シナリオ

アテナイ学園放送部

#√マスクド・ヒーロー #私立アテナイ学園

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 #√マスクド・ヒーロー
 #私立アテナイ学園

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 チャ~ラチャチャチャチャ、チャ~♪
「しょうわ仮面のおねえさま、顏を隠して正義を助ける、いい女ひとよ♪」
 赤い全頭マスクから、鋭い眼光だけが覗く。
 |昭月・和子《あきづき・かずこ》(しょうわ仮面・h00863)が、廃工場にさっそうと現れる。
「√能力者のみなさん、集まっていただきありがとうございます。星詠みをお伝えしましょう」
 これまでにいくつかの事件が起こっている『私立アテナイ学園』。
 侵入したり潜入したり、見たり見られたりした者もいたが、今回は正式に招かれたという。
「『ヒーローを追う者』が出現した事件で巻き込まれた女生徒は、学園の放送部に所属していました。怪人に襲われた記憶は消えてしまったようですが、縁ができて星に影響を与え、彼らから取材を受けることになったのです」
 放送部は、部活動の一環としてWEB番組をつくっている。
 学生対象の番組コンテストで優勝経験もあるため、学園内での評価も高い、とのことだった。
「ヒーローとしてインタビューに答えてあげてください。能力のデモンストレーションなどは行わず、考えや経験を語っていただくだけでけっこうです。√マスクド・ヒーローでは、悪の組織もヒーローも、皆が存在を信じながらも表立っての対決ができない世界なのですから」
 正義の味方の精神を伝えていく。
 しょうわ仮面はその大切さを念押しした。
「さて、星詠みに出たのは、このインタビューを受けた場合のあとのことです」
 収録はつつがなく終わる。
 学園の去り際に、校舎内で怪人か戦闘員が潜んでいるところを発見できるという。
「いまだに悪の組織の実態や、アテナイ学園との関係も不明ですが、何かが起こっているのは間違いありません。学園の敷地に踏み入れられる機会を生かして、これら怪人や戦闘員を撃破してください。次の星詠みに繋がるはずですから。簒奪者と戦うみなさん、そして心を同じくするヒーローのみなさん。どうか力をお貸しください」

マスターより

大丁
 オープニングをお読みいただきありがとうございます。
 マスターの大丁です。

 今回は、学校内での日常シーンのあと戦闘になるシナリオとなっております。

 三章構成のうち、第一章だけは放送部のインタビューです。二章以降はなんらかの敵と戦闘する展開が予定されております。

 √能力者のお名前についてです。初出はIDまで含めた正式名を地の文でいれます。以降は、下の名前(洋名はファーストネーム)が基本となりますが、プレイングでご指定くだされば、二つ名や称号、ヒーローとしての名前で記述いたします。

 プレイングによりますけれど、戦闘で服がピンチになるかもしれない依頼です。スタイルの指定がなければ、キャラクター画面の情報を参考に描写させていただきます。

 戦いに、冒険に。そして、ドキドキを。
 みなさまの素晴らしいプレイングをお待ちしております。
18

第1章 日常 『ヒーロー取材』


POW ヒーローとしての信念を語る
SPD 正義の心を啓発する
WIZ 他のヒーローと対談する
√マスクド・ヒーロー 普通5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

嘯祇・笙呼
女のヒーローってさ、「くっころ」があってなんぼだと思うんだ。
乳を「ぶるんばるん」揺らしながら戦い、バストラインを「ばばん」と見せつけるのは基本。
背中や胸元を「ガバァ」と露出すればいう事ないし、ハミ乳であればなおよろしい。
いいか? 
羞恥心や紳士(淑女)協定なんて忘れろ。どのみちオトすことになるんだ。無駄極まりない。
ああ確かに体裁というより外面は大事だな。
なりふりかまわないというのは今後の周囲との軋轢を鑑みるといかにもまずい。
なによりスマートではないしね。
例えばそこの君。君は裏で多くの男を喰ってるが、周囲に男好きと思われたくないだろう?
いや君は食ってるよ。そんな顔をしている。
うっそ。…まじでぇ~?

