シナリオ

温泉街湯煙失踪事件

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「いよっ!」

 なぜか浴衣を粋に着崩した金菱が、
 陽気に手を振り√能力者たちの前に現れる。
 ひとっ風呂浴びた後なのか、
 微妙にさっぱりした表情である。
 訝しむ一同を前に金菱は苦笑いを浮かべる。

「いやぁ……この格好かい?
 俺もただ遊んでたんじゃねぇよ。
 星詠みとしての潜入捜査の一環ってとこかね~」

 金菱は飄々と語り始め、
 立派な赤い和傘を畳んで見せる。

「さてその証拠として、
 これから本題に入らせてもらうぜ」

 コホンと軽く咳ばらいをして、
 金菱はいつも通り星詠みとして説明を始める。
 場所は√妖怪百鬼夜行のとある温泉街。
 そこで温泉旅館の宿泊客が相次いで失踪する事件が発生した。
 ある者は温泉に浸かっている最中に、
 ある者は温泉街を散歩している最中に、
 湯煙に巻かれたように消えたしまったらしい。

「涼しい秋の夜長に活気に沸き立つ温泉街。
 みんな風流な感じに秋を楽しみたいってのに、
 それを邪魔する無粋な輩はとっちめてやらんとな」

 金菱はけしからんとばかりに、
 腕組みをして眉間にしわを寄せる。
 事件が起こるのは決まって夜。
 単なる失踪ではなく夜陰に紛れて人さらいが、
 温泉街のそこかしこで手ぐすね引いて、
 待ち構えているのかもしれない。

「お前さんたちは温泉街へ来た観光客を装って、
 この失踪事件をまずは調査してみてくれ。
 もちろん、多少羽目を外すくらいは大いに結構。
 夜になるまで調査に支障が出ない範囲で各々、
 温泉に浸かるなり、温泉街を楽しむなり好きにして良い」

 もしこの事件が妖の仕業であるならば、
 観光客のフリをすることで油断させて、
 その妖をおびき寄せられるかもしれない。
 或いは失踪した人々が閉じ込められている場所を、
 真面目に探し当てるのも良いだろう。

「それじゃあ~良い湯加減、
 じゃなかった……健闘を祈る!」

 温泉で緩みかけた気分をシャキッと持ち直し、
 金菱が一同へ敬礼をしてみせる。

マスターより

抹茶
●ということで抹茶です
 皆さまようやく暑さが収まり秋らしい陽気になってきましたね。
 世間は秋祭りシーズンでもう少し寒くなれば、
 温泉にでも浸かりたい季節になるかと思います。
 今回はそんな楽しい秋の一幕を乱そうとする、
 妖との戦いになるかと思います。

●第一章
 温泉街にて発生した失踪事件の手掛かりを探る捜査パートです。
 が、この際骨休めでゆっくり温泉に浸かってみるのも良しです。
 その上で、あえて誘拐されるようにふるまっても良しです。

●第二章
 第一章での皆様の行動によって分岐します。
 夜の賑やかな温泉街にて行方不明の人々探すか、
 あるいは温泉の湯けむりから思わぬ邪魔が入るかもしれません。

●第三章
 今回の温泉街で起こった湯煙失踪事件の首魁との対決です。
 温泉街で人々を誘拐したこの妖を倒し、
 攫われた人たちを無事に救い出しましょう。
13

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第1章 日常 『妖怪温泉宿へいらっしゃい!』


POW 宿の名物料理でお腹を満たす
SPD 新感覚の妖怪マッサージを受けてみる
WIZ 温泉で身体も心もぽかぽか癒される
√妖怪百鬼夜行 普通5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逆月・雫
温泉、いいわねー☆
情報収集兼ねて梯子風呂、何軒行けるかしら☆

宿を取って腰を据え、従業員さんに噂話を聞き出す。
この辺りだから物の怪の類は当然だけど、行方不明事件の共通点は見つかるかしら。
神さんには何処のお風呂がいいか聞きましょう。

湯浴み着着用で混浴風呂も。
お盆に徳利、お猪口も乗せて…あ、適量は守りますわよ。
同席された御仁にも無理の無い程度に勧め、色々お話を聞かせて頂きましょう。
それこそ男風呂の様子とか。
「仲間」がいたなら軽く情報交換も。
…あ、背中のは古傷ですわ、今は痛みもほぼ無いのでご心配なく。
(大きな金継の跡)

共通点が見えたなら…そのように振舞いますか。
念の為、部屋に集めた情報のメモを置いて。

「温泉、いいわねー☆」

逆月・雫(酒器の付喪神の不思議居酒屋店主・h01551)は、
懐かしさの漂う古き良き温泉街を尋ね、
足取りも軽やかに趣きのある温泉宿を眺め上機嫌であった。

「情報収集兼ねて梯子風呂、
 何軒行けるかしら☆」

一先ず雫は宿を取って腰を据え、
それとなく宿の従業員から噂話を聞き出す。

「最近、失踪する人が多いようですわね」

「突然湯煙に巻かれてって噂話ですかぁ?
 ウチはそんな物騒な事はおこりゃしませんよぉ」

雫の言葉に年を取ったろくろ首の仲居が、
愛想笑いで首を横に振ってみせる。
今回の事件被害者が湯煙に巻かれてしまった。
と言う状況についての共通項は確かなようだ。
となれば失踪事件の怪を追うには、
実際に湯煙の立ち上る湯殿へ向かうほかない。

「では、神さんには、
 何処のお風呂がいいか聞きましょう。
 神さん神さん、いらっしゃれ♪」

改めて温泉街へ繰り出した雫は、
七福神召喚で七福神の幻影を呼び出す。
現れた七柱の神々は少しばかり話し込み、
やがて温泉街の横丁を指し示す。
横丁には寂れた一軒の湯殿があった。
湯浴み着用可の混浴風呂らしい。
雫は湯浴み着着用で、
更にお盆に徳利、お猪口も乗せて……
入浴と共に晩酌する準備も万端である。

「あら、お邪魔しますわ」

檜で出来た大きな湯船の中には、
古老の姿をした茶碗の付喪神が、
ゆっくりうたた寝しそうな感じで湯に浸っていた。

「おや同じ付喪神とはここいらじゃ珍しい……
 お嬢さんは湯治でここへ来たのかねぇ?」

湯船につかり酒を飲み干す雫の、
背中にある大きな金継の跡を見て、
古老が躊躇いがちに呟く。

「あ、背中のは古傷ですわ、
 今は痛みもほぼ無いのでご心配なく。
 それよりどうです?
 お近づきの印に一献」

雫は徳利からお猪口に酒を注ぎ、
たおやかな手つきで古老に勧めて見せる。
もちろん酒の肴は例の失踪事件についてである。
古老はお猪口を受け取りクイっと飲み干す。

「最近巷を騒がせている失踪事件って、
 ありますわよね?色々お話を聞かせて頂けると、
 私としてはあり難いのですけれど……」

「ふむ、あれは三日前の事じゃったか。
 湯治で来た人間の若い男でのう……
 近くの湯煙から悲鳴が上がったかと思えば、
 男の姿はもう消えた後じゃったわい」

居酒屋店主らしく雫が慣れた手つきで、
空になったお猪口に二杯目を注ぐ。

「湯煙の他に何か見ませんでした?」

「そう言えば湯煙の中で一瞬小鬼のような影が、
 踊っているように見えたような……」

湯煙に踊る小鬼……
どうやら単なる失踪ではなく、
やはり誘拐の線が出てきたようだ。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

壇・壱郎
いいね、温泉!
依頼にかこつけて、俺もご相伴にあずかるとしようか。
まずは、歩きながら、温泉街の地理をだいたい頭に入れておく。

街の様子がわかってきたら湯めぐりといくか。
風情のある露天風呂でも探そう。……サウナはねえかな?
地元のひとにおすすめや、人気のあるところを聞いてみるのもいいな。

のんびりと湯を楽しんで……あったまったら、水風呂か外気浴。よし、整った!

整いついでに『地取り捜査』で聞き込みもしておく。湯につかりながら「地取り」もなにもないんだが……。
近頃で、あやしいやつらを見なかったか?

