シナリオ

天上の禍、地底より目覚む

#√ドラゴンファンタジー

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 新宿区内の路地裏に、それは唐突に姿を現していた。
 狭いビルの隙間から、まるで以前からそこにあったかのように、古めかしい石造りのアーチ型入口が顔を覗かせる。
 奥には不自然なまでに広大な空間が広がり、中心には巨大な縦穴が黒々と口を開けていた。
 縦穴の壁面には無数の鉱石が埋め込まれ、それらは薄明かりを放ちながら妖しく輝きを変える。
 壁には不規則な間隔で足場となりそうな突起が点在しており、ところどころには人工的に作られた梯子の痕跡も見て取れる。
 ――近くを通りかかった初老の男性が足を止め、石造りの入口を眺めた。
「おかしいな。こんな場所にこんな洞窟が……昔からあったっけ? テレビの特集か何かで見た、都市伝説の心霊スポットかな」
 しかし男性の眼差しはすぐに曇り、きょろきょろと辺りを見回し始めた。
「……そういえば私は今、確か自宅へ向かってたんだっけ……うん、そうだった。ここを右に曲がれば……」
 男性は一切を気にとめず、再び足早にその場を立ち去っていく。一瞬だけ気付いた異変の記憶は薄れ、忘れ去られていった。
 このままでは、この異空間は誰にも気付かれることなく広がり続け、取り返しのつかない事態を引き起こすに違いない――。


 神谷・月那(人間(√EDEN)の霊能力者・h01859)が、√能力者達へ事件の発生を伝えていた。
「集まってくださった皆様……お伝えしなければいけない事があります。何者かが√ドラゴンファンタジーから天上界の遺産を持ち込んだのか、√EDENにダンジョンが発生してしまいました。勿論、放置すればダンジョン近辺の住民は次々とモンスター化してしまいます。これを阻止する為にも、急いでこのダンジョンを攻略し、破壊しなければなりませんが……」
 月那は一度言葉を切り、視線を伏せる。
「まず第一章の攻略として、深い縦穴の中を探索し、底へと辿り着く必要があるようです。そしてその次に控えているのが、『エンジェル・フラットワーム』もしくは『DEEP-DEPAS』との遭遇です。前者は美しくも危険な生物で、触手と毒で獲物を狩る習性があるそうですが……後者は、インビジブルすらも狂わせてしまう不可解な存在のようです」
 月那は神妙な面持ちで、√能力者達を見渡す。
「そして最後に私達を待ち受けているのは……このダンジョンの核と成っている、√ドラゴンファンタジーの強大なモンスターとの決戦です。どうか、皆様のお力をお貸しください。このまま事態を放置すれば、近隣住民の方々が犠牲になってしまいます。それだけは……避けたいのです」

マスターより

霧柄頼道
 霧柄頼道です。よろしくお願いします。

●エンジェル・フラットワーム
 半透明の美しい体を持つ捕食者。薄い体躯を活かした忍び寄りと、セレスティアルの翼に形容される触手による捕獲を得意とする。獲物を丸呑みにして体液で溶かす習性がある。行動は慎重で計画的。

●DEEP-DEPAS
 言語化不能な叫びでインビジブルを狂わせ、同化していく謎の存在。その正体は不明で、ある程度戦うと突如として姿を消すという奇妙な特徴を持つ。狂気じみた行動パターンを示す。

●舞台
 新宿区内のビル街に出現したダンジョン。老朽化した石造りのアーチ型入口の奥には広大な空間が広がり、中心に巨大な縦穴を持つ。
 壁面には薄明かりを放つ無数の鉱石が埋め込まれている。

●地形情報
 巨大な縦穴の壁面には不規則な足場となる突起が散在し、人工的な梯子の痕跡も見られる。
 周囲の石造りの回廊には複数の小部屋があり、それぞれが縦穴への通路を持つ。底は深い闇に沈んでいる。

●各フラグメントのアドバイス
 第一章は身体能力や登攀技術、あるいは文明の利器を用いた縦穴探索。状況に応じた対処法の選択が鍵となる。
 第二章では二種の敵との戦闘が想定され、いずれも独特の戦い方が要求される。
 最終章は強大なモンスターとの決戦。総力を挙げた戦いが予想される。
12

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第1章 冒険 『ディープホールへの挑戦』


POW 身体能力で挑む!
SPD 登攀技術で挑む!
WIZ 文明の利器で挑む!
√ドラゴンファンタジー 普通7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

結城・凍夜
アドリブ連携歓迎

突然現れるダンジョン、本当に迷惑ですよね…
定着する前に攻略してしまいましょう。

巨大な縦穴ですか。それなりに広さがあるなら、箒に乗って降りていきましょう。
途中で何があるか分かりません。空中移動の要となる箒と身体をベルトで固定、不意の落下に備えておきます。

ただ降りていくのではなく、後から来られる方や帰り道のことを考えて、壁の突起や梯子の様子を確認し、安全そうなルートが分かるようにしておきます。
崩れそうなところは補強又は代わりの足場となる楔を打ち込んだり、壁にロープを這わせておきましょう。

敵の痕跡にも注意。
どちらも厄介な性質ですが、行動パターンが読めるだけ、ワームのが戦いやすいかな?


