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天岩戸隠れ+千夜一夜物語=???

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 彼が、正確には僕の──四之宮・榴の|相棒《半身》は、僕に僕以上の執着を魅せる時がある。それが、本当に執着心なのか、独占欲なのか、それとも其れ以外の感情なのかは、今の……いや、感情を言葉通りにしかなぞれない、上澄みだけしか掬えない、僕には、到底理解が及ばない、解り合えない感情で向かい合う相手である。
 僕の|半身《相棒》の、彼の名は『和田・辰巳』と謂った。僕とは最終的な|結論《・・》が絶対に相容れない全くの正反対な思考を|人間《ヒト》だと謂うのが、僕の第一印象だった。その時は、まだ彼は|他人《・・》のモノであった。それを僕が何も感じず「ヒトがヒトを好きに成る」と謂う行為自体に興味がなかったからだ。
 ──そんな僕が「ヒトに恋をしたかもしれない。」──と思った事だってあったのだが、それ自体が僕には全く想定してない結果を起こし、僕は自身が√能力者として認識する辺りまでヒトを信用いや、信頼すら出来ない自己を最底辺まで卑下する結果となった。
 そうして、|ヒトの身《・・・・》では決して来られない場所に引き籠もった。
 ──そう、普通の|ヒト《・・》には、絶対に来られない場所。
 なのに彼は、いえ辰巳様は居るのが当然のように在る。居るのだ。1日、2日、3日…それが続いてほぼ毎日。
 僕は、|辰巳様《彼》が神職であるのは知っている。頭では理解しているのだが、存じ上げては居るが、此れは、何故か|狡い《・・》と感じた。
 その場で毎夜紡がれる言の葉は、僕の壊れている、破れている、柔らかな部分を包むように、大切に、大事に、温かく、しっかり寄り添い、護るように僕だけに伝え続けた。……続かれたのだ。
 それは天岩戸を開けるように、千の言葉を紡ぐように……その言の葉で、僕の全てを想い変えるように。掬い上げてくれるように──。

 ──先に根を上げたのは、僕だった。
 ……だから、僕を理解して、僕を大事にすると謂う言葉を、|約束《・・》を信じた。迂闊にも信じてしまった。
 その後は、ジェットコースターの路を辿るように、僕には知らない|未知《・・》が待っていた。

 ──時に大胆に。
 ──時に繊細に。

 僕が、99/100しか救わないなら、彼は、辰巳様はその残った1を救うと謂った。

「──だって、その1は榴だろ?
 ……なら助けるのに、理由なんていらないでしょ。
 僕の仕事は、その1だけを救うだけなんだよ。」

 笑顔で語られたその想いは、言の葉は、僕らの|矛盾《・・》を簡単に噛み砕いてしまった。
 そのたった1つを救うのがどれだけ困難なのかを知ってか知らずか……。
 愚か──と謂ってしまえばそれで終わりの思考だ。
 ──しかし、出来てしまえば、これ以上ない大円満である。

 ……そして、僕は……2人で、其れを起こして……しまっていた。
 ……敵わないって……思ったのは、嘘じゃない。

 |貴方《辰巳》様の隣は、とても温かい。そして、砂糖のように甘く、マシュマロのような柔らかさで包まれている。苦しいのに、苦しくないって変な気持ちだと思った。
 ──だから、僕は僕の傍にずっと在って一緒だった|モノ《・・》を彼に、辰巳様に差し上げようと思った。
 使い古されて飴色になった革の鞄。僕の維持できる記憶の中に常に在ったモノ。
 ──差し上げるに当たって、少し、ブラッシングして、柔らかい布で拭いて、汚れには乾拭きとキツく水分を絞った布で磨いて影干ししては、また、磨いたけど。革も|生き物《・・・》だから、手早くスポンジでクリームを薄く塗って、そしてまた干して──。
 ……さ、流石に……其の儘、お渡しするのは……僕の良心的なモノなのか、胸の奥にある想いが、何故か恥ずかしいと……思考を導き出したから。

 ……気に入って頂けるだろうか?
 ……僕の使い古しなんて……。
 ……僕の知らない僕を知ってる|モノ《鞄》を。


 ……想いを籠めて 「Merry Christmas」。



「!!??
 有難う、榴!!!」
 ──目眩がする。視界が回転する。止まらない。止まってくれない。
「……た、辰巳……や、やめ、止めて……っ……目が、廻る……っっ”……!?」
 抱き締められる。腰を抱えられてその場でくるくるとワルツを踊るように。ふわりふわりと幾つもの円を描いて、榴を鞄ごと抱き上げてぎゅっと抱き締める。
 当の榴は顔を真っ赤にして若干目を回し気味だが、廻した張本人は全然問題ないとばかりににっこりと嬉しそうな笑顔を榴に見せて、喜びを身体で表現したのだ。
「──大好きだよ、榴。」
 辰巳の笑みが一層深くなる。この世の春を体現しているが、現在は冬真っ只中。ある種の熱気とやらで雪など溶けてしまいそうではあるが──。
 そんな事は露知らず、2人の影はゆっくりと重なったのだった。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​ 成功

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