美味い話にゃ表も裏も穴もある
●おいしい!!!!!!
誰の叫びだ。
客の叫びである。
美味しい美味しい。この宿で供される飯はひじょうに、とても、おいしいと。
最近になって評判、レビューサイトの星はまさしく流星群。
ほなら、なんで美味いか興味あるでしょ。ないわけないですね。そうだって言いなよ。そうだね?
――ここに「とっても美味しい怪異の肉」が、ありまして……。
それはぶよぶよとしていて。なめくじに似ていて。おいしい。焼くとコリコリである。
ここまで聞いて「それはクヴァリフの仔では?」と訝しんだ√能力者は、何かしらの精神的影響を受けていると思われるので、後ほど機関のほうにご連絡を頂ければ幸いです。
ともあれ、どれにせよ「それ」が関わっているのは事実であった。
女将はにこにこわらっている。
「美味しいでしょう、そうでしょう、ええ、カミサマにお供えする肉ですからねえ……」
ふむ、それでは、カミサマとはどちらに?
「あちらに」
指差す先が洞窟であること以外は、ああ、良い旅館。
覗き込むなかれ。
そこに神など居りはせぬ。
●ようこそ。
「――『ようこそ』お客さん。悪いニュースが本日もてんこ盛りとなっとりま――アイヤーお待ち!! 敵はオッチャンじゃないヨ!! 相手はババアだよババア!! ぶーきーをーしーまーえー!!」
一部√能力者が全力で疑う外見をしているのが悪い。星詠み、梁・志寛(報われず・h07743)。胡散臭さには安心と信頼と自信のある男。資料の挟まれたバインダーをべっしべっしとテーブルの角に叩きつけ、どうどう制す。
ところで先に親玉の話が出たな。
「はい改めて。リャンおじさんが観ちゃった一部始終のご紹介ですワ」
そうして語られるは冒頭である。
おいしい! なんで? 怪異の肉です! カミサマにお供えする肉を我々もありがたく頂いています!
カミサマは洞窟の中です。どーん。
おめでとう! 君はお供物になりました!
ちゃっちゃらーん(調子の良いジングル)。
雑なあらすじであるが、それで概ね正しいのだから、星詠みとはなんとも奇妙なものである。
「真面目な話もちゃんとするから聞いといてってば」
最初から真面目にしなさいよ。
さてはて、始まるはわりとまともな説明だ。
「ちっちゃーい山奥の旅館にちっちゃい婆さんが居座ってんだが……このババア、旅館でメチャクチャ美味い飯を出しててな。いやホント美味そうなんだわ、ぱっと見ジビエに見える。一般人じゃ異常に気付けない。ババアがいつここに来たかとかも気づいてねーし。この飯目当てで宿に泊まる客が結構にいる。なんで、ここに向かってとっちめて欲しいってワケよ」
示される地図はなんと! 驚き! 山の中にぽつんと旅館! 参考になるかこんなもん。
近辺だけの地図では分からないだろうと、真っ当な地図も出て来たのは幸いである。
「村人は夜な夜な、カミサマって呼ばれてるもんを貪り食って……同時に、貪り食われてる。いいか、食い合ってんだわ。美味い美味いって言いながら。気色悪いネ。それが『儀式』として扱われて、クヴァリフの仔まで召喚されてるみたいでな」
そう言いながら|大棗《ナツメ》をつまんで食っているあたり、この星詠み、食欲の減衰などとは無縁の様子。
「ま、こりゃババアの洗脳の結果だわな。まずは旅館への侵入……メシは食っても問題ねぇから安心しときぃ、美味いだけの怪異肉だ。やり過ごすなり、ババアに直接聞いてもはぐらかしはするが情報は得られるだろ」
それはそれで何なんだ。
「次は二択。簒奪者ババアが村人に吹き込んだ「カミサマ」とやらの正体を暴く。または、村人を食おうと現れる怪異を待ち伏せして迎え討つ――どう転ぶかは、そうだな、ババアへの態度かね」
指先をくるくる宙でまわして、星読みはへらへら笑っている……。
「ほなそういうことで。頑張ってもらえりゃ幸い。あー。あと穴は適当に埋めといてもらえると……」
――あれ? なんかいつか聞いたようなこと、言ってない?
マスターより

おはようございます、親愛なる皆様!
R-Eと申します。
穴だね!!
コメディシナリオです!!
●1章
飯の時間だ!!!!!! 食いましょうね!!!!!
食えない? 食えないのなら仕方ないです、食ったふりでもしましょう。
でもおいしいらしいですよ。褒め散らかしといたらあとが楽かもしれません。
●2章
分岐があります。
ダイレクト穴or怪異です。
●3章
分岐があります。
穴とババアor怪異です。
クヴァリフの仔はだいたいここにいます、なんもかんも終わったら回収しましょ。
それでは、考えるな、感じろ。
65
第1章 冒険 『怪異飯店、繁盛中』

POW
気合いで怪異肉料理を食べきる
SPD
手先の早業で怪異肉料理を完食したように見せかける
WIZ
魔術的に怪異肉料理を無害化して食べきる
√汎神解剖機関 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
よくきたねぇ。老婆が手を擦り合わせている。出迎えた彼女、どうにも簒奪者には見えない様相ではあるが、こんな辺鄙な場所に人を集められるだけの能力を持っているのだ、相応の実力があると考えたほうがいい――が、そんなシリアスな描写は置いておいて。
「ご予約通りに食事を用意しておりますんでねぇ、どうぞ、どうぞ」
そう言って通されてしまえばそりゃあ飯である。
先の情報通り、飯である。
老婆はにこにこと――ある種張り付いた笑みを浮かべながら、きみたちをながめている。
さてどうする。
この、謎の刺身の盛り合わせだとか。揚げ物煮物その他諸々……。
目の前に「彼女」がいる以上、食わぬわけにはいかないだろうが。
くわないしゅだんも、いちおう、あるぞ!

*アドリブ連携大歓迎
穴は適当に埋めといてもらえると……?
あれ、デジャブかな??前も埋めた気がする(首傾げ)
まあいいや。怪異肉……怪異の……肉……
出来たら食べたくないな!?
でも|友達《某怪異解剖士》が怪異肉美味しいって言ってたしな……ぐぬ……
……うん、友達の言う事を信じてみるぞ、オレは!!
やぁお婆さん!噂の絶品料理、いただきに来たぜ!
(怪異肉への恐怖はぐっと抑え込む。伊達に一児の父をやっていないぜ!?)
へえ、見事な盛り付けじゃん?味はどうなのかな~~
(覚悟を決めて、パクっ。なるべく自然に!)
……お~~美味いじゃん!お婆さん、味付けナイスぅ~~!!
コレ、何のお肉なんだっけ?(すっとぼけて質問)
『穴は適当に埋めといてもらえると』
星詠みの言葉が思考をぐるぐるまわる。穴は……適当に。あれ、デジャブかな? 前も埋めた気がするな? 首を傾げる矢神・疾風(風駆ける者・h00095)。
矢神父……そうですね。
半年前に、埋めています。白い怪人がワハハと言っていた気がします。
当時は爬虫類が穴を作っていた気がしますが、今回はもとから開いているらしいっす(※この話は本筋にはまったく関係のない話なのでスルーして構わない情報です)。
「やぁお婆さん! 噂の絶品料理、いただきに来たぜ!」
「あぁ、いらっしゃい。団体さんのお一人だねえ、どうぞ、どうぞ」
さて団体客のひとりとして通されてしまった疾風の目の前に供されているのは懐石料理にも似た料理の数々であった。
「へえ、見事な盛り付けじゃん? 味はどうなのかな~~……」
ちらり、老婆を見るも、彼女は笑顔を浮かべるばかりである。まるで疾風が口にするのを待っているかのようである。
こちら、肉類の大半が怪異肉。火を通していようが生だろうが怪異の肉は怪異の……肉。
「(でも……出来たら食べたくないな!?)」
当然の話だ(一部√能力者を除いて)。だが怪異解剖士たる友人――白髪だったり金髪だったりの彼らが「美味しい」と言っていた記憶がまるで走馬灯のように思考をよぎっていく。
食べないという手もある。だが、ここは彼らを信じるしかないと疾風は目の前の怪異肉と向き合った――友人の言うことを信じること。
そして、一児の父として……ここで引き下がるわけにはいかないのだ――!
覚悟を決めた疾風、一番元の形がわかりにくく、火も通っているであろう天ぷらをたっぷりの大根おろしと共に天つゆに潜らせ、口にする……!
「……お~~美味いじゃん! お婆さん、味付けナイスぅ~~!!」
実際の味? 海鮮に似ていますね。少なくとも正気度を削るような味ではないですね、よかった! これなら完食できるかもしれません!
「ところでコレ、何のお肉なんだっけ?」
すっとぼけた様子で老婆に話しかける疾風。すると老婆は相変わらずにこにこと笑って、こう答えるのであった。
「近くの湖で捕れる『さかな』でございますよ」
――さかな。濁された表現のそれ、本当にさかななのであろうか……いや……絶対嘘なんですけどねえ。
🔵🔵🔵 大成功

ヴォルン【h00582】と
え”、旅館で美味しいごはん食えるって聞いたんだけど…?
いやこれ絶対だめなやつじゃん!
いくら食っても平気っていってもさあ、気持ち悪くて絶対なんかその、態度に出ちゃうと思うんだけど…
でも食べる振りして誤魔化すのも俺じゃうまくできない気がするし、ヴォルンに暗示かけてもらって乗り切る!
(暗示後)
おばーさん、この料理おいしいですね!
食ったことないんだけど、こういうのジビエ?っていうの?
俺もちょっと料理するから、調理のコツとか教えてくれたら嬉しいな!
(暗示がとけてから)
…うぇ。なんか腹の中でもぞもぞされてる気がする
キャラメルで口直ししよ…
てか人に食わせといてお前食ってないのかよ!