 結城・凍夜(雪の牙・h00127)はダンジョン入り口で、入念な装備確認を済ませていた。
「人工物のように見える構造に、自然石めいた質感。なるほど、天上界の遺産ですか」
 旧式の雪守り箒を取り出し、背へ固定する。いつもなら自宅の地下の問題に取り組むところだが、住民の安全を第一に考えれば迷いは無い。
「……深いようですね。この照明を頼りに、足場を探っていきましょうか」
 縦穴の淵から身を乗り出し、腰のベルトを箒に結び付ける。常套手段だが、不慮の落下に備えて手堅く。
 薄明かりを放つ鉱石群の合間から伸びる突起や、朽ちかけた梯子の様子を探りながら、一歩一歩と探索を開始する。
 白髪の錬金騎士は箒に身を預け、慎重に下降していく。磨き上げられた精霊銃から漏れる魔力の光が、壁面の鉱脈に映える。
「後から来られる方々のために、道筋は残しておかねば」
 錬金術の技能を活かし、足場となりそうな突起を探っては補強を施す。中には危なげな石柱も混じるため、楔を打ち込みロープを巻き付けていく。
「フラットワームにしろDEEPにしろ、どちらも厄介な相手ですからね。警戒を怠れません」
 白銀の精霊銃を片手に、下降を続ける凍夜であった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

シアニ・レンツィ
アドリブ絡み連携歓迎

んもー!またあたしの大好きなこの世界に変な物持ち込みくさってからにー!
誰かがモンスターになっちゃう前でよかったよ。急がないとね。

…わぁ、底が見えない。ダンジョンはやっぱりいろんな顔をしてて面白いなぁ。
こんな時じゃなければもう少し景色を楽しみたいんだけど。

とりあえず視力と暗視技能で着地するのに十分なスペースが無いか調べてみる。
よさげなところがあったら√能力を発動。竜化した足をバネにジャンプして飛び降りていくね。シアニジャーンプ!
見つからない場合は穴の広さ次第だけど、壁から壁へジャンプしながら蹴り降りて行くよ。
あとはー竜化した足で壁を蹴っ飛ばして穴をあけながら降りてくとかかなあ


 シアニ・レンツィ(不完全な竜人・h02503)は設置された支点を一瞥し、顔を輝かせた。
「すごいなぁ! あたしもね、先輩の作った足場を使いながら、自分なりの降り方で行くから見ててね!」
 暗視の技能を活かし、螺旋状に続く壁面の間隔を確かめる。跳躍可能な距離だと見極めるなり、√能力を解放。
「フォルス・ドラグアサルト!」
 両脚が空色に染まり、竜の脚へと変貌を遂げる。縦穴の底へ向かって身を乗り出すや、躊躇いもなく身を躍らせた。
 壁面を力任せに蹴り砕く音が轟く。砕けた岩盤を蹴り返し、螺旋を描くように反対側の壁面へ飛び移るのだ。
「シアニジャーンプ!」
 一回転、二回転と宙を舞いながら、岩盤を破砕する蹴撃を重ねていく。蒼い光跡が弧を描き、鉱石の灯りと呼応した。
「真竜には及ばないかもしれないけどね――でも、あたしはこの力で戦うんだよ!」
 不完全な竜の力が生み出す俊敏さで、少女は縦穴の底へと降り続けていった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

紅河・あいり
ダンジョン近辺のみんな、大丈夫かしら……。急がないと。
なのに今日の仕事はどうしても外せないし、困ったわ。
そこで私、ミニあいりの出番ってわけ。

<行動>
別√から霊能力で現地を観察して【WIZ:文明の利器で挑む!】
本体の代わりに分身であるアイテム【ミニあいり】が現地で喋り、探索する
【ドローン】を使用してぶら下がり飛行、突起の足場や梯子の痕跡を手掛かりに進む。
強風や不測の事態でドローンが墜落したり壁に激突しそうな時は、ぬいぐるみボディ(緩衝材)を生かしてドローンを【かばう】
本体あいりも仕事の合間を見計らって、ミニあいり達の進路上の障害を√能力で排除する

<補足>
本体あいりは√EDENでアイドルのお仕事中
ルクレツィア・サーゲイト
※アドリブ歓迎
【SPD】
「底が見えないほどの縦穴かぁ。確かに不安はあるけど、逆にドキドキ感も増すわね」
絵的には石造りの構造物も興味はあるけど、まずめざすは縦穴とその奥の”何か”よね。
画家たるもの、描きたい景色を描く為なら山の上だって川の中だって突き進むもの。決して得意じゃないけど、サバイバルだってクライミングだってお手の物ってね。
最低限必要な命綱とハーケンは用意しつつ、あとは持てる技能を応用して慎重に岩壁を下るわ。最後は野生の勘頼りって部分もあるけど、自分を信じて行くしかないわね!
もし一緒に降下している仲間がいたら、お互い声を掛け合いながら進めれば良いわね。
「おーい、そっちは大丈夫かしらー?」
アステラ・ルクスルブラ
都会のど真ん中に、随分と巨大な穴が開いたもんだ
まあ、こういうところはお任せあれってね

翼から魔力を放出して浮力を得ながら、ホバリングの要領で空中浮遊する
そのまま大穴を浮遊しながら降下していこう
これなら先行してる人達の邪魔にもならないだろうしね

目的地は大穴の底だけれど、これだけ多い小部屋も気になる
例えば底に着いた後、上から敵に降ってこられてもたまらないし
念のため、いくつか小部屋に立ち寄って様子を見てみよう
敵性存在や罠も警戒しながら慎重に観察、万一危険を感じたら大穴の安全圏まで退避
三つほど覗いてみて何もなければさっさと大穴の底を目指そう
もし何か気になることがあれば、念のため他の人達にも共有しておこう


