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機密文書:『異世界技術融合研究』についての調査報告

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この資料には世界に関する機密、及びそれらを前提とした研究についての顛末が記録されている。研究自体は凍結済みではあるが、凍結までの経緯及び抽出したデータの重要性、そして『戦闘機械群ウォーゾーン』全派閥に対し流出した際のリスクを鑑み、資料を厳重に保管すると共に閲覧・配布を関係者のみに制限し、また一切の持ち出しを禁ずる。


▁▃▆▇計画内容▇▆▃▁
現時点では詳細こそ明らかになっていないものの、我々の住む世界、即ち『√ウォーゾーン』は複数存在する異次元の一つに過ぎない事が、様々な事例からほぼ確認されている。
そうした他の世界(以降は『√世界』と呼称)から稀に流出してくる存在は人間型・非人間型を問わず知的存在であるケースが多く、そうした場合はひとたび接触出来ればコンタクトが可能である。中には我々の世界で言う『√能力者』も紛れ込んでおり、またそうした人物はほとんどの場合において、高度な戦闘技術を始めとする、元居た√世界の技術を複数保有してもいる。
従って、彼等の協力を取り付けた上で、それらの√世界の技術をこちらの技術と融合すれば戦力となる事は勿論、新たなブレイクスルーすら齎す可能性がある。それらの有効性を確かめる為に始動したのが『異世界技術融合研究』計画である。


▁▃▆▇協力者データ▇▆▃▁
名称:リネス・アルティス
元世界:√ドラゴンファンタジー

本人と接触。面談の結果、協力を取り付ける事に成功。
職業・戦闘スタイル共に√ドラゴンファンタジーにおける精霊術師に該当する人物。高い知能と魔術に関する豊富な知識を持ち、事実彼女はこの分野の「天才」と呼ばれていたようである。その一方で倫理的に問題のある人物でもあり、会話の際にも他者の視点より自身の欲望を優先させる傾向が言動の端々に見受けられた。この世界に流れて来た理由も自身の思いつくままに実験を行った結果であり、向こう側の世界で何らかの大きな事象を引き起こした挙句、居場所を失ったという経緯があったようである。
なお実際の所『異世界技術融合研究』は面会時点においては未だ構想段階にあり、その要旨をリネスに明かした際、彼女は計画に関する助言と最初の実験目標、そして実験方法を自分から提案していった。これがきっかけとなって今回の実験はスタートし、それ以降彼女は立案者兼協力者として、プロジェクトの中核に携わる事となったのである。

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▁▃▆▇実験目標▇▆▃▁
√ドラゴンファンタジーの魔法技術を融合した新型|WZ《ウォーゾーン》の開発

▁▃▆▇実験方法▇▆▃▁
機体への魔導回路の刻印・接続、及び「ダイレクト・リンク・システム」等の使用。

▁▃▆▇実験結果▇▆▃▁
敵から奪取した試作型WZに魔法回路を組み込む事に成功。これにより魔法的な攻撃方法をWZでも一部再現する事に成功した。
これを可能にしたのが「ダイレクト・リンク・システム」であり、生体CPUとして龍漿の素質がある者を、ケーブルで機体と直結させて搭乗させる手法である。
さらにWZに竜漿兵器の技術を応用。操縦者の血液を動力とするシステムを従来の動力と併用する事で、より長時間の活動も可能となった。
コアとなる生体CPUの確保に課題を残すものの、リネスの複製体として構築したレプリノイドに龍漿の素質を確認出来た為、これを生体CPUに用いる事によって一応の解決を見た。
今回の実験は一定の成果を得たと見て良く、このレプリノイドには「EWZ-C1」という識別番号が与えられた。
さらに解析の結果、EWZ-C1に精霊と交信できる素質までもが確認された。これをリネスに伝えた所、竜漿兵器の技術のみならず精霊魔法の理論も投入してみてはどうかとの意見が出され、上層部に具申。後日承認された。

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▁▃▆▇実験目標▇▆▃▁
WZと精霊魔術の融合

▁▃▆▇実験方法▇▆▃▁
機体の動力部に、リネスが契約していた炎の精霊を封印したコアを追加で装着する。

▁▃▆▇実験結果▇▆▃▁
精霊力を回路に接続する事で、さらなる力を引き出すことに成功。この結果、コアに封印した精霊の力を行使し、より強力かつ円滑な魔法的行動が使えるようになった。
しかし自然の少ない√ウォーゾーンにおいて、自然環境にその能力を左右され易い精霊力は真の実力を発揮し辛い筈であり、この点、提案者のリネスが誰よりも熟知していた筈である。
にもかかわらず彼女がそうした提案をした点から、推測ではあるが、既にこの時点でリネスはより自然豊かな他の√世界での活動を視野に入れた機体の開発を企て、その為の手段として我々を利用していた可能性がある。
ともあれ前回の実験程では無いにせよ、今回の実験を経てWZの性能が全体的にアップグレードされた点において、またもや一定の成果を得た事は疑い無い。
とりわけ重要なのは武器に対する強化であり、WZ用の刀剣からは発生した火炎による威力の向上が確認され、また有線接続式の大型エレメンタル・ライフルにも精霊エネルギーの装填・発射による貫通力の改善が認められた。
この機体はリネスによって「精霊機フォルブレイズ」と命名され、後日実戦に近い模擬戦でテストが行われる運びとなった。
もしこの模擬戦で良好な結果が出れば、さらに仕様を詰めた上で量産型WZにそれらの技術を投入し、EWZ-C1と同型の量産された生体CPUと共に実戦へ投入される予定であった。

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▁▃▆▇実験目標▇▆▃▁
「精霊機フォルブレイズ」の稼働・戦闘データ収集

▁▃▆▇実験方法▇▆▃▁
基地内演習場における量産型WZ複数機との大規模模擬戦

▁▃▆▇実験結果▇▆▃▁
テスト中、突如フォルブレイズの精霊力が何の前触れもなく異常な数値を示し、制御不能に陥る。
そのまま高熱によるオーバーヒートを経て無秩序な暴走状態へと入り、フェンスを破壊して演習場外部へ飛び出すと同時に、装備していた兵装を一斉に発動。基地の建物を手当たり次第に破壊し尽くした後、突如現れた空間の裂け目へと搭乗していたEWZ-C1ごとその身を投じ、消息を絶った。
今回の事故による基地への被害は甚大であり、多くの人命が失われると共に、基地としての機能を回復するまでに長期間の復旧作業を要した。

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▁▃▆▇事件後の経過について▇▆▃▁
即座に当計画は凍結・破棄される事となった。
表向きの理由は機体の暴走リスクが露呈した為である。しかしそこから得られた数値がどれほど破壊的で興味深いものであったにせよ、大きな実害を齎した以上、あえて実験を継続するとなれば、その部署は軍全体から大きな反対を受けたに違いない。
だが一番の理由は、計画の中核を担っていたリネスが消息不明となっていた為である。
これにより魔術的なノウハウの一切が失われた事に加え、EWZ-C1及びフォルブレイズ自体を喪失した事で元機体の再現すら不可能となった。
監査部による調査でも生存を確認出来なかった為、リネスは一旦死亡と看做された。
もっとも彼女は√能力者であり、いずれかの√世界で生き残っている可能性は高い。とはいえ今回のような事態を引き起こした以上、彼女はもう此処には帰って来ないものと推測される。
彼女の真意はどうあれ、こうしてフォルブレイズは行方不明のまま失敗作の烙印を押され、その存在自体を歴史の闇に葬り去られたのである。
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