!!』
「言ったでしょう、あなたたちにはエラーがあると。もう……見せましたよ」
次の瞬間、凄まじい激突による爆発が大地を揺るがした!
戦闘機械群は無情なる同士討ちの衝撃により、天空高く吹き飛んだのである。
『グワアアアアーッ!!!???』
「…………いや、うん。まさかとは思いますが」
観千流は星の彼方へきらーんと消えた機械たちを見送りながら、一抹の不安を覚えていた。
「……いくらなんでも、グロンバインって、きっともう少しカッコいいですよね? あんなアホの子たちじゃないですよね?」
どうかなあ。
🔵🔵🔵 大成功

『ゼ…何とかって、しくじった部下を破壊光線で爆殺しそうな昭和の悪幹部系ポンコツロボだって?』
玲子言い過ぎ、けど間違ってなさそう
『隠しボスめいた巨大ロボねぇ、こいつ絶対めんどくせー奴だって』
相手加速モード入ったっぽいけど?
『重力には重力をぶつけんだよ、キリング・アワーの攻撃判定消失バグと、ラベンダー・ブルーの接触判定消失バグ(ジャミング)を付与した【ストライサンド】で挙動を不安定にしな』
荒ぶって余計面倒な事にならない?
『仕様だよ、こっちの攻撃は当たるから安心しろ』
『【肉体改造】で機械細胞の処理【パフォーマンス】を上げて、グラビティ・スノウの手数ゴリ押し【爆破・範囲攻撃】脳筋射撃でひたすらボコれ』
『この愚か者め! 何度作戦を失敗すれば気が済むのだ! しゅびびび! ぐわあああお許しくださいゼなんとか様―! どかーん!!』
「……玲子?」
『我が軍には役立たずは不要なのだー! しくじったものは皆こうなる! ふはははははは!!!』
「玲子? 玲子?」
『あと寝坊したり遅刻したりごはんに好き嫌いしたものもこうなる!』
「それはちょっと厳しいんじゃないかな玲子?」
『……って、今回の敵幹部はつまりこんな感じのアタマ昭和特撮なポンコツロボなんでしょ?』
「言い過ぎだけどまあ……多分合ってるんじゃないかな」
|レイ・イクス・ドッペルノイン 《RX-99》(人生という名のクソゲー・h02896)は、自らの思考に話しかけて来るAnkerたる|九十九・玲子《つくも・れいこ》の的確な分析に賛意を示していた。
「合ってるよね、あなたたち?」
急に話しかけられた戦闘機械DEM-504はどうしたであろうか! びっくりしたのだ!
『前提も経緯も知らされないままいきなり結論に同意求められても困りますな√能力者! なんてフリーダムなお方だ!』
それはそう。仕方ないのでレイはちゃんと話の内容を伝える。
「あなたたちの指揮官のゼ何とかってポンコツなんでしょって話」
『いや私たちにそれ聞かれて、はいともYESともヤーともウイとも応えられるわけがないではありませんか!? なんてフリーダムなお方だ! あとゼーロット様です!』
「……全力で肯定してるよね? ゼー何とかさんがアホだって」
『し、しまった! それを聞かれては黙って帰すわけにはいきません。残念ながらここで消えていただきましょう! あとゼーロット様です!!』
「えー、言いがかりにもほどがある……」
戦闘機械は理不尽にもレイたちに戦いを仕掛けてこようとする! やむを得ない、戦いの時が来た!
『チェンジ高速モード――グラビティオーバーライド! お覚悟!!』
おお、DEM-504は鋼のボディを軋ませて形状を変化! 脚部を折りたたみブースターを露出、全推進力を後方へ展開したハイスピードフォームだ!
さらに、その重量感ある巨体があたかも風船のようにふわりと宙に浮きあがったではないか! これぞ、重力場を操作したおそるべきウォーゾーンの技術の結晶! 唯の先兵に過ぎぬ彼らでさえここまでのテクノロジーが搭載されている恐ろしさだ!
爆音鳴り響き爆炎が噴出、風を斬り裂き大地を抉り立てて、戦闘機械は爆裂的な迫力をもってレイへと迫る!
「ほらー玲子が怒らせるから……なんか高速モード入ったっぽいんだけど」
『いや私か!? それ私のせいか!?』
激しく疑義を唱えながらも、玲子はレイに素早く指示を飛ばす。
『相手が|重力制御《クソゲー》なら、こっちも|重力《クソゲー》をぶつけるまでだ……つっこみな! ああまどろっこしい、貸しなっ!』
「突っ込むの!? ちょ、ま、体の制御返して―!!??」
玲子の操作の下、レイはまっしぐらに戦闘機械群に突進する! アブナイ! このままではレイは真っ向微塵に砕け散るのみではないか!? だがここで玲子のドラテクが唸って光る!
『ハンド人を右にぃぃ! キリング・アワー&ラベンダー・ブルーコンボォ!』
「ハンド人ってなに―!!??」
叫ぶレイの声の木霊が消えるより早く、ついに敵に激突した彼女だったが、おお!
『グワーッ!!??』
悲鳴を上げて転倒したのはDEM-504のみだ! レイはかすり傷ひとつ負ってはいないではないか!
『想定通り! 『|消すと増える《ストライサンド》』で相手の攻撃判定と接触判定を喰ってやった! あいつらの挙動はバグって不安定、さあ畳みかけな!』
「わー……相変わらず|インチキ《グリッチ》だ」
『|戦術《グリッチ》だ!』
「バグらせたら荒ぶって余計面倒なことになりそうなんだけど……」
『こっちの攻撃は通る仕様!』
「インチキだ……」
だが戦いにインチキも何もないのだ! まともに作動できなくなったDEM-504の軍勢に、レイは情け容赦なく砲撃を叩き込む! 装甲をぶち抜かれ轟爆する戦闘機械群は行動制御ができぬまま、さらにフラフラと味方機にぶつかり、巻き込み、引きずり込んで誘爆に誘爆を重ねていく大惨事!
『グワーッ! お、お許しくださいゼーロット様―!!!!』
そのまま凄まじい火柱が天へと噴きあがり、閃光と轟音、そして爆炎の中、DEM-504たちは灰燼に帰したのだった。
その光景を見届け、レイはヨシ! と頷く。
「片付いたね。じゃあこのまま巨大ロボ工場へ進もう!」
『……隠しボスめいた巨大ロボねぇ、こいつ絶対|めんどくせー奴《クソゲー》だって』
明らかに眉をしかめていることが伝わる玲子の声に、レイは答える。
「でもまあ、ゼーロッなんとかさんよりはまともに戦えそうじゃない?」
『そこまで来たら名前覚えてやんな?』
🔵🔵🔵 大成功

重力を纏う拳を、掌で受け止める。
異能の奔流は掌で呑む。慣性ごと、殺した。
動きは鈍重、ならば誘え。
跳爪鉤のフェイントで横へ誘導、
斥殻紐で脚を絡め、倒れ込ませる。
グラップルから甲殻籠手でねじ伏せ、殻突刃を密着で突き立てる。
右掌は奴の能力の核を奪う。
打撃が打撃でなくなった瞬間、
我が殻はただの壁ではなく、断罪となる。
拘束中も殴りかかるならば、全て迎え撃つ。
掌で捕え、封じ、砕く。それが我の触厭。
連撃を狙う敵を、あえて密着で抱え込む。
封じた異能は脅威でなく、重石に過ぎぬ。
汝が地を割る拳ならば、その拳ごと我が殻で穿つ。
止まることを知らぬ機構の暴走に、終止符を。
「汝らの行動、且は|命《めい》か、覚悟か?」
彼の静かな問いに、鋼の巨体はセンサーを明滅させ答える。
『オーダーに全力で応じるのが我らの製造目的であり存在意義です。この身が破壊されようとも。ゆえにあなたをここから先に通すことはできません、√能力者』
「そうか。己が身に変えても関門を守る、それも|武士《もののふ》の矜持と見た。ならば……」
|和紋・蜚廉 《わもん・はいれん》(現世の遺骸・h07277)は眼前に聳え立つ鋼の番人たち、DEM-504機械群に戦士としての意気地を見る。そうであるのならば。
「生命と機械とに尊厳の点で異なるところなし。戦士としての敬意持って推し通る!」
漆黒の総身に凄まじい闘気が膨れ上がる! 魂の猛り、命の昂ぶりが蜚廉の全身を包み、時間が炸裂したような一瞬が弾けた!
閃光のように疾駆した蜚廉の動きを、しかしDEM-504は超感度センサーにて把握、タイミングを見切ったかのように巨岩のごとき鉄拳を繰り出した! 達人・蜚廉の動きに合わせることが可能な、これがマシンの力だというのか!
だが無論。
「そう、その軌道で撃つであろう」
読まれることを読んでこその一流。
蜚廉はむしろ敵に討たせやすい位置に身を置き、その拳を誘ったのだ。だがただでさえ恐るべき破壊力を秘めた敵機の拳は重力を纏い、大地すら叩き割るであろう威力に膨れ上がっている! 軌道を読めたとてこれを捌き斬れるものであろうか!?
ああ、だが人は知るであろう、それを為し得てこその――武であると!
ふわりと舞うように繰り出された蜚廉の右手は吸い付くようにDEM-504の一撃を迎え、むしろ柔らかささえ感じさせるほどに――その勢いを止めたのだ。
『これは!? 計算に合いません!?』
愕然とする戦闘機械の言こそがまさに正しい。本来ありうるはずのない結果。だがそれを起こした力こそ、蜚廉の能力――|触厭《ショクエン》。
「穢れに染まりし掌にて、触れし力よ、我を嫌え。……慣性ごと殺した、汝の能力はもはや働かぬ」
相手の能力を否定する、それが蜚廉の繰り出した掌の正体。だが、無論……その力が機能したのは、敵に触れた一瞬のことだ。すなわち、相手の攻撃のタイミングを見切りそれに合わせ抑えた所作はあくまでも、武人・蜚廉の、重ねる年月に鍛え上げ磨き上げられた修練の結実であった!
相手の動揺を見て取った蜚廉はすかさず逆襲に転じる。
彼の繰り出した風を切るような一撃に、DEM-504はデータの修正を試みつつ辛うじて対応を間に合わせ、そして。
それさえも誘われたことを理解する。
側面へ展開した動きに絡みつくような斥殻紐が、巨体を支える脚の自由を奪っていたのだ。己自身の重さが己の敵となり、DEM-504は土煙を上げ轟音立てて大地に激しく転倒する!
体躯の大きさが違い過ぎる相手に手玉に取られるがごとく玩弄されることに、戦闘機械は衝撃を禁じ得ぬ。
『こ、これは……高度かつ瞬時な複数の力学的作用……!』
「左様、武とは明晰な理論であり工学である。ゆえに機械よ、汝らも学び得たものだ。破壊のみに囚われさえしなければな……」
淡々と事実のみを述べながら、蜚廉は相手をねじ伏せ、同時に流れるような流麗さで殻突刃を敵の装甲の間隙に突き立てた。
『うおおお!?』
火花を散らしもがくDEM-504は悪あがきにも似て自らの関節が破砕されることも構わず蜚廉に殴りかかろうと拳を振り上げ、そして――そのすべてを撃ち砕かれた。
「汝の打撃はすでに能力の核を失い、打撃ではなくただの重石に過ぎぬ。ならばその瞬間、――我が殻はただの壁ではなく、断罪となったのだ」
『ガガガ……GA……Ga……ga』
次第にDEM-504の反応は低下し、切れることなくボディ内から響く破断音と反比例するかのようにそのセンサーアイは明るさを失っていく。それは機械の断末魔に他ならなかった。
「止まることを知らぬ機構の暴走に、終止符を。機械よ、最後まで尽きぬ闘志見事であった。いや――」
蜚廉は完全停止した鋼の亡骸から離れ、僅かに瞑目する。
「礼をもってその名を呼ぼう、汝は良き敵であった、――DEM-504」
🔵🔵🔵 大成功

※連携&アドリブ歓迎
√ウォーゾーンから攻め込もうとしてる計画があったとはね。
幸い逆侵攻の好機も掴めたからエデンの護り手たる第零課の役目を果たそう。
一見したところ好感は持てる相手だけど此処は戦場だからね。
鋼鉄でもこの刃で断てない筈が無い、仕留めさせて貰うよ。
如何に重力と慣性を操ろうとも関節や武装の可動域は物理法則に縛られている。
素早さが此方を上回り、仕留めたと確信させた時にカウンターをお見舞いするよ。
必殺剣である【天然理心流・無明三段突き】ならば如何に頑丈な装甲でもコアまで貫けない筈がない。
悪くはない相手だったよ。
ある程度数を減らしたら仲間と連絡を取り合って突破し本命の作戦目標へと向かおう。
「√ウォーゾーンから攻め込もうとしてる計画があったとはね……」
|土方・ユル 《ひじかた・ゆる》(ホロケウカムイ・h00104)は刀の鯉口を静かに切りながら凛然としたまなざしを眼前に向ける。
かつて京洛の狼と称された剣士たちを彷彿とさせる鋭い眼光は、まぎれもなく彼女が大地の覇者たる狼の獣人であることを示すものでもあった。
「幸い逆侵攻の好機も掴めた。ならばエデンの護り手たる第零課の役目を果たさせてもらおう。――この先のカテドラル・グロンバインとやらを攻め落とすことでね」
『それがあなたにとっての『守護』というわけですな。能力者殿!』
ユルの言葉に、待ち受ける戦闘機械、DEM-504は反応を示す。その合成音声の中に、単に敵対する者というだけではない不思議な親昵さがあるように聞こえたのは、彼女の気のせいだったろうか。
『ですが、我らもこの場を守れと命を受け配置されたもの。ゆえに、あなたをここから先へ通すわけには参りません。それが我らにとっての『守護』なのですからね!』
「そうか……君たちも公儀の守護者という点ではボクと同じか」
ユルは、今感じた親近感の意味を知る。決して相容れない立場なれども、相通じる部分もあったのだと。
『さよう、滅私奉公の公僕です。ゆえに戦わねばなりません』
「宿命だね」
『はい、まこと宮仕えとは辛いものですな……いつも横暴な上司と勝手なことを言う民衆との板挟みですし……』
……なんかしみじみと愚痴り始めた戦闘機械。そっか、どこでも公務員は辛いのか。思わずユルも悲しい目にならざるを得ない。だって彼女もそうだから!
「うん……そうだよね……つらいよね……休憩中にジュース買うだけで後ろ指刺されたりとかさ」
『おお、分かります! わかりますとも! 我らも充電中にちょっとネットに繋いで暇を潰すだけでログを取られてなんやかんや言われるのです! いいではありませんか充電中くらい!』
「あー! あー! あるある! 税金の無駄遣いとかいわれてさ! 知らないよそんなの!!!」
『じゃああなたたちがこの仕事やってみろって言いたくなりますよね!』
「なる! なるよ!」
見つめ合う瞳と瞳。まさかこんなところで世界を超えた同志に出会うとは、ユルには思いもかけぬことであった!
「………ただ、だからこそ職責は果たさなければね……此処は戦場だから」
『左様。では参りますぞ!』
おお、何と悲痛な定めであろうか。悲しき定めの公務員同志はそれゆえに刃を交えねばならぬとは。
『グラビティ・オーバーライド!!』
504の真紅のセンサーアイが血のように輝きを増し、同時にその超重量のはずの巨体が空間にふわりと揺らぐ。重力と慣性を制御する超越のテクノロジーが戦術級の殲滅機と一体になった時、それは恐るべきマーダーマシンの姿を取る!
漆黒の風がゆるの眼前を通り抜けた! 超高速機動のDEM-504の必殺の一撃をかろうじてユルがかわし得たのは、彼女のの中に猛る狼としての野生の本能がしからしめたところに他ならぬ。
『さすがですな能力者殿! しかしいつまでもちますか!』
「さっさと終わらせたいよね。おまわりさんは残業代の審査厳しいんだよ」
『おお、分かりますとも! ならばこれで――終業と参りましょう!』
DEM-504はまっしぐらにユルの喉元へ鉄拳を見舞わんとする。重力と速度に加え、慣性すらも増加させたその一撃をまともに受けては肉片すら残るまい! だが!
「如何に重力と慣性を操ろうとも関節や武装の可動域は物理法則に縛られている。――君がどう動くはもう見切った」
静謐につぶやいたユルの腰間から光芒が走った。
速さが問題ではない。どの軌道に沿って来るかが問題なのだ。そしてそれを読み切ったユルにとって、あとは――刃を合わせるだけの話だった。
初撃。鮮烈な刃の切っ先がマシンの鉄拳を貫いた。だがそれだけでは終わらぬ!
間髪入れぬ次撃! 衝撃が逃げ場のないままにDEM-504の体内へと走り、そして!
終撃! 光すら欺いて迸った三連撃は、無限に破壊力を増幅し、多重装甲をも粉砕して相手のコアを粉砕していた! それこそは、ある時代の末日に宿命と共に生き、はかなくも華麗に散った、ある天才剣士の忘れ形見……!
「――『天然理心流・無明三段突き』」
『……お見事です、能力者殿……!』
あたかも京の桜が散り果てるがごとく崩壊していくDEM-504の残骸に、ユルは祈るように目を閉じた。
「悪くはない相手だったよ、同志……!」
🔵🔵🔵 大成功