 部室棟とされる建物は、|嘯祇・笙呼《しょうぎ・しょうこ》(人間(√マスクド・ヒーロー)のマスクド・ヒーロー・h01511)から見ても普通で、変哲のないものだった。通されたスタジオは、機材も充実していて撮影はグリーンバックの前で行うようになっており、スタッフはすべて学園生徒が制服姿のままで行っている。
 インタビュアーはフレーム外から尋ねてくる形式。
 収録後にテロップや背景を加工するなどの説明も受けた。
 笙呼の中の人は、デジタル機器には関りがあったから、つい素でほうと感心の声がでる。カメラが回るまえに、名前と姿について確認された。本名っぽいし、マスクはあっても童顔が丸出しだ。
「ああ、ダイジョウブ。今のこれが盛ってる状態だから」
「失礼いたしました。変身されてるんですね!」
 ディレクター役の女生徒は、眼を輝かせる。番組を企画するくらいだから、ヒーローに憧れがあるのだろう。収録が始まって、いくつかの質問に答えたあと、笙呼の『ヒーローとしての信念』を語るくだりがきた。
「女のヒーローってさ、『くっころ』があってなんぼだと思うんだ」
「『くっころ』、ですか?」
 インタビュアーが首を傾げているあいだに、ほかの女子スタッフがスマホで検索をかけ始めたようだ。
 笙呼は待たずに、自分バースを展開する。
「乳を『ぶるんばるん』揺らしながら戦い、バストラインを『ばばん』と見せつけるのは基本。背中や胸元を『ガバァ』と露出すればいう事ないし、ハミ乳であればなおよろしい。いいか? 羞恥心や紳士(淑女)協定なんて忘れろ。どのみちオトすことになるんだ。無駄極まりない」
 なんの話をしているか、放送部の男女はだんだんわかってきたようだ。
 真っ赤な顔をして戸惑う者もいれば、第二カメラのようにヒラヒラな布をかぶせただけの笙呼の胸元をアップで抜くなど仕事が早い者もいる。
 編集でインサートカットに使ってくれたらいいな、などと思いつつ。
「ああ確かに体裁というより外面は大事だな」
 笙呼は発言の熱を下げ、場を収めていく。
「なりふりかまわないというのは今後の周囲との軋轢を鑑みるといかにもまずい。なによりスマートではないしね。例えばそこの君」
 スマホのスタッフを指差す。
「君は裏で多くの男を喰ってるが、周囲に男好きと思われたくないだろう? いや君は食ってるよ。そんな顔をしている。うっそ。……まじでぇ~?」
 顔の前で手をふる女子を、第二カメラが撮ろうと振り返ったら、思い切り蹴られていた。
 スタジオ内に笑い声がひろがって和やかになり、笙呼は強いヒーローというだけでなく、好人物として生徒たちから慕われる。あの子が、『くっころ』の解説テロップを入れてくれるかは、わからないけれども。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

第四世代型・ルーシー
『今回の依頼はインタビューに答えて怪人をあぶりだすことでいいのよね? マスター』
『目の前で助けを求める人がいた、体が動いていたただそれだけの事』

カメラを持って追いかけてきた彼女は無事だったみたいね、それにしても今度は学校に潜んでいる怪人をみつけるだなんて、この世界に怪人はそこら中にいるのね、 今度はいざというときにWZがないと困るから近くに置いておかないと。
インタビューって何を答えたらいいのかな? マスターの持ってくる依頼をこなしていることとか? なぜ人を守りたいとか? 人が傷つくのをみたくないのよねぇ、誰かが悲しむ事件なんてない方がいいもの。