「ダンジョン近辺の住民が心配ね……でも今日のロケは外せないわ」
 別√の撮影スタジオから、紅河・あいり(クールアイドル・h00765)は霊能力で、√ドラゴンファンタジーの縦穴内の様子を窺っていた。
「そこで私、ミニあいりの出番ってわけ」
 √を挟んだ視界越しに、ミニあいりが手を上げて本体あいりへ応じる。
 ミニあいりは自律飛行ドローンに掴まり、突起から突起へと降下を開始。
 露わになった岩盤の隙間も、ドローンと小さな体格を活かして効率的に探索できた。
 センサーが強い下降気流を検知すると、ドローンは姿勢制御装置を起動して風圧を制御。
 不測の事態に備え、ミニあいりは緩衝材として機体を守る構えを取る。
「この体、こんな時のために柔らかくできているのよ」
 一方、本体のあいりはスタジオの片隅で静かに目を伏せる。分身の視界を共有しながら別√を観測し、突き出た岩盤や不安定な足場へ【霊波】を放つ。 
 蒼白い波動が危険な突起を砕き、安全な探索路を確保していった。
「あいりさん、ポジション確認をお願いします」
 照明スタッフの声に、彼女は一瞬で表情を切り替えた。完璧なアイドルの笑顔でカメラの前へ向かう。その影で、ミニあいりとドローンは慎重に探索を続けていた――。


 ルクレツィア・サーゲイト(世界の果てを描く風の継承者・h01132)は岩壁に見入っていた。
 石造りのアーチから続く縦穴の構造、露わとなった鉱石の輝きに画家としての興味を惹かれる。
「底が見えないなんて、むしろ謎に満ちた絵心をそそるわね」
 命綱とハーケンを手早く装着し、サバイバルの技能を思い出す。たとえ画材を持ち歩く腕でも、こういった時のために鍛えてきたのだ。
 足場を確かめながら丁寧に降りていく。野生の勘が警告を発すれば立ち止まり、クライミングの技能を駆使して慎重に進路を選ぶ。
「世界の果てを描くために、こんな所で躊躇うわけにはいかないもの」
 鉱石の輝きに照らされた空間は、画家の目には絵の具を散りばめたパレットのようにも映る。
「……あら、どなたかしら?」
 暗がりの奥にふと、ドローンとともに降下中の小さな人影を見つけた。ミニあいりである。
「……って、ぬいぐるみ? なんだか面白いものを見つけたわね」
 ルーシィは首を傾げながら、探索を続けていく――。


 アステラ・ルクスルブラ(赫光の黒竜・h01408)は縦穴の中空へ身を躍らせた。翼から魔力を放出し、小柄な体を浮遊させる。
「ホバリングなら、他の皆の邪魔にもならないな」
 浮遊する位置を微調整しながら、石造りの回廊に並ぶ複数の小部屋へと注意を向ける。
 上からの敵襲、もしくは途上にあるかもしれない罠。
 どちらに襲われても、底への進行は足止めを喰らってしまうだろう。こういうのはこちらから確認しておいた方がいい。
「まずはこの部屋から……」
 青藍の瞳を細め、小部屋の入口へ降り立つ。石造りの壁に刻まれた古代文字、床に点々と残る鉱石の欠片。かつて儀式に使われていたような痕跡が見て取れた。
 二つ目の小部屋は鍵の掛かった木箱が数個。三つ目は錆びついた祭具が散乱していたが、いずれも特に危険な気配は感じられない。
「罠も敵もなし、か。……代わりに散見されたのは儀式の跡か、昔の痕跡か。興味深いものではあるが……」
 体内の竜核炉から魔力を解き放ち、再び底へ向けて飛び立つ。
「――今は先を急ぐべきだな」
 今度は真っ直ぐに、縦穴の最深部を目指していった――。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第2章 集団戦 『エンジェル・フラットワーム』


POW 捕らえる
【口を大きく開いて】から【、敵を捕らえて胃袋へ放り込むための触手】を放ち、命中した敵に微弱ダメージを与える。ただし、命中した敵の耐久力が3割以下の場合、敵は【フラットワームに丸呑みにされ、全身が溶解】して死亡する。
SPD 毒を撒き散らす
指定地点から半径レベルm内を、威力100分の1の【有毒の粘液】で300回攻撃する。
WIZ 這い寄る
【薄っぺらい半透明の体を活かした襲撃】の体勢を取る。移動力と戦闘力を3分の1にする事で、肉眼以外のあらゆる探知を無効にする。嗅覚・聴覚・カメラ・魔術等、あらゆる探知が通用しない。
√ドラゴンファンタジー 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 縦穴の底は広大な円形の空間へと開けていた。天井から滴る水が青白く輝く水晶の池を作り、その周囲には無数の通路が不規則に穿たれている。底まで届いた光が水面に反射し、幻想的な光景を描き出していた。
 だがその美しさとは裏腹に、水晶の池の表面が不気味に揺らめく。セレスティアルの翼を思わせる触手を持つ半透明の影が、何体も蠢いているのだ。
 その姿は水面の光を纏い、確かに美しい。しかしその正体は、獲物を丸呑みにして溶かす捕食者――エンジェル・フラットワームであった。
 体の薄さを活かし、時に姿を消すように這い寄り、時に一斉に有毒の粘液を撒き散らす。探知も通用しない厄介な相手。
 水晶の池を挟み、√能力者達は対処を迫られていた――。
継萩・サルトゥーラ
霧柄頼道マスターにおまかせします。かっこいい継萩・サルトゥーラをお願いします!