アドリブ・絡み大歓迎。
欠落:恐怖心なので迷惑にならない無茶はする。
有効な技能を積極的に使う。
どの能力も食らうとけっこう痛そうなヤツばっかりだねえ。
よくよく敵の動きを見切って、技を出そうとするタイミングで√能力を使う。
1~3秒程度で初動を封じてその隙に攻撃しよう。
一緒に戦う人のサポートにも使えるかな。
なるべく敵だけを視界に収めるようにして、皆が狙いやすいように。
相手が機械じゃあ食べられる所無いよねえ。
怪異食研究の参考にもならないのが残念だなあ
「機械かぁ……残念だなあ……」
|北條・春幸《ホウジョウ ハルユキ》(汎神解剖機関 食用部・h01096)はいかにも無念そうに重い吐息を漏らした。
『いやそちらから√ウォーゾーンに来ておいて機械かーって言われてましても、我らとしても困りますな!?』
春幸の眼前に待ち構えていた戦闘機械、DEM-504は心外なと言わんばかりに憮然とする。うん、それはまあ機械の方が正しい。
「まあそうなんだけどねえ、だって機械でしょ。機械じゃあさ……」
と、春幸はなおも残念さを隠す様子もなく上目遣いにDEM-504を見つめた。
「……食べられる所ないじゃない」
『なんて!?』
思わず食い気味にDEM-504たちは突っ込む! ああ食い気味ってそういう!
『いやそういう意味ではありません! って言いますかおそらくきっと多分絶対我らのマイクが不調のようだったのですが、今なんとおっしゃいましたか能力者殿!?』
「食べられる所ないじゃないって」
『ほんとに食べる気だった!?』
愕然とする戦闘機械たち! 戦って破壊されることは覚悟の上であろうが、まさか食べられるかどうかを測られるとは思いもしなかったことだろう!
しかしそれも仕方のないことだ。何しろ春幸は汎神解剖機関の食用部。怪異を使った料理に関してはその人ありと知られ、『春幸の3分間怪異クッキング』などの動画配信は軒並み高い評価を受けているのだ!
「この季節は冷やし怪異とか流し怪異とかが美味しいよね……ってことでなんか怪異食の参考になるかなーと思って来たんだけど……やっぱり機械しかいないか―。それじゃ食べるわけには……」
と、そこでぴたりと春幸の言葉が止まる。
同時に、眼鏡の奥できらりと瞳が煌めいた。
ざわり、とその髪が靡いたようだ。あたかも、――獲物を見つけた肉食獣のように!
「いや……機械が食べられない、なんて誰が決めた?」
『落ち着いてください能力者殿!? 我らは食えません!?』
「やってみなくちゃわからないじゃないか! そう、何事も実験だ! 実験なくして人は前へと進むことはできない!」
悲しいお知らせ。
春幸の欠落は「恐怖心」であった。
ゆえに。
機械でも食えるんじゃね?
……的な発想に至ることはまったく自然なコトであったのだ。
常識を受け流す! これぞ受け流し技能の発動!
『いやそれは恐怖心とかそういう次元の話ではないのでは!?』
「食わせろ! 機械!!」
『ぎゃー!!! 機械食い―!!??』
事ここに至ればやむを得ない! DEM-504たちは自らの身を守るためにも戦闘行動に打って出るしかない!
『グ、グラビティ・コンビネーション!!!』
猛烈な勢いでDEM-504たちはその身に装備された全火器を射出! 虚空を塗り潰すほどに撃ち放たれたミサイルや榴弾がもたらす爆裂的な轟炎と閃光が大地を包み、爆風が雲を吹きとばす!
だが――春幸はその地獄の中を平然と駆け抜けてゆくではないか。
何故ならば……おお、見よ。
全ての爆炎が、衝撃波が、弾き飛ばされた岩石が――彼の周囲でぴたりと停止しているではないか!
「『|チョコラテ・イングレス《だるまさんがころんだ》』――!」
春幸が使用した能力こそ、視界内のすべての対象を停止させる恐るべき√能力! しかし、目を開いている間しか効果がないゆえ、通常ならばその効果時間はごく短いはずだ。だが!
「まともに食らうと痛そうだけど。うん、オーラってのは便利だよねえ」
ほくそ笑む春幸の言葉通り、彼は自身の眼球にオーラ防御を展開していたのだ。これにより眼球の乾燥は防がれ、いつまでも目を開いていられる!
さらに、DEM-504たちがでたらめに火力を撃ちまくったことも仇となった。爆裂し吹き飛んでいく岩塊や土砂による地形の変化を利用することは彼の十八番であったのだから!
かくして機械群に接敵した春幸は、楽し気にナイフとフォークを両手に閃かせ、DEM-504たちに対して大きく口を開けたのだ。当然、DEM-504たちもまた、春幸の能力によって動けない!
「いただきまあす」
『お、落ち着いてください能力者殿! 金属ですよ我々!!??』
「√EDENにはサファイアより硬度が高いアイスがあるって話を知ってるかい? それが食べられるんなら金属も食べられるさ!」
『そ、それは溶かしながら食べるからとかそういう話では……ぎゃああああ!!!』
怪異。
それは果たして誰のことであろうか。怖い怖い。
🔵🔵🔵 大成功

【アドリブ・連携歓迎】
この先へ行かせるわけにはいかねえだァ?それはこっちの台詞なんだよ!
テメーらが√EDENに乗り込む前に、全員ここでブッ壊してやる!!
使うのはSPD!
まず、相手が飛ばしてくる砲撃は√能力で撃ち落とす
着弾地点には爆炎が10秒間滞留するから、相手の高速機動への牽制にもなるはずだ
もちろん黒炎のオーラで味方の支援もするぜ
「全身体能力」を高めるんだから、もし味方が「演算能力を持つ生体型機械」であれば、演算能力も強化できるんじゃねえか? 試してみる価値はあるよな!
重力操作は…根性で何とかするしかねえが…至近距離に来るつもりなら、その前に相手の装甲を黒い弾丸と爆炎でボロボロにしてやるよ!
「『この先へ行かせるわけにはいかねえ』だァ……?」
猛り狂った野獣のような獰猛な光が、|葦原・悠斗 《あしはら・ゆうと》(影なる金色・h06401)の金色の瞳に宿った。その形相はすでに修羅のごとく、その姿態は魔神のごとく。
無理もない、悠斗の眼前に待ち構えていた敵は、彼にとっての禁忌を侵そうとしているのだから。
「それはこっちの台詞なんだよ! テメーらが√EDENに乗り込む前に、全員ここでブッ壊してやる!!」
炸裂するような怒りが悠斗の口から弾ける! そう、EDENを侵略されるということは、悠斗の最も大切なもの――彼の中に息づくもう一人の彼、世界の危機とは何も関係のない穏やかで優しいもう一人に危険を及ぼすということに他ならないのだから!
その軍勢の一員たる目の前の敵、鋼の守護者DEM-504とても同罪、悠斗にとって情状を酌量する余地は何もない!
『お互いに譲れぬものがあるのならば最早言葉は不要ですな!』
「最初からてめェらと語ろうなんざ思ってねぇ!!」
宣戦布告はそれで充分。瞬時、双方の熾烈な戦線が展開された。
DEM-504はその身に備えられた無数の重砲火器を一斉に開放、惜しむこともなく悠斗ただ一人に対して撃ち放ったのだ!
ミサイルが猛り榴弾が吠える。天空が悲鳴を上げ、大地が泣き叫ぶほどの爆炎と衝撃が渦巻き世界が引き裂かれんほどだ!
だがその荒野を優斗は走る! 奔る!
彼の身に纏うは深淵なる暗黒すらも欺く果て無き闇の焔。それは優斗を超人たらしめる黒き炎のオーラだ!
「喰らっとけ!『|黒炎弾丸《ブラックバレット》』ォォォ!!」
重厚にして巨大なハンドガン『メラナイト・ロスコウ』から放たれるのは狂猛なる50AEの銃弾にあらず、悠斗の漆黒焔そのものだ。その炎が膨れ上がり、鉄騎たちの砲撃そのものを弾くドームと化しつつ、戦闘機械たちを巻き込んでいく。「滞留する爆発」――物理法則を捻じ曲げたその攻撃こそ、恐るべき悠斗の√能力に他ならぬ!
『さすがですな能力者! ならばその動きを止めるまで!』
だがDEM-504は瞬時に次なるタクティクスを打ち出した。それと同時。
「うおっ!!??」
悠斗の俊足が停止し、がくりと膝を着く。地球を支えさせられた神話のアトラスのごとく、悠斗の全身に信じがたいほどの重さがのしかかる! 超身体能力を得た彼でさえも立ち上がり得ないほどの、それは戦闘機械たちの重力操作による対象の捕縛!
『我らは多少Gが増大しようともどうということはありませんが、生身である能力者殿はいつまでもちますかな!?』
「ッせぇ……気合ィ! 根性ォォォ!!!」
歯を食いしばり目を血走らせて過大な重力に逆らおうとする悠斗を、DEM-504たちは感心したように見つめる。
『その気迫は敬意に値します。もっとも、残念ながら、精神論で打開できる状況ではありませんが』
戦闘機械たちの言うとおりだ。悠斗はこのまま重力の檻に圧し潰されてしまうのか!
ああ、だが。悠斗は嗤ったのだ! 獰猛なる野獣が獲物を見出だした時のように!
「てめぇら、さっきから散々食らっといて……|黒炎《こいつ》を想定してなかったのか」
『!?』
DEM-504がその言葉の意味を理解するより早く、悠斗は気力を振り絞り黒炎を放つ。自分自身に!
それが意味するものは――!
「黒炎は膨張する空間をもたらす。――難しいこたぁ知らねえが、こういうんだろ。『万有斥力』ってなあ!!」
そう、膨れ上がる空間は排斥する力である斥力を発生させ、引き寄せる力である引力を――相殺する!
『な、なんですと!!??』
「遅ぇ! もうこっちの間合いだ!!」
驚愕するDEM-504たちに、重力差から解き放たれた悠斗は一瞬のうちに黒炎を斉射! 鋼の巨体を轟爆火炎地獄の中に包んでいったのだった。
「てめぇら、精神論では打開できないっつってたが、『守りたい思い』で立ったんだ、俺はな。誰にも負ける気はねえ、その思いだけは……」
🔵🔵🔵 大成功

連携歓迎ng描写無し 念の為、作戦5希望
逆侵攻作戦の開始を確認。どの作戦を決行する事になろうとまずは目の前の敵機撃破を最優先事項に設定します。
【戦闘】
「EOCマント」を使った「迷彩」技能により透明になりながら「狙撃銃」による狙撃を「スナイパー」技能によって行います。「情報収集」技能で出来るだけ相手との距離を取る事が出来る狙撃ポイントを探し√能力発動。狙撃を開始。「バックパック」の徹甲弾を使い敵がこちらに近づく前に高機動を可能としているブースターを「貫通攻撃」により撃ち抜き、対処していきたいです。
敵の朗らかな人格は羨ましいですね。あの様な人格が自分にもあれば人に友好的だとアピールできるのですが。
「逆侵攻作戦の開始を確認……」
フォー・フルード(理由なき友好者・h01293)は冷静沈着に淡々と音声を発する。
「目の前の敵機撃破を最優先事項に設定します」
『おお、ご同類ですか? せっかくご同類にお会いできたのですから、ひとつこの上質のオイルで乾杯! ……と参りたかったところですが、どうもそうもいかないご様子! 残念ですねえ、HAHAHA!』
静かなフォーの合成音声とは逆に、同じく合成音声ながらも賑やかで陽気な戦闘機械DEM-504はカラカラと笑い声を立てていた。
「……あなたがたの朗らかな設定人格は羨ましいですね」
一瞬たりとも手を休めることなく戦闘準備を整えつつ、それでもフォーはぽつりと漏らした。
『いやいや、どうせ我らは戦う機械ですからね。ならば、怒ったり悲しんだりするよりも、せめて楽しく笑っていた方がいいではないですか……という理由だったようですね、我らの人格設定は』
「深い哲学ですね」
『いやいや、褒めても何も出ませんよ! まあミサイルは出ますがね、HAHAHA!』
同様にDEM-504も機銃のセイフティを解除しミサイルを装填しつつ、それすらも冗談として答える。
不思議な光景、と言えよう。
一秒後かもしれないし一分後かもしれないが、とにかくお互い殺し合うのだ。それは決して免れ得ない定められた結末。それでも、どこかのどかな世間話のように、二種のマシンの会話は続いていた。
『それに、ご同類の静かで客観的な御言辞も、信頼性と頼もしさがあって尊敬に値すると思いますが』
「ですが、人に友好的だとアピールできるのはあなたがたの方でしょう」
『ふむ……』
DEM-504は赤いセンサーアイを明滅させ、しばしAI内で検討を行う。
『ならばですね、ご同類も笑ってみてはいかがです。こんな感じに、HAHAHA!!』
「笑う……」
フォーのデータに齟齬が生じる。笑うとは何だろう。
「笑うというのは、人間が楽しさや嬉しさを感じた時の反応と認識しています。嬉しくも楽しくもないのに笑うのは不自然ではありませんか?」
フォーの問いに、戦闘機械は巨体を揺らして答える。「楽しそう」に。
『いや、そうでもないようです。人間というのは不思議なもので……楽しいから笑う、というだけでなく、笑ったら楽しくなる、ということもあるようですな。因果が可逆的と言いますか』
「……そういうものですか」
フォーの内部、より深い階層に、何故かその回答は強い強度で記録された。
とても大切な言葉のように。
『無論、我らもデータとして認識しているだけです。ですが、もしそれが本当なら、ご同類も試して見られるとよろしいかもしれません。何もなくとも笑ってみるのですな。そうすると、周りの人間は楽しくなるかもしれません』
「そうですか……ご助言感謝いたします」
『いやいや。さて、ではそろそろですかな』
「そうですね」
状況がかちりと切り替わる。デジタルに。何の情緒も余韻もなく。
両者は水が高所から低所へ流れていくように自然に、風が吹き抜けるように滑らかに、お互いに武器を構えた。
それが機械。戦闘のための機械なのだから。
瞬時、フォーはその姿を焼失させる。EOCマントを使った多機能迷彩だ。DEM-504はフォーの姿を捉えるためのセンサーの切り替えに僅かながら時間を要する、その刹那はフォーが間合いを取るのに十二分。
「距離、方向、風向、風力、湿度、すべて算出完了……」
一瞬遅れて、DEM-504も攻撃を開始する。ミサイルが唸り声をあげ迫撃砲が風を切り、機関砲が壊れたオルガンのような悲しげな声で哭いた。
その猛火力が巻き起こす爆炎の中で、フォーは冷静に準備を完了する。
「誤差許容範囲内――|予測演算射撃機構《セルフ・ワーキング》|射出《FIRE》」
一声。
ただ一声の銃声が乾いて響いた。長く長く、尾を引いて。
フォーの放った徹甲弾が相手の装甲を撃ち抜くのは、その一発だけでよかった。
何故なら。
――DEM-504はもう、一機しかいなかったから。
これまでの他の√能力者たちの戦いで消耗し破壊され殲滅され、この戦場に残ったのは「彼」が最後だったのだ。
「それでも、あなたは笑っていたのですね……」
自分が最後の機体であり、あとは撃破されるだけと認識していたはずだ。物言わぬ鉄塊と化したDEM-504を見下ろし、フォーはつぶやく。
「ははは、はは」
不器用に不自然に、フォーは笑い声を合成してみる。
けれど。
「データに齟齬。……笑っても、楽しくはなりませんよ、ご同類……」
ただ乾いた風だけが通り過ぎていくようだった。笑いながら。……泣くように笑いながら。
🔵🔵🔵 大成功
第2章 ボス戦 『絶望の天秤を揺らす黒の指手・ノクターナ』

POW
この駒たちが動くたび、貴方の選択肢は減っていく…
命中する限り「【チェスの駒を模した配下の機械生命体】による攻撃→技能攻撃→[チェスの駒を模した配下の機械生命体]攻撃→技能攻撃」を何度でも繰り返せる。技能攻撃の成功率は技能レベルに依存し、同じ技能は一度しか使えない。
命中する限り「【チェスの駒を模した配下の機械生命体】による攻撃→技能攻撃→[チェスの駒を模した配下の機械生命体]攻撃→技能攻撃」を何度でも繰り返せる。技能攻撃の成功率は技能レベルに依存し、同じ技能は一度しか使えない。
SPD
貴方がクイーンを取れたら、投了いたしましょう…
【クイーンの駒を模したユニット】と完全融合し、【高主力レーザーと重力支配】による攻撃+空間引き寄せ能力を得る。また、シナリオで獲得した🔵と同回数まで、死後即座に蘇生する。
【クイーンの駒を模したユニット】と完全融合し、【高主力レーザーと重力支配】による攻撃+空間引き寄せ能力を得る。また、シナリオで獲得した🔵と同回数まで、死後即座に蘇生する。
WIZ
さあ… 死との対話を始めましょうか…
【盤上神話】を語ると、自身から半径レベルm内が、語りの内容を反映した【チェスの盤面】に変わる。この中では自身が物語の主人公となり、攻撃は射程が届く限り全て必中となる。
【盤上神話】を語ると、自身から半径レベルm内が、語りの内容を反映した【チェスの盤面】に変わる。この中では自身が物語の主人公となり、攻撃は射程が届く限り全て必中となる。
かくして√能力者たちは防衛線を抜け疾走していた。
目的地はすでに衆議の一致で決定している。
謎の簒奪者、正体不明の巨大ロボット――『グロンバイン』の拠点たる大工場、「カテドラル・グロンバイン」だ!
グロンバイン本体はまだ現れていないが、むしろそれがチャンス。拠点を潰せば出現前に大ダメージを与えられることは想像に難くない。
だが、敵もまたそれを想定していたようだ。
三ッ池公園前に鉄壁の防御陣が既に展開されているではないか!
「『|玉将《グロンバイン様》』を取られるわけにはいきません……」
現れたのは恐るべき黒の指し手、ノクターナだ!
……いや、そこはキングとかクイーンとかいうべきでは?
「MSがチェスをよく知らないのです……なので将棋になります……」
そっかー知らないかー! じゃあしょうがないね!
「我が鉄壁の穴熊戦法……破れるものなら破ってごらんなさい……!」

