シナリオ

式守村、古妖の影

#√妖怪百鬼夜行 #√EDEN

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 #√妖怪百鬼夜行
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 代々祭具の秘儀を守り続ける式守村。
 その外れで、奇怪な姿をした群れが集まり始めていた。
 溶けかけたような異形の怪異達。その肉体は不定形に揺らめきながら、ゆらりと宙を舞い、やがてまた地に降り立つ。触手状の器官を伸ばしては地を這い、うねうねと蠢く。
 帰宅途中の男性が、そんな光景を目撃した。
「な、なんだあれは……化け物か!?」
 だが男は瞬きを一つ。視界に捉えた異様な光景を、脳が理解し損ねたかのように、てきぱきと歩みを進める。
「やれやれ、今日の残業はきつかったな」
 声も普段通り。脳が安寧を選んだ結果、群れの事は、もう記憶に留められていなかった。
 群れはまるで呼び合うかのように、うめき声を上げ始めた。あちらこちらから悲鳴めいた声が響き、それは血も凍るような嘆きとなって、夜の闇を震わせる。
 やがて彼らは一斉に、ゆっくりと村の中心部へ向かって動き出した。
 この群れには既に名がある――『怪霊さわりめ』と呼ばれる、おぞましい集団なのだ。


 神谷・月那(人間(√EDEN)の霊能力者・h01859)が、√能力者達へ事件の発生を伝えていた。
「……みなさん、緊急の事態です。不意に√妖怪百鬼夜行と√EDENを繋ぐ『入口』が現れ、そこを通じてとある古妖が√EDENに出現してしまいました」
 月那は手元の星座盤から目を離さずに語る。
「……放置すれば、人々は戯れに殺され、喰われてしまうでしょう。一刻も早く、この凶行を阻止しなければなりません」
 月那はゆっくりと星座盤から手を離し、集まった√能力者達を見渡した。
「……まず、古妖の配下である『怪霊さわりめ』という集団と戦うことになります。溶けた腕で攻撃を仕掛け、惨劇の記憶を呼び出して戦う、不気味な存在です」
 月那は星座盤を胸元で抱きしめるように持ち、続けた。
「……その後、古妖を封印の祠まで追い詰める必要があります。そのためには、式守村での調査を通じて誘導するか、直接対決で追い込むか、二つの道が予見されています」
 月那は静かに目を伏せ、言葉を継いだ。
「……式守村には古くから、祭具を外部へ売ってはいけないという決まりがあったそうです。しかし最近、その掟が破られ始めて……。それが今回の事態に関係しているようです」
 最後に月那は、決意を秘めた眼差しで√能力者達を見つめ、静かに告げた。
「……この世界の平穏を守るため、どうか力を貸してください」

マスターより

霧柄頼道
●マスターより
 霧柄頼道です。よろしくお願いします。今回は古妖の脅威から√EDENを守る、緊張感のあるシナリオをご用意しました。皆様の個性豊かな活躍で、世界に平穏を取り戻していただければと思います。

●集団敵『怪霊さわりめ』
 古い悲劇から生まれた怪異の群れ。溶けた腕による反撃、惨劇の記憶を用いた攻撃、触手による広範囲攻撃が特徴。

●ボス敵『荒覇吐童子』
 妖怪犯罪の総大将たる古妖。鬼の血による右腕強化、古の格闘術による連続攻撃、鬼爪による破壊活動が得意。

●舞台
 √EDENの寒村とその周辺。
 式守村は代々、古妖の封印に使用する祭具を管理してきた特殊な村。
 近年は骨董品としての価値が高騰し、若者達による祭具の密売が問題に。この事態が、古妖復活の遠因となっている。
 祭具屋には古文書や伝承が残されており、√妖怪百鬼夜行の道を探し出す手がかりとなる可能性がある。

