子供たちを助け出せ!
●√仙術サイバー・東京Ⅱ
「待ちやがれ、クソガキ!」
「誰が待つか!」
苛立ちの声を上げる大人と、生意気そうな子供。
これだけを聞けば、いたずらした子供が怒られているだけと感じられるだろう。
だがもちろん、そんなはずはない。
「くそ! ちょこまかと!」
男たちの一人が、逃げ惑う子供たちの背に向け、銃を構える。
「馬鹿! 生かして捕まえねえとだめなんだよ!」
隣を走る男が怒鳴りつける。
「くそ! めんどくせえな!」
怒声を上げながら子供たちを追うのは、いかにもといった風貌のマフィアたち。
所詮、誘拐というものだ。
10歳前後の子供たちもまた、武強主義のこの√の住人だ。捕まればどうなるか理解している。
だからこそ、自分たちにできる抵抗手段として、逃げていた。
狭い路地を走り、放置されたゴミに隠れ、穴の開いた壁を抜け、子供たちは逃げていく。逃げていく間に、バラバラになってしまうのは、もう仕方がない。一人一人が自分の力で生き延びるしかないのだ。
救いの手などないのだから。
高所から、当人たちにとっては必死な、だが、この√ではありきたりな風景を見つめている人影があった。
「騒々しいものだ。だが、面白みはない」
無感動な目が、温度のない視線を送る。
だが、と女は笑う。
「良い撒き餌にはなるようだ」
星が告げる内容に、彼女の笑みが深くなる。
「どんな奴らが来るか、楽しみに待つとしよう」
先ほどとは違う、ぎらぎらとした目は、常人には見えぬ何かを見つめていた。
●√EDEN・東京
「集まってもらったこと、感謝する」
プレケス・フォルトゥーナ(墜ちたる翼・h00997)はぺこりと頭を下げた。その拍子に、彼の背にある翼が揺れる。
「皆には、√仙術サイバーに向かい、子供たちの救出をしてほしい」
東京Ⅱのスラムにおいて、複数の子供がマフィアに誘拐されそうになっている。
「あの世界でもまれた子供たちだ、容易くは捕まらないが、まだ10歳程度の子供では、限界がある」
マフィアの下っ端に追われ、逃げ回っている間に、彼らは散り散りになってしまっている。そして、追い詰められ、捕まっていくのだ。
そんな子供たちの保護が今回の目的となる。
「問題は、彼らが周囲をすべて敵だと思っていることだ」
しかし、それも仕方がないのだろう。襲われ逃げる子供の警戒心が上がっているのは当然だ。なにより武強主義の√仙術サイバーにおいて、哀れな子供たちを助けるものなどまずいない。だからこそ、子供たちも自力でどうにかしようとしているわけだ。
「まずこちらの話を聞かせるにも、捕まえるなりしなければどうにもならないだろう」
√能力者を強者と認めれば、話ぐらいは聞いてくれるだろう。
とはいえ、周囲は込み入ったスラム。あまりに大がかりな√能力は、周囲の建物に被害を出してしまうし、子供にけがを負わせる可能性もあるので、出来る限り控えるほうがいいだろう。
「とはいえ、あまりのんびりもしていられない。マフィアの一味は、まだ子供たちを探している」
彼らは上からの命令で、子供たちを誘拐しようとしている。それを、全員逃がしました、などと報告すれば、彼らの首が物理的に飛ぶため必死だ。
彼らをどうにかして、ようやく子供たちの保護が叶う。
「……子供達を保護、で終わればよいのだがな」
プレケスが厳しい表情を浮かべる。いや、どちらかといえば苦々しいというべきか。
一つため息をつき、プレケスが口を開く。
「面倒なことに、【妖魔公女『冥鈴・ガルガンチュア』】が接触してくる可能性が高い」
星詠みでもある冥鈴・ガルガンチュアは、強力な√能力者だ。
「今回の子供の誘拐に直接かかわりはない。ただ、我々に興味があり、都合がいいとばかりに君たちの前に現れる」
つまりは、プレケスが星を詠み、子供たちに助けをよこすことを、詠んで待ち構えているのだ。
「危険な依頼になると思う。だが、どうか救いなどないと思っている子供たちに、手を差し伸べてほしい」