フォー・フルード(h01293)と参加
フォーの車に乗せてもらい、布陣の外縁を迂回。正面突破を避け、側面から敵の盤面へ接触。接敵の直前、穢語帳を起動。車両を起点に聲影の帳を展開し、敵の配置や秩序を無意味に塗り潰す。
盤面の法則が失われた空間では、敵は位置と命令を見失い、統制を崩すはず。
ドリフト停止の揺れと共に降車。跳躍とダッシュで間合いを詰め、捕縛技能で接近する駒を斥殻紐で絡める。
環境耐性で不安定な足場も踏み越え、敵の注意を我が身へと集める。
その間にフォーが、射撃の機を定めればいい。
我が帳が攪乱を生み、汝の一撃がそれを断つ。
勝負を指すのに、何も正面のみから挑む必要は無い。

和紋・蜚廉 (h07277)と参加
ここまでやって来た車「ヘリカルギアDS21」に乗り、和紋さんを回収します。
なるほど側面から。穴熊が相手なら正しい判断かと思われます。穴を掘り切るよりも早く、姿焼きといきましょう
アクセルを踏み込んで「運転」技術で迅速に陣の側面に移動。その後敵の陣へと突撃します。
和紋さんの√能力発動後ドリフトで急停止、和紋さんが降りたのを確認後こちらも√能力発動。
√能力によって敵陣の移動の様子を再現。和紋さんの能力で混乱している今、敵は間違いなく王の守りに隙間が空く。
敵の動きから逆算し敵陣に有効な狙撃できる地点を予測次第停車。
車のボンネットを土台に狙撃を行います。
さて、王手です。
「古今東西、いかなる戦場においてもその優位性が崩れぬ戦術が一つある。それは……」
重厚なる古武士を思わせる|和紋・蜚廉《わもん・はいれん》(現世の遺骸・h07277)の言葉に、傍らの今一人がセンサーアイを明滅させた。その固体認識名、フォー・フルード(理由なき友好者・h01293)。
「挟撃、ですね」
頷き、蜚廉は他の同志たちに告げた。
「然り。ゆえに……我らは貴公らと別行動を取り、敵軍の側面を突くと心得られよ」
二人だけでよいのか、と同志たちが案じる声にも、フォーはこともなげに答える。
「遊軍である以上は機動戦が主眼となります。少人数の方がむしろ効率的と言えるでしょう。では我らはこれで――」
「貴公らも武運を祈る」
フォーと蜚廉は車に身を預けると、土煙を上げて走り去った。郷愁を誘うようなクラシックな外見ながらその内部構造には超越の技術力を注ぎ込まれたフォーの装甲車「ヘリカルギア」、それが目指すは鉄騎の大群が整然と待ち構える鉄壁の防衛陣!
待ち構える戦闘機械群はあまりにも多く、しかも整然と陣を敷いている。そこにただ二人で突入しようとしながらも、二人の相貌に一片の怯懦も逡巡もなし。漆黒の攻殻に身を鎧い、闇色の装甲に全身を包んだ二人の黒色遊撃隊が戦塵を吹き払って吶喊する!
「運……」
「む?」
装甲車を疾駆させつつ、フォーがポツリと漏らした合成声に、蜚廉は微かに首を傾ける。
「先ほどおっしゃった、『運』、という言葉。人間の皆さんはよく口にしますね」
「ふむ。理解しがたい概念か?」
「いえ、発生確率の低い乱数の偏りが生じた場合、として理解はします。ですが乱数以上のものとして認識できたことがないので。認識してみたいとは思っていますが」
「いずれはその機会もあろう、ゆえに」
「ええ、今は生き残ることですね」
ヘリカルギアは敵陣を大きく迂回、側面へ回り込もうとする。と、その時。
「動いた」
蜚廉が触覚を蠢かし、鋭くつぶやく。その言葉通り、敵陣の全面がにわかに動揺し、動きを見せたことがフォーのマルチセンサーにも明確に捉えられた。
「本隊の方々が誘ってくださったようですね」
「ならば好機、参るぞ!」
然り、本隊は遊撃群の突入の一瞬前にあえて自隊の姿を晒し、敵軍の注意を引いたのだ。敵の意識が空白となったこの瞬間の奇襲こそ、最も大打撃を与える機会だ!
「殻に刻まれし聲よ、影となりて現れろ。我が語り、いま帳を下ろす──主役はこの身。『|穢語帳《エゴチョウ》』!!!」
一陣の風が竜巻へと変じたかのように、今、激走の装甲車は土煙を蹴立て大地を抉りながら壮絶な|方向転換《ドリフト》! 陣の真横へと接敵する!
同時、口訣の残響すら置き去りに蜚廉の身が翻り、その周囲が暗黒の陥穽へと陥ったかのごとくに一切の光を失った。
おお、それこそは蜚廉の奥義! あらゆるものの意味と秩序を黒き虚無へと塗り潰す戦慄の舞台の幕開けだ!
『GAgaga……!!??』
命令を受諾することもできず自律判断をも失わされた機械人形を何と呼ぶべきか、それはただの鉄塊に過ぎぬ。
右往左往するだけの木偶の間を漆黒の風のように蜚廉は駆け抜けていく、あとに残るものはギアを絡めとられ芋虫のように蠢くだけの機械たちだけだ。
「いくらでも来るが良い、汝らは今、我しか見ること能わぬ。我がこの舞台の大看板なればな!」
甲殻の下の顔に表情が浮かぶのであればそれは笑みであっただろう。波のように押し寄せる敵軍であったが、領域に足を踏み入れた瞬間に彼らは蜚廉の相手役にすらならぬ、只の舞台背景と化すのみなのだから。
「フォー、任せたぞ」
蜚廉が全幅の信頼を載せたひと言を漏らした時、既にフォーも能力を発動している。
「逆行演算開始、状況再現を始めます。『|事象再現演算《バックログシミュレーション》』」
フォーのスキャナーは全センサー探知範囲内のインビジブルとの連動を開始! 彼の超高速AI内で展開される状況の再現により、フォーは戦場全体に対するリアルタイムでの完全なる把握を可能とする!
「和紋さんほどの武術者ならば素早く一撃ずつで仕留めていくこともできるでしょうが、あえて派手に動いてくれている……予測演算の精確性向上を確認しました」
フォーは友の戦いを明確明晰に認識しつつ、無駄なく精確精密にスナイパーライフルを構える。
本来、秩序が失われた√能力内の集団の行動はカオスとなり、フォーと言えども完全予測は難しくなるはずだ。だが、蜚廉は自身の動きを中心点とすることで、敵軍全体のカオスを制御化に置いたのだ。
即ち、今のフォーは、気温、湿度、風力、風向、そして無数の敵のランダムな動きすらも……。
「測定及び算出完了。照準誤差許容範囲内――」
こういうときは、とフォーは自身のメモリを呼び出す。先ほど、蜚廉に教わったのだ。こういう時に口にする人間の言葉を。
「『これで王手です』」
ミクロンの狂いもなく引かれたトリガーがボルトを開放し超高速徹甲弾を叩きだす――!
音速を遥かに超えた死の一撃は、次の瞬間、まごうことなく敵将「ノクターナ」の額に漆黒の刻印を焼き付けていたのだった。
頭を吹き飛ばされたノクターナの姿に大混乱に陥る敵軍を尻目に、駆け戻ってきた蜚廉をフォーは迎える。
「見事、フォー。すぐ復活するだろうが、我らの役割としては十二分」
「はい、和紋さん」
フォーは車を出しながら、ふとつぶやく。
「……先ほどの、『運』の話ですが」
「む、何か感じたか?」
チカチカとセンサーアイを明滅させ、フォーは答えた。
「考えてみれば、いくつもの世界、無数の人々の中で、私は和紋さんに出会えたのですね。これが――きっと、「幸運」なのでしょう」
「……いいよるわ。だが、相違なし」
二人の漆黒の戦士はどちらも静かに深い充実感を覚えながら、次なる戦いを目指すのだった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

※連携&アドリブ歓迎
最初の防衛線は突破出来たけど当然敵も備えてるよね。
ならば勢いのままに防御陣を崩そうか。
如何なる指し手でも盤自体をひっくり返せば次には続けられないからね。
先ずは乗せて来て貰ったバスの屋根から大きくジャンプして
霊気を帯びし愛刀による【天然理心流・牙突一本突き】で開幕だね。
絶え間なく押し寄せる連携は見切り、反撃し、勘に頼って躱そうか。
此処を抜けた先は何が待ち受けてるのかな?
本来なら物量とキミの駒に因って詰みとなるんだろうけれど
此の地は既に死合いの場、一方的に蹂躙される場ではないよ。
遊戯では済まない真に命を賭けた場で変わらず冷静に打ち続けることがキミには出来るかな?

アドリブ連携歓迎
|ポーンチェーン《防御陣形》ですか
下手に動くと|フォーク《必ず駒が取られる》されますし|キャスリング《王に逃走》されても厄介です、一息に崩しましょう
希(h00248)さんの撃墜王の屋根に乗せてもらい選択√能力を発動
敵の攻撃に早業カウンターで横薙ぎに抜刀しレーザーごと敵の軍勢を切断しましょう
避けきれない熱量は量子干渉弾頭の弾幕で分解し叢雲の弾に武器改造、熱量属性攻撃のグレネードとして返してやり陣形を崩すことでの盤面に破壊工作を仕掛けます
道は開きました、|ディスカバードアタック《後続からの追撃》をお願いします!

【アドリブ・連携歓迎】
SPDを使用
椿之原・希(h00248)のバス……撃墜王に相乗りする
屋根から迎撃する人員は足りてそうだから、俺は普通に乗り込むとするか
で、座席付近の窓から上半身を乗り出して、地上から迫って/追ってくる敵を√能力で迎撃する!
相手の重力操作はさっき使った方法で切り抜けさせてもらうぜ
つまり『万有斥力』ってヤツだ!
うるせーーーッ!!
チェスだか将棋だか知らねえが(本当にルールがわかっていない)……俺の答えはこうだーーッ!!(ものすごい勢いで引き金を引いてバカスカ撃ちまくる!)

アドリブ・絡み大歓迎。
欠落:恐怖心なので迷惑にならない無茶はする。
有効な技能を積極的に使う。
ありがとうね、椿之原君!
戦場を真っ赤なバスで駆け抜けながらの銃撃戦は中々楽しいね!
屋根の上から√能力で敵を足止めしつつ攻撃しつつボスに肉薄だ!
さて、人型をしてるけど彼女も機械なのかな。
まあいいや。機械でも。人工筋肉とかなら意外と美味しいんじゃない?
どんな攻撃をしようと関係ない。
攻撃の初動を√能力で止めてしまえば攻撃は当てられない。
割とイラっとするだろう?こんな地味な嫌がらせ。
機械にも感情があるのかな。
だったら、これで冷静さを欠いてくれるといいんだけどね

希ちゃん(h00248)が呼び出した撃墜王に相乗りするよ
『へぇ、目的地まで全速前進できるじゃん』
配下大量召喚してきそうだから、『亜空間力学』で撃墜王の当たり判定を拡大して、すれ違っただけで相手が無に当たって接触ダメージが入る様にするのはどうかな、玲子
『良いんじゃね、配下処理楽になりそうだし』
『相手は必中効果付与だからガチ回避は諦めろ、詐欺判定すり抜けてきた勇気ある配下はペネトレイターで、遠くで芋砂狙いの配下はグラビティ・スノウを使って【ジャストガード】【カウンター】【範囲攻撃】』
『撃墜王狙いはラベンダー・ブルーで被弾判定消失(ジャミング)ですり抜け回避、攻撃当たる前に迎撃と防御な』

アドリブ連携OK!
希(h00248)ちゃんのバスに同乗させてもらうね。
ううん、希ちゃんパイセンに似て可愛いバス…いや結構物騒な感じだな!?
チェスはさっぱり(フォーク?食器?でぃ、でぃすかばりーちゃんねる??√ウォーゾーンでは貴重なタンパク源??)だけど将棋はちょっと分かる!
あれだよね飛車が強いんだよね。敵を跳ね飛ばしながら直進してパワーアップすると竜になるんでしょ?やだ、これあたしのことだ…!
よぉしそれならあたしも将棋のルールに則って戦うね!
屋根の上に登って、杖を進行方向に向けながら√能力を発動!余波は周りの敵に飛ばしてみんなの援護をするよ
これがっあたしのっ将棋だああああ飛車びぃーーっむ!!!

アドリブ連携歓迎
ふゥん?守りを固めてきたって訳ネ。
んーじゃあーそうだな……ヒットアンドアウェイ、機動力活かして存分に切り込むとしましょうかねェ。けひひっ。
希(h00248)の撃墜王の屋根に乗って移動。敵陣が見えてきたらバスから飛び降りて√能力発動。
鏖灼戦禍。今回重視するのは脚ってェ事で……
2本縦に繋げた槌脚を8ツ、腰から生やして16。残りの10は怪腕に回して化物の完成に御座いってな。
ほら、騎士って駒は機動力に長けてるだろう?将棋だチェスだと準えるなら、オレも乗ってやろうと思ってな。
て事で、だ。跳んで撥ねて地を蹴って、縦横無尽に敵陣に切り込み殴り潰すぜ。
きひゃはっ!オレばかり見てちゃダメだぜェ?

必殺の甘ぐま戦法何するものぞ、なのです!あっ穴熊なのですごめんなさい!(ぺこり)
私は装備品【自動運転バス「撃墜王」】と現場走破用に√能力【爆走!撃墜王!】を使って皆さんをバスにのせて三ッ池公園のぐろんばいんさんの所まで爆走しようとします。
将棋バトル…七歳児の将棋ぢからをみせる時。
「撃墜王」召喚!このバスは味方の人達をたくさん屋根や車内に乗せて目的地まで最短距離で走り抜けます!
相手からの攻撃には√能力「爆走!撃墜王!」別名「我、香車也」を発動!
急加速で危険な攻撃を避けて…避け…どいてくださいどいてください!あーーーっ!!(240㎞/hくらいの速さですぽぽぽーんっといい音をして突っ込む撃墜王)

アドリブ連携可
人手は幾らあっても足りない事は無し!
わたしも加勢致します!あとロボも見たいので!!
穴熊と言うと、ざっくり引きこもり戦法って感じですよね。
|だから滅びた《ルール改正》……
それはともかく、こちらには勝算があります!
言霊『火剋水』で論破してやりますよ!
チェス盤の主な素材は木製、つまり|燃やせば燃える《火は木に強い》。
そしてあなたたち機械は金属製、つまり|燃やせば溶ける《火は金に強い》。ついでに機械は熱に弱い。
即ち!わたしはどう足掻いても有利!穴熊だろうが何だろうが一切合切燃やせば勝ち!覚悟!!!!
霊剣を振るいつつ、浄化の焔とヒート脇差で駒を片っ端から焼却しちゃいましょう!

