天より降り注ぐ神威~クラップヤード最後の日~
「あらゆる戦闘において最も効率的で理想的な勝ち方は何か分かるか」
7mの巨体を持つWZ『エーリヴァーガル』は天を仰いで語る。
「相手の攻撃が届かない位置から一方的な攻撃を続ける事だ。このようにな」
直後、激しい雷光がエーリヴァーガルを一瞬で鉄屑に変えた。何度も何度も落ちる雷光が周囲を白く染める。
稲妻の嵐が過ぎ去った後、そこにはただの鉄屑しか残らなかった。地下深くの設備すら全てが焼き尽くされた。
「……と、言う事が起こる」
中空に投影された映像はその惨劇の一部始終を映し終えた。
「ようこそ、√ウォーゾーンに魂を惹かれた√能力者諸君。概要を始めよう」
ここはある廃工場の中。設計図面上では描かれていない扉が一枚。不自然な二本の支柱に扉だけがある。普通に考えればこの扉を開いても反対側に出るだけだが……実際は√ウォーゾーンへと繋がる扉になっている。
「今回の行き先も第49WZ中隊『クラップヤード』駐留地。三度目だがまあ、別に過去の戦いに参加しててもしてなくてもいい」
元は新型WZ実験部隊である大型工廠。今は死体を継ぎ接ぎしたデッドマンが、継ぎ接ぎのWZを運用し守っている。地上部分はWZ用の整備ハンガーで、地下には農園もある居住区が詰め込まれている。
その居住区まで雷光は届き、全てを焼き払う。
「当然、迎撃用の戦力は出ているのだが……相手が悪すぎる。通常のWZの運用法では太刀打ちできん」
廃工場に一つの立体映像が投影された。戦闘機型のWZのようだ。
「量産型模倣機『神威』だ。これがこの惨劇を引き起こす。基本形としては戦闘機だが、高性能な対地攻撃兵器を搭載している|多用途戦闘機《マルチロールファイター》と言った方が正しいだろうな」
再び映像化した予兆を表示し、一時停止する。
「この落雷のような攻撃がコイツの対地攻撃兵装『雷撃』だ。自分より低高度であれば捕捉できるから対地攻撃と言うより下方攻撃と言った方が正しいかもしれないが」
映像を拡大していくと多数の戦闘機の姿が確認できる。一機が落とす雷撃はそこまでの威力ではないようだが、多数の戦闘機が一度に落せば自然の落雷が何度も落ちるような状態になる。
「要はこいつらを叩き落とせばいいのだが……その手段が問題でな。こいつ等の戦闘速度はマッハ5。しかも高高度を飛んでいる。大体の攻撃は届かないし当てられない」
戦闘機と言う物は大体のSF物ではやられ役のイメージだが、本来はこの位どうしようもない存在である。まあ、だからこそそれをあっさり撃墜できる脅威を伝える為にやられ役にされるんだろうが。
「ただし、こいつ等は超音速で発生するソニックブームで自壊しない程度の物理装甲こそある物のバリアの類は搭載していない。そもそもソニックブームに耐えるだけで精いっぱいでそれ以上の防御装置を搭載する事が出来なかったと思われる」
速度を落とすなり、火力を落とすなりすればもうちょっとマシな防御装置を搭載する事も出来たんだろうが……そうしなかった理由は分かる。模倣元がその速度と火力を持ってるからだ。一度戦った模倣元いわく「生産性以外何も負ける理由が無い雑魚」だったらしいが、そりゃアイツも同じ戦闘機型WZだからだろう。
「捕捉する事は極めて難しく、攻撃を当てるのはもっと難しいが、当てる事さえ出来れば容易く撃墜できる。ここは諸君の発想に期待したい。ここまでが今作戦の第一段階だ」
一度、表示物を消す。
「そう、こいつ等は前座だ。前座を退けた後にはこいつ等のプロトタイプでもある試作模倣型『神威零号機』との戦いになる」
熾天使を思わせる荘厳な空中兵器の立体映像を表示する。
「量産型模倣機はこの零号機をベースとして大幅なダウンサイジングした物だ。模倣元のスペックを越えるべく作られた零号機は大きさは肥大化した物の出力では原型機をも上回る。最大速度はマッハ10。量産機と同じような兵装を搭載する他、近接格闘形態への簡易変形機能も備えている」
展開されるのは巨大な稲妻の剣。刀身が長すぎて近接と言っていいかどうか微妙なラインだ。レーザーを振り回してるような物だな。
「しかも、こちらは防御力も高い。強固な非実体障壁で守られている。しかし、大きさはかなり膨れ上がっているので量産機よりは攻撃を当てやすいかもしれない」
最高速度はあくまでも最高速度であり、常にその速度で移動している訳では無い。
「まあ、分かりやすく例えるならば……シューティングゲームの雑魚敵とボス敵と言う感じだな」
例えと言うには、そのまま過ぎる気はするが。
「それと、今回もクラップヤードから戦力は出る。とは言え、最初に言った通り通常のWZでは対処できない。幸いにも襲撃前に時間があるので対空戦闘が可能になるように改修できる時間はある」
今までは個別に護らなければならなかった訳だが、今回に関しては全員残るか全滅するかの二択しかない。
「自分達だけで対処できるなら特に手を貸さなくても良いのではあるが、今後も同様の襲撃が来る可能性や、他の場所で同じような戦いが起こるかもしれない。対空設備の強化は無駄にはならないだろう」
GIRIRIRIRIRIRIRINNNNN!! と、けたたましく目覚まし時計のベルが鳴る。RINと手で押し込んでそれを止めると、こんこんと一枚の扉を叩く。
「時間だ。さあ、戦場を始めよう」
マスターより
Chirs√ウォーゾーンに魂を惹かれたMS、Chirs(クリス)です。本シナリオは√Eden三本目となります。
今回もクラップヤードです。クラップヤードが壊滅するまでクラップヤードしか書かないかもしれません。
第1章は空襲に備えてWZを改装していただきます。対空設備の設置などでもいいです。相手は落雷のような攻撃を使うので金属製物理装甲は意味を成しませんが、他の手段もあるかもしれません。
第2章は戦闘機型WZとの戦闘になります。オープニング内で説明した通り普通の戦い方では相手になりません。対空戦闘である事を重視したプレイングをお願いします。このプレイングは効果が無いな、と判断した場合容赦なく失敗させます。なお、今回は分岐せずに必ず集団敵となります。
第3章は空中大型機動兵器とのボス戦になります。やはり対空戦として有効では無いプレイングは失敗となりますが、第2章よりは攻撃が当てやすくなっております。その分耐久力も高いので威力の高い攻撃が必要になります。
必須ではありませんが、一言掲示板で内容を相談すると良い事が起きるかもしれません。一言掲示板に書かれた内容は全て目を通させていただきます。質問があれば答えます。
オープニング公開後にプレイングの受付日をタグでお知らせしますが、連撃であれば他の日に投稿していただいても構いません。また、オープニング公開後に追加情報として今作戦に参加するクラップヤード部隊のWZの詳細情報を公開する予定です。
マスターの傾向としてはアドリブを多用し、複数のプレイングを繋げる事で起きる化学反応展開を持ち味としています。その為、執筆にはギリギリまでお時間を頂く事になります。
それでは、このシナリオに惹かれた√能力者の皆様のご参加をお待ちしております。
29
第1章 冒険 『整備!WZ』
POW
整備のための資材や、WZ本体さえ運んだり!
SPD
技術力を活かし、整備や新兵装の作成を!
WIZ
図面を引いて、強化の提案や効率的な整備を!
√ウォーゾーン 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
●試作重戦車WZ『スレイプニール』
下半身を戦車型にする事によって積載量と防弾性能を高め砲撃戦に特化した試作WZ。無限軌道走行による機動性も高い。
背負うような形で背部にマウントされている戦車砲は並のWZでは扱う事自体不可能な口径を誇り、長い銃身により命中精度も高い。弾頭は自動装填式でAPFSDS弾、焼夷榴弾、対空散弾等の特殊弾頭も扱える。
通常時はWZの上半身を前方に折りたたむ形で格納し、自走砲のような形状をしている。上半身を起こす事でWZ形態となり、両手に重機関銃を持ち中距離銃撃戦も対応する。
両肩部にショベルアームが増設され、近接格闘もある程度対応可能になった。このショベルアームは横転時の態勢復帰や、地面に機体を固定して命中精度を上げる目的で増設された物だ。根本的に火力支援機体なので、格闘を多用する状況にならない方が適切である。
戦車とWZの利点を組み合わせた機体として開発されていたが、格闘性能の低さと通常の戦車よりは劣る防弾性、何より構造が複雑化した事による高コスト化が決定打となり試作の3機のみで打ち止めとなった。
今作戦においては有効射程距離の長さで選定。対空散弾を山ほど準備しているが、対空砲としては連射性がまるで足りていないので数発当たるかどうかと言うレベルである。
●戦術未来予知搭載WZ『ミーミル』
未来予知能力を持つ超能力者を生体パーツとして全身に埋め込む事で、未来予知を可能にしたWZ。なお、未来予知は星詠みとは異なる物でどの程度の能力を持つかは機体に依る。
機体性能は機動力重視の構成ではあるものの、一般的な機体の範疇に留まり生体パーツ以外の整備性は優れている。なお、整備士にはこの生体パーツ部分はブラックボックスとされ開封は禁じられている。
搭乗者が乗った瞬間におよそ一万通りの自分の死体を見せつけられ、乗っただけで発狂して周囲を無差別攻撃し始める者まで出てしまった上に、培養予知能力者が規定水準の能力を満たせなかったため7機のみの生産で打ち切られた。
今作戦においては敵の動きを事前に予知する事で迎撃性能の向上が図られているが、ミーミル自体に対空能力が無いため、動けるレーダーと言う程度にしかならない。
●高機動強襲型WZ『スクルド』
大出力のブースターと、前面だけ厚い装甲を持たせた強襲特化型WZ。背部に大型バズーカ、両脛部に使い捨てロケットランチャーをマウント。手持ち武装として大型ショットガン、パイルバンカー内蔵シールド、ヒートサーベルと実弾武装のみで統一されている。これはジェネレーター出力を全て駆動系に回すことで高機動を確保しつつ、各種武装を使い捨ててパージする事で重量を減らし、より高い機動性を発揮する為である。
更に、ただでさえ前面以外が薄い装甲を全てパージする事が可能になっており、フレーム剥き出しになりながら高機動力を発揮する事も可能になっている。
敵陣に強襲を仕掛けてかく乱する事を主軸として設計された物の、前進にのみ極端に加速性能が高すぎる癖の強い操縦性に加え、殆ど特攻用とも言える継戦能力の欠如から正式採用には至らなかった。
チーム『ノルン』自体が選定されたため参加。自慢の機動力もマッハ5には追い付けないが、自力で高高度まで上がれるため、空中で迎え撃つ事は(理論上)可能とされている。
●汎用型試験運用WZ『ヴェルザンディ』
フレームそのものに高い汎用性を持たせる事で様々な武装や支援装備の試験運用専門WZ。元々新規機体の評価試験として作られた前身スクラップヤードらしい機体である。とにかくどんな装備でも扱える事を目指して設計されているので作戦毎にまるっきり装備が変わる事も多い。しかし、スクラップヤードからSが抜けた後は、器用貧乏な設計から誰でも乗れるが誰も長く乗らない初心者専門機体という評価に落ち着く。あくまでも装備品の評価試験用に設計された機体で実戦運用は想定されておらず、製造数は少ない。
スクルドの設計後に三機一組で運用するチーム『ノルン』として再設計された。スクルドの後方をカバーする射撃と、格闘による戦線維持能力を重視した中近距離として現在のコードネームが与えられた。
大型超長距離レーザー狙撃銃を装備。唯一と言ってもいいまともに対応可能な機体。
●総合支援型WZ『ウルズ』
ホバー走行による移動力を確保しつつ、重装甲重装備による後方支援を主体として設計されたWZ。ロングレンジカノンによる長距離砲撃の他、背部にレドームを装備し広域情報収集及び電子戦も行う事が可能である。
ホバー走行により移動力は確保したものの、肥大した重量で機動性は失われており、相手に接近されたら終わりと言う完全後衛型機体。その為の索敵能力ではあるのだが、電子戦を行いつつ遠距離砲撃の弾道計算、味方機の指揮も想定された設計でとにかくやる事が多く、実戦中にこれら全てを扱いきれるパイロットが少ないため少数生産に留まった。
チーム『ノルン』の後衛担当として再設計され、追加装備でガトリングガンを携行するようになり、多少近付かれても弾幕で押し返す事は可能になったが、重量は余計に増えている。
今作戦では主に背部レドームによる索敵と捕捉担当。火器はロングレンジカノンのみ装備。対空散弾を装填しているが、元々迎撃には期待されていない。
機神・鴉鉄決戦型WZに搭乗し参戦する。
過去にも√能力者の加勢があったようなので、
細かな説明は不要でしょう。
手短にフリーの傭兵であることと敵の情報を伝えます。
量産型『神威』は多数かつ高高度を飛行し、速度はマッハ5に達する。
カタログ上のスペックではスクルドは劣勢であり、
単騎で空中戦に出せば即撃墜、良くて1〜2体を道連れにする
相打ちにしかならないと考えています。
そこでスクルドを地対空戦闘仕様に改修し、接近戦・高機動戦を
行わないため不要な装備は撤去。代わりにスミカさんが
複製してくれたレーザー狙撃銃を自分とスクルドに装備させ、
地上から敵機を狙撃する運用を提案します。
まぁ、これで無駄に死ぬことはないでしょう。
●|未来《スクルド》のプライド
「来たか、|命知らず《ルートのうりょくしゃ》共」
廃工場のゲートはクラップヤード駐屯地の内部に通じている直通ゲートである。√ウォーゾーンの戦闘機械群にとって要所の一つと認識されている理由の一つだ。事実として、このゲートはただの一度も敵の突破を許した事は無い。通常の襲撃ならば√能力者の介入なしでも迎撃できる精鋭WZ乗り達なのである。
「お前たちが来ることが確定すると、未来が変わる。全滅から数人は逃げ出せる程度にはな」
「あなたがミーミルの搭乗者ですね」
|機神《はたがみ》・|鴉鉄《あかね》(|全身義体の独立傭兵《ロストレイヴン》・h04477)は迎え入れた男に言葉を返した。
「搭乗者は機体と同じコールサインを名乗る。私のことはミーミルでいい」
「了解しました、ミーミル」
「結論から言うが、君のプランは採用できない」
「まだ話してもいないのにですか?」
「そうだ。未来で既に聞いている」
「話が早くて助かりますが、理由を教えてください。それに、正しく把握しているかも確認させてください」
「スクルドの飛行能力を排除し、地上戦用に改装。対空兵装としてレーザー狙撃銃の配備。そうだな?」
「そうです。カタログ上のスペックでは相手はマッハ5で飛行し、スクルドの空戦力では劣勢なのは明らかでしょう。よくて数体を道連れに相打ちと言う程度です」
「カタログの不備にも問題はあったがな」
すまん、中身に関する情報を入れ忘れていたのだ。これに関しては本当にすまん。
「まず、スクルドはそんなに弱くない。相手がマッハ5で飛んでこようが射程内の敵なら容赦なく撃墜する」
「迎撃は理論上可能という程度だったんでしょう?」
「理論上可能なら、それは可能という事だ」
廊下を歩きながら話を進めるミーミル。当然、鴉鉄としては納得していない。
「あのさぁ~……」
そこに、ひょいっと若い女性が現れる。
「落ち着け、スクルド」
「キレるよ、マジに。屋上呼び出すよ?」
彼女がスクルドのパイロットらしい。
「今は無駄な事をしている余裕はない」
「だって、ソイツはボクの事を空に上がれるだけで何も出来ないって言ってるんでしょ?」
「客観的事実を言っているだけです。無駄に死ぬこともないでしょう」
「死なないっての!」
そう、この改装プランはスクルドの取り柄である高機動力と強襲力を完全に殺してしまう計画だ。
「言ったが、お前の狙撃下手も一因なんだぞ?」
「ええー、チマチマ撃つのがまどろっこしいんだもん! 近寄ってぶっ放した方が早いじゃん!」
子供の言い分か、と鴉鉄は思う。
「戦場にそんな感情を持ち込むなんて、死にに行くような物です」
「ボクは一度も死んでないの!」
クラップヤード駐屯地のWZ部隊は全員戦闘経験のあるデッドマンで構成されていた。それを過去形にしたのが『ノルン』である。その中でもスクルドはただの生身の人間だ。
「こんな様子では信じられないだろうが、事実としてスクルドは強い」
「本当にそうなんですか?」
今の所聞き分けの無い子供にしか見えないだろうが。
「私とジークフリードに接近戦で土を付けられるのはスクルドだけだ」
「ブイ!」
スクルドは勝ち誇ってブイサイン。本当に子供かお前は。
「それがどのくらい凄いのか分からないのですが」
「ミーミルは予知能力がある事は知ってるな。コイツに懐に飛び込まれると絶対に勝てない。一億回の試算データの結果だ」
「1億回もやったんですか?」
「予知の上ではな。実際に現実でもそうなっている」
「ジークフリードの方は?」
「今回はアサインされていないが、ジークフリードはニューロデバイス接続者だ。自分の体の延長としてWZを操れる。一対一の戦闘ならまず負けない」
「その数少ない例外がボクってこと!」
「そこまで言うなら一度試してみたくはありますけどね」
「その時間は無いが、予知の結果なら五分五分と言った所か」
「普通に負ける目はあるんですね」
「当然だろう。懐に飛び込めば勝つが、懐に飛び込めなければ勝てない」
「総長からは『貴様は遠距離射撃訓練を6割増やせ。半年後には殴り合い以外も出来るようになる』って言われてるけど!」
総長のお言葉には誠意をもって声真似もする。
「それじゃ、マッハ5の相手に勝てないのでは」
「勝ててしまうんだなこれが」
「マッハ5で寄って来るんでしょ? とんぼ取りみたいなもんよ」
「コイツの近接戦闘における反応速度は異常だ。本当にただの人間なのか疑わしい」
「そこまで言うなら、話は分かりました」
仕方なく鴉鉄は折れた。このまま言い合っていても埒が明かない。
「無駄に死ぬのもお好きにどうぞ」
「死なないってーの!」
🔵🔴🔴 苦戦
スミカ・スカーフ(アドリブ・連携歓迎)
【心情】
高高度、10km以上の上空から強襲ですか。マッハ5だと1.7km/sec。いっそのこと基地を防衛設備にて半要塞化します。さ、工兵かつメカニックの本領発揮です、やりますよ。誰か資材を集めてくれる働き屋はいますかね?