アドリブ歓迎。
「やったろうじゃないの!」
「まぁ焦んなや、楽しいのはこれからだ」

√能力は指定した物をどれでも使用ます。
戦うことが好きで好きで楽しく、戦闘知識や勘を活かしてハデに行動します。
楽しいからこそ冷静でいられる面もあります。
多少の怪我は気にせず積極的に行動しますがヤバいときは流石に自重します。
仲間との連携も行えます。
軽口を叩いたりやんわりと皮肉を言ったりしますが、他の√能力者に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
ルクレツィア・サーゲイト
【SPD】※アドリブ・連携歓迎
「地下に降りるとそこは幻想的な水晶空間…なんだけど、何か嫌な感じね」
竜漿兵器を起動し、腰のホルスターに左手をかけ戦闘態勢へ。
私の勘がそう囁くの、これってきっとヤバい奴!
揺らめく捕食者を視界に捉えたらホルスターから銃を抜き、射撃系の技能をフル活用して可能な限り相手より早く「エレメンタルバレット『雷霆万鈞』」を放つ。
「遅い!撃たれる前に、雷弾の爆風で吹き飛ばしてやるわ!」
※相手に先制された場合も、後の先で味方を巻き込まない程度の位置に『雷霆万鈞』を着弾させて粘液を吹き飛ばす。
着弾後は付加効果の帯電による戦闘力強化を得て斧槍による白兵戦で一気に仕留める。
「もらったぁ!」


「水晶の池の光景も魅力的だけど……先に仕事よね」
 ルクレツィア・サーゲイト(世界の果てを描く風の継承者・h01132)は、『エンジェル・フラットワーム』らを前に竜漿兵器を起動――左手をホルスターへと伸ばす。
「先手を――」
「取ろうぜ!」
 継萩・サルトゥーラ(百屍夜行・h01201)が声を上げ、ルクレツィアと視線を合わせる。
 無数の半透明な影が空間を埋め尽くし、探知を無効化する体躯で這い寄る気配。
 セレスティアルの翼めいた触手をうねらせ、床を腐食する粘液を滴りこぼしながらの威嚇。焦点の定まらぬ目と大きく開いた口が、水中で歪んで見える――。
「まずは私の雷弾でかき回すわ。その隙に連中の探知の死角へ回り込んで」
「へっ、ならオレに任せな。ドローンで一気に制圧するぜ」
 触手が一斉に伸びる。光を纏った半透明の体躯が池の水面から浮かび上がるや、群れとなって押し寄せた。
「それ、一発目! 撃たれる前に、爆風で吹き飛ばしてやるわ!」
 指を引く音と共に放たれた雷霆万鈞が、水晶の池の上を閃光と共に貫く。
 着弾と同時に炸裂した雷撃は、群がる敵勢を四散させた。
「こっちもアバドン展開だ! 行けぇッ!」
 サルトゥーラの号令と共に、小型ドローン群が上空を埋め尽くす。超感覚センサーが敵の動きを捉え、アバドンミサイルの嵐が放たれる。
 触手による捕獲を躱しきれなかった数機のドローンは、粘液に溶かされながらも体当たりを敢行。
 その一撃は水面に沈んでいた本体をも直撃し、半透明の体が一瞬濁りを帯びた。
「いいぞ、崩したぞ! このまま全開でぶちかましてやる!」
「詠唱錬成斧槍【フラン・フラン】、これでどんどん敵を減らすわ!」
 斧身が閃くや、錬成された刀刃が雷の力を帯びる。
 アバドンミサイルの轟音を背に、振るわれたフラン・フランが敵を両断した。
 帯電による強化を受けた二人の攻撃は、エンジェル・フラットワームの群れに更なる損耗を与えていくのだった――。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

紅河・あいり
美しくも危険な生物、か。
私を狩っても美味しくない……なんて言ってる場合じゃないわね。
ドローン、逃げて逃げて逃げまくるわよ。

えっ? 敵が消失して探知不能!?
まずいわね、それってつまり……手詰まりってことじゃない。

<行動>
アイテム【ミニあいり】として【ドローン】にぶら下がって行動する
ドローンに指示を出し、縦横無尽の飛行で敵を攪乱しながら逃げ回る
距離が開けば、【霊力攻撃】で高速回転する【シルバーバトン】を操りつつ【投擲】して攻撃する
敵に呑み込まれたら、本体あいりが√能力で攻撃して吐き出させる

