語る未来の名探偵
探偵たるもの、自分の事を振り返ってみるのもきっと大事!
だから玉響・刻(探偵志望の大正娘・h05240)は、いざ。
「改めて自分の事を話す、とは気恥ずかしいですが、語ってみましょう!」
披露するのは、己のルーツとかあれそれ!
……大袈裟? いえ、これもきっと探偵に必要な気概!
まずは手始めに、己の出自から語ってみる刻。
「私は、√百鬼夜行の東北地方の片隅にある村の出身で代々霊蟲を纏う霊剣士の家系ですっ!」
出身地の由来は、他の√から迷いこんだ人達が集まってできた隠れ里の様な村で。
村人達は互いに協力し合い、妖怪や災害等を乗り越え生活していたと聞く。
刻の五代ほど前のご先祖様も昔、別の√――恐らく√汎神解剖機関から、此処に定住したとのこと。
「そんな感じの田舎で不便はありましたが、自然豊かでしたし、村の人達も親切で私は別に嫌いじゃないですっ!」
だがこの村で育った刻も、今は都会へと出ているが。
その理由は勿論。
「目的は勿論名探偵になる為ですっ!」
きっかけは村の図書館……という程では無い規模の、本を貸してくれる場所で。
「そこにあった推理小説を読んだ事ですっ!」
不可解な事件、渦巻く疑心、密室やトリック等々も勿論だけれど。
やはり、何より一番心惹かれたのは。
「難解な謎を鮮やかに解き犯人を見つけ人々を助ける! もう夢中ですっ!」
華麗に謎を解き明かす、名探偵の存在!
そんな探偵に憧れて都会へと来たのだが、刻の実家は元々剣士の家。
「剣士の家の者として、少し話しがそれるんですが」
そう次に切り出すのは、先代の祖母と当代の母のこと。
「実は私のお婆ちゃんとお母さんは実の母子なのに、考え方が真逆で。お母さんは少しでも多く悪い輩は斬るべき、お婆ちゃんはしっかりと見極めて剣を振るうべき、そんな二人ですが」
だが真逆のように思えて、共通して二人ともが言っていたこと。
それは――敗れても悪に心を屈するべからず!
「そこから、私は真実を正しく見抜き、迷わず悪に屈する事なく剣を振るって人々を助ける、それが私の目標とする名探偵ですっ!」
だから刻が目指すのは、悪に屈せず悪を暴いて斬る、妖怪名探偵剣士!
……とはいっても。
「……まだ、道半ばどころかまだまだかもしれませんが、あう」
今は、珍推理を披露する迷探偵かもしれないけれど。
でもいつか、びしっと難事件を解決するつもり――犯人はこの中にいる! って。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功