へんしんしましょうそうしましょう!
●できないのなら、しにましょう!
ぬいぐるみが、段ボール箱の中に入っている。可愛らしいハート型の緩衝材にふかふか守られ、ふわふわが箱に詰まっている。
差出人は見知らぬ会社。住所を見てみれば、同県内にある工場であった。
それが届いたのは、一家の末弟が失踪してから数日後のことだった。
ぬいぐるみと共に入っていた手紙。緩衝材と同じく、可愛らしいハートのシールでとめられた封筒。
御子息はこちらで幸福に暮らしております。
このぬいぐるみを持ち、ご家族のみなさまもどうぞ、ご一緒にお越しください。
――それは、明らかな脅迫状だ。だが、彼らがそこに向かわない理由はなかった。
愛する家族がそこにいるかもしれない。何を要求されるかは分からない。それでも――。
●おはよう。
「おはよう、親愛なるあなた」
眠そうに目を擦る星詠み、人間災厄「少女の偶像」。イリス・フラックス(ペルセポネのくちづけ・h01095)は温かそうなブランケットを肩に掛け、マグカップに入ったココアにふうと息を吹きかけて言葉を続ける。
「あなたたちって、「変身」できる?」
純粋なる疑問。そんな様子で、彼女は首を傾げた。当然√能力者の中には能力を用いてありとあらゆるものに変身してみせる者もいるわけだが。
「わたし、魔法少女になってみたいの」
これは星詠みの、ただの雑談である。アクセプターたちやデパスザウルスというかんぜんむてきでギャオーな存在も闊歩しているし、人化けの術なんてものもあるわけで……。
だが今回は、そんなちょっぴり愉快な話ではない。
「気になった……というか。そういう事件なの。いなくなって、『かえってくる』。でもその人は、もうひとじゃない」
ココアをひとくち飲んで、そして「あち」などと言って唇を離す。懸命に息を吹いて冷まそうとしているが、淹れたてのそれが冷めるまでには、まだまだ時間がかかりそうだ。
「強い『怪人』になれる『適合者』を探してるみたい。ひとを餌で釣って、改造する。一般人が耐え切れることはほとんどないわ。だって……『つめこまれちゃう』の……」
憂いを帯びた目が、細められる。
「助けてあげて。彼らがつめこまれる、前に」
何に、どうやって、つめられるのか。彼女が予知で見た光景は――。
●バニエルちゃんと姫様のかんぺきなさくせん!
「あーっ! またダメ! もーっ! 普通の人間ってチョロくて脆くて嫌になっちゃう!!」
ぴょんこぴょんこ。跳ねるように地団駄を踏む彼女、『バニエル・クロノジャッカー』の目の前には、工場のレーンから運ばれてきたばかりの可愛らしいぬいぐるみがこてんとお座り。
「人間なんてそんなものよ。いい加減学びなさいな、何匹目だと思っているの?」
離れた椅子に優雅に座る『朧魔妲姫』はバニエルの甲高い声に苛立ちを覚え。腕を組んでふんと鼻で笑うと自分の尾を使い、喚く彼女のお尻をべちんっ! と叩いた。
「きゃひんっ!?」
お尻を押さえてまたぴょんぴょん跳ねて悶えるバニエルを見ながら、愉悦の笑みを浮かべる朧魔妲姫。
「むー! ……いい加減、最高の『うさちゃん』出来ないかな〜……?」
つんつん……バニエルが大きなクマのぬいぐるみ、その鼻先をつつくと、そのぬいぐるみは苦しげに『身悶えた』。
「――あは、ごめんね! タスケテーって言った? 元に戻す方法ってなくってぇ。えへへ。でも、可愛く変身できてうれしいでしょ!」
むぎゅうと抱きしめられたクマの体が軋む。お世辞にも抱き心地が良いとは言えないその中身に、何が詰まっているのか――もう、察している者もいるであろう。
にんげんだ。正確には、「にんげんだったもの」だ。皮を剥がれ、臓腑を詰められ、可愛らしいぬいぐるみとして『|コーティング《改造》』され、『洗脳』を施し戦線へ送られる――。
そして部屋の中には……大小さまざまなぬいぐるみたちが、積み上げられていた。
「かわいい、かわいいねぇ。みんなかわいい……でも、理想じゃないんだあ。ごめんねえ」
……一時的な協力関係。
朧魔妲姫は自らが所属する『朧魔機関』の組織力を使い犠牲者を集め、バニエルと共にこの『怪人』を作り上げ配下を増やす。
バニエルは自らが『未来から来た!』と言ってきかない技術力を提供し、自らの思う『最高傑作』を作り上げて持ち帰ろうとしている。
ご覧の通り、相性は良いのか悪いのか、だが。
ここは、あわれな『ぬいぐるみ』工場。
変身しましょう、そうしましょう!
出来ないのなら、死にましょう!
さてそこに、次の犠牲者候補が、また――。
マスターより

おはようございます、親愛なる皆様!
R-Eと申します。今回はちょっとゆっくりめ進行です。
ぬいぐるみ、好きです。大人になってもま~だ一緒に寝てますが置きたら床に落ちとるがな。
ですがどれだけ可愛くても「ぬいぐるみの中に詰め込まれる」なんて、死んでもごめんですね。
しかし、そういう趣味のひともいると聞いております。世界広い。
●1章
予知にあった家族は、今なら止められます。ただし家族の持つ『ぬいぐるみ』や、工場内部の既に被害に遭ってしまった『彼ら』を救うことは出来ません。
決して許してはならない行為。早々に避難させてあげましょう。
(※成功度以上の採用は絞ります)
●2章以降
家族の避難・救出に時間がかかれば、『バニエル・クロノジャッカー』は√能力者の存在を察し、まんまと逃亡します。
その後は『朧魔妲姫』が√能力者たちに配下をけしかけてくることでしょう。
これ以上の犠牲者を出すわけにはいきません。安全を確保したのち、思いきりカチコミをかけてさしあげましょう!
……事件が解決したあと、『ぬいぐるみ』たちは、ただのぬいぐるみへと変化します。それが幸福な結末かどうかは、ともかくとして……。
なお星詠み含めて、みんなちょっとエッ……な格好をしていますが、エッ……は……ほぼない。ごめんな……。
48
第1章 冒険 『一般人を救え』

POW
身体を張って一般人を止める
SPD
一般人に接触し、事件の噂を聞いてみる
WIZ
偽の「事件の情報」を使って安全な場所へ誘導する
√EDEN 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