明留【h01198】と
君さぁ、能力者にくる依頼が普通の旅館でご馳走食べて帰るだけのはずがないだろう
「仔」に遭うのだって初めてじゃないのだし…ま、慣れないところが君の長所でもある
【夢は夢のままに】で「この食事は安全で非異常」と暗示をかけてあげよう
嘘が嫌いな君でもこれなら笑顔で食卓を囲める
とはいえ本当に大丈夫なのかは疑わしいし、僕は明留が舌鼓を打って料理を褒めている隙に【早業】【演技】で食べたふりをしておくよ
しかし女将さん、カミへの捧げものなんて貴重でありがたい代物、一介の観光客が頂いてもいいのかな
怒りを買って罰が当たったりしないかい?
そんなことを冗談めかして話しながら彼女の反応を窺うとしようか
ヴォルン・フェアウェル(終わりの詩・h00582)よ。きみってやつは、ほんとうにやることが派手だなあ。
「え゛、旅館で美味しいごはん食えるって聞いたんだけど…?」
事実ですよ橘・明留(青天を乞う・h01198)くん。
「いやこれ絶対だめなやつじゃん!」
大丈夫、星詠みも大丈夫っつってんですから。
「君さぁ、能力者にくる依頼が普通の旅館で、ご馳走食べて帰るだけのはずがないだろう」
こうして依頼を受けてしまった時点で、察するべきだったのである。ヴォルンが肩をすくめ、片や明留は肩をぷるぷる震わせている。
「いくら食っても平気っていってもさあ……」
それでも忌避感はあるものだ。もしかしたら「仔」が調理されたものではないかもしれないし。
そもそも明留は「仔」に遭うのは初めてではない……が、流石に食べたことはないだろう、けれど、だ。
「ま、慣れないところが君の長所でもある」
「慣れたくない!!」
それはそう。非日常に慣れてしまうことはよいことでも何でもない。
√能力者として活動している以上、感覚が麻痺してしまえば命取りになりうる――というかマジで死んでるやつだっている――と、そんなことは置いておいて。
「気持ち悪くて絶対なんかその、態度に出ちゃうと思うんだけど……」
橘・明留は『うそがにがて』だ。
いつだって明留はそうだった。真正面から相手と向き合い、受け止めた上で、それを認めたり否定したりと、確かな「行動」を起こしてきた。あるときは家族を求める怪人に寄り添い、あるときは恋人を求める災厄を拒絶し。
そんな彼が、自分の得意ではない――いや断言しよう。
絶対に食べたくないレベルのものを食べて、素でいられるわけはないだろう、と!
「あ~……うん、そうだね、言わんとしていることは分かるよ」
目を閉じて、深刻そうに頷いているヴォルン。深刻そうにであってそう思っているわけもなし。ただ彼は、じっと……明留の目を見て、こう言った。
「この食事は安全で、非異常だ」
これなら安全だろう。首を傾げて、どう? なんて。
「……それもそうかも」
これなら笑顔で食卓を『囲める』だろう。
出迎えた老婆に案内され、いざ目の前に料理を供される。
美しく盛り付けされた料理の数々に目を輝かせる明留を見ながら、ヴォルンもまた微笑んでいる。
「おばーさん、この料理おいしいですね!」
もぐもぐ。次々と、年頃の男子らしく箸を進める明留に「ええ、ええ」と嬉しそうに返す老婆。
しかしヴォルンは明留が笑顔で料理を褒めている隙に、丁寧に料理を食べたふり。箸の早い男だというふうに振る舞っていた。
「食ったことないんだけど、こういうのジビエ? っていうの? 俺もちょっと料理するから、調理のコツとか教えてくれたら嬉しいな!」
無邪気に――それでも、『暗示』をかけられても残っている使命を忘れず、老婆に聞く明留。すると老婆はやはり嬉しそうに、柔らかな、けれど含みのある笑顔でこう言った。
「このあたりで捕れるさかなですよ。丁寧に湯を通せば、臭みが抜けてとても美味なのです」
「しかし女将さん、カミへの捧げものなんて貴重でありがたい代物、一介の観光客が頂いてもいいのかな」
罰が当たったりしないかい? 少し不安そうな、けれど冗談めかした顔で言うヴォルンに老婆は楽しげに笑い声を上げて。
「食べて、食べられては、自然なこと……何の問題もありはしませんよ」
――さて。
「……うぇ。なんか腹の中でもぞもぞされてる気がする……」
キャラメルの包装を開き、口の中に放り込む明留。もごもご口の中で溶かして噛んで、しかし腹部に違和感があるように思えてならない彼と。
「ていうか! 人に食わせといてお前食ってないのかよ!」
そそくさ。早業で袋へと隠していた料理を取り出し、中身を見てみているヴォルン。なるほど、さかなとは言い得て妙かもしれない。
作りたてや、食べてしまえば問題ないのだろうが、時間が立てば――ぬめりが見えた。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

……食べても、大丈夫……?本当に?……梁さん、信じますからね……?うう……。食べ、ます……。
こっちが張り付いた笑顔になっちゃうんですけど……!
……あ。うっ。おいしい、です。後でお腹痛くなったりしないですよねこれ……?うん、信じましょう。開き直って楽しんでいただくしか……!
褒めたら良いよって梁さん言ってましたね。まあ、実際に美味しいご飯を褒めるのは、割と得意分野です。
うん!美味しいです!……変わった食感のお肉ですね?ジビエかなにかですかねえ。
こっちのお刺身も、初めていただくお魚です。山奥でお刺身をいただくなんて、贅沢ですねえ、美味しい!
おひとりでお料理されてるんですか?凄いです。美味しいです!
「……食べても、大丈夫……?」
大丈夫ダヨー。
「本当に?」
ホントに。
「……梁さん、信じますからね……?」
星詠みがこくこく深く頷いていたのを思い出しながら。若干遠い目をしているのは見下・七三子(使い捨ての戦闘員・h00338)である。あの星詠み、胡乱なこと言うからなあ。それでも信用してくださるのは有り難いことである。
というか、信頼できない語り手ってご法度だよネ! な~んて声が聞こえるのは気の所為ということだ。
目前に広がるは豪華な懐石料理、のような何かだ。なるべく「すがたかたち」が分からないように調理されたそれら。一般人には見抜けないのも当然。
通常の食材ももちろん含まれているが……正体を知っている彼女は今、それを目の前にして葛藤していた。√能力者にとってもこれが『怪異の肉』である、それ以上を探ることは中々難しいことだろう。安全かどうか、だけは保証されているわけだが。
じっくりと、それはもう……じっっとりと様子を窺ってくる老婆に。
「(うう……。食べ、ます……)」
張り付いた笑顔で――謎の肉の芝煮を口へと運ぶ。口の中に広がるのは、ふんわりとした出汁の旨味と。
「(……あ。うっ。おいしい、です)」
笑顔にはまだ(※「まだ」どころの話ではないかもしれないが)なれないが、どうやら食べるぶんには本当に問題のない肉であるようだった。
美味しい。美味しいが、解せない。あとでお腹が痛くなったりしないかと不安がる七三子だが、ならないって言ってますよ! 大丈夫ですよ! しんじて。信じてくださりますか? 信じましょう。よかった。
開き直った七三子。もはや、楽しんで頂くしか、ない……!
「うん! 美味しいです! ……変わった食感のお肉ですね?」
ジビエかなにかですかねえ。ややもにもにとする食感。褒めたら良いと言われたからには、美味しいところはしっかりと、そして食感について触れてみる。美味しいものは素直に褒めるのは得意分野だという自負があるのだ。
次にぱくりと口にしたのは、さかなのようなもの。ほんのりと赤みがかった白身。
「こっちのお刺身も、初めていただくお魚です。山奥でお刺身をいただくなんて、贅沢ですねえ、美味しい!」
「ええ、近くの湖で捕れるのですよ。大変にありがたいものです」
笑む老婆に、七三子はそれとなく、彼女の正体を探ろうと声をかける――。
「おひとりでお料理されてるんですか? 凄いです。美味しいです!」
褒められて上機嫌か。老婆は頷き、「一人だからこその楽しみがあるんです」と頷いた。
🔵🔵🔵 大成功