絡みアドリブ歓迎
ヒャッハー!ここの敵はボス格デスカァ。こいつは楽しみデース!って、取り巻きで肉壁作って引き籠るタイプデスカ・・・こいつは期待外れになりそうデスネェ・・・
「穴熊とか駒の強さが決まってるから成り立つ戦法で、ただの雑魚を並べたところで何の役にも立たねぇデスヨ!」
まとめて一掃してもいいデスガ無双する方が面白そうデスネェ。格の違いってやつを教えてやるデス!
√能力を起動し、配下の機械生命体を斬り捨てながらノクターナに詰め寄る
「自慢の駒がクソの役にも立たずに潰されて、今どんな気分デス?」
「それじゃぁ敗残の将らしくその首置いて逝けデース!」
●
「フッ……この鉄壁にして絶対の穴熊陣形を突破できるとは思わないことです……!」
恐るべきウォーゾーンの戦闘機械、ノクターナは悠然たる風格を漂わせ待ち受ける。彼女の指揮する戦闘機械群はがっちりと守備を固め、アリ一匹入り込む余地すらないほどだ。
この無敵陣形に対していかに挑むか、√能力者たち!
その答えはこれだ!
先手、5九バス!!
「……ばす?」
5九バス!
「バスって何です!?」
偵察の「歩」の報告に対してノクターナの叫びが響き渡る。
だがその報告に間違いなし。
能力者たちは――一斉にバスに乗り込んでいたのだ!
|椿之原・希 《つばきのはら・のぞみ》(慈雨の娘・h00248)の用意したバスに!
ノクターナは必死で状況を整理し落ち着こうとする。
「しょ、少女の通学バスですか……その程度のものが我らに通用するとでも……」
だが希の凛々しい宣言にその尊厳は虚しくもブレイク!
「行くのです! 撃墜王!」
「撃墜王って何です!? 可愛い女の子が使う名前ですか!?」
「撃墜王は撃墜王なのです! 撃墜王に掛かれば甘クマ戦法なんかどーんなのです!」
ぶっぶー! 勇壮なるクラクション音を立てて現れた超絶装甲無敵車両こそ、あらゆる危ないことから希を守る、あんしんあんぜんなバス・撃墜王!
そして撃墜王の中にみつしりと乗り込んでいるものたちこそ√能力者たちの大軍団だ!
「なんかこう……通学バスに乗るってノスタルジーだよな……俺も昔はいい子でよ……いや今もいい子だけどな」
「私は徒歩でしたからバス通学には憧れたものです」
「あ、オレはオレは」「僕はねえ」「あたしはさー」「あ、おやつ食べます?」
なんか一斉に懐かし話に花が咲いていた!
「ええい、何を和やかな空気を! 皆の者、攻撃を開始するので……」
苛立ったノクターナが全軍に攻撃指示を出そうとした、しかしその時!
戦闘機械陣の側面が突如、大きく揺らぎ乱れ始めたのだ。
「別動隊のお二人が攻撃に成功したようですね!」
|真心・観千流《まごころ みちる》(真心家長女にして生態型情報移民船壱番艦・h00289)がきらりと澄んだ瞳を煌めかせる。
彼女の量子測定には、別動隊の二人が見事に敵陣を乱している状況が明確に認識されていた。
これこそは正面の本隊があえて目立って注意を惹き、その隙に側面を遊撃部隊が奇襲する作戦。そう、もちろんここまでのアレな雰囲気は敵の油断を誘うためのお芝居なのだ! きっと!
「もちろんですとも! さあ、では希ちゃん!」
「はいです! げきついおう、はっしーん! みなさん、きけんですから、こう……しっかりしてください!」
「しっかりすればいいんだ……」
轟然! 撃墜王は大地を削り上げ土砂と岩塊をばらまきつつ凄絶な勢いで爆走を開始した! 目指すは相手の玉たるノクターナただ一人!
●
だが当然、側面を大きく乱されつつも、大軍たる戦闘機械たちは一斉に戦闘バス・撃墜王に襲い掛かる。
その時! 撃墜王の屋根に風を浴びて立ち上がる一人の戦士!
「この狼の牙、先陣を切り開かせてもらおう!」
|土方・ユル《 ひじかた・ゆる》(ホロケウカムイ・h00104)のエントリーだ!
「行くぞっ!」
撃墜王の屋根から天空高く跳躍したユルの抜刀に光が当たって鮮やかに映える! 吠え猛る狼の獲物は、同じく超跳躍してバスを狙いに来た一体の戦闘機械だ!
その頭部ヘッドギアはあたかも馬を模した形状のごとし。まさに馬の形質そのままに、その脚力は天をも突く。だが狼とて劣るものではない、今、天空高く、牙剥く餓狼といななく悍馬、二匹の獣が野生の本能のままに激突する!
「その跳躍、なかなかのもの。『桂馬』と見た!」
一瞬の煌めきの中に二人は対となる軌跡を描き交錯!
僅かに遅れて鋼の衝撃音が響き渡った時にはすでに両者は大地に着地している。
『ケェェェエイイイイ!』
振り返った戦闘機械は馬頭の開口部から鋭い吠え声を立て、威嚇した。
だがユルは振り向きもせず、次の敵を求めて平然と歩み去る。
訝しげに立ちすくんだ次の瞬間、――『桂馬』はその馬首の根本から激しく火花を噴き上げ、無機質にごとりと倒れ伏したのだった。
悠然と静かに納刀しながらユルはつぶやく。
「突きの極意は引きにあり。天然理心流・牙突一本突き――。敵将・桂馬、討ち取ったり……!」
飛電の一閃は桂馬の攻撃に出るスピードを上回る神速で繰り出され、ただ一撃、敵の中枢回路を貫いていたのだった。
それこそは落日の時代を超え新時代へと生き様を継いだ、ある狼の遺産――。
●
しかしバスの周辺には雲霞のごとく敵軍は押し寄せてくる。
「ウゼエな、こいつらは何だ? 歩く……とか胸に書いてあるが」
|葦原・悠斗《あしはら・ゆうと》(影なる金色・h06401)は眉をしかめつつ、バスの車窓から身を乗り出して斉射を続けていた。重厚なる拳銃から爆発的に放たれる漆黒の焔が意志持つ竜のごとくにうねりくねって敵兵たちを飲み込んでいくが、その後から後から敵軍は現れてくる。
「歩く、じゃなく、『歩』だねえ、たぶん」
|北條・春幸 《ホウジョウ ハルユキ》(汎神解剖機関 食用部・h01096)は悠斗の反対側の車窓からシリンジシューターを淡々と撃ち放ち、敵を駆逐しながら状況を観察している。
「歩? ンだよ、確かそれって、一番の雑魚じゃねえか?」
「いや、そうでもないさ。歩っていうのは……」
と、その時! 撃墜王に接近した鉄騎の一体が金色に光ると、その体躯に異変を生じさせ始めた! 装甲が展開し、収納されていた武器が解放されていく!
「なんだ!? 変形しやがった!?」
「歩は、敵陣に入ると「成る」んだ。強力な第二形態にパワーアップ、ってとこかな」
「成る……だと。それが……」
悠斗は改めて視界内を埋め尽くす「歩」の群に目を向けた。
「あれだけいやがるってことか! へっ、こいつぁ面白ぇ。一匹たりともこの車には近づけねえぜ!」
「じゃあそっちを頼むねー。僕はこっち側の敵止めるから」
意気上がる悠斗とのんびりした春幸は、されど同時に、バスの両側からそれぞれ一斉にその秘められた能力を解き放った!
「チェスとか将棋とか知ったこっちゃねえが、俺の答えはこうだ! 喰らっとけ!! 『|黒炎弾丸《ブラックバレット》』ォォォ!!!」
轟然と放たれた暗黒の業火は敵軍の真ん中に着弾すると、その刹那、一瞬にして空間ごと爆裂するように膨張する! 急速に膨れ上がった空間は物理法則の例外、重力さえも反発する万有斥力を生じさせ、「歩」たちをまとめて吹きとばす!
「|チョコラテ・イングレス《だるまさんが転んだ》!」
一方春幸もそのメガネの奥の目を煌めかせた。その視界が捉えるもの一切ことごとく――動きを失い静寂の中に永遠にとどまるが定めだ!
「割とイラっとするだろ? こういう地味な嫌がらせ」
停止させられた「歩」たちの中を突っ切り、撃墜王は爆走していく。
「あー、しまった」
その光景を後に、ふと、春幸は惜しそうにつぶやいた。
「『歩』と『成り金』って味は違うのかな? 試してみればよかったなあ」
「なんかとんでもない一言が聴こえた気がするが、聞かなかったことにしとくぜ……」
●
「|必殺名剣・カミキリ丸《ナンカアソンデタラデキタヤツ》!!! 『香車』、撃破です!!」
天空を薙ぎ払った無情の断刃は閃光の剣となって敵軍を一斉に両斬していた。ただ突っ込んでくるしかできなかった敵将・香車は僅かな抵抗らしき抵抗もできぬまま塵に帰す。
それこそは観千流の誇る天下の名剣、カミキリ丸。折り紙を42回折ることで精製される絶対の刃だ! ちなみに読者諸氏も折り紙とか新聞紙を42回折れればこの剣は作れる。夏休みの自由研究にいかがだろうか。
「夏休みの自由研究で量子の域に届いちゃう少年少女いたら怖いなあ……しかし……」
おまけとばかりにグレネードをポポイとぶん投げつつ、ふと、観千流は細い首を傾げ、周囲を見回した。
ユルが獅子奮迅の働きで敵群を斬り裂いており、春幸の停止させた軍勢を悠斗の黒炎が焼き払っている。それ以外にも各ルート能力者が個々、派手に戦いを繰り広げながら、撃墜王の進軍を幇助していた。
けれど。
「……敵の動き、ただのパワープレイですね? 『黒の指し手』とか若干中学生的な二つ名まで名乗っておいて、その程度なのでしょうか、ノクターナちゃん……」
言い方がね。手心というかね。
「失礼、言い直します、中学二年生的な。思春期に誰でも通る的な」
手心。
●
「いよいよ大物のおでましか!」
|レイ・イクス・ドッペルノイン《RX-99》(人生という名のクソゲー・h02896)の視野に捉えられたのは、斜め方向、地平線の彼方から凄まじい気負いで爆走してくる巨大なる戦闘機械だ!
その姿は額と頭の両脇、肩、肘、膝など全身に鋭い攻角を生やしたトゲトゲの体、見るからに角ばっているとしか言いようがない! もう全身で主張している、自分はカクカクしていますと!
『……角行だな、ありゃ』
「角だよねえ……どう見ても」
大駒の一つ、角行がついに戦場に現れたのだ。知見を共有するAnkerの九十九・玲子と同意を確認しつつ、レイは撃墜王の屋根に上る。
「さて、アレをどう止めるかだけど」
『止まんないだろ。必中効果もあるからガチ回避も諦めるしかねえ。だから』
「だよねえ」
レイは頷くと能力を発動した。
「メソッド・|亜空間力学《ナゾノシ》!」
詠唱の響く瞬間、虚空が歌い出し物理法則が酒に酔ったように陽気なステップを踏み始める。第三者が仮に存在し、傍から撃墜王を眺めていれば、こう見えただろう……光と空気が撃墜王の形状のまま膨れ上がっていると。
それは――「当たり判定の拡大」を意味する! 物理的な世界に撃墜王の占める領域を疑似的に拡張したのだ。すなわち!
「角スラーッシュ!!! うおおおお!!???」
全力で体当たりを仕掛けようとしてきた「角」は、撃墜王本体よりも先に拡大された撃墜王の領域に命中した。そして忘れてはならぬ、彼は角であるがゆえに、斜めから突進してきたことを! つまり!
「こうして斜めの角度ではじく」
弾かれたのだ!
真正面からぶつかれば吸収しきれず破砕されたかもしれぬ、また回避もできぬ。
だが、斜めから当たってきたがゆえに、角は避弾経始によって、当たりながらも転がって明後日の方向へ飛んでいき……バランスを崩して自ら大地に激突したのだった。
「角、撃破。……これでいいのかなあ」
『ま、いいんじゃね。このまま目的地まで全速前進といこう』
●
「えーとね、たしか、飛車が強い」
シアニ・レンツィ(|不完全な竜人《フォルスドラゴンプロトコル》・h02503)は、」撃墜王の屋根の上で、必死に将棋のルールを思い出そうとしていた。
「敵を跳ね飛ばしながら直進して……パワーアップすると竜になるんでしょ? あはは、なんか単純だなあ。いやでもどっかできいたことあるな?」
うーん、と腕を組んだシアニは、ぽんと手を叩く。
「それあたしだー!」
きみだー!
しかしなんたる偶然か、今まさにシアニの眼前に、天空を揺らめかせて猛然と疾駆する一体の巨大な戦闘機械の影!
「うおおおおおおおおお! 飛車ボンバー!!!!!!」
激烈なるタックルを仕掛けようとしてくるその戦闘機械こそは飛車に間違いない! 自分で言ってるから!
「くっ、迎撃……間に合わないっ!?」
シアニは飛車の速度に一手遅れたかもしれぬ、と戦慄する。このまま撃墜王は粉砕されてしまうのか! しかし!
「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!飛車ボンバー!!!!!!」
飛車はそのまま撃墜王をを通り過ぎ、まっすぐ遥か彼方へと走り去ってしまった!
これは一体!?
ぽかんと見送るシアニの視界の向こうで飛車は停止。同時にただでさえ巨大だったその鋼鉄の体を膨れ上がらせていく。首長く伸び、尾が翻り、翼がはためいて、牙と爪が輝く、竜の姿に!
「チェーンジ!『竜王』!」
「おおー!!!」
思わずぱちぱちと手を叩かざるを得ないシアニ。そう、飛車は「|成る《変形する》」ためにわざわざ向こうまで飛んでったのだ! 真面目だ!
「多くの同胞を倒した貴公たちと戦うには我も全力を振り絞るまで!行くぞ!」
「か、かっこいいよ竜王センパイ!! でも……」
シアニはぎゅっとこぶしを握り締める!
「竜としての戦いならあたしも負けるわけにはいかない! あたしも将棋のルールに則って戦うね!」
「望むところ、来い!」
「飛車びぃーーっむ!!!」
「……えっ」
びぃぃぃーむ!!!
シアニの振りかざした杖の先端から放たれた極太ビームは遠慮会釈なくまっしぐらに竜王目掛けて飛んでいき。
「いやどこが将棋だー!? ぐおおおお!!!」
それでも耐えようとする竜王を……。
「震度7」
衝撃波でひっくり返したのだった。
ひっくり返れば竜王は竜王ではなくなる。
はい撃破―!
「そんな馬鹿な―!??」
「ふっ……これがあたしの将棋だよ!」
●
最早大多数の戦闘機械たちは討ち取られ、爆走する撃墜王は敵将ノクターナに間近まで迫っていた。次々と繰り出す手勢が自慢の穴熊の布陣そのものを崩していくことにつながり、ノクターナ軍は崩壊寸前と見える。
「このまま即詰みといっちまうかぁ? けひひっ」
|凍雲・灰那 《いてぐも・はな》(Embers・h00159)はほくそ笑みながら敵陣に迫っていた。ヒットアンドアウェイ、機動力を活かしてこのまま敵将の首を取るのも悪くはない。
……だが。
「そうはいかぬ! この『銀将』がノクターナ様の元へは近づけさせぬぞ!」
白銀に輝くボディの機械戦士が長大な棍を隆々としごきながら灰那へと迫って来ていた! 旋風のごとく回される棍棒は千変万化、恐るべき破壊力を秘めているに違いない!
「とくと見るが良い、我が棒銀戦法を!」
「……棒銀ってそういう意味じゃなくね?」
「えっ……違うの? 棒を使うから棒銀であろう?」
灰那は少し考えて、でも。
「……めんどくさいからもうそれでいいわ。んじゃあ、いくか! |緋岸華・鏖灼戦禍《リュコリアス・レーヴァテイン》!!」
詠唱の響くや否や、灰那の姿が変わる! 2本縦に繋げた槌脚8本が腰から蠢き生え、腕が岩のようにごつごつと節くれだっていく!
「ぬう、姿を変えるとは面妖な!」
「お前らだって散々|変形《成駒》してるじゃねえかよ!?」
「だが我はなぜか変形のお許しがあまり出ないのだ……」
「まあ……銀は成らずに使えっていうからな……」
「本当は変形できるのにさせてもらえない!この苦しみがわかるか!」
「知らねえよ!?」
「ちくしょおおお!! 棒銀を喰らえー!!」
なんか半泣きになりながら棍棒を突っ込んできた銀将に、灰那はその超絶の跳躍力で天空高く舞い上がると、一瞬のうちに頭上を飛び越え――。
銀将の背後に降り立った瞬間、そのボディを怪腕でぶち抜いていた。
「ぐおお……」
呻きながら倒れていく銀将に、灰那は静かに告げる。
「お前は銀だから後ろの防御が甘かった。「成って」真後ろに動けたら、今の攻撃、防げたのにな……」
「や、やっぱり……成りたかった……がくっ」
●
「ついにここまで来たか。だがここまでだ。守りの要、金将たる私がいる限りノクターナ様への元へは……」
「霊剣・緋焔!!」
「あっつ!? あっっついな!!??いきなりなんだ君は!? 少し話し合おうという気がないのか!?」
いきなり霊験の焔を突き付けられて涙目になりながら飛びのいた金将に、|久瀬・八雲《 くぜ・やくも》(緋焔の霊剣士・h03717)はしれっとした表情で首をかしげる。
「えっ、話をしたいんですか? 私と?」
「いやしたいとは言ってないが、つまり問答無用よりは多少……」
「わかりましたお話ししましょう! あなたが言ったんですからねもう逃がしませんよ!」
「えっ何この子怖っ!?」
「まず私の勝ちです!」
「経緯! 経緯とばさないで! 初手でまず勝ってるやつ初めて見たわ!」
これはダメっぽい、もう完全に八雲のペースである。なまじ金将は真面目っぽいだけに。
「いいでしょう順を追って説明しましょう。チェス盤も将棋盤も、主な素材は木製、つまり|燃やせば燃える《火は木に強い》。そしてあなたたち機械は金属製、つまり|燃やせば溶ける《火は金に強い》」
「私すなわち金の融点は1000度以上で熱には強いのだが」
「つまり1000度以上には弱い!」
「それ言ったら何でもありだろうが!?」
「ついでに機械は熱に弱い。即ち! わたしはどう足掻いても有利! 穴熊だろうが何だろうが一切合切燃やせば勝ち!」
摩訶不思議! まくしたてた八雲の言葉が響くにつれ、周囲に巻き起こった紅蓮の炎が嵐のように吹きすさび、世界を朱色に染めていくではないか。これこそ語った内容を反映した五行相克を実現する能力、「言霊火克水」の力だ!
おお、堅牢を誇る金将の装甲さえ融解していくではないか。物理的に1000度を超えたというよりも、火は金を溶かすという概念自体が具現化しているのだ!
「ぐおおお!? し、しかしいくらなんでも屁理屈だけで負けてたまるか!」
捨て身の逆襲に転じようとする金将であったが、しかし!
「じゃあ金将さんは理屈や理論を否定するのですか。将棋という競技で理論やルールを否定したらそれはもう将棋ではありません。あなたは自分自身を否定するのではありませんか!」
「あれっそうなのかなあ!? ぐあああああ!!!!」
なんか最後まで煙に撒かれ崩れ落ちていく金将に、八雲は静かに言葉を送るのだった。
「さようなら金将さん。あなたは……真面目過ぎたんです……」
八雲が勢いに乗り過ぎたともいう。
●
「穴熊とか駒の強さが決まってるから成り立つ戦法で、ただの雑魚を並べたところで何の役にも立たねぇデスヨ! それがよくわかったデスカネエ!!!」
手に引っさげた大鎌からぼたぼたと|血《オイル》を滴らせながら、生ける死の化身にして破滅の顕現でもある|白神・真綾《しらかみ まあや》(首狩る白兎ヴォーパルバニー・h00844)は哄笑しつつ姿を現した。
これまでの能力者たちの奮戦で、穴熊の陣形は完全に破壊され、今となってはノクターナのみが孤影を戦場に引くのみだ。
「自慢の駒がクソの役にも立たずに潰されて、今どんな気分デス?」
「ほほほ。駒を自慢に思う指し手はおりません……。駒はただの駒……。道具です」
だがどうしたことか、真綾の虚無の底から覗き込むような恐ろしい瞳を直視してなお、ノクターナの威勢は揺るがない。その姿に、真綾はむしろ魂が踊り出すような歓喜を覚える。
(ほほお……何か手を残してやがるデスネエ。多少面白いデース。なら、その策ごと噛み砕くだけデース!)
「それじゃぁ敗残の将らしくその首置いて逝けデース!」
「ほほほ、気の早いこと……誰も投了してはおりませぬよ……」
ぞわりと膨れ上がるような妖気を持って殺到してくるノクターナの残兵たちを、真綾は鬼気迫る白刃を奮って斬り捨てていく。黒の指し手と純白の殺戮兎はその牙を鮮烈にかみ合わせ、狂い合う。敵の一挙手一投足のすべてが致死の凶器と知りつつも、それ故にこそ真綾の白い炎は燃えあがらずにはいられない!
「|殲滅する白光蛇の牙《エリミネートバイパーズファング》! 首よこせデース!!」
翻った鎌の一撃がノクターナの胸を確実に抉り、黒の指し手はよろめいた。|致命打《詰み》には及ばぬが、王手だ!
そして同時に、能力者たちの乗り込んだ撃墜王が激しい勢いで到着したのだった。
●
「ここまでです、ノクターナさん! ごめんなさいってしてください!」
撃墜王の運転席から身を乗り出し、希は「めっ」!とばかりに可愛らしく睨みつける。そう、すべての駒を討ち取られ、自らも真綾に手傷を負わされた今ここに至っては、もはやノクターナに打つ手はないはずだ。
「潔く自害するなら介錯はしてあげるけど」
ユルが突きつけた刃にも、だが、なんとしたことか。ノクターナは余裕綽々で天を仰ぎ、哄笑したではないか。
「ほほほ。愚かなり√能力者。この黒の指し手まで言われたノクターナが何の策もなく詰めろに追い込まれたと思うのですか」
「んだとぉ?負け惜しみを……」
「いや、待ってくれ、これは!?」
目を尖らせた悠斗を抑え、春幸がはっと息を飲む。
他の能力者たちも一斉にその異変を感じ取っていた!
「えっ、ちょっと待って、あれって何!?」
シアニが指さした光景こそまさに戦慄の名が相応しい。
おお、地平線が霞んで見えぬ! まるで周囲から一斉に沸き立つように、無数ともいえる機械兵団が出現したではないか! 灰那が苛立たし気に言葉を吐き捨てる。
「けっ、伏兵とはやってくれるじゃねえか……」
「話聞いてくれそうな人いますかね……?」
八雲も若干とはいえ不安げな姿を隠せない。
対し、ノクターナは完全に勝利を確信したように手を翻らせた。
「ほーっほほほ! これぞウォーゾーン流将棋兵法超奥義! 『大局将棋』です!!!」
『な、なんだとぉ、大局将棋!!?? クソゲーオブザクソゲーバイザクソゲーフォーザクソゲーとも呼べるヤツじゃねえか!?』
「知っているの玲子!?」
自分の頭の中で絶句した玲子にレイが息せき切って尋ねる! さすがクソゲーマニア、玲子は大局将棋についても知悉していた!
『大局将棋! そいつは歴史の中に埋もれ、知る人さえ少なかった伝説の将棋……すべての将棋の中で最も多数の、いや地上全てのボードゲームの中で最も多くの駒を使う究極の将棋だぜ! 駒の数――自軍だけで209種類402枚!』
なんということか、ここまでに相当の力を使ってきた能力者たちが、今からさらに400体の敵と戦わねばならぬというのか!
「ほーっほっほ! 諦めるのはあなたたちの方だったようですね! さあおとなしく……」
ノクターナが大きく腕を振り上げ、大局将棋軍団に進撃の号令を下そうとした時!
「飛車ボンバー!」「角スラーッシュ!」
轟く気勢と共に、大局将棋軍団たちが次々と薙ぎ倒されて行ったではないか!
「何っ!?」
目を見開くノクターナの視界に映り出たものは、おお! 飛車、角、金、銀、桂、香車、歩! 将棋駒の戦闘機械たちが暴れこんでくる姿だ!
「お、お前たち、裏切ったのですか!?」
「ふっふっふ、それは違いますよ、ノクターナちゃん! 彼らは将棋の駒、つまり……!」
ドヤった観千流がふんす! と息荒く胸を張る。
「取った私たちのものになるのです!」
「あっ」
あっじゃねーんだわ。
そう、能力者たちが将棋駒たちをすべて倒した以上、復活した彼らは、文字通り能力者たちの手駒となるのだ! ここにきて能力者たちの戦力は一気に増加!
「くっ、しかし、まだ我らの方が圧倒的に多数! 大局将棋軍団よ、彼らを捻り潰しなさい!!」
「ぴーがが」
「なさい!」
「ぴーがが」
「ど、どうしたのです!?なぜ動かないのです!?」
作動しない大局将棋たちにノクターナは焦る、だが、一向に反応しない!
「えっとね。玲子が言ってる」
レイは哀れんだ目でノクターナを見つめた。
「大局将棋は駒の数多すぎて密度高すぎるから、序盤は動ける駒ロクにないんだって」
「あっ」
あっじゃねーんだわ。
ということでノクターナは文字通りの自縄自縛、まともに動けない状況に陥ったのだ!
「ヒャ-ハハハハ! 結局部下の手を借りるしかないやつはこんなもんデスネエ!」
「力は借りるのではなく合わせるものなのです! さあみなさん!」
真綾の哄笑と共に響いた希の声に、√能力者はそれぞれのパワーを撃墜王に集中させた!
「天然理心流・牙突―!!」「名剣カミキリマル―!!」「|黒炎弾丸《ブラックバレット》ォ!!」「チョコラテ・イングレース!」「メソッド・亜空間力学!」「ドラゴンブレース!!」「|緋岸華・鏖灼戦禍《リュコリアス・レーヴァテイン》!!」「言霊『|火剋水《カコクスイ》』!!!」「ヒャッハー!!『|殲滅する白光蛇の牙《エリミネートバイパーズファング》』!!」
「え、ちょ、オーバーキルすぎ……」
蒼褪めたノクターナなど知ったことかと言わんばかりに撃墜王の車体が金色に眩く輝き煌めく! 全てのルート能力を結集した撃墜王は今、超絶メガハイパーファイナル進化!
「ちぇーんじ! ゲキツイテイオー!」
おお、なんたる神々しさか!
希の声と共に撃墜王は新たな姿『ゲキツイテイオー』へと生まれ変わったのだ!
さらにそのままゲキツイテイオーは金色の彗星となって猛然と突撃! 天も地も時も次元も泣き叫べ、絶対無比の破壊の概念そのものであるゲキツイテイオーは宇宙そのものをも引き裂かんばかりの超衝撃を巻き起こし、――ノクターナを木っ端みじんに吹きとばしたのだ!
「うぎゃあああー!!!!」
光の中に消えていくノクターナを見送り、チーム撃墜王は高らかに凱歌を上げる。
「えい、えい、げきついおー!!!!」
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第3章 ボス戦 『鐵浮屠』