もしも、わたしの大切な人が……
パパとママがいなくなって、怪しい手紙が届いたら。
それが明らかな脅迫状だと思っても、きっと従ってしまうから。
大切な人を想う気持ちを利用する事件は、早く終わらせなくちゃ。
急いで現場に向かい、ぬいぐるみを持った家族に接触。
…嘘は得意じゃないけれども。
ハートマークの封筒を持参して、自分も家族が失踪しぬいぐるみが届いた、家族が同じ事件に巻き込まれているかもしれない、と同じ境遇の被害者を装うね。
そのぬいぐるみは、どこから届いたの?
わたしも、手紙にぬいぐるみを持ってくるように書いてあったけれど、途中で落としてしまって。
あなた達のぬいぐるみを貸してもらえないかな?
大丈夫、必ずあなた達の大切な人も連れて帰ってくるから。
パパとママを探しに行く為に、お願いします。
…上手く説得できたなら、家族には家で待っているように伝えて。
ぬいぐるみと一緒に届け先の工場へ向かうよ。
…嘘をついて、ごめん。
でも、この『ぬいぐるみ』はあなた達が傷付くことを望んでいないと思うから。
あとはわたしに、任せて。
「(もしも、わたしの大切な人が……パパとママがいなくなって、怪しい手紙が届いたら)」
ぎゅっと手に握り目線を落とすのは、ハートマークのシールが貼られた封筒。星詠みの予知にあった、一見すると可愛らしい封筒だ。それによく似せて作られた封筒の端をきゅっと指で握って。
「(それが明らかな脅迫状だと思っても、きっと従ってしまうから)」
ステラ・ノート(星の音の魔法使い・h02321)は前を向く。
想うのは、星降る夜に出会った、大切な家族。自分を心の底から愛してくれる両親。
大切な人を想う心、それを利用し、非道な行いを続けようとしている簒奪者たちを、許すわけにはいかない。
この悲劇を、早く終わらせて。悲しい結末が待っていたとしても、あの家族がまた、前を向けるように。ステラは小さく息を呑み、歩き出した。
――やや閑散とした場所に建っている工場。その前に停まっている乗用車の付近に、数人の姿が見えた。
男女、青年、少女、……被害者の家族だろう。その中の青年は『段ボール箱』を抱えて、その中身を複雑そうな顔で覗き込んでいた。
あんなにもあからさまな脅迫状と、送られてきたぬいぐるみだ。工場内へと入ることを躊躇するのも当然である。
彼らはステラの姿を認め――そして、その手に握られているものを見て、はっと目を見開いた。
「あ、あなた。それは……」
母親だろう、狼狽えた様子で声をかけ、近づいてくる女性に、ステラは頷く。
「私も……」
嘘は、苦手だ。ましてや家族が居なくなった、なんて。口にすること自体、少し、恐ろしくて。
だが口ごもった様子を見て、母親は彼女のことを「同じ事件の被害者である」と認識したらしい。続いて青年が近づいてきて、彼女の手紙を見て、唇を噛んだ。
「……ぬいぐるみは」
「……ここまで、ひとりで来たの。急いでて……途中で、落としちゃって。探したけれど、見つからなくて……」
ゆっくりと、言葉を選んで話すステラ。苦手な嘘。それがこんな形で役に立ってしまうなんて、複雑かもしれないが。眼の前の家族にとっては同じ境遇――それも、ぬいぐるみを失くしてしまった子供に映った。
「その箱は……ぬいぐるみ? どこから、届いたの?」
「ああ、ココだよ。この場所の住所と、ぬいぐるみと……これが入ってた」
「やっぱり……」
箱を抱えたまま屈んだ青年から見せられた手紙と送り状。星詠みの予知通り、この場所を記していた。
……この場所以外に拠点があるとなれば一大事である。確認することは怠らない。
「……お願いがあるの。許してもらえるとは、思ってないけれど」
「何だい?」
心配そうにステラの顔を覗き込んで、顔色を窺ってくる青年。ステラは真剣な面持ちで、彼へと言う。
「あなたたちのぬいぐるみを、貸してもらえないかな?」
「……これを?」
箱の中を覗き込み、予想外の言葉に家族みな、目を白黒させている。
「必ず、あなたたちの大切な人も連れて帰ってくるから。……パパとママを探しに行く為に、お願いします」
深く頭を下げて懇願するステラを見て、家族は顔を見合わせた。彼らはこのぬいぐるみがどのようなものであるかを知らない。これが自分たちの家族、その『成れの果て』であることも、自分たちが先へ向かえば、このように『つめこまれてしまう』ことも。
「危険だよ、私も行こう!」
「でも、私たちが付いていったところで、役に立てるか……」
両親が思い悩む中で。……青年が、ステラの前で膝をついた。
「……預けるよ」
「お……お兄ちゃん!? 良いの? だって……!」
妹なのだろう少女が駆け寄ってきて、兄の肩を揺する。だが青年の目は、しっかりとステラを見ていた。
「……ここまで来て、まだここにいて……俺たちがどうなるか、もう皆、なんとなく分かっているんだ」
比較的平和な√EDENでも、通常の犯罪行為は存在する。これに釣られ入ればどうなるか、彼は察しているのだ。
箱がステラへと手渡される。やや重みのある、両手で抱えられるほどの箱の中、くまの愛らしいぬいぐるみ。
「君が入ったあとすぐ、警察を呼ばせてくれ。時間を……稼いでもらえるかな。君は俺たちよりずっと小さいから……油断させられるかもしれない」
ステラの両肩へ優しく手を置いた青年は、目に涙を浮かべながら唇を結び、そして、頷き。
「弟を……頼む」
そう言って、ゆっくりと立ち上がった。
……ステラは預けられたぬいぐるみと共に、工場へ向かう。なるべく揺らさないように、優しく。
そして、そっと『ぬいぐるみ』の彼へ、声をかける。
「嘘をついて、ごめん。……でも、あなたもきっと、家族が傷つくのなんて、見たくないよね」
返答はもちろん無く、動くことも出来ないのだろう。だが、それでも彼女は続ける。
「あとはわたしに、任せて」
強い意志と共に、少女は歩く。
工場の扉へと手をかけ、そして……中へと入っていった。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

余りに気持ちの良くない事件だな……。
ぬいぐるみの中身を考えてしまったら血の気が引いてくる。
おれもぬいぐるみをたくさん部屋においてある身としてはな……。
行こう、予知のある家族の元へ。
説得をするんだから、いつも通り「なりきって」いこう。
おれなりの変身だ。
ストロベリーブロンドの長い髪、水色のロリータドレス。
ファム・ファタールと呼ばれるほどの魔性の美はお姫様に見える。
たおやかに、おしとやかに。
「皆様、この工場には行ってはなりません。
何があるか分かりませんから。
だから、私にお任せくださいませんか?
……必ず、解決いたしますから。」
先行する√能力者が工場へ潜入した後。少し離れた場所から家族の様子を窺う白皇・奏(運命は狂いゆく・h00125)はやや複雑そうに眉根を寄せる。
「余りに気持ちの良くない事件だな……」
ぬいぐるみの中身。通常は綿や、きちんと座れるようにビーズが詰められている。手足を動かしてポーズが取れるものなら、それ用の骨組みが。
今回ばかりは、「そんなもの」は詰まっていない。あの家族が中身を見なかったことは幸いだ。もしかすれば、先に被害者となってしまった者達の中には……。
奏の『性質』として。ぬいぐるみをたくさん部屋に置いている以上、気持ちが悪いと言わざるを得ない。
さて、するべきは説得――彼らが工場へと続いて入らないようにしなければ。
靴音を立て。厚底のブーツはよく音が響く。ストロベリーブロンドの髪をふわふわと揺らして。水色の可愛らしいロリータドレスを纏い、いつも通り「なりきって」いこう。
魔性の美、人間災厄「ファム・ファタール」は歩く。目的は――。
「……? また、か……?」
怪訝な目線が突き刺さる。二人目の来訪者の姿に、警察へと電話をかけようとしていた父親の手が止まった。
たおやかに、おしとやかに。柔らかく笑みを浮かべ、「ごきげんよう」と挨拶する奏はまさしく麗しい少女である。
「皆様、この工場には行ってはなりません。何があるか分かりませんから」
ミステリアスな雰囲気を纏う彼を見て、狼狽する家族。当然だ。唐突に現れた、『被害者ではない、第三者』なのだから。
「キミは、一体……」
「ねぇっ、怪しいって! 通報、通報しなきゃっ!」
妹であろう少女が父親の肩を揺すり、ぽかんと口を開けていた父を正気に戻す。明らかに警戒されている様子に、奏は心中、「参ったな」と感じていた。だが怪しまれているのならばそれを利用しよう。
「私にお任せくださいませんか? ……必ず、解決いたしますから」
「っ……でも、もう中に――」
先行した者がいる。彼は「あら」と小さく言って、口元へと手を添えて。
「それなら、なおのこと。助けに行かなければなりませんね」
すたすたと工場の扉へ歩いていく奏。それを止めようと、少女が前へ立ちはだかる。
「だめ。だめだよ。貴方、何者!? 答えて!」
魔性の美も本物の『少女』を相手にすれば、やや効果が薄れるか。奏は目を細めて――少女の耳元で、他の家族には聞こえないよう、囁く。
「正義の味方。とびきりのね。この工場が、彼らが、許せない。行かなくては、ならないの」
少女が、息を呑んだ。……そうして、ゆっくりと行く手をあける。
「いなくなったの?」
今にも泣き出しそうな言葉に、小さく頷いて。嘘だとしても、今は、そうするしかなくて。
「離れていてくださいな。安全なところまで……」
そう言い残し、工場へと入っていった奏を止められるものは、もう居なかった。
🔵🔵🔵 大成功
●一方その頃バニエルちゃんは!
「ふっふーん、ふふーん、かーわいーいねーっ! またしっぱーい!!」
朧魔妲姫にその場を任され、一人になったらしい。工場のレーンから流れてきたあわれな『|ぬいぐるみ《犠牲者》』を宙へと放り投げ、受け止め抱きしめ、跳ねるようにスキップし、「放棄」するために、山積みになったぬいぐるみたちの方へと向かっていく。
ぼふり!
「……あー……何匹目〜……? もー、飽きてきたよぉ……ねぇ〜くまちゃんうさちゃん、良い『材料』、どこかに落ちてない〜……?」
人間のことを、ぬいぐるみのことを、なんだと思っているのか! ふわふわの山に突っ込んでいったバニエルは、そのまま体をそこに落ち着けて、耳をすませる。
「……ぁー……まだ、心音する……」
小さくか細い、息を吹きかければすぐに消えてしまいそうな。大きなくまのぬいぐるみの胸に耳を当て、頬を擦り寄せ……目を閉じる。
「……『未来』のために、糧になってくれてありがと。大丈夫。ちゃんと、役に立って死ねるから、まだこの音、鳴らし続けててね」
……恐ろしい簒奪者だ。己のことしか考えていない、とびきりの。|√EDEN《楽園》に相応しいと言えない、自由で気ままな野うさぎ。
さて、彼女が休んでいるうちに。あと一手ほどは、打つことが出来るだろう。

【SPD】で参加。
【心情】
随分とまた悪趣味な事件だね。
とりあえずは|一般人《彼ら》に話を聞いて、思いとどまってもらわないとね。
……あまり時間をかけて逃げられたくもないし、急ぐとするか。
【行動】
「失礼、少しお話をいいだろうか?」と声をかけ、失踪事件の調査をしていること、何か手がかりを持っていないかと話を聞き出す。
そのあとは「これは明らかに罠だからこちらに対応を任せて欲しい。」「犯人には必ず報いを受けさせる。」などと伝え、彼ら自身が向かうのを止めるよう説得する。
アドリブ、連携大歓迎。