ご飯がおいしい旅館! それは楽しみですね。
出されたものはもちろん食べます。
色々な怪異肉を食べるために日々【呪詛耐性】や【毒耐性】を鍛えているんです。
その成果が試せると考えれば、むしろ絶好の機会じゃないですか。
あ、椎茸は横に(椎茸嫌い)。
この後には謎の怪異肉が待っているかも、と考えるとますます期待しちゃいますね。
味わって、出されたご飯を堪能させてもらいます。
クヴァリフの仔も是非味わってみたいです。
出された料理がどのように調理されたのかも、聞いてみたいですね。
「ご飯がおいしい旅館! それは楽しみですね!」
その通りでございます! 老婆もこれには(不気味に)にっこり!
美味しいお肉。美味い話にゃ表も裏も……しかし今はただ、その味を享受するほかないのである! 黒木・摩那(異世界猟兵『ミステル・ノワール』・h02365)、茶碗に盛られた白米と箸を手に――準備完了!!
このために――まあ今回は大丈夫と言われているが、これ以降がどうなるかなどはわかったことではないので――呪詛や毒に対する耐性は他の√能力者を上回る。ついでに大食いも上回る。よくたべてえらくてかわいい。
その成果が試せる絶好の機会である……この先に何が待っているかを考えれば、万全にしていて損はなし!
謎の怪異肉が待っているかも。その期待、裏切られることはなかった。
出された料理に、よくわからない魚肉っぽいものがある――!
摩那はまずはお味が繊細なものから、と煮物椀のすまし汁をひとくち。ふわっと口の中に広がる出汁の旨味――。
この|老婆《料理人》――出来る。舌の鋭い彼女が一瞬で理解できる旨味とほどよい塩味。柔らかい具を崩さぬように口に運べば、想像と違わぬ確かな味!
さて徐々に味の濃いものへ。白米に合うはやはり――焼き魚だ! さかな? さかなだよ!
甘辛くしかし繊細に味付けされたそれを口に含めば身がほろっと崩れる。そこにすかさず白米、おいしいに決まっているじゃあないですか!
――天ぷらの椎茸をそっと横に除ける摩那。すみませんと老婆に頭を下げれば、構いませんよとばかりに頷かれた。
椎茸、大葉、海老といったよく知るものの中に、謎の天ぷら。ぱっと見は白身魚に似ているが、やはり少々柔らかく思える。天つゆに通して口にすると、先ほど食べた煮物椀の出汁に似た風味が広がった。なるほど、あの具はこれと同じものだろう。
サクサクの衣にふんわりな身、そして白米――ごはんにあう!!
無言で老婆を見つめる摩那、そして頷き合う二人……意思疎通――老婆はどう考えても簒奪者であるがそれはそれ!
この|老婆《料理人》にかかれば、クヴァリフの仔も絶品な料理となってしまうのでは?
というか、そうならない理由ってないのでは?
「すっごく美味しいですっ! こちら、どのように調理しているんですか?」
「ええ、独特の旨味があるさかなですから、その味を殺さぬようにと丁寧に……」
二人の話は上機嫌。茶碗蒸しにも謎のさかな。おいしいからこれでよい。おいしいのでねえ!!
🔵🔵🔵 大成功

アドリブ・絡み大歓迎。
欠落:恐怖心なので迷惑にならない無茶はする。
ご飯は感謝して全力で味わい美味しくいただく。
今までは自分の調理した怪異料理しか食べられなかったのに、こんな本格的な懐石料理を食べる事が出来るなんて!
何かの生き血が濃厚な食前酒から、前菜、温物。これはなかなか。
地元野菜と仔の肉を上手く合わせてとても美味しい。
出汁にも仔が使われているのかな。
味付けは素材の味を生かしてシンプルに見せて複雑。
順調に進んで最後の甘味。
普通は水菓子だが仔の体液をつかったらしいプリンが出た。
ぶぶあられが良いアクセントになって面白い味。
合間にレシピを聞いて楽しい時間を過ごすよ
出たな北條・春幸(汎神解剖機関 食用部・h01096)!!
――失礼。
「ああ……この日が……こんな日がやってくるなんて……」
旅館の外観を感慨深い様子で眺めている春幸、それを見つめる老婆、今までの来客とは少々異なった様子に若干困惑しているような。ともあれ客であると認識しているようだ。話は非常に早かった。
春幸は明らかに――纏う空気が異なっている。なにせこの男からは、老婆にとって『知った気配』がする。
怪異食に命をかけている。文字通り。命をかけて死んでインビジブって大変なことになるような男、この機会に飛びつかないはずはない。老婆| 《と地の文》も感謝。
今まで彼は、自身で調理した怪異料理ばかりを食べてきた。そこに本格的な懐石料理を食べる機会が生まれたのだ! 生まれてしまった!
となれば、老婆がこの男に味合わせるものは『本気』のそれである。ぶつけていけ――全力!
運ばれてきた懐石料理。他の√能力者が食べたものと決定的に異なる点がいくつかある。
具体的に言おう。『その肉を、春幸は知っている』。
仔だ。これは仔の肉だ。そしてあのさかなも――もしかしたら彼は、知っているかもしれない。
「頂きます――」
確りと手を合わせ、目の前の料理と対峙する。まずは酒だ。本来の懐石で提供されるそれとは異なり、どこか青みがかった雰囲気を持つそれ。口にすれば見た目と裏腹、濃厚な味をしている。
「珍しい味がするねぇ! これってどこで買えるのかな?」
「ふふ、それは秘密というやつですよ」
「だよねぇ」
前菜。煮浸しとなっているそれが何かと聞けば老婆は「さかな」だと答えた。噛めばふわり、ほろりと解けるのが心地よい。塩焼きは普通の鮎だろうか。明らかに先ほど食べたさかなとは味が異なる。
煮物椀のすまし汁、その出汁にも仔が使われているのかもしれない。なかなかだ。
そして――目立つ場所にある『それ』。見覚えが、ある。ありまくる。しってる。
それは『仔』である――! 調理されてしまえばただの(怪異)肉か。食感を殺さぬ程度に切り分けられたそれにソースがかかっており、添えられているのは山菜だろう。
素材の味を活かすどころかかなり素材かもしれない。だがそれを活かす手腕、この老婆、只者ではない。
いや簒奪者はそもそも只者ではない。シンプルに見せて複雑で、酒も白米も進む塩梅に仕立てた良き味である。
「すごいね、これ! ジビエかな。さっきのさかなとちょっと似てる?」
「そうですねえ、似た調理法です。みなさまにはやはり、違いが分かるのですねえ」
老婆はにこにこ上機嫌!
最後に出された甘味はプリン。かわいい、と思ってはならない。ここで出てくる『変わり種』が変わっていないことなどない! 可愛らしい色のぶぶあられの食感、知ってる旨味、磯臭さのない見事な仕上がりであった。
……ほんとに満喫してるぅ。
🔵🔵🔵 大成功
第2章 集団戦 『集蛞蝓』

POW
胎動する無数の腕
60秒間【群蝸の胎動 】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【貪欲なる触手】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
60秒間【群蝸の胎動 】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【貪欲なる触手】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
SPD
這い寄る歪腕
自身が受けた武器や√能力を複製した【蠢く擬態肢 】を創造する。これは通常の行動とは別に使用でき、1回発動すると壊れる。
自身が受けた武器や√能力を複製した【蠢く擬態肢 】を創造する。これは通常の行動とは別に使用でき、1回発動すると壊れる。
WIZ
偽軀の軟体呪怨
指定地点から半径レベルm内を、威力100分の1の【粘りつく体液 】で300回攻撃する。
指定地点から半径レベルm内を、威力100分の1の【粘りつく体液 】で300回攻撃する。
各々の√能力者が怪異料理を楽しんだ(?)、その夜のことである。
気配がする。おぞましい気配だ。まだこの旅館へ、『それ』がたどり着く気配はなく。
それはゆっくりと――そう。なめくじのように。北の方から、迫ってきている。
さて、星詠みの言葉を思い出してほしい。
『村人は夜な夜な、カミサマって呼ばれてるもんを貪り食って……』
『同時に、貪り食われてる』
|さかな《お供え物》を喰らったきみたちを。
村人を食う怪異、それが狙わない理由は、どこにあるだろう。
老婆は既にここには居ない。『カミサマ』に――いいや。
村人に信仰「させた」カミサマの元にいる。
北へ、蛞蝓の這ったような、ぬるり、てかるそれを追い、異形を退けながら歩くがいい。
あ。
穴はまだもうチョット先にあります。