風呂上りはフルーツ牛乳で水分補給。
依頼なのに、こんなに楽しんでいいもんかな。

壇・壱郎(ツノツキ・h01763)は、
温泉街に着くなり湯煙の香りをかぎ、
その巨躯を全身でもって深呼吸してみせる。

「いいね、温泉!」

温泉の匂いの籠った温かで香しい大気が、
壱郎の肺をゆっくりと満たしてゆく。

「依頼にかこつけて、
 俺もご相伴にあずかるとしようか」

壱郎は温泉街を見まわし、
まずは歩きながら、
街の地理をだいたい頭に入れておく。
良い塩梅に街の観光案内所で、
簡単な街の地図が入ったパンフレットを、
手に入れる事が出来た。
これで大体の街の様子は分かりそうだった。

「んじゃ、次は湯めぐりといくか。
 風情のある露天風呂でも探そう。
 できれば……サウナもねえかな?」

地元のひとにおすすめや、
人気のあるところを聞いてみるのもいい。
そんなことを壱郎が考えていた矢先である。

「そこの兄ちゃん。サウナだったら、
 最近オープンしたばかりのウチに来なよ!」

客引きのお化け提灯の妖が、
調子よく壱郎を客引きしてみせる。

「おおっ、ホントか?」

「ああ、街の中央から少し歩くがね。
 場所はこの辺りさ……」

客引きは壱郎の手に持ったパンフレットの地図の、
とある区画を指さしてみせる。
旧市街地と書かれた場所だった。

「値段もお手頃価格さ……どうだい?」

「分かった。サウナと聞いちゃ断れねぇ」

壱郎が客引きについて行くと、
温泉街の横丁を通りに抜けた先に、
入り組んだ建築物の群れがあった。
奇妙建築の一種かもしれないが、
人気はなくひっそりとしている。
活気のある温泉街から少し浮いたような区画だが、
壱郎は気にせずそのままその区画を通り抜ける。
やがて壱郎は客引きに案内されるままに、
新しくできた温泉旅館のサウナにたどり着く。

「よし……まずは十分に整ってから、
 しっかり体と頭を使うとするかぁ」

のんびりとサウナを楽しんで……
あったまったら、水風呂か外気浴。
これを基本3セット繰り返すのがサウナの基本である。

「依頼なのに、こんなに楽しんでいいもんかな」

途中この旅館独自のサービスである、
コーヒー風味の芳ばしいロウリュウも加わり、
壱郎はしっかりサウナを満喫する。
そして、数時間後……

「よし、整った!」

壱郎はサウナで整い心身ともに力が漲ったついでに、
『地取り捜査』で聞き込みもしておく。
湯につかりながら大工姿のインビジブルを見つけ、
聞き込みを開始する。

「近頃で、あやしいやつらを見なかったか?」

「怪しい奴らねぇ……実はおいら、
 昔ここいらの奇妙建築を建てた大工でね、
 近頃その奇妙建築に得体の知れねぇ妖たちが、
 住み着いているみてぇなんだわ」

「奇妙建築ねぇ……」

壱郎はこの場所に来る途中の人気のない、
ひっそりと静まり返った建物群を見たことを思い出す。
そして街のパンフレットにはここは、
旧市街に当たることにも思いを巡らせる。
妖が住み着き悪事を行う場所としては、
まさに最適な隠れ蓑である。
もしかしたら失踪した人々が、
そこにいる可能性もあるかもしれない。

「もし悪い妖なら退治してくれよ、
 あんた強そうだし。なぁ……頼むよ」

「よし分かった。貴重な情報感謝するぞ」

壱郎は大工に一礼して風呂から上がる。
そして風呂上りにフルーツ牛乳を豪快に飲み干し、
火照った体にしっかりと水分を補給する。

「さて有力そうな情報も手に入った事だし、
 次は自分の足で確かめに行くとするか」

火照った体を涼し気な秋風で冷ましつつ、
壱郎は肩で風を切って勇み歩いて行く。
しかしそんな壱郎の姿を、
敵意の籠った目で睨む何者かの姿があった。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

日南・カナタ
【捜査三課】
年上は苗字にさん付け
同じか下の人は君

温泉やっふーーい!!
と頭にアヒルさん乗せてきゃっきゃっと騒ぐカナタ

わぁってますよー!本題は失踪者の捜索でしょー!
そこんとこ抜かりなくやりますってー!ねーアヒルさーん

どーします?どーします?!もう温泉行っちゃいます?
それとも温泉街ぶらつきます!?

と同行者の皆にわちゃわちゃと纏わりつく

出来たての温泉饅頭ってうまい!
はぁ~~温泉ってほっとするよね~~
まぁ俺も遊んでばっかいないで捜査するか~

と温泉に浸かりながら【心霊聴取】をする

ねーねー、温泉に入ってる人がなんか急にいなくなるとか、
なんか不審な事とか見かけてない?

*アドリブ・絡み歓迎
チェスター・ストックウェル
【捜査三課】

これでよし……っと!
温泉と食べ歩きを楽しむべく、幽霊の姿から実体化
(追惜を装備し、痛みは鎮痛剤のナイチンゲールの嘘で抑え込む)

まあまあ、観光客を装うのであればカナタくらい浮かれてる方がいいんじゃない?
……アヒルと話してる絵図は相当パンチが効いてるけど

失踪した人たちもこんな風に街を観光してたんだっけ?
湯畑から湯煙が立ち上る様子をスマホの動画に収めてみたり、顔はめ看板があれば記念撮影もしてみたり

だね、俺も何か食べたい気分
遙斗に同意しながら温泉街の名物を探す

へえ、甘く煮た豆のペーストが入ってるんだ
美味しいね
お土産もみんなに喜ばれそう
……会計は|遙斗と初《先輩方》が持ってくれると嬉しいな
西織・初
【捜査三課】で参加。呼び方は年上には苗字+さん、年下には苗字呼び捨て。

アドリブなど歓迎

【心情】
失踪事件とは物騒だな。
使い魔が何か掴んでくれるのを待つか。
お土産は帰りにでも買っていきましょう。今は身軽な方がいい気がします。

【行動】
√能力を発動して鳥の使い魔を放ち失踪事件に関する情報収集を行う。
使い魔が集めてくる情報に耳を傾けながら温泉街を見て回る。
食べ歩きをしたり遊べる場所があれば遊んでもいいかもしれない。
お土産は今は買わずにスマホでメモを取ってまた帰りにでも買いに行こう。
誰が聞いているかも分からないから使い魔から事件に関する情報が入ればスマホを使い共有する。
志藤・遙斗
【捜査三課】で参加(アドリブ歓迎)
タバコに火を付けながら
「温泉街での行方不明事件か、敵の正体もわからないですし、油断しないようにしないとですね」
「一応、仕事ですのであまり浮かれすぎないでくださいね?」
「取り合えず温泉街を見て回りましょう。
その後は宿で作戦会議ですね」

温泉街にて
「特に怪しい所は有りませんね。
取り合えず観光客らしく何か食べます?」
温泉饅頭を食べながら
「結構いけますねこれ。署の方にもお土産で買っていきます?」
雑談しつつ、周囲を観察する
その後タバコ休憩で人気のない路地に移動
『職務質問』を使用し、情報収集を行う
「失踪事件について何かご存じありませんか?」
話が聞けたら仲間と合流し共有する

●三課の楽しい温泉旅行?

「温泉街での行方不明事件か、
 敵の正体もわからないですし、
 油断しないようにしないとですね」

いつも通り志藤・遙斗(普通の警察官・h01920)は、
タバコに火を付けながら風情のある温泉街を眺める。
ニコチンとは違う鉱物を含んだ温泉街の大気が、
どこか懐かし気に鼻腔をくすぐる。

「温泉やっふーーい!!」

その隣で日南・カナタ(捜査三課の異能捜査官・h01454)が、
オモチャのアヒルさんを頭に乗せて、
きゃっきゃっと騒ぎながら、
同行者の皆にわちゃわちゃと纏わりつく。

「失踪事件とは物騒だな。
 こんなに穏やかそうで、
 空気が美味い場所なのに……」

翻って冷静な西織・初(戦場に響く歌声・h00515)は、
温泉街を観察しつつため息を吐く。

「これでよし……っと!」

西織の横ではチェスター・ストックウェル(幽明・h07379)が、
幽霊の姿から実体化し生身の肉体を一時的に得る。
チェスターは生身を実感するために、
まずはゆっくりと深呼吸をして、
温泉街の空気を吸い込む。

