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【サポート優先】マジ許さねえ絶対にだ
これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。
●
年も明け、2月も終わりに近づいた今日この頃。
|火持野・洋太《ヒモテノ・ヨウタ》は憤慨していた。
「クリスマスからこっち、行事続きなのはまぁいいさ。けどな……初詣に新年会、節分にバレンタインデー……どこに行っても人前でイチャイチャイチャイチャしやがる奴らはなんなんだ!?」
そうだね、恋人たちの目立つ季節だね。
たまーにネジを落っことしたカップルに運悪く遭遇することもあるよね。
「寒いから引っ付くぅ? ンなもん厚着しろ肌を出すな、貼るタイプのカイロ常備しとけ。どいつもこいつも、これみよがしに俺の前でイチャつきやがって。リア充マジ許さねえ絶対にだ……!!」
……色々言ってるが、最後のが本音では?
ともあれこのように、イベントにかこつけて愛を育む人々に嫉妬の炎を燃やしていた洋太だったが。
「……は? カップル限定イベント?」
まさか気晴らしに行った温泉旅館でそんなイベントが行われるなんて、一体誰が予想できただろうか。癒しの旅が嫌死の旅に変わった瞬間だった。神などいない。
「ここでもリア充どもに追いやられるのか……カップルで屋外オリエンテーションが楽しめますってお一人様差別にならないんですかクッソ大雪降んねーかな」
抑揚もつけずにブツブツと。
案内された和室で窓の外を眺め、独りぼやいていると——。
『大雪、欲しいの?』
「っ!? だ、誰だ!?」
『だったら、こっちに来てそのカップルのお話聞かせて?』
——ふわりと小さな雪が一つ、洋太を案内するように空を舞った。
●
「……そうして洋太さんは、雪を降らせるのを交換条件に、古妖の封印を解いちゃったん、だ。その結果、周辺が豪雪地帯もかくやの有様になって、旅館が孤立してるから、助けてあげて欲しい、な」
集まった面々へ熱いお茶を差し入れながら、坂堂・一は説明を続ける。
「その旅館があるのは、あまり雪の降らない地域の郊外で、そもそも雪への免疫がないん、だ。だから、除雪もうまく進まなくて、車も通れずに立ち往生してる状態、だよ。……旅館への物資運送トラックや送迎バス、石油暖房に必要な灯油の配達車も、ね」
館内にはエアコンなどの電気暖房設備があるが、この分だと雪の重さで電線が断裂し、停電になる恐れがあるという。石油ストーブもあるが、普段使わないのもあり灯油の残量が心許ない。かといって温泉に浸かり続けるのも現実的ではない。
「このままだと、旅館にいる人全員凍えちゃうから、除雪を手伝って、灯油を届けてあげて、ね」
旅館への道を除雪できれば物資も届けられ、当面の危機は乗り越えられるだろう。
後は原因を取り除くのみ。
「実はここの旅館、庭園の隅に、古妖の『雪女郎』が封印された祠があって、解かれた今もそこにいるみたい、だよ。ただ、雪女郎を守るように、他の雪女たちが庭園を警備してるから、気を付けて、ね」
そこまで説明した後、星詠みの少年は少し躊躇って。
「それと……ノイズ混じりの映像みたいに、一瞬見えたんだけど、ね?」
——綺麗なお尻のお姉さんが、雪と寒さにブチ切れてた、よ。
「ともかく、最後まで気を抜かないで、無事帰ってきて、ね」
そうして湯たんぽ代わりに抱きしめていたチンチラと一緒に手を振り、星詠みの少年は皆を見送ったのだった。
これまでのお話
マスターより
瀬乃路マジ雪許さない絶対にだ。
OP閲覧ありがとうございます。雪国住まいのMS、瀬乃路と申します。
向こう一か月の天気予報を見る限り、恐らくドカ雪が降ることはなさそうなのですが、念の為ゆっくりサポート優先で進める予定です。
もちろん通常参加も歓迎いたします。一緒に雪絶許しようぜ!
●第1章⛺『届け物はなんですか?』
とある町の郊外にある旅館まで灯油配達車をお届けしましょう。
配達車が通れるようどうにか雪を取り除く、いっそ車ごと運ぶなど、方法はお任せします。選択肢はお好きなものをどうぞ。(判定に影響しません)
ちなみに配達車は灯油タンクローリー付のトラックとお考え下さい。
●第2章👾『雪女』
分岐はなしで、集団戦です。
雪女郎の元へ行くため、雪女の集団を蹴散らしてください。
3章で雪女郎と恋バナがしたいなどあれば、プレイングの冒頭に『◎』を記入お願いします。
●第3章👿『雪女郎』or『???』
サポートのみの場合、神出鬼没なあのレディと戦うことになります。
2章で通常参加の方が希望すれば、雪女郎ルートに進みます。
●通常参加について
OP公開直後から受付開始です。
一応『除雪って何?』という方の為の断章を後ほど掲載しますので、必要な方はそちらをご覧ください。
2章以降はシナリオタグとMSページでお知らせします。
複数名での参加時は【相手の名前とキャラID】か【グループ名】を明記の上、送信日を揃えるようお願いします。
また公序良俗に反する事、他人への迷惑行為、未成年の飲酒喫煙は厳禁です。(飲酒喫煙に関しては、見た目年齢で判断いたします)
それでは良き雪中バトルを。
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第1章 冒険 『届け物はなんですか?』
POW
パワフルデリバリー! 障害物も邪魔者も力ずくで乗り越えろ!