いいなァ…ほしいなぁ…
人間の遺体を加工した呪物は数あれど生きた人間で作るぬいぐるみなんて
どれほどの呪いをもたらすのか。
この依頼が無事完了したら一つ貰えないだろうか…
という本心はしまっておいて
工場に近づく一般人がいれば「ホラーものあるある警告してくれるおじさん」のように脅かします。
(必要であれば不思議骨董+所有のアイテムを使用します)
誰かのサポートで被害者家族の説得に関わる場合は
うさんくさい拝み屋として丁寧(?)に接します。
※サポート・アドリブ歓迎です。
――簒奪者とは、得てして残虐、非道である。今回ばかりは悪趣味の極み。だがそれに対して√能力者たちがどう感じるかというところは、個々で異なるのだが。
「(……あまり時間をかけて逃げられたくもない)」
早急な解決を。そして、まだ離れる決心がつかないあの家族を遠ざけなければ。九・白(壊し屋・h01980)が眉をひそめる。
そのやや後ろで、秋津洲・釦(血塗れトンボ・h02208)は、口元に浮かぶ笑みを手で隠して――。
「(いいなァ……ほしいなぁ……)」
視線の先に見える『ぬいぐるみ工場』を見て……感銘を受けていた。
人間の遺体を加工した呪物は数あれど。人皮装丁本、カパラ、干し首、少し異なり歯を縫い付けられた帽子だの。どこをどう使い|呪い《まじない》のための品を作るかは様々。
此度は生きた人間で作るぬいぐるみ。手にすれば、どれほどの呪いをもたらすのだろうか。興味は尽きない。この依頼が無事完了したら一つ貰えないだろうか――などと。|冗談半分《半分本気》なことを考えながら、釦は熱を持った視線で工場を見つめていた。
「……先に行ってくれ。作戦は了解した」
「了解……腕の見せ所だねぇ」
まるで拝み屋のような風貌――否、そのような事を生業としているのも確かなのだが。彼が先に家族へ接触し、白がそれを追って『演じる』のがこの場に相応しい作戦だと判断した彼ら。
そして、不気味な様相を作った釦が家族へと近づいていく。
「もし……」
「……っ、わァ!? こっ、今度は何だ!」
大きな声を上げ、後ずさる男性と家族。青年は思わず妹たる少女を背に隠し、母は父へと縋るように体を寄せる。
「何のご用で……」
「っ……お前っ、まさか、この工場のっ!」
飛び出そうとした青年を父親が腕で静止する。ここまでくれば、冷静だ。冷や汗はかいているものの、目の前に現れてくる人物達への違和感に、彼は気付き始めていた。
「ただの拝み屋……ええ……ここに消えていった家族がおる、と……話を聞き……」
手に持つ数珠の粒を指でひとつひとつと手繰り、俯き、しゃがれ気味の声で話すその様相。
――ホラーにおける、あるある要素。ここに立ち入ってはならぬ系、今であれば「あの祠を壊したんか」などと言ってもおかしくはない、怪しげなおじさん――!
しかし言うことは実に真っ当である。親切心と仕事としてここに来た、ということは先の言葉だけで十分に分かるというものだ。
「呪いが深い……誰も彼もここへ来て消えていく……見たんではないかねぇ、あなた方も……」
恐怖心を煽られ、ごくりと息を呑む家族――そこへ、慌てた様子で駆け寄ってくる男性の姿。
「ここで何をしている!?」
次に現れたのは、白の姿だ。サングラスに上質なチャコールグレーのスーツを着た色黒の男性が、拝み屋らしき男に詰め寄る。
「ああ、拝みにきただけだよ、安心しておくれ……」
安心できない。演技と職が混ざればこうもなろう、見事なものだ。
ともあれ、話が通じそうな相手が来たことに安心したのか、家族の警戒が少し解けたようだ。
「失礼……東條探偵事務所の、九・白と申します」
父親へ名刺を渡す白の背後では、建物へ向かって拝んでいる釦の姿が。本格的に物騒になってきた。名刺を確認した男性は、白と釦の姿を交互に見て、深刻そうな顔をしている。
「失礼。……少しお話を窺っても、いいだろうか」
白も背後を気にしながら、己の職務を全うしようといった風に、家族へと声をかけた。
「失踪事件の調査をしているんだ。荷物がこの工場から届き、そこから姿を消したという事はわかっている。……何か手がかりを持っていないか」
はっと顔を見合わせる家族。ぬいぐるみは既に手元にはないが、それが送られてきた事と、残されていた手紙を白へと見せてくる。
「……やはり。これは、明らかに罠だな」
頷く面々。手紙を家族へと返して、顎を揉むしぐさを見せる白。
「……こちらに対応を任せて欲しい。……犯人には必ず、報いを受けさせよう」
強い意志のある言葉と、頼りになりそうな見た目、そして身分。信頼に値すると感じたのか家族皆が頷き、そして……建物前で拝み続ける釦へと視線を向けた。
「お知り合い……ですか」
「……うむ……」
半ば誤魔化すような頷き方に、関係性の想像が膨らむ。……度々同じ事件や案件が被る者同士……と、都合よく認識したようだ。ここが√EDENでなければ、初めから疑われていたかもしれない。
――すると、その時。
「お……おぉっ……!!」
釦が声を上げる。それと同時、アスファルトへと何かがじゃらじゃら落ちる音。……釦の数珠が、切れたのだ。狼狽してみせる釦、だがこれも計算のうちである。びくりと肩を跳ね上げた家族。彼らへと振り向き、彼が叫ぶ。
「た……立ち去れッ、立ち去れェエ!! 近寄ってはならぬ!!」
喚くように声を上げる彼に後ずさる家族。すかさず白も釦と家族の間に立ち、家族へと強く呼びかける。
「っ……こ、この……! いいから、早く逃げて!! こちらで、なんとかする!」
なんとも見事か。さながらミステリー映画のワンシーン。慌てて車に乗り込み、エンジンをかけてその場を去る家族。車が見えなくなるまで、彼らは演技を続け――。
「……少し……疲れたな……」
白が溜め息を吐いた。それは、そうである。探偵と拝み屋、あるあるなシーンだとしても演じる側にとっては相当だ。だが釦はといえば。
「やぁ、上手くいってよかったねぇ、ぃっひっひ……」
やや不気味で、楽しげな笑い声を上げながら……家族が逃げていった道を、じい、と眺め続けていた。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第2章 ボス戦 『バニエル・クロノジャッカー』

POW
バニースーツ着装!
【ナノスキンスーツ】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【ばにえるキーック!】」が使用可能になる。
【ナノスキンスーツ】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【ばにえるキーック!】」が使用可能になる。
SPD
これがわたしの未来計画!
【理想の未来世界】を語ると、自身から半径レベルm内が、語りの内容を反映した【空想未来】に変わる。この中では自身が物語の主人公となり、攻撃は射程が届く限り全て必中となる。
【理想の未来世界】を語ると、自身から半径レベルm内が、語りの内容を反映した【空想未来】に変わる。この中では自身が物語の主人公となり、攻撃は射程が届く限り全て必中となる。
WIZ
ばにえるラッキーチャーンス!
【ナノスキンスーツ】による近接攻撃で1.5倍のダメージを与える。この攻撃が外れた場合、外れた地点から半径レベルm内は【確率変動空間】となり、自身以外の全員の行動成功率が半減する(これは累積しない)。
【ナノスキンスーツ】による近接攻撃で1.5倍のダメージを与える。この攻撃が外れた場合、外れた地点から半径レベルm内は【確率変動空間】となり、自身以外の全員の行動成功率が半減する(これは累積しない)。
√EDEN 普通11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
「あぇ〜……ふわふわ……あったか〜……」
間抜けな声が響いている。
あれから結局、『ぬいぐるみ』の山に埋まったまま、何もしていなかったバニエル・クロノジャッカー。
ふかふかのぬいぐるみ達に囲まれご満悦。レーンの先はぬいぐるみで渋滞しているが、気にするようなことではないと思っているようだ。
だが。
「……来た」
うさみみ状のパーツがぴんと立つ。片膝を立て、腕で包み。音の出所を探る――正面出入り口。既に誰かが、侵入してきている。
「逃げる隙は……もうないか」
つまらなそうに、あるいは面倒くさそうに立ち上がり、跳躍する。
レーンの先へ落ちているぬいぐるみを鋭い爪で強く鷲掴みにし、先ほどまで自分が埋もれていた山に投げ。バニエルはぴょんぴょん、とその場で飛び跳ねた。
「ナノスキンスーツ、機能良好――これより、『わたしの理想の未来』への道を邪魔するおばかさん達を、殲滅しますっ!」
ぴょんっ。跳ね上がる機械うさぎ。きらめく赤い瞳には未来が、明るい笑みには希望が。
その爪は、赤い液体で染まって。誰かの未来を閉ざしたことを、示していた。

