シナリオ

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真白なホリデーシーズンを

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●雪白の祝祭
 それは√ドラゴンファンタジー、何処か辺境の町でのことだ。
 あまり大きくはないその町では、初雪が降った週末から暫しの間、この一年の息災を祝う祭りをすることが古い習わしであると言う。厳しい冬の訪れを前にして、家族や親しい友人たちで集まって、美味しい食事を共にして互いの無事を祝い合う。加えていかな極寒も乗り越える為の英気を養う為に、暖かなひとときを過ごすのが元の謂われであったとか。
 今年はやけに遅い初雪、人々は存分にご馳走や祝いの品を用意しながら今か今かと待ちかねた。豊富なスパイスを利かせたワインや濃厚なミルクティー、バターと洋酒付けのドライフルーツの香り立つ重厚な焼き菓子だとか、オーナメントめいた造形のクッキーにエトセトラ、生クリームがたっぷりのケーキは祭りの朝早く作ることにはなるのだが。
 兎にも角にも彼らが楽しむ準備をし尽くした、そんなある日の夕方に天より雪が舞い降りた。

●皆に憩いのひとときを
「やぁ。皆、クリスマスは楽しめた? それとも、忙しくてそれどころではなかったりした?」
 マスティマ・トランクィロは√能力者たちへ人懐っこく微笑みかけた。
「もし未だ祝えていないなら丁度良い依頼があるよ。√ドラゴンファンタジーのとある町、初雪の後に祝祭をしていてね。クリスマスみたいな感じで楽しめるんじゃないかと思う。今の時期からだとちょうど、年末年始を楽しく過ごせるかもしれないね」
 曰く、多少栄えた保養地の様な町である。洒落たバーから賑やかな食堂、町のはずれのオーベルジュ、祝いながら思い思いに過ごして骨休めをするのにはもってこいだとマスティマは言う。
「あ、でもね、困ったことにはその町の近くにダンジョンがあるみたい。流石に放置しておく訳にはいかないから、後でサクッと攻略お願い出来るかな?」
 それこそ随分サクッと手軽に言ってくれると言うものである。
「そんなに難しいダンジョンではない——と思うんだ。思う。たぶんね。僕が星を詠んだところによるとね——」
 言いかけて、言葉を選ぶ様にして、一拍、二拍。
 唇に指先触れつ口を噤んでからにっこりと、紅く塗った唇で三日月描いた良い笑顔。見ようによっては、何かを誤魔化した様にも——嗚呼、若干頬が上気しているか。要するにこの星詠みも、酒が入ってご機嫌と言うわけだ。
「……いけないね、忘れちゃった。とにかく、皆が良い年を迎えられるように、宜しくね」
これまでのお話

第3章 ボス戦 『リンドヴルム『ジェヴォーダン』』


POW ミステリアス・ジェヴォーダン
10÷レベル秒念じると好きな姿に変身でき、今より小さくなると回避・隠密・機動力、大きくなると命中・威力・驚かせ力が上昇する。ちなみに【大狼】【飛竜】【過去の英雄】への変身が得意。
SPD ジェヴォーダンの烙印
【獣型モンスターの群れ】を召喚し、攻撃技「【ビーストファング(噛みつき)】」か回復技「【ヒーリングムーン(癒やしの月光)】」、あるいは「敵との融合」を指示できる。融合された敵はダメージの代わりに行動力が低下し、0になると[獣型モンスターの群れ]と共に消滅死亡する。
WIZ 偽竜創造
自身が受けた武器や√能力を複製した【真竜を模した部位】を創造する。これは通常の行動とは別に使用でき、1回発動すると壊れる。
√ドラゴンファンタジー 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●ダンジョンの主
 氷雪の城に踏み入れば銀世界、その先にまた雪の城。入れ子人形めいてまたその先に雪原が続いているのではないかと若干身構えながら、√能力者たちは二つ目の城に踏み込んだ。
 玄関を潜れば真白く広いエントランスホールだ。正面に伸びた氷の階段の先に佇む黒い人影――が俄かに膨らんで、歪に、黒き半人半竜の形を成してゆく。
『来たな、冒険者ども。ひとまずハッピーニューイヤー、生きて帰れると思うなよ』
 金色の翼手を広げながら、このダンジョンの主は告げた。飄々とした口ぶりながら、その余裕はおそらく自信と実力に裏打ちされて居る。見よ、刃めく金の鉤爪の凶悪なまでのあの煌めき、能あれど隠し切れない鋭さよ。