(「カメラを持って追いかけてきた彼女は無事だったみたいね」)
 第四世代型・ルーシー(独立傭兵・h01868)は出番を待つあいだ、ディレクターの子が元気に采配を振るっている様子を眺める。
(「今回の依頼はインタビューに答えて怪人をあぶりだすことでいいのよね? マスター」)
 考えてみれば、ルーシーは尋ねる側がほとんどだ。
 与えられた依頼を受け、必要な情報を得る。それをこなす。
(「インタビューって何を答えたらいいのかな? マスターの持ってくる依頼のこととか? なぜ人を守りたいとか? 人が傷つくのをみたくないのよねぇ、誰かが悲しむ事件なんてない方がいいもの」)
 電脳義体サイボーグにとっては、√ウォーゾーンとの違いも気になった。
 ここでは戦場と生活圏の区別がない。
(「学校に潜んでいる怪人をみつけるだなんて、√マスクド・ヒーローはそこら中に怪人がいるのね」)
 今度はいざというときに|WZ《ウォーゾーン》がないと困る。
 そう考えて、そばに置いたのだが。
「は~い。『ブッタ』さん。出番が来ましたからスタンバイ願います!」
 アシスタントの男子が迎えにくる。
「はい! ……え? ええ??」
 なぜか、量産型WZの機種名で呼ばれている。そして、撮影ブースは前の出演者よりも広い。
「憧れですよぉ。僕、子供のころからヒーローは断然、ロボットが大好きで!」
「ロ、ロボット……」
 事前の受け答えが、どこかでねじれたらしい。
 乗っている鹵獲兵器が、ヒーローとしてのルーシーの外見と思われている。まぁ、ロボットのほうが、ここでは通りがいいらしく、後の対応もしやすかろう。
 インタビューが始まり、WZ越しにルーシーは質問を受け取る。
「『ブッタ』が戦うのは、なぜなのでしょう?」
「『目の前で助けを求める人がいた、体が動いていたただそれだけの事』」
 クールな回答が、鋼鉄の巨人にふさわしい。
 収録は無事に終わり、部員に付き添われて能力者たちは部室棟から出る。
 そして、激しい殺気を感じ取るのだ。
「オレハ、イマスグニ、ひーろートタタカウ!」
 緑の巨漢、仮面怪人が特別教室棟の二階から飛び降りてきた。『ブッタ』のルーシーと同じくらいの背丈だ。隠れていた怪人『ブンナグリマスケ』が、校内を歩くロボットを見かけて戦闘衝動を堪えきれなくなったらしい。
 能力者たちは素早く、放送部や付近の生徒、教員たちに避難を促す。
 急転直下だが、ここで戦わねばならない。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

第2章 ボス戦 『ブンナグリマスケ』


POW テンションアガッテキター!
半径レベルm内の敵以外全て(無機物含む)の【感情の起伏を力に変換し、テンションと攻撃】を増幅する。これを受けた対象は、死なない限り、外部から受けたあらゆる負傷・破壊・状態異常が、10分以内に全快する。
SPD ブンブンブンナグリーッ!!
60秒間【感情の起伏が齎す力】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【馬鹿力な拳】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
WIZ 最古のアルティメットウェポン
指定地点から半径レベルm内を、威力100分の1の【グルグルパンチ】で300回攻撃する。
√マスクド・ヒーロー 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

嘯祇・笙呼
服がピンチ? アドリブ上等! 18禁展開でもいいのよ別に、最終的に勝てば。
使える√能力が聖剣っきゃねー。携帯であの人に使用許可をとるか…。
いざという時信じられるのは我が身一つというけど、でもまあ…同席した他の参加者がいるなら協力を仰ごう。
とりあえず、被弾したら「きゃあん!」と吹き飛ばされる。俺の乳袋は衝撃に弱いんだぜ。結果どうなるかは、わかるな? 
「ああ…!」両腕で乳を隠し、両目には微かに怯えの色。
仮に万一、いたそうとしたらその隙をついてクイックドロウで股間を蹴り上げ、マヒ攻撃で悶絶させる。
美少女ってつれーわー。
オラオラオラ、貧相なキノコぶら下げやがって! 畳み掛けるようにドドドと両拳で連打。
第四世代型・ルーシー
『怪人が出たよ、マスター!』
メインシステム 戦闘モード起動という機械音声と共に(WZスマイルジーン)、(WZペインキラー)等の薬物をWZから血管内へ注入され、ルーシーを戦闘をするための機械に作りあげます。以後、報告等最低限の会話です。

こんな人の多い所で怪人がでるなんて、民間人に被害が出ないようにコイツをどこかに誘導しないと、とりあえず広い校庭がいいかな?  