【行動】
√能力にて、味方のレーダーに対応した複数の自動レーザー砲台、炸裂弾砲台を作成。ヴェルザンディや他の方に協力してもらって駐留地を半径2kmくらいで囲むように設置。
味方用のWZで使える大型超長距離レーザー狙撃銃を10丁ほど整備。扱いは難しいでしょうが使えますよね?自分は魔力で稼働する遠距離砲台を作ります。手持ちのバッテリーで対応しましょう。
●工兵の戦場は戦う前にある
「高高度、10km以上の上空から強襲ですか」
スミカ・スカーフ(FNSCARの|少女人形《レプリノイド》・h00964)は事前に聞いた敵の情報を整理する。
「マッハ5だと1.7km/sec。スクルドさん、本当にこのスピードに対応出来るんですか?」
「よゆーよゆー。この間なんて飛んできた弾道ミサイルの弾頭だけをスパっと切り離したりしてたし」
どこの白い悪魔だ。”緑の幽霊”は物理的に無理って言ってたんだぞそれ。
「流石にもう一回やれって言われて出来る事じゃなさそうだったけどな」
「たとえ偶然でも一回出来ただけで凄いですよ、それ」
頼もしい味方が居るのは何よりである。何せ、今回の作戦は√能力者だけでは手が足りず、クラップヤードだけでは能力が足りない。相互の連携が肝心であり、さらに√能力者同士の連携も重要だ。
「それで、襲撃までの時間の猶予はどの位あるんですか?」
「ミーミルは20時間を保証してる。その先は分からん」
「20時間は確実なんですね?」
「ああ、ミーミルの予知は24時間以内ならほぼ確実に分かる。それより先ってなるとだんだん精度が落ちて来る。でも、今回みたいな大事は一週間くらい前には分かるんだ」
「それ、本当に機械で出してる計算なんですか?」
「『未来に何が起きるのかなんて、計算すればわかる』ってさ。その計算の為には超スーパーすんげぇ計算機と観測手が必要なんだけどな」
「それが両方揃っている時点でこの拠点は恵まれている方ですね」
「その分狙われるし、今回みたいな厄介なのに目を付けられたりもするけどなぁ」
「では、そろそろ仕事を始めましょう」
クラフト・アンド・デストロイは構造を熟知した物を大幅に時間短縮して組み立てる√能力だ。だが、それでも20時間で半要塞化は無理がある。無理があるなら使える手を増やせばいい。
そうだね、|少女分隊《レプリノイド・スクワッド》だね。これにより12人のスミカが増える事になる。反応速度が半減するのは戦闘外ならさほど問題にならない。どちらかというと、レベルが半分になるのでクラフト・アンド・デストロイで物を作るのに必要な時間が本体の倍必要になってしまうが、それでも16.5分の1なので十分早い。
必要な資材は既に準備されている。スミカが来る事が確定した時点で、ミーミルには必要な物が分かる。基本的にジャンク品なので行儀良くはならないが、最低限の性能は保証出来るだろう。
クラップヤード駐屯地の半径2kmを囲むように自動レーザータレットと、自動対空炸裂タレットを建設していくバックアップスミカたち。
今回は地上の敵に備える必要が無いので壁も塹壕も作らなくていい分作業が進む。そもそも、クラップヤードの周囲には訓練と迎撃を兼ね備えたキルゾーンがあるので元々不要だが。
「こう、タワーオブディフェンスめいてますね」
キルゾーンに誘導された道を無数の敵がゆっくり進軍して来たらそれっぽい光景になりそうだ。空から来る敵なのでそうならないが。
「とりあえず一挺です。試してみてください」
『はいはい』
本体のスミカが作った大型超長距離レーザー狙撃銃を機体に乗ったヴェルザンディが構える。
「ほー、こいつはいいな。丸見えだ。倍率調整もスムーズでいいね」
「実戦で使う時はウルズとミーミルから送られてくる情報もUI表記されます。指示に従ってトリガーを引くだけです」
『射的ゲームかよ。どれどれ、連射性はどんなもんかなっと』
遠くに見える廃墟ビルに向けてまず一発。僅かな発射音と共に閃光が射出される。立て続けに二発三発と連射してみる。
『いいね、悪くない。反動もほとんどないし、結構連射も効くな』
「威力はあまり必要無いので、それ以外の性能を極端に高めておきました」
『当てさえすれば落とせるらしいからな』
はるか彼方で的にされたビルには直径10cmほどの穴が貫通した。威力を落としたと言ってもこの性能なら問題は無いだろう。
「これを後九挺用意します。使えますよね?」
『いやいや、アサインされてるのは5人だぜ? それに、やっぱりスクルドにコレを持たせる訳にはいかねぇ』
「どうしてですか?」
『スクルドには手持ち武器に供給するエネルギーパスが無いんだよ。だから、エネルギー武器はエネルギーセルとセットになってるやつしか使えない』
「だったらエネルギーパスを作ればいいのでは」
『ダメだ。スクルドは絶対にエネルギー武器を使わせちゃならない』
「実弾系で統一してるのは推力にエネルギーを全て回す為ですよね? 多少の機動力低下を招いても」
『そこじゃないんだ、問題は』
ヴェルザンディは強く言い切った。
『確かにスクルドの搭載してる試作ジェネレーターは高出力だ。でも、一定以上の出力を出すと止められなくなって暴走するんだ』
「……とんでもない欠陥品じゃないですか」
『全力を出し切らなきゃいいだけだ。推力として使うだけなら管理は楽だが、これを武装に回すとなるとどうなるか分かるよな』
「ええ、確実に暴走するでしょうね」
エネルギー武器を使うには瞬間的に高い出力が求められる。当然、高機動戦をするには推力としての出力を確保する必要があり、そこに武器で高い出力を瞬間的に使えばどうなるか。
「……機体変えた方がいいんじゃないですか。せめて、エンジンだけでも」
『やってはみたけど、どうしても足りない。今のアイツの絶好調ぶりはこのスクルドじゃないと駄目なんだよ』
「仕方ないですね。じゃあ、あと九挺はどうしましょうか?」
『どーすっかな……これ、両手に持って使えると思うか?』
「狙撃自体をFCS頼りにすれば、或いは」
『じゃあ、左手だけそうしてくれ。完全自動仕様と、手動使用の二種類……あ、スレイプニールのおっさんは両方自動仕様でいいな。てか、ミーミルもウルズもそれでよくね? どうせ目で見て狙ってる暇は無いし』
「そうですね。FCSと連動した自動照準仕様を基本形にしましょう」
そういう訳で、ただ構えるだけで勝手に狙いを定めて撃つWZ用全自動狙撃銃が九挺完成した。『腕が勝手に動くのちょっと気持ち悪い』と言う問題はあったが、今作戦に置いて問題では無いと評価された。
そして、スミカ用に魔力稼働する対空砲台も建設された。準備は着々と進んでいる。
🔵🔵🔵 大成功
天羽・渚彩【他PCとの連携などはご自由に】
超高速機かー……慣性を無視しないなら、対策の方法はあるね。
高速って事は要は急旋回が難しい一撃離脱型って事だから、軌道予測は割と簡単。
空戦機動なんかしたら、Gで空中分解しちゃうし。
ミーミルの予知で敵の移動地点を予測して、そこにスレイプニールから対空散弾を撃ち込めばある程度は有効な対策になると思う。
両機のリンクを「機械構造知識」とかを使って構築するよ。
ミーミルは予知に集中、スレイプニールは射撃に集中する役割分担って感じだね。
防御手段としての煙幕は……適当に発煙弾を調達すれば良いから、流石にクラップヤードにスモークディスチャージャーの在庫が無いって事は考えにくいよね。
●整備は続くよどこまでも
「超高速機かー……慣性を無視しないなら、対策の方法はあるね」
|天羽《あもう》・|渚彩《なぎさ》(重機オペレーター・h07912)は用意されたジャンクをカチャカチャと繕いながら思案する。
「高速って事は要は急旋回が難しい一撃離脱型って事だから、軌道予測は割と簡単」
実に正しい認識だ。基本的に速度と言う物は上げれば上げるほど制御が難しくなる。
「空戦機動なんかしたら、Gで空中分解しちゃうし」
マッハ5を出すという事は、常にマッハ5の衝撃を受け続けるという事である。超音速戦闘機が大体同じような形をしているのは、あの形でなければマッハの衝撃を受け流せないからだ。速度を上げれば上げるほど細く鋭く頑丈な先端が必要になる。某光の巨人もマッハで飛んだりするが、たぶんなんかバリア的なの張ってるか、衝撃波が出ない技術があるんだろう。
まあ、こいつらの模倣元はマッハ5を維持したまま直角に曲がるとか、機首を180度回転して慣性飛行したまま後ろに撃つとかいう無茶をするんだが。アイツの場合はスーパーキャビテーションフィールドと言う音速の衝撃波を受け流すためだけの防御フィールドを張っているから出来る芸当なのである。
大分話が逸れてしまった。幸い、量産型にはこのフィールドは装備されていないので最大速度を出すにはほぼ真っすぐ飛ぶしかない。速度を落とせば空戦機動も出来るだろうが、戦闘機同士の|格闘戦《ドックファイト》以外で空戦機動を使ってもあまり意味は無い。ましてや√能力者相手では。
「ミーミルの予知で敵の移動地点を予測して、そこにスレイプニールから対空散弾を撃ち込めばある程度は有効な対策になると思う」
「その太いケーブルで俺とミーミルを繋ぐってか? 犬の散歩じゃねーんだぞ」
「いや、どうせ今回の作戦ではスクルド以外、横に動く必要が無い。悪くは無いが……繋ぐ相手は違うな」
「そうなの?」
「生の予知データを直接繋いだら発狂して死ぬからな」
「なんてシステム使ってるんだよ。と、いうかあなたはどうして平気なの?」
「慣れだな」
「慣れかぁ~……」
即発狂する程負荷のかかるシステムを慣れの一言で済ませないで欲しい。とは言え、他に説明のしようが無いのも事実だ。ミーミルに乗って発狂しない条件は『自分の死を100%完全に受け入れ、どんな死に方をしても感情的な動揺をしない事』だろう。
「それと、生の予知データは情報量が多過ぎて必要な情報が得られない事が多い」
「なんてシステム使ってるんだよ」
思わず渚彩が同じセリフで二回突っ込む無茶システム。それがミーミル。
「私は慣れているから必要な情報を選別して送れる。ただ、この選別を人力でやるにはどうしても限度がある」
「だから他の機体に繋いで選別を手伝わせるってこと?」
「そうだ。なら、繋ぐ機体は分かるな」
「もちろん、ウルズだよね」
「そうだ」
『えええええーーっ!? ちょっと、ミーミルの生データ解析とか聞いてないんですけど!?』
機体を使って作業をしていたウルズが叫んだ。
『絶対発狂する奴じゃないですか!』
「心配するな、演算力を借りるだけだ。元から全部目で見て選んでいる訳は無い」
一瞬で一万通りの死を見せ付けるシステムの情報を生身の人間一人で扱うのは無理があるというもの。ミーミル自身がフィルタリングソフトを作って、重要度の高い情報を引き出せるようにしている。
「いや、フィルタリングソフト用に演算力を借りるんだから一度生データを渡すのは確かだな」
『ええええぇぇぇーー……』
「覗くな、死ぬぞ」
『絶対に覗きません!』
「イカれた機体ばっかりだなぁ」
「で、どうすんだ俺のデータは」
流れにおいて行かれたスレイプニールが言った。
『少佐の勘で、じゃなくてウルズからちゃんと送ります』
「ウルズは本当にやる事が多いねぇ」
ウルズにはWZとしての機動性を殺してまで搭載した大型レドームを含む戦術支援システムがある。索敵、情報戦、補足、弾道計算、射撃タイミング、移動経路とWZに必要な情報全てを集めて配る事が出来る機体だ。
「じゃあ、データを双方向に送信できるケーブルが必要ですね」
「頼む。大量のデータをやり取りするなら物理接続に限るからな」
渚彩は|機械構造知識《キカイコウゾウチシキ》を使ってあっという間に必要なケーブルを編み上げる。戦闘中は殆ど動く必要が無いとは言え、簡単に断線するようでは話にならないので強度も十分だ。
「ウルズさん、繋ぐのでこっちに来てください」
「試しに予知の生データを流してみよう」
『ひぇぇぇーー……見ませんからね! 絶対に見ませんからそっちで全部やってくださいね!』
「そうすると言っている。早くしろ」
『はぁい……』
ホバー移動するほどの距離でも無いのでどすどす歩いて移動するウルズ。
「それにしても、ウルズって本当にどっちが本体だか良く分からない構造だよね」
ウルズは戦術支援システムが大き過ぎて背負っているというより、車両の前面にWZをくっ付けたような構造をしている。
「ほんと、変な機体ばっかりで飽きないなぁ。あ、そういえばスモークディスチャージャーの在庫が無いって事は無いよね?」
「ああ、たっぷりあるぞ。スレイプニールの標準装備だからな」
「よし、それじゃあ他の機体にも散布できる装備も作ろう」
渚彩は自身の作業重機を動かし、器用に次の装備を作っていく。
(((その重機もまあまあ変な奴なのでは?)))
三人は同時にそう思ったが、口には出さない事にした。
🔵🔵🔵 大成功
リズ・ダブルエックス自分が空戦型だからこそ厄介な対空射撃の事はわかります。
その経験で武装の対空性能を向上させます!
◆行動
【有り得たかもしれない未来】を使用して、『ヴェルザンディ』の大型超長距離レーザー狙撃銃に技術革新を与えます。
武器強化の方向性や注意点。
・味方のクラフト&デストロイを阻害しないようにします。C&D完了後、1つのレーザー狙撃銃に対して私の√能力を使用。
・継戦に耐える事を前提とします。
・命中精度の向上を重視します。敵の移動経路の予測性を向上させる事ができればベスト。無理なら射撃間隔の短縮。
また、それらとは別に避雷針系設備の増築を提言します。
すぐ焼け落ちるでしょうが、初撃を逸らせれば儲け物です。
●地に降り注ぐは雷光、天に駆け上るは閃光
「自分が空戦型だからこそ厄介な対空射撃のことはわかります」
リズ・ダブルエックス(ReFake・h00646)はレイン精霊と共鳴するベルセルクマシンの|少女人形《レプリノイド》だ。意思を持つレイン砲台の精霊を多数使役するリズは今回の作戦において非常に大きな働きが期待できる。
それは戦闘中の話だと思っていたのだが、戦闘前の時点から彼女の知識は役に立つらしい。
「それを貸してもらえますか?」
『はいよ』
ヴェルザンディはスミカが作ったばかりの手動超長距離レーザー狙撃銃をリズに渡す。
「既に大分完成度は高い感じですが」
「威力を犠牲にして連射性、命中精度、反動、信頼性を確保した形なので集団敵には十分なんですが、その後に控えるボス級相手だと火力不足ですね」
今回の作戦では第一陣として大量の模倣量産型神威が現れるのだが、その後にダウンサイジングを放棄することで原型機の性能を超えた試作零号機が現れる。まずは量産型を突破する必要はあるのだが、零号機への備えも必要だ。
「では、削ぎ落とした威力を復旧しつつ全体的に高水準化を目指しましょう」
狙撃銃が光り輝き、細かく形を変えながら再構成されていく。
「これは嘘。でも、今だけ機能する嘘です」
|有り得たかもしれない未来《イフ・ルート》によって38年分の技術革新を与えられたレーザー狙撃銃が出来上がった。
『おー、なんか凄そうだな……なあ、これをやった後にこっちを量産すればよかったんじゃないか?』
「いえ、量産できるのは構造を熟知している物ですから。なんでもコピー&ペーストで増やせる訳では無いんです」
『そっか、そんなに美味い話は無いよな』
「では、試してみてください」
リズはヴェルザンディに狙撃銃を渡す。
『なんか、軽いな……? 見た目も案外シンプルだし……って言うか、銃なのかこれ。|突撃槍《ランス》っぽい形してるけど』
「自然とそう言う形に収束しまして」
『まあ、試してみるか』
構えると上方からサイトが開き、WZのFCSと接続される。槍のような銃身が四方に展開してX字状のスリットが形成される。
『なんか、見た目凄い凝ってない?』
「自然と収束した結果です」
『性能を追い求めると見た目もスマートになるって奴かね。どれ、性能の方はどうかなっと』
遠くの廃ビルに向けて|銃爪《トリガー》を引く。正しくは、引こうとした。その瞬間に標的にした廃ビルに大穴が空いて崩れ落ちた。
『えっ、いや、|銃爪《トリガー》軽過ぎない? っていうか反動どころか震動すら無かったし、音もほとんどしないぞ……?』
「あくまで手動で使う狙撃銃という点を残したまま可能な限りに狙撃銃としての利便性を追求しまして」
『じゃあ、手動に拘らなかったら?』
「もちろん、コレです」
と、言って指を刺すのは自分のレイン砲台。
「自己判断で索敵し、捕捉し、射撃します」
『そもそも銃使うこと自体時代遅れってか』
「そうとも言い切れないとは思いますけどね」
某宇宙世紀作品でもある時期を境にビット兵器は衰退しているし。本体の防御力と機動力が上がった結果、ビット兵器の火力では足りなくなったとか。戦場にドローン兵器が出始めたら、既に衰退していた対空戦車が大活躍している、なんて話もある。
結局のところ最適解なんてものは時と場合によるのだろう。強過ぎた魔法が研究され、普及され、対策され切って一般攻撃魔法にされたという話もある。
「問題は無さそうですか?」
『見えてる範囲ではな。後は実戦でどんな不具合が出るか』
「こればっかりは実戦で使うことでしか分かりませんからね」
どれだけ慎重に対策を重ねに重ねても、いざ実戦と言う時に不具合が起こるのは現実でも創作でもよくある話だ。
「じゃあ、もう少し試射を続けてみてください。出せる不具合なら今の内に出してしまいましょう」
『了解っと……なんか、いい的は無いかな?』
「ジャンクで作ったドローンでも飛ばす?」
ひょいっと、渚彩が現れる。
「別な用途で作ってたんだけど、生産ラインはもう出来たからちょっとくらい撃ち落としても大丈夫よ」
『助かる。じゃあ、飛ばしてくれ』
「はーい」
その後、技術革新された狙撃銃は特に不具合も起きずにテストは終了した。あんまり撃ちすぎて手の内を晒すのも良くないので、試験運用としてはテスト時間を短めにしたが、問題は起きないだろう。
🔵🔵🔵 大成功
水垣・シズクこちらがクラップヤードの方々ですか、お話は435分隊の皆さんから伺っていました。
前二回の戦いは参戦できませんでしたが、今回は私も微力ながらお手伝いさせていただきますねー。
とりあえず神威さんの話だと、視認されなければ狙われないんですよね。
では、カーゴドローンの防御に使ってる認識阻害バリアを【機怪操術『不定造形』】で増やして配っていきましょう。
航空母艦用なんでWZくらいであれば覆えるはずですし、√WZの技術と√汎神の魔術の混ぜ物なのでそう簡単には見破れないはずです。
問題は壊れやすい事ですが、ここは数でカバーしましょうか。
人が居るところには最低2個以上配置できると良いですが、私の体力次第ですかねー。
●機々解体
「こちらがクラップヤードの方々ですか、お話は435分隊の皆さんから伺っていました」
水垣・シズク(機々怪々を解く・h00589)は様々な機器の雑多な音が鳴り響き続ける地上部の整備ハンガーへと入る。
「前二回の戦いは参戦できませんでしたが、今回は私も微力ながらお手伝いさせていただきますねー」
『次はこれをこっちにお願いします!』
『はいはい。人使いが荒いんだから、もう!』
スクルドが何やら荷物を掴んで外に飛び出していく。機動力の高さはこういう所でも活躍するらしい。
「あら、スミカさんにリズさん。何をしているんですか?」
「私は自動タレット作りです」
「私の方では避雷針を」
「避雷針。効果あるんですか?」
「無いよりはマシ、と言った所でしょうか。初撃を逸らせれば儲け物です」
まるで落雷その物のような電撃型誘導レーザー”雷撃”だが、実際には落雷では無い。|捕捉《ロックオン》した場所に向けて飛ぶロックオンレーザーだ。捕捉した対象を貫通して別な相手もまとめて貫くことが出来る。とは言え、電気としての性質を強く持つことに違いは無い。避雷針であれば一発受けてもそのまま地面に流すことが出来るだろう。その一発で焼き切れるが、無いよりはマシである。
「それと、チャフとフレアも撒く予定だよ」
「渚彩さんも居ましたか」
渚彩は作業重機でジャンクドローン生産ラインを整備している。大量にあるジャンクを自動的に選別して組み上げて飛ばす製造ラインだが、元がジャンクなのであちこち不具合が出る度に応急処置を重ねている。
「相手はロックオンレーザー。つまり、誘導ミサイルと仕組み的には同じだからECMの類は有効なんだ。まあ、ロックオン性能と連射性が高過ぎて一瞬で剥がされるからそれを撒くドローン自体もデコイに使うって訳」
「なるほどなるほど。そうであれば迷彩も効果がありますね?」
シズクはカーゴドローン:|神輿《シンヨ》を静かに走らせ、認識阻害バリアを解除した。
「熱光学迷彩よりも効果が高い認識阻害です。√ウォーゾーンの技術と√汎神解剖機関の魔術の混ぜ物なのでそう簡単には見破れないはずです」
認識阻害バリア:|注連《シメ》は普段|神輿《シンヨ》を守っている物だ。装置自体は小型だが、十分な効果範囲がある。
「これをこのようにして増やします」
|機怪操術《メクロマンシー》『|不定造形《アンフォームド》』によって装置が複製される。
「このように。いくらでも増やせますけど、壊れやすいのが難点ですね」
この複製物は使用時に13%で壊れる。更に、破損時は怪異の侵蝕によるダメージも受けるというおまけつき。
「これも無いよりはマシでしょう」
「それ、タレットの分も作れますか? 少しでも長生きすればそれだけ本陣への到達を遅らせることが出来るでしょう」
「出来ますよ」
タレットとは言え、センサーにマシンガンを括りつけたような簡易的な物では高高度まで届かない。しっかりと届かせる為に全体的に大きい自動対空砲塔になる。それでも敵の雷撃一発で破壊されることは目に見えている。
避雷針と認識迷彩。大量に散布される各種ECM。これらはその短い生存時間を多少延長することが出来るだろう。
「ミサイル絶対通さないエリアって感じになってますね」
「ここまでやっても多少生存時間伸びる程度なのヤバいよね」
ミサイルと違って弾数制限が無いロックオンレーザーを雨あられと降らせて来る敵だ。ECMを力業で焼き切って来る脅威は計り知れない。
「敵の最高速度を考えれば1秒稼ぐだけでも大違いです」
「その稼いだ時間で落とせばよい、と。言うは易しですね」
さて、この|機怪操術《メクロマンシー》『|不定造形《アンフォームド》』も無限に使える訳では無く、タレットの分までとなると元の想定より多いか。
人は本陣にのみ固まっていて、地上に出るのは√能力者以外はクラップヤードのウォーゾーンだけなので、むしろ少ないか?
