シナリオ

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洋食屋コウモリ亭にようこそ!

#√マスクド・ヒーロー #第2章:プレイング執筆中

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 #√マスクド・ヒーロー
 #第2章:プレイング執筆中

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『いかがでございましょう、お味の方は? コウモリプラグマ様』
『うむ。上出来だ、スニーク・スタッフよ』
 その蝙蝠姿の怪人は、満足した様子で配下の改造人間へ賛辞を送った。
 怪人が座るのは、洋食屋『コウモリ亭』のテーブル席。白いテーブルクロスが掛けられた大きな卓上、そこには改造人間の手で作られた料理がずらりと並び、食欲を誘う芳香をふわふわと漂わせている。
 それらの吟味を今しがた済ませ、蝙蝠怪人は愉快さを堪えきれぬ様子で笑った。
『ふふふ。これを食った人間の血、さぞ素晴らしかろう!』
『光栄にございます。……ああ、申し訳ありません。そろそろ食材の仕込みが』
『うむ、来た客は最高の料理でもてなしてやれ! 取れる血も、その方が上質だからな! ヒャーッヒャヒャヒャ!』
 そう、ここは只の洋食屋ではない。
 罪なき人々を捕える為に作られた、プラグマの恐るべき秘密基地なのである――!

●星詠みは語る
「美味しい洋食屋さんに行って、現れた怪人勢力をやっつける。今回皆に頼みたいのは、そういう事件だ」
 集合した能力者達に一礼すると、ジル・メリスは事件の説明を開始した。
 √マスクド・ヒーローで暗躍する悪の秘密結社『プラグマ』。全√の完全征服を掲げて日夜暗躍を繰り返す怪人組織が、この度、新たな基地を根城に動き出す予知が得られたと彼女は告げる。
「この基地は、表向きは『コウモリ亭』という洋食屋の姿をしていてね。訪れた客には、美味しい料理と最高のもてなしが待っているけど……その目的はお腹一杯にさせた客から新鮮な血を奪い取る事にある。研究や実験の素材としてね」
 黒幕の『コウモリプラグマ』は非常に用心深い性格で、能力者達が正面から殴り込みをかければ、基地を捨てて逃走してしまう。その為、まずは客に扮して洋食屋を訪れ、油断を誘って欲しいとジルは言った。

 敵の油断を誘う方法は、至ってシンプル。
 コウモリ亭で洋食を注文し、出てくる料理を心から楽しむ――これだけだ。
「主菜や副菜、デザートまで、お店には美味しいものが沢山揃っている。まずはそこで、好きなものを好きなだけ頼んで欲しい!」
 そうしてジルは、注文できるメニューの例を挙げる。
 海老フライ、カツレツ、ビーフカレーにビーフステーキ。瑞々しい野菜サラダ、温かなコンソメスープ。
 黄金色に輝くオムライスに、デミグラスソースが芳しい牛挽肉のハンバーグ。パセリとトマトソースで色鮮やかに彩られたナポリタンは、大きなマッシュルームと分厚いハムがたっぷりだ。
 じっくり煮込んだビーフシチューや、ベシャメルソースの牡蠣グラタンも捨てがたい。食後のデザートには冷たいバニラアイスや、アーモンドの香るブラマンジェを楽しむのもいいだろう。
「他にも海老ピラフに、メンチカツに、ロールキャベツ……洋食と聞いてイメージするものなら、大抵の料理は注文できるよ!」
 食事を満喫する程、油断を誘う事は容易になる。
 店内では気兼ねなく、思い切り楽しんで欲しいとジルは能力者達へ伝えた。

 調理を行うのはスタッフに扮した改造人間『スニーク・スタッフ』で、今回のタイプは美味しい料理を作る訓練を受けた者達だ。料理には一切の手を抜かず、当然だが妙な物を混ぜるような事も無い。
 突入の実行は開店直後で、店内には改造人間が厨房に居るのみ。食事が終われば、店内は戦闘に適した秘密基地モードに変形する。そこで襲撃して来る改造人間と、ボスの怪人を倒せば作戦は成功だ。
 洋食屋の開店日は今日。つまり今から向かえば、犠牲を出さずに怪人勢力の野望を阻止できる。プラグマの魔手から世界を守る為に、どうか力を貸して欲しい――そう告げて、ジルは説明を終えた。

「ああ、そうそう。基地には機密保持機能が付いていて、コウモリプラグマを倒すと施設は使用不能になる。だから洋食のお代は心配無用、心行くまで楽しんで来てね!」
 かくしてジルに見送られ、能力者達は戦場へ向かって行く。
 行先は√マスクド・ヒーロー。秘密結社プラグマの恐るべき野望を阻む為、能力者達が洋食屋『コウモリ亭』のドアを潜る――。
これまでのお話

第2章 集団戦 『潜入工作用改造人間『スニーク・スタッフ』』


POW 『パーティータイムといこう』
指定地点から半径レベルm内を、威力100分の1の【弾幕】で300回攻撃する。
SPD 『敵勢対象と断定、沈黙させる』
全身の【動力】を【義眼】に集中すると、[義眼]が激しく燃え上がり、視界内の全員の「隙」が見えるようになる。
WIZ 『待機要員に告ぐ、ただちに集結せよ』
事前に招集しておいた12体の【プラグマの待機要員】(レベルは自身の半分)を指揮する。ただし帰投させるまで、自身と[プラグマの待機要員]全員の反応速度が半減する。
√マスクド・ヒーロー 普通11 🔵​🔵​🔵​