戦闘方法
WZに搭乗して周囲に被害が出ないよう立ち回り("WZ"パルスアーマー)を使用して身を守り相手に組み付きもしくは体当たりで校庭まで相手を移動させます。 広い空間まで移動したら(”WZ”パルスブレード)を使用し近接戦を仕掛けます。

 太い腕を、でたらめに振り回して襲ってくる。
 仮面怪人『ブンナグリマスケ』の発達した筋肉がよく判るのは、紫色の細いパンツ以外に着衣がないからだ。
「蹴りあげてやりたい股間だぜ」
 |嘯祇・笙呼《しょうぎ・しょうこ》(人間(√マスクド・ヒーロー)のマスクド・ヒーロー・h01511)は、相手の隙を探しながら後退し、ぼやく。第四世代型・ルーシー(独立傭兵・h01868)が、|WZ《ウォーゾーン》の中から叫ぶ声が聞こえた。
「怪人が出たよ、マスター!」
 直後に、機械音声が流れて。
「『メインシステム、戦闘モード起動』」
 パワードスーツの動きが速くなる。人間以上の機動性だ。
 笙呼の前へと割り込むと、怪人の腕に組み付き、奴の前進を止めた。
「すげー。信じられるのは我が身一つというけど、あの同席者なら協力を仰げる! ……おーい!」
 手を振ったが、WZは無言だ。
 機械と筋肉のあいだの力比べになっていた。
「相談どころじゃねぇか。こっちは使える√能力が|聖剣《エクスカリバー》っきゃねーんだが。まぁとりあえず、あの人に使用許可をとっとくか……」
 携帯で呼び出す。
 『絶海の孤島で吸血鬼の悪党と戦う片腕の青年』を。
 |ルーシー《同席》にとっての『マスター』みたいな相手になるかもしれない。しかし、笙呼は知る由もなかったが、WZ内部では搭乗者も戦闘機械へと作りあげられる。
 無茶な機動をとらせるための『”WZ”スマイルジーン』、痛みを遮断する『”WZ”ペインキラー』といった薬物が、WZからルーシーの血管内へと注入された。
 電脳義体と副反応により、発語が制限されていたのだ。
 いっぽう、笙呼が考えあぐねているのは、聖剣発動には複数の√能力者が必要だということ。
「最終的に勝てばなんでも……おや?」
 さっきから、巨漢とパワードスーツの押し合いが、単調すぎる。
「人の多い所での戦闘がイヤなんだな。被害が出ないように、広い校庭にでも押し出すつもりとみた」
 ゆえにルーシーの分が悪い。
 校舎の二階から降りてきたくせに、敵のほうは周囲の破壊に無頓着だ。
 腕の筋肉が盛り上がると、増幅したエネルギーが放射される。
「きゃあん!」
 巻き添えをくって、吹き飛ばされる女子……は、笙呼だった。
(「俺の乳袋は衝撃に弱いんだぜ。結果どうなるかは、わかるな? 美少女ってつれーわー」)
 ぶるんばるんと膨らみは揺れて、支えきれなくなった布がちぎれる。
 ばばんと胸のラインは明らかになり、がばぁと両方の頂上が飛び出した。
「ああ……!」
 すぐさま両腕でハミ出しを隠し、両目には微かに怯えの色。
 紫の細いパンツが反応する。
「テンションアガッテキター!」
 おかげで怪人の集中力は散漫になった。
 ルーシーはとっておきの機能、『"WZ"パルスアーマー』で自機の周囲にエネルギーバリアを展開すると、『ブンナグリマスケ』を校庭まで押し出していく。
 笙呼は立って歓声をあげる。
「服がピンチ? 上等!」
 いまの連携が評価されたのか、『|丸太《聖剣》』も転送されてきた。
 抱えて走り、校庭へと追いかける。
 広い場所にでたルーシーは、WZの手に専用のパルスブレードを握らせていた。近接からの斬撃が、緑の皮膚に長い傷をつける。
「ウギギギッ!」
 力比べの後遺症か、怪人もWZも腕を痛めたようだ。
 畳みかけるように、ドドドッと笙呼が突っ込んでくる。
「みんな、丸太は持ったな!! 行くぞォ!!」
 ハンズフリーで揺れもすごい。
 丸太の太い先っぽが、紫の布地の中身を押しつぶした。
「オラオラオラ、貧相なキノコぶら下げやがって!」
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第四世代型・ルーシー
『第1目標達成、これより射撃戦に移行する』
『対象の処理を確認』

広い場所に相手を押し出すことに成功したね、ならあとは周囲を気にせず暴れさせてもらおうかな、さっき組み合ってわかったけどアイツの力は脅威だね、だから距離をとらせてもらうよ。