(私の体力次第ですかねー)
作れる物を作れるだけ作っておこう。たとえ僅かな力であっても無いよりはマシなのだ。
🔵🔵🔵 大成功
クーベルメ・レーヴェ神威か…正しく神の脅威ね
模擬戦とはいえ、原型機の参号ちゃんと一度戦って負けたことがあるから分かるわ
あれは規格外よ
√能力は少女分隊とクラフト・アンド・デストロイ、技能はメカニックを活用していくわ
整備の手伝い、テスト、データ採り…やる事がいっぱいあるでしょ!
皆に協力するから、遠慮なくこき使って頂戴
敵が極端な性能をしていて、全機が同じタイプなら、対処して我々も特化していくべきね
各機の装備の選定にも協力するわ
届かない兵器、当たらない武器、防げない装甲なんて備えていても仕方ないもの
余分な装備を削ぎ落とす事も必要よ
何かアイデアがあって装備しているものは、信じて尊重するけどね
言われなくてもやってるみたいだけど、突き詰めていきましょう
久し振りに会うソンネn…スレイプニールの搭乗者にもご挨拶しておきましょうか
「対空散弾の連射が足りないのね?」
連装にして、連射性能自体も改良して…
あとは当たるように神様にお祈り…するのはやめておきましょうか
神は敵のほうだわ
信じるのは仲間とデータよ
それから、貴方の勘かしらね?
●経験者は語る
「神威か……正しく神の脅威ね」
|クーベルメ《Kuhblume》・|レーヴェ《Loewe》(余燼の魔女・h05998)も整備ハンガーを訪れる。
「模擬戦とはいえ、原型機の参号ちゃんと一度戦って負けたことがあるから分かるわ。あれは規格外よ」
「へぇ、どういう戦いだったんですか?」
シズクが興味を持って問いかける。
「空から16本の稲妻を落とされて、バリアで防ごうとしたけどギリ間に合わない所からスタート。レイン撃ってもバリアで弾かれてノーダメージだし、最後は超音速のバリア体当たり喰らって負けたわ」
「何やら優秀なバリアを使ってるんですね?」
スミカも会話に混ざる。
「ですが、確か量産機にはバリアは無いとか」
「そうらしいわ。レインは普通に有効だと思うけど、捉え切れるかが問題よね」
レインの効果範囲は|実力《レベル》にもよるが半径30~40m程度。1.7km/secの相手を範囲内に捉える事が出来るかどうか。
「これもミーミルに予知して貰えばいいんじゃないですか?」
「それもそうね。ミーミル、出来る?」
「出来た」
可能か不可能かの疑問形に対し、過去系で答える奴。それがミーミル。予知の上で実行し、可能だったという事だろう。
「そう、相変わらずね」
クーベルメは二度のクラップヤードの戦いの両方に参加していて、今回は全員顔見知りだ。
「じゃあ、私も整備手伝うわよ!」
|少女分隊《レプリノイド・スクワッド》を招集してクラフト・アンド・デストロイ。整備となるとやはりこの組み合わせだろう。
「整備の手伝い、テスト、データ採り……やる事がいっぱいあるでしょ! 皆に協力するから、遠慮なくこき使って頂戴」
半数を外の半要塞化に振り分けつつ、本体と残り半分はハンガー内での整備に振り分ける。一度共に戦っているから彼らがどう戦うかを知っているのは大きい。
「敵が極端な性能をしていて、全機が同じタイプなら、対処して我々も特化していくべきね」
「具体的に、どう対処するんですか?」
「相手は文字通りの規格外よ。こっちも規格外の装備で対処すべきじゃない?」
「……それは、何を作ってるんでしょうか?」
「|強襲用超大型推進器《ヴァンガード・オーバーブースト》よ」
何本ものロケットを無理矢理束にしてたアレを組み上げていくクーベルメ。
「これなら液体燃料を使ってるから本体ジェネレーターの負荷にならないわ」
「スクルド用ですね」
「残念ながらマッハ5は出ないけど、マッハ2までは行けるわ」
それ、相対速度マッハ7で戦闘しろと言ってるのだが、その点はスルーされた。
「それって、Gで中身が大変な事になりません?」
「へーきへーき。元々スクルドは前進する分には強靭な構造してるし」
「いえ、パイロットの方が」
「そのスクルドを十全に乗りこなしてるのよ? それこそ心配ないわ」
「認識阻害バリアはご入用ですか?」
シズクがひょいっと装置を差し出す。
「入用ね! 一直線に接近する間はどうしても無防備になるしね」
光学的なステルスでは無く、認識そのものに作用するそれならばVOBの発する轟音もかき消せるだろうか。そもそも相手も音より早く飛んでいるから音は何も聞こえてないだろうし、音を感知する能力が無いかもしれない。
「他にもかっ飛びたい人が居るなら用意するわよ! どの道予備で何個か作るつもりだったしね」
一番装備の多いスクルドの装備を選定する二人。
スクルド以外のメンバーは手持ちは狙撃銃装備になったので、あまり考慮する意味は無い。装甲を厚くして防御力を上げようと、薄くして機動力を上げようと、降り注ぎ続ける雷撃には無意味だ。強いて言えば避けられなくは無いので、薄くした方が多少生存時間は伸びる程度か。
そうなると、装備をよく考える必要があるのは、超音速で殴り合いをしようというスクルドだけになる。
「バズは要らないわね」
「うん、バズ要らない。ロケランも要らないから外そう」
「サーベルは?」
「それは微妙なライン」
「当てられるの、サーベル」
「意外とね」
「じゃあバンカーは?」
「どっちかって言うと盾として必要かも」
「なら普通の盾持てばいいんじゃない」
「そうなんだけど……バンカーは大型機相手なら当てられると思うんだよね」
「量産機の後も考えるとそうなるかしらね」
「お嬢様は色々準備があって大変だなぁ」
ヴェルザンディが会話に入る。
「ヴェルは狙撃銃だけ持ってればいいだけだから楽でいいよね」
「普段ならサブマシンガンくらい持ってくけど、今回に関しちゃ意味無いな」
「サブマシンガンかぁ、私が持って行ってもいいかも?」
「ダメよ。アサルトショットガンあれば十分でしょ。アレは結構重いし」
「うーん、じゃあこれは? チェーンマイン!」
「それも別な機会にしなさい! 重いしかさ張る! ……でも、鞭系の武器はいいかもね。使えるの?」
「剣ほど得意って訳でも無いけど、たまに使うよ」
「じゃあ、こっちのスクリューウェッブにしましょう」
「あ、それならシザーアンカーも付けない?」
「うーーーん……まあ、ギリ許す!」
「……なんか、別な機体になってないか?」
「「気のせい気のせい」」
この流れだとX字のブースターとか付けかねないな。
「なんつーか……遠足の準備する親子か」
「何言ってるのよ」
スクルドはきりっとキメ顔で言った。
「今回も十分『愉快な遠足』でしょ」
「……本当に遠足っぽくする必要は無いだろ」
「『持ち物の確認は遠足の基本』よねー」
「ねー」
「あ、総長」
「うわぁひぃ! ごめんなさい!」
「嘘だよ」
「そう言えば、エーリヴァーガル総長はどうしてるの?」
「総長はガレージ上部の改装をやってる。足場として使い易いようにな」
「作戦には参加しないの?」
「単純に相性悪いからな。メガビーム砲は届く事は届くが、アレは連発出来ないしなぁ。ミサイルも相手の方が早い。エーリヴァーガルはそもそも守りに特化した構成だけど、パルスフィールドは拠点の全域を覆うには全然足りないし、物理シールドは無意味と来た」
「ヨトゥンとジークフリードは?」
「ジークフリードは義体のオーバーホール中だ、悔しがってたぜ。ヨトゥンはイマイチ向いてないって事で温存だな」
「そう簡単に全員集合って訳には行かないのね」
「余程じゃなければなぁ」
「おっと、話が大分逸れちゃった。後は、クレイモアは……外せるような物じゃないわよねアレ」
「肩と一体化してるからねぇ」
「装甲は?」
「帯電仕様に換装して貼り付けてるよ」
「帯電仕様って、ゴム製にでもするの?」
「まさか。中に伝導体を通して空中に電気を捨てやすい構造にしてるんだよ。これなら機銃程度は弾ける」
「よし、それは残しておきましょう」
「あら、ソンネ……じゃなくてスレイプニールさん」
「おう、嬢ちゃん」
スクルドを心行くまで弄り倒した後はスレイプニールだ。
「対空散弾の連射が足りないのね?」
「へっ、普段は一発あれば十分だからな」
大口径長砲身の戦車砲はスレイプニールの魂とでも言うべき物だ。だが、戦闘機と戦う様には出来ていない。
「連装にして対空戦車風に改装しようと思うのだけれど」
「まあ、例によってその機材はもう準備してあるんだよな」
「ほんと、ミーミルさまさまよねぇ」
「だなぁ」
本来なら使えるジャンク漁りから始めなければいけない所を、事前に素材を用意してくれているのでありがたい。
「とりあえず今の砲身は外して……連装にするには給弾システム改装しないといけないわね」
「2×2で四砲身だな。連射力は単純計算で四倍って所か」
「その分精度はどうしても落ちるわね」
「なぁに、俺の勘で当てるさ」
対空砲弾は感度を高めに設定した近接信管で全周囲に金属片をまき散らす。とは言え、距離が距離なので簡単に当てられる訳では無い。
「それより、|弾詰《ジャム》らんようにしてくれよ」
「任せて」
四つの砲身に対して四つの給弾システムがあれば難しくは無い。しかし、給弾システムはそう簡単に増やせる物では無く、そこまでの大改装をする時間も無い。一つの給弾システムを四方向に分岐するように設計するしかないのだ。
「これでどうかしら?」
「システムエラーは出てないな。じゃあ、ちょっと外に行って試し撃ちするか。上に乗りな」
スレイプニールと共にガレージの外に出るクーベルメ。
「じゃ、給弾システムは私が見るから精度を確かめて」
「ほいほいっと」
スレイプニールは上体を上げて砲身を空に向け、砲撃を始めた。
高高度まで届かせる為には口径は落としても銃身を短くすることは出来ない。だから、砲弾の方にも細工をした。多段薬莢構造により、通常弾より初速を稼いで射程も伸ばす。しかし、その分排出しなければならない薬莢が増えて故障率は上がり、撃ち出される弾頭も小さくなる。
「どんな感じだ?」
「悪くは無さそうに見えるわね。そのまま全部撃ち切っちゃって」
「あいよ」
立て続けに響く轟音。使う火薬も増えている分、やはり銃身に負担をかける。それでも、用意された5000発の試作対空砲弾はその全てを出し切る事が出来た。
「よし、点検だ。砲身は俺が見る」
「私は給弾システムね」
まだ熱が残る砲身を二人がかりで点検していく。
「弾帯の分割供給はとりあえず大丈夫そう。そっちは?」
「こっちの方が問題だな。煤が多過ぎてジャムる寸前だ」
「多段薬莢が問題だったかしらね?」
「そりゃそうだろうが、こっちはレーザーなんてお上品な物使えねぇんだ。これで何とかするしかねぇ」
なお、誰かが『これも対空レーザーにしたら?』と提案したら二人から凄い顔で睨まれたらしい。
「あとは当たるように神様にお祈り……するのはやめておきましょうか。神は敵のほうだわ」
「違いねぇ。祈るな、手が塞がるってな」
「信じるのは仲間とデータよ。それから、貴方の勘かしらね?」
「俺の勘なんてのはちょっとした指先の角度程度のもんだがよ」
「0.01度の違いでも8000m先じゃ大外れよ。私も、弾丸の改良をギリギリまで頑張ってみるわ」
「俺も砲身を改良できないか試してみるわ」
スレイプニールに限らず、クラップヤードの隊員は自分の機体をある程度メンテナンスできる技術を備えている。もっとも、義体でそういった作業が出来ないジークフリードと担当の入れ替わりが激しいヨトゥンは例外だが。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第2章 集団戦 『量産型模倣機『神威』』
POW
拡散雷刀
【装甲の一部を展開し放熱。拡散レーザー 】属性の弾丸を射出する。着弾地点から半径レベルm内の敵には【貫通し、敵の攻撃を取り込んで上乗せ】による通常の2倍ダメージを与え、味方には【敵弾消去能力で防衛効果を与える】による戦闘力強化を与える。
【装甲の一部を展開し放熱。拡散レーザー 】属性の弾丸を射出する。着弾地点から半径レベルm内の敵には【貫通し、敵の攻撃を取り込んで上乗せ】による通常の2倍ダメージを与え、味方には【敵弾消去能力で防衛効果を与える】による戦闘力強化を与える。
SPD
神威執行
【常用殲滅光学機銃”雷弾” 】による牽制、【広域自動照準誘導電撃光線”雷撃”】による捕縛、【前方拡散型殲滅光線”拡散雷刀”】による強撃の連続攻撃を与える。
【常用殲滅光学機銃”雷弾” 】による牽制、【広域自動照準誘導電撃光線”雷撃”】による捕縛、【前方拡散型殲滅光線”拡散雷刀”】による強撃の連続攻撃を与える。
WIZ
雷撃
【広域自動照準誘導電撃光線”雷撃” 】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
【広域自動照準誘導電撃光線”雷撃” 】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
●そして、神威はその姿を現す
「なるほど、確かにスクルドの実力は目を見張る物があるようですね」
鴉鉄はシミュレーターから降りた。
「どこに行ったのかと思ったらシミュレーターやってたんですか?」
そこにスミカが話しかけた。
「ええ、最初はスクルドと手合わせを。確かに、ショットガンの射程内に入られると勝てませんでした」
「スクルドはそれに特化した機体でしたがそこまでですか」
「いえ、乗機はどちらもヴェルザンディの設定です。武装は違いましたが、同じ機体を使ってもその結果なので」
「それは腕の差という事になりますね」
「ええ、そうなんですが……あくまでショットガンの射程に入られたらの話ですね。終始アウトレンジをキープ出来れば負けませんでした。そもそもショットガンより射程の長い武器を使ってないので当然の結果ではありますが。最終的には五分五分と言った所でしょう」
「それじゃあ、ずっとシミュレーターを?」
「スクルドとの模擬戦は最初の方だけです。後は神威との戦いをシミュレーションしていました。なぜか詳細なデータがあったので」
なんでだろうなー。
「とにかく、地上への殺意が異常です。真下に行くとレインのような数のロックオンレーザーが飛んできて死にます」
「実戦では認識迷彩と、避雷針やタレットがあるのでもう少しは持つと思いますが」
「本当に少しの差でしょうね。とにかく、真下に行くのは避けてください」
「その前提で拠点の屋上を陣取って狙撃で対抗する作戦になっています」
「それなら、敵が真上に到達するまでは大丈夫ですね。後は、逆に同高度で少し戦ってみたのですが意外と落とされません。それに、上方に対しては特に攻撃手段が無いようです」
「高高度に居る相手を更に上からですか。何か手段が無いと難しいですね」
「そちらの首尾はどうですか?」
「予定した自動レーザー砲台、自動対空炸裂弾砲台を設置。それらを少しでも長生きさせるための認識阻害、ECM、避雷針も設置しました。出来る事はやった、という形ですね」
「後は実戦がどうなるかですか」
『有線接続経路確認。ウルズ、そちらは?』
『はい、繋がっている事だけ確認しました!』
『それでいい。じゃあ、ここから先は覗くなよ』
渚彩の作った有線ケーブルでミーミルとウルズが接続されている。
「外部からも確認したよ。多少動いたくらいでは断線したりしないけど、気を付けてね」
『分かっているさ。ここから先、動かすのは脳と腕だけでいい』
「後はとにかくたくさん用意したスモークディスチャージャー。真上まで来られても短時間ならこれでしのげるはずだね」
『準備は出来ているようですね』
機体に乗った鴉鉄がエレベーターで上がって来る。スミカも一緒だ。
「皆さん、渡した狙撃銃は大丈夫ですか?」
『ああ、こっちはばっちりだ』
ヴェルザンディは結局リズが改造した一挺だけを装備した。左腕が勝手に動くのはやはり、咄嗟に困ることになるかもしれないからだ。
『FCS、ミーミルシステムとのリンケージ確立。自動射撃モード起動』
『いいぞ、ウルズの演算力でいつもより良く見える』
ウルズとミーミルは予定通り自動狙撃銃を二挺持ち。
「認識阻害バリアも問題無く動いているみたいですねー」
「シズク、大丈夫?」
「ええ、ちゃんと仮眠は取りましたから」
「とりあえずできる事はやったわ!」
『そうだな。改良した砲身と弾丸はぶっつけ本番になっちまったな』
「改良した物を沢山作らないといけなかったからね。でも、1000発はテストしたからきっと大丈夫」
そして、機体後部に沢山のブースターを束ねた物を装備したスクルド。
「|強襲用超大型推進器《ヴァンガード・オーバーブースト》も準備万端よ」
「いざ、マッハ2の世界!」
「お前はもうちょっと緊張とかしろ」
「所でリズも空戦で行くのよね? 使う?」
「それはちょっと考えさせてください」
予備の|強襲用超大型推進器《ヴァンガード・オーバーブースト》も三つある。使おうと思えば使える。
『各機、敵の襲撃時刻が確定した。これより予知情報を送信する』
ミーミルの予知が敵を捉えた。
「よし、作戦開始よ!」
私達は出現前に霧夜の殺人/気配遮断/情報抹消で常時正体を隠す
先制攻撃高速詠唱
【霧夜死都】展開
心象風景、濃霧と夜闇に包まれた倫敦の街を具現
敵を結界内に封じ込め逃亡阻止
倫敦の霧と闇と建物内に隠れ地形の利用
仮に正体や√能力や位置等、情報が露呈しても全情報抹消
濃霧の水滴・粒子が敵の光線を吸収・拡散乱・威力減衰
殺戮刃物を握り締め√能力の呪詛を飛ばし生体部品を解体して呪い殺す
不意打ち部位破壊暗殺
幾ら高くて遠くて速くても、呪いは物理法則を無視して対象を直接害す
私達は|職業暗殺者×怪異解剖士《ジャック・ザ・リッパー》
人体以外にもあらゆる怪異の「構造を熟知している」から加工された程度は問題無い
外科手術で損傷治療
●お前はアウトなのかセーフなのか大いに熟慮した結果こうなった
「なんだ?」
「まだスモークを焚いてもいないのに霧が出て来た……?」
不意に、戦場が霧で霞む。とはいえ、元から目視できる相手では無く、ウルズのレーダーとミーミルの予知頼みだ。戦闘に支障はない。
だからこそ、この結果は戦場の誰もが観測できなかった。観測不能なのだ。
高高度を巡航飛行する量産型模倣機『神威』。マッハ5はあくまでも戦闘速度であって、量産機のスペックではマッハ5で飛び続ける事は出来ない。
何と言ってもCPUの性能が原型機とは大きく違う。原型機は全人類の中で0.0002%しか居ない神通力を持つ者の脳を核として、複数の脳を融合して作り上げられる『脳融合理論』により作られた制御チップ。明らかに通常の科学ではあり得ないそれは、もはや呪物と呼んでもいい。増強された神通力が膨大な動力を生み、物理法則を無視した機動を実現させている。