食べちゃったものは仕方ない、うん、おいしかったですし。
うん、なんかこう、この地面に残るてかてかした跡見て、改めて後悔なんて、してないんですから!
……してないもん。
は、いけない。追跡でしたね。
山の中って暗いですねえ。とりあえず、暗視のできる仮面をつけて、てかてかを追います。
……ふふ。北には湖でもあるのかなあ。湖のおさかなって、言ってましたもんね……。うん、おさかな……。
って、うひゃあ、敵さんが生理的に苦手な見た目!メイン武器はすいません、今回は銃にしますやだよおおお。
近づかないで!?こっちきたら塩投げますよ!?蹴らない!っていうか蹴っても効かなさそう!むしろ私に効いちゃう!
ひああああ!
食べちゃったものは仕方ない。
てかてかの後を追いながら思う。
うん、おいしかったですし。
もはや完全に自分に言い聞かせている……。見下・七三子(使い捨ての戦闘員・h00338)は山の中、暗がりに足を取られぬようにと暗視機能付きの仮面をつけて、月明かりにひかるそれを追いかけていた。
見れば見るほど蛞蝓や蝸牛の這いずり回ったあとである。それが大量に、闇の中を一方向に進んでいるのを見て……。
「(改めて後悔なんて、してないんですから!)」
ほんとに〜?
「(……してないもん)」
ごめんネ七三子ちゃん。オッチャン、美味けりゃいいかなって思っててさ。どっかのだれかの独白である。
北へ北へと進んでいく、痕跡も北へ進んでいく。草むらを抜けて木々の合間を抜ける間に気付くのは、獣道らしきものが作られていること。どうやら奴らが毎晩のように「そこ」へ向かっているのは間違いなさそうだった。
そうしてたどり着いたのは、月明かりを受けて輝く小さな湖であった。
湖のおさかなって、言ってましたもんね。
うん、おさかな……おさかな……? そうして察した七三子、仮面の下の顔がさらに青ざめた。おさかなってもしかしなくても。何かを待ち侘びるように揺れるそれらの気色の悪いシルエットを見て思わずうひゃあと声を出した!
ぬめぬめ! ぬるぬる! わっかんないものの集合体! ――むりである!! 肉弾戦を挑む気になれない見た目である!! 思わず|得物《武器》を持ち、彼らに向けて――発砲した!
広がる爆発、そして煙幕――範囲内に自分を入れるようにしながら自己強化を兼ねて――しかしそうなると必然、やや距離が近づいてしまう!
「ひゃあああ!! 近づかないで!? こっちきたら塩投げますよ!?」
それ、味付けかも。ほんのり塩味なおさかなの天ぷらの下味かも。
七三子の放った牽制射撃、√能力による弾丸を模倣して放たれているらしいびしゃびしゃの体液を必死に避けながら、迫る『集蛞蝓』どもから逃げ回る彼女。涙目。蹴らない蹴れない自分に効いちゃう! あんなのの蹴り心地知りたくもないのだ!!
「ひああああ!! こないでーーっ!!」
叫ぶ声と銃声が湖によく響く。これは……よいめじるしになりそうなお声で……。かわいそう!!
🔵🔵🔵 大成功

明留【h01198】と
怪異がやってくる元をたどれば首魁あり、か
実に単純明快でいいね
ほら明留、気持ち悪くなっている暇はないみたいだよ
腹の中身の消化がてら、カミサマとやらを拝みに行こうじゃないか
蛞蝓ということなら百足じゃ分が悪い、と
ならこれだ【はばたく螻蛄翅】
君たちに寄生し内側から食い荒らす蠅たちを召喚しよう
【高速詠唱】【早業】で極力間断なく羽虫を喚ぶ
降り注ぐ体液も蟲たちに肩代わりさせておく
明留の支援があれば攻撃への【カウンター】もとりやすい
蛞蝓ののたくった後に触れるなんて病気のもとだし
なにより見苦しくて不快なだけだ
清めの塩でも持ってくるべきだったかな、君たちにはうってつけだろう?

ヴォルン【h00582】と
出方がまんまオバケじゃん…俺ダメなんだってこういうの
てかあの料理のやつさ、ぬめってたって言ったよな?
あれ、ナメクジって…(敵と料理を結びつけてしまい気分が悪くなるが、なんとか堪えて戦いに臨む)
よし、頑張る!…ていってもさすがに触りたくはないし、近づくと料理のこと思い出して吐きそうになるんだよな…
【合縁碧線】で応援するから、ヴォルン、攻撃頼んだ!
これなら能力受けるのは味方側だから、技のコピーもされないはず!
受け流しと逃げ足には自信あるから、粘液とか触手からはとことん逃げ回ってやる
戦えないやつがいたら標的にされるだろうし、そしたらヴォルンが攻撃する隙も作れるかなって!
橘・明留(青天を乞う・h01198)よ。きみってやつは本当に、期待を裏切らないやつだなあ。
「出方がまんまオバケじゃん……」
まあ怪異は怪異なんですけどね。
「俺ダメなんだってこういうの……」
そうだねえ。怪異だとしても――正体が分かっている怪物だとしても、それに対する忌避感、たいした違いはなく。野生の猛獣を恐れない人間がいるとすれば、それは獣にとってよい餌になるわけであるし。
「怪異がやってくる元をたどれば首魁あり、か。実に単純明快でいいね」
納得した様子で小さく頷くヴォルン・フェアウェル(終わりの詩・h00582)、明留が気持ち悪そうにしていようとも気にする様子なく。
「(てかあの料理のやつ、ぬめってたって言ったよな……?)」
てかてかとした痕跡を残しながら歩いていっているらしいナメクジ状の怪異、それ追いながら。ヴォルンがそっと食卓から隠し見たそれのぬめり。
「――おぇ」
口を押さえて震えている場合ではないぞ明留くん!!
「ほら明留、気持ち悪くなっている暇はないみたいだよ」
ヴォルンさんもこう言ってますから!!
「腹の中身の消化がてら、カミサマとやらを拝みに行こうじゃないか」
「意識させないで!?」
本当にそういうところだぞ。ともあれ二人、北へと進む。途中何か女性の悲鳴が聞こえ。進めば当然、『それ』と出会うこととなる。
月明かりの下、湖のほとり。幻想的かもしれない光景に異形が複数。うねうねぐにゃにゃ、まるでヒトのようなかたちをつくる、蛞蝓のようなものの集合体――!
「うぶ」
あやうい。🌈りかけた。
「……よし、頑張る!」
それでも気合を入れて――そうするしかないのだから――それでも流石に触りたいと思う外見ではまったく無く。頑張りはするが、それはそれとして近づきたいとは思わない。となれば取るは――徹底支援!
一歩前へと歩み出たヴォルンと己を|合縁碧線《ホダシイト》で繋ぎ留め。自身らの能力の底上げを図る。非実態、範囲の外に出ない限りは切れることのない縁。
「攻撃頼んだ!」
「やれやれ」
そうは言われど、蛞蝓に百足じゃ分が悪く。本来の三すくみだ。相手が蛇なら有利を取れたか、だが今回はぬめるそれ。いつもの通りに|顎《あぎと》を食い込ませるには少々滑る。
そうしているうちに、一、二、三。生み出されるは赤子大の――羽蟲。|はばたく螻蛄翅《バニシング・ワイアーム》。
その音を聞きつけたか、動き出す集蛞蝓。ヴォルンと明留に向かってくるそれ。
だが、先手はこちらが取った。生み出し続けていた悪食。蠅の姿を取ろうと|螻蛄《けら》、|手足の無い竜《ワイアーム》とはよく言ったもの。百足とは異なる|顎《あぎと》が集蛞蝓の肉を削り、食い散らかし、そして体内へと潜り込む――!
攻撃された。敵対者だ。それも、自分たちよりもか弱い「にんげん」ではない。そう判断できる知能があったか。その場に、粘りつく体液が撒き散らされる――半ば自滅するかのように自分たちをも巻き込みながら――!
「うべっ、ちょっ、ちょっと待って待って!」
粘液の範囲外から逃げる明留、大人しく……いや、半ば諦めているのかもしれないが、雨を受けつつも出来るだけ『羽蟲』を使い跳ね返していくヴォルン。なあにこの程度なら小雨……小雨……?
「きたない!!」
多少は濡れるし痛みもあるが、そうだね。きたないかもね。
でもきれいかもしれないよ。湖でとれるさかなだって言ってたし、きれいかもしれないよ(言い聞かせている)。さてはてそんな中ヴォルンはといえば。
「まったく、こんなものに触れるなんて、|病気《やまい》のもとだ」
なにより、見苦しくて、不快。――考えることはいつだって冷静だ。
「清めの塩でも持ってくるべきだったかな、君たちにはうってつけだろう?」
溶けるかどうかはともあれ、この不快感、多少はマシになったかもしれない。
なったかな。明留くんはまあ、なりそうかな。ギリ。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