「確かにここは空気が美味しいね~」

「皆さん一応、仕事ですのであまり
 浮かれすぎないでくださいね?」

すでに温泉旅行気分の面々に、
志藤がやんわりと釘を刺す。

「わぁってますよー!
 本題は失踪者の捜索でしょー!
 そこんとこ抜かりなくやりますってー!
 ねーアヒルさーん」

カナタはアヒルさんと面と向き合い、
楽し気に対話を始めている。
温泉に入る前から心は上せているようだ。

「まあまあ、観光客を装うのであれば
 カナタくらい浮かれてる方がいいんじゃない?
 ……アヒルと話してる絵図は、
 相当パンチが効いてるけど」

チェスターも温泉と食べ歩きを、
楽しむ気満々ではあったが、
自戒の念も込めてかカナタのテンションぶりを
やや冷ややかに評してみせる。

「どーします?どーします?!
 もう温泉行っちゃいます?
 それとも温泉街ぶらつきます!?」

温泉がよほど楽しみなのか、
居ても立っても居られないカナタは、
温泉街の通りを一足先に走り抜けるのであった。

「カナタ君それだけ温泉が楽しみなんですね。
 あんまりはしゃぐと人とぶつかりますよ」

志藤が勇み足ではしゃぐカナタを見て、
苦笑しつつタバコを吹かす。

「取り合えず温泉街を見て回りましょう。
 その後は宿で作戦会議ですね。
 ひとまずこれでどうですか?」

「分かった俺は鳥の使い魔を
 使役して情報収集してみる。
 使い魔から事件に関する情報が入れば
 スマホでみんなに共有するよ」

西織が志藤の提案に頷き、
鳥の使い魔を空に飛ばす。
誰が聞いているかも分からないので、
極力今回の依頼についての会話は、
お互いに避けた方が無難だろう。

「お土産は帰りにでも買っていきましょう。
 今は身軽な方がいい気がします」

志藤が常識人らしく浮かれ気味の一同へ注意する。
手広く情報収集するため、
一先ずは自由行動で各々自らの足で、
周囲を歩き回る事になるだろう。
志藤たちは一通り温泉街とその横丁を、
ぐるりと回り大体の地理を頭に叩き込む。

「特に怪しい所は有りませんね。
 取り合えず観光客らしく何か食べます?」

湯畑から湯煙が立ち上る様子を
スマホの動画に収めたり、
顔はめ看板で記念撮影をしていたチェスターに、
小腹が空いた志藤は休憩を提案する。

「だね、俺も何か食べたい気分」

チェスターは志藤に同意しながら、
なにか温泉街の名物がないか、
飲食店の並ぶ横丁に目を泳がせる。

「賛成!俺は甘いものが食べたい!」

「あっちの横丁なんてどうかな?」

カナタと西織も続けて賛成してみせる。
飲食店が軒を並べる横丁に入るや、
一同の前に一軒の甘味処が眼に入る。
こしあん独特のしっとりと甘ったるい小豆の香りが、
食欲と共に風に乗ってやってくるようだった。
ここは温泉饅頭が美味い店らしい。
温泉街と言えば鉄板のチョイスである。

「へえ、甘く煮た豆のペーストが、
 中に入ってるんだ。美味しいね」

チェスターが温泉饅頭の、
しっとりとした甘さに舌鼓を打つ。

「出来たての温泉饅頭ってうまい!」

カナタが温泉饅頭を勢いよく頬張り、
むしゃむしゃと咀嚼してみせる。

「結構いけますねこれ。
 署の方にもお土産で買っていきます?」

早くもお土産候補が決まったと、
志藤が他のメンバーに同意を求める。

「そうだな。帰りにまた立ち寄って、
 幾つか買っておこう」

西織もまた温泉饅頭を頬張りつつ、
スマホでメモを取って店の情報をチェックしている。

「会計は|遙斗と初《先輩方》が持ってくれると嬉しいな」

「ちゃっかり俺を財布代わりに
 しないでくれますかね……」

シレッと現金な本音を漏らすチェスターに、
志藤が眉間にしわを寄せる。
温泉饅頭の糖分で疲れも吹き飛んだところで、
4人ともまた各々ばらけて調査を再開する。
街の中央に面した大通りは、
大体回ったあとは裏路地まで、
足を延ばしてみるべきだろうか。
志藤は捜査の傍ら、
その後タバコ休憩で人気のない路地に移動し、
聞き込みを地道に続ける。

「済みません。失踪事件について、
 何かご存じありませんか?」

徐々に日も暮れ始めてゆく。
他の仲間たちはどんな調子だろうか、
空を見上げると失踪事件の多発する、
夜の時間が近づきつつあった。


●思わぬところで失踪事件発生!

すっかり夜の帳が下りて、
温泉街は賑やかな夜の歓楽街として、
様変わりしている。
お楽しみはまだまだこれから、
とばかりに浴衣姿の観光客が、
思い思いの時間をまったり過ごしている。
捜査の報告と作戦会議のため、
一同は既に予約を取った宿の前に集まっていた。

「失踪した人たちも
 こんな風に街を観光してたんだっけ?」

「俺の方は神社でおみくじ引いてきたよ。
 幸先が良いと嬉しいんだけど」

チェスターはまだ遊び足りない様子で、
名残惜し気に歓楽街を眺める。
西織も捜査から戻り、
使い魔の鳥からおみくじを置け取る。

「じゃ、作戦会議に当たって、
 点呼を取りますねって。
 俺は修学旅行の引率の先生じゃ、
 ないんですけど……」

志藤が紫煙をくゆらせやれやれとぼやく。

「チェスターさん」

「は~い」

「西織さん」

「はいっ」

「カナタ君……カナタ君?
 あ、あれ……」

嫌な予感とはどうしてこうも、
的確に最悪の事態を告げるのだろうか。

「嫌な予感がするな。
 このおみくじの内容見てよ」

その横で西織がおみくじの内容を見て、
愕然とした表情になっていた。

「こんな時に何ですか?」

「なになに、俺も見た~い」

志藤とチェスターが、
おみくじの文面に顔を寄せる。
おみくじにはこう書かれていた。

「失せモノ:|彼方《カナタ》へ遠ざかる兆しあり」

「これは、やってくれましたねカナタ君!」

志藤が頭を抱えながら嘆いて見せる。

「ん、もしかしてアレかな?
 鳥の使い魔が旧市街地に向かう、
 カナタと変な妖を見たらしい」

西織が使い魔からの、
情報を受け取り丑寅の方角を指さす。

「それなら今から、
 助けに行くよ~カナタ姫!」

こんなまさかの展開であっても、
チェスターはまんざらでもなさそうに、
芝居がかって見得を切る。


●その少し前、カナタは……

カナタはあまりにもはしゃぎすぎて、
疲れが溜まり捜査の途中であったが、
手ごろな温泉でリラックスしていた。
湯船にお気に入りのアヒルさんをプカプカ浮かべて、
他のメンバーより一足先に温泉をご満悦であった。

「はぁ~~温泉ってほっとするよね~~
 って……まだ捜査の途中でした。
 遊んでばっかいないで捜査に戻るか~」

とカナタは温泉に浸かりながら心霊聴取で、
近くの湯煙で揺蕩うインビジブルに声を掛ける。

「ねーねー、温泉に入ってる人が
 なんか急にいなくなるとか、
 なんか不審な事とか見かけてない?」

ヒナタはインビジブルに話しかけるも、
湯煙の中から現れた奇妙な、
小さなおじさんに話しかけられる。

「不審なやつねぇ……それより坊ちゃん、
 そっちのアヒルさんよりもっと面白い
 オモチャがあるんだが見にこねぇかい?」

普段のカナタであればいくらなんでも、
小さなおじさんを怪しんだに違いないのだが、
温泉に浸かりすっかり注意力がふやけていた。

「アヒルさんが好きです……
 でも、面白いオモチャはもっと好きです!」

カナタはまるで初めて温泉に浸かる、
赤ちゃんように手足をばたつかせて、
アヒルさんをブンブンと引っつかみ、
きゃっきゃと喜んでいた。

「ぐへへ……じゃあ、
 おじさんと一緒に見に行こうか」

ちいさなおじさんは怪しい笑顔を浮かべ、
カナタもまた楽しそうな、
それはそれは楽しそうな笑顔を浮かべて、
湯煙の中へと消えていった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第2章 集団戦 『H餓鬼』


POW さわさわ
【弱パンチ】による牽制、【抱きつき】による捕縛、【絞め技】による強撃の連続攻撃を与える。
SPD なめなめ
敵に攻撃されてから3秒以内に【舐め回し】による反撃を命中させると、反撃ダメージを与えたうえで、敵から先程受けたダメージ等の効果を全回復する。
WIZ 通常戦闘
移動せず3秒詠唱する毎に、1回攻撃or反射or目潰しor物品修理して消える【鬼火】をひとつ創造する。移動すると、現在召喚中の[鬼火]は全て消える。
イラスト 聖マサル
√妖怪百鬼夜行 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●変なおじさんならぬ変な鬼さ~ん