POW
対√能力反応装甲
自身が受けた武器や√能力を複製した【攻撃の威力を相殺する増加装甲】を創造する。これは通常の行動とは別に使用でき、1回発動すると壊れる。
自身が受けた武器や√能力を複製した【攻撃の威力を相殺する増加装甲】を創造する。これは通常の行動とは別に使用でき、1回発動すると壊れる。
SPD
重騎兵衝鋒
【エネルギーバリア】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【動能重撃(運動エネルギーを籠めた一撃)】」が使用可能になる。
【エネルギーバリア】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【動能重撃(運動エネルギーを籠めた一撃)】」が使用可能になる。
WIZ
堵牆而進陣
事前に招集しておいた12体の【量産型鐵浮屠】(レベルは自身の半分)を指揮する。ただし帰投させるまで、自身と[量産型鐵浮屠]全員の反応速度が半減する。
事前に招集しておいた12体の【量産型鐵浮屠】(レベルは自身の半分)を指揮する。ただし帰投させるまで、自身と[量産型鐵浮屠]全員の反応速度が半減する。
カテドラル・グロンバイン。
それは川崎で最も巨大なロボット工場であり、そして何よりも――謎の簒奪者、合体ロボット・グロンバインの拠点である。
今はグロンバインは不在だが、だからこそ好機だ!
この隙にカテドラルを破壊してしまえばグロンバインの稼働に大きく制限を設けることができるのは間違いないうえ、戦闘機械群全体に大打撃を与えられる!
また、グロンバインが将来もし現れた時のためにも、情報を収集しておくことも可能かもしれない。グロンバイン本体のデータやスペアパーツ……あるいは1/144グロンバインのスケールモデルとかあるかも!
しかし、そういった重要拠点であるからこそ、警備は厳重だ。
待ち構えるのは全長20mにも及ぶ巨大ロボ・鐵浮屠の軍団!
この巨大ロボたちを倒しカテドラル・グロンバインを破壊せよ!
「グゴゴ……グロンバイン様のデータは渡さぬ……あと1/144グロプラも渡さぬ……今度グロプラ大会があるのだ」
あるんだ。

アドリブ連携歓迎
さて、連携してくる相手ですか……ではそこから崩していきますか!
選択√能力を発動
天候操作で周囲を濃霧にして視界を遮りつつジャマーで自らの存在を隠し、量子操作マテリアルで私の影を無数に作るジャミング+幻影使いで敵を撹乱
武器改造で光の収束率を上げて外に漏れないようにしつつ早業でビットを密着させて零距離の弾幕で一体ずつ静かに撃墜
数が減った所で本体にも同様の攻撃を浴びせて反応速度が落ちている間に有効打を与えましょう
最近は搦手がブームでしてね、クールに行かせてもらいますよ!
「でっか」
|真心・観千流《まごころ みちる》(真心家長女にして生態型情報移民船壱番艦・h00289)は視界に入ってきた相手、鐵浮屠の巨体に思わず声を漏らさざるを得ない。
なにせ、空にそびえるその鋼の体は実に20mはあるのだ!
カテドラル・グロンバインへの侵入を試みる√能力者たちであったが、そここそは巨大合体ロボ・グロンバインの拠点にして川崎最大のロボット工場である。最終警戒網は厳重を極めていた。巨大ロボを警備に常駐させるほどに。
「20mって、スペック上はいわゆるスーパー系にしては若干物足りない大きさではありますが……実際に目にしてみるとでっかいですねえ。私は「物の大きさ」にはあまり拘泥しない方ではありますけれど」
極小の世界を知る観千流にとっては、巨大なるものもあくまで相対的なスケールの中で見るのみだ。ゆえに、敵の大小は彼女にとり大きな意味は持たぬのだが。
「まあ、でっかいからこそ色々見えてくるものもありますね。ではそこから崩していきましょうか!」
澄んだ瞳を不敵に輝かせ、観千流は突撃を開始する――!
『グゴゴ……オイ、今度のグロプラ大会に出す機体は完成したか?』
『もう少しというところだな。フフフ、我の作品を見ればきっと衝撃でフリーズするぞ。あのオリジナル塗装は……おっと! こいつは当日までの秘密よ』
『言ってくれるではないか。だが我の砂漠戦仕様とて負けはせぬ。……む、霧が出てきたか? 本日の気象予告にあったか?』
口々に言い交わしている鐵浮屠たちの足元に観千流はひそかに忍び寄っていた。その周囲から静かに湧き出し漂っていく霧こそは観千流の天候操作能力によるものだ。
(巨体なだけにセンサーの死角も多い、というよりも……最初からヒューマノイドサイズを想定していない感じですねえ)
ふむ、とジャマーを起動しつつ、観千流は考える。そういえば、彼らのボスであるゼーロットはもともと人間を頭から軽蔑し、物の数にも入れていないようなマシンだったと思い出して。√ウォーゾーンは人間対機械ではなく、あくまでマシン同士の内訌がメインの世界、その発想も無理はない。
「なら、いっそのこと……!」
『グゴゴ、やはり奇妙だ、この霧はごく局所的に発生しているぞ? 警戒した方が良いのでは?』
『馬鹿な、たかが霧ごときで……うおお!? あ、あれは何だ!?』
状況の異変を察知しかけた鐵浮屠たちが対応に入りかけたまさにその瞬間!
彼らのセンサーアイが捉えたものは――自らの全高の倍近い巨大なシルエット! いや、巨大な……美少女!
天を突く巨体に可憐な笑顔! 銀に輝く髪に蒼い宝石のように澄んだ瞳のその姿は!
全長40mの超巨大ハイパー観千流だー!
『グゴゴー!? な、なんだアレはー!?』『|チルドレン《量産型》を起動させよ! 緊急事態だ!』
「アレとはご挨拶な。可愛い可愛い観千流ちゃんですよ。ちょっと大きい幻ですが」
虚空を見上げて騒いでいる鐵浮屠たちに若干頬を膨らませつつ、観千流はその隙に彼らの懐に潜り込んだ。あのハイパーな姿こそ量子操作マテリアルで作り出した疑似質量持つ幻影を、霧をスクリーンとして映し出した巨大なる幻影であったのだ。
敵機たちはその製造目的上、巨大な敵――ウォーゾーンサイズの方をよく捉えると観千流は判断。巨大な姿を投影することで相手の解析リソースをそちらに割かせ、実体を巧みに隠蔽したのだ。
「ではまず一機。|レベル1兵装・羽々斬展開《レイン・ビット》――!」
密着した観千流が操作したレインビットが零距離で閃光の雨を降らせた時、音もなく静かに、CPUを撃ち抜かれた巨人機は作動を停止している。熟練の暗殺者のごとくに。
「この調子で他の機体も落とさせてもらいましょう。最近は搦手がブームでしてね、クールに行かせてもらいますよ……フッ」
凄艶に微笑みを浮かべた観千流は深い霧の中、影のように、次なる獲物を求めて飛ぶ。クールに。
『おっきいけど可愛いぞ!』『可愛いけどおっきくないか!?』
「フッ、可愛いのですよ、フッ」
騒いでいる鐵浮屠たちを尻目に、あくまでクールに。
『いや可愛いのかあれ? ヒューマノイドデザインじゃん。人間って無駄にプニプニと柔らかいし変に丸いし全然可愛くないぞ、グロンバイン様みたいなデザインじゃないとな』
「可愛いわい!!」
クールにね。
🔵🔵🔵 大成功

ヒャッハー!今度こそまっとうなボスデスネ?また期待外れだったら真綾ちゃん暴れちゃうデスヨ!
「今度こそ真綾ちゃんを楽しませろデース!」
√能力を起動させて突っ込んでいく
敵の対√能力反応装甲には4連撃の初撃で相殺無効し残りの3連撃を叩き込む
「1回で壊れる追加装甲とか役に立たねぇデース!」
「お祭りも終わったし次は楽しい家探しタイムデース!データは渡さんとか言ってた以上どこかにあるはずデース」
残骸から記録メディアを探し出しグロンバインのデータを漁る
「お祭りも終わったし次は楽しい家探しタイムデース! データは渡さんとか言ってた以上、どこかにあるはずデース」
カテドラル・グロンバインに哄笑とともに蠢くその姿は、華麗にして恐るべき死の化身、|白神・真綾 《しらかみ まあや》(|首狩る白兎《ヴォーパルバニー》・h00844)であった。
何らかのデータを探し出そうと鋼のボディをまさぐっている彼女の周囲には、すでに物言わぬ鉄の塊と化した機械兵が一面に転がっている。
それは、ほんの少し前の出来事だった……。
「ヒャッハー! 真綾ちゃんデース! 今度こそまっとうなボスデスネ? また期待外れだったら真綾ちゃん暴れちゃうデスヨ!」
えっとすみません、|ぱーどん《もう一度いいですか》?
「また期待外れだったら真綾ちゃん暴れちゃうデスヨ!」
いつも暴れ……
「さあ今度こそ真綾ちゃんを楽しませろデース!」
……まあいいや。
ということで、真綾は巨大なる鉄騎兵・鐵浮屠へ向けていかにも楽し気に突っ込んでいったのだ。隠形も潜入も必要ない。彼女の手には禍々しい兇刃を光らせる一筋の大鎌さえあればよい。相手が20m級の見上げるばかりに巨大なロボ群であろうが、この場所が川崎の最重要警備拠点であって警戒が厳重であろうが、そんなものを気にする真綾ではないのだ! でも少しは気にしてもいいんじゃないかな!
『グゴゴ? なんだ、小型の物体がセンサーに反応?』
『|作業機械《ワーカー》が故障でもしたか?』
のんきに言い合っていた鐵浮屠たちを誰が責められようか、まさか小柄なたった一人の人間種の少女が、巨大なる鋼のボディの自分たちに真正面から突っ込んでくるなどと、どこのデータを探しても出てくるはずのない結論であるのだから!
地上にもう一つの三日月が輝いた。それは真綾の手中の大鎌が光子の輝きに満たされた証!
「ヒャッハー!!|殲滅する白光蛇の牙《エリミネートバイパーズファング》!!!」
唸りを上げた大鎌は虚空を引き裂く魔性の牙。殺意を向けた対象がたとえ超鋼の装甲で鎧われていたとしても、その鋭烈なる一閃に耐えられようはずもなし!
真綾の鎌は光の軌跡を残し、まず先頭の巨人の足首を、熱したナイフでチーズを切り取るがごとくに撫で切った! 急激なる衝撃に対応できずバランサーも役に立ちはせず、大きく鋼の巨体を傾けた鐵浮屠の頭部ギアを――次なる一撃が無造作に刈り取っていた。
「ヒャハハハハ! これほど大きい|首《エモノ》はなかなかないデスネエ!!」
鈍重な音を立てて大地に転がった鐵浮屠の首を蹴り飛ばし、真綾は誰憚ることなく哄笑する。その異様な光景に、残りの鐵浮屠たちも今ようやく、尋常ならざる事態が発生したことを悟った。
『グゴゴ、|警報《アラート》、侵入者発見! ヒューマノイドとは計算外だが……ターゲット修正、√能力者と想定……戦闘開始せよ』
巨大なメイスを振りかぶり、鐵浮屠たちは小さな真綾に躊躇なく叩きつける。そこにまさかの逡巡もなくよもやの困惑もない、機械が機械である以上、敵と見定めたのなら全力で排除する以外の行動を彼らは取らない。
それはある意味で、――真綾と似ていた。
ロジカルな判断でエリミネート行動を取る機械たちと、狂気の狭間で踊りながら殺し続ける真綾の行動は、正反対のようでいて、けれどたった一つ共通していたのだ。
『それが敵ならただ殺せ』。
……そのシンプルなただ一点で。
「機械なんてつまらねーと思ってたデスガ……」
ほくそ笑みながら真綾は風を切って叩きつけられてきたメイスを切り捌き、ふわりと舞った真綾は次の獲物目掛けて大鎌を振り上げる。
「こういう殺し合いができるならまあまあデスネエ!!」
『敵距離至近、ルート能力反応確認、回避行動不可、増加装甲展開』
真綾の脅威を測定した鐵巨人は即座に装甲を設置した。|爆発反応装甲《リアクティヴアーマー》、敵の攻撃に対し自発的に爆発することで攻撃ダメージを緩和する装甲である。√EDENの通常軍でも採用されているが、強化発展した技術で応用された√ウォーゾーンでの効果はさらに高く、初撃に関してはたとえ√能力であろうと敵の攻撃を相殺しうる。
……そう、初撃であれば。
「ヒャハハハハ! 笑えるデース、1回で壊れる追加装甲とか役に立たねぇデース!!!」
真綾の嗤いは地獄から響いてくるように木霊した。
その笑い声の中で、閃光は四たび輝く――。
鐵巨人のセンサーアイは、真綾の姿がゆっくりと傾いていくと認識し、そして次の瞬間、己の頭部が切断され落ちて行っていることによる誤認だと修正する。
真綾の鎌は続けざまに舞い、最初の一撃のみを相殺するにとどまった鐵浮屠の首を跳ね飛ばしていたのだ。
「さあ! 次デース! ヒャハハハハ!!!」
鉄の骸に足をかけ、首狩り兎の哄笑がいつまでも響き渡っていった……。
🔵🔵🔵 大成功

