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⚡️Invade
「皆、聞いてくれ!」
新条・零雄(h04517)が叫んだ。
「√ウォーゾーンへの逆侵攻作戦……向こうの川崎エリアでの戦いについては、皆知っていると思う」
――オーラム逆侵攻作戦。
√ウォーゾーン内。戦闘機械群派閥のひとつ、レギリオス・オーラムの支配する川崎港湾区域。そこで行われている戦いである。
「皆知っての通り、いまこのエリアでは俺たちとウォーゾーンの簒奪者たちの激しい戦いが繰り広げられている……。そこで、星詠みの仕事として俺もみんなのことを案内することになった」
零雄は説明を続けながら、√能力者たちの前にホワイトボードを引っ張り出す。
「これから皆には川崎区に相当するエリアまで飛んでもらうんだけど、まず最初に周囲の敵を排除するところから始めてもらう。作戦のために拠点をつくらなきゃなんだが、敵地の真っ只中だからな。ひとまずまわりの敵をやっつけて安全を確保してくれ」
――敵の支配域の真っ只中だ。周辺は付近の様子を警戒する機械兵の集団で溢れかえっている。
平常時であれば周りの敵をやっつけたとて次々に増援がやってきて追い返されるところであるが、現在は他の作戦を担当している√能力者たちの侵攻が影響し、とりあえず出たところの敵を全滅まで追い込めばしばらくの間は安全を確保して作戦の次の段階へと移れるのだという。
次の段階――そう。|次《・》だ。この任務は、いつもの依頼と一味違う。
「それで、だ。最初の敵をやっつけた後なんだけど――その先は、現場の皆で相談してほしい」
――現場の判断で、どうするか決めてよい、と星詠みは言った。
「……こっちから提示できる選択肢として、作戦の方針が五つある」
そこから零雄は、√能力者たちの前にパーの手を出した。
「ひとつ。いちばんわかりやすい方針だ。レギリオス・オーラムの上位戦闘機械、『指揮官ゼーロット』の打倒を目指す」
――羽田空港に相当するエリアに|拠点《カテドラル》を構える指揮官ゼーロットを急襲し、これを討ち果たす、というのがひとつ。
それを目指す場合は、ゼーロットの拠点へと突入し、敵の軍団を打倒するか、あるいはうまく躱しながら敵指揮官のもとを目指すことになる。(👾→👿)
「ふたつ。敵勢力への攻撃」
川崎市中心部――レギリオス・オーラムの支配地域の中でひと暴れしてやることで、敵勢力の戦力を片っ端から叩き、とにかくできるだけ勢力を削ってやろうという作戦だ。(👾→👾)
「みっつ。大黒ジャンクション……√ウォーゾーンと√EDENを繋ぐ大型ゲートの封鎖」
川崎区港湾エリアに存在する大型世界間ゲート、大黒ジャンクション。そこに布陣した敵が、√EDENへの大規模侵攻の準備を進めている。
重要拠点であるが故に、敵も警戒している。現地への接近を試みるならば、敵の警邏部隊による妨害を受けることとなるだろう。また、現地にはゲートを守護する敵の上位戦闘機械が待ち受けている。(⛺→👿)
「よっつ。扇島監獄からの能力者救助」
大黒ジャンクションと同じ港湾エリア――扇島区域には、簒奪者たちが捕らえた√能力者たちが幽閉されている監獄が存在している。
彼らを救出するために、監獄へと乗り込んで救出作戦を展開する必要があるが――無論、敵も施設を無防備にはしていない。監獄の周囲には不審な者を見逃さぬ厳重な警戒網が敷かれ、内部にも多くの戦闘機械が警備の任に就き、外部からの侵入を阻んでいる。(⛺→👾)
「そして最後に……『カテドラル・グロンバイン』への攻撃」
カテドラル・グロンバイン。
それは合体ロボット『グロンバイン』なるウォーゾーンの簒奪者の拠点であると噂される拠点であり、ウォーゾーンでも有数の規模のロボット工場だ。
今回の川崎エリアでの作戦には直接関わらぬ場所であるが、カテドラル・グロンバインはウォーゾーンの戦闘機械群にとって一定の影響力をもつ重要な拠点であるため、ここを破壊することには大きな意義があるのだという。
しかし、それほどまでに重要な拠点、敵が防衛機構を用意していない筈もない。道中にも拠点にも、カテドラル・グロンバイン防衛のために任務に就く強力な戦闘機械が待ち構えている。生半可な覚悟では挑めぬだろう。(👿→👿)
「……以上。五つの作戦からひとつ選んで、どこに行くか現場で相談しながら決めてくれ」
――以上のような説明を行って、零雄は一旦話を打ち切った。