一方、この模倣量産機は何らかの特殊な技術が使われている事までは理解できても、何を核にして作っているかまでは分からない。よって、ただの人間の脳を制御チップに加工する事で代用している。生前の記憶は何も残っていないただの部品に加工され、命令通りに動く。何より、至上の命題である『|完全機械《インテグラル・アニムス》』を目指す上で一つの回答と言えた。この間の戦争で『|完全機械《インテグラル・アニムス》』のデータを喪失した事もこの模倣機を正解から遠ざけた。
参号曰く”パクりの出来損ない”と言われても仕方のない仕上がりである。とはいえ、原型機の仕様は明らかに量産不可能な代物であり、ある程度のスペックを再現出来ている。これを雑魚と呼べるのはそれ以上の空戦能力を持つか、超長距離狙撃を可能にするか、それ以外の通常想像も出来ないような手段によって叩くかの三通りと言った所か。
|ジャック・ザ・リッパー《Jack the Ripper》(霧夜に現れた無垢なる殺人鬼 切り裂きジャック・h02647)は典型的な三番目である。言うなれば、存在自体が解体不能の怪異で、対処不能な現象だ。
高高度、即ち雲の上を飛んでいる筈の模倣型神威が雲に包まれる。異変を察知し、高度を上げようにも既に限界高度。この高度に雲が現れる事自体あり得ない。
それは、雲ではなく霧であると誰が気付けるだろうか。
地上では広範囲に死都倫敦の街並みが形成されているのだが、高高度に居る神威には意味が無い。当然、建物の影に隠れたりも出来ない。
元よりそんな必要は無い。殺人鬼はただ、霧を影にして殺せばいいだけなのだから。
何かが機体の上に乗った。そう、感知した瞬間に機体は制御を失う。|喪失《ロスト》。それでも他機体の対応は早かった方だろう。巡航速度から即座に戦闘速度に切り換えた。上から襲われた、そう判断したのだろう。マッハ5で飛ぶ機体周囲にはマッハ5の風圧がかかり続ける。飛ぶ機体その物にも負荷をかけ続けるが、この空気の壁は軽い攻撃なら弾ける。ましてや、上に乗ることなど不可能。
そんなことは関係ない。
上に乗るという時点で誤解だ。そんな必要は無い。ただの結果として、殺戮刃物によって脳最適化チップを抉り出される。装甲も、風の壁も、霞の如く切り裂いて抉り取る。
彼女たちは|職業暗殺者×怪異解剖士《ジャック・ザ・リッパー》。一度霧に包まれたらもう誰も逃げられない。
しかし、今回は戦闘自体が数秒で片付くほど展開が早い。一撃で仕留める対処不能の攻撃ではあるが、単純に手数が足りない。十機も落とされた時には既に本来想定された作戦距離。しかし、全てを隠す死都倫敦の霧は確実に味方への被害を減らす援護にもなっている。
通り魔の戦果としては十分と言えるのではないだろうか。
🔵🔵🔵 大成功
天羽・渚彩※連携、アドリブご自由に
メインの迎撃手段として敵機の予測された進行方向にUAVの「UA-X【AMA-T】」を展開し、敵機が射程範囲に入り次第、攻撃を行うよ。高速だとすぐに範囲を通過しちゃうからタイミングが大事だけどね。
先手は「SS/SAM【AMENO-H】」を「誘導弾」で誘導しての対空攻撃になるかな?
対空攻撃だから信管は近接信管を使わないとね。
短距離地対空ミサイルでも射程10kmくらいはあるからね。低空侵入だと地平線(約4km)まだけど高空に居るなら超長距離でもいけるし。
接近されたら煙幕焚きながら実弾と違って直進性の高い荷電粒子機関砲の「BMG-21L/R【SAIKA-S】で弾幕展開かな
スミカ・スカーフ(連携・アドリブ歓迎)
【心情】
思っていた以上に設備が充実しましたね。あとは、直上に入られないように迎撃するだけですね。こういう時、ミーミルのありがたみを実感します。前線にいる味方が戦いやすいように敵を誘導、良ければ自壊してもらいたいところですがさて。地上迎撃組として張り切っていきましょう。そういえば戦場指揮はスレイプニールがとってくれます…よね?
【行動】
1章で作った魔力砲台に、このアイテムにあるマナバッテリーを接続しまして、即席魔力ポンポン砲で戦闘に参加します。魔力弾の爆発タイミングはミーミルの予測を頼りにしましょうか。味方へのバフにもなるので、通信機で爆発予測を味方にも共有していきましょう。
●オープニングで出たのにここまで何故か出番が無かったあの人
『目標、射程内に到達する。各機迎撃準備を』
拠点屋上に陣取り、迎撃態勢を取る地上迎撃組。具体的には渚彩、鴉鉄、スミカ、シズクの四人の√能力者達とウェルザンディ、ウルズ、ミーミル、スレイプニール、そして……
『遠足はここからが本番だ! 気合を入れろ、役立たず共! 命知らず共!』
エーリヴァーガル。クラップヤード所属の五機のWZだ。
え、エーリヴァーガルは居なかったって? 今回の作戦にはエーリヴァーガル自体は現場戦力としてカウントされて無かっただけで、実は屋上で対空防衛陣地を作っていたのだ。
とはいえ、内容的にエーリヴァーガルが不向きであることは事実。この防衛陣地まで敵の攻撃が届いた時にパルスフィールドを張って、僅かに時間稼ぎが出来る程度だ。
『指揮権はエーリヴァーガル総長にあるという事ですね』
『他に誰が居るんだよ。お前らの中に出来る奴がいればソイツで良かったが』
『スレイプニール! 奴らが物欲しげによだれを垂らしているぞ。望みの物をくれてやれ!』
『アイアイ大将! 戦争を教えてやる』
四砲身の対空仕様に換装されたスレイプニールが開戦の咆哮を上げる。多段薬莢構造によりいつもより派手に響く轟音。だが、それに反して発射された弾頭は小さく軽い。威力を求めなかった結果、小型軽量化が進み弾速と有効射程距離を稼げた。近接信管はかなり遠めに設定され、敵の目前で|破片《フラグ》をばら撒くフラググレネード砲弾とでも呼ぶべき代物だ。
「流石に、これは派手過ぎて認識阻害効きませんね」
その代わりステルス性という物をまるっきり置き去りにしているので仕方が無い。スレイプニールは元からスモークディスチャージャーを標準装備しているのでいざと言う時はこっちが頼りになるだろう。
『各機、撃ち方用意! 花火が見えたら攻撃を始めろ!』
初手をスレイプニールにしたのは理由がある。スレイプニールの砲撃はレーザー狙撃銃と比べると当然弾速が遅い事が理由の一つだが、もう一つの理由の方が大切だ。打ち上げた対空散弾は敵機付近で全方位に破片をばら撒く範囲攻撃。お行儀よく編隊飛行をしている相手なら纏めて仕留められる。
事実、そうなった。相手は編隊を崩して散開する。散開するという事は拠点に向かって直行しなくなるという事だ。これで到達までの時間をそれなりに稼げる。
『スミカ、弁当の時間だ』
『了解です』
弁当、即ちスミカ・スカーフ(FNSCARの|少女人形《レプリノイド》・h00964)が事前に敷設した自動レーザータレットと自動対空炸裂タレットの一斉起動である。更に死都倫敦の霧に加え、スモークディスチャージャーとチャフ、フレア、デコイが一気に起動。
これにより敵は相手が地上に広く分布していると誤認する。散開した機体がそのまま四方八方へと散り、まずは地上戦力の殲滅を図った。
『いいぞ、予知した通りの動きだ』
事前に作戦を知っているミーミルにはこの結果が一足先に見えている。タレット類は三分も持たずに全滅する事も。だが、それでも本陣に到達するまで|三分《3ターン》稼いだと見れば安くはない。
「ああ、やっぱり避雷針で一発は防げてますね。一発だけですけど」
周囲に恐るべき稲妻の嵐が吹き荒れる。まずは避雷針を焼き、次いでデコイを粉砕。フレアを串刺しにして衝撃で霧もスモークもチャフも吹き飛ばし強引に|捕捉《ロックオン》。自然の落雷その物と見紛うばかりの雷撃が何度も連続して落ち続ける。
「本当に、地上への殺意が異常ですね」
だが、スミカは動じず銃爪を引き続ける。
即席魔力ポンポン砲。元ネタは英国で開発された多連装対空機銃で、ポンポンと軽快な音と共に恐ろしい弾幕を展開する。スミカの|古代語魔法【接触拡散式純魔力弾】《セットマジック・ザ・カラサワ》は純魔力属性であり、スレイプニールの実体弾のよりも早く飛び多少の誘導も効く。その上、接近すれば過剰魔力反応による爆発を起こす範囲攻撃。純粋な魔力爆発である為に、一発の攻撃範囲はスレイプニールのフラググレネード砲弾には劣る物の、それ以外の部分では勝っている。
「狙う位置も爆破タイミングも全て予知通り。ただ、指示通りに銃爪を引くだけで敵が落ちていくのは楽でいいですね」
こちらの布陣も装備も状況も何一つ分からない模倣神威からすればたまったものじゃない。まあ、ただの生体部品はそんな感情を持たないのだが。
|天羽《あもう》・|渚彩《なぎさ》(重機オペレーター・h07912)の機体はウォーゾーンではなく二脚型作業重機である。|SH-20B【DAIDARA-B】《二脚重機「ダイダラボッチ」》は操縦席が剥き出しと言う防弾性を捨てた構造だ。搭乗者のみならず、操縦系のような被弾したくない部分まで防弾対策が無い。
その分、純粋な馬力はある。無限軌道ローラーダッシュを備えており案外機動性は悪くない。両腕にマウントされた|BMG-21R/L【SAIKA-S】《荷電粒子機関砲「サイカシュウ」》の弾幕展開能力は高く、マニピュレーターが自由なので更なる拡張性を持つ。トラックのようなヘッドランプにアンカーウインチと中々他では見ない装備を付けている辺りは民間機の由縁か。このアンカーウィンチ、自重を支えられるなら立体機動すら可能だし、他にも色々な応用が効きそうだ。
とは言え、今回に限っては出番は背中にマウントされた|SS/SAM【AMENO-H】《対地対空誘導弾「アメノハハヤ」》がメインだろう。当然だが、誘導ミサイルはレーザーよりも砲弾よりも遅い。何なら相手機体よりも遅い可能性がある。
「標的マルチロック、一斉射!」
それを出し惜しみもせずに全弾ぶっ放つ。敵一体につきミサイル一発。それは標的を延々と追い続けるが、やはり当たらない。
「うん、その位置だ」
ミサイルが当たるならそれでいい。しかし、ミーミルの予知があっても当たらない事が目に見えているミサイルを撃つ意味は別にある。ミサイルを自己誘導任せにせず、任意の位置まで飛ばしてからの誘導開始。ミーミルの予知によって何万回と試算した結果、最も効果的と判断された軌道でミサイルは飛ぶ。その結果として半径20m内を多数の敵機が通過する軌道を取らせる。
「今だね。【AMATERASU】展開、目標に掃射開始するよ」
認識阻害付きで上空に展開し、待機させたUAVのキルゾーンへの誘導。|UA-X【AMA-T】《無人航空型荷電粒子砲アマテラス》は掃射開始の指示を受け半径20m内をカバーするように多角的な掃射を始める。
元より一発当てれば落とせる模倣神威相手にレイン砲台の類が有用であることは明らかだった。問題はその効果範囲内に相手を収める方法だ。半径20mは決して狭い訳では無いが、1.7km/secで飛行する相手を捉えるには狭すぎる。
それならば、相手をその範囲内に誘導すればいい。その為の|SS/SAM【AMENO-H】《対地対空誘導弾「アメノハハヤ」》だ。獲物を追い込み、網に捉えて一網打尽にする。もし、これが隊列を整えたまま最大速度で突っ切られるのであれば半分も落とせなかっただろう。しかし、スレイプニールの対空散弾で隊列を乱し、スミカのタレットが相手を分断した時点で既にマッハ5は維持出来ない。覆う空気の壁も薄くなり、荷電粒子砲一発のダメージが深刻化する。
空に稲妻が奔る。それは、何かを狙った攻撃ではなく単に制御を失った電荷の爆発的放電。彼女たちの戦術が確かな成果を示した証であった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
機神・鴉鉄量産型「神威」の来襲に備え、事前に【√能力:マルチ・サイバー(略)】を使用してワイヤーをクラップヤード部隊および同戦闘に参加する地上部隊各員に接続し、長距離狙撃の命中率向上を図る。
併せてワイヤーによる相互通信が可能かを事前に確認し、ワイヤーが敵の攻撃で切断された場合に備えて基地の備品から小型無線通信機を借り受け、全員に配布。二重の通信手段を確保。
その他、ワイヤーの有効距離に留意して地上部隊の中心に配置できるよう移動する。
高高度から飛来する敵機の捕捉は、機体性能上『ミーミル』か『ウルズ』がまず感知すると想定し、各員には敵機の接近方向・距離・射撃のタイミングを逐次伝達するよう依頼。
また、水垣さんの【チョコラテ】発動タイミングを重要と判断し、クラップヤードの索敵担当に対して、水垣さんが能力を発動させる際に細やかな連絡が取れるよう依頼。
ワタシ自身の攻撃方法は、事前に複製した長距離レーザー狙撃銃(手動仕様)を二挺携行し、【技能:弾道計算+(適宜その他の技能)】を併用して敵機迎撃に当たる。
水垣・シズク『相手の攻撃が届かない位置から一方的な攻撃を続ける』なるほど金言ですね。
では、戦闘の素人である私も、教科書通りそれに倣うとしましょう。
敵は上方への備えが無いようですので、【瞳は宙にある】を起動、視界の原点を『宙』に置き、視野角内に可能な限り多くの敵機体を収めます。
狙うのは二つ、【その視線を畏れよ】による操作不能の誘発。
そして味方の撃ち漏らしに対する【瞳は宙にある】の概念焼却による撃墜です。
前者に関しては機神さんのマルチ・サイバー・リンケージ経由でタイミングを計ります。
機神さんもクラップヤードの方々もプロですし、私本人よりよっぽどうまく使ってくださるでしょう。
後者に関しては本当に予備ですね。
概念攻撃ですから着弾速度と照準精度に関しては自信がありますが。
威力面ではどうしてもじっくり灼く感じになっちゃいますし、なにより操作不能の付与でかなり体力を使っちゃってると思うので……。
●天から降りる光明、天を貫く閃光
『射撃開始ッ!』
既に相手は有効射程内。そもそもミサイルが到達する距離なら狙撃銃の方が先に到達する。だが、ミサイル到達まで待ったのは、相手から射程外へと逃れるという手段を奪うため。
即ち、ここで皆殺しにするためだ。最終防衛ラインであり、最も対応力の高いこの空域で。
『状況は全て予知通り。ならば、予知通りに行動すればいいだけです』
|機神《はたがみ》・|鴉鉄《あかね》(全身義体の独立傭兵ロストレイヴン・h04477)はマルチ・サイバー・リンケージ・システムで全地上部隊を接続。ミーミルとウルズが導き出した索敵情報を全ての味方に共有している。
『もっとも、予知が無くてもやる事は同じですが』
二挺の手動狙撃銃を空に向け、銃爪を引く。僅かな反動と共に撃ち出される閃光。それが敵を捉えているかどうかは分からない。目視出来ない以上、予知結果の更新で撃墜を確認するだけだ。それが間違えている、という可能性は捨て置く。そうであれば、既にこの作戦自体成立していないのだから。
だから、結果更新を待たずに次の標的を撃つ。二挺を最小限の動きと視界移動で次々と撃つ。やる事としてはそれだけだ。
マルチ・サイバー・リンケージ・システムの接続確認は、敵が来る前に当然として行う。敵を確認した後に再度、射撃開始と同時にもう一度。何も問題は無い。ほぼタイムロス無しでウルズの分析した敵の未来位置を全味方機が正確に掌握している。そのウルズとミーミルは情報解析に専念するために両手をウォーゾーンのFCSで動かして射撃する自動射撃式を採用。砲撃に専念するためにフリーになったスレイプニールの両手も自動狙撃銃だ。
自動狙撃に対して手動狙撃が優る点は何だろうか。最適化された動きで寸分のずれも無く正確に狙撃する自動狙撃に対して、自分の手で狙い撃つ手動狙撃の利点はどこにあるか。
その答えは、鴉鉄が示す。
普通に考えれば、或いはただ漫然と動いていれば気が付かなかった違和感。射撃地点を誘導される感覚。時間にして一秒にも満たないほんの僅かな違和感の意味を鴉鉄は即応する。
思考を拡張する。通常、人間には目が二つあっても見える絵は一つだ。実際には二つの目で立体的に一つの絵を仕上げている。だから、目が二つあるからって二か所を同時に見る事は脳の構造上不可能に近い。だから、思考を拡張した。脳の作用でそうなるのならば、その仕組みを再構築すれば一つの目で一つの絵を、即ち二つの目で二つの絵を処理する事は可能だ。
だから、鴉鉄はそうした。
元から精密動作だ。それを左右の手と左右の目で別々に行う事は二重人格を一人で演じる事に近い。下手をすればどちらかが、あるいはどちらも失敗するだけ。だが、それをする必要があった。
『気を付けてください、こちらの対応を解析されています!』
機械で自動的に動くという事は、その動きを機械で解析できるという事だ。機械的に正確な狙撃。正確であるからこそ読まれやすい。だが、機械に人間の勘は読めない。鴉鉄の戦場で鍛えた勘は読めない。
その意図は一言だけで共有された。再解析、再分析。ただ最小の動きで落とすのではなく、多少のランダム性を加え、そのパターンも変え続ける。正しく、マルチ・サイバー・リンケージ・システムによって全員が思考レベルで情報共有できていることの利点だ。
『任せろ、こっちでも引っ掻き回してやる!』
スレイプニールの咆哮が空を横に薙ぎ払う。こちらも戦場を勘で生きて来た人間、いや、|死人《デッドマン》の動きだ。無駄弾は撃たずに引っ掻き回す。
敵も動きを変える。陣地に向けて一直線に、一列で突っ込む。このレーザー狙撃銃は一発で相手を落とす性能を持っているが、威力をそこで打ち止めにした事によって相手を貫通する事は出来ない。だから、撃たれても先頭の残骸を盾にして進行すれば僅かな時間は稼げる。その僅かな時間で相手は防衛線を超える事が出来る。
ただ一機。数えるのも嫌になる程の数いる戦闘機が、一機だけでも防衛線を突破すれば、その一機だけで戦線は崩壊する。ワイヤーが絶たれても予備の無線接続器でリンクは作れるが、有線と比べれば速度も精度も足りない。ないよりマシ程度だ。
『なるほど、いい手だが』
ウェルザンディが嗤う。
『いい手過ぎてもう対策しちまってるぜ』
ただ一挺だけ技術進化された|騎兵槍《ルガーランス》めいた狙撃銃が閃光を放つ。並んだ敵機は一発で串刺しにされた。
『重なってるのはこっちに任せろ! ウルズ、情報送れ!』
『了解!』
(ノルンの二機はいい連携をしている)
鴉鉄は手も頭も止めずに思う。
(さて、空に上がったもう一機はどうしているか)
「『相手の攻撃が届かない位置から一方的な攻撃を続ける』なるほど金言ですね」
水垣・シズク(機々怪々を解く・h00589)は自らの|出番《ターン》を見極め、遥か上空まで飛ばした瞳と繋がる。あくまでも本体は地上に居るのでマルチ・サイバー・リンケージ・システムとの同期も問題無い。
「では、戦闘の素人である私も、教科書通りそれに倣うとしましょう」