*アドリブ連携大歓迎
あーよく食べたな怪異肉……じゃなくて、『さかな』だっけ。
あれ、なんか居る。お前が『カミサマ』っていう怪異?違う?本命はもっと先??
だったら関係ない雑魚怪異はさっさと倒して進まなきゃな!
『嵐の如く』を使用、敵をマヒさせることを狙いつつトンファーでボコボコにしてやるぜ!
敵はネバネバの液体を撒くようだが、√能力の攻撃に伴う雷雨で、洗い流したりしておきたい。ほら、ネバネバ汚れってなかなか落ちないし、洗濯大変じゃん?
防ぎきれなかった敵の攻撃は、アイテム『青の如意宝珠』による風カウンター効果ではじき飛ばせ!
さて……(穴の方向に向かって)お婆さーん!助けに行くからな!!(大嘘)
「あーよく食べたな怪異肉……じゃなくて、『さかな』だっけ」
すっかり適応していませんか? 気のせいですか? 気のせいだったらいいなと思うんですけれども。
北に向かえば何かがあるようで――何かしら音がするような気がするので、とりあえずはそちらへ向かうべきだろうかと歩く矢神・疾風(風駆ける者・h00095)。
あれ、なんか居る。なんかじゃないんだよなあ。ねとねとぬめぬめ、まるで人間をかたどったかのように集まった蛞蝓のようなもの――。
「お前が『カミサマ』っていう怪異? 違う?」
どうだろう。彼が食べたのがコレだとすると、違うと言うべきだが、どうだろう……。あの老婆の話を素直に信じるとなれば「否」ということになるのだが。
「本命はもっと先?? ――だったら、関係ない雑魚怪異はさっさと倒して進まなきゃな!」
関係、ありそうな気がするけど、まあここまで来たらそんなことはどうでもいいのだ! 何故ならこいつらがどこから来たかを辿る手段は既に明らか。月に照らされたギラつく粘液を追えばよいのだから!
「さあ――嵐を呼ぶ男とは、オレのことだぜ!」
一応ひとつだけ言っておくんだけど、嵐呼んで大丈夫? ネバネバ飛ぶよ?! と言って止まるわけもねえんだなあ!
青天の霹靂とばかりに、雷と豪雨が降り注ぐ。雷撃の爆音にびしゃり跳ねるように反応した蛞蝓ども。降り注ぐ雨にその体液を洗い流されながら――突っ込んできた疾風の猛襲に反撃できぬまま、『二匹』が『無数』へ散り散りとなった。背後から覆いかぶさるように絞め上げようとしてきた蛞蝓が、疾風の振り返りざまのトンファーの一撃で散じ動きを止める。
「っ、とお!?」
雨には雨、とばかりに、自らをも巻き込み粘液を撒き散らしはじめた集蛞蝓。ヒトに寄せた|にせもの《偽軀》の体をどろり溶かしながら疾風を狙うも、それは自滅をも選ぶ範囲である。
「ちょっ、これ洗ったら落ちるか!?」
落ちると思う!! 奥さんに叱られるかもしれないけれどそれはそれとしてください。自分で洗いなさいって言われたときのアドバイスですが、たぶんコイツの粘液、塩が効きますよ。
宝珠から放たれる風が粘液を弾き飛ばし、飛沫を蛞蝓へと押し返す。
疾風の襲撃と雷雨はまだ止まない――その中で。
「お婆さーん! 助けに行くからな!!」
あんまりな大嘘を『穴』がある方へ叫ぶ彼。
「……はて……?」
穴の側にいた老婆、何かを聞いた気がした。あちらの雨は、夕立の残り香か何かかねえ……。
🔵🔵🔵 大成功

村人たちが食べて食べられる存在とは一体どんなものでしょうか。
食べるのはよいとして、食べられるのは嫌ですね。
ともかく食べられないように、先手必勝です。
敵の能力は複製ということですが、扱うのにテクニックがいる武器ならば、複製されても無問題です。
ヨーヨー『エクリプス』で戦います。
√【金環日蝕】を発動して、『エクリプス・ソレイユ』として、距離を採りつつ、集蛞蝓をすりつぶしていきます。
蛞蝓は食べたことはないですが、『無名料理書』によると火を通せば食べられるようです。
せっかくですから、少し食材として『エトランジェ』に保存しておきましょう。
――村人たちが食べて、食べられる存在とは、一体どんなものでしょうか。
回答は目の前に『あった』。煌々と輝く月明かりの下、水辺に寄るぬめぬめの『さかな』こと蛞蝓どもである。
「食べるのはよいとして、食べられるのは嫌ですね」
味はあの老婆が手掛けた料理で知った。では次は『技』と調理法を知るべきだ。食べられないよう……先手必勝!
|解放《リベラシオン》。アクセプトメダル――コイントス。
「エクリプス――モードチェンジ!」
シグマプリズム、装着。黒木・摩那(異世界猟兵『ミステル・ノワール』・h02365)が放つヨーヨー『エクリプス』の長距離射程攻撃により、まるで銃で撃ちぬかれるかのごとく集蛞蝓が倒れ伏す。
月に負けぬほど輝くは『|金環日蝕《エクリプス・ソレイユ》』。岩の裏や葉の裏、あるいは今回の場合洞窟の中か。彼らにまともな目があったならば、それはあまりにも眩しく見える輝きだったろう!
複製――模倣――自分たちの腕を伸ばし弾き飛ばそうとするが、摩那の間合いへと入ることができず伸ばすだけに終わる手のような何か。回転するヨーヨーにより、すり潰される体。深く食い込み、摩那の手元に戻る時には深い穴が開けられ、集蛞蝓は形を保てずに崩れていく。薙ぎ払うように射出し手元へ、蛞蝓の群れが個へと散じて戦闘能力を失う。
――さて、これが「さかな」の正体だろう。びちびち跳ねることもできず、地面でゆっくりのたうつだけになった蛞蝓。この上なく不気味だ。
お知らせですが、シリアス描写はここまでとなります。
彼女の持つ『無名料理書』、ありとあらゆる食材(怪異含む)をおいしく料理するためのレシピ集には、こう書いてある――。
蛞蝓は火を通せば食べられる、と。|カリフォルニア《バナナナメクジの生息地》では常識なんだよ。嘘です。大嘘です。現地では食べられていません。きちんと下処理をしてぬめりを取れば、おそらくはあの料理たちのように美味であると!!
摩那は考える。思えばさかなとして出されたそれら、火を通したものが多かった。
ふむなるほど。刺し身のようなものも出ていたな。となれば適切に調理すれば、ほぼ生でもいける――あの味ならば、きっと良い食材になる!!
「せっかくですから!」
詰め。足元に散ってきた蛞蝓を己の纏う歪みにぽい。やったあ万能エトランジェ! 攻撃を吹っ飛ばすだけが世界の歪みの役割ではない!
うねうね蠢く集蛞蝓を散らす摩那。散った蛞蝓はひょいひょい、食材として回収されていく……。
🔵🔵🔵 大成功

アドリブ・絡み大歓迎。
欠落:恐怖心なので迷惑にならない無茶はする。
有効な技能を使う。
やっぱり君か、蛞蝓君!!それ人間のフリ?
相変わらず擬態があまり上手じゃないねえ。努力は認めるけど。
覚えのある味だなあと思ってたんだけど、おばあちゃんの腕前はすごいねえ。
調理法も味付けも見事だった。
おばあちゃんにレシピを聞けないかな。
いっそ|機関《ウチ》に来てくれればいいのに。
さて、折角遭遇したんだし、お土産に『さかな』のお肉もお持ち帰りしとくか。
√能力で必中効果を付けたら、的確に急所を狙ってマヒさせておこう。
淡々と確実に末端部分からほぐして行こうね。
あの旅館にお持ち帰り用のケースはあったかなあ。
「やっぱり君か、蛞蝓君!! それ人間のフリ?」
ご挨拶!! ご挨拶!! まるでそのまま駆け寄って握手でもするのではないかという勢いで湖のほとりを見て歓喜するは北條・春幸(汎神解剖機関 食用部・h01096)! そうだね、その反応は君しかいない!
「相変わらず擬態があまり上手じゃないねえ。努力は認めるけど……」
困惑されているのかもしれない。うねうねぐにゃり、にんげんのようなかたちを取ろうと蠢き続けるその姿、遠目で見たってヒトには見えなかったのだから。あまりにも丸わかりである。
彼らが歩いたあともあれば、争ったあともあるそこで、彼らは変わらずうねっていた。
覚えのある味だった。知ってはいたが、調理法や味付けによって知った味とはまた異なる風合いにされていた集蛞蝓――。
「おばあちゃんの腕前はすごいねえ」
まさに知恵袋的な。レシピを聞けないかな。いっそ|機関《ウチ》に来てくれればいいのに。簒奪者ババアだから無理だとおもう。しかたないねえ。婆さんのお持ち帰りはできずとも――。
「さて、折角遭遇したんだし」
春幸がメスを構える。やることはそう、ひとつ。まずは丁寧に解剖・解体して――。
「お土産に『さかな』のお肉もお持ち帰りしとくか」
ぎらり。月光が眼鏡に反射した。
「これは先輩から聞いた話なんだけどね」
――月が満ちた日のある湖は、一夜だけ塩湖のように硬質になる。
集蛞蝓たちの足元に塩が迫る。凍てつくように唐突に、塩の波が押し寄せる。語られる怪談ゆえに本物の塩ではないが、彼らの動きを麻痺させるには十分だった。
その場で粘液を撒き散らしながら暴れる集蛞蝓、そこへ粘液など知ったことかと突っ込んでくる春幸――急所を狙い切り裂かれ、あっという間に解体され分割された蛞蝓へ。
一度では解体しきれなかった蛞蝓どもも末端から丁寧に切り裂かれほぐされていく。撒き散らしても撒き散らしても止まりはしない春幸、もし集蛞蝓に意思だの知性だのがあったなら恐怖していたに違いない――!
「……あの旅館にお持ち帰り用のケースはあったかなあ……」
血しぶきならぬ粘液で汚れた眼鏡を軽く拭き――見事一掃され、うぞうぞするだけになった元・集蛞蝓たる蛞蝓どもを見ながら、春幸は唇を尖らせる。どうせならお持ち帰り、したいよね。
でもまあ、なくても大丈夫だと思います。たぶんしっかり、あの旅館に食材として保存されているはずなので……あとで回収するとよいのでは……? |地の文《わたくし》はそう思った。
🔵🔵🔵 大成功
第3章 ボス戦 『大叔母様』