SPD
クイックデリバリー! 迅速確実に荷物を届けるんだ!
WIZ
スマートデリバリー! 最適最短ルートを効率よく進もう!
√妖怪百鬼夜行 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
●どこまでも限りなく
しんしんと、空から真綿のような雪が降り積もっている。
星詠みからの情報を元に現場に駆けつけてみると、ここが境界線と言わんばかりに道の途中から雪がこんもりと積もっていた。どうやら件の旅館を中心に、一定範囲のみが真白の世界に閉ざされているようだ。
幸い旅館周辺に民家はなく、好き好んでこの妙な大雪の中を歩く者もいない。√能力やWZ使用などによる巻き込みは心配いらないだろう。
さぁ、雪に覆われた旅館へ灯油配達車を|到達させよう《デリバリーしよう》!
☆☆☆
●マスターより
『雪かき』や『除雪』という言葉自体聞いたこともないという方もいるでしょう。
というわけでサポート優先シナリオではありますが、念の為軽く説明を。
雪かきも除雪も細かい違いはあれど、どちらも【日常生活に差し障るほど積もった雪を取り除く】作業を指します。踝まで埋まるだけでも歩くの大変ですし、雪の状態次第では車も簡単にスタックします。……先日、自宅前でしました。はずかし。
人力であればスノーシャベル(スコップ)やスノーダンプを使い、大掛かりなものは重機を用いて、道の脇など邪魔にならない場所に雪山や雪壁を築いていきます。
今回はもともと雪の降らない地域ですし、それ以上の作業は必要ないので割愛で。
ちなみに、雪を溶かすのはお勧めしません。溶けたそばから凍り、スケートリンク化して危険度爆上げです。やるなら全て蒸発させるつもりでどうぞ!
勢尊・暴兵(サポート)年齢イコール彼女イナイ歴、かつ公共の場(キャンプ場とか)でイチャつくカップルは殺さねばならないという強い執念になぜかさいなまれているため、戦う理由は「リア充死ね」です。なので冒険の先に待つであろう相手がリア充(実際に恋人持ち、あるいはもてそうに見える感じ)らしいなら積極的に行動します。そうではなさそうならとたんにやる気をなくしますが、事態を前進させる意図は一応あるので、無理やりでもなんとかがんばって敵をリア充と決めつけて動きます。無理やり決めるけるのすら無理そうならむちゃくちゃやる気なさそうめんどくさそうに嫌々動く感じで。
柳檀峰・祇雅乃(サポート)√EDEN生まれの人間で、本人曰くおもちゃ屋で魔女です。
子供好きで、困っている人がいたら出来る範囲で助けてあげようとする程度には善良で、子供の敵と転売屋などの小売業(特におもちゃ屋)の敵には苛烈です。
頭を使って解決できそうな問題は出来るだけ頭を捻りますし、何事も丁寧に対応しようとしますが、一方で敵対者に暴力を振るうことを厭わない程度には好戦的です。
戦闘スタイルは、生来の若干異常な身体能力と格闘センスを活かした喧嘩殺法に魔法を組み合わせたものです。
魔導書は鈍器として使うことが多いです。
√能力は状況に応じてどれでも使います。
以上を基本として、シナリオに合わせて思うままに動かして頂ければと思います。
アンミタート・アケーディア(サポート)人間(√汎神解剖機関)の羅紗魔術士×|古代語魔術師《ブラックウィザード》、30歳の男です。
口調:丁寧語(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)
敵には丁寧も崩れる(私、お前、か、だろ、かよ、~か?)