戦闘方法 
敵から距離を離し√能力を使用しての遠距離からの攻撃及び(”WZ”サブマシンガン)を使用した射撃戦を仕掛けます。

「グ、ググ、グルゥ~」
 仮面怪人『ブンナグリマスケ』は内股になって痙攣している。
 第四世代型・ルーシー(独立傭兵・h01868)は|WZ《ウォーゾーン》『ブッタ』の片手に専用のサブマシンガンを握らせる。射撃武器だが、どちらかというと近接用だ。
 逆の手は、機構に不具合が出ている。もう、武器を握れない。
「『第1目標達成、これより射撃戦に移行する』」
 発語というより、システムへの応答だ。
 広い場所へと敵を押し出すことには成功した。周囲を気にせず暴れられそうだが、組み合ったときの怪人の腕力は脅威だった。ここは距離をとるタイミングをはからねばならない。
 緑の筋肉は、再び凶器と化す。
「グルゥ、グル、グルグル……!」
 力だけでなく、殴る回数もすごい。
 ルーシーは、あえて近くでサブマシンガンの引き金をひき、怪人のグルグルパンチを発動させる。見立てどおり、一度殴り始めてしまうと、拳の届く範囲は限られるようだ。
 実体弾をバラまきながら、WZを後退させる。
「『|小型自動追尾兵器《レーザー・ドローン》射出』」
 誘導兵器を飛ばせる範囲も同等だろう。
 けれども、ブッタのドローンは、ルーシーからの距離が有効となる。
 怪人のグルグルパンチが届かない位置から、17機によるレーザー射撃に成功した。
「グルグルグル……グワァ!」
 生身の身体に、焦げ跡のような傷がつき、いくつかは貫通した。
 威勢よく降ってきた敵だったが、無力化まであと一歩だ。
 ドローンのセンサーにも、校庭や周辺に一般人の反応はない。このまま撃破すれば事件を解決できる。
 電脳義体の分析に頷きつつも、ルーシーは胸騒ぎを感じていた。
 避難誘導をしている教員がひとり、サブのカメラに映りこんでいたのだ。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

ベニイ・飛梅
意気込み:
(インタビューとかさすがに無理…… 他の√の学生さん達、きらきらして眩しいな……

 とか思っていたら大変なことに! どっから出てきたんですかアレ!
 ルーシーさんとブッタが押さえ込んでくれている、今のうちになんとかしないと)

「最大の脅威はあの拳、でも、インパクトの瞬間さえ凌げれば。
 『超天神竜巻』、試してみるしか……!」

「無ーー 理ーーー!」


方針:
ブンブンブンナグリーッ!!を攻略。
ヴィークルもろとも校庭に飛び込み、戦闘に乱入。
空中移動で飛び回って攪乱しつつ、電撃兵装テンジンブレークの電撃で小刻みにダメージを与える。

相手がブンブン(略)の体勢に入るのに呼応し、√能力・超天神竜巻を発動。
拳の攻撃のタイミングを、麻痺攻撃で遅延させ、攻撃範囲から回避。
パンチを不発に終わらせ、ダメージを蓄積させることで打倒を狙う。