戦場全体に立ち込める倫敦の霧は敵の視界を遮るが、味方の攻撃を遮らない。邪魔にならないように操っているようだ。戦場全体に敷設された自動砲台を焼き払うために模倣神威は本来の想定より低い高度を取らざるを得なかった。忌まわしい霧だ、もし感情があればそう考えた事だろう。
その霧が一瞬にして晴れる。動かすのも自在なら晴らすのも当然自在。上方からの視界が通った事によって、模倣神威は一斉に高度を上げようとする。
もちろん、そうするように仕組んだ罠だが。
「Gotha ia ah-Cuuchil」
高高度より一層上に控えていた金色の瞳が戦場全体を見渡す。|その視線を畏れよ《ミツメルモノヲオソレヨ》。√能力の効果は相手が機械だからと言って効果を発揮しないということは無い。見られた者は麻痺する。その理から逃れるには同じく√能力を駆使するしかない。模倣神威にそんな√能力は無いが。
麻痺、即ち各種動力系の異常。上空を超音速で飛んでいる戦闘機に起こるそれは致命的と言ってもいい。あらゆる駆動機関が一時的に動かなくなり、ただ慣性のままに飛び続ける。翼による揚力を得られていない形状は風に乗って飛ぶということが不可能であり、いずれ失速して墜落する。
とは言え、この麻痺は長時間持続できない。戦場全体を広く大きく見渡すとなればその消耗も相応に増加する。持っても五秒程度か。再使用までの時間も短くなるが、消耗した体力が回復する訳では無い。
おそらくはこの一度きり。
「一発あれば十分、でしょう?」
『違いねェッ!』
マルチ・サイバー・リンケージ・システムにより、こうなる事が分かっていた地上迎撃組の行動は早い。相手の回避を考慮する必要が無くなった以上、最小限の動きだけで次々と敵を落とすだけでいい。一発一発の味方の撃ち出す弾と重複しないようにウルズが各機のFCSを制御し一射一殺で叩き落とす。スレイプニールの対空散弾なら複数の相手をまとめて落とせるのでより効率的だ。
「……ここまでです」
消耗し過ぎない程度で止めたシズクが瞳を閉じる時には、もう一部方面の敵を除いて全ての敵が一掃されていた。戦術的に対処可能と判断された一部方面の敵は、この既に終局が見えた状況でもまだ突破を狙っていた。
それは決して不可能ではない。いまだに突破可能な数を保持している集団が残っている。意図的に残したのだが。
『十分な魔力散布はしておきました』
この時、即席魔力ポンポン砲は敵の撃墜よりも、味方へのアシストとして魔力を空中にばら撒いていた。
『後は任せますよ』
『任されましょう』
『任されたッ!』
二機のヴァンガード・オーバーブーストの光が、その集団へと突っ込んだ。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
リズ・ダブルエックスアドリブ・連携歓迎。
より高く、より速く。シンプルな強みが脅威となる敵ですね。
ならば私の対策もシンプルに行きましょう。
更に高く、更に速く!
・装備
予備の強襲用超大型推進器を1つ借り受けて装備します。
WZ用装備ですから、かなり強引な装備になってしまいますね。
これを付けて歩くのはだいぶ大変そうですが……飛んでいる分には何とかなるでしょう。
これと自前の装備、及び技能の空中移動を使って飛行します。
大型ブレードを備えたエネルギー砲のLXMと各種レイン砲台を装備。
今回は遠距離戦主体でしょうから、大型ブレードはおまけですね。
・戦闘方針
敵の上方を維持する方針で戦います。
常に【決戦気象兵器「レイン」・精霊術式ver2】を発動。
自分の周りの気温や気圧などの気象条件を私が活動可能なものに変えて、遥か高空でもごく普通に行動できるようにします。
更に【LXF精霊暴走モード】も使用して速度と手数を上げます。
序盤は敵機が基地に近づく前に、高速で上方から接近し可能な限りのレーザー射撃を叩き込んで数を減らす事を基本方針とします。
戦場が基地上空に移行した後は、基地真上を狙う敵を優先的に排除しつつ、スクルドにも気を配ります。
スクルドが危険な場面では【決戦気象兵器「レイン」・精霊術式】で援護。自由意志を持つレーザーによって誤射を防ぎます。
撃ち込むポイントはスクルドと敵の位置関係から先読みして、敵に移動経路を予測します。
●|超音速空中戦闘《スーパーソニックスカイデュエル》
時はけっこう遡る。具体的には総長の『遠足はここからが本番だ!』の辺りまで。
「VOB、最終接続テストよし! 出撃のタイミングを譲渡するわ。ユーハブ!」
『アイハブ!』
「アイハブ」
スクルドの機体後部に取り付けられた機体全長よりも長く大きいヴァンガード・オーバーブーストが唸りを上げ始める。
「ねえ、一応繋いだけど本当に大丈夫?」
「繋がってはいるので何とかなるでしょう」
それと同じ物を生身で背中に固定したリズ・ダブルエックス(ReFake・h00646)。
「より高く、より速く。シンプルな強みが脅威となる敵ですから。私の対策もシンプルに行きます。更に高く、更に速く!」
「コレ持ってきた私が言うのもアレだけど、イカれてるわね」
『あはは、さっすが命知らずだよねぇ~』
「あなたも! 元々無茶が出来ない機体なんだから気を付けてね!」
『大丈夫大丈夫、スクルドは前進している内は壊れないから』
つまり、前進を止めたら中身ごと空中分解待ったなしである。
「それに関しては私もフォローする手段がありますので」
リズの周囲に多数のレイン砲台が浮かび上がる。リズその物にVOBを接続している以上、それ以上の速度を出せないレイン砲台はここに置いてきぼりになる。
もちろん、√能力が無ければの話だが。
「行きますよ、|レイン兵器《みなさん》。想定スペックを超音速で突き抜ける私達の本当の実力を見せてあげましょう!」
レイン砲台同士が光の線を描き、リズを覆うように球状の多面体を成形する。
『よし、行こう! VOB|点火《イグニッション》! スクルド、吶喊するッ!』
「リズ・ダブルエックス。蹂躙を始めます」
二人の|女神《オーバーロード》が、空に向けて解き放たれた。
当然ながら、空中戦を選んでいる以上マルチ・サイバー・リンケージ・システムの恩恵を受ける事は出来ない。ウルズとの無線接続によりミーミルの未来予知による索敵情報共有は出来るが、射撃隊のように遅延無しの正確な情報は得られない。
双方が超音速領域で戦闘している以上、これは仕方が無い事だ。しかし、リズとスクルドは連携できる。レイン砲台が成形した球状の多面体の中では|決戦気象兵器「レイン」《レンシステム》・|精霊術式ver2《ルーラーコード》によってリズの味方をする気象条件に書き換えられているからだ。半径39m内は超音速でありながら音速の壁の影響を受けない。その恩恵はスクルドも得られるので、半径39m内に居れば割と自由に動ける。
「交戦開始です。突っ込みますよ!」
『了解ッ!』
スクルドを正面に陣取らせ、それ以外の方角をリズのレイン砲台と|LXM《LZXX Multi weapon》でカバーする布陣だ。基本的な|二人陣形《ツインドック》と言える。
空戦力、という言葉がある。これは言葉通りに空中戦においてどれほどの性能を持つかを示す言葉だ。基本的には速度と高度で求められる。マッハ5で飛び、高高度を維持する模倣神威は極めて高い空戦力を持っていると言える。
対するリズとスクルドのVOBはマッハ2、いや、|精霊術式ver2《ルーラーコード》の影響を考慮すればマッハ3まで到達するかもしれない。だが、それでもそこまでだ。既に高高度に位置し、こちらを上回る速度を持つ模倣神威に勝てる道理はない。
その道理を捻じ曲げてしまうのが√能力の恐ろしい所だ。
その動作が”可能”と判断されれば物理法則も何もあったものじゃない。
「加速しますよ!」
『おうよ!』
|LXF精霊暴走モード《フライトアーマー・エレメンタル・ベルセルク》。光翼を展開した|LXF《フライトアーマー》が蒼く輝き物理法則を突き抜ける。空力も大気圧も邪魔な物は全て一切が作用しない。移動速度は4倍のマッハ12。反応速度も4倍化する。
この挙動にはスミカの即席魔力ポンポン砲で空中に散布された魔力の影響もある。リズは飛びながらそれを回収し、二種の√能力の維持に努める。
そもそも、空戦力に高度が影響するのは航空機が最も速度を出せるのは高度を下げる時だからだ。高度を下げる時だけは本来持つ性能以上の速度が出せる。ただし、模倣神威は|そこ《マッハ5》が限界だ。それ以上の速度を出せば空中分解する。故に、下降時は減速しなければならない。これは空戦力を考える上で、高度が持つ意味が殆ど無くなることに等しい。
つまり、マッハ12のリズに対して模倣神威は圧倒的に空戦力で劣っている。これは、この時点でもう覆しようが無い事実。|精霊術式ver2《ルーラーコード》の範囲内ならスクルドも引っ張られるようにして同じ速度が出るので同様。
もう、この後の展開は超音速で定まる。
『叩き落とすッ!』
二挺の自動散弾銃が的確に先頭の模倣神威を捉えて爆散させる。リズのレイン砲台が続く敵機を射抜く。この二機にとって未来予知情報などもはや必要無い。縦横無尽に空を駆け巡って食い散らかすだけでいい。だが、リズはそれでも油断しなかった。敵の攻撃範囲は正面と下方。それ以外は死角であり、しっかりと死角からの突撃を行い続けた。スクルドはリズの周囲でしか動けないが、常に正面を陣取り先鋒を務め上げた。半径39mの球状フィールドの外はマッハ12の風圧が荒れ狂っている。もしもこの範囲外に何かが出たら一瞬でバラバラになるだろう。
リズ自身は常にその中心に居続けるため無用な心配だが、スクルドとレイン砲台は違う。特に外殻を担当するレイン砲台は細心の注意が必要であった。
『避けろッ!』
その一声と共にスクルドが右方へ回避行動を取る。その理由も意図も聞く間もなくリズは従い右方へ針路を逸らす。1秒に遥かに満たない時間の後に、二本の稲妻が通る筈だった道を突き抜けて行った。その先には機体底部を見せる模倣神威。
「なるほど。自分にとって下方であれば攻撃可能、と」
その機体は地面から見れば垂直に近い角度で上昇していた。重力に従わない対地攻撃は自分から見て下方向にいれば攻撃可能なのだ。既に鉄屑へと変えた後だが。
「助かりました!」
『先鋒だからね!』
それにしても、遥か彼方の目視不能だった位置からの攻撃の予兆なんてどうやって知り得たのだろうか。少なくともリズにはそれを感知できなかった。スクルドとしてはただ直感に従っただけらしいが。
お分かりいただけただろうか。射撃部隊が対処していたのはこの二人の撃ち漏らしの敵であって、敵部隊の三分の一はたった二人の|女神《オーバーロード》によって轢き殺された。
そして、霧に覆われた視界が拓け、金色の瞳孔が戦場を睨みつけた瞬間。二人は一度戦域を離脱した。再突撃への距離を稼ぐためだ。
地上の射撃部隊が遠方の敵を掃討していく。残された一方面に固まった最後の敵に向けてヴァンガード・オーバーブーストの最後の燃料で突撃。
「駄目押しの開眼ですよー!」
いまだ空にある金色の瞳孔から理を灼く視線が降り注ぐ。その範囲外に逃れた敵に、正面のスクルドが切り拓いた道を、リズは迷わず突撃する。
「これで」
敵陣中央で急減速し、音速の壁を消す。それに伴う負荷は|精霊術式ver2《ルーラーコード》で打ち消す。壁の内から解き放たれた多数のレイン砲台があらゆる方向に飛び敵を捕捉。
「終わりですッ!」
残った敵を一つも残さずレインの閃光が貫いた。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第3章 ボス戦 『試作模倣型『神威零号機』』
POW
雷刀
【装甲の一部を展開し放熱。貫通レーザー 】属性の弾丸を射出する。着弾地点から半径レベルm内の敵には【貫通し、敵の攻撃を取り込んで上乗せ】による通常の2倍ダメージを与え、味方には【敵弾消去能力で防衛効果を与える】による戦闘力強化を与える。
【装甲の一部を展開し放熱。貫通レーザー 】属性の弾丸を射出する。着弾地点から半径レベルm内の敵には【貫通し、敵の攻撃を取り込んで上乗せ】による通常の2倍ダメージを与え、味方には【敵弾消去能力で防衛効果を与える】による戦闘力強化を与える。
SPD
強襲半人型形態
【強襲半人型形態 】に変身する。自身の【速度を代償にバリア出力と近接格闘能力】が2倍になり、新武器【高出力レーザーブレード『超雷剣』】を入手する。
【強襲半人型形態 】に変身する。自身の【速度を代償にバリア出力と近接格闘能力】が2倍になり、新武器【高出力レーザーブレード『超雷剣』】を入手する。
WIZ
雷従
X基の【低出力雷刀を発射可能なビット 】を召喚し一斉発射する。命中率と機動力がX分の1になるが、対象1体にXの3倍ダメージを与える。
X基の【低出力雷刀を発射可能なビット 】を召喚し一斉発射する。命中率と機動力がX分の1になるが、対象1体にXの3倍ダメージを与える。
●そして、最期の絶望がその身を晒す
『確認した量産機はこれで全部だ』
『ふぅー、流石に疲れた』
『馬鹿者ッ! 遠足中に油断するな!』
『ひゃい!』
『この空域に急速接近する機体を確認ッ!』
『なんだ、こいつは……!?』
珍しく、ミーミルの声に戸惑いがある。
『ミーミル、報告は正確にしろ!』
『奴には、勝てん……!』
『か、解析した情報を送信しますッ!』
そのデータを受け取って解析したウルズが全員に送信する。
『はぁ? マッハ30以上!? あり得ないだろ、いくら何でも!』
『その速度で直上を陣取って、一撃で……!』
『落ち着けッ!』
鴉鉄が一喝した。
『今の奴にそこまでのスペックは無い。事前情報通りだ』
確かに、その速度は速い。量産機の倍、マッハ10は出ているようだ。到底30などという対処不能な数字ではない……まあ、10でも大分厳しいが。
『奴が光翼を展開するとスペックが3倍以上に跳ね上がる』
鴉鉄はシミュレーション内でこの零号機との仮想戦闘も行っていた。しかし、模倣量産機神威と違ってデータは予測値に過ぎなかった。
原型機にこの零号機との交戦記録が無いからだろう。それでも、予測値は大体当たっていた。
最大速度マッハ10。三種類の防御システム。雷弾、雷刀、雷撃の神威基本武装。それに加えて、|強襲半人型《ガウォーク》形態による高出力レーザーブレード。
対処不能な数字ではない。√能力者数人がかりならば。
だが、一言。最後に書き加えられたと思われる一文がある。
『もしも、相手が光翼を展開したらこの数値は最低でも3倍に跳ね上がる。今はまだ光翼を見せていない』
『本気を出してないって事か?』
『光翼展開には条件があるらしい』
『機体本体への一定以上の損害。本体にダメージを与えなければ光翼は展開できないそうです』
データ解析をウルズが引き継ぐ。
『あの機体にはゾディアック・コアという特殊な機関が搭載されています。これは通常は一定の動力を提供するだけですが、自身の危機を察知するとその出力が跳ね上がるようです』
『それじゃあ、ダメージを与えられないって事じゃないか』
『例外がある』
ミーミルが言い切った。
『一瞬だ。ダメージを検知する|一瞬《1ターン》で破壊すればいい。それで光翼起動前に落とせる』
『はっ、一発あれば十分てことかよ』
『いえ、その前に相手のシールドシステムを攻略する必要があります』
ウルズが全員に情報を送る。
『|Sc.E.S.S.《空間湾曲電磁シールドシステム》、これはありとあらゆる攻撃に対して空間を断絶する事で無力化する装置です。これが健在な限り相手にダメージは通りません』
『無敵状態って訳かよ。対処法は?』
『Sc.E.S.S.は稼働するとシステムに不可逆な消耗を与えます。戦闘中の再チャージは不可能です。なので、軽い攻撃でいいのでとにかくダメージを与え続けてください』
『一発でやれって言ったり、当て続けろって言ったり、忙しい奴だな』
『Sc.E.S.S.が臨界すれば一時的に全システムがダウンします。この瞬間に最大火力をぶつけて破壊すれば撃破可能です』
『ACSと同じ要領か』
『ですが、もう一つのシールドシステム|S.S.S.《ショットシールドシステム》があります。こちらは戦闘中にリチャージ可能で、ほとんどの射撃武器を無効化します』
『結局無敵なんじゃねーか!』
『いえ、こちらにも可動限界があります。一定時間以上稼働させると過負荷状態になり、再展開までに時間を要します』
『それなら、結局撃ち続ければいいのか?』
『基本的にはそうですが、S.S.S.は光学兵器を反射する性質があります。撃った方向に向けて反射する訳ではありませんが、レイン砲台などを使用すると大量に乱反射されて危険です』
『なら実弾兵器か?』
『実弾兵器も小口径では無効化されるようです。ただし、スレイプニールの砲撃のような大口径の砲弾やミサイルに対しては無効化しきれないようです。それと、格闘兵器は素通りします』
『マッハ10で動く相手に格闘兵器を当てろと?』
『出来ると思うけど?』
『お前だけだよ!』
『防御システムは三種類あったはずだ。最後の一つは?』
『|S.C.F.《スーパーキャビテーションフィールド》、これに関してはあまり気にする必要はないかもしれません。この巨体でこれだけの速度を出す為に展開する防風シールドで、敵の攻撃は全て素通りします』
『いや、待て。だとしたらそれを無効化すれば大きく速度が落ちるんじゃないのか?』
『ええ、そうですね。あれだけの巨体なので本来マッハなんて出る訳ありません。それを強引に飛ばしているのがこのシールドなので、何らかの手段で無力化すればかなり減速するはずです』
必要な情報は出揃った。君達はこの情報を踏まえて最後の絶望に立ち向かわなければならない。
それが出来なければ、この場の全員が雷刀の一撃で蒸発する。√能力者である君達は蘇生するだろうが、当然このクラップヤードは全滅だ。
ちなみに、|一瞬《1ターン》の定義だが、全員一回は行動できると解釈して良い。要するに、派手な攻撃でド派手に仕留めろという訳だな。
ぜひ、知恵を持ち寄ってこの最後の絶望を打ち砕いて欲しい。
うっかり書き忘れたが、S.S.S.使用中は自分も一切攻撃が出来ないという欠点がある。あえて光学兵器を当てることで敵の攻撃をキャンセルすることも出来るぞ。
真心・観千流Quectoと√Gazerを利用した平行世界観測による情報収集+学習力で敵の行動を先読みし視界に捕らえたら選択√能力の効果を発揮
今より数日前、即ち逆侵攻の直後
通信網破壊作戦の影響で混乱が起きている最中私は破壊工作+ハッキング方面に天体式羅紗魔術を起動
この隙に自分以外の派閥が完全機械に到達するのではないか、ゼの字を筆頭にそんな焦燥感を増幅させ戦闘機械群同士が足を引っ張るように誘導
修復中の通信網にはウィルスが溢れ、貴方の中にも潜伏する因果に繋がり、SCFと推進装置の停止という形を持って、回避行動を失敗させる!