アドリブ・絡み大歓迎。
欠落:恐怖心なので迷惑にならない無茶はする。
有効な技能を積極的に使う。
またデカいのが来たねえ。しかも団体様で。
√能力で輝く春幸君の登場だよ!
シューターで毒とマヒ攻撃を撃ち込みまくって行こう。
マヒと毒で弱った体じゃあ攻撃もまともに当てられないだろ?
グロプラ大会君も参加予定?
へえ、プラモでも合体出来るようにしてるの?
見たいなあ。どこに置いてあるんだい?
さて、敵を掃討出来たらお待ちかねの宝探しかな。
ハッキングで設計図か仕様書的なものを持ち帰りたい。
そしてついでに、グロプラも。
このグロプラ、動くぞ!!
コントローラでちょっと遊んでみたり
腕を組み、思惟を凝らし、|北條・春幸 《ホウジョウ ハルユキ》(汎神解剖機関 食用部・h01096)は深く考え込んでいた。あたかも不可解なる人生に苦悩する悩める青年のごとくに。しかしその内容は。
「大きいなあ……どこかに生態パーツか、せめて軟質素材はないかなあ。あれだけ大きければ、どこかにありそうな気はするんだよねえ……食べられるとこ」
食べてみたいなあ。
ってことであった。
正気か!? と思われても仕方ないがそれが春幸であるのだから。
「20mってことはクジラくらいでしょ。つまりクジラ肉っぽい……うわーだめだ想像するだけで涎が出てきそうだ」
それ大きさだけの話だよね?
「よし決めた。軟質素材を探すために! 解体だ!」
決めちゃったかー。
「わーい、解体させておくれよー」
半ばスキップするくらいの勢いで、春幸は鐵巨人・鐵浮屠の軍団目掛け駆けて行ったのだった。
一応現状を確認するが、此処はカテドラル。グロンバイン。謎の簒奪者たる合体ロボ・グロンバインの拠点であり、川崎で最も巨大な規模のロボット工場が設営されている、最も警備厳重なポイントである……。
『グゴゴ? なんだアレは?』『ヒューマノイド? ナイフとフォークを持っているようだが……』
ピコピコとセンサーアイを明滅させて突っ立っているだけの鐵浮屠であったが、そらぁ警戒しろっていう方が無理である。
ナイフとフォークを持って!
全長20mの巨大ロボである自分たちを!
食べに来る人間がいるもんか!
――いたよ! しかもなんか黄金に輝いて!
それこそ春幸の√能力、|怪異解体ショー《カイイカイタイショー》! 食べたい、その純粋な欲望により、満天の星々よりも煌めく太陽よりも光輝く春幸のすべての能力は今や3倍に! 食欲って怖い!
『グゴゴ!? 何かよくわからんが良くない予感がする! 攻撃した方がいい気がする!』
『予感とか人間みたいで非論理的だが我も同意である! 攻撃せよ!』
適切な判断により、鐵浮屠は自分たちが高い性能を有することを証明した。理屈じゃなくとにかくヤバいから攻撃!って、普通の機械にできることではない!偉いぞ!
だが轟然と振り下ろされた巨大なるメイスは、春幸の超人的な領域にまで引き上げられた身体能力により軽々と回避された。ナイフとフォークを口に加え直し、春幸はシリンジシューターを構えると、敵の巨体の下に潜り込み、狙い撃つ!
「毒とマヒ効果のミックスはいかがかな!?」
無造作に撃ち続ける春幸であったが、しかし相手はマシンである。
果たして毒やマヒが効果があるものであろうか?
「つまり、もし効果があれば、それはどっかに生態パーツがあるってことだからね。食べられるってことの証明になるわけさ!」
なるほど理解した。理解しちゃっていいのかな。
『グ、グゴゴ!? どうしたことだ、ボディの制御が上手くできぬ……コントロールエラー! エラー!』
そしてほんとに毒とマヒ効いちゃったよ。
春幸の瞳がメガネの奥できらりと輝く!
「食える!!!!!!!」
そうだね。
「んー、格納庫ってこのあたり?」
少し後。春幸は鐵浮屠たちの格納庫もしくは整備ドックと思しき場所に入り込んでいた。
気のせいか、お腹が少し膨れている、気のせいか、顔がつやつやしていてとても満足気である。気のせいか、ペロリと舌が唇を湿している。だが、何があったかは読者諸氏のご想像にお任せするとしよう。
「グロプラっての、見たいなあ。どこに置いてあるんだろ。宝探しも楽しいけどねえ。設計図か仕様書的なものがあれば……おっと!」
春幸の顔が輝いた。ドックの一か所に大事そうに展示されていた数体のスケールモデルを発見したのだ! まさかこれが、あのお宝だというのか!
「こ、これがグロンバイン! ……って、どいつもこいつもずいぶんアレンジされた造形になってるねえ。これじゃどれがオリジナルに近いのかさえ区別できないが……まあいいや、全部持って帰ろう」
持ち帰って詳細に分析すれば、スペックの一端くらいは予測できるかもしれない。
「って。何でコントローラがあるんだろう……?」
その時ぴきーんと春幸の額に光が奔ったような直感が!
「まさかこいつ動くのか! ひゃっほう、こりゃいいや。絶対持って帰る! 全部!」
もちろんそれはウォーゾーンたちの技術レベルや操作追随性などを分析するための資料なのであり、決して遊ぶためでは
「オールナイトで遊ぶぞー!」
遊ぶんかい。
🔵🔵🔵 大成功

おお……デケェ。流石にちょっと脅威に思うわ、コレは。
……あァ。だからよ。光栄に思えや、侮り抜きで相手してやる。
出番だぜ焔の精。集え、蠢け、膨張しろ。熱を抱いて燃え尽きなァ!!
溢れ出た焔の精を鐵浮屠に群がり付かせるぜ。エネルギーバリアだァ?んじゃあそのバリアごと燃やし尽くしてやるよ!!きひゃははははは!!!
……どれ。焔の精が奴らを【おびき寄せ】てる間に、オレはオレで【情報収集】しとくか。
一番優先してェのは当然グロプ……いや、本体のデータだな。うん。
まァ、仮にィ?その1/144スケールのプラモなんかしか無いってんなら?
しょーがなく参考資料として押収するのも吝かじゃないが?しょうがなくな?
「おお……デケェ。流石にちょっと脅威に思うわ、コレは」
|凍雲・灰那《いてぐも・はな》(Embers・h00159)は珍しく素直に相手の危険性を認めていた。
聳え立つ山のごとき鐵巨人・鐵浮屠の威容を目の当たりにして。
なにせ、その対象は全長20mの大型マシン。しか合体ロボ・グロンバインの拠点であり、川崎最大のロボット工場であるこのカテドラル・グロンバインを防衛するために駐留している重戦闘メカ軍である。並大抵の覚悟で突破できようとも思えない。
だからこそ。
相手がおそるべき存在と知るからこそ。
「……あァ。だからよ。光栄に思えや、――侮り抜きで相手してやる!」
灰那の瞳が真紅に燃え上がる、その存在の奥に秘された本性を現すがごとくに! 強大な敵と知るからこそ、溢れ湧き上がる闘志は抑えきれぬ、どこまでも極限を超えて、相手の、そして己の力を試してみたくなる!
ゆえに灰那は呼号する、己の中の禁忌の力を、名状しがたき力を呼び覚ますために!
「『猛る業火、虚ろなる赤。一天四海を灰燼に帰せ――――|炎を齎す者の軍勢《ミニオンズ・オブ・クトゥグア・スウォームッ》』!!」
禁断たる古代の魔導書にさえ記すことを許されぬその詠唱を灰那が高らかに謳い上げる時、それは暗黒の宇宙の彼方、フォーマルハウトに燃え上がる光が時空の扉を斬り裂いて大地に呼び出される時に他ならない!
焦熱の温度が大地を焦がし、虚空そのものを焼き尽くすかのようににじみ出たものたちこそは、炎の精と呼ばれ畏れられる破壊の化身だ!
「出番だぜ焔の精。集え、蠢け、膨張しろ。熱を抱いて燃え尽きなァ!!」
冷たき炎の御子の命に従い、猛り狂う炎の精たちは赤熱の塊となって、鐵浮屠たちに躍りかかった。
『グゴゴ!? 緊急事態、装甲温度急速上昇、耐熱温度限界を超える、バリア展開』
ほぼ奇襲に近い状況で襲い掛かられたにもかかわらず、即座にバリアを展開する機能を働かせたことは鐵浮屠たちの性能の高さを語るものでもあるだろう。紅蓮の責め苦を一時的にしのいだ鉄人たちは巨大なるメイスを振りかぶり、炎の精たちを駆逐せんと打ちかかる。その威力は確かに凄絶、物理的な意味では森羅万象あらゆるものが破壊を免れ得まい。
だが。
炎の精たちは、メイスをまともに受け四散した次の瞬間、再び凝結して元の姿を取り、いや一層火勢を増して鐵浮屠に取りつくのだ。攻撃を受けたそのエネルギー自体を――炎の力に変えているがごとくに! ゆえに、炎の精に対し攻撃を続ければ続けるほど、無尽蔵にその力を増大させていくのみだ!
『グゴ……バリアジェネレーターオーバーヒート……システムダウン……システムダウン……!!』
「……どれ。焔の精が奴らの相手をしてる間に、オレはオレで情報収集しとくか」
凄惨な戦場を後に、灰那は基地内部に入り込んでいた。マシンの整備や製造を行うような鋼の設備と、美しい花々が咲き乱れる緑地が交錯する不可思議な場所に。
「一番優先してェのは当然グロプ……いや、本体のデータだな。うん」
灰那は無論優先事項を承知している。前半あんなにシリアスでカッコよかったのは、別にグロプラをゲットしたいという情熱に燃えていたから、などという壮大な前フリであったということは決してない!
「ないぞ! ないからな! ……まァ、仮にィ?その1/144スケールのプラモなんかしか無いってんなら? しょーがなく参考資料として押収するのも吝かじゃないが? しょうがなくな?」
そう、その場合はしょうがない。しょうがないのである。
「っていうかさあ、大体プラモってこう、実機のデータの記載とかあるもんじゃん? ということはさあ、プラモが手に入れば実機のこともだいたいわかるじゃん? カーッこれは仕方ねえなあ! プラモ探さねえとなあ!」
仕方ないのである。そう、とても仕方ないのである。
と探し求めた灰那の眼前に、何かに――そう、まるで何らかの宇宙の意思に導かれたかのように宝の山が、いやプラモデル倉庫が現れたではないか!
「あったよ! いやあり過ぎたよ!? なんだこれ! グロンバイン! グロンバインG! 真グロンバイン! ネオグロンバインアーク!? チェンジしすぎだろ!?」
全部同じじゃないですか。
「そうか、分かったぜ……グロンバインとは……宇宙とは……!」
それはきっとわかっちゃいけないやつ!
🔵🔵🔵 大成功

ふっふっふ
冒険者はさ、脇道に落ちてるお宝にこそ心を惹かれてしまうものだし
使い道のないアイテムもとりあえず重量いっぱいまでバックパックにぶち込むものなんだ
ここからはお宝の匂いがするよー!根こそぎだよー!
殴ると固くなる?みたいなので、その前にいっぱい殴るよ!
√能力で足を竜化、動いて跳ねて身体の色んな部位をハンマーでぶっ叩いていくね
追加装甲とあたしの攻撃どっちが早いか勝負!
…ううん、一瞬かわいそうかもって思ったけど
よく考えたら人を傷付けてる後ろで大会開こうとしてるんだよね。なめくさってるね!
片付いたら工場の中で、おもちゃになりそうなもの持って帰りたいなー
一緒にお風呂に入ったり砂場に埋めて遊ぶんだよー
「ふっふっふ……冒険者はさ、脇道に落ちてるお宝にこそ心を惹かれてしまうものだし、使い道のないアイテムもとりあえず重量いっぱいまでバックパックにぶち込むものなんだ」
あとレアアイテムはボス戦でも何となくもったいなくて使えずに、最後まで残ってしまったりするものなのだ。
「あー、あるあるだね……つまり何が言いたいかというと! お宝はお宝であるがゆえに価値があり! お宝であるゆえに集めちゃうモノなんだよ!」
シアニ・レンツィ(|不完全な竜人《フォルスドラゴンプロトコル》・h02503)は力強い光を瞳に移してぎゅっとこぶしを握り締めた。
「ということで! ここからはお宝の匂いがするよー! だから根こそぎだよー!」
どろぼうさん?
「冒険者です!」
どろぼうけんしゃさん。
「違うもん泥棒じゃないもん! だってここにあるのはウォーゾーンのものなわけでしょう」
そうだね。
「ウォーゾーンは人間じゃないから人権はないんだよ?」
うーわー。
っていうか、ウォーゾーンたちは人間の物を奪ったりしてるのでまあ……いいか……。
「地の文さんにもわかってもらえたところで、じゃあやっつけに行こう! おっきいねえ、でもドラゴンの方がもっと大きいのもいるしね! こわくないよ!」
シアニは改めて眼前に広がるカテドラル・グロンバインの光景を打ち眺めた。
この場所こそは、謎の簒奪者、合体ロボット・グロンバインの拠点であり、川崎最大のロボット工場と言われている最重要拠点だ。だからこそお宝もあるだろう、というシアニの予想は説得力があるものだが、当然、その警備も厳重であり――全長20mにも及ぶ巨大ロボ、鐵浮屠の集団が厳しく警戒しているのである。
基地内に侵入するためには当然この警備軍を突破せねばならないが……。
「じゃあ殴ろう!」
シアニの発想はシンプルだった!
「だいたいお宝には番人がいるものだし、そいつを倒すものだからね! いくよ、|不完全な竜は急に止まれない《フォルス・ドラグアサルト》!!」
解放した√能力がシアニのしなやかな両足を猛き竜のそれへと変じる! 爪を蹴立てて大地を抉り砂埃を立てて、シアニは敵軍へ向け猛烈果敢にダッシュを敢行した! 風さえ後ろに置き去りにしてシアニは奔る!
『グゴゴ、侵入者警報! 分類、不確定名ドラゴン』
「半分当たりだけどねー」
センサーアイを向けてきた敵機に対しシアニは小鳥のように空を舞い跳躍! 20mの高さを軽々とその脚力で乗り越えると、思いきり振りかぶった巨大なハンマーを全霊の膂力を込めて叩きつけた!
ごうん、と鈍く重い音が響き、鐵浮屠の頭部パーツがボディに丸ごと陥没する! シアニの恐るべきパワーは巨大なる鋼の守護者さえもスクラップと化すのに十二分!
大地を揺らして一機がどうと倒れ、その瞬間にはすでにシアニは次なる敵を求めて再度跳躍に移っている。
『警告、敵性体の出力予想に上方修正を要す……増加装甲セットアップ』
さすがに精鋭機、他の鐵浮屠たちはその一撃を見ただけでシアニのパワーを判断し、防御を固めようとした、けれど。
「その前に殴る!」
やっぱりシアニはシンプルだった!
増加装甲が展開される前に殴り潰してしまえばよかろうなのだ! そりゃそうだがそれができるのはよほどのスピードと瞬発力を持つものだけであろう、たとえばドラゴンの脚を持つもののような!
「うん問題ないね! ロボットさんも一瞬かわいそうかもって思ったけど‥‥‥よく考えたら、人を傷付けてる後ろで大会開こうとしてるんだよね。なめくさってるね! 殴る!!!」
シンプルだがそれゆえに正しき怒りを燃やし、シアニは当たるを幸いハンマーを奮い、叩き潰し、吹きとばし、殴り続けた!
「どんどんいくよー、片付いたら工場の中で、おもちゃになりそうなもの持って帰りたいなー! 一緒にお風呂に入ったり砂場に埋めて遊ぶんだよー」
『グゴゴ……お風呂はともかく……砂場はやめてあげてほしい……磁石使ってたりすることもあるから!!』
「うるさい殴る!」
🔵🔵🔵 大成功

