CASUALBAR ◆EA◆は冒険者を募集しています!
アダムス・オールナイターは、居城『CASUALBAR ◆EA◆』の開店準備を済ませた。
気楽に話せる、飲み友達と一杯やりたい――そんなとき頼ってほしいと、ボックス席を多めに用意している。
店内が賑わう光景を見つめながら、ふとアダムスが溜め息を吐く。
そんな中、カランコロンとドアベルが鳴り響く。
音の主を見やると、相手は見覚えのない黒ずくめの男。
「喫煙OK? 電子タバコも肩身が狭くてさ~」
「構いませんよ。よければカウンター席へどうぞ」
その男は亜双義・幸雄と名乗った。
幸雄はカウンター席の隅に腰かけ、柑橘系の薫香を吹かし始める。
見覚えのない電子タバコから、アダムスはすぐ気付く。
「他の√からお越しで?」
「ご明察、今は星詠みとして裏取り中だ」
予想が的中し、アダムスは気分よくお通しを用意しつつ、タンブラーを手にする。
ときに悩みは、関係の浅い相手のほうが話しやすい。
生ビールを差し出しながら、単刀直入に切り出す。
「幸雄さんは“女性の冒険仲間も所属しやすい場所”ってどういうイメージです?」
ここは冒険者ギルドの側面があり、友人知人と活動することがある。
活動拠点を探している女性冒険者がいれば、歓迎したいことも。
「良好な関係を築いて頂ければ、所属期間は不問ですが」
顎髭を撫で、目を伏せるアダムスの姿に、深刻さは伝わったようだ。
幸雄はビールを一口飲んでから、
「勧誘は? 探してる人なら声がかかれば、検討してくれると思うよ~」
こっちから声をかけるといい、と返答。
それを聞いて、アダムスのほうが目を丸くした。
「そういう方もいらっしゃるのですか」
「いるのよ、マスターも良縁と巡り逢えたらいいね」
もう一杯飲んでから、幸雄はお|愛想《勘定》して店を発った。
曇ったグラスを磨きつつ、先ほどの話を思い返す。
(「行動に起こす、という手もあるのですね」)
アダムスが思考に浸りかけたとき――ドアベルが揺れ動いた。
僅かに開いたドアから、真新しい鎧姿の女性冒険者が入ってくると、おずおずとカウンターについて、上目がちにアダムスを見上げる。
「えと、オススメをひとつ……」
小さく頷き、アダムスは水をタンブラーに注ぎ、マドラー伝いにウイスキーをゆっくり注ぐ。
「ウイスキーフロートです、カクテル言葉は『楽しい関係』となります」
交わる喜びがここにある。
――当店では、新たな同志を心よりお待ちしております。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功