そういって、プレケスは数枚の地図を渡す。その地図には、マークが付けられている。そこから入ればちょうど、逃げ惑う子供たちと接触できる。
「君たちの無事を、願っている」
プレケスは、√能力者たちへともう一度、頭を下げた。
マスターより
目を通していただきありがとうございます。白月 昴です。
今回は、子供たちの保護が目的となります。
●シナリオについて
第一章は逃げ回る子供たちを捕まえてください。
少々物騒な鬼ごっこです。
子供の安全と、周囲が込み入ったスラムであることを踏まえて、あまりに範囲の大きな攻撃はお勧めしません。
二章は、子供たちを誘拐したマフィアの下っ端と接触します。
戦うか、逃げるかのどちらかに分岐します。
戦いたい場合は●、逃げたい場合は○を、一章のプレイング冒頭に記載してください。
戦う場合は子供たちをかばいつつの戦闘になります。
逃げる場合は、子供たちを抱えるなどして、移動することになります。
同数、または記載がない場合は、こちらで決めさせていただきます。
三章は、妖魔公女『冥鈴・ガルガンチュア』と接触します。こちらに興味津々な彼女は、嬉々として攻撃を仕掛けてくるでしょう。
●技能について
技能は、技能名だけを並べるのではなく、その技能で何をするかを書いていただけると、より皆様の思ったものに近い描写ができると思いますので、よろしくお願いします。
皆様のプレイング、お待ちしております。
10
第1章 冒険 『√仙術サイバー鬼ごっこ』
POW
相手が疲れ果てるまでひたすら追いかける!
SPD
捕縛に特化した√能力やアイテムを使う
WIZ
相手の目的地を予測し、先回りする
√仙術サイバー 普通7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
――はあはあ。
足を止めた子供が一人、荒い息で周囲を窺う。
その体には、逃げ回っている間についた傷が、あちらこちらにあった。
ずっと走り続けたせいで、疲労がたまっている。心臓も落ち着くことなく、いつになく速い鼓動を奏でている。
だが、このまま止まっているわけにもいかない。
追ってくるマフィアの下っ端はもちろんだが、ほかの住人とて当てにできない。それも当然だ。親もなく、金もなく、√能力も当然ない、役に立たない自分に助けなどないのだから。
だがそれでも、自分の命をあきらめたくない。
だから、逃げなければ、と子供はまっすぐに前を見つめ、再び走り出す。
仲間たちは何人逃げられるだろうか。
シンシア・ファルクラム争いは好みませんが、元を断たねば根本的な解決はない……と見て、戦う姿勢です。●
★心情
周りの全てが敵……。
辛く、苦しいでしょう。本来であれば、養うべき大人がいなければならないのですが。
……かく言うわたしも、年端もいかぬ頃から天涯孤独。家族の積み上げたもののお陰で敵ばかりの人生とはなりませんでしたが、寄りかかれるもののない生活が如何なるものかは、わかるつもりでございます。
★行動
「すみません、この辺りで皆さんのような人々を狙う人がいると聞いて来たのですが」
なるべくにこやかに、警戒心を解くように話しかけます。とはいえ、警戒されるでしょう。「お前のことだろ」くらいの言葉は織り込み済み。
逃げられたら、【裂空龍舞】で移動力を上げ、低空の【空中ダッシュ】で追いかけながら【エネルギーバリア】で進路を妨害。簡易的な迷路のようにしながら、行き止まりにして【楽園顕現】の叢檻に入れ保護しつつ対話して警戒を解くよう試みます。
(周りの全てが敵……)
√仙術サイバーに向かうため、歩を進めていたシンシア・ファルクラム(歌い、奏でる空の柱・h08344)は思う。
それは何と辛く苦しい事だろうかと。
(本来であれば、養うべき大人がいなければならないのですが)
いないからこそ、子供たちは助けを求めないのだろう。
