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本能よりも色へ

#√妖怪百鬼夜行 #ノベル #濃キス

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●染まりゆく
 まどろむ意識を覚醒させ、カーテンの隙間から入り込む街の灯りが眩しくて手を伸ばした。
 非常に柔らかく、そして温かくて甘い香りがする。
 |瑞垣・零一《みずがき れいいち》(熱血警官・h01805)は違和感を感じて視線を上げた瞬間、眼前で熱を帯びた瞳で妖艶に微笑んでいる罪人であるレディ・コルチカムの顔があった。
「零一君」
 名前を呼ばれるだけで体温が一度上がった気がする。
「ねぇ、無視しないでよ。ほら……」
 彼女は罪人だ! と、煩悩を振り払うかのように首を横に振ろうとするが寝ぼけて掴んだ部分から手が離せない。
 コルチカムはするり、と両手を零一の背中に回して抱きしめると空いている方の手は何故か腰へ。
「だ……」
『ウソ、その目は期待している目よ』
「……っ!」
 コルチカムは両手で零一の頬を包みながらジッと見つめた。
『だから、ね? イイでしょ? キス』
 零一はコルチカムの言葉を聞いて頭痛くなる気がして――
 ずいっとコルチカムの瞳が更に近づいてきて、声を上げようにも零一の唇は彼女に奪われている。
 肌ごと吸い付いているようで、離そうにも離れなくて、なんならコルチカムは奥へと心の奥まで入り込もうとしている。
 ゾワ、と背筋の産毛が立つ感覚と同時に彼女の子供はあやすかのように背に手をはおわせた。
 顔に掛かった髪から甘い香りがして零一、彼の心も本能も色に溺れていきそうだ。
 甘い吐息と少し汗臭い吐息が混じり、零一の熱くなって汗ばんだ手は無意識に彼女の腰や臀部へ滑らす。
 長い、それでも苦しいよりも唇で吸い合う感覚が初めて色を知った頃の己を呼び覚ます。

『(ねぇ、みーくん……零一君て――)』
 目の前の零一君とキスをしている。
 アッチは体を熱くして、雄としての本能で狂っている零一君が滑稽だ。
 嬉しい、嬉しい、と狂って激しく唇を求める。
 手は忙しく体を触り、とりあえず時々は舌で口の中をくすぐって遊んだ。

 これで最後だから、これで最後。

 その言葉は何度心の中で言ったか思い出せないほどに、コルチカムの体の温もりを全身で感じながら貪る。
 それが空っぽのであろうとも、それが一方通行であろうとも、そして敵同士であっても今だけ心に色を満たせれば良い。
 コルチカムが見せている夢かもしれない今を零一は目覚めるまで、深く、ゆっくりと互いの唇を吸い合ったのであった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

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