「可憐な(or麗しい)お嬢さん、よろしければ 一緒に踊りませんか?」
「運命の人」を求めており、可憐な女性には積極的に声をかけています。
簒奪者相手でも例外ではありません。
√能力は指定した物をどれでも使用し、積極的に行動します。他の√能力者に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●雪の向こうに
音もなく、ただただ静かに。
世界が白く染まりゆく——それは美しい光景だった。
……他人事であれば。
「この先に運命の人がいるならば迷わず進むのですが……少しばかり張り合いが出ませんね」
コートの襟をたぐり寄せながら、アンミタート・アケーディア(愛を求める羅紗魔術士・h08844)がそう呟くのも無理はない。今なお降り続ける雪により、数歩先から向こうは豪雪地帯のように真白に埋もれてしまっているのだ。こうしてここで立っているだけで、ひやりとした冷気が届く気さえしてくる。
そうして佇むアンミタートに近付く女性が一人。
美しい肢体をレザースーツで覆った|柳檀峰・祇雅乃《りゅうだんほう・ぎがの》(おもちゃ屋の魔女・h00217)が、後方で立ち往生しているトラックとの会話を終えやってきた。
「運転手さんに聞いてきたわよー。普段の景色と全然違うから自信ないけど、ここを道なりに真っ直ぐ進めば旅館に着くはず……らしいわ」
「おや、ありがとうございます。なら遠くにぼんやり見えるのがそうですかね」
「多分そうでしょうね。それじゃ、さくっと除雪して温泉行きましょ!」
この雪の中をひたすら作業するのだ、雪女達を退治し終えたら温泉を堪能するくらいの楽しみはあってもいいだろう。
さてどう作業を進めようかと思案していると。
「なんてやる気の出ない仕事なんだ……リア充がイベントできずに旅館に閉じ込められている、素晴らしいことじゃないか。むしろ私は洋太くんを称えたいね! よくやったGJ同志!!」
——リア充殺すべし。特に公衆の面前でイチャつくようなリア充は絶対殺すべし。
そんな強い執念に苛まれている勢尊・暴兵|《ぜいそん・ぼうへい》(10日の火曜日・h05543)にとって、今回の救出対象はむしろ敵。旅館のスタッフや他の関係ない人々には大変だなぁと思う一方で、自分がカップルを救うと思うとのたうち回って気絶したくなるくらいには消極的だった。
「あなたの気持ち、分からなくもないですがね。この先に居るのが例えば可憐な女性やアマランス様ならば、私とて気合も入るというもの。しかし……」
ちらり、とアンミタートが後方を振り返る。先ほど祇雅乃が指示したのか、配達車は近くの駐車場で待機しているようだ。
「……運転手はみな男性でしたし、旅館も恋人たちばかりとなると、ね」
「そうだろう!? いやぁ、話が分かる人が居て良かった! じゃあ帰ろう」
そのまま回れ右、と踵を返そうとする暴兵の襟首を、祇雅乃はむんずと掴んで。
「真面目にやりましょ?」
「……ハイ」
高身長の女性が無言でにっこり笑みを浮かべると迫力ありますよね。
渋々頷く暴兵にもう一度笑顔を見せる姿に、アンミタートは無言を貫いた。君子危うきに近寄らず……羅紗もそう告げているはずだ知らんけど。
●
お互いが出来ることを相談し合い、決まった作戦はこうだ。
まず祇雅乃が魔術で雪を集める。それをアンミタートに強化してもらった暴兵が右手で消しながら走る。以上。
「私の負担重すぎないかい!?」
残念ながらチェーンソーもハチェットも、雪には無力なのですよ。焼却すると路面ツルツルになって、余計に事故るしね。
「まぁまぁ、影ながら応援しますので」
「表に出よう!? ますますやる気が出ない!」
同志だと(勝手に)思っていたアンミタートに適当に宥められ、頭を掻き毟りながら叫ぶ暴兵を視界に入れて。「そういえば……」と唇に指を当てながら、祇雅乃がぽつり、思わせぶりに口を開く。
「……男と女、閉じ込められた旅館の和室、整えられた布団。何も起きないはずがなく……」
「うがぁああああああぁああぁあああ!?」
「あり得ますね……寒いからと二人の距離は近付き、やがて肌と肌をみっ」
「それ以上は許さん待ってろリア充ども今殺しにいってやる!!」
「そうね、頑張りましょうね♪」
はたして、効果は抜群だ!
猛烈な勢いで雪に右手を突っ込んで進む暴兵を支援すべく、祇雅乃も視界内の全ての雪を敵と認識して魔力を開放する。
「万物が持つ引き合う力よ、我が意に従え——雪よ、下へ落ちなさい!」
その声に呼応するかのように、ふわふわの新雪が祇雅乃が指差す右下へと|落下《・・》していき。見事、道路の右脇に雪壁を形成する。
「1分も持たないから、その間に出来る限り消しちゃってね!」
「では速度を上げてまいりましょうか——我が羅紗は仲間を繋ぎ、その力を管制する」
アンミタートの纏う羅紗から、非実体の羅紗色の鎖が暴兵へと伸びていく。それが命綱のように腰に巻き付いた途端、暴兵の速さが格段に上がった。
「おー、いい感じねえ! これなら結構進むんじゃないかしら?」
「うぉおおおおお消し飛べリア充ぅぅううううう!!」
破壊の炎を纏い、暴兵の右掌が雪壁に触れる。その途端、暴兵の周囲から雪が消えた——自然現象ならいざ知らず、この雪は簒奪者である雪女達が降らせたもの。ルートブレイカーによって消えるのは道理である。
「私の右手が真っ赤に燃える! リア充を倒せと轟……アッ冷たッ!」
……とはいえ、雪に触れなければ発動できないのが玉に瑕。
「ほらほら、手も足も止まってるわよー!」
そう檄を飛ばす祇雅乃を見ながら、アンミタートはふと思った。彼女はどうしてここまで頑張るのだろう、と。見ず知らずの人の為全力を尽くす、そんな崇高な精神を持っているのだろうか。
