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システィアとクラウスの話~千里の道も一歩から

#√ドラゴンファンタジー #ノベル #バレンタイン2026

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 #√ドラゴンファンタジー
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クラウス・イーザリー
ティア(h10223)と一緒にバレンタイン!
アドリブ歓迎です!

■キャラ設定
★口調
一人称→俺、相手の呼び方→ティア
口調→だよ、だよね、なのかな?のような穏やかな感じ
★外見、服装
身長165cm、細身で華奢な体格の中性的な青年です。
髪は黒で瞳は青、服装はベージュのセーターにグレーのスラックス、黒エプロンを身に着けています。
★その他
・戦乱世界出身の元少年兵であるため、お菓子への知識はあまり無く自炊もあまりしません。
・お菓子作りは未知の領域且つ自分が不器用なので、うまくいくかちょっと心配しています。
・甘いものが大好きです。
・ティアにはとっても懐いていて距離感がめちゃくちゃ近いです。恋愛感情はまだよくわかっていませんが、ティアが自分のことを愛してくれていることは理解して、嬉しく思っています。

■行動
キッチンに並べられた材料を見て、(これが本当にお菓子になるのかな……?)と首を傾げる。
俺の知識では不安だけど頑張ろう、と思いながら生チョコから作り始めよう。
「確かに冷やすって書いてるね。生チョコからでいいと思う」

ぎこちない手付きでチョコを溶かして、混ぜて流して……。
「こんな感じでいいのかな?」
時々ティアを見上げて首を傾げる。
冷蔵庫、精霊の力で冷えてるんだ。機械中心の世界で生まれたからすごく興味深いな。
精霊さんを怖がらせないように、ティアの後ろから覗きこんでチョコを預けよう。

次はマカロンだね。
「卵を……分ける……??」
まずはそこから、というレベル。
ティアと作業を分担して、右往左往しながら頑張ってどうにか形にしていく。
しゅんとなっちゃうティアが可愛くて、張り切って生地を絞ってみたり(上手にできたらガッツポーズ)、サラマンダーさんにうまく焼いてねってお願いして、洗い物や片付けを手伝って。
暇になったらティアと触れ合って過ごそう。

お菓子が完成したらティアとハイタッチ!
ソファで寄り添って一緒に食べよう。
あーんしてくれたらはむっと食べてにこにこ。お返しのあーんも勿論するよ。
にこにこしてるティア、可愛いな。

頑張って作ったお菓子と共に、あったかくて優しい時間を楽しもう。

 ふわり、甘い香り。古びた煉瓦の天井をくすぐる。
 太くて飴色に変色した木の梁がそれを支えており、視線を落としていくとここが√ドラゴンファンタジーのキッチンだとわかる。
 机の上を彩るのはちょっといびつなお菓子の数々。本日はバレンタイン、お菓子とともに思いを届ける、そんなすてきな日になるはずだった、のだが。
「で、で、で」
 システィア・エレノイア(幻月・h10223)はうめいていた。お菓子の上下がずれて歪んでいることはこの際問題ではない。形になったその事実が感動の津波となって彼の心へ打ち寄せていた。
「で、で、で」
 クラウス・イーザリー(太陽を想う月・h05015)はカタコトだった。型から盛大にはみ出してるとか、あるいは申し訳程度の大きさしかないとか、そんなことはどうでもいい。食べれる状態になった、ということがもっとも大切なのだ。つまり。