『俺はリンドヴルム『ジェヴォーダン』。死にたいやつから来ると良い』
橘・明留
アドリブ、連携OK

うわ、こっわぁ…
ヒト?イヌ?ドラゴン?
あけましておめでとうございます…じゃなくて! すげえ強そう…勝てるかな?
いや、勝てるか、じゃなくて勝たなきゃ、だ
かかっていってやるけど、絶対に死んでなんてやらないからな!

【複合連打】で攻撃
小さくなった時は【投擲】、大きくなった時は攻撃への【受け流し】あと【焼却】を軸に
インビジブルのみんなも手を貸してくれてるし、怯んでる場合じゃないよな
ゲームみたいにかっこよくはできないけど、せっかく貰った力なら人の役に立つことをしたい
怖いのにも痛いのにも、なんだかんだで耐性はあるし
ただの人間だってわりとやるんだって、証明してやるんだ!

●ただの人間たる矜持
「うわ……」
 意図せぬままに声が出て、だがその先が出て来ない。かつてのあのまま平凡に生きていたならば、このままならぬ経験自体をせずに居られたのだろうか。目の前のヒトかイヌか竜かもわからぬモンスターに——正解は飛竜騙りのドラゴンプロトコルなのだが——気圧されながら、橘・明留(青天を乞う・h01198)はビジー状態手前の思考をフル稼働させる。このまま恐怖に呑まれぬ為に、何かを言わねばならぬ気がした。
「えっと、あけましておめでとうございます、今年も……」
「宜しく? 初対面でか?」
「そうだよね!いや、そうじゃなくて!」
 無意識と言えど突っ込むだけの余裕が出来たのは僥倖か、そのままの勢いで異能にてカードを錬成するだけの冷静さは少なくとも確保が出来た。
「かかっていってやるけど、絶対に死んでなんてやらないからな!」
「その度胸嫌いじゃないぞ、小僧」
 半竜の強靭な翼が、凶悪な鉤爪が、鎧の様な鱗が影の如くに溶け揺蕩って、収束してゆく闇は精悍な大狼の姿を成す。長い牙持つ口をして高く吼えた。
「膝が笑ってるようだが平気か?」
「そっちが震えてるからそう見えるんだろっ」
「無理あんだろ……」
 そのまま吼えかからんとした大狼へ、魔力で為したカードを手裏剣の如くに投げつける。獣の鼻面を斬り付けて牙を逸らすに足るその一投、だが、|複合猛打《ヤツギヤツザキ》の名を持つ異能がその一撃で終わろうはずもない。明留の首筋を狙って跳ねた狼。辛うじて一重で躱しつすれ違い様に後肢ひとつを掴み、そのまま明留は一本背負いの要領で投げ飛ばす。だがしかし敵もさるもの、受け身を取りつの着地と同時に次は飛竜へと姿を変える離れ業。強靭な翼が空を切り、巨躯が風を切る。まともに受ければひとたまりもない巨体からの体当たりを、明留は何とか受け流す——と言うには些か無様か。床に転がり込みながら、だが、間一髪で、回避した。
「なんだ? ただの人間かと思ったが、戦い方を知ってるな?」
「ただの人間が戦えないと思ってるなら間違ってるよ!」
 頬についた掠り傷を拭いながら、明留はジェヴォーダンを睨み据えた。
「何を生意気——」
 飛竜は鼻で嗤おうとして、それが成らない。その先は燃え盛る炎に阻まれたがゆえ。
「ただの人間だってわりとやるんだって、目に物見せてやる!」
「なにィ……っ!」
 紅蓮に燃え盛る炎を蒼穹の双眸が見つめていた。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