「なんだチミたちは!」

√能力者たちは温泉街にて、
不可思議な失踪事件を追ってゆく内に、
湯煙の中で蠢く怪しい小さな人影を見る。

「コソコソと嗅ぎまわりやがって!
 怪しい変な奴らめ……」

怪しい小さなおじさんではない。
餓鬼と飛ばれる小さな妖たちである。

「変なのは俺たちだってか?」

腰に巻き付けたバスタオルから、
一見すると温泉に浸かりに来た入浴客に見えるが、
こいつらこそが失踪に見せかけ、
観光客を誘拐していた実行犯らしい。

「バレちゃしょうがねぇ……
 こうなりゃオメェらも、
 親分の元に連れてくぜぇ!」

失踪事件の正体を見られたからには、
もはや言い逃れはできないとばかりに、
餓鬼たちはいやらしい手つきと、
いやらしい目線を向け襲い掛かって来る。

※プレイヤーの皆さんは、
 各々前章にいた場所から始まり、
 調査の途中で敵に遭遇した感じで、
 戦闘開始です!
逆月・雫
はいストップ。
誘拐事件の黒幕の所に連れて行ってくれるのね?
ならばお前さん達と戦う理由もないわ。
ここは皆のお風呂、わざわざここで騒いで追い出されるのも嫌でしょう。
上の命令は絶対なんだろうけど、ちゃんとついて行くから、先ずはゆっくりお湯に浸かっていきなさいな。
お酒もありますわよ。

どうしても戦闘になるなら酒瓶や屠蘇器で応戦しますが、迷惑をかけないなら単なる温泉仲間。
無駄な怪我もしたくないでしょうし、黒幕様の情報も聞けるなら尚良し。
どちらかというと男手を集めてるように見えたけど、それは親分さんの希望?
まあ、無理には聞き出さないけれど。

お湯から出たらさくっと身支度整えて、黒幕まで案内して貰いましょう。

「なんじゃお主ら……
 まさか、あの時の湯煙の鬼ども!?」

うたた寝気味だった付喪神の古老が、
目を丸くして驚いて見せる。

「ぐへへ……
 俺たちの姿を見られたからにゃ、
 一緒に来てもらうぜぇ!」
 
調査に協力してくれた同胞の古老を
巻きこむわけには行かない。
と雫は餓鬼たちの前に立ちはだかる。

「はいストップ」

雫の言葉に今度は餓鬼たちが、
面食らって見せる。

「なっ、なんだオメェ?」

「誘拐事件の黒幕の所に、
 連れて行ってくれるのね?
 ならばお前さん達と戦う理由もないわ」

餓鬼たちの言葉通り、
失踪事件の黒幕に会えると言うなら、
雫としてもむしろ手間が省けるというもの。

「ぐへへ、いい心がけじゃねえか。
 狐目の姉ちゃんよ~」

凛とした雫に餓鬼たちが、
下卑た笑みを浮かべてみせる。

「ここは皆のお風呂、
 わざわざここで騒いで、
 追い出されるのも嫌でしょう。
 上の命令は絶対なんだろうけど、
 ちゃんとついて行くから、
 先ずはゆっくりお湯に浸かっていきなさいな。
 お酒もありますわよ」

雫はちゃぽんと子気味良く徳利を振り、
餓鬼たちに酒を振舞おうとする。
雫は居酒屋をやっている経験上、
けんかっ早い客を手なずけるのもお手の物だった。
正に雫の立ち振る舞いは、
女将冥利に尽きると言えた。

「ぐへへ、そりゃあ本当か~?」

「こんなとこで酒にありつけるなんてよ」

「ばぁか、敵から勧められるモンなんて、
 何が入ってっか分からねっぺ」

餓鬼たちは期待半分疑念半分で、
雫の徳利を眺めつつも生唾を飲み込む。
餓鬼たちと戦闘になるなら、
雫も酒瓶や屠蘇器を武器として用いて、
応戦するつもりでいた。
が、迷惑をかけないなら単なる温泉仲間。
雫としては餓鬼たちに、
無駄な怪我をさせる必要はないし、
今回の黒幕の情報も聞けるなら尚良し。
といった思惑をにじませ雫は、
お猪口に酒を注ぎ餓鬼たちに、
グイっと一献を勧める。

「どちらかというと、
 男手を集めてるように見えたけど、
 それは親分さんの希望?
 まあ、無理には聞き出さないけれど」

最初は警戒するように、
お猪口を舌でなめなめしていた餓鬼たちも、
温泉に浸かり徐々に雫が進める清めの酒で、
べろべろに酔いつつある。

「ぐへぇへぇ……ひっく!
 イキの良い情念を持つ人間を集めんだ~。
 男も女も関係ねくよ……
 いずれ親分の計画にゃ必要で~」

酒に酔った餓鬼の一人が口を滑らせる。
どうやら黒幕の思惑には、
誘拐の背後に更なる企みがあるらしい。

「さてと……それじゃ酒代として、
 お前さん達の親分さんの元に
 連れってってちょうだいな」

雫はお湯から出てさくっと身支度を整える。

「よ~し仕事もそろそろ大詰めじゃし、
 今日はもう帰って親分も含めて、
 景気よく酒盛りでもすっぺ!」

湯と酒で上機嫌になった餓鬼たちに、
雫は案内され夜の温泉街へと消えてゆく。
やがて雫は丑寅の方角に進み、
人気のない旧市街が見えてくるのであった。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

壇・壱郎
敵の根城と思しき奇妙建築へ。

せっかく風呂に入ったのに、また汗をかけってか。
まあいい、どうせこうなるだろうと、湯上りに浴衣じゃあなく、スーツを着たんだ。
温泉にはまたあとでつかればいいしな。風呂とサウナには何度入ってもいいのだ。

ネクタイを締め直し、熱血刑事式格闘術で餓鬼の群れと戦う。
鬼火をつくろうが、鬼火ごと殴り飛ばしてやる。

さらわれた人たちはここにいるのか?
餓鬼を蹴散らしながら呼びかけてみる。
「誰かいるのか! |異能捜査官《ケイサツ》だ、助けにきたぞ!」

ほかに√能力者がいれば協力する。

壱郎は聞き込みで判明した、
敵の根城と思しき奇妙建築へと向かう。
妖たちの根城らしい奇妙建築群は、
温泉街を見下ろせる小高い丘にあった。
屈強な壱郎でも坂道を登り切る頃には、
息が上がり額に汗をかいてしまう。

「せっかく風呂に入ったのに、
 また汗をかけってか……」

そう言うものの、
失踪事件の黒幕を突き止める以上、
ぼやいていても始まらない。

「グヘヘ……テメェかぁ?
 俺たちの邪魔をしようってのは」

自分たちの悪事が暴かれ始めている事に、
気が付いた餓鬼たちが壱郎を取り囲み、
数で威圧しようと脅しかけてくる。

「まあいい、
 どうせこうなるだろうと、
 湯上りに浴衣じゃあなく、
 スーツを着たんだ」

既に餓鬼たちに取り囲まれ、
壱郎は退路を断たれている。
が、壱郎は狼狽えることなく、
ネクタイをぴっしりと締め直す。

「言っとくが、俺はタフだぜ。
 お前ら全員で一斉にかかって来い!」

「グヘェ!舐めんなぁ!!」

餓鬼たちが一斉に壱郎に飛び掛かり、
直後四方八方から襲い掛かった餓鬼たちが、
鍛え抜かれた壱郎の膂力によって、
爆ぜる様に吹き飛ばされる。
パワーだけでなくスピードも大幅に強化された、
|熱血刑事式格闘術《タフガイ・アーツ》を真正面から
止められる剛の者はそうはいまい。

「ぎゃひぇひひ……
 そんならコイツぁどうだ!」

肉弾戦で分がないならばと、
後方にいた餓鬼が鬼火を作り出し、
壱郎を燃やしてしまおうと目論む。

「鬼火をつくろうが、
 鬼火ごと殴り飛ばしてやる!」

が、鬼火が大きく育つ前に、
壱郎は残った餓鬼の懐に一気に肉薄し、
容赦なく拳の一撃であっけなく餓鬼を沈める。

「温泉にはまたあとでつかればいいしな。
 風呂とサウナには何度入ってもいいのだ」

既に壱郎はサウナで良い汗を流した後だったが、
更に戦闘で汗を流しその汗をまた流すために、
もう一風呂浴びに行くのも、
それはそれで一興だろう。
そのためにも今回の失踪事件を、
キッチリと解決しなければならない。
餓鬼たちを撃破した壱郎の目の前に、
奇妙建築に埋もれた旧市街の廃墟が広がる。
さらわれた人たちは、
やはりここにいるのだろうか?