「あの……あなたはどうして、」
「いやー、あの人もあなたも分かってないわよねぇ」
アンミタートの問いに被せたようなタイミングで、祇雅乃が楽しげに笑う。
——男と女、閉じ込められた旅館の和室、整えられた布団。
「そんなの……徹夜でプラモ組み立て放題じゃない!!」
思う存分積みプラを組み、目が疲れたら布団に転がって仮眠、そしてまたプラモを開封……掃除も洗濯も食事の支度も旅館の人が全部やってくれるから、ただただ趣味に没頭できる。プラモ好きにはまさに夢のような状況だ。
「せっかくだし、プラモの良さを布教しようと思うのよね」
「はは、なるほど……では私も一夏ならぬ一冬のアバンチュールを狙ってみましょうか。もしかしたら危機的状況下で別れたカップルもいるかもしれませんからね」
キラキラと瞳を輝かせ語る祇雅乃に、アンミタートも笑みを返して。
そうして配達車へと手を振った二人は、暴兵が切り拓いた道をゆっくり進むのだった。
旅館まで、あともう少し。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴 成功
シルヴィア・ノーチェイサー(サポート)人間(√ウォーゾーン)の戦線工兵×雷の|精霊銃士《エレメンタルガンナー》、22歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」
年下には「柔らかい(私、キミ、ね、よ、なの、かしら?)」です。
√能力は指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の√能力者に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。R-18展開はなしの方向で。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
サリエ・オースティン(サポート)「状況開始。只今より作戦を支援致します」
後方より作戦行動中の皆さんへ通信支援。
・行動
ドローンによるマッピング。
敵勢力の索敵、接近アラート。
味方のナビゲート。情報共有。
ドローンに搭載したツールによる電子機器へのハッキング作業。
部隊の行動方針について意見を求められれば補足致します。
ただし、あくまで決定は現場の皆さんの意思を優先で。
尚、ドローンには通話可能のスピーカーが付いておりますが、
インカム等の通信手段があれば、より円滑かつ迅速に支援が可能です。
※アドリブ可
軽口や談話も嫌いではありません。
気が乗れば冗句くらい飛ばします。笑いはしませんけれど。
「状況終了。各自任意に帰投して下さい。お疲れ様でした」
萩高・瑠衣(サポート)人間(√EDEN)の|錬金騎士《アルケミストフェンサー》×レゾナンスディーヴァ、18歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、負傷したら「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
主に、篠笛を演奏することによる何らかの効果を期待した行動を取って事態の解決に貢献しようとします。
近接戦闘も譜面台を振り回す物理攻撃や改造楽器ケースによる魔力攻撃で対応しようとしますが、防御はちょっと苦手です。
他の√能力者さんとなるべく協力し、公序良俗に反することは行いません。
後はお任せいたします!
●吹雪の中心へ
先に除雪作業を始めていた者達と交代するように、|萩高・瑠衣《はぎだか・るい》(なくしたノートが見つからない・h00256)もまた純白に染まりゆく世界に足を踏み入れた。
「すごい……青森のお祖父ちゃん家みたい」
塀に、屋根に、電線に。あらゆるものに降り積もり、見知った景色を変えてゆく。そんな雪はただ綺麗なだけではないのだと、瑠衣は恐らく祖父から聞いていたのだろう。彼女の赤い瞳は焦燥のようなものを抱えていた。
「この雪の中で暖房器具が使えなくなれば、そのうち死人が出てもおかしくないわ」
しんしんと降っていた雪は、旅館に近付くにつれ徐々に風を伴って。
「少し、吹雪いてきましたね」
そんな声と共に飛んできたのは、サリエ・オースティン(アパセティック・h05195)の|ドローン《【OS01:Watcher】》だ。様々な機能を付属搭載された優れモノである。
「このまま作業続行していけば、やがてホワイトアウトするレベルに達すると分析結果が出ました。後方よりドローンにて情報共有致しますので、有効活用して作業にあたってください」
「ありがとう。……あなたは一緒に来てくれないの?」
後方の車内にいるサリエへと振り返り、瑠衣が冗談交じりにそう尋ねれば。
「よく『|冷淡《アパセティック》』と呼ばれるのですが、寒さが得意なわけではないのですよ。一人ぬくぬくとしておりますがご容赦願いますね」
表情は変えぬまま、しかし声音はほんの少し楽しげに。
軽い冗句に添える形で「能力者の方々のような力もございませんので」と付け足したサリエに、そういうことならと瑠衣も納得の表情を見せる。
「分かったわ。それじゃあ始めましょうか」
「はい……状況開始。只今より作戦を支援致します」
ドローンを随伴させ、改造楽器ケースから取り出した篠笛を構えて。
高く、高く。
凍てつく冬の空のような甲高い旋律が響いたと思えば。
低く、重く。
曇天の湿ったぼた雪のような、霊力を帯びた重低音の旋律が周囲の雪を震わせ、屋根や電線から滑るように落雪させていく。|息継ぎ《ブレス》の度に凍るような空気が肺を冷やしても、瑠衣の演奏は止まらない。
(今はただ、無心で奏でる……!)