かく言うシンシアもまた、年端も行かぬ頃から天蓋孤独の身であった。けれど、シンシアの傍らには、家族の積み上げたものがあった。それは見えるものではないけれど、彼女を守り導いた。お陰で、敵ばかりの人生とはならなかった。
けれど、かの子供たちに守ってくれるものはなく、光さえ遠いのだろう。
自分がどれだけのことができるかはわからない。子供たちにとっては、これからも過酷な人生が続くだろう。それでも、救いの手があるのだと子供たちに伝わればいい。
そんな思いで一歩、√を渡れば、そこは今までの清潔な街ではなかった。すえた匂いと雑然とした気配、そして、怪我をあちこちにした、粗末な服を着た子供がシンシアの視界にうつる。
突如現れた存在に、警戒心よりも驚きがまさったのか、子供――10歳ごろと思われる少年が、呆気にとられた表情でシンシアを見ていた。
銀の髪と白い服、そして背に白い翼を揺らすシンシアは、少年には、まるで光の柱が現れたように見えたかもしれない。
「すみません、この辺りで皆さんのような人々を狙う人がいると聞いて来たのですが」
ぽかりと口を開けて、自分を見つめる少年に、シンシアは声をかけた。
出来るだけにこやかに、警戒心を解いてくれるようにと、願いを込めて。
「はっ、何言ってやがる。お前のことだろう」
少年の顔から、先ほどまでの年相応らしい表情は消え、鋭いまなざしでシンシアを見つめる。
それは当然のことだろうと、シンシアは穏やかさは崩さぬまま、そのまなざしを受け止めた。
「いえ、いいえ。わたしはあなたを助けに来たのです」
「は?」
少年が、訳が分からないとばかりに顔をしかめた。
喜ぶのではなく、怪しむ。
それは、今まで少年に助けが来たことがないのだと、シンシアに知らしめる。
「寄りかかれるもののない生活が如何なるものかは、わかるつもりでございます。私も天蓋孤独の身でございますから」
心を込めて伝える。もう大丈夫なのだと。
けれど。
「うるせえ! だまされるか!」
いつの間にか拾った小さな瓦礫を、少年がシンシアに投げつける。
狙いの甘いその瓦礫が、シンシアに当たることはない。だが一歩、シンシアが下がったのを隙とみなしたのか、脱兎のごとく少年は駆けだした。目的地などない。ただ、目の前の脅威から離れようと。
「舞い給え、裂空龍」
シンシアの華奢な体が、太古の神霊『裂空龍』を纏う。√能力【|裂空龍舞《レックウリュウブ》】を発動させたのだ。
上昇した身体能力を活かし、シンシアは逃げる少年を、低空の空中ダッシュで追いかける。
みるからにおっとりとしたシンシアの、急な動きに少年がぎょっとする。が、即座に気を取り直し、脇道に転がり込み、逃げていく。
さらに、少年は傍らの建物の壁に空いた穴に潜り込もうとする。
「そちらはいけません」
シンシアが穴にエネルギーバリアを張る。壁に穴が開いているぐらいだ。いつ崩れてもおかしくはない。優先すべきは少年の安全である。
「くそっ!」
通れないと悟ると、少年は即座に別の方角へと走っていく。
逃げ回る少年を、危険な場所を封じつつ、シンシアは後を追い。
そして。
そこは、違法な改築によって生み出された小さな空間でしかなかったはずだった。少年にとっては、行き止まりという最悪な場所であったはずだった。
だが、次の瞬間、感じたのは、安らぎであった。
先ほどまで泥まみれであった地面は、艶やかな草が生え、まるで緑の絨毯のようであった。その合間からは、柔らかな色合いの、小さな野花が咲く。
そして気づく。温かい陽の光が降り注いでいることに。
「暖かいな……」
緊張に冷え固まっていた体に、じわりと温もりが染み渡る。ふと痛みが消えていることに気づき、見れば体のあちこちにあった傷が消えていた。
力が抜けてしまった少年は、ぺたりと座りこんだ。青々とした緑が少年の体を優しく受け止める。
「少しは落ち着かれましたでしょうか」
√能力【|楽園顕現《セイクリッドウイング》】により生みだされた空間にいる少年を、驚かさないように、シンシアが離れたところから声をかける。