●現場の地形・地理情報。
 村外れに祭具屋が点在。中心部には民家が密集。周囲は森に囲まれ、奥地には古い祠が存在。

●全体的な状況
 古妖の出現により村が危機に瀕している。怪霊さわりめの群れが徐々に村へ侵攻中。

●各フラグメントのアドバイス
 第1章:怪霊さわりめとの戦闘では、彼らの反撃に注意。
 第2章A:因習村の調査では、村人との交流も重要な鍵に。
 第2章B:石蕗中将との戦いでは、式神鬼の数に警戒を。
 第3章:荒覇吐童子との決戦は、その圧倒的な攻撃力に注意。
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第1章 集団戦 『怪霊さわりめ』


POW よわりめ
敵に攻撃されてから3秒以内に【溶けかけた腕】による反撃を命中させると、反撃ダメージを与えたうえで、敵から先程受けたダメージ等の効果を全回復する。
SPD たたりめ
【惨劇の記憶】を召喚し、攻撃技「【つんざく悲鳴】」か回復技「【かなしむ涙】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[惨劇の記憶]と共に消滅死亡する。
WIZ また一難
【触手】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
イラスト 十田シンビ
√妖怪百鬼夜行 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

明日真・スミコ
「くっそ!‥‥‥なんだって、こんな金にもならん仕事を!」
ぼやきながら、ニューナンブを構えて、突撃する。
しかし、そこはそこ。
国家権力のお巡りさん、上司の命令は絶対。建前上は、全力で市民の命を守らねばなるまい。
とはいえ、現地には√能力者も駆けつけているはず。まずは、合流し、共同戦線を張ろう。

【行動】
正面突破の必要ない。できれば、奇襲の形で攻撃を加えたい。
√能力「正義のお巡りさん」
瞬時に敵に接近し、警棒で一撃、そのまま、闇に紛れて戦線を離脱する。

「こんな連中と、まともにやるほど、ボクはバカじゃないからね!」
雨深・希海
う、なんか気持ち悪い妖怪……妖霊? だな……触りたくない。
どうやら反撃が厄介みたいだね。回復されれば長期戦になっちゃうし、反撃されないような立ち回りを考えなきゃ。

使うのは決戦気象兵器レイン。ぼくの周囲に漂う粒子状のビーム砲を操って、反撃を受けないように遠距離から攻撃を行うよ。
1発1発の威力は低いけど、溶けかけた腕くらいなら吹き飛ばすこともできるはず。
物理的に距離をとって、反撃する手段も奪えば、回復する暇なんてできないでしょ。
それから残るレーザーで着実にトドメをさしてゆくよ。

√EDENの人達を殺そうなんて許さないよ。
ここはお前たちのいる場所じゃない。元の√に戻れ。


 不定形に歪む腕が大気を掻き、触手めいた器官が地を這う。
 怪霊どもは血も凍る嘆きを上げながら、民家の密集する村の中心部へと侵攻を開始していた。
「くっそ! なんだって、こんな金にもならん仕事を! 残業代も出ないってんだから、泣けてくるわね」
 先陣を切るように、明日真・スミコ(人間(√EDEN)の汚職警官・h02106)はニューナンブを引き抜き、村へ入っていく。
 雨深・希海(星繋ぐ剣・h00017)もまた、街灯の影を縫うように駆けていた。
 溶解した肉塊のような怪異達は、獲物を求めるように蠢動していた。
「敵、多いね……」
 希海は声を潜めて呟く。
 怪霊どもの群れから一定の間合いを保ちつつ、二人は敵の様子を窺う。じわりと迫る異形の群れに、村人達は気付いていない。だがそれも、時間の問題だろう――。
 最前列の一体へ、スミコは寸時の間に接近。警棒を振り下ろして打ち付ければ、怪霊は悲鳴とともに腕を振り上げる。
 だが反撃される前に、スミコは既に物陰へ隠れていた。
「こんな連中と、まともにやるほど、ボクはバカじゃないからね!」
 暗がりに紛れたスミコに代わり、希海は無言で手を翳す。
 瞬時に周囲の大気が光粒子へと変質。まるで星屑の渦のように、三百を超える微細な光点が彼女を中心に舞い始めた。
「一発一発は弱くても、この数があれば……」
 冷徹な眼差しのまま、希海は光の粒子を一斉に放つ。それは溶けかけた腕や触手の届かない位置から、怪霊どもを四方から包囲するように襲い掛かる。
 何百もの光線が虚空を貫き、標的を焼き消した――。
「√EDENの人達を殺そうなんて許さないよ。ここはお前たちのいる場所じゃない」
 光の雨は容赦なく降り注ぎ、怪霊どもの数を減らしていく。
 希海はレインの光を盾代わりに前方へ展開。怪霊どもの攻撃をことごとく捌きつつ、さらなる光粒子を放出していく。
 機に乗じ、スミコが暗闇から姿を現す。群れの背後から奇襲を仕掛け、ニューナンブの一発で怪霊を消滅させる。
 動きの滞った敵を見定め、闇に紛れては現れる戦法を繰り返した。
「やれやれ、市民の味方だぜ、ボクは」
 光と影の連携は、着実に成果を上げた。希海のレインによる遠距離からの制圧と、スミコの奇襲による撃破。二つの戦法の組み合わせで、怪霊どもは徐々に数を減らしていった。
 だが敵もまた、なおも押し寄せる勢いを緩めない。新手が続々と現れる。村の外れでは、まだ幾つもの呻きが響いていた――。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