ここからは、スーパーカチコミタイム、だね。
その前に。
預かったぬいぐるみは安全な所に隠しておくよ。
姿が変わっても、きっとあの人達は、あなたを抱き締めて大切にしてくれるから。
もう少しだけ、待っていてね。
機械うさぎを逃がさない為に。
わたしも変身しましょう、そうしましょう。
…星よ。我が手に剣を、我が身に鎧を。
悲劇を終わらせ、未来を拓く力を、貸して。
戦闘になったら、周囲のぬいぐるみ達を傷付けないように立ち回るね。
大技を使う素振りを見せたら、うさぎ耳目掛けて、全力魔法の音響弾を高速詠唱して叩き込むよ。
びっくりして隙が生まれたら、ラッキーチャンス。
一気に畳み掛けるよ、覚悟して。
※ アドリブ・連携大歓迎だよ。
「ここからは、スーパーカチコミタイム、だね」
呟くは、愛らしい『ぬいぐるみ』を大切そうに抱えたステラ・ノート(星の音の魔法使い・h02321)。
さながら休日朝の番組のような響きであるが、実際これから起こす行動に相応しい言葉だ。
工場内、入口付近の椅子の陰へそっとぬいぐるみと手紙を隠すステラ。大切に預かった愛しい子。たとえ姿が変わったとしても……あの家族ならば、これからも彼を抱き締めて、大切にしてくれる。
「(もう少しだけ、待っていてね)」
羽毛にふれるかのように優しく撫で。彼女は立ち上がり、顔をあげる。機械うさぎを逃がさない為に。工場のレーンが並ぶ――本来ならば梱包ラインであったであろう場所へと彼女は足を踏み入れた。
「――あ、侵入者ちゃん!」
にんまり。上機嫌で、どこか蠱惑的な笑みを浮かべ。バニエル・クロノジャッカーは、侵入者たるステラを歓迎するように両腕を上へと広げる。
「よ~こそ~! ゆかいでたのしくて、かわいい『ぬいぐるみ工場』へ!」
ぴょん。反吐が出るほどに罪悪感という色はない。周囲を見渡せば隅にはぬいぐるみの山。恐らくは送りつけるような価値もないと判断された、失敗作たち――。
「√能力者はまだ試してなかったな~? あなたを「変身」させたら、どうなっちゃうんだろ!」
じっとりと値踏みをするように笑いながらステラを不躾な視線で見つめるバニエル。だがステラは、それに怖気づくようなことはない。
だって。
「あなたたちに「変身」させられる必要なんてない」
残酷で無理やりな変身ではなくて。人々を救うための、星芒の輝きをここに。
「……星よ。我が手に剣を、我が身に鎧を」
変身しましょう、そうしましょう。
身体を包み込む星の瞬き。身につけている衣服が凛々しくも美しい姫騎士の装束へと変化した。
「悲劇を終わらせ、未来を拓く力を、貸して」
それはまさしく『変身』だ。黄金の剣を手にし、バニエルを見据えるステラ。ぱちりと瞬きをしたバニエルが即座に反応する。
「なによ……ひとりで変身だなんてナマイキ! バニースーツ着装ッ、ナノスキンスーツ活性化――!」
バニエルの身体を包むはナノスキンスーツ。ごく薄いバニースーツを身に纏う彼女が先手を取ろうとステラへと駆け出す。
その鋭い爪をもってぬいぐるみのように彼女を引き裂こうとするが、ステラはバニエルよりも速く、その爪を避けてみせた。
「このっ……! ちょこまかしてんじゃないわよっ!」
近距離からステラの体へとその脚を叩き込もうとするバニエル。隙が、見えた。
「――ちゃんと、ひとの話、聞いたほうがいいよっ!」
ステラの速度は今、バニエルを上回っている。高速詠唱を用いて、全力で放たれる音響弾!
「きゃうんっ!?」
耳へと音響弾をまともに食らったバニエルがたじろぐ。ラッキーチャンスはこちらにだって!
一気に畳み掛けられる斬撃。ナノスキンスーツに守られているとはいえ、怒涛の攻撃に防戦を強いられるバニエル。せめてもと腕を振るうも、鎧に一筋の傷を付けるだけに終わった。
🔵🔵🔵 大成功

人をぬいぐるみにするとは、なかなか悪趣味な奴じゃな
それに兵力を生み出すにも、ぬいぐるみでは戦闘力が低くないか?
ともあれ、これ以上犠牲者を増やさぬためにもここで討伐するのじゃ
むむむ……この攻撃は下手に避けぬ方が良さそうじゃ
ここは天使達を呼び出そうか
『Lesser key』で虚空に門を開き、天使の軍勢を召喚じゃ!
『天軍の光』の圧倒的な攻撃の密度で、バニエルを迎撃するのじゃ!
これで敵の攻撃を相殺してしまえば、ダメージも受けぬし確率変動空間を作り出されることはない
そのまま手数で押して殲滅するのじゃ!
「人をぬいぐるみにするとは、なかなか悪趣味な奴じゃな……」
「うるさいうるさーいっ! 可愛いでしょ!? ヒトの感性を否定するのはよくないってよく言うじゃない!」
「いや、感性以上に色々な意味で終わっておるのじゃが」
この場合そう言われても仕方がない、どころではない所業を行っているのだ。喚くバニエルへ、ヴィルヴェ・レメゲトン(万魔を喚ぶ者・h01224)はじとーっと視線を向ける。
「それに兵力を生み出すにも、ぬいぐるみでは戦闘力が低くないか?」
――そこで探されているのが『適合者』なのである。「数撃ちゃ当たる」の精神で人間を改造する悪行は効率こそ悪いものの、バニエルと朧魔妲姫にとっては試す価値のある実験だったのだろう。
結果として、このように星詠みに予知されその野望を挫かれようとしているわけだが。
……もしも、だ。突入が遅れていれば、バニエルは研究成果だけを持って逃亡し、朧魔妲姫は「この場にあるぬいぐるみたち」を√能力者たちにけしかけてきていたことだろう。
戦闘力が低くとも集まってしまえば厄介――かつ、後味の悪い結末が待っていた。
これ以上犠牲者を増やさぬためにも、ここで討つべき。
「ともあれ、その企みもここで終わりじゃ!」
ウィザードロッド、『Lesser key』を構えるヴィルヴェに、まだまだ余裕とばかりに不敵に笑みを浮かべるバニエル。
「ふんっ。まあいいわ! 「この子たち」みたいに、あなたも黙らせてあげるっ!」
自信満々。自分からフラグを立てていくタイプか、それも計算か。攻撃の届く射程まで迫るバニエル。その能力をある程度知っているヴィルヴェとしては、次の行動は半ばお見通し。
ヴィルヴェが虚空に『|Lesser key《鍵》』を差し込み、回す――『開門』!
「ほぉらっ、避けてみなさいよッ!」
派手かつ優雅なハイキックは、明らかな牽制だ。ヴィルヴェはあえてその蹴りを受けた。……否、彼女に召喚された天使が、その脚を受け止めた。
「んなっ!?」
まさか避けようともしないとは。それどころか、自分ではなく召喚した存在に攻撃を受け止めさせるとは思っていなかったのか。
自慢の脚力で飛び退くバニエルへ、現れた天使たちの放つ『天軍の光』が降り注ぐ!
「あいたったた!? 何するのっ!? あーっ! 工場がぁ!」
降り注ぐ光の矢はバニエルのみならず、工場のレーンなど施設そのものも破壊していく。もちろん、ぬいぐるみたちが範囲に入らぬようにしっかりと配慮された無差別(?)な範囲攻撃。
「そのまま手数で押して殲滅するのじゃ!」
鍵のような杖でバニエルを指し天使たちへと命令するヴィルヴェ。工場内という狭さが災いしてか、彼女に逃げ場などない!
🔵🔵🔵 大成功

ひひ…無念を抱いて散ればやがて怨念はうまれるだろう…
僕はその最期の望みをかなえるためにここに来たンだ…
ぬいぐるみにどうしたいか、復讐したいかを問います。
(いくつか質問し身悶えによる様子で判断)
戦闘ではバニエルの機動力を奪うため遺留品・髪で足を狙います。
被害者が復讐、戦いたいと望むなら
「不思議骨董」で彼らの姿のぬいぐるみを顕現しバニエルを攻撃させます。
(そうでない場合は遺留品・ルルちゃんを顕現します※不気味な人形)
あやしい拝み屋の演技が気に入ったのかバリバリ呪物を使いながらそれっぽいこと言ってます。
※サポート・アドリブ歓迎です。