少年は反応して、顔をシンシアへと向けるが、逃げ出す様子はないようだ。そのまなざしからも、とげとげしさが少し消えていた。
「あんた、俺をどうしたいんだ」
「助けに参りました」
ぶれることなく、シンシアは告げる。
シンシアの銀の髪が、陽の光を受けキラキラと輝く。それは、少年の目には、ひどく温かく見えた。
「なんで、こんな弱っちい俺なんかを助けに来たんだ?」
「そうすべきだと、思ったからでございます」
「変わり者だなあ、あんた」
少年の言いように、シンシアが首を傾げる。シンシアからしてみれば、自分のやるべきことをやっているだけだ。
「良いぜ、俺のこと助けさせてやるよ。逃げられないってわかったしな」
そう言った少年は、初めて小さく笑みを浮かべる。
そんな少年に笑みを返しながら、シンシアは気づいていた。
この楽園に迫る影に。
(争いは好みませんが……)
たとえ逃げても、いつかまた少年が狙われるかもしれない。
(元を断たねば根本的な解決はありませんね)
少しでも少年が安らげるようにするためにも、シンシアは決意を固める。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功
敬語 アタシ です、ます
11歳
〉方針
●
放置したら自分にも火の粉が降りかかりまくるので戦う意志はあるっちゃある。
〉行動 pow
体力のかぎり追いかけっこ。
【地形の利用】で先回り。
子どもの前に回り込んだら
突然手拍子を初めて
「頑張れ頑張れ!」
「いけいけ!」
「ふぅぅぅぅ~~~~!!!」
手拍子だけでなくちょっとした足踏みをやり始める
怒られたらおちょくってませんよ〜と緊張を解す意図を伝える。これで情報を得られれば御の字の精神でゆるりと行う。
「あ、居ました」
囀・虎門(人間(√仙術サイバー)の仙術武侠・h12534)の目が、薄汚れた裏路地の片隅で、身を隠すようにうずくまっている少年を捉える。彼が、保護を依頼された子供の一人だろう。
足音はしない。
「そこのひと、大丈夫です?」
虎門が声をかけると、少年が慌てたように顔を上げた。
「なんだお前!」
全身から警戒の色をにじませながら、少年が虎門を睨みつける。
「アタシはあなたを助けに来たんですよ」
「嘘つけ! どうせ、あいつらの手下なんだろ。騙されるもんか!」
そういうと、少年は虎門から離れようと走り出す。
虎門はその態度に驚きはしない。虎門も√仙術サイバー出身だ。突然弱者を救いに来たと言われたら、感謝の前に警戒が先立つ事は理解できる。
とはいえ、このまま放置はできない。何しろ、マフィアはまだ子供たちを探しているのだから。
「しょうがないですね」
まだ11歳とはいえ、虎門は仙術武侠である。卓越した身体能力を使い、少年を無理やりとらえることはできる。だが、抵抗が激しければ、怪我をさせる可能性もある。
ならば疲れさせて捕まえるのがいいだろう。
「頑張れ頑張れ!」
虎門は突如手拍子を始めはやし立てる。それが聞こえたのか、少年の駆ける速度が速くなる。もちろん応援を受けて、ではない。怒りでであろう。
これは、出来れば早く疲れてもらおうという、虎門の策だ。
少年は走る。
だが、少年が懸命に走り、脇道に逃げ込み、崩れた建物の隙間を乗り越えても、虎門が先に回り込む。しかも、ただ前に出るのではない。いないと思えば突如上から降ってきたり、振り返った瞬間にその場にいたり。
さらに「いけいけ!」や、「ふぅぅぅぅ~~~~!!!」などと囃し立ててくる。
そして、手拍子もだが、何故か足踏みまでして、追い立ててくるのだ。
怒りのあまりがむしゃらに走っていた少年だが、それゆえに限界もすぐに来た。
「くそ……」
ぜえはあ、ぜえはあと荒い息を吐いて、少年が膝を落とす。もう一歩も動けないという様子の少年のもとに、音もたてず虎門が降り立った。
「くそ、俺を、おちょくって、楽しい、のかよ」
悔し気に、少年が切れ切れの声を上げる。