 洋食屋『コウモリ亭』を訪れ、洋食を堪能した能力者達。
 秘密基地の奥に潜む怪人勢力を撃破すべく、全員が戦いの支度を終えると同時――店内の空気がガラリと一変する。

 洋食の香りがふいに消え、テーブルが、椅子が、床下へと収納されていく。
 ゴゴゴッと不気味な地響きと共に周囲の照明が点灯し、周囲が無機質な金属製のそれへ変わっていく。
 先程までの穏やかな空気は既に無く、周囲には冷たい空気が漂うばかり。
 此処こそが、コウモリ亭――いや、世界征服を企む秘密結社『プラグマ』の基地の一つなのだ。その事を示すように、厨房だった場所から現れたのは調理人に扮した改造人間、『スニーク・スタッフ』の群れである。

『ふふふ。料理は堪能してくれたかな?』
『ここから先は、我々が君達から頂く番だ。観念して貰おう!』

 無論、そんな敵の言葉にも能力者は平然としたものだ。
 彼らを野放しにすれば、罪なき人々が毒牙にかかるのは明白。それを許すつもりなど、能力者達には断じてない。
 人々を狙う悪の秘密基地を、確実に叩き潰す為。
 能力者と怪人勢力の戦いが、いま此処に幕を開ける――!
誉川・晴迪
あらあら残念。私、お供え物しかタベラレナイノデスヨ。
席に着いているようでいて着いていなかった、
座った姿勢のまま風に流れるようにして目の前に現れる、
浮世離れしたユーレーの客人がひとり。

景色も変わって、人魂も灯って、とっても素敵な幽霊屋敷になりましたね。
さて、あなた方のおっしゃるスキとやらは、一体どこにあるのでしょう?
様変わりした店内の内装を面白く観察するがてら、
ゆったりくるくると周囲を見渡す動作で、相手の攻撃を誘います。

今回の得物は、後ろに背負って来た卒塔婆。
ギュッと握った瞬間、見た目が頑丈な金属バットに早変わり!
赤く光るお目目ごと、
カキンと天井めがけて、フルスイングさせていただきましょう。

 剥き出しの冷たい金属が覆う、秘密基地の内部。
 そこへ現れた黒ずくめの改造人間スニーク・スタッフ達と、能力者達は対峙していた。
 コウモリ亭でのひと時が奏功し、敵には油断が見て取れる。研究素材として血を奪える事を、彼らは未だ疑っていない。

「あらあら残念。私、お供え物しかタベラレナイノデスヨ」
 そんな敵に平然と告げるのは、誉川・晴迪(幽霊のルートブレイカー・h01657)だ。
 つい先程まで椅子があった空間に座った姿勢のまま、晴迪は改造人間達の前にふわりと現れる。
 重力を無視した煙のような動き。そして、一見女性と見紛うような容姿。浮世離れした出で立ちに、改造人間達の顔に驚愕が浮かんだ。
『……!? 貴様、その動きは――』
「失礼。私、ユーレーなもので」
 微笑を浮かべたまま、平然と答える晴迪。
 生前の姿でインビジブルと化している彼は、敵への挨拶もそこそこに、基地をふわふわと漂い始める。
 絡め取るのは心から。刃を交わさぬ形で、戦いは既に始まっていた。

「しかし……景色も変わって、人魂も灯って、素敵な幽霊屋敷になりましたね?」
 改造人間達を前に、晴迪は飄々と言った。
 洋食屋から様変わりした基地の内部をしげしげと観察する様子に、敵を恐れる素振りは絶無である。そして、同時に彼は見逃さない。視界の端で改造人間達が義眼に灯す、赤い炎の輝きに。
 油断を誘う晴迪の動きに、それは敵が喰いついた瞬間だった。
『……標的を敵勢対象と断定』
「さあて、それでは――」
 緊迫する空気の中、両者が互いの得物に手を伸ばす。
 改造人間は懐へ、晴迪は背中へ。そして次の瞬間、
「始めると致しましょう」
『――沈黙させる!』
 能力者と改造人間。互いの√能力が、戦場へ解き放たれる。

 視界に捉えた晴迪の動きを、改造人間は逃さず捉えていた。
 能力で隙を見抜いた今、攻撃をかわす術は絶無。後は取り出した拳銃で標的を制圧し、抵抗の手段を奪うのみ――そう考えた、しかし次の矢先、
『隙あり……っ!?』
「はて? そのスキとやらは、一体どこに?」
 跳躍した晴迪は、瞬間移動めいた軌道で敵への肉薄を終えていた。
 彼が発動するのは『ヒトを呪わば』。自身を狙った対象に先制攻撃を浴びせる能力だ。果たして、既に攻撃態勢を整えた晴迪の手には、立派な卒塔婆が一振り握られていた。
「お返し、致しましょう」
『なっ!? な、何故――』
 手にした瞬間、卒塔婆が頑丈な金属バットに姿を変える。
 瞬時の出来事に驚愕する改造人間。その隙を、晴迪は見逃さない。

「悪いのは、この眼ですか?」
 振り被った卒塔婆が、ブンと唸った。
 狙う先は、敵の顔面だ。晴迪のフルスイングが赤い義眼に直撃し、黒ずくめの体が派手に吹き飛ぶ。派手な衝撃で天井をバウンドし、床に叩きつけられた改造人間が衝撃と激痛に悶絶する。
『うっ、がはぁっ!?』
 自分達の前に居るのは、無力な獲物に非ず。
 晴迪の意思を込めた一打はどこまでも痛烈に、改造人間を打ち据えるのだった。
🔵​🔵​🔵​ 大成功