拭守・濡瑠
式守村に現れた触手の怪物、ですって?
なんだか他人事に思えない事件ですし、触手の妖怪である私こと、拭守濡瑠の出番かしらね。

まず現場に到着したら村人からも敵からも隠れて様子を伺うわ。
敵の規模や数をしっかりと確認して、村人が襲われそうになったところを割って入りつつ相手へ不意打ち、そして戦闘開始よ。
そんな腐りかけの触手より私の元気溌剌な肉々しい触手の方が上だって事、たっぷりその身に教え込んであげるわ。
敵の数が増えここぞと言う場面が来たら√能力を発動、触手という名の拳で一気に敵を蹴散らして村人を救出、こんな感じで触手の素晴らしさを村人達へアピールしていきたいわね。


 拭守・濡瑠(妖怪触手娘・h01849)は足音を殺しながら、建物の陰を伝って進んでいく。背から生える無数の触手を纏い、その身を闇に溶け込ませていた。
「相手も触手の怪異とは――この私の出番という事かしら」
 先行する二人組の戦いぶりを見定めつつ、濡瑠は軒下に身を潜める。光線に照らされる怪霊の輪郭を確かめ、数と動きを把握。
「ふふ……あちらのお二人に掻き回されて、後方が手薄になってるみたいね」
 希海の放つレインの光を背に、濡瑠は暗殺技能を活かして怪霊の背後を取る。
 するとどうだろう。先端を鋭く尖らせた触手が一斉に伸びるや、集団の最後尾を貫いたではないか。
「本当に腐りかけみたいな触手ね。こんなのが私達のイメージを悪くするのよ」
 百錬自得拳が連鎖を始める。触手の一本一本は拳さながらの重みと鋭さへ昇華し、打ち込みを繰り出し、巧みに締め上げ、さらなる痛手を浴びせていく。
「この肉厚で瑞々しい私のモノを目に焼き付けなさい。触手は、もっと素敵なものなの」
 スミコらとの連携は図らずとも自然に生まれ、レインの光や警棒が届かぬ影から、残った敵を討ち滅ぼしていく――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

同道・宙太
無遠慮に近づいて、【以下同文にて再解釈】であーる!
よく見れば、キミもソラであろうか?
目の黒い穴がソラと一緒であるぞ。ソラと一緒の黒い昏い穴ボコであるぞ。ならばキミもソラになろうぞ。
……だが、ソラの腕は2本で十分であるぞ?

捨てるである。
(「腕の数が違うから捨てろ」という定義を染み込ませて命中した対象を行動不能にするである!)

反撃などさせてやらないのである。
但し命中させられなかった不届きなキミの反撃には気をつけて、効かなかったらさっと離脱して次の機会を伺うであーる!