「「できたー!!!」」

 ばんざーい、ばんざーい。万歳って明治に薩摩藩出身者の政府関係者によって考案された掛け声らしいよ。つまり伝統は作れる。かわいいも作れる。そう、だから、料理オンチふたりが集まっても、お菓子は作れる。
 システィアとクラウスはハイタッチをした。それだけにおさまらず、ぎゅーっとめをとじて、ひしと抱き合った。ここに至るまで、お互いに苦労の連続だった。システィアに至っては嬉し涙すら流している。
「できたな、クラウス!」
「できたね、ティア!」
 喜びもあらわに、ふたりは顔を合わせた。クラウスの青い瞳がパウダーシュガーを置いたようにきらきらしている。そこに映った自分の姿に、システィアは苦笑した。小麦粉だらけ、練り粉だらけ。髪にも頬にもいろいろついてるし、せっかくの茶色のエプロンは汚れでいっぱい。そのまま抱き合ったものだから、クラウスの黒エプロンも……いやこっちはこっちで大変なことになってるな?
「まあとにかくできたできた。味見ならさんざんしたけれど、やはり完成品を食べるとなると別格だな。期待が止まらない」
「そうだねティア、俺、ほんとうに、ほんっとーに心配だったけれど、やってみればなんとかなるもんだね」
「ああ、さっそく食べてみよう。クラウス。奥の棚の皿を取ってくれない? せっかくなら映えるように模様のついたのとかどうだろう!?」
「映え? 模様? え、えっと……」
 クラウスは持参していたビニール袋を申し訳なさそうに取り出した。中から出てきたのは紙コップと紙皿と割り箸、あとフォーク。
「ごめん……俺……キャンプか何かのノリで用意しちゃって、あはは……ほんと、ごめん……」
「いやいいんだ! 紙皿は後始末が楽だし一周回ってかわいい! 盛り付けをすこし工夫するだけでいい感じになるはずだ! それに器の用意までしてくれるなんてクラウスは気遣いができるな!」
「ティア、ありがとう……でもほんとに紙皿でいい? ティアのほうこそ気を遣ってない?」
「遣ってない!」
「わかった。じゃあ、この紙皿に盛り付けることにするよ。お茶は任せてくれない? 自慢のティーセットがあるんだ」
「OK、盛り付けは俺がやるよクラウス。お茶は頼んだ」
「がんばってとびきり美味しいのを淹れるから期待してくれていいよ」
 どん! クラウスが机の上に出したのはアウトドアケトル。焚き火の上に金網敷いてその上に置く例のアレ。もちろんこの程度で臆するシスティアではない。笑顔でいいね! と親指を立てた。