「お~い、誰かいるのか!
 異能捜査官のケイサツだ、
 助けにきたぞ!」

廃墟となった旧市街の闇の中へ、
壱郎が大声で呼びかける。
しばらくして助けを求めるような、
うめき声が闇の中で木霊する。
同時に壱郎のツノがムズムズとざわつく。
何か邪で大きな妖力を持った存在が、
この奥に潜んでいるようだ。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

志藤・遙斗
【捜査三課】(アドリブ歓迎)

タバコに火を付けながら
「まさか、警官が誘拐されるとか前代未聞ですよ
仕方ないですね。さっさと迎えに行くとしますか」

無事に発見できた場合声掛けを行う
「カナタ君、無事ですか?取り合えず犯人の特徴等覚えていることは有りますか?」
襲ってきた際は背負い投げで無理やり目を覚まさせる
「よいしょっと、まったく手間を取らせないでください
ほら、さっさと犯人を追いかけますよ」

戦闘時は刀と銃を使い攻撃
正当防衛を使用
「恨むなら俺たちの前に立ちふさがったご自分を恨んでください」

戦闘後
カナタ君に事情聴取を行う
「何か覚えていることは有りますか?
後、勝手に行動したことに対しての始末書もお願いします」
西織・初
【捜査三課】で参加。呼び方は年上には苗字+さん、年下には苗字呼び捨て。

アドリブなど歓迎

【心情】
日南が攫われるとはな。早く助けに行こう。
俺たちは仲間だろう。正気に戻れ!
綺麗に決まりましたね。流石です。志藤さん。

【行動】
空中浮遊、空中移動、空中ダッシュを使い日南が向かった方向へ急行。
彼の様子がおかしいと分かれば念動力で一瞬でも日南の動きを止めて背負い投げのサポートをしよう。
正気に戻ったのならそのまま敵に向けて音響弾で攻撃しつつ√能力を発動。
ギターの演奏で近くにある殺傷力の高い物体で攻撃。詠唱の時間を与えないようにする。

日南は温泉中に攫われていたから旅館の浴衣でも持って行っておこう。
チェスター・ストックウェル
【捜査三課】

まあまあ、まだ囮捜査という線も――
(無さそうかな、と心の声)

旧市街地に向かい、カナタを捜索
発見したら餓鬼たちとの間に割り込む

カミガリが誘拐されてどうするのさ、カナタ姫
……っと、しっかりしなよ
俺たちは味方、敵はあっちなんだって!

うわ、痛そう
お手本みたいに綺麗に決まったなあ、さすが遙斗
カナタが正気に戻ったら、餓鬼たちに向き直って戦闘開始

君たちの親分に挨拶したいのは山々なんだけど、その前に――
【霊震】で霊能霊動波を放ち、敵に震度7相当の震動を与える
接近してくる敵は、世界の歪みである冥々を使って躱し、敵を盾にすることで同士討ちを誘おう

同僚を攫ってくれたお返しは、きっちりしておきたいんだよね
日南・カナタ
【捜査三課】
オモチャ!面白い!
このタルのオモチャにオモチャの剣を刺すと…
タルの中の人の首が飛び出す!(キャッキャ
キミにも刺したら首が飛ぶ!?刺していい!?

とH餓鬼ですら引き気味のカナタの奇行!
助けに来た三課の仲間をカナタはオモチャを奪いに来た敵と思い攻撃を開始!
が、仲間のおかげで正気を取り戻す!

いってぇー!!…ってあれ?
…俺何やってんの?たしか温泉入ってて…
んぎゃーー!(すっぽんぽんだったわ)
うわーー!お前のその布を寄越せーー!

とハンマーで【全力振り】をかまし、H餓鬼から腰布をぶんどる

あれ…皆も来てくれたんですね!
多分こいつらが失踪事件の実行犯です!
こここ、これは囮捜査の一環!(目が泳いでる)

●カナタ姫よ、いまいずこ?

志藤はタバコに火を付けながら、
現実逃避がちに深呼吸してみせる。

「まさか、警官が誘拐されるとか
 前代未聞ですよ……」

志藤と同様に他のメンバーも、
まさかのカナタ誘拐に頭を抱える。

「囚われのカナタ姫か……、
 さすがに今回は想像の斜め上って感じ?」

チェスターが肩をすくめてみせる。 

「確かに日南が攫われるんなんて、
 こんなの俺も想像してなかったよ。
 とにかく早く助けに行こう」

西織が丑寅の方角を見上げて、
軽くため息を吐く。
不幸中の幸いで西織の使い魔が、
カナタの場所を把握していた。

「まったく、仕方ないですね。
 さっさと迎えに行くとしますか」

志藤が吸い終わったタバコを灰皿にしまい込み、
旧市街に向けて夜の温泉街を駆け抜け、
他のメンバーもそれに続いてゆく。
後は一心不乱に追うのみである。


●真っ赤な真っ赤なカナタ姫!?

やがて奇妙建築で埋め尽くされた
旧市街にたどり着いた一行は、
カナタと思しき人影とそれに群がる、
小さな餓鬼たちを発見する。

「いた!あそこだ。
 音に乗れ、呪いよ」

空中ダッシュで先陣を切って辿り着いた
西織が音響弾で餓鬼たちに気付かれる前に、
先制攻撃を仕掛ける。

「なんだぁ、テメェらは!?」

「君たちの親分に挨拶したいのは
 山々なんだけど、その前に――」

続いてチェスターが霊能霊動波を放つ。

「同僚を攫ってくれたお返しは、
 きっちりしておきたいんだよね」

霊震を潜り抜けてなおも、
接近してくる敵にチェスターは、
世界の歪みである冥々を使って攻撃を躱し、
敵を盾にすることで同士討ちを誘う。

「恨むなら俺たちの前に
 立ちふさがったご自分を恨んでください」

二人が先に奇襲をかけた間隙を縫って、
志藤が小竜月詠を構え突撃し、
カナタと三人の間を阻んでいた、
餓鬼たちの群れを一掃した。

「カナタ君、無事ですか?
 取り合えず犯人の特徴等
 覚えていることは有りますか?」

「ばぶー」

駆け付けた志藤たちが見たカナタは、
オモチャで遊ぶことに執着し過ぎて、
赤ちゃんのように顔を真っ赤かにしていた。
いやよく見ると角っぽいものまで生やしていて、
目つきも血走り嫌に鋭かった。

「カナタ姫……お姫様ごっこの次は、
 赤ちゃんプレイにでも目覚めたの?」

ふざけているにしては、
やけにキマッた迫真の演技だと、
チェスターが引き気味に問いかける。

「オモチャ!面白い!
 このタルのオモチャに、
 オモチャの剣を刺すと、
 タルの中の人の首が飛び出す!
 キミにも刺したら首が飛ぶ!?
 刺していい!?」

オモチャの小さな剣を、
キャッキャと振り回しオモチャに、
執着したカナタの双眸は、
到底正気のようには見えなかった。

「俺たちは仲間だろう。正気に戻れ!」

西織が声を張り上げてカナタに呼び掛ける。

「まあまあ、まだ囮捜査という線も……」

珍しく感情を露にする西織に、
チェスターはなだめる様に声を挟むが、
カナタの様子を見るに、
それは無さそうかな、と心の声を飲み込む。
いまのカナタは幼児退行した赤ん坊と言うよりも、
赤鬼の妖になりつつあった。

「俺たちが分からないんですかカナタ君?」

志藤が苛立ちまぎれにカナタから、
オモチャを取り上げようとする。

「ぴぎゃぶーwwww
 オモチャを奪う気だな!」

するとカナタは途端に泣きわめき、
聞かん坊の赤ちゃんのように、
足をデタラメにばたつかせる。
そうこうしている内に、
騒ぎを聞きつけた餓鬼たちが、
増援として押し寄せてくる。

「しっかりしなよ俺たちは味方、
 敵はあっちなんだって!」

どこかこの状況を楽しんでいた、
チェスターまでもが真剣な面持ちで、
餓鬼たちを指さしカナタに語りかける。

「グヘヘ、無駄無駄……
 今のソイツはオモチャで遊ぶことに夢中で、
 お前らの事なんぞ眼中にないとよ!」

餓鬼の一人が嘲るように言い放つ。

「そーそー、親分からすればソイツは、
 立派な成功例の一つだろうさ」

「成功例……一体何のことです?」

志藤の詰問に餓鬼たちが、
下卑た笑みを引っ込めて、
一同を睨み返す。

「おっと、喋り過ぎたか……
 テメェらやっちまえ!」

増援の餓鬼たちが、
三課の面々に襲い掛かる。

「こいつら、仲間を呼んできたか。
 増援は俺の音響弾で防いでみせる」

「もう、しょーがないな~
 ここいらの雑魚は俺たちに任せて、
 遥斗はカナタを頼むよ」

西織とチェスターは集まり出した餓鬼の群れに、
それぞれ得物を構えて志藤の背後を守る。

「おぎゃぶー」

カナタは愛用のハンマーを振り回し、
志藤に襲い掛かって来る。

「仕方ない。こうなったら荒療治ですが、
 覚悟して下さいよ……カナタ君!」

志藤は厳しい表情で西織に目配せする。
西織も志藤のやらんとする事を理解し、
頷きながら念動力でカナタの動きを止める。
もはや言葉でいくら説得しても、
無理と悟った志藤は意を決し、
カナタを引っ掴みそのまま背負い込む。