 同道・宙太(黒穴・h00903)は研究者としての眼差しで、怪霊どもを観察していた。
「おおっ、なんと興味深い集団であーる! ソラも近くで観察させてもらうぞ」
 つかつかと、恐れを知らぬ足取りで接近。
「……よく見れば、キミもソラであろうか?」
 かと思えば、ふとそんな一言をかける。それが【以下同文にて再解釈】起動の契機であった。
「目の黒い穴がソラと一緒であるぞ。ソラと一緒の黒い昏い穴ボコであるぞ。ならばキミもソラになろうぞ」
 続けて語りかけるや、再解釈の波が広がっていく。
「……だが、ソラの腕は二本で十分であるぞ? 捨てるである」
 宙太の価値観が、怪霊の群れを包み込む。
「不格好な腕は要らない――その認識を受け入れるであーる!」
 その定義に抗えぬ怪霊どもは、醜い腕をおのずから切り落とし、外し、溶かし――捨て去り始めた。
 戦う術を失った群れは、不完全なままこの場から後退していく。
「なるほどなるほど、キミ達はキミ達で存在し得る形を探して去っていくのか。素晴らしい研究結果であーる!」
 宙太の解釈が怪霊の定義を塗り替えた事で、密やかに戦いの灯火は消えていった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

第2章 冒険 『因習村|体験《調査》ツアー!』


POW 祠を壊す
SPD 開かずの扉を開ける
WIZ 村の狂人と接触する
√EDEN 普通7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 祭具を守り伝える式守村。その因習は、古妖を封じる祭具が村から流出することを恐れてのものだった。
 しかし、いつしか骨董品としての価値に目を奪われた者達によって、祭具は闇に消えていく。
 そして今、古妖が目覚めた。
 村の片隅に残る古めかした祠、開かずの間と呼ばれる蔵、そして異様な言葉を呟き続ける老人――。いずれもが、祭具と古妖にまつわる因縁を抱えているという。
 この村のどこかに眠る手掛かり。それは√妖怪百鬼夜行への道を示すとともに、古妖を追い詰めるための確かな導きともなるはずだ――。
同道・宙太
ソラは興味津々であーるッ! ――祭具とはなんであるか? まだ残っているであるか? あの開かずの何とかの中にあるであるか? ソラも欲しいであるソラも買いたいであるソラ小遣いぜんぶ持ってきたのであーる!
……とか、村の若い衆に片っ端から聞きまわって開かずの扉を開けてくれそうな人物探すである。
(流石に空気読んでいつもより小さな声で喋るである……)

色々怪しまれたら(子どもなので)堂々こう応えるのだ。――冬休みの自由研究であーるッ!(ニィ)

有用そうな人物をロックオンしたら、教えてくれるまで纏わりついてひたすらダダ捏ねるのだ。教えてくれなかったら大声出すぞって言う。
子どもの特権であろう?(えっへん)


 いつもなら大声で走り回る同道・宙太(黒穴・h00903)だが、さすがにこの村では多少空気を読むつもりだった。
「開かずの何とかはどこにあるである? 研究したいのであーる!」
 一応自分的には声のボリュームを半分に抑え、それでも元気いっぱいに村の若者達へ声をかける。多くは無視を決め込むものの、宙太の執拗な追及から逃れられぬ者もいた。
「うるさいなぁ。開かずの間なんて、もう誰も――」
「ソラ、全部の小遣い持ってきたのである! 珍しいモノ、買いたいのであーる!」
 無邪気な一言に、若者の表情が僅かに変化する。
 金の匂いを嗅ぎ取ったような――打算的な光を宿した風に、宙太には見えた。
 若者は周囲を盗み見るように視線を巡らせ、声を潜める。
「……そういや、祭具を置いてた蔵が一つだけ、鍵が開かなくなってさ。誰も入れない」
「ほぅ。そうであるか」
 興味津々と言わんばかりの目の輝きで、宙太は話を引き出す。どうやら開かずの間には、祭具屋の主人すら近寄らなくなったのだという。
「そこを開かずの間って呼んでるんだけど……最近、中から妙な音がするんだ」
「研究対象として実に興味深いであるな」
 宙太の黒い瞳が、静かな光を宿す。
 その蔵には、村の秘密に繋がる何かがある――そう直感したかのように。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