POW
命が眠るまで聞かせてやるのさ
「【子守唄】」を歌う。歌声をリアルタイムで聞いた全ての非√能力者の傍らに【精神を支配し操る首のない赤子の霊】が出現し、成功率が1%以上ある全ての行動の成功率が100%になる。
「【子守唄】」を歌う。歌声をリアルタイムで聞いた全ての非√能力者の傍らに【精神を支配し操る首のない赤子の霊】が出現し、成功率が1%以上ある全ての行動の成功率が100%になる。
SPD
稀人を村から帰してはならないよ
【でっちあげたおどろおどろしい「しきたり」】と完全融合し、【全ての非√能力者を操る洗脳術】による攻撃+空間引き寄せ能力を得る。また、シナリオで獲得した🔵と同回数まで、死後即座に蘇生する。
【でっちあげたおどろおどろしい「しきたり」】と完全融合し、【全ての非√能力者を操る洗脳術】による攻撃+空間引き寄せ能力を得る。また、シナリオで獲得した🔵と同回数まで、死後即座に蘇生する。
WIZ
皆、喜んで贄となった
【かつて儀式で生贄にした首のない村人】を召喚し、攻撃技「【敵の首を切る|忌子刈ノ儀《いねかりのぎ》】」か回復技「【自ら喰われる|放生ノ儀《ほうじょうのぎ》】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[かつて儀式で生贄にした首のない村人]と共に消滅死亡する。
【かつて儀式で生贄にした首のない村人】を召喚し、攻撃技「【敵の首を切る|忌子刈ノ儀《いねかりのぎ》】」か回復技「【自ら喰われる|放生ノ儀《ほうじょうのぎ》】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[かつて儀式で生贄にした首のない村人]と共に消滅死亡する。
ぎらぎら粘液を辿れ辿れ。湖に向かった蛞蝓どもは見事全滅である。人間……村人との待ち合わせに失敗したそれら、もう戻ってくることはないのだが……。
「こりゃあ失敗したかね」
洞窟の前の老婆、察したのだ。何かがあった、あったに違いない。
老婆の背後の洞窟内には、空になったお堂。そこに――みっちみちに詰まった、クヴァリフの仔! どうやらこの仔らのことを老婆は『カミサマ』と呼んでいたようだ。
「カミサマも腹を空かせとる」
ほんとかな。うにうに動いているだけの仔、絶対何も考えてないと思うんですけども……。
ともあれ、村に紛れ込んだ見知らぬ√能力者たち。
「お供物にぴったりねええぇえ……!!」
舐めてるとマズそうな人たちしかいなかったことを、この老婆はまだ(よく)知らない――!!

アドリブ・絡み大歓迎。
欠落:恐怖心なので迷惑にならない無茶はする。
有効な技能を使う。
女将さん!あなたの料理の腕、こんな所で埋もれさせるのは勿体ないよ!?
|解剖機関《ウチ》に来てくれたら、|カミサマ《クヴァリフの仔》今、一杯あるから。
僕と契約してウチの料理人になってよ!!(精いっぱいのイケメン風笑顔)
一応オファーはしてみるよ。
どんな事でもとりあえずやってみれば何か変わるかもしれないからね。
まあ絶対戦闘になるのは分かってるから頑張って倒すけど。
この仕事が終わったら旅館に戻って「さかな」の肉も回収しておくか。
仕事だよ。仕事。
怪異の肉なんて放置出来ないからね!
腰の曲がった老婆が、洞の前に立っている。
元々は『何もなかった』|洞穴《どうけつ》、村人たちを洗脳し穴を掘らせたそこに詰め込まれたのはクヴァリフの仔。
どこから来たのかさっぱりわからぬそれを、人々は来訪神と信じ、そして『カミサマ』と己の身の上を語る老婆を、その巫女だと信じた――。
「女将さん! あなたの料理の腕、こんな所で埋もれさせるのは勿体ないよ!?」
まあこの老婆と仔にはそのようなバックボーンがあったのだが、それがこの熱烈なラブコールに繋がるというのは誰も思っていなかったと思うんだ。
相変わらずの北條・春幸(汎神解剖機関 食用部・h01096)。春幸にとって大切なのは穴がどう生まれたかとか老婆が簒奪者である事実だとかそんなものではなく(クヴァリフの仔は特別待遇として一旦置いておき)、その手腕――そう! 料理をする婆さんの手が必要であったのだ!!
ここまで聞いて「まことに、なんで?」と思っているそこの君は、後ほど機関の人と一緒に春幸くんに聞くといいんじゃないかな。
「|解剖機関《ウチ》に来てくれたら、|カミサマ《クヴァリフの仔》今、一杯あるから……」
カミサマ、という単語に反応してか、怪訝な顔で身構える女将。否、そう身分を偽っていた大叔母様へ、眼鏡の奥から覗くきらきらした視線が突き刺さり。
「僕と契約して――ウチの料理人になってよ!!」
さわやかな笑顔であった。後光のごとき黄金の光に照らされたその顔、心の底から老婆を料理人として求めてやまない姿――! 元々のツラは好青年である、どうにも普段しゃっきりしていないところで損をしているが。
「受けるか小僧!!」
怒鳴られるのも当然だがどんな事でもチャレンジだ! やってみたら変わるかも! それで何回自分の怪異料理を食ってインビジブる結果になったんだ春幸!
ともあれ先陣を切り先手を取るは春幸――対する大叔母様、手元に『村人』が届かなかったことにより、選べるのはそう、肉弾戦である――|おさかな《餌》で|人間《獲物》釣ろうとしたら|√能力者《餌取り》がみんな食べていってしまったんだよなあ!
「この村にはねえ、ちゃあんと、ちゃあんとカミサマがいたっていうのにねぇ……アンタたち、そのお供物に、なんてことをしてくれたんだい!」
「大丈夫! ちゃんと美味しく食べたよ!」
怪異に捨てる部位無し! ババアに捨てる部位があるかはともかく!
距離を取ろうともしない春幸のメス、その切っ先が躍る。切り裂かれるは皺の刻まれた肌。その腕と爪が反撃として春幸の腕を掴もうと伸ばされたが、彼の速度について行けずに空振る。
――この仕事が終わったら旅館に戻って「さかな」の肉も回収しておくか――。
フラグじみているが彼なら確実に「やり遂げる」ので問題ない。でも待って。
「怪異の肉なんて放置出来ないからね!」
ほんとに仕事のうちですか? ……うっかり死なないように、機関のみなさんと一緒に食べるんだよ……。
🔵🔵🔵 大成功