竹で出来た篠笛から発せられるのは旋律だけに留まらず。瑠衣の進行方向に生じた衝撃波が、積もり落ちた雪をぶわりと舞い上げ、吹き飛ばしていく。
「動作・熱源探知に生物反応なし……そのまま前方を進んでください」
エコーによる探知レーダー機能と、タブレットによる地図情報を共有する声に、ゆっくりと瞬き一つ返し。
そうして一人と一基は奥へ奥へと、雪を吹き飛ばし進んでいった。
●雪の輪舞曲
やがて風雪は勢いを増し、白い闇が訪れる。
ホワイトアウト——それは空中の雪粒子による光の反射や散乱によって視界が白一色となり、地形の起伏や距離感などが全く判別つかなくなる現象である。酷い時には数歩先でも目視出来ないほどのそれは、オーラ防御がなければあっという間に低体温症で動けなくなっていたかもしれない。
「……少し前からドローンも随伴できなくなっていますし、退き時でしょう。聞こえますか、赤いセンサーライトで誘導します。こちらへ帰還してください」
吹雪にかき消えぬよう、音声のボリュームを上げてそう告げれば、瑠衣も叫ぶように了承の言葉を返してきた。これなら無事戻ってこれるだろう。
「では、私が後を引き継ぎましょう」
その声にタブレットから顔を上げると、サリエの前方で銀髪と黒い外套が風を受けてはためいた。シルヴィア・ノーチェイサー(人として・h09162)だ。
「吹雪の中でも|戦乙女兵装《ヴァルキリー・システム》があれば。それに、ナノマシンスーツも……まぁ、あっても寒いのですけど」
ここまでの吹雪になると、地表からの地吹雪も問題になってくる。その対策も考えてあるようで、新たな援軍にサリエが素早くマップ検索をして。
「なるほど……その条件に合致する候補地がいくつかありますね。詳細を詰めた後、範囲外の高度よりセンサーを照射しますので、そちらへどうぞ」
「了解しました。それでは……少し寒いですけど行きましょう、|風妖精《シルフィード》」
兵装の排熱による白い煙をたなびかせ、風を纏ったシルヴィアが吹雪の空を飛び上がる。地吹雪の届かぬ高さまで上がってしまえば、地表での視界よりは見通せるようだ。とはいえ、その程度でオールクリアとはいかないのだが。
「気流を操ってしまえば……!」
吹き荒れる風雪を宥めるように抑え込み、周囲の雪を上昇気流に乗せていく。降ったばかりのふわふわの新雪は、強い風でなくとも抵抗なく浮いていき、シルヴィアの指揮のもと踊るように舞い上がって。
そうして集めた周辺の雪を、瑠衣を誘導し終えたドローンが照射する赤いセンサーライトを目印に運んでいく。そこには十分な広さの空き地があり、一時的に雪の堆積場とするにはうってつけだった。
雪を気流に乗せては運ぶのを繰り返し……とうとう旅館までの道が拓けた。
吹雪の全てを気流で絡め取れたわけではないが、車両が旅館まで走行するだけの時間は稼げるだろう。
「これで後は雪女郎を倒せば、旅館の皆さんは助かり、配達車も帰りは悠々と戻れるはずですね」
「お疲れ様です、こちらどうぞ。温まりますよ」
地上へ戻ってきたシルヴィアに差し出されたのは、湯気を立てる紙コップ。
きょとんと首を傾げてみせると、サリエの口角が僅かに上がって。
「一人だけぬくぬくするのも気が引けましたので」
どうやら先に戻ってきた瑠衣もまた、紙コップを両手で包んで暖を取っているようだ。ホッとしたのか、凛とした目元がふにゃりと和らいでいる。
「ありがとう、いただきますね……こ、この匂いは!」
受け取ったコップから香るのは、甘い甘いココアの香り。ふぅふぅと、嬉しそうに
口をつけるシルヴィアの目もまた鋭さがとろけ落ちたのだった。
●●●
EDEN達が確保した道を次々と配達車が走行していく。
シルヴィアの言う通り、これで物資や燃料に困ることはないだろう。
配達車のお届けミッションクリアだ!
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴 成功
第2章 集団戦 『雪女』
POW
報仇雪恨
自身を攻撃しようとした対象を、装備する【氷刀】の射程まで跳躍した後先制攻撃する。その後、自身は【吹雪】を纏い隠密状態になる(この一連の動作は行動を消費しない)。
自身を攻撃しようとした対象を、装備する【氷刀】の射程まで跳躍した後先制攻撃する。その後、自身は【吹雪】を纏い隠密状態になる(この一連の動作は行動を消費しない)。
SPD
肌肉玉雪
自身の【美貌】がA、【妖力】がB、【剣術】がC増加し、それぞれ捕食力、貫通力、蹂躙力が増加する。ABCの合計は自分のレベルに等しい。
自身の【美貌】がA、【妖力】がB、【剣術】がC増加し、それぞれ捕食力、貫通力、蹂躙力が増加する。ABCの合計は自分のレベルに等しい。
WIZ
飛雪千里
指定地点から半径レベルm内を、威力100分の1の【吹雪】で300回攻撃する。
指定地点から半径レベルm内を、威力100分の1の【吹雪】で300回攻撃する。
●注:洋太は生きてます
EDEN達の活躍により、除雪を終えた旅館の駐車場に次々と配達車がやってくる。
つい先ほどまで猛威を振るっていた吹雪は嘘のように止んで、今はチラチラと風花が舞っているのみ。……古妖達に何かあったのだろうか?