明日真・スミコ
「お話を聞かせてもらってもいいですか?」
まるで、真面目な刑事のように、村人から情報を集める。
もちろん、金のにおいのする話には乗るよ。ボクは、悪徳警官だからね。
村人との取引きにも、ある程度は応じるよ。(ボクにうまみがあればねw)
「こーの、悪徳警官‥‥‥何やってるのよ!」
げ、このガキ。
(志摩モモコ、ankerを召喚?)
まあ、いい。このガキの頭脳は、役に立ちそうだ。


 村人を尋ねて歩く明日真・スミコ(人間(√EDEN)の汚職警官・h02106)は、とびきり愛想の良い表情で応対を重ねていた。
「ああ、そうそう。お寺やら祠やら、困り事なんてございませんか?」
 確かめるように右手の親指と人差し指を揉み合わせながら、さりげなく金の話を振る。この村に何か歪みがあるとすれば、間違いなく金の匂いがするはず――。
「こーの、悪徳警官……何やってるのよ!」
 突如、背後から声が飛ぶ。振り向けば、愛想の無い表情で腰に手を当てる少女の姿があった。
「げっ。このガキ……なんでここに」
 スミコの頭痛の種にして相棒、志摩・モモコだ。
「新作の資料集めで、神社や祭具のある村を回ってたのよ」
 流石はIQ180の天才推理小説家……。
「お金で引き出せる話もあります。でもね、そうじゃない大切な事実もあるのよ。小説家としての勘が、そう告げてるわ」
 モモコは人気のない路地裏を指さし、ふと眉を寄せる。
「あの祠の陰に、誰かいたような――すぐに消えたけど、おかしな動きをしてた。気になるわね……」
 天才的な頭脳で、既に何かの推理を組み立て始めているようだった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

神之門・蓮人
連携・アドリブ可
薄めの関西弁
どこかで美形に関する描写をいれてください、形式は自由です

こういうのは話が早いほうがええよね。
とはいえ無用のトラブルを背負い込む必要はない。
夜中にこっそり祠へ向かおう。雨が振ってると尚良いんやけど。
時間的余裕があるなら雨を待ちたい。

祠についたら監視などないかチェック。第六感とかにひっかからへんかな。
誰も居ないのを確認したら、エレクトロキネシスを最大限にまで高め、落雷。
倒れて祠を直撃するような大木があればそれで。
他に落雷で崩れる崖とか石とかあればそっち
ないなら直接祠に落として破壊しよう

あとは何もなかったかのように戻ればいいだけだね。
拭守・濡瑠
さて、邪魔者を倒した次はこの村の調査ね。
といっても村人はなんだか非協力的で暗いし、にこやかに話しかけても避けられてる様な……ああ、触手が怖いのかしら? たしかにここの√じゃ珍しいからね~。
なら仕方ないわ、他の手がかりを探しましょう。
とはいえ当てもないし、どうしましょうか……と歩いていると、発見したのは古い祠。触手の勘が告げてるわ、この中には何かあるって。
という訳で……えい! と触手をぶつけて何の躊躇もなく、祠を破壊してみましょうか。
はてさて、中には何が入っているのかしらね~?