<補足>
本体あいりも敵を探知できないと思いますが、ミニあいり達の消失(呑み込まれた)地点から敵位置を特定します


 爆発と雷霆が飛び交う中、水晶池の上空でミニあいりはドローンにぶら下がり、戦況を窺っていた。
「厄介な相手ね。探知を無効にしてくるなんて」
 AIドローンはベストショットを狙うかのごとく華麗なバンクターンを決め、ぎりぎりで触手を躱す。フラットワームの群れが半透明の体躯を伸ばしてくるたび、絶妙の構図を狙うように縦横無尽の機動を繰り広げた。
「ここが見せ場よ」
 空中でフリップを描くドローンへ合わせ、ミニあいりはシルバーバトンを取り出す。霊力を籠めて投げれば超高速回転――追いすがってくる触手を、たちまち切り刻んでいく。
「あ、しまった……っ!」
 背後から伸びた触手に掴まれ、大きく開いた口へ放り込まれそうになる。
 だが本体のあいりは、別√から状況を見守っていた。
「ちょうどいい位置ね。霊波、いくわよ」
 波動が放たれ、ミニあいりを呑み込もうとしていた個体を貫く。同時にドローンが急上昇し、ミニあいりも無事に体勢を立て直した。
「攻撃範囲内。この距離なら――」
 バトンに力を込め、水面に映る半透明の影めがけて投擲。
 回転する刃が水しぶきを上げ、獲物を切り裂いていった――。
🔵​🔵​🔵​ 大成功

シアニ・レンツィ
アドリブ連携歓迎です

とりゃーせんてひっしょー!
√【不完全な竜は急に止まれない】で足を竜化させたまま一気に水晶の池向かって跳躍するよ!
着地に合わせて腕を竜化させ、敢えて攻撃を外す形で√【不完全な竜はご近所迷惑】でどーん!!
衝撃波で敵の動きを鈍らせてるうちにハンマーでなぎ払って数を減らしていくね。

戦いながら視力と見切りで相手の動きを観察しつつ、
囲まれそうなら竜化した足をバネにジャンプして包囲から離脱するよー。

そのまま近くに瓦礫や岩、もしくは倒れた敵がいたらそれらをハンマーで吹き飛ばす形で砲弾にしてさらに攻撃攻撃ー!
撃ち切ったらもう一発跳躍からの√【不完全な竜はご近所迷惑】!残った敵を蹴散らすね!おかわり、どーん!
触手は柄で叩き落すようにジャストガード!

うう、うぞうぞしてて気持ち悪いなぁ。
せっかく綺麗な場所なんだからどっか行ってよねー!

ひと段落したら蹴り降りてきた穴を見上げて満足そうに息を吐いてみたり
ふふ、半端者のあたしも結構やるもんでしょ。
結城・凍夜
アドリブ連携歓迎

「あれがフラットワームでしょうか?」
半透明の影がちらっと見えましたが、確かに見つけづらそうですね。
毒の粘液も厄介そうですし、遠距離射撃で先制攻撃させてもらいましょう。

ガンナーズブルームに跨り、空中移動しながら池に向け牽制射撃。
水飛沫の動きから敵の居場所を推測し、中央に精霊銃から【細氷乱舞】を放ちます。
範囲にダイヤモンドダストを発生させ凍り付かせると共に、霜で透明な身体を発見しやすくしましょう。
希望する味方の武器には氷属性付与。攻撃時に敵を凍らせてダメージと霜による視認性アップで支援。
私も以降は狙撃銃で狙い撃ちますね。
毒の粘液は上空に逃れるか、空中ダッシュで範囲から逃れましょう。
アステラ・ルクスルブラ
幻想的な光景とは裏腹に、なんかえげつないのがうようよしてるね
こんなとこで食べられるのは御免だ

半透明で視認しにくいけれど、身体の薄さは上から全体像を見下ろせば多少はマシになるのでは?
大穴を降りて来た時と同じ要領で浮遊し、敵の姿を上から捉える
そのまま空中を飛行し、翼から魔力の光線を放って攻め立てる

勿論、空中に居るからといって油断はしない
水面や壁からは十分距離を取って奇襲も警戒し、敵に狙いを定めさせないように一所に留まらず動き続ける

捕捉が厳しい状況になるようなら、多少狙いが定まらずとも広範囲攻撃を浴びせてやる
少しでも視認出来た敵を中心に【魔光連撃】で攻撃、大量の魔力光線を放ち広範囲をまとめて撃ち抜く


 池の上空で、結城・凍夜(雪の牙・h00127)はガンナーズブルーム"Kalevala"に跨っていた。
「慎重な対応が必要な相手のようです」
 水晶のような透明な水面に、時折不自然な波紋が広がる。水面下を滑るように動く半透明の影を視界の端に捉えた。
 箒の先端から魔弾を放ち、水面を掠めるように牽制。跳ねる水しぶきから、敵の動きを読み取っていく。
「位置は把握できました。では――」
 精霊銃"スノーホワイト"を構え、銃身を最大まで伸ばすと、白銀の機構が静かに輝きを帯び、雪の精が宿る青い宝玉が明滅する。
 スナイパーの視線が、水晶池の中央へと向けられた。
「白き雪の精よ、力を貸し給え。細氷乱舞……!」
 放たれた弾丸が水面を貫く。広がるダイヤモンドダストが周囲を白く染め上げれば、半透明の体躯も霧氷に覆われ姿を現し始める。
 凍てつく空気が水面を覆い、フラットワームの逃げ場を着実に狭めていった。
「これで捉えやすくなりましたね……」
 噴き上がる粘液を空中ダッシュで回避しながら、凍夜は次なる狙いを定めていった――。