これは攻撃ではなく数日前より定められていた運命!
足は止めました!後はお任せします!
●スーパー・キャビテーション・フィールド
敵の攻撃を一切防がず、ただ大気のみを弾くこのフィールドは√能力無しで超音速域に到達する為だけに作られた特殊装備だ。元々は神威参号機が『なんか、大気圏だと大気邪魔だな』と言う思い付きでSc.E.S.S.を応用して作り上げている。
つまり、元は参号機のオリジナル装備。それを戦闘機械群が使用しているということは何を意味しているのか。まあ、今回の件には関係のない話か。
スーパーキャビテーション現象とは、元々水中で液体に起きる物理現象であり、断じて空中で超音速域に到達するためにある物では無い。液体に出来る事が気体に出来ないはずがないと言えばそれはそうなのではあるが、それを非実体障壁で代用するのは何やら本末転倒的なものがある。
水中で使われるキャビテーションと同様だが、液体ではなく大気を切り裂いているため、このフィールド内はほぼ真空状態となる。なので空気を触媒として加速するジェットエンジンは動作せず、宇宙用のロケットエンジンが必要になる。
逆を言えば、本来大気圏内なら加速効率の良いジェットエンジンを使えずに、加速性能の悪いロケットエンジンしか使えないので、ゾディアック・コアから供給される高出力が無ければ無駄の大きい構造をしている。
そう、本来これは通常ウォーゾーン規格に大きさは収まっている神威用の装備であり、その大きさを逸脱している零号機にまで搭載したのは、それでも超音速域の戦闘を可能にする為だった。
だからこそ、このS.C.F.を無力化されると空戦力の大半を喪失するという脆弱性を産み出してしまっている。生憎と、自力で機体構成を組み替えられる制式神威と違いこの模倣型にはそれを改善する余地も、そもそもこの脆弱性に気付く思考力すらない。
|真心《まごころ》・|観千流《みちる》(最果てと希望を宿す者・h00289)の√能力、|レベル1兵装・羅紗星図《ミスティック・スターホイール》はこの脆弱性を見事に付いた一撃であった。量子通信ネットワーク、ナノ・クォークの操作やそれを利用した並行世界演算が可能な”Quecto Space”と、ナノ・クォークの観測装置であり、使いこなせばあらゆる可能性を観測可能な神の瞳ともなる”√Gazer”による平行世界観測と情報収集に、学習力を加算した未来予知めいた先読み能力。
襲撃の起こる数日前、ミーミルですら観測する前。『オーラム逆侵攻』という全ての戦闘機械群にとって致命的な損失が発生した事件が起きた。それはこの模倣神威群にとっても例外ではなく、それ故に攻めやすい位置にあったクラップヤードの襲撃が計画されたのだろう。
だが、その時点で既に観千流の計画は始まっていた。ハッキングによる破壊工作。統率官『ゼーロット』の焦燥すら計算に入れたそれは、見事に戦闘機械群の歯車を誰にも気付かれずに一つだけずらした。
言ってしまえば、ミーミルと言う高性能早期警戒機を擁するクラップヤードに標的を絞ったこと自体がこの工作の結果なのだ。クラップヤードの精鋭部隊を、しかも大半のメンバーが活動可能なタイミングで襲撃してしまったこと自体が、修復中の通信網に秘かに混ぜ合わされたウィルスによって誤情報を掴まされた結果なのだ。
ここまで来ると観千流がクラップヤードを襲わせた元凶とも言える結果ではあるが、それはこの模倣神威零号機を討ち取れる戦場に導いた結果だ。そうでなければどこかの拠点が対処不能の強襲で全滅していた事は間違いない。
或いは、そうなったら別の√能力者が対処していたのだろうが、事はすでに起こっている。
それに、観千流の打った手は襲撃先の誘導だけに留まらなかった。
戦闘機械群は別の派閥の戦闘機械群とも敵対している。模倣神威群は出遅れてはいた物の、既存のウォーゾーン規格外の空戦力を保持し、急成長する可能性のあった派閥だ。当然戦闘機械群による妨害は起きた。
それは観千流によって完璧に誘導された妨害であり、当然致命的な一撃となる。
そもそも超音速戦闘というものは極めて繊細な設計の元に行わなければならない。超音速の大気の層に押し潰されるからだ。それを物理現象すら捻じ曲げる√能力によって克服するなら別だが、一つの装備品だけで解決しようとすれば、√能力による妨害には全く敵わない。
√能力を打ち破れるのは、√能力しかない。√能力によって起きる結果を覆せるのもまた、√能力でしかありえない。それがどんなに遠い因果で、当日その場で観千流が特に何かをしていなくても。√能力によって起きると定められたことは起きるのだ。
即ち、S.C.F.のシステムダウン。零号機にマッハ10の大気圧が圧し掛かる。零号機は即座にSc.E.S.S.を稼働し、空間断絶によってこの風圧を無効化した。
だが、それは台風の中で傘を開いたようなもの。風圧によるダメージを受けはしなくても、大幅な減速は避けられない。通常の航空機では失速墜落するほどの急失速。大気圏内では効率の劣るロケットエンジンではマッハ1すら出せなくなる。
だが、S.C.F.を再起動させれば再び超音速域に戻れる。これだけで戦闘不能になるほど脆弱では無いのだ。
当然ながら、その致命的な隙を突く者が他に誰も居なければ、という前提付きの話だが。
🔵🔵🔵 大成功
スミカ・スカーフ(アドリブ・連携歓迎)
【心情】
最終局面ですね。以前神威さんと共闘したときも思いましたが、圧倒的な空中能力を思い出せます。先ほどの量産機を上回る圧倒的な速さに対して、地上から何が。タイミングを完璧に合わせるしかない…でしょう。こちらから当てるというよりは敵から吸い込まれるように。
【行動】
予備で置いておいたレールガンを一つ、魔力砲台の供給源に接続して魔力と電力でオーバーブーストします。一発だけ、とんでもない威力になりますが、撃ったら反動で私は吹き飛んでしまうでしょう。弾速はかなりのものになるので、スレイプニール達地上戦力の攻撃後に後追いで、ミーミルの予測で最も着弾確率の高いところに賭けます。
●空間湾曲電磁シールドシステム攻略作戦
「細工は流々、後は仕上げを御覧じろってね」
観千流は肉眼では目視できない距離で起きた事象であるにもかかわらず、成功を確信して言った。
「足は止めました! 後はお任せします!」
観千流の作った隙に猛然とリズが突撃し、|S.C.F.《スーパーキャビテーションフィールド》に干渉。電子スコープを使えば、再起動を妨害している様子が見て取れるだろう。
「最終局面ですね。以前神威さんと共闘したときも思いましたが、圧倒的な空中能力を思い出せます」
スミカ・スカーフ(FNSCARの少女人形レプリノイド・h00964)は拠点に自ら設置した砲台の射撃準備を進めている。
「先ほどの量産機を上回る圧倒的な速さは観千流さんとリズさんが無力化してくれているようですね」
現状では精々時速500km程度か。10mの巨体が持つ速さとしては十分ではあるが、今まで音速超えの相手をしていたので随分と遅く感じる。
「とは言っても、ポンポン砲の口径では|S.S.S.《ショットシールドシステム》を抜けない可能性が高いですね」
魔術系兵装は反射できるか出来ないかは曖昧だが、少なくともポンポン砲の名を冠する物を光学兵器扱いはしないだろう。しかし、実弾武器でもS.S.S.を抜ける威力が無ければ無効化はされてしまう。
S.S.S.を抜き、最終防壁である|Sc.E.S.S.《スペースカバードエレクトリックシールドシステム》に負荷を与える。過剰な威力を出してもSc.E.S.S.に無効化されるので、程よい威力の砲撃を当てる必要がある。
予備で置いておいたレールガンを一つ、魔力砲台の供給源に接続する。本来はこれに魔力と電力の過剰供給で一発限りの砲撃を叩き込む予定だが、現状ではそこまでの威力は必要ない。供給する動力を加減すれば何度かは使えるはずだ。
「程よい加減を探るとしましょう」
今のスピードならミーミルの予知も必要ない。回避運動すら取らずにこっちに突っ込んで来ているだけだ。S.C.F.を落とされた割には随分余裕な態度だが、単にそこまで思考が回らないだけかもしれない。
圧倒的な推力と防御力で押し切り、圧倒的な火力で蹂躙する。この零号機はそう言ったコンセプトが見える。
つまり、そうする事しか考えていない。
「舐められたものですね。勝手に油断してくれるのはありがたいことですが」
調整したレールガンを一発試射。弾頭が空気の壁を突き抜け、零号機に突き刺さる。零号機の周囲は蒼い球体に覆われていたが、それが白へと変わる。これはSc.E.S.S.を発動させた証だ。攻撃自体は無力化されるものの、システムに不可逆的な損傷を与える。
「この威力で有効という事ですね」
レールガンのリロードは時間がかかる。だが、威力を落とせばリロード時間は短縮できる。
『着弾結果の予測値を送る。参考にしてくれ』
「ああ、助かります」
ミーミルの予知があれば、実際に撃たなくても結果がわかる。弾速、弾頭、動力。どう調整すればS.S.S.を抜ける最低限の威力を確保できるのか。
「これでよし」
スミカは魔力流量を調節し、その必要最低値を割り出した。
「後はただ狙って撃つだけですね」
銃爪を引く。甲高い、空間を断絶させた音が響き、白の球体がまた一つ割れた。
「あと何枚残ってるんでしょうか」
相手の攻撃を確実に拒絶する防御システムは脅威のはずだが、その分何度でも使える訳では無い。シールドが尽きるのが先か、拠点到達が先か。
結論から言えば後者が正解だ。だがそれは、√能力者達によって誘い込まれた結果である。
🔵🔵🔵 大成功
天羽・渚彩【連携・アドリブご自由に】
速度10Maかー。手持ちでまともに当てられそうなのは荷電粒子機関砲くらいかな。
理論上は亜光速まで弾速を加速できるから【リミッター解除】して照準さえ出来れば当て続けて敵機の攻撃をキャンセルする事は不可能じゃないかな?
【掃射】で敵機の軌道を薙ぎ払う感じで「反射量」を加減しつつ、射撃だね。
ウルズの予測軌道上に予めミサイルを撃っておいて、敵機が範囲内に来たら【誘導弾】【範囲攻撃】【爆破】とかかな。置きミサイルってヤツだね。
最後の攻撃は予測軌道上に展開したUA-X【AMA-T】と荷電粒子機関砲、置きミサイルの一斉攻撃だね
実弾射撃武器も搭載すべきかな、でも弾薬量で継戦力微妙だし…
●まるで祝うように
『ごめん、やっぱりこのタイミングじゃ削り切れない』
『一度拠点上空を通過させます。弾幕支援を!』
『了解了解、私の出番だ』
|天羽《あもう》・|渚彩《なぎさ》(重機オペレーター・h07912)は空に|SH-20B【DAIDARA-B】《二脚重機「ダイダラボッチ」》の両腕を向ける。
「速度マッハ10だったらもっと厄介だったけど」
リズが常に張り付いてS.C.F.の再起動を妨害し続けている。常に死角に陣取り、ビットの攻撃を軽やかに避ける。リズが健在な限り、S.C.F.の再起動は無いだろう。
キュンッと、両腕部の荷電粒子機関砲がスピンアップする。理論上は亜光速まで弾速を加速できる|BMG-21L/R【SAIKA-S】《荷電粒子機関砲「サイカシュウ」》の有効射程ラインを零号機が通過。両手の|銃爪《トリガー》を引いて掃射を開始した。
想定通りに零号機はS.S.S.を展開。蒼い球状のシールドに弾かれた荷電粒子が花火のように弾ける。
『射角計算情報を送ります。この角度なら反射されても被害が出ません!』
『助かる!』
ウルズから送られたマーカーを狙って射撃を継続。零号機は反射した弾を撃ち返そうと角度を変えてくるが、それにも対応して明後日の方向に弾を弾かせ続ける。
だが、零号機は止まらない。
零号機にも雷撃は搭載されているが、模倣機のそれより多少威力がある程度なので単機の一発で拠点壊滅には至らない。それ故の、ミーミルが未来で見た直上からの雷刀。地下施設まで一気に貫通し、この場の全員が消し飛ぶ。
逆を言えば、直上さえ取らせなければいい。零号機はまっすぐに直上を狙って飛んでくる。
「圧倒的な攻撃力に防御力。そりゃ、調子に乗るのも分かるけど」
分かっているなら、対処は容易い。
「相手を舐め過ぎだよね」
「そうですね」
撃ち続けたレールガンを冷却し、次の一発に備えるスミカが同意した。
『はっ、戦場を教えてやる』
スレイプニールの砲身が天を指す。
「景気よく行こう。SAMフルファイア!」
|SS/SAM【AMENO-H】《対地対空誘導弾「アメノハハヤ」》が空に向かって打ち上げられる。それに続いてスレイプニールのAPFSDS弾、最後にスミカのレールガン。
その全てが直後に直上に至ろうとした零号機に命中。Sc.E.S.S.を盛大に弾けさせた。本来であればここで一度上昇して向きを変え、急降下と共に正面に拠点を捉えたかったのだろう。
だが、今そんな動きをすればどうなるかは見せた通りだ。Sc.E.S.S.は何でも防ぐ代わりに有限。直上を取る動きで受ける損耗が許容できない範囲だったのだろう。零号機はそのまま通過していった。
代わりとばかりに16発の雷撃と雷従8機を置いていくが、雷撃はエーリヴァーガルがパルスフィールドで防ぎ、雷従は渚彩の荷電粒子機関砲が撃ち落とした。
零号機は攻めあぐねていた。本来の想定ではこんな抵抗など許す筈も無い速度で直上を取り一瞬で終わる筈だった。速度を落とされても強引に突破すれば破壊できる筈だった。
対応が全て後手に回っている。零号機には油断も慢心も無い。そんな高度な判断能力は無い。ならば先に屋上の迎撃戦力だけでも雷刀で吹き飛ばすべきか、そう判断し機首を回頭していく。
🔵🔵🔵 大成功
機神・鴉鉄■ 戦闘準備
・獲得した🔴を使用してインビジブル化を実施する。
・予備の強襲用超大型推進器を1基借り受け、装備する。
・【√能力:暗黒の森の番犬+限界を超えた加速】を使用し、
神威を上回る機動力を確保する。
・クラップヤード上空で【限界を超えた加速】の能力上昇条件を
満たすための飛翔時間を稼ぎつつ、敵を迎え撃つ。
■ 戦闘
・戦法は敵機後方から仕掛けるドッグファイトを基本とする。
・敵機追跡時、友軍の攻撃に巻き込まれないよう注意する。
・攻撃は機銃、ミサイル、重質量砲、レールガン等の実弾兵器を
使用し、敵の防御システム「S.S.S.」の破壊を第一目標とする。
・「S.S.S.」展開中は敵機が攻撃できないため、絶えず攻撃を継続し、
敵からの反撃を抑えるよう心がける。
・「S.S.S.」破壊後も攻撃を継続し、次に防御システム「Sc.E.S.S.」の
破壊を第二目標とする。
・「Sc.E.S.S.」の破壊に成功した場合、敵機が再起動するまでの間に
最大速度で特攻。
その勢いのまま【慣性増幅打撃】で拳を振り抜く。
●超音速域空中戦闘
時は零号機との戦闘開始前まで遡る。何せ、今回の戦いは展開が早すぎるので零号機が拠点上空に至るまでには5分前後しか経っていない。
零号機の速度は元々マッハ10だったが、先行偵察として派遣した模倣量産機の全滅を確認してから出撃しているので、交戦までに多少の時間はあった。少なくとも、リズとスクルドが一度拠点に戻って|強襲用超大型推進器《ヴァンガード・オーバーブースト》を装備し直す程度の時間は。これは基本的には使い捨てなので、持ち帰って燃料補給して再使用する事を考慮されていない。
幸い、予備を3本用意してあったので問題は無い。リズとスクルドの再装備分と、|機神《はたがみ》・|鴉鉄《あかね》(全身義体の独立傭兵ロストレイヴン・h04477)が装着して使う分。計三本の予備が丁度足りた。
『システム接続確認。問題無い』
鴉鉄は|戦闘拡張機械化鎧《パワードスーツ》『|W.E.G.A.《ウェーガ》』と|強襲用超大型推進器《ヴァンガード・オーバーブースト》の接続を確認する。何せ、今回はそれに対応した√能力まで用意している。
『|主推進機関、出力最大《エンジン:マックスアウトプット》……|推力増強装置、点火《オーグメンター・イグニッション》……発進までのカウントダウン同期』
『間もなく交戦可能距離に入る。30カウント』
3.43km/sという暴力的数字の前では30秒前ですら遠い。これは観千流の仕込みが発動する30秒前を意味する。
既に三機の|強襲用超大型推進器《ヴァンガード・オーバーブースト》は始動済み。十分に引き絞られた矢のようなものだ。
この戦場は1秒が長すぎる。
ミーミルからウルズを経由して共有された戦闘開始時刻は全機共有済み。鴉鉄はその数字が26.3415秒を刻んだ瞬間にアクセルを踏み込んだ。
『|発進《リフトオフ》』
|限界を超えた加速《オーバーブースト》、それは飛翔時間に応じて機動力を上げる√能力。|強襲用超大型推進器《ヴァンガード・オーバーブースト》が最大速度のマッハ2に到達するまで5秒前後。飛翔時間としては足りない。だが、鴉鉄にはもう一つの√能力|暗黒の森の番犬《ケルベロス》がある。
『|重力慣性制御力場《G.I.C.フォース・フィールド》の展開を確認……出力安定……加速開始……』
