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とある夜の危機一髪

#√マスクド・ヒーロー #ノベル

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「……はぁ」
 財布からは、チャリチャリ音がするばかり。
「これじゃ、ネカフェも無理だよな」
 途端、お腹の虫が主張する。そう言えば、朝は寝過ごして昼はスナック菓子で済ませたきり。ご飯は昨日から食べてないなら、そりゃあ、空腹にだってなる。
 となれば、手段は1つ。
(「パパ活……もとい、親切なおじさんにご飯奢ってもらおうか!」)
 早速、スマホを開く白石・明日香。まだ13歳だけど……そんなのいくらでもやりようがある。
「……それじゃ、よろしく!」
 案の定、あっという間にマッチング成立! 駅前で待合せたら、そこそこ普通なおじさんが来た。多分、20代半ば? 明日香からしたら、充分おじさんだ。
 お小遣いとは別に、ちょっとお高いファミレスでご馳走になって。その後、結構高いカフェでスイーツ奢ってもらって。
「お腹一杯。ごちそーさま!」
 さっさとさよならしようとしたら、肩に手を回された。
「俺、今日は出張で、ホテルに部屋があるんだ」
 うわ……。
「そりゃ、泊まるトコあるのはありがたいけど……部屋一緒だよね?」
 何、当然って顔してるんだか。
「オレ、中学生なんだけど」
「え、マジ?」
 明日香の年相応以上に発育したスタイルを舐めるように見回す、男の眼がどろりと澱む。
(「駄目だ。ますます燃え上がってやがるし」)
 このエロ親父! なんて罵倒は逆効果。√能力者である明日香が、力で負ける気はしないが、寧ろ一般人相手の暴力は不味い。
(「どうする……?」)
「もう、夜も遅いし。行こうよ」
 振り払っても構わず、にやけた顔で手を伸ばしてくる。
「おい、やめろ……」
 覆い被さるように男に迫られ、ビクリと身体が強張る――|思い出してしまう《・・・・・・・・》……あの時の事を。
「ヤダッ!」
 思わずドンッと突き飛ばす。
「え……」
 まさか反撃されると思ってなかったのだろう。バランスを崩した男は、よろけた拍子にガードレールに足を取られる。
「うぐっ」
 見事ひっくり返り、後頭部を強打する。
「おい?」
 どうやら気絶しただけで、これ幸いと退散した。
「あーあ、今日はどこで寝ようかな」
 雑踏に紛れて、漸く安心する。思わず、顔を顰める明日香。
「やっぱり、|大人《年上》を信じちゃ駄目だよなぁ。ちっちゃい子供なら怖いこと考えないし」
 まだドキドキする心臓を抑え、呟く。今は生きているかも、どこにいるかもわからない――誰かに向けて。
 ――なぁ、そうだろ……?
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​ 成功

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