 アステラ・ルクスルブラ(赫光の黒竜・h01408)は水晶池の真上へと飛翔した。体内の竜核炉から生み出される魔力が翼から溢れ、空中に浮遊する小柄な体を支える。
「上から見下ろせば、薄っぺらな体も見つけやすくなる……と思ったが、そう甘くないか」
 水面下の半透明な影を追いながら、アステラは水際からの距離を保つ。瞬時の襲撃に備え、おぞましい捕食者の気配に神経を研ぎ澄ませる。
「……何か来る!」
 水面が不自然に盛り上がった瞬間、反射的に後方へ跳躍――伸びてきた触手が空を切る。
「お前達の動きは見えたぞ! 降り注げ!」
 翼が青藍の輝きを帯び、追尾する魔力光線を放つ。水晶池の表面を照らし出す百五十条の光線が、半透明の体躯へと襲い掛かり、フラットワームの群れを四散させた。
「まだ続くぞ――もう一発だ!」
 水面に生まれた渦から次なる標的を読み取り、アステラは旋回して体勢を立て直す。
 続く百五十条の魔力光線が水面を貫き、群れをほの暗い水中へと沈めていった――。


「とりゃーせんてひっしょー!」
 シアニ・レンツィ(不完全な竜人・h02503)の掛け声が轟く。両脚が空色の輝きに包まれ、不完全な竜の脚へと変貌を遂げる。
「止まれないけど、それがあたしの戦い方なの!」
 水晶池を望む断崖から、少女は一気に飛び込んでいく。竜の力が制御を難しくするも、その勢いのまま腕も竜化させ、巨大な槌型竜漿兵器を構える。
「避けたら大変なことになっちゃうよー! 当たってねーっ!!!」
 シアニハンマーが池面へ振り下ろされ、水飛沫が弾ける。敢えて外した一撃で生まれた衝撃波が、半透明の体躯を揺らめかせる。触手が轟音と衝撃に翻弄され、混乱した群れが水中へと深く沈み込む。
 けれども池の底では既に、新たな包囲陣を敷くべく、半透明の影が幾重にも輪を成し、這いあがり始めていた――。
「さあ、どんどん攻めるから!」
 怪力を活かしたハンマーの薙ぎ払いが、怪物たちをブチ飛ばす。
 見切りで周囲を警戒しながら、竜の脚で跳躍を重ねる。水面から立ち上る霧じみた粘液も、囲まれる前に見切って回避。
「止まらないから、みんな避けてってくれるの親切だよね!」
 四倍の機動力で水面を駆け、水しぶきを盛大に上げての猛攻を繰り返す。
 浅い位置に転がる岩を発見するなり、シアニハンマーで弾丸よろしく叩き飛ばした。
「どっちでもいいけど、あっち行くなら一緒に飛んでもらうよ!」
 飛ばされた岩は緩く弧を描き、水面下の群れを直撃。水中から伸びる触手は柄で受け流しつつ、返す刀で更なる攻撃を浴びせていく。
「ウネウネして気持ち悪いんだよね……綺麗な場所なんだからどっか行ってよー!」
 改めてハンマーを構え直し、今度は真っ直ぐ水面へと打ち込んだ。
 衝撃が水中を貫き、集まっていた半透明の群れを一掃。水晶に反射する光が、一瞬シアニの姿を浮かび上がらせる。
「ふふ、半端者のあたしでも結構やるよね?」
 一息ついたシアニは、さっきまで降りてきた穴を見上げる。その表情には、戦いを終えた満足感が溢れていた――。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

第3章 ボス戦 『『村喰らい』ガオウ』


POW 覚醒黒獣拳
【禍々しい赤黒の炎】を纏う。自身の移動速度が3倍になり、装甲を貫通する威力2倍の近接攻撃「【黒獣拳・竜殺勁】」が使用可能になる。
SPD 黒獣独壇場
命中する限り「【黒獣拳】による攻撃→技能攻撃→[黒獣拳]攻撃→技能攻撃」を何度でも繰り返せる。技能攻撃の成功率は技能レベルに依存し、同じ技能は一度しか使えない。
WIZ 鏖殺阿修羅
指定地点から半径レベルm内を、威力100分の1の【炎を纏う打撃と、それに伴う漆黒の衝撃波】で300回攻撃する。
√ドラゴンファンタジー 普通11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 水晶池を抜けた先は、更なる深部へと続いていた。
 降り立った広間は、無数の赤黒い結晶が大小、天井から垂れ下がり――例えるならば獣の牙を思わせる。
 重苦しい空気の中、奥で漆黒の衝撃波が迸る。岩盤を砕く音が反響し、破片すら炎に包まれて消え去った。
「拳があれば十分だ……群れたければ群れろ!」
 低く響く声と共に、禍々しい赤黒の炎が闇を染めていく。
 そこには一人の獣戦士、ガオウの姿があった。握り込まれる拳には生きとし生けるものへの渇望が宿り、戦場を求める狂気の色が瞳に燃えている。
 結晶の壁面を焼き尽くしながら、最強の力を求める者の威圧が空間を支配していった――。
紅河・あいり
さすがダンジョンボス、やる気満々で助かるわ。
こっちも早くダンジョン壊さないといけないし、応えてあげる。

『拳があれば十分』か。
云うだけあって……あんなのまともに食らったら終わるわね。
いいわ、こっちのペースでやらせてもらう。

<行動>
√能力【フルスケールあいり】により本体あいりに変身した【ミニあいり】が戦う
拳の間合いから大きく飛び退き、敵が寄らば引いて距離を保つ
4倍の攻撃回数で繰り出す【シルバーバトン/霊力攻撃】の【2回攻撃】で攻撃し、またそれを以て防御となす


<√能力対策>
間断ない攻撃で勢いを削ぎ、【武器受け/霊的防御】や【見切り】で凌ぐ

<補足>
武器の説明文を更新
【欠落】ゆえに敵に負の感情を抱かない
アステラ・ルクスルブラ
そんなに戦いたいのなら、こんな大穴の奥じゃなくてもっとわかりやすい所で待ち構えていればいいのに
それとも、こんな所まで辿り着いた奴にこそ自分と戦う資格があるとか、そんな感じ?