——庭園へ近づくにつれ、姦しい会話が聞こえてきた。
『さっきまであんなに楽しそうだったのにねぇ……あの人間も役に立たない』
『うちの可愛い子が話せと言ってるのだから、次々話せば良いものを。「りあじゅうの話はもう嫌だ」とか駄々を捏ねて、見苦しいったらありゃしない』
『せっかく盛り上がってた吹雪も収まったじゃないか』
『ならもっと楽しませる人間を建物から連れてくれば良いのでは?』
『それはいい、そうしよう』
庭園の中央に集まっていた雪女達が、くるりと一斉に旅館へ振り返る。
EDEN達は無辜の人々が古妖の餌食にならぬよう、素早く庭園へと躍り出るのだった。
エーリカ・メーインヘイム(サポート)√ウォーゾーン出身です
でも人間さんが困ってるのは他√も同じですっ
ベルセルクマシンですが、今は人類の味方です
見た目は人間さんとそんなに変わりません
…身長以外は
屋内等で8mの身長が邪魔になる場合は、事前に160cmになってから参加しますね
昔も今も変わらず、わたしが直接殴ったり蹴ったりというよりは、レギオンさんに戦闘をお願いしています
「レギオンさんたち、いってらっしゃい!」
頑張ってね
手で振り払ったり叩き落としたりするくらいなら、わたしにも出来るかもしれません
身長が8mのままの時は、それなりに効果的だったり…?
戦闘に大きさは関係ないかもしれませんけど…
サポートで真の人格に覚醒する事は絶対にありません
天月・八雲(サポート)天使の古代語魔術師×錬金騎士47歳の男です。
普段の口調はやる気がなさそうな感じ(自分の愛称、相手の名前+ちゃん、だねぇ、だよ、だよねぇ、なのかい?)一人称はおじさんです。
真剣な時は低く落ち着いた声(俺、お前、だ、だな、だろう、なのか?)ですが、まず真剣になることは無いです(断言)。たとえそれが敵の前でも、です。
軽口くらいは叩くかもしれません。でも、基本的に不真面目でふざけているの
でシリアス過ぎない行動になると思います。
ただ、真面目になる時は目が笑ってません。
本気の弱音や強がりを口にする事もありません。
あとはお任せ、よろしくおねがいします
●思いを胸に
『おや、招かれざる客が来たようだねぇ』
今や自分達の|領域《テリトリー》と化した庭園で、見知らぬ気配を感じた雪女が冷ややかな視線を浴びせようと振り向くと。
『……靴下?』
視線の先にあるのはどう見てもローファーと白いソックスを履いた足。そのまま視線を上へ上へとずらしていけば——セーラー服姿の少女とようやく目が合った。
『……だいだらぼっちの娘、か?』
「違いますよー、そこまでは大きくないですっ」
唖然としながらの問いかけに応えたのはエーリカ・メーインヘイム(あなたの帰りを待つ母艦・h06669)だ。実は彼女はベルセルクマシンで、その身長はなんと8m! 三階建てのこの旅館よりは小さいものの、目線の高さは二階と同程度なのだ。
「人間さんたち、もう大丈夫ですよ。寒さの原因は取り除いちゃいますからね!」
窓から恐る恐るこちらを窺う宿泊客達へ、エーリカはにっこり微笑みかける。その友愛に満ちた笑顔に宿泊客達も安心したのか、徐々に窓から離れていくのが見えた。
「やれやれ、おじさん寒いのも面倒なのも嫌なんだけどなぁ」
エーリカの更に上からぼやく壮年男性が一人。
ボサボサの頭を掻きながら、|天月・八雲《あまつき・やくも》(おじさんが天使?冗談にもならないよねぇ・h12271)が旅館の屋根から雪女達を見下ろしていた。
「雪女ちゃん、ここの気候じゃ住みにくいんじゃない? 別の所行こうよ」
『フン。気候など、斯様に冷やしてしまえば良い。我らが退く必要がどこにある?』
「あーらら、振られちゃったねぇ」
面倒事は避けるに限る——そう思って適当に言いくるめようとしたが、雪女からすれば既にここは制圧済み。提案は素気無く突き返され、八雲は思わず肩を竦めた。
「おじさん、一緒に頑張りましょうね!」
「えーめんどくさーい……とも言ってられないね、こりゃ」
眼下の雪女達は邪魔者を排除しようと臨戦態勢だ、今更「それじゃ」と背を向けても素直に帰らせてくれないだろう。仕方ないとばかりに翼を羽ばたかせ、八雲が地上へと降り立った。
「……それにしても、リア充許さねぇ、か」
星詠みに聞いた情報を反芻するかのような呟きに、エーリカがぱちくり瞬いて。
「もしかして、洋太さんみたいに羨ましかったりしますか?」
「うーん……どうだろうねぇ。さあ、雪女ちゃんが来るよ」
「はいっ!」
そう返した八雲の脳裏に過った思いは何なのか。
答えを煙に巻きながら、ボサボサの髪を一つに纏めた八雲が戦闘の始まりを告げた。
「レギオンさんたち、いってらっしゃい!」
エーリカの傍に浮かぶレギオンメイトから、42機の小型無人兵器「レギオン」が次々と放たれてゆく。その機械の小隊は順次四方へ展開し、雪女達を包囲するかのような陣形を描いてその時を待っていた。