見つけた……。
文字通り、人の命を玩具にしておいて呑気なものだ。
邪悪なウサギに望むべき未来なんてありはしないんだ。
未来人か何か知らないけど、お前の前に立つのは災厄だ。
それも、運命を狂わせる魔性のファム・ファタール。
災厄の力、簒奪者相手になら存分に使っていいと言われてるからね。
【運命の女が魅せる災厄】、魔性の視線を彼女へと向けて。
もうこれだけでいい。
未来はとうなるだろう?運命はどうなるだろう?
少しでも狂いゆく運命を受ければもう、君は破滅から逃れられないから。
「見つけた……」
「ふ……見つかっちゃった……」
なかなかボロボロになりつつあるバニエルが実に呑気に、白皇・奏(運命は狂いゆく・h00125)へ返答する。
人の命を何とも思っていない――いや。人を「玩具」に改造し、それを是とするような性格なのだ。
では何と思っているかといえば、『自分の理想世界、その中に存在できるような素質があるかもしれない「なにか」』程度か。
無邪気な邪悪さ。そんな兎が目指す未来の様相など、よく知れたもの。
「未来人か何か知らないけど……お前の前に立つのは災厄だ」
「へー。物理的に災難に遭ってるから怖くないもんね!」
ふんと壊れたレーンの前で胸を張るバニエル。それでいいのかバニエル。まあいいのだろう、√能力者に見つかった時点でこの工場は廃棄確定だったのだろう。
だが、バニエルは知らない。目の前の彼が、「他者の運命を狂わせる」災厄であることを。自らの『未来』も知らずに、バニエルは奏のことを侮った目で見ていた。
――バニエルと奏がそんなやりとりをしている中、端のほうで『ぬいぐるみの山』へと語りかける男の姿がある。秋津洲・釦(血塗れトンボ・h02208)だ。……何か……雰囲気引きずってませんか? いつのとは言いませんが。
「ひひ……無念を抱いて散ればやがて怨念はうまれるだろう……」
無念。ここに積まれたものたちは当然、望んでこうなったわけではない。その情といったら、計り知れぬものだろう。抱えきれぬほどの重みを持った、悲しみと怒りの感情。
「僕はその最期の望みをかなえるためにここに来たンだ……」
純粋なる優しさから来る行動ではない。呪いを溜め込み己の力とし、それを用いて戦うため。
「ただで死ぬだなんてごめんだろう……?
だが今や「ここで息絶える」という事が決まっている彼らにそれを問えば当然。
「あの兎に、一泡吹かせてやりたいだろう……!」
――ああ、そうとも、『是』である。僅かに、確かに身悶えるぬいぐるみたちの体。ざわめくそれにバニエルが気付くも。
既に、この場は運命と呪いが整い、揃った。
|運命の女が魅せる災厄《クライシス・ファム・ファタール》は、彼女を視認した時点で、既に発動しているのだから。
「――何か作戦でも思いついたみたい。どこまでやれるか……見てあげるッ!」
駆け出すバニエル。ナノスキンスーツを着装し、その脚を避けられる前提の高さで釦に振るう。だがその脚をぐるりと巻き取る黒い鞭が一本。
「なっ……なっ……なにコレぇ!?」
悲鳴を上げるバニエル。それは、長い髪の毛だ。それを鞭として扱い、釦はその蹴りを受け止めたのだ。本気で気持ち悪いといった様子で脚をばたつかせて解こうとするが、|不思議な力《遺留品の力》があるのかなかなか解けない。
「きっもちわるい!! 離しなさいよぉっ!!」
「いやはや、申し訳ない……『彼女』は貴女を大層、お気に召したようで……」
自分の意思ではないとばかりに髪の鞭の心情を代弁し、釦は腕を引く。
さて、破滅への道は丁寧に舗装されている。残る一要素、必要なのは、案内人のみだ。
「ほうら……『これ』も、貴方のお気に入りでしょう……!」
釦により創造される『骨董品』。それは、ぼろぼろになったぬいぐるみ達。積み上げられたその姿ではなく、彼、あるいは彼女たちの心情と呪いが反映された姿だ。
バニエルは息をのみ、脚に絡みつく髪の毛を引きちぎって逃亡しようと試みるが、遅い。
「逃げられないよ、お前は」
振り返ったバニエルの正面に立つは奏の姿。ぎしりと天井から音がする。見ればそこには、今にも落下してきそうな電灯。それが容赦なく落ち、高速で逃げようとしていた彼女の動きを一瞬止めた。途端襲いかかるは釦の生み出したボロボロのぬいぐるみ達。装甲を引き裂かれ、バニエルは全身に傷を帯びながら叫ぶ。
「やめっ……嫌だぁっ! なんで、なんでこんなことにぃ!!」
なんでもなにもありゃしない。未来も運命もありゃしない。「これは、はじめから決まっていた破滅」なのだから――。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功

「お前の語る未来、俺とは相容れないようだね」
話が通じない相手であることは理解してる
もう、これ以上被害は出させないよ
ダッシュで接近
移動速度が上がっても足を止めるタイミングはある筈、そこを狙って√能力猛襲で攻撃
拳攻撃の合間に電気鞭でマヒ攻撃、斧で鎧砕き、拳銃で零距離射撃、光刃剣で居合、グローブで不意討ち、2回攻撃……
と、近接武器での攻撃を順に挟んでいって一気に畳み掛ける
距離を開けられてもダッシュで追って、移動先を察知して食らいつく
キックは見切りで回避を試みるけど、躱し切れないなら敢えてキックを受けてカウンター気味に猛襲を捩じ込む
自分が倒れてでも、こいつは倒さなければいけない
※アドリブ、連携歓迎です

【心情】
どうやら、逃げられずに済んだ様だね。
あの家族にも約束をした事だし、報いを受けさせないとね。
…理想の未来だか知らないが、そんなもの|踏み躙って《破壊して》やるよ。
【戦闘】
|敵に先手は譲らず√能力を発動《先制攻撃》。|殴る、蹴る、叩きつけるのなんでもあり《喧嘩殺法》で攻め立てる。
隙ができたら|組み討ち《グラップル》から|脚の1本でも圧し折ろう《部位破壊》。
敵の攻撃は野生の勘で見切り、受け流し直撃をできるだけ避ける。
敵の√能力躱さず、|肉を切らせて《継戦能力&限界突破で耐え》|骨を断つ様に倶利伽羅剣・抜刀《怪力&捨て身の一撃》を叩き込む。
「お前の語る未来、俺とは相容れないようだね」
いやに希望に満ち溢れた相手は、苦手だ。ぼろぼろになり、さらにちょっと危うくなった装甲を纏って立つバニエルを、クラウス・イーザリー(希望を忘れた兵士・h05015)が見つめる。
「う……う……うるさーい!! わたしの「最高の計画」を理解できないそっちが悪いんだから!!」
……どうやら、逃げられずに済んだ様だ。それにこの様子では、「死ぬまで戦い続ける」ことを選ぶだろう。バニエルは√能力者だ、死んでもどこかで生き返る――だからこそ、このような無茶もしでかす。九・白(壊し屋・h01980)はふんと、ひとつ鼻を鳴らした。
当然ながら話は通じない。ならば容赦の必要もない、ということだ。クラウスがバニエルとの間合いを詰めようと駆け出すが、そこはすばしっこい機械うさぎ。ぴょんと飛び跳ね、幾度目かの「変身」。
ナノスキンスーツを変化させ着装し、膨らませた頬と不機嫌そうな声で二人へとこう声を上げる。
「なによなによぉっ!! みんなして私のこといじめて楽しいの?!」
いじめているのではない、本気で殺そうとしているのだ。どこか抜けた喚き声に耳を傾けてやる必要はない。
「あの家族にも約束をした事だし、報いを受けさせないとね」
理想の未来がなんだ。それが人間に害なすものであるのは明らか。ここで、|踏み躙って《破壊して》やる。壊し屋の本領発揮だ。
「『ナウマク サマンダ バザラ ダン カン』……」
となえるは、己の体に不動明王の力を降ろすための真言――白が見据える先、バニエルの戦法はわかりやすいものだ。フェイントをかけ回避させて、√能力を発動。自分により都合の良い空間に『設定』し、そこから高威力の攻撃を叩き込んでくる――ゆえに。
「いじめっこは、キライ、よっ!!」
この飛び蹴りも避けられるためのフェイント。白はその脚をしっかりと手のひらで受け止めた。
「ぅえっ!? マジッ!?」
思わず素であろう声を上げるバニエル。――先手など許しはしない。
脚を掴まれたまま床に叩きつけられ、勢いよく放り投げられるも、空中で体勢を整えてなんとか着地する彼女。破損した脚の装甲を気にしつつも、戦闘は継続できると判断したようだ。
そこへクラウスが迫る。彼が仕掛けようとした攻撃に合わせ、それを相殺しようとバニエルがまた脚を振るう。重いキックが炸裂し、受け止めた腕が痛んだが、今だ。
動きを止めたなら、速度で勝負してこないのなら、ここで仕掛ける!
「んなぁッ!?」
脚へと加えられる拳での打撃。思わず下がろうとするところを中距離からの電気鞭で麻痺させ逃がさない。痺れている間に再度拳が飛び、次は斧で横に払う。装甲が砕けて散る。
まだまだ、攻撃は続く。白が挟撃するように立ちはだかり、逃げようとするバニエルの前へと回りこんで彼女の脚を止めさせ殴りかかる。一発目は避けられたが、背後からクラウスの追撃。
先ほどの斧とは逆側から頭部に打撃。くらりと歪む視界に目を回している間に、拳銃が彼女の腹に突きつけられ発砲された。
白の前蹴りが倒れかけたバニエルの体を起こす。銃創へとすぐさまクラウスの拳が迫り、今度は光刃剣で撫で切るように肌を裂かれ。
「ッあ、ぐぅっ、この……!」
もはや狼狽えるしかなかったバニエルだが、ようやく防御姿勢を整えた。そんな彼女にまた拳。受け止めるが、傍からの攻撃に気が付かなかった。困惑のまま正面から鳩尾を打たれ、さらに、もう一発目、まだ、追撃がかかる――!
一度、脚を止めてしまった。そこに加えられるはまさしく猛襲。|跳ねる《逃げる》ことすら許さず、一気に畳み掛けられる連続攻撃。それを補助するように白が的確なタイミングで攻撃を仕掛ける。距離を空けようとする動きを見せれば、クラウスは拳を掠めるだけでも『命中』させてからそれを追い、今度はナイフでの両断。バニエルの装甲が切断され、重い音と共に落下した。
「ぅぐっ……この、許さなっ――!」
そして……悔しそうに反撃を試みるバニエルの腹へと、クラウスが渾身の拳を繰り出した。
「ッぁ……ぐ……!」
轟音とともに壁へと叩きつけられたバニエル。装甲はひび割れ、あちこちがショートし、オイルが漏れている。彼女はそれでも、怒りからか、戦意を失っていない――!
白へと向けて跳躍し、一矢報いるために自慢の蹴り技を繰り出すが。距離を詰めた事が、仇となった。
倶利伽羅剣、抜刀。無手である、素手であると思われていたその手に握られるは、炎を纏う剣――!
「さあ、おねんねの時間だよ」
ぬいぐるみがお好きな兎なら、心地よい眠りもよく知っているだろう?
「……うあっ……そん、な……!!」
――中身ごと両断される装甲。バチバチとショートする音が響く中、崩れ落ちるバニエル・クロノジャッカー。体液とオイルの中に沈み、機械うさぎはようやく沈黙した。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
第3章 ボス戦 『朧魔妲姫』