クラウス・イーザリー
「死ぬつもりは無いけど、全力で挑ませてもらうよ」
ちょっと格好良いなと内心で思いながら武器を構える

相手の攻撃に合わせて√能力【先手必勝】で先制攻撃
斧を叩き付けて身を隠す
以降は攻撃を【見切り】で躱しつつ、隠密状態からの【暗殺】や【鎧砕き】で攻撃
変身で大きくなったら懐に飛び込んで隙を狙うし、小さくなったら死角に回り込まれないように注意を払いながら攻撃を見切る

モンスターの群れが出現したら【レーザー射撃】で遠距離から数を減らそう
回復されるのも厄介だし、纏わりつかれても困るしな

敵の気迫に怯まず、負傷も恐れずに戦うよ
恨みは無いけど、ダンジョンの主を放っておく訳にはいかないからな

※アドリブ、連携歓迎です

●互い死線を知るがゆえ
「死ぬつもりは無いけど、全力で挑ませてもらうよ」
 黙って斬りかかることも出来た中、クラウス・イーザリー(人間(√ウォーゾーン)の学徒動員兵・h05015)が強いてそう言葉を返したのは、ある種の敬意によるものだったやもしれぬ。敵ながら騎士道めいて堂々と名乗りを上げる様、それを許すだけの、肌で感じる力量は、一定の敬意に価するものだ。少なくとも、若い身空で戦場の水に浸り切り、表情筋の制御より戦斧で敵の脳天をかち割る方がまだ幾らかは得手だと思える彼にとっては。
「悪くない。その全力ごとねじ伏せる」
 ジェヴォーダンの周囲の空間が歪んだが、何を為そうとしたものか、帰結をクラウスは見なかった。何らかの事象が生じるより早く、クラウスのコンバットブーツは氷雪の床を蹴り、そうして再び踏み締めていた為である。彼愛用の斧の刃が届く程度にジェヴォーダンの至近で、だ。
「なにィ……!?」
 斧は咄嗟に身を庇おうとしたジェヴォーダンの左翼の付け根の一部を砕き、その肩までをも深く抉る。
「遅いな。宣言しながた先手を取った気になってる辺り、自信が裏目に出てるかもね」
 鉤爪による反撃を予期して跳び退りながら、クラウスの姿が白い城内の景色に溶ける様に消えてゆく。光学迷彩による視覚トリック、だが強敵を目の前にそれだけに甘んじるつもりなどは無い。攻勢から反撃を防ぐのでなく回避に転じる速さを殊更見せつけたのも、それを為しながら敢えて煽る様な言葉を向けたのも、全てはこの短時間で情報を集め組み立てたクラウスの計算の上のこと。
「上等だ。それならこっちも全力だ」
 ジェヴォーダンの周囲にて再度空間の歪みが生じ、そこから飛び出したのは無数の獣型のモンスターの群れである。
「お前ら、匂いで判るよなぁ!? やっちまえ!」
 光学迷彩に真正面から挑む如くに、牙を剥きだした獣らが目を血走らせての跳梁跋扈。だがそれこそがクラウスの狙い通りで、その掌の上でのこととは獣らもジェヴォーダンも思うまい。数が多いだけの獣などただ撃ち減らせば良いだけだ。いかにその牙が鋭かろうと、いかにその脚が疾かろうと。戦いに於いて優先すべきは敵の首魁を叩くこと——即ちクラウスが選んだこの手は何よりも|ジェヴォーダンを回復させぬ《・・・・・・・・・・・・・》ことに重きを置いていた。
 故に獣らの牙を砕きいなして、或いは身に受けながらでも、再度飛竜へと肉薄し、
「チッ、やりやがる……ッ!」
「そっちもね」
——今一度振り下ろすクラウスのバトルアックスは、今、定かにジェヴォーダンの左の翼を断ち切った。
🔵​🔵​🔵​ 大成功