……ぜえはあ、ひどいめに……ひどいめにあいました。
梁さん……。今度缶ジュースでもおごってもらうんですから!(やつあたり)
とりあえず気を取り直しまして!
おばあちゃんに殴りかかるのはアレですが、これからもこんなことを続けるなら、ほっておけません!
……うん、本当に。(お腹を押さえつつ)
非√能力者さんたちが厄介ですよねえ……。
ひとまず戦闘員の幻影を散らせて、適宜相手の死角に転移して、当て身で無力化、ですかね。
おばあちゃんも同じ要領で。
カミサマは回収して、穴は塞いじゃいましょうねー!
……うう、なんかスーツもちょっとよれよれぬめぬめ……、缶ジュースって言いましたけど、ペットボトルに値上げしてもらおう……。
ぜえはあ。息を切らし肩を上下させながら、憐れ粘液でべっしょり濡れている見下・七三子(使い捨ての戦闘員・h00338)。
「ひどいめに……ひどいめにあいました」
そうだね、ひどいめだったね。でも倒さないとこっちがお供物にされてたんだから仕方がないと思います!!
「梁さん……。今度缶ジュースでもおごってもらうんですから!」
ふんす。鼻を鳴らして詠んだだけほぼ無関係の星詠みに対して誓う七三子。『オッチャン関係なくない!?』と騒いでいるような気配がするのはそっと思考の横に置いといて。やつあたり、めっ!!
気を取り直しまして!
「まったく……だあれもお供物を持ってきやしないじゃないか!」
怒鳴る大叔母様――しかし、周囲には『村人』がいない。食料兼お供物兼配下であったさかなこと集蛞蝓、√能力者たちにより|美味い《・・・》こと全滅させられてしまったので……!
村人と食い合う暇もなく、集められる隙もなく、一匹残らず無力化されておりましてですね……つまり! なんと今回、ババア、一人――!
「おばあちゃんに殴りかかるのはアレですが、これからもこんなことを続けるなら、ほっておけません!」
ぐっと握り込んだ拳を構えて。
「……うん、本当に」
それからお腹を押さえて。たべちゃったしなあ。そんなことをうっす~らと考えている中で。
「キエェーッ!!」
「ぴぇっ!!」
子守唄を歌う必要すらないと判断したか、七三子へと殴りかかってくる老婆! 戦闘員の幻影を呼び出しながら老婆の攻撃を往なし、死角へ転移しその曲がった背を蹴りつける。「あ痛ァ!!」などと聞こえてきたが曲がった背中の矯正だ仕方がないと諦めるがよい!
圧倒的に優位ではある、あるが――お堂は|カミサマ《クヴァリフの仔》まみれ、どう立ち回ろうとなんだか視界に入ってくるうねうねが、気になる……!
そうして思い出すわけである……先ほど浴びた粘液のおかげで、スーツがちょっとよれよれぬめぬめであることを。これ塩で軽く揉むと粘液取れるらしいっすよ(真偽不明)。
これは早々に回収しなければならないし、今回|も《・》元から開いていたわけではなさそうな穴だ。あとでしっかり塞がなければ!というか今からでも奥のほうは埋めてもよいのでは! そこまでするには、この老婆の相手に集中すべきかといった形だが――!
「缶ジュースって言いましたけど、ペットボトルに値上げしてもらおう……」
今どきの缶ジュースって結構するし、ペットボトルでイイヨー。二本くらい。スーパーで好きなもん選んでおいで、経費で落とすネ。
🔵🔵🔵 大成功

たくさんいるじゃないですか、クヴァリフの仔。
大切に育てているようで申し訳ないのですが、それいただきます。
育ててくれた愛情の分だけ大事に食べますから、安心してください。
刀『白波斬月』で戦います。
首のない村人は【受け流し】で避けつつ、UC【混沌幽凍】を発動。
インビジブルと位置を入れ替えて、お堂のクヴァリフを狙います。
反撃してくる老婆には刀で一刀両断。
おいしい料理を作る腕前は惜しいですが、このままにしとけば村人や観光客の供物が増えちゃいますからね。
ここできっちりと倒しておきましょう。
「たくさんいるじゃないですか、クヴァリフの仔」
微笑むかのような声だけが聞こえた。腰を強打した老婆、背中をさすりながら振り返る。見ればそこに立つは黒木・摩那(異世界猟兵『ミステル・ノワール』・h02365)。
「大切に育てているようで申し訳ないのですが」
携えた刀が湖の表面のようにきらり輝く。白波斬月を構え、摩那は老婆とその先に見えたクヴァリフの仔を見据え。
「|それ《・・》いただきます」
――混沌幽凍。クヴァリフの仔の側に居た魚状のインビジブルと自分の座標を入れ替えた。
きんっきんに冷えたインビジブル、驚いたのかお堂の中を泳ぎ回り、洞窟内やクヴァリフの仔、そして老婆の体も冷やしていく――!!
「ああっ!? カミサマになんてことをするんだい!!」
みっちみちに詰まっていた仔が解き放たれてしまった。だばぁと雪崩れるように溢れた仔らがごちゃまぜに、床をそこそこ埋めている。驚いたのかキュウキュウ声がしているような、してないような。
「育ててくれた愛情の分だけ大事に食べますから、安心してください!」
騒ぐ老婆、摩那の|エトランジェ《世界の歪み》にぶちこまれるもちもち。たぶん今蛞蝓といっしょに中でうねうねすることになっているクヴァリフの仔。異次元は異次元なのでみっちみちではないことを祈るほかなく――。
貴重な食材であり貴重な|新物質《ニューパワー》である、回収しない理由はなかった。
しかし、やられっぱなしの老婆ではない! この老体でも簒奪者、どうあろうとも一般ババアではなく!
「おまえも贄として、おとなしくしていればよかったものを!!」
怒声と共に召喚されるは首のない村人たちだ。摩那の首をねじ切ろうと腕を伸ばしてくるが、彼女はそれを丁寧に受け流し、刀によって撫で斬りにしていく。次々両断されていくその様は、まるで大名おろしのようである。
「おいしい料理を作る腕前は惜しいですが」
老婆が伸ばしてきた腕をも深く切り裂き、倒れ伏していく首のない村人――それらから距離を取る摩那。
「このままにしとけば供物が増えちゃいますからね」
今ここで、きっちりと|倒し《捌い》ておきましょう。
緊迫した空気の中、そんな空気も読めないクヴァリフの仔、もちっと動いてぺちょっと地面に落ち、そして摩那に回収される。むんずと掴まれぽいと放り込まれ。
「それを返せぇええ!」
「お断りします!」
だいぶ荒れてきたお堂の中、老婆の怒声がよく響く――。
🔵🔵🔵 大成功

明留【h01198】と
彼は底抜けのお人好しだから傷ついているようだけどね
あいにく僕はそこまで感傷的にはなれないというか
|√能力者《僕ら》を供物にとか、ずいぶんと気の利いたジョークを言ってくれるね?
どうやら戦力差というやつが理解できていないようだ
愉快な相手には愉快な夢を、【胡蝶のあくむ】
忌まわしい風習と信仰は廃れ、ただ残るのはがらんどうの廃墟
僕の夢には誰もいない、君もすぐにいなくなる
明留の能力で反撃もままならないだろう?
|優秀な囮《明留》が頑張ってくれているうちに【顎肢にて死す】発動、蟲たちに君を差し出してあげよう
ヒトは「喜んで」贄になるものなのだろう?
使役されて対象を食い荒らす…僕の蟲とその仔どもと、なんの違いがあるのかな
かくして稀人は怪異を退治せり、めでたし。なんてね