「オギャア!!」

直後乾いた地面に、
どさりとした鈍い音が響く。
カナタは成す術もなく地面に突っ伏していた。
志藤渾身の背負い投げが炸裂したのだった。

「うわ、痛そう~。
 お手本みたいに綺麗に決まったなあ、
 さすが遙斗」

「綺麗に決まりましたね。
 流石です。志藤さん」

餓鬼たちの増援をあらかた片付けた、
チェスターと西織の二人が、
共に志藤の背負い投げに喝采を送る。

「いってぇー!!……ってあれ?
 俺、何やってんの?
 たしか温泉入ってて」

背負い投げを喰らったショックのおかげか、
カナタの赤く染まった肌は元に戻り、
角らしきものも外れていた。
そして悪い夢から覚めたように、
カナタは辺りを見回しある重大な事実に気が付く。

「んぎゃーー!
 俺すっぽんぽんだったわ!!
 うわーー!
 お前のその布を寄越せーー!」

自身の生まれたばかりの姿に、
カナタは今更気が付き再び赤面する。
そして倒れている餓鬼の一人から、
腰布を奪い取ろうとする。

「大丈夫ちゃんと旅館から、
 浴衣を一着持ってきたから。
 今はこれでも着てなよ」

そんなカナタのいや~んな痴態に呆れつつも、
西織はカナタへ浴衣を優しく手渡す。

「あんもぉ、しばらくトラウマになりそ」

未だ羞恥心であわあわと落ち着きがない
カナタに西織は浴衣を着せてあげ、
はだけない様にしっかりと帯締めをして、
着付けを完成させる。

「これで良しっと」


●黒幕の思惑とは……

「で、何か覚えていることは有りますか?
 後、勝手に行動したことに対しての
 始末書も後でお願いします」

一先ず浴衣を着て、
落ち着きを取り戻したカナタに、
志藤が事情聴取を始める。

「カミガリが誘拐されて、
 どうするのさ、カナタ姫」

チェスターが安堵と軽蔑をない交ぜにした、
奇妙な目線でカナタに語りかける。

「こここ、これは囮捜査の一環で……」

先ほどまでオモチャに夢中で、
危うく鬼になりかけていたカナタが、
目を泳がせながら言い訳をまくし立てる。

「へぇーあれが囮捜査の一環でやってたなら、
 カナタの演技力ってプロレベルだよ……
 B級ホラーの俳優でも目指したら?」

一応今回迷惑を掛けられた以上、
チェスターとしてはカナタに、
嫌味の一つくらいは言いたくもなる。

「なっ、何も思い出せない~
 ただオモチャで遊びたいって、
 強烈な衝動だけは、
 嫌に覚えてます……」

カナタが土下座して、
地面にガンガンと、
頭を叩きつけて三課の皆に謝る。

「まぁまぁ、今は日南を責めるより先に、
 事件の黒幕を早くどうにかしないと。
 捕まった人たちがさっきの日南みたく、
 なってるとしたら大変な事だよ」

西織が冷静に状況を分析してみせる。
さっきのカナタの豹変ぶりが、
今回の事件の核心だとしら、
誘拐騒ぎでは済まなくなるだろう。

「そうですね。
 カナタ君も無事でしたし、
 事件の黒幕にご挨拶と行きましょう」

「散々俺たちを引っ掻き回してくれた
 お礼はしっかりしないとな」

志藤とチェスターも禍々しい妖気を感じ取ったのか、
旧市街の奥にいる首魁の存在に目を向ける。
その邪な情念と目論見を阻止するのは今しかない。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第3章 ボス戦 『赤岳丸』


POW 国潰し
60秒間【鬼の闘気】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【金棒による大振り】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
SPD 烈風返し
敵に攻撃されてから3秒以内に【金棒から繰り出される斬撃の風圧】による反撃を命中させると、反撃ダメージを与えたうえで、敵から先程受けたダメージ等の効果を全回復する。
WIZ 大山崩し
【古の鬼神の闘気】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【大山崩し】」が使用可能になる。
イラスト 星月ちよ
√妖怪百鬼夜行 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●鬼たちの巨魁『赤岳丸』

温泉街から離れた丘陵の上にある旧市街。
そこは昔この街が炭鉱の町として栄えていた頃の、
古き栄華を残す場所であった。
時代の流れで炭鉱の鉱脈が尽き、
代わりにふもとで温泉がわき出し、
街の中心が現在の温泉街に移ってからは、
奇妙建築が入り乱れる廃墟となって久しい。
そんな廃墟である野心を抱く、
猛き赤鬼の姿があった。

「来よったようやなぁ……
 儂の計画を邪魔だてする√能力者めら!
 儂が今回の事件の首謀者、赤岳丸や」

金棒を軽々しく振るう巨躯の赤鬼が、
√能力者達に獰猛な笑みを浮かべる。

「儂の計画とは何か、やと?
 まぁ……冥途の土産に教えたるわ。
 人間の煩悩つまり欲の力は凄いもんやで。
 今回はその欲望を利用して、
 攫った人間どもを鬼に変える。
 そいでこの√百鬼夜行を儂のモノとする。
 今回はその国盗りのために、
 儂が仕組んだ事だったんやが……」

赤岳丸は金棒を一同に向け、
猛き怒りをさく裂させる。

「おどれら√能力者のせいで、
 儂の国盗り絵巻が台無しやで。
 この落とし前どうつけてくれるんやぁ!」

赤岳丸の傍らにはその国盗りのために、
餓鬼たちに攫われた人々が、
牢の中に閉じ込められている。
中には半分鬼と化しつつある者もいる様だった。
攫われた人々もいま解放できれば、
人間に戻すことができるだろう。
そのためには野心に狂える、
鬼たちの巨魁、赤岳丸を倒さねばならない。
壇・壱郎
人間を鬼に変えるだと……笑えない冗談だな。
囚われた人たちを牢から出してやりたいところだが、このツノで怖がらせてもいかんしな。
もう少しだけ待っていてくれ。

……おまえが黒幕だな、俺が相手だ。
ツノツキ同士、やりあうとしようか。

とは言ったものの、さすがに一対一は分が悪い。
真っ向勝負!と見せかけて、影を使った牽制、牽制、牽制。
ほかの√能力者が来るまで時間稼ぎをしようか。
ああいう手合いは、こういうのはイライラするだろ?
頭に血が昇ったら、負けの合図だ。

仲間が来たら、攻撃のチャンスをつくれるよう、敵の注意をひく。
多少、殴られるのは想定内だ。俺はなかなか頑丈だぜ!

壱郎の前には自らと同じ程の、
巨躯を誇る赤岳丸が立ち塞がる。

「人間を鬼に変えるだと……
 笑えない冗談だな」

「ほう、そうかいな?
 儂は大真面目に妙案だと思っとるでぇ」

赤岳丸がふてぶてしく言葉を返す。
壱郎としては囚われた人たちを
早く牢から出してやりたいところだった。
が、囚われの人々を、
自分のツノで怖がらせるのもまずいかと、
壱郎は牢の奥を一瞥してから、
再び赤岳丸に向き直る。
もう少しだけ待っていてくれ。
と、壱郎はその気持ちを心にしまい込む。

「俺が相手だ。ツノツキ同士、
 やりあうとしようか」

壱郎は威勢よく指の関節を鳴らし、
ファイティングポーズを取る。

「おう、威勢の良いあんちゃんやな。
 そう言う熱い漢は好きやで!」

赤岳丸が獰猛な笑みを浮かべたまま、
巨大な金棒を豪快に一振りしてみせる。
壱郎はその一撃を正面から受け止めるかと、
思いきや泥濘のような影の領域『黒い煉獄』を展開させ、
金棒の一撃を回避してみせる。
その次の二撃目も三撃目も、
影を使った牽制を使って大ぶりな、
金棒の打撃をかわしてゆく。