最後はヴィークルごと敵直上に飛び、直下型雷撃キックの戦術飛梅で止めを狙う。

「無理を通さば! 戦術飛梅!」

(「インタビューとかさすがに無理……。他の√の学生さん達、きらきらして眩しいな……」)
 ベニイ・|飛梅《とびうめ》(空力義体メカニック・h03450)は、来るだけ来てみたのだけれど。生徒を避難させる叫び声が耳に入って、巡航単車『イロタマガキ』のアクセルをふかす。
「どっから出てきたんですかアレ! ルーシーさんとブッタが押さえ込んでくれている、今のうちになんとかしないと」
 ヴィークルもろとも校庭に飛び込み、戦闘に乱入した。
 緑の体色をした仮面怪人、『ブンナグリマスケ』は見た目通りの馬鹿力だ。
「ブン! ブンブン!」
 さらに力を溜めているらしい。
 装甲二輪車を飛行形態に変形させ、ベニイはハンドルを持ち上げるようにして浮遊した。頭の上を行ったり来たりされれば、怪人の集中も乱れるのではないか。
「ブンブンブンッ!」
 仕掛けた牽制にのってこない。
 片手を離して、指先を怪人に向けた。ベニイの義肢には電流放射機構、『|電撃兵装《テンジンブレーク》』が備わっている。
 ちょっとずつでも電撃を当てるが、効いてはいない。
「最大の脅威はあの拳、でも、インパクトの瞬間さえ凌げれば。試してみる……!」
 |超天神竜巻《テンジンブレーク・エレクトロマグネパルスストーム》を起こし、電撃を麻痺を起こさせる威力にまで高めるのだ。
 怪人が力を溜めきるのを飛び回って待つ。
「ブンブンブンナグリーッ!!」
「無ーーっ理ーーー!」
 両手放しになって差し出した掌を、ブンナグリマスケへと向ける。ベニイが睨んでいるあいだは、緑の拳は振りかぶった姿勢のままだ。
 静止した5秒のあいだにパンチは不発となり、チャージ中に受けた『|電撃兵装《テンジンブレーク》』からのダメージも怪人の身体へといっきに戻ってくる。
 攻略は叶ったが、ベニイも消耗した。
 あいだを空けずに、トドメにいきたい。シートへと伏せると、ハンドルを掴み、目いっぱいアクセルをふかした。急上昇の反動もきつい。
「無理を通さば! |戦術飛梅《プラム・ミーティア》!」
 ベニイは、怪人の直上に至ったところでヴィークルから飛び出した。
 直下型雷撃キックだ。
 校庭の地面に押しつけられるようにして、『ブンナグリマスケ』の仮面は埋没する。
 蹴った反動で宙返りしながらベニイが、離れたところへと放物線をえがく。緑の巨漢の身体から放電がおこり、空力義体サイボーグの着地と同時に大爆発を起こした。
 この派手さで、怪人事件など起こっていないと強弁するのは……。
「無理ー……」
 ベニイはやっと立っている感じで、空を見上げた。
 『イロタマガキ』には制御AIが搭載されている。自立的に高度を下げ、二輪モードに戻った。
 そこへ、金切り声が聞こえてくる。
「こんな騒ぎになってしまって、アタシが管理責任を問われるのよッ!」
 避難誘導をしていた教員、赤いスーツ姿の女性だった。
 『私立アテナイ学園』がおおっぴらにマスコミの取材を受けないのは、怪人事件など起こっていないという建前からだ。学園の運営者を怪しむ声ももちろんあるが、√マスクド・ヒーローにおいては通常の組織が行っている普通の対応でもある。
「ご、ごめんなさい。避難の協力、ありがとうございました……」
 怒鳴られたベニイと、ヒーローや能力者たちは、怒っている教員を前にして、原因はそのことかと思いきや、違った。
「|他組織《よそ》から借りてきた怪人を無駄に撃破されたら、このままヒーローを帰すわけにいかないッ!」
 ネズミ色のスーツの女は、赤い甲殻を纏った女怪人へと変貌する。
 怪人『マンティコラ・ルベル』だ。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第3章 ボス戦 『『マンティコラ・ルベル』』


POW デンジャラス・ローズ
【薔薇の香り】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【ルベル・アロー】」が使用可能になる。
SPD マンティコラ・スティンガー
【サソリの尾針がついた髪鞭】が命中した部位を切断するか、レベル分間使用不能にする。また、切断された部位を食べた者は負傷が回復する。
WIZ スコーピオン・ローズ
半径レベルm内にレベル体の【薔薇マークのついた蠍型】を放ち、【赤外線】による索敵か、【蠍の爆発】による弱い攻撃を行う。
√マスクド・ヒーロー 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

志藤・遙斗(サポート)
基本的には「威嚇射撃」での行動阻害をメインとして、敵との距離に応じて√能力「正当防衛」と√能力「制圧行動」を使い分けて戦います。

基本的に人命最優先で行動します。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!