重力慣性制御装置。つまりは、重力も慣性も制御し、物理法則も何もあったものじゃない最高の推進機関だ。元の速度であるマッハ2に対し、|限界を超えた加速《オーバーブースト》で3倍のマッハ6、|暗黒の森の番犬《ケルベロス》で更に3倍になりマッハ18。零号機の速度を二倍近く上回れる圧倒的な速度だ。
マッハ12で飛んでいるリズすら置き去りにして鴉鉄は単独先行する。それは、一度相手を追い越し、背後から強襲する為の助走。観千流の仕込みが失敗すればマッハ10を相手にドックファイトしなければならないが、それでも余裕の速度だ。
まあ、知っての通り観千流の仕込みは成功し、相手の速度は時速500km程度まで落ちる訳だが。こうなるともう止まった相手を撃つような物である。
本来、この速度で実弾兵器を使うにはそれ以上の速度で撃ち出す必要があり、事実上使用不能だ。しかし、零号機の|S.S.S.《ショットシールドシステム》は光学兵器に対して抜群の防御性能を発揮する。
だが、|暗黒の森の番犬《ケルベロス》は重力慣性を制御する。つまり、マッハ18の速度を本来の弾丸速度に上乗せする。それは√能力によって物理法則を超越して起こる現象であり、√能力しか防げない。|回転式多銃身機銃《ガトリングガン》の銃爪を引く。その弾速はマッハ20以上を叩き出し、本来なら無効化可能範囲内の銃弾も|S.S.S.《ショットシールドシステム》を貫ける衝撃力となる。
「ドッグファイトのつもりだったが、これではトンボ取りだな」
着弾と共に|S.S.S.《ショットシールドシステム》が弾け、|Sc.E.S.S.《空間湾曲電磁シールドシステム》が展開する。この速度、この威力でもSc.E.S.S.は貫通できない。
「このまま削り切ってやる。それは何秒持つ?」
後方から追い抜き、あえて正面から突っ込む。正面とは言っても相手の射角範囲外ギリギリで|電磁投射砲《レールガン》の一撃。元々|電磁投射砲《レールガン》は弾速こそが最大の武器となる物であり、マッハ18の上乗せによりその弾速はマッハ30も超える。流石にこの速度となると√能力の影響下でも大気との摩擦で有効射程は落ちるものの、近距離から叩き込めば結果は同じ。加えて、今度は後方ではなく正面からであり、相対速度が威力に加わる。
当然、S.S.S.で対応可能な数字ではない。Sc.E.S.S.に防がれはするものの、元よりシステム負荷が狙いだ。
「次はこっちだ」
後方から|連装誘導弾発射機《マルチミサイルランチャー》を発射。元からS.S.S.は爆発物を苦手としているが、この威力ではもう誤差のようなもの。時間差で発射し、常に負荷を与え続ける。
「確かに、そのシールドは抜けないようだな」
それでもSc.E.S.S.は耐える。空間を断絶しているのだ。どんな衝撃を与えられても、空間に繋がりが無ければ無意味。だが、それは自分からも攻撃が出来ないという意味でもある。
零号機は圧倒的な火力がある。ほんの一瞬でもS.S.S.とSc.E.S.S.を展開しない時間さえあれば、その一瞬の一撃で状況を覆せる。
だから、その一瞬を与えない。追い越して再び正面。十分な速度を弾速に乗せて|重質量砲《マスドライバー》を発射。元から質量を威力とする武器に、欠点である弾速が乗れば恐るべき威力となる。何ならもう、威力的には零号機の攻撃と大差が無いかもしれない。
こうなってしまえば、どうせ敵の攻撃を防げないS.S.S.の展開自体を止めるべきである。そうすれば、一瞬だけでも反撃のチャンスを作れただろう。
もっとも、それも他の√能力者が居なければの話だが。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
水垣・シズク行動速度、火力、三重の結界に加え、奥の手としての純粋なスペック強化。本当に困難極まりない相手ですね。
いくつか打てる手がないわけではないですが、味方の、特に√能力者でない方々の被害を減らすには……。
必要なのは、囮ですかね。
なら、仕方ないです。はぁ、イォドを核に、私を器として我が神、"見つめるもの"の一部を顕現させます。
できるだけ目立つ形……巨大な瞳と取り巻く無数の瞳の形で顕現させ、相手の進行ルートを遮るように配置します。
基本的な攻撃行動は"形を灼き尽くす視線"としましょう。避けにくく防御もしにくい概念攻撃を撃たれ続ければ流石に無視はできないはずです。
"理を縫い留める視線"に関してはSc.E.S.S.の臨界時にぶつけて再起動を遅らせられると良いですね。できればですけど。
方針は、決まりましたね。
あとは私が覚悟を決めるだけです。
じゃあ、お願いしますよイォド。皆さんの言うことを良く聞くように。
後……あんまり痛くないようにお願いしますね。
●深淵より覗く者
「行動速度、火力、三重の結界に加え、奥の手としての純粋なスペック強化。本当に困難極まりない相手ですね」
水垣・シズク(機々怪々を解く・h00589)は遠くで開戦の狼煙を上げ、幾度となく激しい衝撃波を受けながらもなお、時速500kmの速度を維持しつつ接近する物体を視る。
リズが|S.C.F.《スーパーキャビテーションフィールド》の再稼働を妨害しつつ、光学兵器による継続的な攻撃で|S.S.S.《ショットシールドシステム》の解除を許さずに圧をかけ続ける。鴉鉄は超音速による一撃離脱を繰り返し、スピカとスクルドが格闘戦を仕掛け、|Sc.E.S.S.《スペースカバードエレクトリックシールドシステム》への負荷をかけ続ける。
それでもS.S.S.を解除した様子はない。過負荷状態に持ち込むまでに、どれほどの時間が必要なんだろうか。恐らくは、その前に一度拠点上空に到達されるのは予測できる。
「いくつか打てる手がないわけではないですが、味方の、特に√能力者でない方々の被害を減らすには……」
置き土産の16発の雷撃と雷従8機は迅速に対応できたが、パルスフィールドは再使用に時間がかかる。それ以上に、敵の雷刀を防げる出力はない。
「必要なのは、囮ですかね」
零号機が回頭を始める。本来の速度なら一瞬で終わる挙動なのだろうが、S.C.F.ダウンの影響で回頭するだけでも時間がかかっている。かかると言っても、十数秒程度だが。
その機首がこちらを向けば、終わりだ。
「なら、仕方ないです。目覚め、集束し、顕現せよ」
空から54の眷属が現れる。まるで、いままでそこにずっといたかのように。それらは全てシズクの|技量《レベル》の半分の|技量《レベル》を持ち、互いが互いに融合。その|技量《レベル》、999。
「じゃあ、お願いしますよイォド。皆さんの言うことを良く聞くように」
それが、シズクに迫り。
「後……あんまり痛くないようにお願いしますね」
どぷん、と呑み込みシズク本人も融合した。|技量《レベル》は1036に到達する。
その怪物に無数のインビジブルが群がり、食い散らす。あまりに冒涜的な光景。だがこれで、下準備は整った。
空に黄金色の光が満ち、|邪神《Cu-Uchil》が顕現する。正確にはその一部が。空の巨大な瞳孔が戦場を見下ろす。
『……あれ、味方ってことでいいのか?』
『じゃなかったら、もう死んでるんじゃないですかね』
拠点のクラップヤード組があっけにとられ、エーリヴァーガルですら絶句する。圧倒的な暴力。それは神威零号機であっても比べるべくもない。
零号機はその進路を虚空の瞳孔に向けた。より高い脅威と判断したのだ。だが、その周囲を取り囲むように無数の瞳が開かれる。まるで、最初からそこにいたかのように。
放たれるのは形を灼き尽す視線。それは光学などとは程遠い呪詛、あるいは一種の祝福か。いずれにせよS.S.S.で反射できるようなものではない。
この隙にスピカとスクルドは一度距離を取る。鴉鉄の一撃離脱は継続。超音速の弾頭がつるべ打ちに叩き込まれ、視線が障壁を焼き焦がす。
そしてようやくと言うべきか、遂にと言うべきか。青の球体が砕け散り、S.S.S.を停止させることに成功した。
残るはSc.E.S.S.のみ。√能力者たちはまだ切り札を伏せつつ、終局に向けて残った手札を切る。
◆締め切りの関係で時系列が激しく前後してしまっているが、ご了承いただきたい。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
ラピス・ノースウィンドクラップヤードの皆さんとは以前肩を並べて戦いましたし、
事前の情報は察知してたのですが武装の準備が遅れましたです……。
でもなんとか間に合いました。
神威さんのパチモンとのことですが、全力で助太刀させていただきます!!
・事前準備
真心だんちょから譲り受けたなんにでも変化できる『ナノクォーク』を利用した世界の歪みの渦【聖櫃の賢明】。
隙が出来た際にねじ込む融合用と、射出移動用兼万が一射撃された際の反射用に計2つ追随召喚しておきます。
指向性を変える反射ですので貫通されづらい、とは思いますがお守り程度です。
あとは武装の展開です。
『――ラピスフェロウ、限定解除』
ナノクォークから粒子を取り出して装甲を纏っていきますです。
ベルセルクマシンのような装甲を纏った形態になり目から光が消えます。
(これ以降喋り方については真剣モード口調で)
全体の準備が整い、タイミング(真心さんの強制失敗による速度減衰)が訪れたらCode:神雷を発動し、【NQベクターシフト】を用いて自身を発射させ飛翔します。
万が一真心さんの停止がそこまで効果がない場合はベクタシーフトの多段射出でなんとか追い付きます。
進路を塞ぐようにエースさんと協力して水平ベクトルにて格闘戦をしかけます。
E.S.Sが切れるまでは格闘戦をしかけ、切れた瞬間を見計らい【聖櫃の賢明】の1つを融合指示。
行動力を削ればガス欠は遠くないはずです、粘らせてもらいます!
●一番槍
「クラップヤードの皆さんとは以前肩を並べて戦いましたし、事前の情報は察知してたのですが武装の準備が遅れましたです……」
ラピス・ノースウィンド(機竜の意思を継ぐ少女・h01171)がクラップヤードのゲートを潜った。既に模倣型神威の撃退後、零号機の接近前。
「でもなんとか間に合いました。神威さんのパチモンとのことですが、全力で助太刀させていただきます!!」
ラピスは屋上に向かって飛び出した。
『間もなく交戦可能距離に入る。30カウント』
零号機との接敵まであと30秒。
『遅刻で参上とは、随分余裕だな命知らず』
「ごめんなさい! でも、ここからは頑張ります!」
『構わん、お楽しみには間に合ったようだ。命知らずの命知らずな所を存分に発揮しろ!』
『ラピス! 来てくれてうれしいよ!』
|強襲用超大型推進器《ヴァンガード・オーバーブースト》を点火済みで、発進直前のスクルドが迎えた。
『今回の相手は空の大型だ。ボクたちが主役だよ!』
『確かに、アレに格闘当てられるのはお前ら位だろう……いや、お前らでも格闘攻撃当たるのかアレ』
『当たるよ』「当てますよ」
二人は、当たり前の事の様に言った。ヴェルザンディは天を仰いだ。
『じゃ、先に行ってるね!』
『私がS.C.F.を剥がし続けます。本体への攻撃はお願いします』
「任されます!」
『スタビラーイ! セットテイクオフスラスト!』
既に発進済みの鴉鉄と違い、リズとスクルドの強襲用超大型推進器は遅れて離陸準備に入る。観千流の仕込みが成功していれば本来の用途、つまり敵の目前まで迫ってからパージし、通常推力での空戦を行う。もし、失敗したらパージせずに戦う予定だったが、これを読んでいる君はすでに成功した事を知っているだろう。何度も時系列前後してすまんな。
『じゃ、先に行ってるね!』
轟音を立てて、二機の強襲用超大型推進器が離陸する。
「先に、ですか。ふふっ、ラピスの方が”先に”接敵すると思いますよ? ――ラピスフェロウ、限定解除」
ラピスの纏う空気が変わった。その外見も。ナノクォークから取り出された粒子が変化し、ベルセルクマシンのような異形の装甲を成形する。
「ベクターシフト可動」
次の瞬間、ラピスはもうそこに居ない。
それは、世界の歪みを利用した推進機関。敵との相対距離をゼロにする、光すら追い越す瞬間移動。
「|接敵《エンゲージ》」
加速器と違ってその速度を威力に乗せる事は出来ないが、純粋な移動手段としては最も早い。観千流の仕込みの発動直後。最高のタイミングでの一番槍だ。
零号機にサンダーフェロウを突き立てようとする。だが、即時展開されたSc.E.S.S.によって外へと弾かれた。接近した敵をフィールド外へ追い出す効果もあったようだ。
ラピスは動じず、Sc.E.S.S.にサンダーフェロウを突き立てた。S.S.S.は格闘武器に反応しないので直接Sc.E.S.S.に負荷をかける事が出来る。
直後、反対側から衝撃が走った。鴉鉄の|回転式多銃身機銃《ガトリングガン》だ。そのまま離脱する鴉鉄と入れ違いにリズとスクルドが到達する。
『あれ? 先に始めてる!』
『作戦通りに。私がS.C.F.を止めます。二人はSc.E.S.S.への負荷を蓄積させてください』
「了解。攻撃を継続」
『なんかキャラも違う……!?』
推進力を|Code:神雷《コードジンライ》で起動したジェットパックに切り替え、連続でサンダーフェロウを突き立てる。電撃は効果が無いようだが、格闘攻撃は常にSc.E.S.S.への負荷を与え続けるには最適だ。
『ボクもやるよ! まずは挨拶代わりだ!』
両手のバズーカと両脛のロケットランチャーを一斉射撃。一度帰還した時に装着した物だ。まあ、今回のバズーカは一発撃っただけで捨てられたが。爆発物もS.S.S.の弱点なんだけどな。
『次は新兵器、スクリューウェッブだ!』
スクルドは空中で身を翻し、先端がドリル状になっている鞭”スクリューウェッブ”を放つ。Sc.E.S.S.に突き刺さった先端は高速回転し継続的な負荷を与え続ける。今回の作戦には最適な武器だ。
「私達も仕掛けます。レイン兵器! 今一度風の力を!」
リズが再び|決戦気象兵器「レイン」・精霊術式ver2《レンシステム・ルーラーコード》を始動する。41mの範囲内の気象をリズが操る。これは、風にのみ反応するS.C.F.にとって想定外の直接攻撃。
「システムに負荷をかけるには、荒っぽい手で行きます。二人とも、飛ばされないでくださいね!」
「了解。攻撃行動を継続」
『やっぱキャラが違う!』
両手のサンダーフェロウでワンツーコンボを刻み続けるラピスと、スクリューウェッブを何度も突き刺すスクルド。その後方からリズは風を操り竜巻を放つ。竜巻はあくまで大気の動き、即ち風でありS.C.F.への重い負荷となる。
そして、時折現れる鴉鉄の超音速射撃。
「レインの攻撃使用を提案」
「二人も巻き込みますよ?」
「問題無い。光学兵器の反射は敵だけの特権ではない」
「なるほど、そう言う使い方はアリですね! レイン兵器、頼みます!」
リズが射撃要請すると即座に答えるレイン兵器。全方位からの継続的レーザー射撃を行う。これは当然の様にS.S.S.に反射されるが、光学兵器を反射できるのは零号機だけではない。
「|聖櫃の賢明《アーク・プルデンティア》」
ラピスが召喚したナノ・クォークによる歪みの渦が反射されたレーザーを再反射。レーザーが何度も往復し、激しい閃光を放ち暴れる。これではS.S.S.の発動を止める事は出来ない。
こうして、空戦組が零号機に張り付き三つのシールドシステムに負荷を与え続けた。拠点上空の通過、邪神の瞳孔。その先の展開は既に知っての通りだ。
この戦いも、ついに終局が見え始めた。時間にすれば数分にも満たない僅かな時間で繰り広げられた超音速の戦い。互いに最後の手札をまだ残している。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
リズ・ダブルエックスちょっと不謹慎ですが……こんなにも敵味方の空中戦力が充実しているのは珍しいので、少しワクワクしますね。
・基本
前章と同じく【決戦気象兵器「レイン」・精霊術式ver2】で有利な気象条件を展開しつつ【LXF精霊暴走モード】と【LXF・LXM精霊融合モード】を同時使用。「強襲用超大型推進器」も装備して空中戦を行います。
精霊を宿しつつも暴走させるリスクの高い飛行モードですが、ここを乗り切る間なら持たせられるでしょう。
・対「S.C.F.」及び、妨害行動
【決戦気象兵器「レイン」・精霊術式ver2】で、強烈な過負荷や、正面以外からの気流など、敵に不利な風を発生させます。味方を巻き込まないよう注意しつつ竜巻の発生も視野に。
趣旨は「攻撃をすりぬける」「風を防ぐ」という敵機能に対して、ほぼ攻撃同然の風を浴びせることで、「風判定だからすりぬけた」「通常の風判定よりも過剰にシールドを使った」というどちらかの現象を期待しています。前者なら実質無効化ですし、後者なら更に過負荷をかけて機能停止を狙いたいです。
S.C.F.が解除されている場合(味方による解除も含む)でも、上記に類する妨害行動を行います!
