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色は匂へど、春ならず。
氷がグラスの中で鳴った音は、春の気配に似ていた。
「季節が、前のめりに転んでるようなんです」
琥珀色の灯りに満ちたバーのカウンター。その奥で、如月・縁は目を細める。視線は窓の向こう、空の向こうへ伸びていた。星詠みは、夜更けの静けさほどよく見える。見えすぎる、と言ってもいい。
縁が傾けるグラスは淡い桜色のカクテル。香りは甘く、後味にかすかな苦味が残る。
舌先でほどけるその苦味が、今夜の予感の輪郭と重なった。
最近、街でひそかに話題になっている場所がある。
“季節より少し早く、桜が咲いている”――そんな噂が、花見客の足を誘っていた。誰かが大げさに言っただけの春待ちだろう。最初は皆そう笑った。だからこそ厄介だ。人は「綺麗」と言われたものに、警戒を置き去りにする。
「早咲き桜の森、最近ウワサになっているのはご存知ですか」
グラスの縁に指を滑らせ、縁は穏やかに笑う。
「夜桜の名所となっているそうで、多くの人が集まっています。でも実のところ、一般人が行方不明になっている。行ったきり帰ってこない人が、少しずつ増えているのに、噂は消えない。むしろ甘くなる。誰かが――“もっと来て”って囁いてるみたいにね」
言葉の最後に、氷がまた小さく鳴った。
「花が早いんじゃない。早く咲いてる“ふり”をさせられてる。……そして、そこに集まった人の“気持ち”が、どこかへ吸い込まれている」
基本的に敵に害意は読めないものの、森の最奥に見えるのは――。
「――残念ながら、森の最奥にシルメリア・ゴーストの姿が見えました。星詠みとして皆さんにお願いです」
シルメリア、といえば未知√から侵略を目的に現れた天女のことだ。
これまで多くの撃破報告が出ているとはいえ、完全に滅したわけではない。
縁は一度、目を伏せた。次に上げた瞳は、いつものように柔らかい。
「皆様は最初は能力者じゃなくて、ただの花見客として行ってみてください。桜を見に行く一般人として。浮かれて、笑って、写真でも撮って。――油断してるふりをして、悪い妖精さんを見つけてください」
桜色のカクテルを、縁はもう一口。
「森では小さいながら露店もあるそうですよ。桜スイーツに桜色のドリンク、アクセサリーもあるそうです」
せっかくだ。頃合いまでは我々も桜を楽しみましょう――と、縁は微笑む。
外ではまだ冬の名残が冷たいのに、噂の桜はもう咲いている。
花の下で、何が待っているのか――。
色は匂へど、春ならず。
マスターより
むらさき●こんばんは、むらさきです。
春が待ち遠しくて花を咲かせてみました。『シルメリア・ゴースト』の依頼です。
●受付など
シナリオのタグをご確認ください。MSページの一言雑談でも状況をお知らせ予定です。
●第1章:⛺『妖精の森』
夜の湖畔の森をイメージしていただければ。
桜は満開、水面にも桜が映り幻想的な雰囲気を演出しています。
最小限のライトアップで、露店はOPの通り。飲食、飲酒(成人PCのみ)、アクセサリーの物色など自由にお過ごしください。
PSWの指定は不要です。特に描写がなくとも為すべき時に一般人の行方不明現場を発見できます。
●第2章:👾『桜嵐の雄鹿』
美しい雄鹿はなぜか怒りで暴走しているようです。
●第3章:👿『???』
オープニングでお察しください。
●受付など
受付はシナリオのタグをご参照ください。
執筆状況はMSページの一言雑談に記載予定です。
●注意事項
同行者がいる場合、『相手の名前』『ID』または『グループ名』をご記入お願いします。グループ参加人数は【無制限】といたします。
ソロ描写を希望する方は明記してください。
連撃数の多い方はお届け順番が遅くなりますことご容赦ください。
それでは早咲の桜を楽しみましょう。
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第1章 冒険 『妖精の森』
POW
力任せに進む
SPD
素早く進む
WIZ
注意深く進む