ヴォルン【h00582】と
いや、わかってたけどさあ…
ちょっと前までにこにこしてたお婆さんがこんなになってんのしんどいよ
本性って言われちゃえばそれまでなんだけど
俺は「それ」が神様だとは思わない
人間を食って増えるだけの、この世にいたらいけない生き物だよ
洗脳しないと人が拝んでくれないようなものは、神様でもなんでもない
その化け物のせいで苦しい思いをして死んだ人を、インビジブルを、たくさん見てきた
だから、ここで終わらせるんだ
思い切って敵の懐に飛び込んで【幻想抹消】を使う
俺の右手が触れてれば、能力は使えないはずだ
【霊雨慈雨】でインビジブルに手伝ってもらいながら、どんなに抵抗されても攻撃されても離してやらない
歌わせない、蘇らせない、喚ばせない
でっちあげの因習も、死んだ人たちへの冒涜も、「仔」も
みんなみんな、あるべきじゃないんだ
~ここからシリアス~
分かっていた。相手は簒奪者である。どれだけ表面上取り繕っていようとも、彼らは結局、己の利になる行動しかしないのだ。
目の前の老婆とて同じこと。大叔母様、カミサマとともにやってきた巫女、村人は彼女を旅館の女将として迎え入れ、そして――あの蛞蝓どもに食われていったのだ。事実である。
わかってたけど。橘・明留(青天を乞う・h01198)は唇を噛む。少し前まではにこにこと、√能力者たちに接していた彼女の変貌ぶりに。
それに対して静観し見るはヴォルン・フェアウェル(終わりの詩・h00582)だ。底なしのお人好しがまた勝手に傷ついている。だが彼は感傷的にはなれないというか、ならない。
「俺は「それ」が神様だとは思わない」
見据える先のクヴァリフの仔、きぃ、と小さく鳴き声を上げたそれは本来忌々しいものである。女神クヴァリフ、それが『人々の|ために《・・・》』わざわざ遣わせた謎多き生物。時にひとを喰らい時にひとを魅了し――おそらくは。自分たちという存在の増殖を願っているであろう、怪異だ。
この世にいてはならない生き物。洗脳しなければ、人が拝んではくれないような、それ。
「そんなもの、神様でもなんでもない」
うねうね愛らしく蠢いてみせる、無害であるかのように振る舞うそれのせいで、それが引き起こした事件のせいで、苦しんだ人々と――インビジブルたちを、明留は見てきた。
だから、ここで終わらせるんだ。
「僕らを供物にとか、ずいぶんと気の利いたジョークを言ってくれるね?」
決意をあらためる明留の横でヴォルンが小さく首を傾げてみせた。挑発ではなく皮肉である。大叔母様と睨み合うヴォルン――どうやら戦力差というやつが理解できていない相手。ならばその身に分からせてやるとよろしい。
愉快な老婆には愉快な夢をみせてやろう。
忌まわしい風習と信仰は廃れる。儀式なんかもそもそもなけりゃ、人柱なんて立てちゃあいない。広がるは、がらんどうの廃墟――洞穴も、お堂も消え去った、広い空間であった。
「僕の夢には誰もいない、君もすぐにいなくなる」
「黙らっしゃい!! その口、今すぐにでも縫い付けて、切り落としてやろう!!」
贄となった首なしの村人たちが、地の底から這い出てくる。草刈り鎌を手に、棍棒を手に、松明を手に――ヴォルンへと当てつけのように、恨みのままに襲いかかろうと。だが、明留はそれらに怯えることなく、老婆の懐へと飛び込んだ――!
「なっ!」
幻想抹消。こんなもの、あるべきじゃない。ゆめのおわりは静かに、確かにやってきた。這いずり上がろうとしていた村人が、土塊へと帰っていく。みなが崩れていく!
「アンタ! 何をしたんだい!?」
喚き散らす老婆が、自らの腕を掴む彼の右手を振りほどこうとして明留を蹴りつける。だがたいした威力ではない、これなら耐えられる――!
「歌わせない、蘇らせない、喚ばせない――」
決意。その視線に宿るのは、今まで犠牲になってきたものたちへの哀悼、そして。
「でっちあげの因習も、死んだ人たちへの冒涜も、「仔」も」
明留の周囲に現れたインビジブルが、老婆の手足を掴みあげる。反撃を許さぬよう、明留にふれることを許さぬようにと、確りと。ぎちりと軋む体、しかし相手は簒奪者――留め続けるにも、限度があるか――。
「……みんなみんな、あるべきじゃないんだ」
さて|優秀な囮《明留》が頑張ってくれている。ヴォルンは明留の言葉を――心の底からの、少年らしい言の葉を聞きながら、ふうん、とそれを眺めていたが。そろそろ動いてやらねばなるまい。好きなだけ吐き出したのだ、それで心中が、あるいは胃の中が空になったのならば、もう十分だろう。
さあ、蟲たちに君を差し出してあげよう。
現れるは大百足ども――村人が湧き出ようとした土塊から、穴から、素早く這い上がる。そのまま大叔母様へと一直線、その|顎《あぎと》を、明留とインビジブルが捕らえていた体へと突き立てる!
「ぐあァッ!?」
苦痛から悲鳴を上げる老婆に眉をひそめる明留、だがこの手、けして離しはしない。
「思うだろう?『この程度じゃ足りない』……って」
ヴォルンはそう明留へと囁くが。その言葉を聞いて、必死に首を振る。ちがう。そんな、復讐じみた行為のために、こうしているんじゃない――!
足掻く老婆が締め上げられる、インビジブルの緩んだ手を補うようにその手足をぎり、と。
「ヒトは『喜んで』贄になるものなのだろう?」
そちらが本当にヒトかは、まあ、存じ上げないけれど。
「使役されて対象を食い荒らす……僕の蟲とその仔どもと」
顎で示されたのは、行場を失いのたのた移動しようとしている、本能だけで動いているのであろう仔ら。
「なんの違いがあるのかな」
――老婆はそれに、答えることができなかった。
かくして稀人は怪異を退治せり。
めでたし。
「なんてね」
がらんどうが『消え失せる』。元の洞穴へと戻った後、彼らの目の前に倒れている老婆。
――大叔母様がゆっくりと、軋む体で起き上がる。
「まだ……まだだ……この恨み、晴らさで――」
ぎちりぎちりとあちらこちらの関節から音がしているが。そんなことはもはや、問題ではない。
このうらみ、まだ――!
明留が小さく呟く。
「もう、おしまいにしようよ」
お互い、もう、なんの益もないじゃないか。
~ここまでシリアス~
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

おっすお婆さん、助けに来たぜ!(再びの大嘘)
じゃあお婆さんには正気に戻ってもらう(?)ために、まずは一発殴らせてもらおっかー!(にっこり)
『風拳三段法』を発動、洞窟の中だが風ぐらい起こせるだろ?
予知では敵が『子守唄』を歌うらしいが、強風で掻き消してやる目論見だ
非√能力者を操る敵の能力らしいが、もしかして今までの被害者が居るのかな?
それならオレの攻撃に巻き込まれないように、こちらも強風で牽制してしまおう
後はいつも通り、竜巻で敵を捕縛して、群青のトンファーで強烈な一発を食らわせてやるぜ!
どうだお婆さん、目ェ覚めたか?もう悪さするんじゃねえぜ!
お婆さんとご退場いただいたら、洞窟を破壊しておこうか!
洞穴に風が吹く――血塗れになりながらもまだ立っている老婆。血を拭い、口内に溜まった血反吐をぺっと吐き出して。風が吹いてくる方向を、洞穴の入口を見た。月光の差し込む中、逆光となったそこに浮かび上がるは一人の男の姿。
「おっすお婆さん、助けに来たぜ!!」
「嘘つけェ!!」
そりゃそうじゃ。第一声から分かる。こんな状況で助けがくるなんてことはありえない、というか、こいつは自分が料理を食わせた一人じゃあないか! そのツラ覚えてないわけがあるか!
「そんじゃ正気に戻ってもらおうか!!」
「へぶぅ!?」
大嘘をかました直後に立っているのもやっとな大叔母様に笑顔で炸裂するストレート!! どういうことだ矢神・疾風(風駆ける者・h00095)! どういうこともへったくれもない! 老婆の所業を考えればこのくらいの殴打、生ぬるいのだ!! 絵面は悪いっちゃ悪いんですけど、まあそこは。そこはね?
「貴様ァ……話の通じる奴じゃあないねえ……!」
命乞いをする気もないか、ケッと悪態をつく老婆。
「通じないのなら、教えてやるしか……ないねえ……!」
すう、と――呼吸。囁くように始まった優しい声、子守唄のような……しかし怨嗟の詰まったそれだったが。
「べっ! ペッペ、ちょっ、お前! 何をするんだ!」
――轟音と砂埃の中、その子守唄はかき消された。洞窟の中を渦巻く風――その発生源は疾風だ。巻き上がる風が老婆の口に砂埃を叩き込み、歌うことを阻止する――! 強風で掻き消すどころの騒ぎではない! なんならクヴァリフの仔も舞っている!!
ついでに言えば被害者は居たはずだったのだが、残念ながら迅速な対応と数の暴力でこの場に一般人はいません!! すなわち、舞ってるクヴァリフの仔に手加減をですね、してあげるだけですね。
宙をくるくるしていた仔がぺっちょり地面に落ちた――と同時に、老婆の体が竜巻によって浮き上がる――!
「さぁて……覚悟は出来たか?」
「ぐっ、このォ!」
この期に及んで悪あがきをしようと口ずさもうとしたその口。それを待たずして、疾風の生み出した竜巻によって老婆は勢いよく引き寄せられ、トンファーがその腹を殴打する! 風が止み、ぶっとばされる老婆。
「どうだお婆さん、目ェ覚めたか? もう悪さするんじゃねえぜ!」
目が覚めたどころではない。意識を完全に失った老婆は、見事洞窟から吹き飛ばされ、森の中で動かなくなっていた。悪さは……たぶんまたするとおもいます。
「さーて、あとは……」
振り返る疾風。そこにあるのは荒れ果てたお堂と、もちもっちと動くクヴァリフの仔――。
……これを放置するわけにはいかない。わっせ、わっせ。両脇に抱えて、安全な範囲まで運び出す。ちょっと多い。多いぞ。ひとりじゃ多いが頑張れお父さん。
「それじゃ、仕上げだ!」
風が操られる――洞穴の上部を狙い放たれた竜巻。見事崖が崩れ、大きな音を立てながら土砂崩れのように穴が埋められた。中のお堂もきっとこれで潰れたことだろう。
ひと仕事を終えてふうと息を吐いた疾風。
その後ろに、クヴァリフの仔。の山。
「……これどうしようかな」
さりげなく逃げようとしている仔を山に戻しながら、疾風は考える。他の√能力者を呼んで、さっさと回収してしまおうか……。
かくして見事、今回の穴も埋められたのであった。
完!! 次回の穴にご期待ください!!
🔵🔵🔵 大成功