軽口も最初だけ、明らかに戦い慣れた強敵が相手だ、油断無く挑もう
小細工に頼らず純粋に力でぶつかってくるなら、私としてもその方がやりやすい
分かりやすく、殴り合おうじゃないか

早々に体内の竜核炉を全開にして【赫光形態】を発動、最初から出し惜しみは無しだ
翼からの魔力の噴射による加速で、高速ステップ、緊急離脱、急接近と、機動力と制動力を大幅に強化
間合いを的確に計りながら、敵の拳の直撃を避けつつ自身の鉤爪を叩き込む
多少の負傷は覚悟の上、怯まずに殴り返してダメージレースで相手を上回ってやればいい

それでも押し切れないなら、自身の身体の限界を超えてでも更なる猛攻で捻じ伏せてやる
【赫光形態】のまま【竜爪連撃】で連撃を加え、更なる手数と速度で鉤爪と魔力を叩き込む
捌ききれないくらいの鉤爪のラッシュで圧倒し、重ねて翼からの魔力光線も撃ち込み続ける
シアニ・レンツィ
アドリブ連携歓迎

わぁっ。強そうだねー!
あの拳の直撃もらったらきっとただじゃ済まないんだろうけど
このビリビリ来る感じ……すごく、楽しいっ!

マントを深く被って√能力で足を竜化。
速度と迷彩効果で敵の視線を散らしながらハンマーを振るってくね。
敵の動きは常に見切りで観察しつつ、
槌で拳を弾くようにジャストガードしたり、柄でなぎ払ってみたり、武器に視線が向いてたら蹴っとばしてみたりー!
すっごく速いね!だけどあたしも負けないからっ!

マズそうな攻撃はマントを脱ぎ捨てて目測を狂わせて回避狙ってみる!

直撃を取れそうなタイミングがあれば√【不完全な竜はご近所迷惑】をぶち当てて決めに行くよ!当たってねー!

誰かが連撃受けてるのが見えたら天井までジャンプ。
適当に尖った水晶を取ったら敵に向かって思いっきり投げつけて横槍入れちゃうね!群れたいから、群れるよっ!

さ、さすがにちょっと疲れちゃった。強かったなぁ…
ダンジョン攻略とタイムアタックの両立はしんどいんだから、もう変なものをこっちに持ち込まないでほしいよ!ぷんすか!
結城・凍夜
アドリブ連携歓迎です。

「あれが此処の…」
荒ぶる獣の戦士。同じ獣人として負けられませんね。
ダンジョンが定着してはこちらの世界のご迷惑になりますし、ドラゴンファンタジーの者として責任を感じつつ、解決に向けて全力を尽くしましょう。

炎に相対するは氷雪の力。
【氷雪の錬金術】を発動し、精霊銃と狙撃銃、ガンナーズブルームを合体、【対標的凍結兵器】に変形した上で3つの銃口から一斉射撃を行います。
「凍りつけ、その炎と共に!」
発射の反動は魔導式ブースターで相殺し、正確に標的を狙い撃ちます。
元来、私は狙撃手ですし、距離を取って攻撃しますが、距離を詰められたら空中ダッシュで回避、敵の連撃が続かないようにしましょう。


「覚悟はいい? 本気でいくわよ」
 呟きと共に、世界の光が少女へと収束していく。瞬く輝きの中でぬいぐるみの姿が溶け、本物の紅河・あいり(クールアイドル・h00765)の姿が浮かび上がる。
「拳を振るうのは勝手だけど――私のペースでやらせてもらうわ」
 手にしたシルバーバトンが霊力を帯びる。間合いを測るように前傾するガオウの気配を察し、一歩後ろへ。
 次の瞬間、黒獣拳が炎を纏って襲い掛かる。あいりの髪を揺らすほどの風圧だ。
 瞬間的に重心を落とし、斜め後方へ鋭く滑空しながら回避。
 拳の軌道をかわした直後、バトンを低く薙ぎ払う。ガオウの攻撃の余勢を利用し、その体勢の崩れを見逃さない。
 シルバーバトンが、ガオウの動きのデッドポイントを狙い撃つ。あいりの手の中で、シルバーバトンが霊力の光跡を描いた。
 体勢を立て直させる間も与えず、バトンから繰り出される四倍速の斬撃が、黒獣戦士の猛攻の隙を突く。
「そんな拳じゃ、私に届かないわ」
 冷徹な視線と共に放たれた一撃が、黒獣に手傷を穿ち込んだ――。