※連携&アドリブ歓迎
へー1/144モデルのグロンバインとか探せばあるかもしれないんだね。
破壊する前に色々探れば発見があるかもしれないから
頑張って鐵浮屠を撃破しようか。
量産型をまともに相手をすると押し切られそうだから
低下している反応速度を上回る様に仲間と連携して
ダッシュやジャンプで敵を翻弄しつつ
【クンネカムイ流・エムシ・リムセ】で装甲の隙間を縫って切り伏せよう。
鋼鉄をも断つ愛刀ならケーブルごと切断も出来るだろうしね。
日和って配下達を帰還させたら一気呵成に集中攻撃をして今度は此方が押し切ろう。
さてと破壊する前に工場には何があるかなー
「へー……1/144モデルのグロンバインとか、探せばあるかもしれないんだね」
興味津々に|土方・ユル《 ひじかた・ゆる》(ホロケウカムイ・h00104)は目を輝かせた。もしかしたら、プレミアムウォーゾーン限定版とかウォーゾーンベース限定版などのレアものもあるかもしれない!
「なにしろここはグロンバインの|聖堂《カテドラル》ってほどだしね! きっとこの場所でしか手に入らないモデルがあったりするんだよ! いやでも困るな……そんな珍しいの見つけたら、きっと、組むのもったいなくて積んじゃう……」
ユルは腕を組み苦悩する。積むのもアレだが、もし作るとしても、そんな限定版は相当に気合を入れて綺麗に作り上げなければというハードルがある。もうランナーから外すときから細心の注意を払い、最初から微かなバリもないほどに……。
「微かなバリもないほどに……」
と呟いて、ふと、ユルは自分の腰に目を落とした。
「…………いや、それはあくまでも可能性として。うん、可能性としてなんだけど。……もしかしたら、これなら………」
『待たれよ主殿!? その不穏な目付きの意味を伺いたいのだが!? まさか我らに、その「ぷらも」とやらのバリとかいうものを取れとおっしゃるのではございますまいな!?』
いけない、幻聴だろうか。
なんか、ユルの差す和泉守兼定と越前康嗣から、そんな抗議の声が聴こえたような気がしたのだが。
うん、幻聴に違いない。たとえその二振りが、祖先から大事にされ受け継がれてきた、魂が宿ることがあってもおかしくないほどの業物だとしても。
「……可能性ね?」
『お断りいたしたい!!』
「ちぇー」
ユルは唇を尖らせ、幻聴との会話を打ち切った。まあ何はともあれ、そんなお宝を探す前に、まず眼前の巨大なる番人どもの始末をつけねばならぬ!
「じゃ、あとのお楽しみのためにも、今は頑張って張って鐵浮屠を撃破しようか!」
それならまあいいか、って感じで刀たちが頷いた。……気がする。
気力を漲らせると、颯爽と風に髪を靡かせて、ユルは疾駆した! 風の叫びの中に剣の鯉口が切られたかと思うと、弧月のように煌めいた剣閃が影より早く鐵巨人・鐵浮屠の足元を両断していた!
『グ、グゴゴ!?』
ユルの剣速に先端技術のセンサーさえも追い付けぬ。一瞬にして足首を寸断された鐵浮屠は大きく巨体を傾け大地が崩壊するかのごとき地響きを立てて倒れ伏した。
「天然理心流と同じ時期に隆盛した流派に柳剛流ってのがあってね……ちょっと参考にさせてもらったよ」
それは長太刀を使い無防備な敵の脚元を狙うことで一時無敵を誇った剣流である。体のサイズこそ違えども、脚を切られれば倒れるしかないのは変わらぬ!
『√能力者発見……緊急警報、チルドレンを起動する』
鐵浮屠たちは一体が倒されたことで一気に警戒レベルを上昇させ、無数の子機たちを連鎖起動させた!
「数的優位を作って戦うべし、ってのがご先祖様の教えだったんだけど、逆になっちゃったか。夢で怒られるかな、ふふ」
くすっとユルは笑みを漏らす。無論、そこまで最初から彼女は想定の内だ!
「この数、まともに相手をすると押し切られそうだけど……反応速度が低下しているのなら、むしろこちらの思うつぼだよ! ――舞え、クンネカムイ流秘伝・|剣の舞《エムシ・リムセ》!」
裂帛の気勢はされど同時に天女の歌のごとく艶やかに響く。爪牙のごとき鋭烈さと天舞のごとき優雅さの中に双剣が翻った。晶々と剣閃が散る中で、鐵巨人の装甲に火花が奔る。
『グゴゴ!? ギア損傷、可動域減少……!』
それは僅か一筋の間隙に牙を突き通す精密にして典雅な一撃! ユルの双剣は、子機と連動したことで動きの鈍った鐵浮屠の装甲の合間を過たず貫き、関節を破断していたのだ!
まさに電光石火。ユルの一撃は戦場全てに広がり、同時に何体もの鐵浮屠たちがその関節部を引き裂かれ稼働を停止していく。
「ふふ、やっぱり頼りになるね、君たちの切れ味は。これならさぞかし……」
『主殿? くれぐれも我らを「ぷらも」に使ってはなりませんぞ?』
また幻聴にたしなめられた気がして、やれやれとユルは細い肩をすくめる。
「ま、探してみてから考えるさ。工場には何があるかなー? ……っていうか工場にはニッパーくらいあるか。それを使えば刀より簡単に……」
『主殿!? そんなに「にっぱー」とかいう外国の刃物が我らより使えるとおっしゃるのですか!?』
「……君ら意外とめんどくさいね?」
幻聴だけどね。
🔵🔵🔵 大成功

『本人不在ヨシ!』
でもセコム雇ってたみたいだよ玲子
ほらあのデカブツ
『相手デカくてもやる事は一緒だよ』
『相手の移動速度が上がったら【処理落ち】を発動させて、動きを鈍らせるんだ』
ついでに機械細胞の処理【パフォーマンス】を【肉体改造】で上げた反動で増えた処理負荷を空間に擦り付けて(ジャミング)、相手がフリーズするのを狙うかな
動きが鈍ったらありったけのラビングストライクを周囲にばら撒いて爆散っと(爆破・吹き飛ばし・範囲攻撃)
音割れしたらごめんね!
『余裕があるならグロンバインの断片情報でもいいからとっとき(ハッキング・情報収集)。 合体ロボらしいから他の部位担当の奴らもどこかにいるんじゃないの?』
『本人不在ヨシ!』
「人の体操作して例のポーズさせるのやめて玲子?」
『ヨシ!』
片足を上げてピシっと指をさしながら、|レイ・イクス・ドッペルノイ《RX-99》(人生という名のクソゲー・h02896)は意識を共有する九十九・玲子に一応文句を言ってみる。聞いちゃいねえだろうが。
「まあそれはともかく、本人はいなくてもセキュリティは万全みたいだよ玲子。ほら」
顎で指すレイの言うとおり、眼前に広がるカテドラル・グロンバインには、グロンバイン本体は不在らしいとはいえ、全長実に20mに及ばんとする巨大なる鋼の番人・鐵浮屠の集団が厳しい警戒網を敷いているのだ。
『ふむ。まあ無限沸きする画面フルサイズの妨害キャラを排除しつつダンジョンの奥にたどり着くだけだ、大したこたぁない』
「プレイするの私なんだけど。それも私の体を使って。あんなデカブツ相手に」
『いいだろどうせ残機無限なんだ。むしろ考えてみればレイの方がとんでもねえクソゲーだよなあ、相手からしたらさ』
「残機無限でも殺されれば痛いんだけど」
『そうか頑張れ。私は痛くねえ。いやまあプレイキャラが死んだら心は痛いんだけどな。ほんとだぞ? それでコントローラー百回くらい壊したからな私』
「いつか玲子が√能力に目覚めますように。それで百回くらい死んでみますように」
『わーかったわかった、拗ねるなって』
やれやれ、と肩を竦める玲子の姿が目に見えるようで、レイは唇を尖らせた。
『相手デカくてもやる事は一緒だよ。いやむしろ、デカいからこそ効果もあるってものさ』
「その心は?」
『相手はスピードを上げる能力を使ってくるんだろ。移動速度が上がったら処理落ちを発動させて、動きを鈍らせるんだ』
「………なんかもう玲子の無茶な作戦に「なるほど」って思うようになっちゃってる自分がやだ」
『いいだろ実際に効果あるんだから! ほらゲームスタートだ!』
なんかピロリロリンとスタートゲーム音が鳴った気がする。とにかく半ば自棄になったレイはスタートダッシュ! 巨大な鋼の魔神たちに向けて突っ込んでいく!
「……ところでさ玲子。相手がスピードアップするのはバリアを張ったときなんだけど、相手、バリア張ると思う? このサイズ差で」
『ラビングストライクを使って……』
「広範囲爆撃?」
『いや、抱えて自爆しろ』
「ちくしょおおおお!!! いつか絶対√能力目覚めさせてやるからなあああああ!!!!」
どかーん。
無数の爆弾を抱え込んだまま鐵浮屠の一体に突っ込み爆裂したレイの姿に、鋼の巨人たちも驚愕を隠せない!
『グガガ、警告、不可解な行動……!?』『警戒レベル上昇、敵性体のタクティクス分析不可』『警戒度上昇、バリア展開を推奨』
つまり「なんかヤベエのが来たからバリア張っとけ」である。その対応自体は全く正当であり何らの文句のつけようもない。
……相手がこのふたりでさえなければ。
アフロ状態でよろよろと立ち上がったレイの脳内で玲子が声をはげます。
『ほら見ろレイ、相手はバリア張ったぞ、今だ!』
「……能力者に覚醒させるにはなんかを『欠落』させればいいのよね……人間性? 良心? いや元からか……むしろそれで何で目覚めてないの……?」
『そんなファジーなモンは後付けでどうにでも増設できるからだよ! んなコトより早くしな!』
「ええい、|メソッド・処理落ち《コールトゥ・ビジー》!!!」
やけくそになったレイは能力を発動! 瞬時、世界がどろりと溶け落ちたかのようにその挙動を鈍化させる! 彼女の増加した処理負荷を押し付けられ、敵のCPUはどんどん演算速度を低下させていく。32! 16! 8! 4! 2! そして遂に1!
『グガガ……? 反応……低下……クロック……だうん……』
ぷしゅー。
とまるで安売りの玩具のような動きと化して、鐵浮屠っ体の動きはほとんど停止に近い状態まで抑え込まれた!
『ヨシ、今だラビングストライ』
「しないからね! 自爆!!」
『今度はほんとに相手にぶつけんだよ! 止まってんだからメンテハッチの中にでも何でも放り込めるだろ』
むすー、と口をへの字にしながら、レイは次々と鐵浮屠たちを爆破していくのだった。
『余裕があるならグロンバインの断片情報でもいいからとっとき。 合体ロボらしいから他の部位担当の奴らもどこかにいるんじゃないの?』
「………合体かあ。きっと、その別パーツロボたちも苦労してんだろうなあ、メインのパートの性格がアレだったりしたら」
『そうだな、パートナーに自爆させたりな』
「自覚してんじゃないよ!?」
🔵🔵🔵 大成功

フォー・フルード(h01293)と参加
蠢影を発動。分体を展開し、跳躍と捕縛で敵の衝鋒を乱す。
潰れればさらに増える。殻が砕けるたび、分体は蠢き数を増す。
本体と分体は貫通攻撃でバリアを一点から削り、重量攻撃で装甲の継ぎ目に圧をかけ続ける。
狙いは破壊ではなく、フォーが撃ち込むための隙。
僅かな裂け目が生まれたその瞬間、フォーの狙撃が殻を敵の関節へ送り込む。
そこに我の分体が入っていると知るのは、奴の内部が満たされた後だ。
装甲の内側から、何層もの分身が這い出し、機構を破壊していく。
我が務めは、そこまで通すこと。……あとは、内から喰らわせるだけだ。
「撃ち込みは任せたぞ、フォー。汝の精度を信じている」

和紋・蜚廉 (h07277)と参加
あまりに巨大な敵。正攻法では弾が弾かれて終わりですね。では参りましょうか和紋さん。
和紋さんの後ろに着き√能力を使用。彼の使用する√能力により発生する分体と彼自身を「援護射撃」
しかしこの巨体の機体、自分の銃の弾では弾かれるでしょう
──だからこそ自分を取るに足らない物だと思って頂ければそれで良い。
散った和紋さんの分体の殻を銃弾の中身に仕込む。
和紋さん達の働きによりエネルギーバリアが脆くなる瞬間を√能力で予測、そして殻が込められた弾を「Iris」で発射。Irisの力で霊力を纏わせた貫通攻撃でバリア、装甲を通り抜け内部に殻を送り込み分体が内部から破壊するのを狙います
「彼我の質量差は絶大ですね……」
フォー・フルード(理由なき友好者・h01293)は、淡々と測定結果を開示する。フォーの複数のセンサーが示すものはいずれも、己と対象とのあまりにも隔絶した物理的差異を物語るものでしかなかった。
カテドラル・グロンバインを守護する鉄騎兵、鐵浮屠の全長は20mクラス。シンプルに頭長高だけでフォーの10倍、ましてや総量の差はどれだけになるものであろうか。
「ゆえに、私の銃撃で破壊できる可能性は非常に低いと思われます」
「ふむ、ならばなんとする?」
フォーの傍らで、同じく敵兵の観察を続けていた|和紋・蜚廉 《わもん・はいれん》(現世の遺骸・h07277)が静謐にして重厚な声を漏らした。
「忘れてはならぬのは、我らの目的はこの|聖堂《カテドラル》の撹乱と調査であるということだ。『グロンバイン』なる簒奪者の降臨の遅延もしくは阻止ができればそれでよく、何もあの番兵どもを倒すことは必ずしも求められておらぬ。倒し得ぬのであれば回避しても悪しくはない」
蜚廉の言葉に、フォーはセンサーを明滅させた。
「……生命体というものは時折、本来の意思とは異なる内容の言葉を故意に陳述しますね。形式はそうであっても、実質は番人たちを倒さねば満足な活動はできないとご承知のはず。ああ……確か、こう言うのでしたか、――『御冗談を』」
「ふふふ」
黒色の古武者は低く笑みを漏らす。満足げに。
「そうだ、否定するために口にする、口にしたことで否定できる……そういうこともある。虚を実に、実を虚に転じることが武の本質なればな」
「言葉というものは深遠です……。さて、それはさておき、……あえて「虚」を口になさったということは「実」があるのでしょう。すなわち、我らでもあの巨人を倒しうる方法が」
問うたフォーに、蜚廉は微かに頷き、長い触角を蠢かせた。
「然り、我だけでは為せぬ、汝だけでも果たし得ぬ、されど「我ら」が揃えば試みてもよい方法がある。それさえも無為に帰した時は……」
蜚廉は外骨格に覆われた表情をニヤリと歪める。
「逃げればよい。兵法三十六計の最後の一法は逃走である。それもまた生きる道よ」
「………『御冗談を』?」
「冗談になればよいな。さて、打つべき手はこうだ……」
乾いた烈しい音が続けざまに空を走った。フルオートの銃声と認識した鐵浮屠たちは警戒体制を一段上げる。だが、その銃弾はあくまでもヒューマノイドサイズのものに過ぎず、彼らの装甲を貫く脅威になるものではない、ということも同時に判断が完了していた。
それでも敵対者は排除せねばならぬ、それが任務であるのだから。ゆえに、鐵浮屠はゆっくりとその巨体を攻撃者に向け直す。
……「何故音がしたのか」までを考慮する必要は彼らにはなかった。真に「意識外狙撃」を意図した銃撃であれば、当然サプレッサーを使用していたのではないか、ということも、想定する意味はなかった。脅威ではない攻撃に対し、分析リソースを割くのは無駄であるのだから。
「そう、私の攻撃は「虚」」
トリガーを引き絞り続けながら、フォーは認識する。鐵浮屠たちの警戒対象が自分にのみ集中したことを。
その瞬間。
鐵浮屠の巨体の足元が漆黒の海と化した。
いや、それは――無数の黒き甲殻の群れ!
「……一を屠れば、三が走る。 闇に潜むは殻の影、影に蠢くは我が声なき分体――『|蠢影《シュンエイ》』」
口訣を詠じたのは無論、蜚廉。その言の葉の通り、幾十が幾百に広がり、幾百が幾千に散じて、無限の生命の大海原が瞬時に形成されていく! 破砕されればされるほどに増える、それは蜚廉の分体、命という名の無限だ!
どぷりと鋼の巨体が海に沈む。黒い海に。数え切れぬほどに積み重なった黒い陥穽に。
フォーの射撃とその破裂音は、蜚廉とその分体たちの行動を完全に隠蔽していたのだ。
巨人を足首まで飲み込んだ漆黒の大群は、その集団の重圧によりさしもの強固な外装にさえ無視できぬ圧迫を加えていく!
だが鐵浮屠も黙って圧壊されることはない。
『バリア展開』
無機質な宣言と共にその体躯の周囲に電磁波が奔り、分体の大群を弾き飛ばした! それこそはまさにグロンバインの拠点を警護するにふさわしき強大な防御壁!
そして――だからこそ。
「我が分体たちは敵の隙を作る「虚」。見つけたぞ、フォーよ」
「こちらも確認しました」
蜚廉とフォーは同時に言葉を伝える。フォーのセンサーアイと。そして蜚廉の、昆虫の能力ゆえの生体電位反応が同時に――敵機のエネルギーの集約されるただ一点を指し示したのだ。二点同時測定によりそのポイントは正確に割り出される。バリアの中心核ともいえるその1ミクロンさえもない極小の一点に――。
「我が狙撃、「実」に変じましょう。算出完了、誤差許容範囲内、――|予測演算射撃機構《セルフ・ワーキング》|射出《FIRE》」
次の瞬間、生ける銃器Irisから放たれた、ただ一発の銃弾が、微塵の狂いもなく着弾していた。
その弾丸が纏った霊力はバリアを殺し、そして無効化されたことによる力の逆流が一瞬バリアの集約点を焼いて、鐵浮屠の強靭な装甲に、、目に見えぬほどの穴を穿ち抜いていたのだ。
『損傷確認、されど軽微、戦闘続行に支障なし……ガ、ガ、ga……?』
鐵浮屠の合成音声がひび割れる。
ほんの僅かに空いた穴。
だが、そこに撃ち込まれていたのは――。
「存分に食らうが良い、我が分体よ。汝らは今、我が「実」となった」
フォーの弾丸内に込められていた、蜚廉の分体! それが瞬時に無数に増え上がり、鐵浮屠の内部構造を丸ごと侵食し喰らい尽くしていく!
『ga……g………!!!!!』
調子の壊れた笛の音のような甲高くも物悲しい音を放ち、鐵浮屠は聳え立ったまま……その外見にはほぼ何の傷もないままに。
空虚な鉄塊と化したのだった。
「さすがの撃ち込みであったな、フォー。汝の精度を信じていた」
「ありがとうございます。確かに、二人いなければ叶わなかった戦術でした」
「二人いたからこそ叶った戦術であった、という方が良かろう。意味は同じなれどな」
「……言葉というのは深遠ですね」
顔を合わせた二人は、見事な勝利に、しかし派手に喜色を現すでもなく、ただお互い静かに深く満足を示す。
それこそが――虚も実も超えた、二人らしい自然な在り方だった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