「どの作戦を選んでもカンタンじゃないだろうけど……それでも、みんなの世界の平和にためには必要なことだ。頑張ってくれ。俺も応援してるぞ」
零雄は√能力者たちに向けて頷く。
かくして――√ウォーゾーン・川崎区域における大規模作戦のため、√能力者たちは現場へと向かうのであった。
マスターより

ごきげんよう、√能力者諸君。カノ―星人です。
なるほど逆侵攻作戦。おもしろいですね。参戦させていただきます。
☆このシナリオは『オーラム逆侵攻』作戦の結果に影響を及ぼす特殊なシナリオとなります。
☆1章終了後(規定数以上の🔵獲得後)、画面右上の一言雑談から2章以降の方針について意見の表明を行い、必要があればプレイヤー間でご相談ください。
相談の結果を確認し、以降のフラグメントを決定します。
よろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『機関銃少女』

POW
「どうぞ足を止めないで、踊って」
自身の【機関銃 】を【フルリやレースで装飾】し、【可愛さ】に輝く【ラブリーモード】に変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にする。この効果は最低でも60秒続く。
自身の【機関銃 】を【フルリやレースで装飾】し、【可愛さ】に輝く【ラブリーモード】に変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にする。この効果は最低でも60秒続く。
SPD
「今、あなた様のお傍に」
自身を攻撃しようとした対象を、装備する【機関銃 】の射程まで跳躍した後先制攻撃する。その後、自身は【黒煙】を纏い隠密状態になる(この一連の動作は行動を消費しない)。
自身を攻撃しようとした対象を、装備する【機関銃 】の射程まで跳躍した後先制攻撃する。その後、自身は【黒煙】を纏い隠密状態になる(この一連の動作は行動を消費しない)。
WIZ
「さぁ、一緒に踊りましょう!」
【自身が装備する銃火気 】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
【自身が装備する銃火気 】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
「厳戒態勢ですわね」
「ええ、厳戒態勢ですのよ」
戦闘機械都市、川崎。
その中の、√EDENであれば川崎駅東口の繁華街区域に相当するあたり。
「こちらは異常ありませんわ。ご確認どうぞ」
「確認いたしましたわ。異常ありませんわね」
「指令を受信しましたわ。引き続き厳戒態勢を維持せよとのことですわよ」
「他のエリアでの戦闘状況のため、しばらくの間交代要員は用意できないそうですわ」
「部隊内でローテーションを組むしかありませんわね」
「44番のお姉様がシフトを作ってくださっていますわ。後ほどご確認くださいまし」
「確認いたしますわ」
少女の姿をした戦闘機械兵の部隊が、区域の警邏を行なっている。
既に作戦行動を開始している√能力者たちの攻撃により、ウォーゾーンのオーラム勢力は川崎エリア内の警戒態勢のレベルをおおきく引き上げていた。
このあたりの区域も、戦闘機械兵たちによる警邏活動が強化されている。迂闊に手を出せば激戦は避けられない。
そこに、君たちは飛び込んでゆく。

絡みアドリブ自由
相手は機関銃で武装した戦闘機械デスカァ。相手としては少々物足りねぇデスガ準備運動位にはなるデスカネェ?
「ヒャッヒャッヒャー!真綾ちゃん砲撃戦もお手のものデスヨ!相手になってやるデース!」
野生の勘と第六感で奇襲を察知し、砲撃は回避もしくはプロテクトビットで防御しつつマルチプルビットで敵の配置を確認し、√能力で一気に殲滅を図る
「ヒャッヒャッヒャー!ガラクタはガラクタに還れデース!」

ねぇねぇっ!お姉さまたち、その機関銃可愛いねっ!レースもフリルも──すっごくすてきっ!
──だから、それちょうだいっ?
ぐにゃり、と。笑顔のまま、ワタシの皮が剥けてぬめる“中身”を覗かせたら、お姉さまのひとりにギュルンと巻き付く。
機関銃少女の脚を優しく抱き締めてむしっちゃおう!
さあっ!他のお姉さまたちも踊って踊ってっ♪
《まがりまがり》で銃弾をずらしながら《みつめるつの》をぐるり蠢かせれば、
街のすき間、影、ネオン──街中全部、ワタシの視界。
周囲からジワリと滲みお姉さま達や街と“ワタシたち”が繋がる。
あっちもこっちも、ワタシの笑顔──ねぇ、“どこ”が本物?