「いやいや、おちょくってたわけじゃないですよ。緊張が解けるかなと思って」
「なんだ、そりゃ……で、お前の目的はなんだよ」
息が整ったからか、少年にとっての一番の謎を問いかけてくる。
「だから、助けに来たんですよ」
「え、マジで言ってる?」
「もちろん。それを踏まえて、その誘拐犯の情報をもらえれば、助かります」
「あいつらの? そうだな、急に襲って来やがったから、知ってるってもんじゃないけど……」
そう言って話し出す少年の情報をふむふむと聞きながら、虎門は気づいていた。苛立ち交じりの、何者かの気配を。
自分なら少年を抱えて、逃げることも可能だが。
だが、その何者かを放置すれば自分にも火の粉が降りかかるだろう。
(ならば戦うしかないですね)
虎門は少年に見られぬように、拳を握り締める。
🔵🔵🔵 大成功
第2章 集団戦 『マフィア戦闘員』
POW
デンジャラス・カーチェイス
騎乗する【改造車】から跳躍し、着地点の敵1体に【青竜刀】による威力3倍攻撃を放つ。また、跳躍中に【挨拶】すると命中率半減/着地点から半径レベルm内の敵全員を威力3倍攻撃。
騎乗する【改造車】から跳躍し、着地点の敵1体に【青竜刀】による威力3倍攻撃を放つ。また、跳躍中に【挨拶】すると命中率半減/着地点から半径レベルm内の敵全員を威力3倍攻撃。
SPD
マフィアインパクト
60秒間【マフィアの意地】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【自爆じみた特攻】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
60秒間【マフィアの意地】をチャージした直後にのみ、近接範囲の敵に威力18倍の【自爆じみた特攻】を放つ。自身がチャージ中に受けたダメージは全てチャージ後に適用される。
WIZ
メンチ切り
「【俺達を誰だと思っていやがる】」と叫び、視界内の全対象を麻痺させ続ける。毎秒体力を消耗し、目を閉じると効果終了。再使用まで「前回の麻痺時間×2倍」の休息が必要。
「【俺達を誰だと思っていやがる】」と叫び、視界内の全対象を麻痺させ続ける。毎秒体力を消耗し、目を閉じると効果終了。再使用まで「前回の麻痺時間×2倍」の休息が必要。
「見つけたぞ、クソガキ!」
怒声が響いた途端、保護した子供の肩が跳ねた。
見れば、いかにもマフィアの下っ端という風体の男たちが、わらわらと現れる。
「あー、なんだ、てめえ」
標的の子供以外の存在に、男たちが眉をひそめる。だがすぐに、それは嫌らしい笑みへと変わる。
「ちょうどいい、こいつも連れていくぞ」
「そりゃいい。これで遅れたこともチャラにしてもらおうぜ」
「とりあえず、おとなしくさせるか」
男たちが、武器を構える。
増えた獲物を、今度こそ捕獲しようと。
敬語 アタシ です、ます
11歳
(子供に向けて)あなたに攻撃は行きませんけど、一応隠れといてください(さむずあっぷ)
●方針
<かばう>子どもを守る
●行動
集団戦は初めてですが、そちらよりも数だけは上回りますよ!
①マフィアたち目掛けて詠唱:『トォ〜リ!トリ!!トリ!!!』
【鳥の竜巻】
マフィア相手の目眩しに使用、√能力の特性【群れに囲まれた敵は、攻撃時に高確率で召喚者を狙うので、ターゲットを自分に向かせる。敵の攻撃に所有する武器で<先制攻撃>で対処する。
②近接的反撃は<受け流す>
③<怪力>で武器を振り回す
このあと、√能力者の仲間と合流できたらしたいです。
「っ!」
追手の姿に、少年が息を飲む。それでも、泣きだしたりしないのは、荒事に慣れた√仙術サイバーの住人なだけはあると言えるだろう。
そんな少年の盾になるように、囀・虎門(人間(√仙術サイバー)の仙術武侠・h12534)が一歩前に出る。
「あなたに攻撃は行きませんけど、一応隠れといてください」
気負うことなく、どこか気軽な様子で語り掛けてくる虎門の姿に、少年の表情が緩む。