「オラァ、逃げてばかりじゃ、
 儂は倒せんで、掛かってこんかい!
 立派なのはガタイだけかぁ?」

逃げてばかりいる壱郎に、
赤岳丸は次第に苛立ちを募らせる。
その様子を見て壱郎は、
策が成功しつつあると実感する。
自分の力をもってしても、
赤岳丸ほどの剛の者をタイマンで倒すのは、
難しいと判断した壱郎は、
ほかの√能力者が来るまで時間稼ぎを画策する。

「ワレェ、いい加減にせぇ!
 その根性ごとどついたる!」

赤岳丸の一撃が遂に、
壱郎の頭にヒットする。
その重い一撃に壱郎は額から鮮血を流しつつも、
壱郎は歯を食いしばり気合で笑って見せる。

「どうだ、俺はなかなか頑丈だぜ!」

味方が来るまでの時間稼ぎのためにも、
多少攻撃を喰らうのも覚悟の内である。

「ほう、儂の金棒でどついても、
 倒れんとは言葉通りタフガイやな。
 それなら、これならどうや!」

壱郎の頑丈さに嗜虐心を刺激されてか、
赤岳丸は鬼の闘気を溜め国潰しの構えに入る。
戦いはまだ始まったばかり、
力をぶつけ合うばかりが戦いではない。
頭に血が昇ったら、負けの合図だ。
それを肝に銘じて壱郎はたけり狂う赤岳丸の金棒を、
淡々といなしてゆく。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

逆月・雫
小鬼の親分は鬼…まあある意味当然ですか。
あぁ、案内ありがとう。
怪我しないように避難しておいた方がいいですよ。

絨毯による高速移動でヒットアンドアウェイを。
手持ちの武器も上空からの遠距離攻撃(酒、絵本など)で
なるべく相手の攻撃範囲外に。
時折絨毯での突撃+酒瓶での打撃で目眩ましを入れながら、頃合いを見計らって上空からの子狸投下。
二〜三匹は流れ弾防止に牢の方へ、後は皆で鬼退治ですよ。
しがみつくなんなり、行動の邪魔と意識の方向転換を狸に頼み、背後から留めの一撃を狙います。

残念ですがこの世界、力だけでは支配出来ませんわよ。

被害者達が解放できましたら…もう一度、ゆっくり浸かっていきましょうか。
横丁の湯殿で。

「小鬼の親分は鬼……
 まあある意味当然ですか」

餓鬼たちに案内されて、
旧市街までやって来た雫が見たのは、
いかにもと言った感じの赤い大鬼が、
ふんぞり返っている姿であった。

「なんや、お前らぁ!
 ベロベロに酔っぱらいおって。
 まさか儂の与えた仕事サボって、
 居酒屋で遊んでたんかい!?」

金棒を持った赤岳丸が、
部下である餓鬼たちの体たらくを見て、
憤怒の形相で餓鬼たちを凄む。

「ぐひゃひぃ!決してそんなこたぁ……
 この女が是非とも親分に、
 お会いしてぇそうでして」

酒に酔っぱらっていたのは事実なので、
餓鬼たちは助け舟を期待してか、
気まずそうに雫の方をチラ見している。

「あぁ、案内ありがとう。
 怪我しないように
 避難しておいた方がいいですよ」

雫は餓鬼たちににっこり笑い、
今度は赤岳丸に視線を移し歩み寄る。

「なんや姉ちゃん……
 儂の手下を唆して、
 一体何を企んでんねん?」

赤岳丸が金棒に手をかけ雫を威嚇する。

「お初にお目にかかりますわね。
 何を企むと申しましても、
 私としては温泉街の平和を取り戻して、
 のほほんと湯につかりたいだけですのよ」

雫はたおやかに口元で微笑みつつも、
目つきは冷徹に研ぎ澄まし、
酒瓶と絵本を赤岳丸に投げつけ、
初手から意表を突いた奇襲を仕掛ける。

「ええい、何すんねん!」

金棒でそれらを打ち払い、
赤岳丸が怒りをぶちまける。
その隙に雫は絨毯による高速移動で、
赤岳丸の金棒の射程から逃げ遂せる。

「おいでませ、そぉれぽんぽこぽん♪」

更に赤岳丸に反撃の猶予を与えず、
上空からの|信楽子狸大行進子《ポンポコマァチ》で狸を投下。
二〜三匹は流れ弾防止に雫は牢の方へと誘導する。

「さぁ、後は皆で鬼退治ですよ」

「なんや、狸の置物なんぞ降らせおってからに」

赤岳丸はうっとおしそうに、
金棒で信楽焼の狸たちを打ち払う。
しかし、その一瞬こそが雫の目論見であった。

「残念ですがこの世界、
 力だけでは支配出来ませんわよ」

空から降る狸に注意を奪われた赤岳丸の背後から、
雫はその首筋に酒瓶の割れた破片を、
匕首のように静かにしかし容赦なく突き立てる。
首もとでにっこりと目を細めて笑う雫に、
赤岳丸が忌々しく歯ぎしりしてみせる。

「ええい、とんだ女狐めが!」

もうひと押しでこの赤鬼を退治することができる。
それが済んで攫われた人々を解放できた暁には、
もう一度あの横丁の湯殿で、
ゆっくり温泉に浸かっていきましょうか。
雫は芳しい香りの湯殿で一杯晩酌を済ませて、
秋の夜長にぐっすり寝る事を期待していた。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

志藤・遙斗
【捜査三課】で参加(アドリブ歓迎)
タバコに火を付けながら
「貴方が餓鬼たちの親玉ですか?
一応確認なんですけど、さらった人達を今すぐ開放して、投降する気は有りませんか?」
「まぁ、無理ですよね。仕方ありませんね。
これより実力行使で行かせてもらいます。」

戦闘時
刀と銃を使用し攻撃
「悪いけど悪は斬る!恨まないでくださいね」
「カナタ君、トドメは任せます。」

戦闘後
新しいタバコに火を付けて
「さてと、コレで事件は解決ですね?
折角温泉に来ていますし、温泉にでも行きましょう」
「カナタ君はすでに楽しんだようですし、後始末とかお願いしますね。
後、報告書と始末書と経費の計算も・・・まぁ、さすがに悪いですし手伝いますよ」
日南・カナタ
【捜査三課】
この度の失踪事件の黒幕はお前だったのかーー!
よくも俺を浚って変な目に遭わせたなー!
しかも絵面的にも結構ヤバかった!
もうこの怒り、ぶつけるしかないよね!
攫われた人達も今助けたらなんとかなりそうだし!
赤岳丸!覚悟して貰うよ!(ハンマーびしり!)

トドメを任せてくれるっていうから
じゃあ俺は怒りを込めて60秒間気合をチャージ!

皆の憩いの場、温泉の治安を乱した罪の重さ、
このハンマーにて受けて貰うよ!
くらえ!【超絶気合撃】!!

え?俺が報告書?
始末書と経費の計算も!?
うえ~ん、俺も早く終わらせてもっかい温泉入るんだ~~い!!
あ、湯上り牛乳やるならちゃんと腰に手を当ててこう、ぐいっと

*アドリブ歓迎
西織・初
【捜査三課】で参加。呼び方は年上には苗字+さん、年下には苗字呼び捨て。

アドリブなど歓迎

【心情】
全ての犯行をわざわざ先んじて吐いてくれてありがとう。
折角だから最後は決めてくれ、日南。
温泉に入ってから出来ることは手伝うか。今日はあっちこっち飛び回った気がするよ。

【行動】
POWで判定。
空中浮遊、空中移動、空中ダッシュを使い行動。
そのまま敵に向けて鎧無視攻撃、スナイパーの技能を使い音響弾で攻撃。
味方や自分がダメージを受ければ√能力を使い回復しよう。
俺は回復役や援護に回り最後の一撃は日南に譲る。色々と恨みはあるだろうからな。

全て終わって被害者を帰したら温泉に入ろうか。
チェスター・ストックウェル
【捜査三課】

ふうん。犯罪を自供してくれたってことは、覚悟ができてるってことだよね?
俺たち捜査三課のメンバーを敵に回すっていう――ね!

カナタがチャージしている間、三人で時間を稼ぎつつ敵の体力を削っていこう
赤岳丸が攻撃を仕掛けてくるのと同時に【選手交代】
数メートル先のインビジブルと自身の位置を入れ替え、インビジブルに触れた敵を麻痺を伴う霊障状態にしてしまおう

あはは、引っ掛かった!
俺、幽霊なんだ

さあ、カナタ
ここで外すなんてダサい真似はしないでよ?

