茄子が爆ぜ、躊躇いがちに死に花が咲く
泰月MS様の面白を浴びたい一心でリクエストいたします…!!
内容:敵と漫才しながら戦う話
・世界、シチュエーションおまかせです
・どのように扱っていただいても全力で歓迎します
・勝敗引き分けこだわりません
キャラクター情報(以下より使えそうなものをピックアップしていただければと…!)
・花色の髪+制服姿の14歳女子中学生
・人や良いインビジブルには敬語(タメ語混じり)で話し、敵にはタメ語
・生まれ育ち現代、身長普通くらい。外見上の欠損なし
・まだ戦闘経験が浅すぎる未熟なDEPAS
・死んだら(デパスザウルスを使ったら)強いらしいけど死ぬのは避けたい。どうしてもやばくなったら最終手段としてヤケクソで使う。
・とりあえず手当たり次第に死なずに使えるっぽい能力を試そうとする
・そのへんのインビジブルの力を借りようとめっちゃ頼る
・歌で戦おうとするけど息切れしてままならない
・武器らしい武器はまだ持ってないのでそのへんにあるもの何でも使う。これ効く?ちょっと試させて!みたいなノリで使う。
敵情報
・設定おまかせします
・ツッコミ気質
・性格は尊大な感じでお願いします。ワーハハ貴様なぞひねりつぶしてくれる~的な感じが楽しそうなので…泰月MS様の描かれるそういう敵が好きなので…とても…
本当にご自由にお書きいただければ何よりの幸いです。
もしご都合よければ、どうぞよろしくお願いします…!
「1ナァス! 2ナァス!」
全体にナス柄がプリントされたスーツ姿と言う見るからに怪しい男が、街中で奇声と気勢を上げている。
もしそれだけの存在だったのなら、遭遇した花片・朱娜(もう一度咲って・h03900)も『都会には本当に変な人がいるんだ』とスルーしていられた事だろう。
「3ナスBONG!」
ドパパパパンッ!
だがナススーツが周囲にナス型の何かをばら撒いた直後、それらが一斉に爆発した。
こうなると、話が変わって来る。
「……え? え?」
「ハハハッ! やはり吾輩を止めに現れたか、能力者め!」
あまつさえ思わず絶句している所に、声を張り上げたナススーツにビシッと指差されてしまえば――もう無関係ではいられない。
「……」
「貴様だ貴様。そこの花みたいに白い髪の学生と思しき女子よ! 誰の事ですか?みたいに後ろを向いても無駄だぞ!」
「くっ……」
スルーしようにもさせてくれないナススーツに、朱娜は臍を噛んだ。
まあ背後はおろか|周りに人がいない《みんな逃げたよ》ので、後ろを向いたくらいではスルーのしようがない状況なのだが。
「さては、吾輩が組織の幹部に言われてもいないのに世界征服の先兵として乗り込んできたのを察してきたのだろう。吾輩にはお見通しであるぞ! ハーッハッハッハッハッ!」
当のナススーツはと言うと、勝手に盛り上がって勝手に内情を暴露している。
朱娜が訊いてもいないのに。
まあこれで簒奪者確定。世界征服とか組織とか幹部とか言ってる点から、√マスクド・ヒーローが濃厚だろうか。かつ下っ端。それにしては妙にキャラが立ってるが、そんな事もあるだろう。
「いや、私、偶然通っただけなんだけど?」
「何を言うか。吾輩の目は誤魔化せんぞ!」
「話聞いて!?」
朱娜の主張を聞かないナススーツ。
本当に偶然なのに。
街に遊びに出た帰りに、いつもは通らない方へ足を延ばしてみた。途中で遅い初詣客で賑わう神社を通って出店で買った肉まん片手に食べ歩き――なんて、都会の学生の冬休みを満喫していただけなのに。どうしてこうなった。
(「初詣で引いた御神籤は、吉だったのに……」)
世界って、たまにとんでもなく理不尽だ。
「1ナァス! 2ナァス! 3ナスBONG!」
ナススーツがナスをばら撒く度に、爆音が響き渡る。
「どうだ。正月限定のナス爆弾は!」