「フーン。デッカい作戦デスカ?」
「そうみたいだねっ!」
白神・真綾(h00844)とアリス・グラブズ(h03259)は、悪の組織・秘密結社ディスアークに所属する怪人である。
――悪の怪人、と言っても、彼女たちの秘密結社の活動方針には簒奪者に対する攻撃を通じた√EDENの防衛が含まれている。そうであるがゆえに、彼女たちにはこのウォーゾーン逆侵攻作戦へと参加する理由があった。
「真綾さんはどうするの?」
「ヒャッハー! もちろん真綾ちゃんはいつも通りデース!」
現場へと向かいながら、二人は簡単な|事前相談《ブリーフィング》を行う。
「とにかく暴れて敵の連中を全滅デース!」
「うんうんっ。真綾さんはいつもげんきだねっ! じゃあワタシもいつもどおりがんばるねっ」
「承知したデス。お互い足引っ張らないようにするデスヨ」
「だいじょぶ! いつものかんじでいけばきっとおっけーだよっ!」
――お互い邪魔にならないように気を付けながら、とにかく飛び込んで、敵をぶっ飛ばす。決まった作戦内容は、これ以上なくシンプルであった。
「それじゃ、はじめよっか!」
「おっけーデス!」
そうしてふたりは頷き合い、戦場へと飛び込んでいった。
「ヒャッハー!!」
瞬間――レギリオス・オーラム支配圏の市街区画の中で、激しい爆発が起こる。
「何事ですの?」
「敵襲! 敵襲ですわ!」
即座に事態を把握した戦闘機械兵隊が、爆心地へと集結する。
「ヨシ。集まってきたデスネェ」
――むろん、その爆心地の中心にいたのは真綾であった。
真綾は戦場に到達すると同時、自らの制御するレイン砲台へと指令を与えて周囲一帯に砲撃を浴びせたのだ。それは敵勢力への嫌がらせでもあり、同時に敵群をおびき寄せる策でもあった。
「よくもこんな白昼堂々と!」
「なんてはしたない!」
機関砲を携えた女性型の機械兵部隊――『機関銃少女』のあだ名で呼ばれるタイプの兵士たちが、爆心地の真綾を見つけて集まってくる。たちまち周囲には数十機規模の部隊が集合し、真綾は敵に包囲された。
「フーン……機関銃で武装した戦闘機械の部隊デスカァ」
真綾は自分を取り囲む兵士たちの様相をぐるりと見回して、その兵力を類推する。
「……ウーン、相手としては少々物足りねぇデスガ、準備運動位にはなるデスカネェ?」
「まあ! 我々を過小評価してらっしゃいますわ!」
「その無根拠な自信に満ちた表情を木っ端微塵に粉砕してさしあげますわよ!」
がしゃん、ッ! 機械兵たちは砲身を掲げ、その照準を一斉に真綾へと向けてセットする。
「ヒャッヒャッヒャー! やる気はあるみてぇデスガ、真綾ちゃんだって砲撃戦はお手のものデスヨ!」
相手になってやるデース! ――対峙する真綾は戦闘態勢へと入り、その精神を研ぎ澄ました。
「後悔させて差し上げますわ!」
「全機、目標を集中! さあ、音楽を奏でましょう!」
「|合奏《セッション》のお時間ですわよ!」
次の瞬間、戦端は開く。ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリ! 吠え猛る機関砲の群れ! 包囲陣形を取る機械兵たちの砲撃が一斉に真綾へと向く!
「ヒャッヒャッヒャー! やってみろデスヨ!」
PSY! 対する真綾は周囲空間へと思念波を広げる――応じて彼女のまわりに展開するプロテクトビット! 浮かんだビット兵装が真綾の思念を受けて|光の防壁《エネルギーバリア》を形成する!