「俺のことあれだけおちょくったんだ。あいつらもおちょくってやれよ」
不器用な応援を送る少年に、サムズアップを返し、虎門はマフィアたちの真正面に立ち塞がる。
「おいおい、一人でどうしようってんだ。おとなしく捕まりゃ、痛い目を見なくてすむんだぜ」
どこか親切そうに、だがそれ以上の嘲りを混ぜて、リーダー格と思われる男が声をかけた。相手である虎門が、まだ幼く、愛らしいと言ってもいい少女であるための慢心である。
「そうですね。集団戦は初めてですが」
虎門の言葉に男たちが笑いだす。数の優位に気が大きくなっているのだろう。
だが。
「そちらよりも数だけは上回りますよ!」
「は? 何を言って……」
「トォ〜リ! トリ!! トリ!!!」
虎門の呼び声に、どこからともなく大量の鳥が現れる。
「うわっ!」
「なんだこりゃ!」
「前が見えねえ!」
「馬鹿! 撃つんじゃねえよ!」
虎門の√能力【|鳥の竜巻《トリマキ》】により集められた鳥たちは、マフィアの男たちを取り巻き、その視界をふさいでいく。
「くそ! 召喚者を殺せ! こういうのはだいたいそういうもんだ!」
リーダー格の男が手下たちを怒鳴りつける。リーダーをやるだけあって、多少なりとも観察力があったようだ。それこそが、この√能力の効能であることに気づきもせず。
「どりゃああ!」
うまく見えないまま、青龍刀を構えた男が、虎門に切りかかる。
だが、虎門は冷静に刃の軌道を見極め、側面を叩くことで攻撃をいなす。
「なっ!」
「はい、ちょっと眠っててくださいね」
鍛えられた鉄拳が、深々と男の腹に突き刺さる。虎門の怪力の乗った拳は、まさしく岩をも砕く。喰らった男は、吹き飛びゴロゴロと地面に転がって、動かなくなった。
次々と押し寄せる男たちを、次々と沈めていく虎門。ほとんどの男たちが、地面と仲良くなったころ。
「マフィアの意地をなめるなよ!」
次々と倒される手下たちの様子を見て、怒りで顔を赤くしたリーダー格の男が、怒声をあげる。倒れた手下から奪い取った、チェーンソーが、男の怒りに応えるかのように、異常な速度で歯を回転させる。
60秒。
異常速度で回転させられたチェーンソーの動力部分がバチバチと音を立てる。
「くらいやがれ!」
死なば諸共とばかりに、虎門に突っ込んでいく男を出迎えたのは、重く美しい棍棒であった。
「へ?」
「危ないですよ」
見事なスイングで繰り出された棍棒が、いまにも爆発しかけたチェーンソーごと、男を上空へと打ち上げた。
――ドオオンッ!
小型のわりに、なかなかに派手な音を立て爆発が上空で起こった後、ぼとりと男がおちてくる。ぴくぴく動いているので、生きてはいるようだ。
「もう大丈夫ですよ」
虎門は背後の少年に声をかける。
「とはいえ、まだまだ危険ですから。ここを離れましょう」
「お、おう」
虎門の言葉に神妙に少年は頷き、移動を始めた虎門の後をついて行く。
そう、虎門は知っている。ここで終わらないことを。
(出来れば、ほかの√能力者と合流したいですね)
周囲を探りながら移動する虎門。
ふと気になる気配に気づき、そこへ向け移動すれば、そこには同じように子供を保護している、√能力者の姿があった。
🔵🔵🔵 大成功
シンシア・ファルクラム★心情
……そうですか、あなた方が。
致し方ありません……年少者は護られるべきもの。子供達にも、あなた方にも。思い知っていただかなくては。
★行動
【エネルギーバリア】を展開しながら【祈り】ます。
あの方々の√能力でわたしの自由は制限されますが、【リラ】から元に戻したディヴァインブレイドに、更に【塔守の竜】にて祈りの魔力を集中させドラゴンの力を付与します。
わたしは祈りを捧げるまま、己と子供達をバリアで護るのみ。あの方々の撃退は、竜がその身体を使った攻撃か、その場に合った種類の魔法を解き放つことで実現いたします。
「っ!」
シンシア・ファルクラム(歌い、奏でる空の柱・h08344)の生み出した楽園で、微笑んでいた少年が息を飲む。一瞬浮かんだ怯えを無理やり押し込め、追手を睨みつけるのは、さすがこの世界で生きてきただけのことはある。