・対S.S.S
気流操作で味方を助けたり敵を妨害したりします。緊急時には、レイン砲台・通常型から弱いレーザーを放って、妨害目的の牽制射撃を行います。
・対Sc.E.S.S
【レイン砲台・高火力狙撃陣】を使用しつつ、各装備からのレーザーで弾幕を張り、シールド剥がしに貢献します。
【レイン砲台・高火力狙撃陣】で指定する対象一体は、基本的には『試作模倣型『神威零号機』』です。最初だけはSc.E.S.S自体を対象という事が可能なら、そうします。
・最後の1ターン
【LXF精霊暴走モード】の4回攻撃が可能なら【レイン砲台・高火力狙撃陣】を使いつつレイン砲台の斉射×3
そして【LXM・最大特殊砲撃モード】による零距離射撃を狙います。
(攻撃が1回なら斉射は行わない)
状態異常【ロックオン状態】を活かし、敵回避を予測しながら理想的な砲撃ポイントに移動。外部干渉の無効化で乗り切る事を前提として誘爆に巻き込まれることは無視します。
●空間湾曲電磁シールドシステム
「ちょっと不謹慎ですが……こんなにも敵味方の空中戦力が充実しているのは珍しいので、少しワクワクしますね」
今回の敵は両方空戦機だったので、リズ・ダブルエックス(ReFake・h00646)としては中々ありがたい機会だ。地上を無視して飛んでくる相手と言うのはやり難い√能力者も多かったようだが、簒奪者はそんなことを気にしない。むしろ、それを狙って襲撃してくる。
その結果がどうなっているかは見ての通りだが。
「行きましょう、レインの精霊達」
|LXF・LXM精霊融合モード《エレメンタル・エンチャント》を発動し、光翼展開。増強された空戦能力によって|強襲用超大型推進器《ヴァンガードオーバーブースト》をパージした後も零号機を翻弄しつつ、|決戦気象兵器「レイン」・精霊術式ver2《レンシステム・ルーラーコード》によって操った気象でS.C.F.を止め続けた。
(後は|Sc.E.S.S.《スペースカバードエレクトリックシールドシステム》を剥がすだけ、なんですが)
二つのシールドシステムを奪い、残るは非常用のSc.E.S.S.だけの筈だが。
そもそもS.S.S.で対応できない攻撃は既にやり続けている。本来なら先にSc.E.S.S.が割れてもおかしくはなかった。空間を断絶するという高い出力と不可逆性の消耗を受け続ける非常用防壁をここまで展開し続けられていること自体に違和感がある。
(空間を断絶している。だから、あらゆる攻撃が通らない。だから、自分からも攻撃できない)
リズは手も口も止めずに高速思考する。|決戦気象兵器「レイン」・精霊術式ver2《レンシステム・ルーラーコード》の発動には想いを込めての要請が必要だ。これで負荷をかけ続けなければまたマッハ10という速度が復活する。
(確かに推力は大幅に低下しています。ですが、本当に空間を断絶しているのならどうやって推進力を確保しているのでしょうか)
空間の繋がりを断つ、という事であればフィールドの中と外では何もやり取りが出来ないはずだ。ロケットエンジン推力に切り換えてもフィールドの中で対流が起きるだけで前に進む事は出来ないはずだ。だが、大幅に推力を落としているとは言え、零号機は自由に動けているように見える。
これは、実は|S.C.F.《スーパーキャビテーションフィールド》の完全な無効化には成功しておらず、そう見せかけられているだけという可能性は残る。だが、リズの√能力者としての勘がそれを否定する。
(そもそも、√能力ではない物でこうも何度も√能力による攻撃を受け止め続けられるはずがない)
根本的な話だ。√能力者同士の勝負を決するのは√能力だけでしかありえない。いくら相手が邪悪なインビジブルを従える宿敵クラスとはいえだ。
(それに、本当に空間を断絶しているのなら互いに視認できるのはおかしい)
それは光を操るリズだからこそ気付けた違和感かも知れない……いや、少し考えれば分かるか? 空間に繋がりが無く、何も通さないなら光も通さないはずだ。鏡のように光を反射するか、光を吸収して黒い球体になるか。そのどちらでも無く互いの姿が視認できている理由は一つしかない。
(空間を断絶して防ぐ物を選別している)
防ぐ物と防がない物を選んでいる。防ぐ物に対しては絶対の防御力を発揮しているが、そうでなければ素通りさせている。
(そう言えば、拠点上空を通過する時普通に攻撃していましたね)
そうなのだ。渚彩とスミカによって直上に至るのを防がれた時、代わりとばかりに16発の雷撃と雷従8機を置いている。これは、実は内側から外側に物体を通すことが出来る証拠だ。
(アレは焦りによる失敗だったのでしょうか)
あれは零号機が本来想定していた火力、防御力、機動力によって相手を圧殺するという計画を破綻させたものだ。多少のミスをしてもおかしくはない。だが、その一回以降攻撃する素振りを見せていない。
一発で、ただの一発だけで相手を崩壊させる事が出来るのならば。その一発を確実に叩き込めるタイミングを見計らうはずだ。
例えば、絶好のチャンスとばかりに攻撃を畳み掛ける今とかに。
零号機が、その機首をクラップヤード拠点に向けた。リズは、その装甲が展開するのを見るより早く切っ先へと立ち塞がる。
『鴉鉄さん、Sc.E.S.S.を破ります。追撃を』
時間が無い。ここまでの思考も1秒に満たず、声に出して根拠を述べる時間も無い。鴉鉄の返答を聞く時間すらも。
『座標送信』
ラピスが鴉鉄に座標を送る。それは、サンダーフェロウで殴りながら割り出したSc.E.S.S.発動時に高出力を検知している部位。8つある蒼い球状のユニットの内、中央制御ユニットに最も近い二つだ。
『了解』
タイミングを見計らっての二点狙撃。電磁投射砲と重質量砲を同時に着弾させるという荒業であったが、理論上は可能。ここで出来ぬと引き下がれはしない。
零号機の装甲が展開した。剥き出しになった放熱部が赤熱する。これまでにない高い出力を吐き出す前兆だ。
「ここは無理を通させてもらいます」
リズはその対面で|LXM《LZXX Multi weapon》を構え、LXMを延伸展開させる。
「リミット解除!」
次の瞬間、二つの光が炸裂した。雷刀と|LXM・最大特殊砲撃モード《マルチウェポン・エレメンタルブラスト》が正面衝突した。
零号機の雷刀の威力は凄まじく、対するリズは最大火力を発揮出来ていない。1秒に満たない咄嗟の判断だ。対応出来ただけマシというものだろう。
無敵化したLXMの極大プラズマ砲は零号機の雷刀とレーザー干渉状態を作る。このタイミングのために出力を温存していた零号機に対し、体内の精霊と共鳴するための魔力を消費し続けるリズはいずれ押し切られる。
これはそういう√能力であり、そういう出力を持った攻撃だ。後に残るのは更地になったクラップヤードか。
だから、それをさせなかった。鴉鉄は光が炸裂するよりも早く銃爪を引いた。マッハ30に達した電磁投射砲ですら光の速度にはほど遠い。一瞬でリズの行動の意味を読み取り、適切な位置で適切な射撃を行った。
零号機はSc.E.S.S.を停止させてはいない。ただ、雷刀が衝突する一点だけ発生を止めただけだ。その一点をマッハ30の電磁投射砲が貫通した。僅かに遅れて重質量弾の到達。ラピスの指示通りの座標を撃ち抜いた。
撃ち抜かれた球体が砕け、二枚の翼状のユニットが脱落する。
『この瞬間だッ!』
そこにスクルドがシザーアンカーで掴んだヒートサーベルを振り抜いた。零号機の本体が振り抜いた形状に切り裂かれる。
即ち、Sc.E.S.S.完全停止の確認。程無くして零号機の光が失われ、全体が傾く。
総攻撃の機会に他ならない。
●強襲極点標的魔弾AMA-TAPFSDSメガ・ビームルガーランスCu-Uchil切り札暗黒の森の聖櫃の精霊暴走モード
『そうだ、この瞬間だ。各機、一斉攻撃を』
ミーミルの|強襲指示《アサルトオーダー》!
上空で起きる一瞬の勝機を全味方機へそれが起きる前に伝える。
「私達は常に、進化する!」
真心・観千流の|N.B.Ver2.0:『極点掌握』《アドバンスド・バレット》!
4100発のナノ・クォーク弾の嵐と共に零号機の邪悪なインビジブルを剥がし取りながら地上部隊を絶好の射撃地点へ転移させる。
『目標地点を送信します!』
ウルズの|標的捕捉《ターゲッティングアシスト》!
最適な射撃座標を各機へ送信!
「EMLモジュール全点接続、仮想ライフリング展開。魔力タービン全開、緊急弁全閉鎖。リミッター解除、ライフリング回転開始……その隙、撃たせてもらいます」
スミカ・スカーフの|魔弾『部位破壊』《クリアランス》!
事前にチャージを済ませ、このタイミングできっちり臨界点に到達したオーバーブーストレールガンを発射! 雷刀砲撃ユニットに直撃し崩壊させる!
「倍返しって奴だ、遠慮なく受け取れッ!」
天羽・渚彩の|UA-X【AMA-T】《無人航空型荷電粒子砲》!
空中に転送された|SH-20B【DAIDARA-B】二脚重機《「ダイダラボッチ」》の|BMG-21L/R【SAIKA-S】《荷電粒子機関砲「サイカシュウ」》、|MPM-18【AMENO-K】《誘導弾発射器「アメノマカコユミ」》の一斉射撃に加え、予測位置に展開済みの|UA-X【AMA-T】《無人航空型荷電粒子砲》による全方位射撃! 物理装甲が次々と剥がされる!
『へっ、こりゃ一発あれば十分だ』
スレイプニールのAPFSDS弾!
装弾筒付翼安定徹甲弾が機体に風穴を空ける!
『泣きを入れたらもう一発だ!』
エーリヴァーガルのメガ・ビーム・キャノン!
鈍く輝く紅の粒子砲が風穴を溶解して広げる!
『コイツの本気、試させてもらうぜッ!』
ヴェルザンディのルガーランス最大出力!
|有り得たかもしれない未来《イフ・ルート》によって38年分の技術革新を与えられたレーザー狙撃銃がその真価を発揮。収束された超高密度レーザーでメインCPUを撃ち抜く!
「Ia Ia Cu-Uchil fhtagn」
水垣・シズクの|Cu-Uchil《ミツメルモノ》!
|技量《レベル》1036の眷属を食い尽くした邪神が理を縫い留める視線を放つ!
形容し難き悍ましい呪術がメインフレームに侵食し、腐食させる!
『切り札は、最後に使う物!』
スクルドの|切り札《ジョーカー》!
フルブーストでパイルバンカーを叩き込み、両肩のハッチを展開。炸裂鋼球弾を至近距離での大量発射! 脆くなったフレームが砕ける!
『最大加速……重量最大化、このまま殴り抜けるッ!』
機神・鴉鉄の|暗黒の森の番犬《ケルベロス》!
再軽量化して上昇、|空戦機動《マニューバ》で推進ベクトルを真下に向けてから再重量化。|慣性増幅打撃《イナーシャル・ブースト》の拳を叩き込む!
砕けたフレームで辛うじて支えていたパーツが飛ぶ!
「|聖櫃の賢明《アーク・プルデンティア》融合開始」
ラピス・ノースウィンドの|聖櫃の賢明《アーク・プルデンティア》!
メインシステムに|機砕雷爪《ケラヴノス・ステーク》を突き立て、ナノ・クォークの歪みの渦を注入!
残されたメインフレームに無数の消滅気泡が生じる!
「これで最後です……レインの精霊達よ、今一度力を!」
リズ・ダブルエックスの|LXF精霊暴走モード《フライトアーマー・エレメンタル・ベルセルク》! 更に|レイン砲台・高火力狙撃陣《レインキャノン・スナイプ・アンド・デストロイ》!
レイン砲台が高火力型を軸にして円陣を組むようにライフリングを成形。それが幾重にも重なり、あたかも魔法陣のような様相を呈する。
既に二つの√能力によって強化された|LXM《LZXX Multi weapon》に|LXF《LZXX Flight armor》の最大強化が加わり、実に5つもの√能力を併用して放たれた多包囲集中射撃と大出力零距離射撃が残された中枢ユニットを吹き飛ばした!
勝負が決したか、と思われた次の瞬間! 消し飛んだかに見えた零号機の残骸が異常発光する!
そして、三対六枚の光翼を展開。サジタリウスの紋章が空に浮かぶ!
『光翼を展開された!?』
「いえ、これで終わりです」
残骸から無傷の球体が浮かび上がる。球体からは光翼が伸びているが、それだけだ。もはやその出力を受け止める零号機は鉄屑になり果てている。もし、ほんの僅かでも機能が残っていたら、ここからの逆転もあり得たのだろうか。
だが、そうはならなかった。暫くすると光翼も消え、ただの緑の宝玉のようになったゾディアック・コアが重力に引かれて落ちる。
「おっと」
何やら貴重な物であることは確かで、これだけの攻撃を受けても傷一つ付いていないから、地面に落としたくらいでは壊れない気はする。それでも一応、リズは落ちる前にキャッチした。
「これが、ゾディアック・コアですか」
淡く輝く宝玉。その内側には♐の文様が浮かんでいる。
「やはり、ゾディアック・レガリアですね」
√能力者の存在をインビジブルから回帰させるAnkerの中の一つ、ゾディアック・レガリア。どんな世界であっても唯一無二の品であり、これもAnkerの一つになり得る物体だ。
「ですが、零号機と繋がっている訳では無いようですね」
これが零号機と繋がっているのであれば、破壊して零号機の復活を阻止できる。しかし、このゾディアック・コアからはそうした繋がりを感じられない。ただ単に動力源として利用されていただけのようだ。
「とりあえず、持ち帰りますか」
これが新たな火種になるかもしれない。だが、新たな希望になるかもしれない。
幸いにも近場にあるのはあり合わせでどうにかするプロ集団だ。悪いようにはならないだろう。
戦いは終わった。今日がクラップヤード最後の日ではなかったようだ。まあ、今後もまた最後の日とか言い出すかもしれないが……そうなる可能性は確かにあったのだ。
だが、死してなお歩みを止めない者達の、地獄を歩む死者の行軍はまだ続いている。今はまだ、確かに。
これは、第49WZ中隊『クラップヤード』の日常の一頁――
『命知らず共、少し付き合っていかないか?』
――おや、今回はもう少し観測できる事象があるようだ。
戦闘が終わり、損耗の大きいスクルドはハンガー直行。他の機体は遠距離で迎撃していただけなので大分余裕はある。
「付き合う、ですか? 構いませんけど、何をするんですか?」
√能力者達も飛行組は拠点まで帰還。拠点組も到着してから順次帰還する所だったが、エーリヴァーガルが彼女達を呼び止めた。
『遠足の後のゴミ拾いだ』
「なるほど、ゴミ拾いですか」
それに答えたのはスミカだ。
この戦場には大量の模倣神威の残骸が散らばっている。零号機がそうだったように、通常激しい戦闘に晒されたウォーゾーンは有用な資源にはなり難い。
だが、この模倣神威に関しては単に飛行能力さえ奪えば戦闘不能になるので比較的原型の残ったスクラップが多い。
「どうしますか?」
「ラピスは折角だから手伝いたいと思います!」
戦闘も終わって平常運転に戻ったラピス。
「そうですね、無力化を装ってまだ動く敵が残っている可能性はあります。掃討も兼ねて廃品回収作業を行うには賛成です」
「もちろんいいですよ!」
「分かりました。最後に一仕事ですね」
鴉鉄、渚彩、リズもそれに同意。
「それってもしかして、模倣神威を作り直す気ですか? それはやめておいた方がいいと思いますよ」
その流れに反したのは観千流。
「戦闘機械群そのものですし、アレには人間が乗るスペースすら無いですし。あと、たぶん参号ちゃんがキレますよ」
『そこは心配ない。修復するのはガワだけだ。制御AIはウチ特製の物に完全に入れ替える。ウルズ、話は聞いていたな。24時間以内に制御AIの基礎を組み上げておけ! 新しいお友達を迎えるぞ』
『えっ、はっ、はい!?』
「丸投げですか」
『ガワの方はこのエーリヴァーガルで組み上げる。万一も無いようにな。あと、匿名情報提供者の件は神威を名乗らなければ大丈夫と聞いている』
「それならたぶん大丈夫ですかね。スクラップから組み上げる新しい仲間の誕生……面白そうですね!」
『そうだろう? 愉快な遠足の延長線だ!』
と、言う訳で。
残骸の回収作業は想定内の問題を解決しつつ滞りなく行われた。特に、戦闘初期で制御チップだけぶっこ抜かれたのが数体居たのは大きい。10機ほど新品同然で組み上げられそうな量は集まった。
とは言え、あまり一度に動かすのは危険だし、それを格納するハンガーも無い。一先ず予備パーツ扱いで一機だけ組み上げる事になった。
『ウルズ、中身の方に抜かりは無いか』
『戦闘機動を取らせるには実測データが少な過ぎます。ですが、単に会話する程度でしたら十分かと』
『今はそれでいい』
何故か模倣神威に関して詳細なデータがクラップヤードにあったのも作業が進んだ一因だ。なんでだろうなー?
「それでこの子の名前は決めてあるんですか?」
『当然だ。新しい役立たずには勿体ない名前を用意してある』
即整備に回されたスクルド以外のメンバーもこの回収作業を手伝った。なので、およそ4時間ほどで全ての作業を終える事が出来た。今回、戦闘開始から終結までが30分前後とスピード解決だったので、回収作業の方が長くなってしまっている。
まあ、その回収作業の方では詳しく書くようなことは起きなかったのだが。
『起動するぞ』
展開されたエーリヴァーガルの内部で組み上げられた模倣型神威に、火が灯った。
もし、まだ戦闘機械群のAIが残っていた時のために全員戦闘態勢だ。
『おはようございます』
『役立たず、貴様の所属と名前を言ってみろ』
『はい、総長。クラップヤード中隊所属、フレーズヴェルグ。本日より着任しました。よろしくお願いします』
どうやらその心配はなさそうだ。と、言うか。
「なんか、妙に可愛い声にしましたね?」
『えっと、なんかそういう意思拡張型AIに関連付けられた音声ライブラリがあったので流用しました』
『貴様の機能は動かせるか?』
『現状では不可能です。エネルギーライン接続に36か所の不具合があります。各部整合性に56か所の不正が検出されています』
『まさに役立たずだな。今すぐ問題個所のレポートを送れ。48時間以内に貴様を一人前の役立たずに仕上げるぞ』
『了解しました! 総長、よろしくお願いします!』
「フレーズヴェルグ……死や風、巨鳥の象徴ですね」
「そう言えば、クラップヤードってどうして北欧神話由来の名前なんですか?」
「もともとつぎはぎだらけだからなぁ。名前くらい統一感出そうぜって事で、一番ネタに困らなくてカッコイイ北欧神話になったんだとか」
「なるほど、深い意味は無いと」
「名前ってそう言うものだろ?」
「そうかもしれませんね」
「ところで、総長さんこのまま作業する気なんですか?」
「あー……実は総長ってこう見えて結構技術オタクな所もあるんだよね。失敗兵器とか欠陥兵器とかの面倒見るの大好きでさ。案外技術屋寄りなんだよ」
戦場では威圧的な言動が目立つものの、パイロットとして積極的に前線に出ないのはそう言った理由があったらしい。もっとも、エーリヴァーガルだから前に出ないだけで他の機体に乗って地獄の新人しごきをすることはあるので並みの技量では無いのだが。
「私達の出番はここまでのようですね」
「うん、ありがとう。助けに来てくれたことも、新しい仲間を手伝ってくれたことも」
「簒奪者ある所にEdenありだからね! また厄介な敵が出てきたら教えてね!」
さて、今度こそ記すべきことは終わったようだ。
フレーズヴェルグ、死の風を巻き起こす巨鳥。それは希望か、厄災か。それはまたいつの日か語る事になるだろう。
次の危機はいつ訪れるのか。次は本当に最後の日になるのだろうか。それは、今の私には何も言えない事だろう。
これは、第49WZ中隊『クラップヤード』の日常の一頁なのだから。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功