 スミコから聞いた話と、祠の様子が気になった神之門・蓮人(再現不可能・h01288)は、月明かりの下へ姿を現す。漆黒の髪に映える整った顔立ちは、夜風にそよいでいた。
 その時、別の気配が近づいていた。
 拭守・濡瑠(妖怪触手娘・h01849)である。村人達の非協力的な態度に業を煮やし、独自の調査を始めていたところだったのだ。
「まあ、にこやかにお話しかけても避けられてしまいますから。この√では珍しい触手が原因なのかしら……」
 肩から伸びる触手を眺めながら、濡瑠は呟く。腑に落ちない様子で腕を組んでいると、触手が奇妙な反応を示し始めたものである。
「触手の勘が告げてるのよ。この祠に、何かありそうだって。ずっと私達の存在を隠してきた祭具が、ここに眠ってるのかもしれないわ」
「モモコさんの見た人影か……」
 祠の周辺を確認すると、やはり人の気配。
 密売の関係者か、それとも祭具を守ろうとする村の誰かか。――どちらにせよ、この深夜の祠には用があるらしい。
「こっそり行おうと思っていたのですが……」
 しばし待機を決め込む。第六感が察した気配は、やがて夜の帳の中を立ち去っていった。
「――では、話を早めに済ませましょうか」
「ええ、私も同意します。触手達もうずうずしてるもの」
 濡瑠の背から触手が舞い上がる。その先端は鋭く尖り、まるで格闘技の構えのような姿勢を取っていく。
 蓮人は祠の前に立ち、周囲を見渡せば、その屋根を直撃しそうな大木がある。
 紅い電光が、夜空を引き裂いた。エレクトロキネシスが最大まで高まり、雷鳴が轟く。
 続けざま、濡瑠の触手もまた一斉に伸び、祠を締め上げる。
 ――落雷を受けた大木は無残にも倒れ、触手の圧迫と相まって、祠は一気に粉砕された。
「これで……ん?」
「うふふ、思った以上の成果が出たみたいね」
 濡瑠は妖艶な微笑みを浮かべた。
 検めてみれば、なんと破壊された祠の奥から、異様な光が漏れ出ている。
 √妖怪百鬼夜行へと繋がる道の入り口。探していたものが、ここに――。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第3章 ボス戦 『大妖『荒覇吐童子』』


POW 鬼道怪腕撃
全身の【鬼の血】を【右腕】に集中すると、[右腕]が激しく燃え上がり、視界内の全員の「隙」が見えるようになる。
SPD 荒覇吐瞬迅拳
【古き鬼に伝わる古の格闘術】による高命中率の近接攻撃を行う。攻撃後に「片目・片腕・片脚・腹部・背中・皮膚」のうち一部位を破壊すれば、即座に再行動できる。
WIZ 鬼爪微塵撃
【無数の人や妖怪を切り裂いた鬼爪】を用いて「自身が構造を熟知している物品」の制作or解体を行うと、必要時間が「レベル分の1」になる。
イラスト オレゴ
√妖怪百鬼夜行 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 向こう側の世界――√妖怪百鬼夜行へと足を踏み入れた瞬間、空気が凍る。背後の光の道から、追って来る気配があった。
 破壊された祠の道筋を伝い、闇から浮かび上がる巨体は、かつて人の姿だったものを思わせる。だが体の随所に生える棘、岩のように隆起する筋肉、そして血のように赤く揺らめく右腕が、その本質を物語っていた。
「汝、妖か人か」
 ただ立っているだけで、周囲の景色が僅かに歪む。古の格闘術で鍛え上げられた肉体が放つ威圧か、それとも無数の命を奪った鬼爪の気配か――。
「吾が名は荒覇吐童子。解き放たれしは久方ぶりよ」
 全てを見通すような冷徹な眼差しが、此方を捉えていた。
 その傍らには古びた祠が佇む。この√の空気に馴染んだ結界紋から察するに、あるいはこの大妖を封じ込められるかもしれない――まずは戦いを挑み、その力を削ぐ必要があった。
雨深・希海
ここから√妖怪百鬼夜行か……。
ちょっとした空気の違いと、取り巻くおどろおどろしい気配に、ちょっと身震いしてしまいそう。

けれど、この程度で逃げるなんて考えないよ。
レインを集約してストームブリンガーを作り上げて対峙する。
「久しぶりの空気を堪能しているところ悪いけれど、また封印されてもらうよ」
ストームブリンガーの力を開放。手数で一気に攻めるよ。
相手の右腕が燃え始めたら要注意だね。この形態はなんたって耐久力がないんだから、隙を突かれた時のことの想像はしたくない。
でも、その力の弱点はぼくがお前の視界の中にいること、だよね?
なら、4倍の移動速度で相手の視界外……背後なんかに回って攻撃を心がけるよ。