POW
朧魔解放
【朧魔鬼神から与えられた邪悪な闘気 】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【朧魔狐爪撃】」が使用可能になる。
【朧魔鬼神から与えられた邪悪な闘気 】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【朧魔狐爪撃】」が使用可能になる。
SPD
狐妖尾乱舞
【鞭のように伸縮する狐の尻尾 】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
【鞭のように伸縮する狐の尻尾 】を用いた通常攻撃が、2回攻撃かつ範囲攻撃(半径レベルm内の敵全てを攻撃)になる。
WIZ
朧魔覇獣:災餓天金狐
【邪悪な力を纏った焔 】のブレスを放つ無敵の【災餓天金狐】に変身する。攻撃・回復問わず外部からのあらゆる干渉を完全無効化するが、その度に体内の【朧魔鬼神から与えられた邪悪な闘気】を大量消費し、枯渇すると気絶。
【邪悪な力を纏った焔 】のブレスを放つ無敵の【災餓天金狐】に変身する。攻撃・回復問わず外部からのあらゆる干渉を完全無効化するが、その度に体内の【朧魔鬼神から与えられた邪悪な闘気】を大量消費し、枯渇すると気絶。
√マスクド・ヒーロー 普通11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
「ふうん……なまっちょろい連中だと思っていたけど、考えを改めるべきかしら?」
バニエルと√能力者たちの戦いをモニター越しに見つめていた朧魔妲姫。
彼女は最後までバニエルに手を貸すことなく、そしてバニエルも彼女に手助けを求めることがなかった。実にビジネスライクな関係だったのだろう。
または朧魔妲姫にとっては、「良い悲鳴を上げてくれる可愛い娘」程度の。
「消耗している間に攻め込んだほうが良いわね。……さあて、良い声で鳴いてもらおうじゃない……」
からん、ころん、足音を響かせながら、すっかり破壊された工事内へと姿を現した朧魔妲姫。
「どうせここも稼働停止――最後まで足掻かせてもらうわ」
不敵な笑みを浮かべる彼女。……敗北の苦渋を味わうことになろうとも、この『変身実験』による『朧魔機関』への貢献は十分。
「それじゃ、最後まで楽しみましょう?」
笑顔は深く、そして、サディスティック。兎の次に立ちはだかるは、邪悪なる狐だ。

【心情】
ふん、自ら姿を表すとはね。
探す手間が省けて助かるよ。
さあ清算の時間と行こうじゃないか。
【戦闘】
動きが速い相手なら、捕まえてどつくに限る。|距離を取られる前に《先制攻撃》√能力を発動。殺気を込めたフェイントで間合いを詰め、顔面を鷲掴み《グラップル》床に叩きつけ捕縛。
そのまま|マウントポジションをとり連打、乱打、強打の拳の雨を叩き込む。《喧嘩殺法、怪力、限界突破》
相手が反撃してきたなら|相打ち覚悟《捨て身の一撃》で|腕の関節を圧し折ろう。《部位破壊&鎧砕き》
アドリブ、連携、共闘大歓迎。
「……自ら姿を現すとはね」
「下手に逃げるよりは潔いでしょう?」
九・白(壊し屋・h01980)の言葉に対し、さらりと手で髪を流し、あくまで優雅に微笑む朧魔妲姫。それは油断ではなく、覚悟の込められた言葉である。
不退転、ここで死のうと次の機会があると本当に信じているからこそ、彼女は逃げずに√能力者たちの前へと姿を現したのだ。
覚悟が決まっているとなれば、これからすることは明白。
「清算の時間と行こうじゃないか」
指をぽきりと鳴らした白が朧魔妲姫の懐へと飛び込んでいく。すぐさま発動される、互いの√能力。
動きが速い相手なら、捕まえてどつくに限る。だが朧魔妲姫は一切逃げず、その攻撃を真正面から迎え撃った。殺気を纏った白の腕による、容赦のない殴打。床に叩きつけられるが――朧魔妲姫はその速度を利用し、次の攻撃が来る前にするりと抜け出し、マウントポジションを取られることを回避する。
ただ先手を取り殴る、それだけでは捕らえられぬ、まさしく狐めいた女。
「礼儀ってものを知らないのかしら! 舐められたものね!」
低い位置から放たれる朧魔狐爪撃が白の足の肉を抉る。当然白がそんなものには怯むわけはない。見た目とこれまでの所業――後方からくすくすと笑うだけだったその様子とは裏腹、己の速度を近距離戦で活かし回避し、高火力の攻撃を的確に当てようと試みる朧魔妲姫の戦法は「獣の狩り」だ。
白もその攻撃の瞬間を狙いありとあらゆる手段を駆使し、丁寧に一撃ずつ重い攻撃を打ち込み応戦する。互いに手痛い攻撃を正面から受けながら攻防――いや。攻撃は、続く。
互いに「攻撃を軽減する方法」を用いず戦っている。避けるという試みはしても、それは咄嗟の判断。速度については朧魔妲姫が優っている以上、彼女がやや優勢か。
それでも、疲弊は避けられない。息を切らしながら喰らい付いてくる獣の速度は落ちつつある。
「まったく……予想以上に、しぶといねッ!」
攻撃の瞬間。ようやく掴むことができた朧魔妲姫の腕へ力を込め、そのまま床へ叩きつける。脚での追撃を試みたが、それでもまだまだするりと抜ける狐の体。
「しぶとくなきゃ、こんな所を実質一人で回したりしてないのよっ!」
やや愚痴っぽい雰囲気なのは気のせいか。強く睨みつけてくる朧魔妲姫と白の視線が、かち合う。
🔵🔵🔴 成功