 女性の変貌で、まず驚いたのは|志藤・遙斗《しどう・はると》(普通の警察官・h01920)だった。
「き、君! 怪異……じゃなくて、怪人だったのですか?!」
 校舎側で避難誘導に協力したばかりである。
 さそり女は問い返す。
「あら、あなたこそ、ヒーローか、なにか?」
「√マスクド・ヒーローも、学校に通う生徒も、俺には縁がありますから。せめて人命救助だけでも手伝えればと駆け付けたのに……」
 戦場から一般人を遠ざけたのは間違いではない。
 だが同時に、悪の組織の方針に従って、目撃者を減らすこととなった。
「先生というのも全部、ウソですね」
「それは……まぁ作り事よ。あなたから眠らせてあげる、永遠にね。『スコーピオン・ローズ』!」
 薔薇のマークのついた蠍が、何体も放たれた。
 怪人の言葉が妙なところで淀んだのが気になったが、遙斗はまず危機を脱しなければならない。
「やるか。悪いがなんであっても、悪は斬る! 『|正当防衛《セイギシッコウ》』!」
 覚悟を決め、霊剣『小竜月詠』を抜いた。
 蠍は近づくたびに、爆発を起こす。
 特殊な煙を纏った遙斗は移動速度を上げ、スコーピオン・ローズのなかをくぐる。
 多少はダメージをくらったが、ものともせずに爆破地帯を通過した。
「霊剣術『|朧《オボロ》』!」
 貫通力を増した切っ先が、マンティコラ・ルベルの外皮を貫く。
「ひぎぃッ! よくもアタシのハサミを……!」
 片手を押える、ハサミ女。
 歪む唇は、人間態の面影を残しており、ついさっきまで同じ口で、生徒に言葉をかけていた。放送部の面々は、ヒーローの活躍を撮りたがったのだ。教師として説得し、避難させている。
🔵​🔵​🔴​ 成功

ベニイ・飛梅
意気込み:
(なるほど、学園内部に内通者が居たのなら、これまでの出来事にも得心できます。
 敵は撃退できた、でも学校内で大きな騒ぎが起きてしまった。敵の策に乗ってしまった、と言う事ですね……。
 ……でも、それなら。あんなに怒らなくても良くないです……?)

方針:
マンティコラ・スティンガーを攻略。
ヴィークルの速度で攪乱し、相手の攻撃を回避しつつ、√能力・超天神応報をチャージ。
相手の攻撃は基本的に回避を試みるものの、躱しきれないとなったら、使用不能を覚悟で右手で攻撃を受け止める。
回避に専念しつつ、チャージを行い、超天神応報を当てる機会を狙う。

「腕が千切れたりしませんように……! 超天神! 応!報!」
嘯祇・笙呼
どんな攻撃も俺の|悪魔の鎧《デモン・メイル》に傷一つつける事はできないぜ!
あ痛ぁ!?
戦闘開始と同時にチャージを開始。
鉄壁と吹き飛び耐性で守備を固め、力溜めを行いながら見切りで回避しつつ、フェイントとカウンターで鎧無視攻撃を行う。
√能力発動時に幾つか技能を組み合わせて痛打を与えられたらと思う。
作戦を戦闘知識で補正して最適解の流れを作る。
でも、まあ、…結局のところ。
(敵の容姿を値踏みし)
「みんな、女子力足りてないよブーストかけてギア上げてけー」
につきるな!
え。色々技能を盛りすぎだって?
ヒューチッチ、2回攻撃も持ってるんだぜ相棒。
こちらの勝利=敵の殺害じゃ無ければなあ。
惜しい、実に惜しいなその素質。
第四世代型・ルーシー
『イレギュラーを発見、対処します』

まさか教師が怪人になるなんて最近の学校はなんでもありなのね、さてと、怪人が出たからには依頼達成のため倒さないといけないね、でもあのサソリの尻尾は危険そうだし、まずは射撃戦で様子ををみてみようかな。