 周囲のレインが一点に集約され、雨深・希海(星繋ぐ剣・h00017)の手の中で蒼く輝きを帯びていく。取り囲む異界の気配に、僅かな震えを見せながらも。
「久しぶりの空気を堪能しているところ悪いけれど――また封印されてもらうよ」
 告げる希海を見下ろし、荒覇吐童子がにやりと笑う。その右腕に朱が滲むように集まり、嘆くような音を立てて燃え始めた。
 体格差など、物理的な劣勢は明白だ。しかし――。
「それなら視界の外側から、攻めてみよう」
 蒼い実体剣・ストームブリンガーが、焔さながらの軌跡を描く。
 希海は四倍の速度で間合いを詰め、荒覇吐童子の死角へ一息で滑り込んだのだ。
 刃から放たれるビームが大妖の背を斬り、肉をしたたか焼き切った。
「おのれ……この程度!」
 だが荒覇吐童子は傷を受けながらも反転し、その右腕で一撃を放ち返す。
 予想以上の反応速度に、希海は僅かに回避が遅れた。
 間一髪で身を捻り、ストームブリンガーを真横へ構えて受け流す。
 弾ける閃光。衝撃で吹き飛ばされながらも、希海はすぐさま態勢を立て直していた――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

拭守・濡瑠
あらら、親玉の登場って訳ね。
こんな強力な妖怪を野放しにしたら大変な事になるし、触手の凄さを布教する為にも全力で挑まなきゃかしら。
もちろん一人じゃ手に余るだろうから、仲間とも連携して戦うわよ。

とにかくパワーがありそうな敵だから攻撃を受けるのは極力避けたいわね……だとしたらここは、オートキラーの出番よ。
戦いの中で攻撃を受けてしまいそうなピンチの時に発動、先制攻撃した後で闇に身を隠し追撃を回避、そして他の仲間達に気を取られている隙を突いて不意打ちを華麗に決めてあげるわ。
どんなに強力でも所詮は腕2本に足2本、無数の触手を持ち合わせている触手妖怪である私の敵じゃないのよ。
同道・宙太
ソラはソラである!
(笑って答えた、答えにならない答え)

【SORA】――ソラはソラである歓喜をここに60秒、奉納するである。
ソラは本来人ではなかった。託されて人となった。人には双子の妹が居た。それは頭の先から足の指までソラだった。一緒である。心地よくて幸せだ。一緒である。寂しくなくて元気になれる。一緒である。ソラは一緒にここに在る事こそ喜びである。ソラはこの喜びを謳い上げる。この喜びも一緒にしたい。

そうだ、|キミもソラになろうぞ《・・・・・・・・・・》

近接攻撃が来るであるが別に殴られて構わないである。些事。それより感極まったソラはこの|抱擁《ブラックホール》をキミに贈るである。
ともに来ようぞ?


 荒覇吐童子の前で、拭守・濡瑠(妖怪触手娘・h01849)が扇情的に微笑む。その仕草の端々には、確かな策略が垣間見えた。
「あらあら、怖いお顔で見つめないでください」
「愚かな」
 大妖は右腕を振り上げ、一閃する――。
 瞬間、濡瑠の触手が一条の閃光となって迸った。相手の動きを先読みし、反撃の一撃を浴びせたのである。
 直後には、濡瑠は背から触手を大きく広げるや、翼のように妖しく纏いながら闇へと溶け込んでいった。
「キミもソラになろうぞ!」
 同道・宙太(黒穴・h00903)の声が響く。漆黒の瞳の奥で、何かが渦を巻き始める。
 宙太は両手を広げ、歓喜の言葉を紡ぎ始めた。荒覇吐童子の攻撃を受けながらも、その表情は至福に満ちている。
「ソラと一緒。一緒であれば、この痛みも喜びであるッ!」
 六十秒。それは永遠とも一瞬とも取れる時間。宙太の全身から漆黒の波動が立ち昇り、周囲の空間そのものを歪ませていく。
 姿は人の形を取っていながらも、どこか――『非ざる』存在を思わせた。
「ソラはソラであるッ! キミと一緒になれる歓喜を、ここに捧げるのだッ!」
 荒覇吐童子の周囲で、重力そのものが歪みだす。宙太の朗々と響く詠唱が、大妖の動きを縛り付けていく。
「――そうだ、キミもソラになろうぞ。ともに……来ようぞ?」
「この程度の束縛で……我を止められると思うか! 一人で逝け!」
 大妖は全身を燃え上がらせて抗うも、漆黒の渦から逃れられない。
「全ては計算通りです」
 その隙を突くように、闇の中から無数の触手が伸びる。先端を鋭く尖らせ、あらゆる方向から大妖を貫きにかかったのだ。
「所詮は腕2本に脚2本――私の触手には遠く及ばないのよ」
 濡瑠の嘲笑めいた声が響き渡る。しなやかな触手が大妖の四肢を絡め取り、グラップルの技を駆使して締め上げていく。
 宙太への攻撃で受けたダメージが一気に顕在化する中、荒覇吐童子は無数の触手に貫かれていった――。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