シンシアが悪意から少年を守ろうと、前に出る。
「大丈夫、私が守ります」
優しく、けれど凛としたシンシアの声に、少年が小さく笑みを浮かべる。
「おう、俺のこと助けさせてやるって言ったからな。あんたに任せるぜ」
少しだけ声を震わせて、それでも気丈に、生意気なことをいう少年を、内心微笑ましく思いながら、シンシアは男たちを見据える。
「……そうですか、あなた方が」
少年にかけたものとは違う、厳しい声が男たちに向けられる。
「この子に謝罪し、おとなしく引く気はありませんか」
罪を犯した者でも、悔い改める機会は与えられるべきだ。だからこその問いかけであった。
「謝罪? おいおい、イカレてんのか、女。ここじゃ弱い奴が悪いんだよ」
サングラスをかけたリーダー格の男が、嘲りを含んだ返事を返せば、周囲の男たちが嗤い、囃し立てる。
「致し方ありません……」
男たちのその様子に、シンシアは一つ溜息を吐く。
「年少者は護られるべきもの。子供達にも、あなた方にも。思い知っていただかなくては」
シンシアの藍色の瞳が、決意を込めて煌めいた。
「思い知る? 俺達を誰だと思っていやがる!」
リーダー格の男がサングラスを外し、その目を露わにする。男の視線は周囲に麻痺という状態異常を齎すものであった。力こそがすべてのここで、下っ端とはいえ侮れない。
少年をかばう形で身をさらしていたシンシアもまた、身体が麻痺し、動けなくなっていた。
「いまだ! あの生意気な女とガキを捕まえろ!」
「おうよ!」
男たちが迫る中、シンシアの体は動かない。
けれど、彼女は焦ることもなく、祈る。その祈りに応えるかのように、彼女の|楽器《リラ》が、本来の姿、ディヴァインブレイドの形をとった。
「はっ! 自走型の武器ってか? この俺の能力の前じゃ、ただの役立たずだぜ!」
何が楽しいのか、ゲラゲラとリーダー格の男が嗤えば、周囲の男たちも嗤いだす。
同じように麻痺を食らったまま、少年が心配気な視線を、シンシアに向けていた。だが、シンシアは揺らがない。
「竜よ、依代はここに」
麻痺を食らってなお、唱えられる祈りはまるで歌のよう。
神聖な祈りは、 ディヴァインブレイドに集まり、その姿を竜へと変える。それは、彼女の√能力【塔守の竜】によるものだった。
それでも男たちは嗤っていた。どうせ動けまいと。
――ブウンッ!
風切り音を立て、竜の尾が振るわれれば、今にもシンシアを殴ろうとしていた男たちが吹き飛ばされていく。
「は?」
リーダー格の男が間の抜けた声を上げた。何が起こったか理解できず、吹き飛ばされていく手下たちを呆然と見ていた。
その理由は、シンシアの神聖なる祈り。すべてを浄化する祈りが、ドラゴンにかかるはずの麻痺を消し去っているのだ。
――ゴオウッ!
同じように呆然としている男たちに向け、竜が凄まじい風を吹き付ける。それは刃と化し、男たちを切りつけ、吹き飛ばし、次々とその意識を刈っていく。
「すげ……」
少年がどこか楽し気に呟いた。
荒れ狂う周囲とは別に、シンシアと少年の周囲は、未だ凪いだまま。シンシアの張るエネルギーバリアが、周囲の脅威から二人を守っているのだ。
ドラゴンにより、あれほどいた男たちはほとんどが、倒れ伏していた。
「馬鹿な、馬鹿な俺の能力が、なんで……」
よほど自信があった能力なのだろう。それが破られたことが信じられないと、呆然としたままであったリーダー格の男を、竜の尾が襲う。吹き飛ばされ、周囲の建物の壁にめり込み動かなくなると、その場に静寂が訪れた。
シンシアはドラゴンに感謝を告げる。それを受け取ってか、ドラゴンの姿は見る間にディヴァインブレイドへと変わっていった。シンシアは、ディヴァインブレイドをリラに戻し、少年へと向き直る。
「もう大丈夫ですよ」
穏やかなシンシアの声に、少年がほっと息をつく。
