シナリオ

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Dressing room

#√マスクド・ヒーロー #受付は10/2(木)8:31~10/6(月)一杯 #受付中

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 #√マスクド・ヒーロー
 #受付は10/2(木)8:31~10/6(月)一杯
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●dress
 人通りの少ない路地裏に、ぽつんと建つ小さなお菓子屋さん。
 ガラス張りのディスプレイに並べられた極彩色のチューイングガム、コインの形をしたチョコレート。そんなお菓子屋さんも、当たり前のように、夜には閉まる。
 夜。恐らく日付変更前。『close』の看板が下げられた店の前に、黒塗りの高級車が一台止まる。
「本当にこの店で合っているの?」
「間違いないさ。招待状にもこの場所が記されている。」
 車のドアを開き、赤いハイヒールを履いた女が、かつんとヒールを鳴らして店の前に歩み寄る。身体のラインを強調するマーメイドドレスに身を包んだ女は、鍔の広い帽子を持ち上げ、カーテンの隙間から店の中を覗こうと背伸びをしていた。伸びる影はまるで魔女のよう。
 開きっぱなしの車のドアを、スーツを着たミイラ男が閉じると道を占領していた高級車は夜の静寂に消えて行く。男の包帯が風に靡き、足元の影も更に伸びる。
「ほらここ。この店で間違いない。」
「でも誰もいないわ。」
 招待状らしき封筒を掲げると、明滅する灯りに照らされて真っ赤なシーリングスタンプが怪しく光る。シーリングスタンプの柄は蜘蛛のようだ。差出人は不明。しかし、男が取り出した手紙の末尾には、Lady・Monsterと綺麗な文字で書かれていた。
 この日の為にいつも以上にお化粧をして、いつも以上に綺麗に着飾って来た女の形のいい眉が吊り上がる。この招待状が偽物だったら笑えない。
「とりあえず中に入ってみないかい?」
「closeって書いてあるわ。大丈夫なの?」
「試してみない事には――。」
 男がドアノブに手をかけると、ベルの音と共に扉が開く。なんともあっさりと開いたものだから、拍子抜けしてしまった。閉店を告げる看板はフェイクだ。互いに顔を見合わせ、どこか得意げに見下ろす男を隣の女はツンとしたすまし顔でみつめた。
「今日はLady・Monsterの新作発表会なのよ。エスコートをよろしくね。」
「もちろんだよ。君が新作のドレスを一番に着る権利を得るために、私も一肌脱ごう。」
 女が男の腕に片手を添える。この日のために新調したネイルは、新作のモチーフを取り入れた蜘蛛の糸をイメージした物だ。

 重い音を立てて店の扉が開く。
 ミイラ男と魔女は暗闇の中へと消えた。

●幽霊曰く
「Lady・Monsterって知ってるかい?」
 ここに集った者たちにも見えるように幽霊の男、東雲・夜一は招待状らしき封筒を片手に持ったまま揺らす。蜘蛛の描かれたシーリングスタンプ。それがLady・Monsterからの招待状である証だ。
「有名なブランドらしいが、オレにはちっとも分からねぇ。」
「ってのはまあ、さておき。このLady・Monsterっつー所が悪の組織で、んでそこで働くデザイナーが、どうもこの発表会で人を集めて良からぬことを考えてるんじゃねぇかって所でな。」
 幽霊の男の話はこうだ。とあるお菓子屋さんの地下にて、Lady・Monsterというブランドの新作ドレスの発表会があるらしい。しかし、新作ドレスの発表会というのは人集めの口実であり、なにやらここに集った者たちを洗脳し、全ての√の完全征服への手駒にしようとしているのではないかと。
「しかもだ。今回に関しては普通の発表会じゃねぇ。どうも、新作ドレスとやらを作った奴の目に留まれば、そのドレスを誰よりも先に着る権利を得られる……っつーらしい。」
 人気ブランドの新作ドレスともなれば、このブランドが好きな者にとっては魅力的な誘いでもある。
「まあ……そんな感じで、気合いを入れている奴らがうじゃうじゃいる訳だが。大変な事になる前に、お前さん達が奴らの計画を阻止してくれ。」
 場所はお菓子屋さんの地下。お菓子屋さんで売られているガムやチョコ等の甘いお菓子は勿論のこと、クラブも兼ねられた場所だ。酒の類を飲むことも出来るだろう。そろそろハロウィンの季節にもなる。南瓜頭のパイやミイラ男のクッキー、蝙蝠キャンディや目玉スナックなどの品々も置かれているだろう。
「発表会が始まるまではのんびり過ごして良いと思うぜ。のんびりできねぇやつは、店員に変装してバックヤードの探索をしてみんのも良いかもしんねぇな。」
「おっと、そうだ。客として向かう奴は仮装するのを忘れねぇように。あちらさんからの指定だ。」
 客として向かう者には招待状を、店員として忍び込む者には服をそれぞれ手渡し、夜一はあなたたちを見送る。
「んじゃ、頼んだぜ。」
これまでのお話

第2章 集団戦 『戦闘員』


POW 戦闘員連携戦闘
半径レベルm内の味方全員に【悪の組織製の通信装置】を接続する。接続された味方は、切断されるまで命中率と反応速度が1.5倍になる。
SPD 新規戦闘員部隊
事前に招集しておいた12体の【新たな戦闘員の部隊】(レベルは自身の半分)を指揮する。ただし帰投させるまで、自身と[新たな戦闘員の部隊]全員の反応速度が半減する。
WIZ 戦闘員特攻モード
自身の【戦闘服】を【危険な蛍光色】に輝く【特攻モード】に変形させ、攻撃回数と移動速度を4倍、受けるダメージを2倍にする。この効果は最低でも60秒続く。
イラスト sawada2
√マスクド・ヒーロー 普通11

 ビートを刻むフロアの証明が一気に落とされる。人々のざわめきを残し、誰かが声をあげようとした瞬間。
「皆様、大変お待たせいたしました!これより、Lady・Monsterの新作ドレスの発表会を開催いたします!」
 蜘蛛男のアナウンスと共に、大きな歓声が周囲には響いた。
「まず、ルールをご説明いたします。新作ドレスを着る権利を得られるのはたったの一人です。」
「この場に居る皆様には、そのドレスを着る権利を得るために競っていただきます。」
 蜘蛛男の話はこうだ。このフロアにいる全員で競う事。手段は選ばない事。しかし、Lady・Monster側も簡単にはドレスを手渡すことは出来ないと言う事。
「我々も全力で妨害をしに行きます。その妨害を抜けた先、一番にあちらのステージへと辿り着いた方に、その権利をお渡ししましょう!」
 とある情報筋では、あれは戦闘スーツだという。ならば一般客がその権利を得る前に、こちらもまたあのドレスを何とかしなければならない。幸いにして手段は選ばなくてもいいようだ。ドレスを燃やす、奪う、何でも有りなのだろう。
 しかしながら仮装をした戦闘員の妨害も入る。一般人を巻き込まずに戦闘員と戦うのか、それともドレスを狙うべく工夫をするのかは君たち次第だろう。

「それでは皆様、位置について!よ~い……ドン!」

 その言葉を合図に、フロアには軽快な音楽と、仮装をした愉快な戦闘員たちが一斉に雪崩れ込んだ。