明日真・スミコ
持てる武器を確認する。
特殊警棒、怪異との戦いのためにカスタマイズされた特別製だ。
ニューナンブ、日本のお巡りさん、最強の武器。
手錠、怪異の腕力や霊力すら抑え込むよう、カスタマイズされている。
志摩モモコ、生意気なガキだが、その頭脳と性格の悪さだけは、頼りになる。

さあ、戦いをはじめよう。
持てる知力と腕力、国家権力とクソ生意気なガキの頭脳を使って‥‥‥!

「あんた、警察官でしょう?なんとかしなさいよ!!」
「いやいやいや。‥‥‥あれ、ボクの仕事の範疇越えてるから!」
「相手の動きをなんとか止められれば‥‥‥」
「絶対、何か特別な手当てを要求する!そうだ、ゼッタイする!」
「その手錠で、相手の動きを封じられないかな?」
「バカか、手錠は制圧してからかけるもんだ!」
「‥‥‥あんた、囮になりなさい」
「‥‥‥え?」


 持てる武器を瞬時に確認する明日真・スミコ(人間(√EDEN)の汚職警官・h02106)。怪異対応用の特殊警棒に、ニューナンブ、そして霊力封じの手錠――。
「お、囮になれって……あんた、警察官なめてない?」
 抗議するスミコの隣で、志摩・モモコがため息をつく。
「荒覇吐童子の注意を引いてくれれば、特殊警棒と手錠を使って拘束できる可能性があるわ。大人なら子供の言うことくらい素直に聞きなさいよ」
「こんなん仕事の範疇外だろ! ボクの給料じゃ足りないって!」
「あ、そう。じゃあ私、この作戦のこと警察に報告しようかな? どっかの汚職警官が口実をつけて、村で金の匂いを探ってたって」
「ッ……! つ、告げ口かよ。この生意気ガキが」
 色々な意味でのモモコの悪知恵に、渋々従うスミコ。
 とはいえ……いざ囮となって目の前に立った時、大妖の威圧は想像以上だった。
 手に浮かぶ汗とともに、スミコは警棒を構える。
「こちとらお巡りさんだっつの! コラー! おとなしく観念するんだッ!」
「下賤風情が、我に指図を――」
 憤然と大喝する荒覇吐童子の背後へ、スミコは合気術も併用した巧みな移動で滑り込んだ。
 流れるように大妖の腕を取り、全身を捻り上げて一気に手錠を嵌める。
「なにっ!?」
 霊力封じの手錠は確かな効果を見せた。しかしそれは荒覇吐童子の右腕のみ。
 左腕での反撃は避けられない――。
「おのれ、この程度で我が動きを止められると!?」
 大妖の怒号が響くが、スミコも負けじと特殊警棒を力強く握り直す。
「警察官をなめるからこうなるのよ!」
 警棒が閃く。一撃、また一撃と顔面を打ち据え、荒覇吐童子の動きを確実に止めていく。
「くっ、この、ぶ、無礼な……ぶぎょッ!」
 最後の一撃が顎を砕き、ついに膝をつかせ――スミコはそのまま、古妖を封印の祠へ蹴り込んだのであった。

 翻って√EDEN。今宵の式守村は、いつもの静謐を取り戻していた。
 √能力者たちの活躍により、古妖の封印は成功。
 こうして、√EDENを脅かす災厄は鎮められたのである――。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

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