「お前も、あの兎と同じように倒してやるよ」
言う程簡単な話じゃないだろうけど
『ぬいぐるみ』にされた人達のためにも、負ける訳にはいかない
アクセルオーバーを起動
ダッシュで接近して全力で紫電一閃を叩き付け、光刃剣での居合でぶった斬って傷口に銃口を捩じ込んで零距離射撃
ワイヤーでの捕縛や鞭でのマヒ攻撃も交えて、怯ませながら全力で攻撃する
消耗してるから短期決戦を心がける
敵の攻撃は見切りで回避
ブレスはダッシュで足元に潜り込んで避ける
災餓天金狐に変身されて攻撃が通じなくなっても、完全無敵なんてありえない筈だと考えて怯まず攻撃
勝てるという希望は持てないけど、諦めるような絶望も持たないから
※アドリブ、連携歓迎です
諸悪の根源が、目の前にいる。この計画を立て、実行し、数多くの犠牲者を出してきた女が。
まだ余裕そうに笑みを浮かべる朧魔妲姫に、クラウス・イーザリー(希望を忘れた兵士・h05015)は敵意を込めた視線で応える。
「お前も、あの兎と同じように倒してやるよ」
先のバニエルのように、スクラップにしてやろう。
「あら。同じ手が通用すると思って?」
そうだ。言う程簡単な話ではない。だが『ぬいぐるみ』にされた者たちのためにも、負ける訳にはいかない。
――アクセルオーバー。駆け出したクラウスを見て笑みを浮かべる朧魔妲姫。速度なら己にも自信がある。否、初めから近接戦を選ぶ気でいる――!
繰り出される紫電一閃を正面から受け止め、痺れる体のまま、居合い抜きの光刃剣を尻を用いて勢いを削ぐ。零距離射撃で放たれた弾丸を受ければ、ややその体が揺らいだ。女がくすくすと笑い出す。その隙にワイヤーを用いて捕縛を狙うも、朧魔妲姫はその場から『まるで、バニエルのように』跳ね退いた。
――ただ戦闘を見ていた、それだけではないようだ。
「アハハ! 良いわね、その戦い方! 兎に狐……獣の調教師でもしたら、きっと上手に稼げると思うわッ!」
彼女は高笑いと共に、暗いオーラを纏う――『来た』。
朧魔覇獣:災餓天金狐。巨大な金毛の狐が、工場の設備を破壊しながら現れる。
だがクラウスは朧魔妲姫の様子から察していた。これは、|最後《お約束》の悪あがきにしてはやや早い――!
「さあっ、さあ! 躾けてみなさいよぉっ、アハハハハ!!」
高笑いが途中から黒焔のブレスへと変化する。それを天金狐の足元へと潜り込み避けるクラウス。しかし彼は、『無敵の存在』となった彼女に対し、怯んで攻撃をやめる手はない。なぜなら。
「勝てるという希望は持てないけど、諦めるような絶望も持てない――!」
潜り込んだ顎下。打ち込まれる紫電一閃は確かに、天金狐の頭骨を揺らしてみせた。
「――ッ、邪魔よッ!」
前脚を使い、クラウスを忌々しげに足元から退避させる朧魔妲姫。
使った体力を己の主、『朧魔鬼神』から与えられた闘気を用いて補い、戦闘を継続させ、√能力者たちをさらに疲弊させようという魂胆だろう。
どこまでも小癪な女狐め。牙を見せうなる巨大な狐の闘志は、まだまだ燃え盛っている。
🔵🔵🔴 成功

無敵になるような奴と、まともに戦っても損じゃ
というわけで、ヴィルヴェは√汎神解剖機関にある『カンパニー』(旅団)の拠点に帰ってきたのじゃ
ヴィルヴェは霊能力者なので、ここからでも『朧魔妲姫』の場所は視えるのじゃ
ここから『尽きぬ軍勢』で、闘気が枯渇するまで延々と召喚した様々な魔獣やら悪魔やら天使やらを送り付けてやるのじゃ!
レッサーデーモンでは相手にならないようじゃな……
じゃあ、ジャイアントスネークとグレートボア(大イノシシ)はどうじゃ?
(召喚を続けつつ、お菓子を食べながら観戦)

√能力者は本当には死ににくいから余裕な感じだけれど、計画を妨害されて失敗と敗走するのは事実だからねい。
そこのところ、覚えて帰ってもらうよう。
本体は無敵でも、撃った攻撃まで干渉を無効化できるわけじゃないからねい。さらに相手に時間制限があるのなら、狙うはそっちの方だねい。
御伽語り・妖妖を使用。攻撃の反射の効果を持つ妖精や妖怪の幻影に絞って召喚していって、相手のタイムリミットまでの時間を稼ぐねい。
オレのネタが尽きるかそっちのパワーソースが尽きるかの時間比べだねい。ちょっとの間、オレの語りにつきあってもらうよう。
アドリブと共闘歓迎だよう。
暴れ始めた朧魔妲姫――災餓天金狐。ブレスを吐き工場のレーンや計器を破壊しているそれを眺め、ふむと冷めた視線を向けるは夜白・青(語り騙りの社神・h01020)。
「√能力者は本当に死ににくいから余裕な感じだけれど、計画を妨害されて失敗と敗走するのは事実だからねい」
肉体は他√にて死後蘇生し、得た知識や記憶は持ち帰ることができるが、間違いのない失敗。敗走――『撤退』のために、己の死すら利用しようとしている。だが、ただで帰してやる道理はない。
「そこのところ、覚えて帰ってもらうよう」
彼女は『最後まで足掻かせてもらう』と言った。あわよくば√能力者たちをも巻き込もうとしていることは明白。
無敵だとしても、回復は出来ない。戦いが長引けば、こちらのみならず彼女もどんどん追い詰められていく。……朧魔妲姫本体はまだ、戦闘を継続できる体力を残している様子だ。朧魔鬼神から与えられた力が尽きる前にその強大な力を手放せば、生身の小癪な狐に戻るだろう。
さあ青のネタが尽きるか、朧魔妲姫のパワーソースが尽きるか。狙うは『時間切れ』――青は、|御伽語り・妖妖《オトギガタリ・フェアリーテイル》を唱え始める。
だが――現れるのは、あやかしの類だけではなかった。
一方。
「はー。無敵の存在なんぞ、相手にするだけ無駄無駄、無駄じゃー!」
さてこちらは初めから匙を投げ――もちろん本当に投げてなどいないわけだが。やわらかぷるぷるプリンにスプーンをさして掬い上げ、口の中に放り込むはヴィルヴェ・レメゲトン(万魔を喚ぶ者・h01224)である。
「しかし大軍勢じゃのう! 悪魔に天使に、妖精妖怪! なっはっは! 百鬼夜行も驚きの圧倒的な数よ!」
災餓天金狐へと波のように押し寄せる古今東西魑魅魍魎。青が唱えるたびに増えていく妖精、妖怪が牽制していく。
駆け抜ける件が突撃攻撃しブレスを吐き出す方向を逸らす。何枚も現れる皿が攻撃を反射し、お化け提灯が目潰しを。
「くッ、この……! 何よ、この数はァッ!?」
鵺が鳴き姑獲鳥が鳴き、喚き暴れる天金狐を牽制していく。
それに混ざるは異形の存在。筋骨隆々の悪魔が勢い良く天金狐を殴り、頭上に現れる天使達が弓を引いた。
それを見てヴィルヴェは余裕綽々高笑い。なぜかといえば――彼女は、『戦場にいない』からである!
ここは√汎神解剖機関。√EDENの工場と同座標に存在する、彼女が所属する『カンパニー』の拠点・支部だ。
奴らが組織力で攻めてきているのなら、こちらも組織の力を――そして、実質無敵ならばこちらも実質無敵に立ち向かえば良いのだ!
「視えておるぞ視えておるぞ~。モニターで眺めておっただけの奴とは違うのじゃ!」
なんか彼女だけ雰囲気違わない? 雰囲気とノリはともあれ、この戦法は『効いている』。
朧魔妲姫、災餓天金狐は青とヴィルヴェの生み出す『群れ』に圧倒され、視界すらも奪われつつある。邪魔だとばかりに体と尾を使い暴れまわる彼女だが、ブレスは反射され、地団駄を踏んでも足元の妖怪どもは一時的に散るだけだ。
「ふふん、ヴィルヴェは優しいからのぅ〜。こやつもきちんと紛れ込ませて、守ってやろうかのう! 東方のものがよいか?」
そうして青の周囲に護衛として配置される妖魔たち。
見えざる|存在《√能力者》に援護されている――青は口元に笑みを浮かべ、詠唱を続ける。
さあさぁ集まれ、列をなせ! 悪鬼羅刹を討つがよい!
天金狐の頭上で|以津真天《イツマデ》が鳴く。
いつまで、いつまで、おまえはその姿でいるのかねい……?
オレの語りより、あんたの『時間切れ』の方が早そうだ――。
「レッサーデーモンでは相手にならないようじゃな……」
咥えられぶっとばされた悪魔を見てポテチをつまみ。
「じゃあ、ジャイアントスネークとグレートボアはどうじゃ?」
召喚されるは巨大な蛇に大イノシシ。妖精・妖怪どもに混ざり突撃していく彼らの大立ち回りを見ながら、ヴィルヴェはふふんと鼻を鳴らした。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
――純粋なる攻撃。圧倒的なまでの数の暴力。それをやり過ごせたのはひとえに、|この姿《災餓天金狐》が「あらゆる干渉を及ぼさない」からだ。
まさしく一時しのぎ。「時間を稼ぎ、より多くの√能力者へと脅威を与えるための手段」だ。それにも限界が来る。
だめだ。このままでは。途切れそうになる意識を繋ぎ止め。
――朧魔妲姫が『変身』を解く。
与えられた闘気が尽きる前に。本来の朧魔妲姫へと戻り、戦闘の継続を選んだのだ。
それが何を意味するのか、彼女は理解している。
この先に待っているのは、死だ。足掻け、まだやれる、そう信じても、手段は。
「まだ……まだよ……一矢報いてみせる……!」
……変身しましょう、そうしましょう。
できないのなら――死にましょう!