 ふたりが集合したのはなんと四時間前。この日のために調理器具は買えるだけ買ったし、材料は一級品……値段は少なくとも一級品だった……ものを集めた。当日はふたりでお菓子を作って一緒に食べるんだともうどっきどきのわっくわくで、システィアは寝れなかったし、クラウスは遅刻しないようアラームを起床二時間前にした。
 なのに、いざキッチンで対面してみるとどうだ。ぴかぴかの調理器具は異様なほどの存在感を誇り手を触れることすら難しく、封を解いてもいない食材は我関せずと言わんばかりだ。
「……どうする?」
「……ここが戦場なら俺達はいま突出している状態。一旦引いて、落ち着こう、まず」
「……そうだなクラウス」
 三歩後ろへ下がり、深呼吸すうはあ。
「ティアはお菓子、作ったことあるの?」
「ない」
「俺もない。作戦会議だ、ティア」
「そうだな」
 くっそまじめなかおで黙りこくったシスティアとクラウス。めっちゃ考えてるようで何も思いつかない。そんな時間が刻々と流れていく。先に動いたのはシスティアだった。
(くっ! せっかくクラウスを誘えたんだ。俺にとって唯一の人を! このチャンス、絶対に逃してなるものか。かならずいい思い出にして、クラウスの笑顔を見てみせる)
 ぐっと拳を握り、自分の鞄を開けるシスティア。
「クラウス、俺達は料理に関してはドシロウトだね。クラウス流の言い方をするなら、新兵、といったところだろ。だからさ、これ、用意してきたんだ。どうかな」
 ぴろぴろぽんぽんぽーん♪ レシピ本をゲットした。クラウスの瞳に尊敬の色が交じる。
「やるじゃないかティア! そうだよ、マニュアルはすべての基本だ!」
 勝ったな、クラウスの表情はそう語っていた。
 というわけでレシピ本をペラペラめくる。めくるシスティアの方へクラウスがぺったりくっついて本の内容を確認する。システィアの狼耳がぴくりと動いた。クラウスがシスティアを見上げる。
「いやだった?」
「ちっとも」
 聞いてくるクラウスへそう返して、システィアはほんのりと笑みを浮かべる。苦い思いを隠したまま。
(そんなことされたら勘違いしちゃうなあ……。こんな、恋人みたいな距離を許してくれるなんて)
 ぺらぺらぺら、ぺらり、ぺらり。本をめくる手がゆっくりになっていく。この時間を引き伸ばしにかかりたくて。肩に感じるクラウスの頭の丸みだとか、思ったより軽い感触だとか、それから、ぬくもりだとか。ぜんぶぜんぶ大事だから、急ぎたくないし答えを迫る気にもまだなれない。
(……わかってる。クラウスはただ優しいだけだって。誰にも、たぶん、きっと)
 クラウスのほうは新しいレシピを見るたびに、ほーとかへーとか言っている。システィアへ腕を絡めて、頭を寄せて、体もくっつけて、伝わってくる体温はとても心地良い。寒いのは嫌い。やっとそう思えるようになったのはきっと……。クラウスはまばたきをして再度レシピ本へ視線を落とす。
 よくわかんない。それが正直な気持ちだ。だって自分が持つにはあんまりあったかくてやさしくてきもちがよくて、ふしぎできみょうでおかしくて、くすぐったくっていつまでも戯れていたいような内緒にして誰にも見せたくないような、複雑? いえ、シンプル。うれしいという気持ち。ちゃんとそれを感じ取れるようになったこと、まずはそれを喜びたい。できればとなりのこの人と一緒に。
 最後まで巡ったレシピ本をもう一度最初から見返して、ようやく今日なにするかが決まった。
「生チョコとマカロンでいいだろうか、クラウス」
「ああ、まかせる。作るのも精一杯助力する」
 なにかと物資が不足しがちな√ウォーゾーンで生まれ育ったクラウスにとって、菓子といえばハイカロリーの栄養補助食品でしかなく、味はゆでじゃがいもより若干ましな程度のもの。なので、外の世界でお菓子を食べたときは涙が滲むほど感動したし、生チョコレートのなにが生なのか興味津々だし、マカロンに至ってはなんかの呪文に聞こえる。つまり、何を選んでもクラウスは喜んだ。それがシスティアのセレクトなのだから反対する理由はまったくない。システィアはまだその事に気づいてはいない。ともあれ、クラウスが期待でいっぱいの顔をしているので手応えを感じた。
「どっちから作ろうか。冷やすのに時間が掛かりそうだし、生チョコかな……?」
「確かに冷やすって書いてるね。生チョコからでいいと思う」
「材料にブランデーを使うというやり方もあるんだな。そっちのほうが風味がいいみたいだけど、どうだろうかクラウス」
「それ以前に、俺はまだお酒が飲めない」
「そういえばそうだった。製菓用の酒もあるにはあるけれど、今回はミルクチョコと生クリームの甘さたっぷり生チョコレートに挑戦してみよう」
「うん、がんばろう!」
 気合は十分。システィアが板チョコを砕く。意外と硬い。下手に力を込めると破片が跳んでいく。それがクラウスにぶつかることがあってはシスティアの名折れだ。
(落ち着いて、しかし力を込めて、ゆっくり、細かく!)
 クラウスはシスティアから習ったとおり、サラマンドラへ挨拶し、鉄製の三脚台を置いて恩恵である炎を受ける。サラマンドラはぽっと火を吹き、自分を包む。いい塩梅のとろ火だ。
「すごい。ドラゴンファンタジーではこれが日常なんだね」
「ん? ああ、そうだ。ここでは精霊がだいたいのことの手伝いをしてくれる。お願いすれば強火にもしてもらえる。終わったら生チョコをお裾分けしてあげればいい」
「お礼だね。了解。サラマンダー、このまま弱火でよろしくね」
 さて。
「まず鍋に生クリームを入れる……沸騰したら鍋を下げる……」
 念仏みたいにブツブツ同じことをくりかえしつぶやきながら、クラウスは生クリームを凝視している。システィアがチョコを砕き終わり、ざざっとボールへ放り込むと、クラウスは鍋の中身をよいしょとボールへ流し入れた。そしてへらでもってぎこちなくチョコと生クリームを混ぜ合わせる。
「バター! クラウス、バター、入れ忘れてる!」
「あっ! バターバター!」
 システィアが急いでバターを放り込み、クラウスはさらにかちこちになった。
 手だけが機械みたいにくるくる動いていてかわいいなあってシスティアは思いながら、バットの用意をする。なんとか溶け切った材料を流し込み、クラウスはホッと一安心。システィアは冷蔵庫をあける。ぴょこんと雪だるまが顔を出す。
「かわいいね。そちらも精霊さん?」
「そうだ、氷の精霊だから冷凍が専門だけど、冷蔵もやってくれる。よろしくな、スノウボール」
「スノウボールっていうんだ。俺もよろしく」
 雪だるまを驚かせないよう、クラウスはシスティアの後ろから会釈を送る。スノウボールは受け取ったバットを棚へ置いて内側からぱたんと冷蔵庫の扉を締めた。
「「ちゃんと固まりますように」」
 ふたりでぱんぱんと柏手を打つ。
「あと待つだけなんだろう? 意外と簡単だったね、ティア」
「そうだな。これはマカロンもいけるんじゃないか?」
 なんて思ったのが大間違い。ふたりは慢心して自分たちの戦力を見誤った。マカロンは強敵だった。さらに。
「一種類だけじゃ面白みがないな、クラウスはどう思う?」
「そうだね、せっかくだし、チョコとは別に、抹茶味とか、紅茶味とか、コーヒーとかもどうだろう?」
 つまり、ふたりは、アレンジしようなどと考えてしまったのだ。すべての工程の複雑怪奇さたるや。
「卵白は分けて置いとく? えっ、そんなことするのか?」
「卵を……分ける……? 卵は、卵だろう? え、違うのティア? どうしたらいいんだろう?」
 そんな感じのふたりが歩んだ工程が、奇々怪々であったことはいうまでもない。