戦闘後は攫われた人たちを解放
ふう、終わった終わったー
いいね、温泉に浸かってゆっくりしたいな

それとカナタ、俺には湯上がりの牛乳一本奢りでよろしく

●三課たちの鬼退治

「全ての犯行をわざわざ先んじて
 吐いてくれてありがとう」

律儀にも己が野望を語ってくれた事につき、
西織が赤岳丸に率直に会釈してみせる。

「ふうん。
 犯罪を自供してくれたってことは、
 覚悟ができてるってことだよね?
 俺たち捜査三課のメンバーを、
 敵に回すっていう――ね!」

続いてチェスターが赤岳丸を煽って見せる。

「貴方が餓鬼たちの親玉ですか?
 一応確認なんですけど、
 さらった人達を今すぐ解放して、
 投降する気は有りませんか?」

タバコに火を付けながら志藤が、
いつも通りの口上を述べて見せる。

「アホンダラ!こちとら官憲が怖くて、
 国盗りなんぞ企めるかい!!
 餓鬼どもに誘拐させた人間共は、
 儂の野望成就のために必要な駒やぁ!
 今更手放す訳ないやろがい!!」

志藤の警告に赤岳丸が激昂して、
乱暴に金棒を振り牢の怯える人々を示す。
放っておけばこの人たちも、
先ほどのカナタのようになり、
やがて赤岳丸の尖兵と化すのだろう。

「まぁ、無理ですよね。仕方ありません……
 これより実力行使で行かせてもらいます」

赤岳丸の態度を見てやはりなと、
志藤が気だるげに紫煙を吐き捨てる。
それを合図に他の三課の面々も武器を構える。

「よくも俺を浚って変な目に遭わせたなー!
 しかも絵面的にも結構ヤバかった!
 もうこの怒り、ぶつけるしかないよね!」

特に今回拉致され危うく赤鬼にされかけた
カナタとしては怒りに燃え立つのも当然である。

「攫われた人達も今助けたら、
 なんとかなりそうだし!
 赤岳丸!覚悟して貰うよ!」

カナタは義憤に燃える正義の味方らしく、
ハンマーびしりと赤岳丸にキメてみせる。

「なんや、さっきまでオモチャ掴んで、
 赤ん坊みたくはしゃいでた癖に。
 いっそあのままの方が、
 あんちゃんにとっちゃ、
 幸せだったんちゃうのん?」

赤岳丸が嫌味ったらしく笑い、
白々しいとばかりにカナタを責め立ててる。

「それを言われると……
 色々と思いだしちゃう」

改めてカナタは自分の痴態を思い出し、
顔を赤らめ硬直しながらも、
ハンマーを力強く握りしめる。
今はその雪辱を果たすために、
静かな闘志を研ぎ澄ませ力を込めてゆく。

「悪いけど悪は斬る!
 恨まないでくださいね」

まずは志藤が小竜月詠を正眼に構え、
赤岳丸に斬り掛かる。
志藤の太刀筋を飛んだ赤岳丸が、
しなやかに躱し金棒の一撃を、
志藤のわき腹に見舞う。

「フン!そないな太刀筋じゃ
 この赤岳丸は斬れへんでぇ!」

「くっ……流石に強いですね」

あばらが何本かへし折れているのか、
志藤がわき腹を押さえて呻く。

「大丈夫ですか!志藤さん?
 かなりの強敵だな……
 俺は回復役に回ろう」

とっさに西織が時戻りの歌で、
志藤の傷を治してゆく。

「さて、鬼さんこちら。
 俺は簡単にはやられないよ~」

チェスターが手を打ち鳴らし、
赤岳丸を挑発してみせる。

「ほう小生意気な小童め、
 ほな今度は儂からいくでぇ!」

赤岳丸が獰猛そうに金棒を握りしめ、
チェスターへと飛び掛かる。
金棒の一撃がチェスターを砕いた瞬間、
選手交代によってチェスターは、
数メートル先のインビジブルと自身の位置を入れ替える。

「ええい!小癪な真似をしよる」

インビジブルに触れた赤岳丸は、
麻痺を伴う霊障状態に一時的に陥ってしまう。

「あはは、引っ掛かった!
 俺、幽霊なんだ」

赤岳丸をしてやったチェスターが、
悪戯っぽく微笑んで見せる。
最大の切り札とは、
最後に取っておくに限ると、
その眼は嘲笑っていた。

「さっきは、やってくれましたね」

チェスターの機転で時間を稼いでいる内に、
傷が癒えた志藤が八咫烏の援護射撃で加勢する。

「近寄らなければどうと言う事はないな」

そこに空中ダッシュで西織が宙を舞い、
空からの音響弾で更に援護を厚くする。

「ええい、遠巻きにうっとおしいわ」

ダメージが蓄積した分、
赤岳丸の動きが鈍りつつある。
今ならばカナタ必殺の一撃を、
遠慮なく喰らわせる事ができるだろう。

「カナタ君、トドメは任せます」

「折角だから最後は決めてくれ、日南」

「さあ、カナタ
 ここで外すなんてダサい真似はしないでよ?」

志藤、西織、チェスターが最後は任せたと、
カナタに熱い目線を送る。
三人が時間を稼いでくれたおかげで、
カナタはハンマーに十分力を溜めこむ事が出来た。

「皆の憩いの場、温泉の治安を乱した罪の重さ、
 このハンマーにて受けて貰うよ!
 くらえ!超絶気合撃!!」

ゴウッっと大気を揺るがせる音が響き、
カナタ渾身のフルスイングが、
大鬼の巨魁にクリーンヒットする。

「この儂がぁ!こんな奴らにぃ~!!」

カナタの怒りの一撃を喰らった赤岳丸は、
勢いよく吹き飛び、
そのまま奇妙建築の壁を突き破り、
やがて夜空の星となって爆散したのであった。


●仕事上がりの至高の温泉

赤岳丸が倒されたことで、
餓鬼に攫われ鬼化しつつあった人たちも、
自然に元の姿へと戻っていた。
三課の面々は牢に閉じ込められていた
人々を解放し終えこれにて、
温泉街を騒がせていた失踪事件は、
これにて幕を降ろしたのであった。

「ふう、終わった終わったー」

既に肌寒い秋空の下で、
チェスターが全身で伸びをしてみせる。

「さてと、コレで事件は解決ですね?
 今回は折角温泉街に来ていますし、
 温泉で仕事の疲れを流しましょう」

ようやくこれで事件が解決したと、
志藤は新しいタバコに火を付けて一服する。

「そうだな。
 今日はあっちこっち飛び回って、
 俺も疲れちゃったよ」

西織が自らの肩をポンポンと叩き、
ため息を吐く。

「そうそう、誰かさんを除いて、
 俺たちまだ温泉入ってなかったよね」

チェスターがカナタへ目線を滑らせる。

「カナタ君はすでに楽しんだようですし、
 後始末とかお願いしますね。
 後、報告書と始末書と経費の計算も」

志藤がジト目になりつつ、
カナタに諸々事後の処理を頼む。

「え?俺が報告書?
 始末書と経費の計算も!?
 うえ~ん、俺も早く終わらせて
 もっかい温泉入るんだ~~い!!」

色んな仕事を押し付けられて、
カナタはジタバタと駄々をこねる。

「まぁ、さすがに一人で
 やらせるのは悪いですし、
 少しは手伝いますよ」

始末書は署に戻ってからカナタ本人が、
じっくり作成するとして、
他の諸々の書類仕事は、
なんだかんだで皆で協力して、
とっとと済ませる一同であった。
肌寒い秋の夜長も更けてきた頃合いである。
骨身にしみた疲れと寒さを洗い流すために、
今度こそ4人は熱い湯にじっくり浸かり、
秋の温泉を満喫したのであった。

「それとカナタ、俺には
 湯上がりの牛乳一本奢りでよろしく」

体の芯までじっくり温まったら、
今度は外気浴でゆっくり体の熱を冷ます。
水分補給をするならなお良しなので、
湯から上がってチェスターは、
カナタに冷たい牛乳を一本をねだる。

「カナタ君、俺はコーヒー牛乳でお願いします」

「じゃあ、フルーツ牛乳にしようかな」

志藤と西織も便乗して湯上りの牛乳を選んでいる。

「分かったよ~もう」

今回カナタはみんなに助けられた以上、
迷惑料としては安い方である。

「あ、湯上り牛乳やるならちゃんと
 腰に手を当ててこう、ぐいっと」

みんなに牛乳に配り終えたカナタは、
キンキンに冷えた牛乳を、
古風なポージングを決めグイグイ飲み干す。

「美味ぁ~い!もう一本!!」

色々あった一日だったが、
何はともあれ秋の夜長の、
仕事終わりに入る熱い温泉と、
湯上りの冷えた牛乳に勝る
幸せはない今日この頃であった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

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