方針√能力を使用しWZの性能を上昇させ、ドローンやミサイル、サブマシンガンによる射撃戦を行います、窮地に陥った場合(WZ"パルスアーマー)を使用します

 量産型|WZ《ウォーゾーン》『ブッタ』は、機能を回復した。
「まさか教師が怪人になるなんて最近の学校はなんでもありなのね」
 装甲のすき間から搭乗者、第四世代型・ルーシー(独立傭兵・h01868)の声が漏れてくる。動きを止めているあいだに、薬剤の効果が少し抜けたようだ。
「お。声が普通に戻ってる。そうだなぁ、案外……」
 サソリ女の姿を値踏みするように見ていた、|嘯祇・笙呼《しょうぎ・しょうこ》(人間(√マスクド・ヒーロー)のマスクド・ヒーロー・h01511)は自分の評価を口にする。
「ホンモノの先生、なのかもよ」
「なるほど、学園内部に内通者が居たのなら、これまでの出来事にも得心できます」
 ベニイ・|飛梅《とびうめ》(空力義体メカニック・h03450)は着地したヴィークルに跨った。
「……でも、それなら。私たち相手に、あんなに怒らなくても良くないです……?」
「緑の奴はさ、まだ使うつもりじゃなかったんだろ。放送部のインタビューがそもそも想定外で。勝手に戦闘になってサソリのやつが怒ってるとみた。あと言えるのは……」
 笙呼はまた推測を話し、手で隠すかわりのものを装着する。ミスリルアーマーだ。
「あいつは女子力足りてないよ。みんな、ブーストかけてギア上げてけー」
「イレギュラーと認定。決戦モード移行。対処します」
「『|超天神応報《テンジンブレーク・フーリーディスチャージ》』!」
 三人で喋っているあいだに戦闘知識を持ちより、最適解の流れを作る。
 まず、怪人『マンティコラ・ルベル』はサソリの尻尾が危険そうだ。ルーシーがWZで先行し、射撃戦で様子をみる。
 機体は真紅に輝き、速度と攻撃回数が上がっている。
 『プロジェクトカリギュラ』だ。
 ドローンやミサイル、サブマシンガンを同時使用して、怪人を外から狙った。
 敵も、デンジャラス・ローズを纏って速度を上げてきているが、ルーシーの強化倍率のほうが高い。接近戦武器を使いたいルベルに対して、一方的に射撃を加えられる。
 ただし、この優位は60秒間だけだ。
 ミサイルは最初の斉射でランチャーが空になったし、ドローンも本体に戻して充電せねばならない。
 予備マガジンが残っているかぎり、ルーシーはサブマシンガンを撃ち続ける。
「……フェイズ1完了」
 ふたりがチャージするための60秒間を稼いだ。
 位置取りも成功だ。
 ルベルの走りと直行するように、ベニイの二輪車が突っ込んでくる。
 気付いたルベルは髪の鞭、すなわちサソリの尾針『マンティコラ・スティンガー』を振り回した。
「腕が千切れたりしませんように……! 超天神! 応!報!」
 ベニイは右手で鞭を受け止め、掴んだ。
 貯めていた電撃エネルギーをすべて放出する。
「ぎゃあああ!」
 髪を後ろに引っ張られた姿勢で、全身をブルブルと震わせる、マンティコラ・ルベル。
 かわりに、ベニイの右手にも毒液がついて、シュウシュウと湯気がたっていた。電撃チャージはもう無理そうだ。手から髪がすり抜けて、マンティコラ・ルベルは尻もちをつく。
 体勢が崩れた相手へと接近した笙呼にも、毒尾は振り回されてきた。
「どんな攻撃も俺の|悪魔の鎧《デモン・メイル》に傷一つつける事はできないぜ!」
 魔法なら跳ね返せる。
「あ痛ぁ!?」
 物理と毒だった。笙呼は、吹き飛び耐性で踏みとどまる。
 胸部装甲の片方の山が溶けて、またポロリしそうになるが、そこは鉄壁の手ブラで守備を固める。
「コォォォ……!」
 片手に力溜めを行いながら、今度は見切りで髪鞭を回避しつつ、フェイントをかけた。
「惜しい、実に惜しいなその素質」
「うるさい! お前達が来なければ……!」
 起き上がってきたマンティコラ・ルベルに対し、笙呼はカウンターを合わせる。
 鎧無視攻撃の殴りだ。
 外皮の装甲が無駄になり、女怪人は地面に打ちつけられた。『|肢体爆弾《リンボム》』によって空気中の火気物質がチャージされた拳は、大爆発を引き起こす。
 岩盤に穴をあけるほどの威力である。
 校庭の土が大量にまきあがった。すり鉢状になった底で、マンティコラ・ルベルは身を起こそうとする。
「次はもっと頭のいい怪人を連れてこなければ。水木先生、ごめんなさい……」
 力を失い、埋もれることとなった。
 それを見下ろす、笙呼。
「こちらの勝利|=《イコール》敵の殺害じゃ無ければなあ」
 きっとまた、性懲りもなく復活してくるだろうと、ヒーローたちは言った。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

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