「どうだと言われても……何でナスなのかは分かったけど……いやでも何で? 富士と鷹は?」
縁起物なら他にもあるのに、と朱娜は訝し気な視線をナススーツに向ける。富士と鷹どこ行った。
「吾輩が紫が好きだからだ! さあ、貴様の武器を見せてみろ!」
「……」
ナススーツに返された朱娜は、口を噤むしかなかった。
何も答えられなかった。
(「どうしよ。私、武器なんて持ってないよ!?」)
休日だから――と言うわけではない。朱娜はまだ、己の武器を定められずにいた。
(「この厚底で蹴り入れてみる? ――ムリムリムリ!」)
己の足元を見た朱娜は、浮かんだ考えをすぐに振り払う。
厚底スニーカーだからとて、格闘技の心得も無い朱娜の蹴りではどうにもならないだろう。
答えに窮した末に、朱娜はナススーツから距離を取った。
「ねえ、誰かー? 何か武器に使えそうなのってない?」
その辺のインビジブルに呼びかけても、困惑してるような気配が伝わって来るばかり。
「えーと、えーと……こ、これでどう!」
朱娜は取り敢えず目についた、道端に置かれてたカラーコーンを念動力でぶん投げてみた。
「こらこら! 工事の人が困るだろう!」
何かまともな事を言い出したナススーツのナス爆弾に、カラーコーンはぶっ飛ばされた。
「じゃあこっちは!」
次に朱娜が投げたのは、なんかその辺に転がってた竹箒。
「魔女っ子か!」
中々キレのあるツッコミと共に放たれたナス爆弾に、やっぱり吹っ飛ばされる。
「こっちはどうだ!」
次に朱娜が念動力で投げてみたのは、その辺に落ちてた壊れたビニール傘。
「ポイ捨てはダメだろう!」
「それは私もそう思う!」
またまたまともな事を言いながらビニール傘も吹っ飛ばすナススーツに、朱娜は思わず同意を示す。
(「他に何か――何かない!?」)
何もない。
EDENの日本の町、綺麗だもん。
そうして周りに注意を向けていれば、他への注意が散漫になる。
「逃がさナァス!」
足元に、ナス型のものが転がって来た。
「あ――」
パンッと音がしたと思った時には、朱娜の足は地を離れていた。転んだも同じような状況では浮遊感を感じる様な間はなく、朱娜の身体は歩道に叩きつ――花弁が舞った。
いつも朱娜の周りを揺蕩う花のインビジブルが、ほんの少しだけ衝撃を和らげてくれた。
お陰でかすり傷もなく、朱娜はゆっくりと起き上がる。
けれど。
(「……やば。このままじゃ負けちゃうよね」)
もう朱娜もわかっていた。
いつまでも武器を探している場合ではないと。
本当は武器ならあるのだから。
――|D.E.P.A.S.《インビジブル受容体》である朱娜自身の身体が。
|D.E.P.A.S.《インビジブル受容体》は己の肉体全てをインビジブルの贄とし、喰わせて死ぬことで、敵に対抗できる存在を出現させる事が出来る。
(「やっぱり死ぬの、まだこわいな」)
蘇生することが出来る√能力者には安い代償と言えよう。
そんな事は頭では分かっていても――まだ。
(「いつか、慣れるかな。死ぬのも」)
慣れなきゃ。強くならなきゃ。
そんな想いは朱娜の中に確かにあるけれど。
(「いつか慣れちゃうのかな――」)
こわいのは、死ぬ事か、死に慣れてしまう事か。
それでも、こわさを拭えないまま、朱娜はヤケクソ気味に腹を括った。
「あんなもので殺されるのは、もっとイヤ。絶対イヤ。人としてイヤ」
ナス爆弾なんかで殺されるくらいなら、花たちに身を|委ねた《喰わせた》方が遥かにマシだと、敢えて声に出して告げる。
「だからいいよ。でもなるべく痛くしないでね」
少し自嘲気味に|咲《わら》って、呼びかける。今も周囲を揺蕩う花たちに。
程なく朱娜の意識が途絶え――花が吹雪と舞い、光が溢れた。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴 成功