無事にぐろんばいんさんのおうちにたどり着きました!(撃墜王から降りてばんざーい)
確か…事前情報で緑豊かな所だって聞きました。
それならせっかくの植物やお花を傷つけないように丁寧に歩いて鐵浮屠さんに近付きたいです。
こんにちは鐵浮屠さん!(ぺこり)
ぐろんばいんさんのお家にお邪魔します。
えっと…これはぐろんばいんさんの腕のスペアですか?すごく大きいのですー。こっちは足ですか?持って帰りたいのです。
あ…そうですよね、タダでだなんておこがましいのです、ここはぐろんばいんさんを賭けて正々堂々勝負なのです!(ファミリアセントリーがしゃこん、物騒な弾を装填)
あられ!鐵浮屠さんにどーんなのです!
「ばんざーい!」
ばんざーい。
|椿之原・希《 つばきのはら・のぞみ》(慈雨の娘・h00248)が「ばんざーい」ってしたからには、それは「ばんざーい」に値するのである。なぜなら可愛いは正義だから。さあ読者諸氏もご一緒に、ばんざーい。
「えへへ、無事にぐろんばいんさんのおうちにたどり着きました!」
先ほどの戦いの余波で未だにキラキラ輝くバス「撃墜王」からちょこんと降りて、希は周囲を見回すと、その大きな瞳を撃墜王に負けないくらいに輝かせた。
「わー、聞いていた通りです……お花がいっぱいあるのです!」
然り、カテドラル・グロンバインは公園に設置されており、その自然は今も豊富に残されている。将来お花屋さんを夢見る希にとっては、まさに色とりどりの花々が咲き乱れるそのカテドラルは、夢のような場所と言えた。
「ぐろんばいんさんも……お花が好きなのでしょうか? それならきっとおともだちになれますね!」
ぴょんぴょん、と楽しげに跳ねるように散策しながら希は思う。お花が好きな人に悪い人はいない。だからお花が好きなロボットさんにもきっと悪い人はいないのだ。
……事実、それはある意味で不可思議ともいえ、希の無垢で純真な心は知らぬうちに重要なポイントをついていたのかもしれなかった。何故グロンバインは自然を残しているのだろうか。この場所は川崎で最も巨大なロボット工場である。緑地を潰してより多くのドックや基地を作った方が効率的ではないのか?
だが事実として、この三ッ池公園は美しい景観が保たれている。
見るが良い、木々や花々にお水をやったり、枝を刈りこんだり、壊れた柵を修理したりしているではないか。鐵浮屠が。
……うん、鐵浮屠が。
カテドラルを守る鋼の守備機人、全長20mにも及ぶ巨大なる機甲兵が。
お水をやっているのである。
『グゴゴ……命令なので行動はするが、我らはなぜこんなことをしているのだろうか?』
『人間のようなことを言うな。マシンは己の使命に疑問など持たない。樹木の世話をし花を綺麗に咲かせるのが我らの使命である。さあそろそろ球根を植えかえるのだ』
『そうであった。では肥料を用意するとしよう』
「あっ、球根どうしはあんまり近くに植えない方がいいですよ」
『うむ、適切な間隔を離す方が良いのだったな。……誰』
誰。
「こんにちは鐵浮屠さん! 椿之原・希です!」
希だった。
「ぐろんばいんさんのお家にお邪魔しにきました! いりぐちはどっちでしょうか? こっちですか?」
『いや……真っ直ぐいって右に……いや誰!?』
「希ですが?」
さっき自己紹介したじゃない、ねえ。
『知らぬわ!? 侵入者だな!』
「ちがいます。お花ともだちです」
『そうかお花友達なら仕方がない。……ってなるかー! 迎撃態勢!』
鐵浮屠は一斉にその巨体を希の小さく可憐な体に向けると、情け容赦なく無数の子機を起動させた! さすがに希も、なんかヤバげな流れであることは理解する!
「はわわ……なんだかこわいふいんきなのです」
雰囲気ね。
「もしかして、戦うのでしょうか……残念です。でも」
と、希は小さく首を傾げ、手を腰に当てて、巨人たちを物怖じすることなく見上げる。
「ここで戦うと、お花さんがケガするのですよ? それはめーです」
『そ、そうであった……樹木と花の世話が我らの使命、傷つけるわけにはいかぬ』
「じゃあどっか広い場所に行きましょう。どこがいいですか?」
『ならば……グロンバイン様の格納庫近くがちょうどよいか。ここを真っ直ぐいって右に』
案内しちゃったよ。
「あー、あそこなのですね。ありがとうです! じゃあもういのです! あられ、どーんです!」
『えっ』
えっじゃなかった。
鐵浮屠たちが気を取られた隙に、希はファミリアセントリーに特殊弾を装填! それも対戦闘機械群用炸裂焼夷弾だ! うわメタ張り過ぎ。
しかしここまでピンポイントに戦闘準備を去れていてはどうしようもない。一斉に砲火を開いた「あられ」の前に、鐵浮屠群は火花を散らして次々と轟沈していったのだった。
その光景を見届け、希はグロンバインの格納庫へひょっこりとお邪魔する。
「これがぐろんばいんさんのスペアパーツ、なのですか? すごく大きいのですー。持って帰りましょう。撃墜王に……うう、撃墜王にも積めませんねえ」
仕方ない、と希は小さく頷く。
しばしの後。ぶっぶー、と帰り道を走りだす撃墜王の後部には、巨大なパーツたちがしっかりと結び付けられ、がらんごろんと派手な音を立てていたのだった。
🔵🔵🔵 大成功

出たな巨大ロボ! ……って、グロンバインじゃねえのか。
まあいいぜ、要は最終的に全部ブッ壊せばいいんだろ?!
クソでかい相手は小回りが利かねえ、限界まで近づかれると逆に対応しにくくなったりするもんだ
だから俺は√能力で強化された瞬発力で敵に急速接近、足元とか首の付け根とか、そういう死角になってそうな所に張り付いて攻撃しまくる
全長20メートルの巨大ロボにとって人間なんざ羽虫みてーなもんだろうが、その羽虫に周りをうろちょろされる気分はどうだ?!
あと1/144グロプラがマジであるならちょっと探してみてえな……グロンバインの事俺らなんも知らねえし、手がかりがほしい。持って帰れる大きさならいいんだけどよ。
「出たな巨大ロボ!!」
意気込んでカテドラル・グロンバインに乗り込んだ|葦原・悠斗 《あしはら・ゆうと》(影なる金色・h06401)は、しかし状況を把握すると微かに眉をしかめた。
「……んだよ、グロンバイン本体じゃねえのか」
カテドラルには現在グロンバイン自身は不在。その拠点を守護する警護ウォーゾーンが徘徊しているのだ。
謎の簒奪者本体との熱く激しい戦いに身を焦がすことはどうやらこの場では叶いそうにない、と悠斗は察し、落胆する。出来得るものなら謎の巨大ロボットとの血沸き肉踊る大決戦! みたいなものに身を投じたいと熱望するのは全男の子の夢であろう!
「いや別にな! こう、ヒーローに憧れるとかそういう年齢じゃないけどな! ないけど、そういうアクション映画は大体世界的にヒットするもんだろう。ってことは、みんな好きなんだよそういうのが! な!? ヒロトも割とそういうの楽しんで見てる口だしさ!」
分かりましたから落ち着いてください。
とはいえ、カテドラルを守る駐留部隊もまた、その威容はまさに巨大。全長は実に20mにも及ぶと見える。分厚い装甲に身を固めた鋼の巨人が、しかも何体も巡回しているという事態は間違いなく脅威であることには違いがなかった。
「こほん、まあいいぜ、アレはアレで歯ごたえがありそうだ。言ってみりゃ、グロンバイン相手の予行演習にもなるかもだしな。要は最終的に全部ブッ壊せばいいんだろ?!」
パン、と拳を打ち合わせ、改めて決意を新たにした悠斗は大地を蹴り、巨大な鉄騎軍目掛け猛然と疾走を開始した! 脳内になんかカッコいいアクションBGMかどうかは内緒だ!
『グゴゴ、侵入者あり。武器所有。警告、警告。そこのヒューマノイド、停止せよ』
無機質に警告音を向けてくる鐵浮屠たちから放たれるセンサーライトをかいくぐりながら、悠斗は唇を歪め笑みを浮かべる。
「なんだ、警戒してくれんのか。こんな小さな人間、舐めて掛かられると思ったがな。油断してくれた方がやりやすかったんだが」
無論彼の脚が止まることはない。獣のように敏捷に、黒き影のように滑らかに、センサーの死角から死角へと、あたかも闇に紛れるようにその黒衣は翻る!
『最終警告ライン突破、排除開始』
「できるもんなならな!ブッ潰れろッ!!『|瞬間攻勢《スーパーアジリティ》』!!」
滑り込むように鐵浮屠の足元に達した悠斗は√能力を開放した! 彼の身に膨れ上がるような力が満ちたかと思うと、疾風を突き破るかのように――おお、なんということか、見よ、悠斗は跳んだ! 20mの高低差をものともせずに!
これこそ悠斗の瞬発力を飛躍的に強化増大させる彼の『瞬間攻勢』に他ならない!
「吠えろ! メラナイト・ロスコウ!」
宙に舞いながら悠斗は流れるように巨大な拳銃を抜き放つ。重厚な漆黒の魔銃は竜の咆哮のように漆黒の業火を吐き出した!
いかに巨大にして堅牢なる鋼の巨人であろうとも、稼働する以上、そこには必ず可動マージンが取られている。その僅かな隙間を目掛け、悠斗は立て続けに轟炎を叩き込んでいく。
『グゴゴ、迎撃せよ、迎撃せよ』
うろたえたように悠斗を追い回す鐵浮屠たちだが、旋風のように踊る悠斗の速さに、そして瞬発力追いつくことができぬ。無為に鉄拳を振り、メイスをかざすがすべて空振りに終わるのみだ。悠斗は普通ならばマイナスに働くであろう絶対的なサイズ差を、逆に自らの強みに変えたのだ!
「クソでかい相手は小回りが利かねえ、限界まで近づかれると逆に対応しにくくなったりするもんだよな。……全長20メートルの巨大ロボにとって人間なんざ羽虫みてーなもんだろうが、その羽虫に周りをうろちょろされる気分はどうだ?!」
また一体のセンサーアイを撃ち抜きながら、悠斗は不敵に笑むのだった。
「……あと1/144グロプラがマジであるならちょっと探してみてえな……持って帰れるかな」
男の子っていつもそうですよね。
「いや別にな! プラモ作ってブンドド遊びてえとかいうわけじゃないけどな! グロンバインの事俺らなんも知らねえし、手がかりがほしいってことでさ!! ほんとだぞ! ほんとだからな!!」
🔵🔵🔵 大成功

アドリブ連携可
1/144グロプラ……!?
うむむ、データの代わりにグロプラで手を打つと言うのは……ダメですか。
じゃあ1/60とか無いんですかね?
家探し、もとい調査のためにもさっさとぶっ飛ばしましょう!
全長20mもあれば、こっちを見つけるには視線を下へ向けざるを得ません
となれば上下から攻めて揺さぶってみましょう!
霊剣を蹴っ飛ばし【紫電】を発動!
変化した槍で量産型や本体の上半身、頭を上から狙いつつ、わたしはヒート脇差と蹴りで量産型の掃討と足の関節目掛けて攻撃
二方向から仕掛けていきますよ!
量産型を引っ込めるまではこちらが速めに動けそうですし、ダッシュやジャンプを駆使して捕捉されないよう駆け抜けます!
「1/144グロプラ……!?」
|久瀬・八雲 《くぜ・やくも》(緋焔の霊剣士・h03717)はその情報に慄然とする!
「じゃあ1/100は!? いや1/60なんかもあったりして!? さらに同じ1/144でも内部まで再現された精密ラインナップも!」
あるかもしれません!
「まさかランナーごとに色分けがされていて組むだけで塗装が不要!? さらに接着剤も不要だったり!? ウォーゾーン脅威のメカニズムです……!」
あるかも!
「というか実際ウォーゾーンは機械文明なんだし、そういう細かいテクノロジーも発達していてもおかしくないよなーという気はしますよね……。ロボットの組立工程のシミュレートという意味でも役に立ったりするのかもしれませんし……」
そうかなあ?
「ということは、そうです! プラモを奪取することは彼らのテクノロジーの発達を阻害しウォーゾーンの戦局を有利に進めるという意味で非常に重要!」
そうかなあ?
「これはぜひプラモを奪い取らなければなりません! 人類のために! そう、人類のためなのです、仕方がないのです!!」
アッハイソウデスネ。
ということで無事に大義名分の構築に成功した八雲は気力充分に戦場へと向かう。
「目指すはグロプラ倉庫です! ……の前に、うろうろしているなんか邪魔な巨大ロボたちをかたづけませんとね!」
ひどーい。一応彼ら鐵浮屠は、章ボス兼シナリオボスの役割を果たしてくれている立派な敵なのにー。
「ん-、グロプラが主目標ですが、アレのプラモもあったりするかもしれませんねえ……割と渋いメカ好みには受けそうなデザインですし。ですが、私のグロプラの入手を邪魔だてしようという気なのでしょうか……はっ!!」
その時、八雲に天啓のように鋭い発想が奔った!
「正義の私のグロプラ入手を邪魔しようというからには、……もしやアレは悪質な転売ヤーなのでは!?」
な、なんだってー! それは許せない。八雲さんやっちゃってください!
「ぶっ飛ばしましょう! とうっ!!」
八雲は身を躍らせ華麗にジャンプ! 鐵浮たちが鉄壁の体の陣を敷くその眼前へと降り立った!
「覚悟しなさい転売ロボ!」
『グゴゴ……テンバイ? 意味不明?意味不明?』
センサーアイを不審そうに明滅させる鐵浮屠たち。実際何が何だかわかるまい! かわいそうに! しかしそれがまさに彼らの隙となったのだ!
「行っけ―!!!『紫電』!!!」
高々としなやかな脚を振り上げ蹴り飛ばしたものは八雲の霊剣・緋焔! 鮮烈な電光がその鋭刃に宿り、大地から天上へと因果を逆にした雷神が駆け抜ける! 黄金の稲光と共に鮮烈な衝撃が鐵浮屠の巨体を真下から穿ち抜いた!
『グゴゴ!!!???』
大きくよろめき頽れる一体という急な事態に他の機体の処理が間に合わない時、既に八雲自身も行動を起こしている。
「はああっ!!」
裂帛の気勢と共に灼熱を纏った脇差が虚空に一閃、八雲の小太刀は鮮やかに鐵浮屠の脚部ギアを断ち切り、その稼働を不可能とせしめる!
上空と地上、同時に展開した高速の連携に、鐵浮屠たちはどちらに対処すべきか判断が遅れた!
鐵巨人らの特殊機能は12体の子機を起動させること。しかしそれはコントロールの負荷のために一体ずつの速度が低下することをも意味するのだ。それでは八雲と緋焔の速度に追いつけようものか!
緋焔は胡蝶のような身軽さと隼のような鋭い速さを併せ持って機人たちの頭部センサーやカメラアイを重点的に斬り裂き貫き、八雲もまた一か所にとどまらず迅速に疾走を続けながら脚部関節を狙って燃え上がる脇差で、あるいはその鋭い蹴りで攻撃を続けていく。
小兵ならではの高速戦が巨大な鉄人たちの全てを作動不可に追い込むまでには、いかほどの時間もかからなかった。
「悪は滅びました! 思い知りましたか悪の転売ロボ!」
『グゴゴ……最後まで意味不明……』
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かくして√能力者たちは厳重な警備網を殲滅し、『カテドラル・グロンバイン』の破壊に成功した。
無論カテドラルの補修能力は高く、いずれ再生するだろう。だがそれでよいのだ。カテドラルのリソースをそうしてどんどん消費させていくことが、グロンバインの稼働効率をいずれ著しく低減せしめることにつながるであろうから。
能力者たちの勝利だ!
あと、なんやかんやでグロプラも大量に確保できた! 勝者の権利として存分にカスタムしてオリグロを作るなりブンドドするなりしてほしい! それが激戦を勝ち抜いた戦士のひとときの休息というものなのだから。
積んでもいいけど。
🔵🔵🔵 大成功