「小細工ですわ!」
「そんな薄い壁いちまい、わたくしたちの歌声の前にはまるで無意味でしてよ!」
しかして――集中する火力! 凄まじい物量の弾丸と炸薬が真綾を押し潰すように浴びせかけられる。
(……ほー。ナルホド、重要拠点の防衛力とゆーことデスカ)
かなりの火力であった。ほとんど面制圧するように叩きつけられる火砲の雨に、さしもの真綾もすこし真顔になりかける。重要拠点を任されるだけあって、この区域の兵隊の戦力はなかなかのものだ。このまま防戦一方に追い込まれてしまえば、撤退を余儀なくされてしまうことであろう。思ったほど簡単じゃないみたいデスネ、と内心で真綾が思った――そのときである。
「わぁーっ! すごーい!」
――砲火飛び交う戦場に似つかわしくない、はしゃぐ少女の声音が砲声の中に響き渡った。
「……なに?」
「なんですの!?」
「ねぇねぇっ! お姉さまたち!」
突然の闖入者――能天気な声に、思わず機械兵たちが意識を向ける。
「そのおっきい鉄砲、可愛いねっ!」
そこにいたのは――アリスであった。
「なんですか、この娘は……」
「戸惑ってはいけませんわ! その娘もおそらく敵性√能力者ですわよ!」
戦場に立っているにはあまりにも異質なアリスの佇まいに思わず困惑した一瞬――しかして機械兵士たちはすぐさまにアリスがどのような存在かを推察し、素早く敵意と砲口を向けた。
「ねぇねぇ、お姉さまたちっ! おようふくもとってもかわいいねっ。レースもフリルも――すっごくすてきっ!」
だが、アリスは物怖じすることなく、たまたまいちばん近くにいた機械兵士へと向かって一歩。ぴょんとステップを踏んで近づいた。
「――近づかないでくださいまし!」
だぁん、ッ! ――砲声。大口径の銃弾がライフリングの螺旋を描きながら飛び出し、アリスの頭部を粉砕する。
「ふふふっ」
しかしてアリスは、それをまるで意に介さぬようにしながら笑い――
「――だから、それちょうだいっ?」
“|中身《異形》”が、飛び出した。
「……!?」
アリス・グラブズという生命は、星の外から来た侵略的生命体である。少女のかたちは単なる擬態であり、その本質は理外の怪物だ。
アリスはその怪物としての|本性《すがた》を現し、機械兵士の躯体へと取りついたのである。
《えいっ》
「ギャ……ッ!!」
ミシ、ッ――ぱき、ぱきぱき。ばぎン、ッ! 砕ける音を鳴らして、|異形《アリス》の身体の一部が巻き付いた機械兵の脚部が圧壊して破片を撒き散らす。
「……!?」
「な、何事!? いえ、何者ですの!?」
《えへへっ》
安っぽいホラー映画みたいな光景に、仲間が破壊される光景に、機械兵士たちがふたたび困惑した。
《えいっ。いっしょにおどろうねっ♪》
「ア――て、ててテキ性、にニニ認識識識識識識、こここ攻撃命令受諾受諾受諾受諾諾」
ホラー映画じみた展開はそれだけにとどまらない。アリスが取り付いた機械兵士は壊れたラジオのように調子の狂った電子音声で呻くと、その銃口を味方である機械兵の集団へと向けたのだ。
《さあっ! 他のお姉さまたちも踊って踊ってっ♪》
「……!」
「まさか……電脳を乗っ取られていますの!?」
ギャリギャリギャリギャリギャリギャリギャリ! 爆ぜる弾頭! アリスと“つながった”機械兵士が、火砲を味方部隊へと向けて躊躇なく浴びせかける。
《ふふふっ。ね、ほかのお姉さまたちもつながろっ》
そして――アリスに寄生された機械兵士は味方機のもとへと飛び込み、掴みかかり、そこからアリスを渡した。
――かくして、機械兵たちの軍団は恐慌状態に陥る。
「また派手にやらかしたデスネェ?」
そのおかげもあって、真綾は火力を集中された状態から解放されていた。態勢を立て直した真綾は、既に反撃の準備を整えている!
「でもそいつらは真綾ちゃんの獲物デスヨ! ちょっと譲るデース!」
佇む真綾の周囲で、いくつもの光球が灯った。――展開したレイン砲台へと再び力を注ぎ込み、最大出力でブチかまそうとしているのだ!
《あっ! ごめんね真綾さん。じゃあちょっと譲るねっ!》
「それでいいデスヨ! ――さあ、派手にいくデス!」
真綾が口の端を吊り上げた。瞬間。閃光が激しく迸る!
「ヒャッヒャッヒャー! ガラクタはガラクタに還れデース!」
貫く光! 爆散! 爆散! 爆散、ッ! 周囲一帯を焦土と化すほどの熱と光が空間を埋め尽くした。
――崩れかけていた部隊では、これに耐えきることはできない。広がった光が収まることには、ふたりの周囲に動ける敵の兵士たちはもういなかった。
「ンー、まあまあデスネ」
《おつかれさまっ! そしたらこのあたりちょっと奇麗にしようねっ》
ひとまず、新たな敵が集まる気配は感じられない。周囲の安全は確保できたようだとふたりは頷き合う。
であれば、作戦の次の段階に備えた準備が必要となってくるだろう。ふたりはまず拠点確保のために周囲に残った建造物の中から使えそうなものを探し始めた。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功