「人間さんを困らせるひとは、これでペンペンしちゃいますからね!」
その声を合図に、レギオンたちが一斉にミサイルを発射した。
1発1発は弱くとも、集中砲火による爆風が更に雪女達の肌を焼いていく。
『くっ、よくも同胞を!』
何体かの雪女が膝をつく惨状に歯噛みし、無傷の雪女が巨体のエーリカ目掛け吹雪を起こした。それまで小康状態だった天候がまたしても曇天に呑まれ、斜めに降る凍てつく雪が八雲やレギオン達にも叩きつけられる。
「がんばって……! 負けないで、レギオンさん!」
エーリカの祈りが内蔵型のレギオンコントローラーを通し、レギオン達を鼓舞して。更に現れたいくつものウィザードフレイムが、二人とレギオン達に襲い掛かる吹雪を反射し、融け合い、消滅していった。
「ありがとうございますっ!」
「どーも。とはいえ手早く済まさないと、おじさん凍えちゃいそうだよ」
ゆるゆる紡がれる言葉の調子はそのままに、けれど全力の魔力を炎に込めて。素早く詠唱し続ける八雲の周囲にまた一つ、魔術の炎が浮かび上がった。
「それじゃ、反撃といくかい?」
「はい! レギオンさんたち、お願いします!」
いくつかは撃墜されたものの、機械の小隊は半数以上が耐えきったようだ。雪女を逃がさぬよう未だ包囲陣形を解かず飛行しているレギオンに、|母艦《エーリカ》からの指示が伝わって。
続々とミサイルが撃ち込まれるのに合わせ、八雲もまた全てのウィザードフレイムを雪女へ放つ——爆風で煽られた炎が、高く高く冬の空に燃え上がった。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功
萩高・瑠衣(サポート)人間(√EDEN)の|錬金騎士《アルケミストフェンサー》×レゾナンスディーヴァ、18歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、負傷したら「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
主に、篠笛を演奏することによる何らかの効果を期待した行動を取って事態の解決に貢献しようとします。
近接戦闘も譜面台を振り回す物理攻撃や改造楽器ケースによる魔力攻撃で対応しようとしますが、防御はちょっと苦手です。
他の√能力者さんとなるべく協力し、公序良俗に反することは行いません。
後はお任せいたします!
●人為的『自然の驚異』
凍えていた体をココアで温め、英気を養った萩高・瑠衣が庭園へと足を踏み入れる。視線の先では美しい雪の着物を纏った妖怪達が、どんな人間を連れてこようか相談しているようだった。
「ねぇ、聞きたいことがあるのだけど」
『む? 自ら志願してくるとは、何とも殊勝な人間だねぇ』
『さぁ我らが可愛い雪女郎に恋バナを聞かせとくれ』
近寄る姿に勘違いしたのか、一方的に話す雪女達に瑠衣は|頭《かぶり》を振って。
「旅館周辺を覆っていた吹雪はあなた達が?」
『まぁ我らも力を貸したが、あれは恋バナにはしゃいだ雪女郎が起こしたもの。風に舞う白雪は美しかっただろう?』
「……そうね、確かに美しかったわ」
そして——寒かった。
澄み切った冬の空に、結晶化した雪が舞い踊る様は感じ入るものがあったのは否定しない。……だが酷くなる吹雪の中、奪われゆく体温と、真白の世界に一人取り残されたような不安感が思い起こされて。
「あなた達にはお礼をしないとね!」
改造楽器ケースを握り、非実体の刃を発生させると、瑠衣は雪女の一人へ斬りかかろうとした。しかし——。
『寒いなど、やはり脆弱なるかな人間!』
相対する雪女が素早く間合いへと跳躍し、瑠衣に先んじて斬り上げる。
その氷の刀を滑らせるよう何とか受け流せば、再び視界を横切るは冷たい|白魔《はくま》……雪女達が起こした吹雪だ。
「また……いいわ。思い通りに動けない辛さ、あなた達にも教えてあげる」
吹雪を纏い身を隠した雪女達に、瑠衣は刃を収めて篠笛を取り出して。
力を抜いた唇が唄口に触れ、そっと息を吹き込むと。
——ピリリリリりりり……
『な、じ、地震か!?』
篠笛から発生した特殊な周波数の音波が、隠密状態の雪女達を暴いていく。
その身体は直下型の大地震を受けたかのように揺れ、震え、まともに立つこともままならず。
『この……っう、ぁ……』
刀を支えに体勢を立て直したとて、奏で生み出された音響弾が雪女の頭を揺らし、昏倒させて。
(雪はもう十分……今度は私の音をじっくり堪能してもらうわね)
倒れ込み、踊るように藻掻く雪女達の姿に、少し溜飲を下げた瑠衣であった。
🔵🔵🔴 成功
フォグル・ファルグスト(サポート)口調は丁寧ですが、どこか事務的な話し方をする職業暗殺者です。下ネタ、エロ、グロ、度がすぎたギャグはNGですが、それ以外ならOKです。
