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 そんな風に思われていたんだね、僕は……。
 生き急ぐことに執心しているのではないかと、滑るように、くるり、朝見・結那は回ってみせた。持ち前の運動神経の所為でくらりと笑われてしまったが、それでも双眸を閉ざそうとはしなかった。帽子の上に落ちてきたケセランパセラン。大きな、大きな、ツリーを飾ってくれている彼等からの背中押し。しかし、如何してなのだろうか。理解をしたくないほどに脳内でたくさんのアサガオが押し花にされていた。ここが噂のデートスポットだね。聞こえた。耳にすぅっと這入り込んできたのは久遠寺・悟志の……『さとり』からの何気ないもの。帽子についたふわふわを払ってくれたところでお返しをしようか。ありがとう、悟志君。それと……うん、道に迷わずに着いて良かったよ。桜の木の下に埋まっているのが死体なのであれば、クリスマス・ツリー、その根元にはきっと複数のプレゼントが置かれている。少年のような彼の呼吸音がヤケに近くにあるような気がして目眩がしそうだ。……でも、結那。こういう所は、恋人になろうとしている男女が来る場所じゃないのかい? ああ、美しいまでの|雪《ケセランパセラン》。一種の「勇気」を与えようと――男女の幸せを招こうと――より強く発光してみせた。合ってるよ、悟志君。私は……朝見・結那は……悟志君と、そういう関係になりたいんだよ。上へ上へ、天へ天へ、電子の泡に擁されているかのような感覚、お姫様からの告白だ。
 え……? さとりの包帯、その裏側。人間を見つめていた『それ』が丸くなる。刹那、自分か、相手か、わからないが。呼吸が途絶えてしまうかのような不意打ち。悟志君は長い間、私の心を読まなかったよね。だから、気づいてないのかもしれないけど……。息をする。息をして、肺に空気を送り込んで、熱っぽいものを吐き出す。……好きだよ、悟志君。攻めるならば今しかない。進むならば今しかない。人魚姫のように、欠片を抜き取るかのように。包帯を取って、私の心を読んで。これはお願いだよ。|助手《かのじょ》が肩に触れているとようやく『僕』は理解できた。確かに僕は、これまで彼女の心を読もうとはしてこなかった。彼女は僕にとって……最初に教えてくれた人で……大切な助手。甘酸っぱいほどのすれ違いだ。たとえば、王子様。12時の鐘の音も知らない儘……。
 包帯を手にしたのは王子様だったのか、お姫様だったのか。
 王子様以外にはありえないのだが、しかし、そのような空気がさまよう。
 赤い、赤い、双眸が――『悟志君、あなたが好き』――心を捉えた。
 アサガオだ。冬のくせして、クリスマス、|青と白《アサガオ》なのだ。ごくり、相手の気持ちを、覚悟を汲み取って男は『答え』を口にした。ありがとう、結那。だけど……。こぼれてしまった種を回収することは難しい。難しいからこそ、おそろしいからこそ、自分自身の気持ちをしっかりと伝えなければならない。ごめんね……僕は、君の気持ちには応えられない。僕は探偵で、君は助手……大切な相棒……その関係を、これからも続けていきたいんだ。助手が『幼い頃』からの絆なのだ。この絆は不変であり、確固たる代物で、故にこそ再構築する事は出来そうにないか。結那のことは好きだし、僕にとって大切な存在でもある。けれど、どうしても恋愛対象にできそうにないんだ。結那のせいじゃないよ、僕が臆病なだけ……。見る。見つめる。この言の葉の結果からは目を逸らしてはいけない。
 本当にごめんね。
 うん……あー……そっかあ……。
 彼が見ている。見てくれている。ちゃんと、心の奥まで見てくれている。探偵が「さとり」でなくても、私の感じていることは「バレバレ」だよね。悲しくて、寂しくて、涙が止まらない。どうしようもなくアサガオに囲まれ、ケセランパセランで大きな粒を拭いたい。でも……私は後悔してない。いつか、ちゃんと伝えなきゃって……助けを待つだけでは足りないって、ずっと思ってたから。ぼんやりしている世界の中、それでも悟志君は手を取ってくれた。……帰ろうか。送ってくよ。優しい、優しい、ぬくもりに振盪を癒されたかのような。うん、ありがとう……きゃあ! すっかり凍り付いていたのは路面だけ。つるりと、お約束のように足元を掬われた。危ない……! 男の人の掌、身体に支えられた。世界がひっくり返るよりも早く、嗚呼、お姫様へ再びの赤色。
 大丈夫……?
 だ、大丈夫。ありがとう、悟志君。
 私の王子様は、これだから、ずるい。そんな風に私を助けてくれるから、そんな風に私を探してくれるから、私にとって王子様なんだよ。
 このデートスポットの噂は『告白すると結ばれる』のではない。告白すると『幸せになれる』だった筈。それなら、恋人としてではなくても、私も、悟志君も、きっと……。ケセランパセラン降ってきてお姫様の鼻を擽った。
 うん……そうだよね。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​ 成功

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