やれやれ……兎の次は狐か……。
災厄の狐は生かしておけないよな?
人間の命を玩具か何かと思っているようなやつはここで裁いておくしかない。
【月虹の浄化時間】、来い!ルナイーリス!
古くから√EDENを守護していた月虹の護霊、ルナイーリス。
月光を纏って虹の翼をはためかせる鳳。
ルナイーリスに命じて攻撃の『浄化の月光閃』で攻撃していく。
敵の邪悪な闘気を纏った朧魔妲姫はかなり素早いだろうけど、負けずに攻撃を放て!
絶対に勝機はあるはずだ、ルナイーリス、古くから守護をしたいた護霊を邪悪な狐が打ち破れるはずがない!
「やれやれ……兎の次は狐か……」
それも、どいつもこいつも|災厄《最悪》なものと来た。
人間の命を文字通りの玩具として消費した。その罪、ここで裁かねばならない。生かしてはおけない。
もちろん逃すわけにもいかないが、相手は完全に覚悟を決めている。
積み重なった負傷を『変身』することで凌いでいた彼女だが、もはやそれにも限界が来た。己の本性と牙を剥き出しに唸るその姿は、まさしく獣に似て。
「その兎と狐にしてやられた後なのが、貴方たちなのよ――!」
小馬鹿にするような笑いを浮かべる彼女だが、強がりだ。朧魔鬼神から与えられていた闘気もそろそろ底を尽きる頃。足掻くために残したそれを使い、朧魔妲姫はまだ立っている。
ブレスで破壊された天井から覗く空。雲がかかり――夜へと変化し。月虹が、煌めく。
白皇・奏(運命は狂いゆく・h00125)が天へと手を伸ばす。その名を『喚ぶ』。
「――来い! ルナイーリス!」
天から降り注ぐ月光、月夜に架かる虹。護霊、ルナイーリス。√EDENの夜に寄り添う鳳。翼を広げ月光を受け、虹色に輝くそれが朧魔妲姫へと放たれた。彼女はその速度をもって回避を試みるも、腕を掠めていく。
勝機はある。この手で切り開いてみせる。速度が何だ――威力が何だ。近距離での戦闘に特化したその爪がこの体に届かぬよう、ルナイーリスで牽制と攻撃を繰り返せばいい。
「打ち破れるなら、打ち破ってみせろ。この、『運命』を!」
「チィッ……何が運命よ、何が打ち破れよッ! 最初から決まってるのよ、『運命』なんて!!」
奏の言葉へと朧魔妲姫が啖呵を切る。この現状をよく理解しているのか、それとも。
邪悪な狐を狩るため飛翔する霊鳥。美しく羽ばたくそれに阻まれ、奏へと接近できないままに傷を負っていく朧魔妲姫。彼女とて、防戦一方でいるわけにはいかない。
ルナイーリスが旋回する僅かな隙を見つけ、奏へと急接近して爪撃を繰り出す。だが護霊が見せるその隙を彼本人が見逃すわけはない。焦燥に満ちたその爪は空振り、朧魔妲姫の背にルナイーリスの爪が食い込んだ。
「ぐっ、あッ……!」
あと一押し。必要なのは、その極悪非道な性根を折ること。
何が、なんでも。仕留めきれ。
🔵🔵🔵 大成功

件のぬいぐるみが手に入った事に非常に満足してます。
個人的な目的は達成したしもう帰ってもイイかなって気分ですが、もう一人の黒幕に復讐せよ、
または同じような悲劇を繰り返させないために…
というぬいぐるみ達の囁きを聞くかもしれません。
戦闘では「ステワ・ルトゥ」で吸血触手を呼び出し朧魔妲姫の血と生命を奪おうとします。
「戦いを見届けたいと」言うぬいぐるみを片手に抱き、はりきって拝み屋ムーブを続けます。
※サポート・アドリブ歓迎です。

…人の命を踏み躙り、仲間の危機にも手を差し伸べない。
最後まで邪悪であり続けるのならば、遠慮はしないよ。
悲劇は、これで、終わらせる!
破魔の祈りを込めた音響弾で相手を撹乱しつつ、皆の攻撃がしやすい位置へ誘導。
聖なる星の加護での強化効果も加えて、皆と協力して連撃を叩き込むね。…自分の鳴き声を聞くのは、どんな気分?
立派な尻尾の攻撃には要注意。
範囲攻撃に巻き込まれないように、魔法の箒の力で空中移動や空中移動を活用して早めの離脱を心掛けるよ。
…全てが無事に終わったら。
お借りしたぬいぐるみと、ここに残っているぬいぐるみを元の居場所へ送り届けたいな。
どうか『おかえり』と、抱きしめてもらえますように。
人の命を踏み躙り、仲間の危機にも手を差し伸べず、それどころか、己の死すら恐れず抵抗し続け、とことんまで害を成そうと暴れ尽くしている。
「ああ……ふふ、そうね……あなたなら、良い声を上げてくれるはずよねェッ!」
もはや理性さえ焼き切れつつあるのか。最後まで邪悪であり続けるのならば――遠慮はいらない。ステラ・ノート(星の音の魔法使い・h02321)は決意を胸に、星音繋ぎの杖を朧魔妲姫へと向けた。
――個人的な目的は達成した。だが、「これだけで帰ってはならぬ」と何かが囁く。ああ仕方がない、そうだ、元凶はもう一匹いるのだから。仕留めきってやってこそだ。秋津洲・釦(血塗れトンボ・h02208)はゆらりと視線を悪狐へと向ける。ぬいぐるみの憎悪を代弁した眼は、確かに彼女を貫いた。
「さァ……最後の仕事といこうじゃないか。僕を助けておくれよ、|同胞《カゾク》」
ふらり。『何か』が釦の目前へ現れるも、彼がその影に触れた途端、それがうぞりと奇怪なモノへと変化する。ゼリー状の肉体を持ち、何かの内臓にも見える不気味な様相。だがどんな形をしていようとも、それは彼にとっての|同胞《カゾク》だ。
「――悲劇は、これで、終わらせる!」
ステラが声を上げる。降り注ぐは祝福の流れ星。清らかな歌声が工場内に響き――同時に放たれる音響弾。
破魔の祈りが込められたそれは歌声に混ざり、朧魔妲姫を強かに撃ち抜いた。流星は受けたものの、音響弾は自らの尾を盾として使い軽減はしたようだ。
だが朧魔妲姫は、ステラの存在をより厄介なものと認識した。
尾が伸び鞭のようにしなり、彼女を穿とうとしたそれへを絡むは釦の|同胞《カゾク》。尾の狙いは外れ、床を穿つこととなった。
横薙ぎに振るわれるもう一本に対し、箒を掴んで急上昇し上空へ退避するステラ。その尾を釦の|同胞《カゾク》がまた確りと受け止め締め上げ、生命力を吸い上げていく。
朧魔妲姫がそれを強く振り払うも、星の歌声の加護を受けた|同胞《カゾク》はまだまだ倒れやしない。
「づぅッ……! 癪に障るわねッ!!」
「わたしだって、そうだよ。……自分の鳴き声を聞くのは、どんな気分?」
ステラの皮肉に対して返す余裕もない朧魔妲姫。
いまだ釦の腕の中、身悶え蠢くぬいぐるみの心を代弁するように、釦がくつくつ笑う。
「アンタは、「最初ッから失敗するのが確定している作戦」に乗ったんだ……当然の報いを受けるがいい……だとさァ」
再度広く薙ぐように放たれた二尾。それを絡め取り、自分へと攻撃を引き寄せる|同胞《カゾク》。崩壊する肉体、だが怯むことなく、釦とステラを守るために動き続ける。
放たれる音響弾、避けた先に撃ち込まれる星光の魔弾。報いを。怒りだけではない、悲しみも、哀れみも、すべてを乗せた星の光。
「これで――終わりッ!」
きらりと輝いた願い星は朧魔妲姫の体を、天から貫いた。
――終わった。
インビジブルと化し消える朧魔妲姫の体を見つめ――そして、ステラは隅の方で山となっているぬいぐるみたちへと駆け出した。
ぬいぐるみたちの様子を見るステラ。既にただの『ぬいぐるみ』と変化している様子だった。ついているタグをよく見れば、謎のメーカー名――市販品を装うためのものだろう。そして各々、違う文字列が書かれている。氏名のようだ。
これを行方不明者と照らし合わせれば、彼らを家族の元へと帰してあげられるかもしれない。
……信じてもらえず、受け取ってもらえない可能性もある。それでも。
ステラは椅子の陰へと隠していたぬいぐるみの元へと向かって、抱えあげた。最初と比べて随分軽くなったように感じる。けれど、それでいい。それで、よかったのだ。
「……一緒に、家族のみんなのところに帰ろう。ね?」
そしてどうか。『おかえり』と、抱きしめてもらえますように……。
●『行場のない』ものたちへ
――力を失い、物言わぬぬいぐるみと化した犠牲者たちは、黙している。
己の呼びかけに応えた『者』。やわらかい質感のテディベアを撫で、毛並みを整えて抱え、釦は語りかける。
「さあ、どうしようか。アンタ、これからの行き先はあるかい?」
――それは、確かに『震えた』。
「そうか、居ないか。なら……アンタに、お友達を沢山、紹介してやろう」
行場を失ったものを導くのも、彼の仕事のひとつ。
「うちは大所帯なんだ……気の合う|呪物《やつ》ともきっと出会えるさ……」
アンタも、僕らの家族だ。
……変身しましょう。変身したなら……戦いましょう。その想いが、『尽きる』まで。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功