基本的に、どんな時も感情的になることなく淡々と仕事をこなします。
子供(のキャラ)は子供扱いせず、1人の大人として扱います。遠慮や容赦はしません。
戦闘に関しては自分から積極的に攻撃します。アドリブ、連携、アレンジ歓迎です。
それでは、よろしくお願いします
金菱・秀麿(サポート)人間(√汎神解剖機関)の|警視庁異能捜査官《カミガリ》×不思議骨董屋店主、飄々としたつかみどころがない中年刑事。
遺留品に込められた思念を読み取る調査が得意。
実家が骨董屋のため古い骨董品の知識も深い。
「この造形は、曰く付きの趣きがあるねぇ……」
が口癖で物の造形に秘められた思念に反応した時によく口にする。
【基本的な口調】
一人称は「俺」、二人称は「お前さん」。
【戦闘】
中距離からカミガリ式M60で他の√能力者を援護射撃する。
近距離ならは、御用十手で相手の捕縛を試みます。
【心情】
飄々とした脱力系刑事ですが仕事は真面目にこなします。共闘者がいた場合やれやれと軽口を叩きつつもしっかり援護に回ります。
●白と黒の狂宴
ぽたり、と。
白い紙に墨汁を垂らしたように、雪景色に佇む黒が一人——いや。
『今度は男が二人。恋の話……には縁がなさそうかねぇ?』
『いいさ、連れて行こう。案外陽気に語ってくれるかもしれないよ』
声を潜めるでもなく二人を検分する雪女達を、フォグル・ファルグスト(黒狼の暗殺者・h10164)はただ静かに見据えていた。その灰色の瞳は鋭く、しかし僅かな呆れが浮かんでいる。
「暢気なもんだな。この期に及んでまだ恋バナさせようとしてやがる」
「ええ。……ですが好機とも言えます」
もう一人の黒髪に浅黒い肌の男、|金菱・秀麿《かなびし・ひでまろ》(骨董好きの異能刑事・h01773)もまた油断なくスーツの内ポケットへ手を忍ばせて。
「では」
「おう、援護は任せとけ」
そんな短いやり取りの後、ぐぐっと身を屈めたフォグルが敵陣へと飛び出した。
黒狼獣人のしなやかな筋力をバネにして、あっという間に距離を詰めると、左手のククリナイフを水平に一振り。低い姿勢から繰り出されたそれは、周囲の雪女の足を鉈で刈るよう切り裂いた。
『ギャアァアアア!! 足が、足が……!!』
『貴様、許さぬぞ!』
倒れ込む同胞を庇うように、別の雪女がフォグルへと刃を向けるが——その額から血飛沫を上げながら、彼女もまた新雪へと倒れていく。
「俺を忘れてもらっちゃ困るな」
小型のリボルバー、カミガリ式M60を構えながら冷静に戦局を見極め、少し引いた位置から援護射撃による戦場コントロールを行う秀麿。
技術と経験に裏打ちされた射撃に気を取られれば、フォグルの卓越した暗殺技術による襲撃が待っている……即席ながらも互いの長所が嚙み合った、熟練の動きであった。
『くっ……相手は男二人、我らの美貌の虜にしてやる!』
『ならば邪魔なあの銃の男は任せとくれ!!』
やがて劣勢だと悟った雪女達は、そう叫ぶや否や妖力を高めていく。
純白の雪のような肌は、より抗い難い衝動を与える美しささえ帯びて。氷刀を振り抜く音も軽やかに、3体の雪女が秀麿へと飛び掛かった。
「——させませんよ」
呟きだけをその場に残して獣人は駆ける。脳のリミッターを外し、更に能力による加速を重ねたフォグルは無数の黒い影を生み出しながら、秀麿に飛び掛かる雪女の一人へと肉薄し。瞬く間に首を刈り取れば、噴き出す赤が彼女の美しい白肌を染めていった。
そのまま身体を無理やり反転させると、翳すは右腕のタトゥーに偽装した拳銃、グロック17。ただでさえ悲鳴を上げていた身体が限界に達したが、ブシュッと背の血肉を弾けさせながらも銃を構え、照準を別の雪女へ。
響く銃声と共に、また一人美女が雪面に赤い花を咲かせた。
「お前さん無茶すんねぇ。ま、ありがとよ」
ガギンッ!!
心配と呆れを滲ませつつ、礼を告げる秀麿の手には御用十手。
フォグルをすり抜けた一太刀を受け止めると、カミガリ式M60でその胸を撃ち抜く。衝撃で癖のある黒髪をふわりとなびかせながら、そのままフォグルを狙う雪女達を視界に収めて。
「だが『援護は任せとけ』って言ったろ?」
「それは失礼しました」
「ははっ、真面目か」
軽口を叩きクールに笑んで、秀麿は霊能震動波を今まさに斬りかからんとしている女へ向けて放つ。
「さぁ武器を置いて手を上げろ。まだ抵抗するなら撃つ」
『うぐっ、膝が震えて……! た、立てない……!!』
『我らがこのような屈辱を受けるとは、許さないよ……!!』
|霊震《サイコクエイク》をまともに食らった雪女達は、膝を折ったまま立ち上がることも出来ず。
その範囲を最大まで拡大すると、秀麿は落ち着いて弾丸を装填。背を庇いつつ隣まで戻ってきたフォグルもまた、グロック17を構えて。
——やがて、戦意収まらぬ雪女へ向けられた二丁の銃口が火を噴いた。
🔵🔵🔵🔵🔴🔴 成功