 というわけで冒頭。
 結論から言うとマカロンができた。しかも思いの外いい感じにできた。そりゃあ、たしょうはやんちゃな出来のものがあるのは否めない。けれどもそれは全体からするとほんの一握りだった。
「ティア、ほんとうに、ほんとうにがんばったね、俺達」
「クラウスのおかげだよ。何度救われたことか」
「二人で力を合わせればマカロンだって作れるんだね」
 ふたりは感動に浸りながら、着替えてローテーブルの前に移動していた。クラウスはベージュのセーターにグレーのスラックス。システィアは腕をまくった白シャツに黒のスラックス。
 二人が見守るテーブルの真ん中にはきれいに切り分けられた生チョコが高貴な姿を見せている。その周りを彩るマカロンの数々。生チョコがうまく行ったものだからすっかりハイになった二人は、サラマンダーとスノウボール、ついでに窓際の春風のシルフィーがはらはらしてるのにもまったく気づかずガナッシュを作りまくった。結果として候補に出した4種だけでなく、ミルクとラズベリーが加わった。二人の料理スキルに経験値があるなら、今日だけで大いにあがったのは間違いない。
 作っている途中でだんだん我に返り、最後には終わるのかこれと半泣きになっていた。その結果がこれだ。大勝利だ。達成感たるや、言うまでもない。
 ソファに仲良くふたりで並んで腰掛けて、せっかくなので写真を撮る。ウーピーなる聞き覚えのない精霊が白い紙へふうっと息を吹きかけるだけで、トイカメラで撮ったような素朴で温かみのある写真がしあがった。まずはお菓子をメインに一枚、それからお菓子を前にふたりでピース。食べている様子も一枚、二枚、たくさん。
 気がつくとシスティアはクラウスと笑い合っていた。肩の力の抜けた、自然な笑みだ。隣にクラウスがいる。クラウスが笑ってくれている。それだけでとてもうれしい。どうなることかと思ってクラウスへ託したアッサムティーは思ったよりずっと美味しいし、もちろん生チョコはとろり、マカロンはざっくりじゅわり。こんなに幸せでどうしよう。どうしたらいいんだろう。あ……。
「いただきます、言ってなかったなあ」
「今から言えばいいんじゃないかな」
 クラウスがそう言うので、システィアは生チョコをひとつとってクラウスの口元へ差し出した。
「……いただきます」
 あーんと開いたお口の中へ茶色い甘味を着地させる。とろりとよだれがフォークの先へ絡まった。
「ふふっ、おいしい」
「俺にもちょーだい」
「もちろん、ティアにも」
 お返しと言いながら、クラウスはラズベリーのマカロンを手に取る。
「いただきます」
 もぐもぐしていたらクラウスに頬をつつかれた。
「ふふふっ、にこにこしてるティア、かわいいな」
 かわいいのはそっちだ!!! 喉まででかかった言葉をシスティアはマカロンと一緒に飲みこむ。まだまだ関係は生チョコみたいに不安定、いつ溶け出してぐちゃりとなるかわからない。クラウスの笑みは柔らかくて、だからこそちょっとのことで傷ついてしまいそう。だけどすこしはマカロンみたいに、この思い隠しながらも甘いものが大好きなあなたへ近づけている気がする。
 近づきたい、怖い。怖いけど、でも。もだもだ。この瞬間も。
 この思いに嘘はつけない、つきたくない。しっかりと関係を築いて、足場を固めて逃げ場を塞いで、学問に王道がないように、恋にだって覇道なんかないはず。いつか正面から愛を伝えて思い合う関係になりたい。そんな盤石まであと何歩? 千里の道も一歩から。今日より明日、明日より明後日。かならず一歩、進んでみせる。
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​ 成功

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