「戦いを求めるなら、ここまで引きこもる必要はなかったはずだ」
 アステラ・ルクスルブラ(赫光の黒竜・h01408)は広間の様子を窺う。結晶の向こうに潜む気配に、戦意が昂ぶる。
「それとも、ここまで辿り着いた者にこそ相応しい相手、というわけか」
 返答はない。代わりに、ガオウの姿勢が一瞬で戦闘態勢へと変化した。その呼吸は微かな炎を纏い、壁を染め上げていく。
 殺気の波に直感が警鐘を鳴らす。アステラは体内の竜核炉を解放、翼が赫光に輝きを帯びた。
「――では、本気で相手をしよう」
 放たれた力が空間を震わせる中、対するガオウも【覚醒黒獣拳】を解き放つ。
 漆黒の突きが閃く。アステラは翼からの噴射で後方へ跳躍、距離感を巧みに調整する。
 すかさず反転して急襲、高速の軌跡が竜爪をガオウの体躯へと導いた。
「ウグォォォッ……!!」
 ガオウが吠える。強引に引き戻された漆黒の拳が弧を描いて応じ、衝撃の余波が結晶を震わせる。赤黒い炎はアステラの竜爪を真っ向受け止めながらも、その威力は増していく。
 なんという応戦の一撃か。骨まで震える衝撃に目を見開く。
「もっと来い! この拳と真っ向からぶつかれ!」
 狂熱を帯びた興奮に歪むガオウの表情を見て、アステラも昂揚を抑えきれない。
「望むところだ!」
 互いの咆哮が交錯する。寸時の間合い調整から繰り出される連撃、それを捌く反撃の応酬。魔力の光条と打撃の波動が広間を埋め尽くす。
 相手を上回る有効打を探して、翼の機動力を駆使した角度の攻防。竜核炉の轟音と共に、アステラは更なる高みへと戦意を昇華させる。
 時に打たれ、時に打ち返す。【赫光形態】がもたらす速度で死角を突き、連続する竜爪が敵を捉える。瞬時の間合い離脱から一斉射撃、その光線の雨が拮抗を押し返す。
 鈍らぬ反応に応えるように、限界を超えた猛攻はさらに熾烈さを増していく。
 広がる衝撃波と共に、結晶の壁面も軋みを上げ始めた――。


 結城・凍夜(雪の牙・h00127)は目を静かに細め、戦場を見据えた。
「あれが此処の王、ですか。獣の戦士として……恥じぬ力を見せていただきましょう」
 このまま放置すれば√EDENが危険に晒される。√ドラゴンファンタジーの住人として、それは避けねばならない。
 錬金術の力が冷気へと変容。白銀のライフルが魔力を帯び、その輝きは箒と共鳴していく。
 三つの武器が一つとなり、対標的凍結兵器へと姿を変えた――。
 迫る赤黒の炎に対し、輝く三条の銃身から蒼白い極光が迸る。
「凍りつけ、その炎と共に!」
 弾道計算を重ねながら狙いを定め、反動は魔導式ブースターで相殺。スナイパーの視線がガオウの動きを正確に捉える。
 放たれた一射は装填された雪の精霊の力で冷気を帯びており、赤黒の炎をも凍てつかせながら標的へと迫る。
 一瞬の集中が、死角なき銃弾に宿る。その刹那、標的を貫く。連撃など許さぬ、この一瞬の完成形として──。


「わぁっ。強そうだねー!」
 拳闘の構えを取るガオウを前に、シアニ・レンツィ(不完全な竜人・h02503)の瞳が輝きを増す。
「直撃したら痛そうだけど――このビリビリ来る感じ、すごく楽しいっ! フォルス・ドラグアサルト!」
 宣言と同時に両脚が青空のような色合いに染まり、竜の脚へと変貌を遂げる。大地を蹴り砕く力が込み上げ、本能が疼く。
「戦場を求めるならここにいるよ! シアニジャーンプ!」
 竜の脚で壁を蹴る。行く先は死角。技能を活かした迷彩で姿を暗がりに紛れ込ませながら、シアニは巨大な槌型竜漿兵器を構えた。
「どこからでも来るがいい!」
 ガオウは黒獣拳・竜殺勁を繰り出す。拳から放たれた衝撃が大気を裂き、石柱を砕いた。
「じゃあ行くよ!」
 シアニハンマーが奏でる音が、戦いの律動となる。武器の柄を巧みに捻り、拳の軌道を読み切って受け流す。
「この程度とは舐めたな! 鏖殺阿修羅!」
 獣戦士の全身から赤黒い炎が迸り、三百の打撃が一斉に繰り出される。
 対するシアニはマントを大きく翻し、敵の目測を狂わせ――細かな動きで位置を微調整し、打撃の大半を避ける事に成功。
「竜の力を持つ者が人の姿に堕ちるとは……!」
「竜にも人にもなりきれないけど、それでもあたしは――!」
 一瞬の隙を捉え、シアニハンマーを大きく薙いだ。
「こんな風に戦えるんだよっ!」
 轟音と共に空間が震動する。衝撃波が広がり、ガオウの動きが止まった。
 指向性を帯びた衝撃が獣戦士の感覚を奪い、均衡を崩したのだ。生じる間隙。
 シアニは全身の力を込め、渾身の一撃を見舞う。
 シアニハンマーが描く軌跡は、真正面から獣戦士を捉えるや、勢いよく壁際まで叩き飛ばした――!
 倒れ伏したガオウの体から闇の気配が霧散し、赤く輝いていた瞳が力を失っていく。
「さ、さすがにちょっと疲れちゃった。強かったなぁ……」
 深いため息と共に、シアニは槌を下ろす。
「ダンジョン探索とタイムアタック、両立は結構しんどいんだから、変なものを持ち込まれるのはもうやめてほしいよ! ぷんすか!」
 こうして√能力者たちの活躍により、異界が薄れていく。
 天井から床まで広がっていた無数の結晶は光の粒子となって消え、石造りの広間は街並みの風景へと還っていった――。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​ 大成功

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