「とはいえ、ここにこのままいるのも危険です。安全なところに移動しましょう」
シンシアの言葉に、少年も頷く。
そう。
脅威はまだ過ぎ去っていないのだ。
シンシアは少しでも安全なところを目指し、少年と共に進むのであった。
🔵🔵🔵 大成功
保護した子供を背へ庇うように立ち、まずは飛燕剣を左右へ奔らせて敵の足並みを乱し、錬成剣と合わせた範囲攻撃で前へ出る者から薙ぎ払います。
数で囲ませず、子供へ通じる進路だけは決して開けません。
子供には、触れさせません。下がっていてください。
相手が捨て身の大技に移る気配を察知したら、錬成剣を戦闘錬金術で対衝撃・対突撃用の大盾へと錬成変形、真正面へ設置し特攻は盾へ受けさせて自身は素早く後退。
受け止め切った直後、体勢の崩れた敵へ飛燕剣を返して追撃、なお動くなら間合いを詰めて断ちます。
無茶な力任せで、押し通れると思わないでください。
「っ!」
追手の登場に、少年の肩が跳ねる。思わず滲んだ涙を乱暴に拭い、男たちを睨みつけるのは、さすがに√仙術サイバー育ち、というところだろう。
クラーラ・ミュスティアウゲン(閉ざした瞳の武侠剣士・h12663)が、一歩前に出て、少年を背にかばう。
「大丈夫。触れさせません。下がっていてください」
「わ、わかった」
こくこくと頷き、少年が下がる。
「ほう。俺たちを前に、威勢のいいこと言いやがるじゃないか」
リーダー格の男が、にやにやと嗤いながらクラーラへ目を向ける。
「ガキを渡してくれるなら、見逃すことも考えてやるぜ?」
「お断りします」
「ならしょうがねえ。お前さんごと捕まえさせてもらうぜ。少々乱暴になるかもしれんが、勘弁してくれよ」
その言葉と共に、騒がしく攻撃的な気配が集い、壁を作ろうとしているのが、クラーラには感じ取れた。
子供への進路は開かないとばかりに、クラーラが剣を構える。
「早めに降参してくれよ。商品は傷がないほうがいいからな」
げらげらと嗤うリーダー格の男の声に、合わせるように周囲の男たちも嗤う。
だが、そんな男たちに、二振りの細身の剣が襲い掛かる。
「なっ!」
「わっ!」
クラーラの仙力により操作された、飛燕剣「宵燕」、そして「影燕」は、その名にふさわしい素早さで、男たちの群れを、右に左に追い立てる。
「あの女を殺せ!」
リーダー格の男が怒鳴る。
「え、ですが、あの女も捕らえるんじゃ」
「馬鹿野郎! そんなこと言ってる場合か!」
クラーラを捕らえれば、自分たちの懐が温まるかもしれないが、まずは子供を捕らえねば温まった懐を感じる頭がなくなってしまう。
苛立ち混じりの男の言葉に、手下たちは顔を青くする。
「ガキをよこしやがれ!」
必死に二振りの剣の襲撃を何とか回避し、クラーラに切りかかる男。
けれど。
「ここは通しません」
少年を背にかばい、クラーラは錬成剣「藍月」を振るう。
追い立てられ、切り捨てられ、男たちの数が見る間に減っていく。
「くそくそくそっ!」
リーダー格の男の手が、足元に転がったチェーンソーを掴む。
「俺をなめるんじゃねえぞ!」
チェーンソーのセーフティーを解除し、異常な速度で刃を回転させる。
次々と仲間が倒される中、60秒、異常な高速回転をさせられた動力部が、バチバチと火花を散らす。
「くらいやがれ!」
死なば諸共とばかりに、突撃するリーダー格の男。だが、その男の体を受け止めたのは、クラーラではなく、大盾だ。
√能力【|戦闘錬金術《プロエリウム・アルケミア》】により、藍月を変化させ、作り出した対衝撃・対突撃用の大盾である。すでにクラーラは子供を連れ、後退していた。
――ドオオンッ!
なかなかに派手な音を立て、チェーンソーが爆発する。
爆発は盾に防がれ、クラーラたちにはそよ風がふわりと届くだけであった。
「がああああっ!」
だが、盾に攻撃を跳ね返された男はただでは済まない。ましてや、その大盾は防御のためだけのものではない。
男の体には、凄まじいダメージと、身体を蝕む毒が付与された。
「き、きさ……ぎゃあっ!」
そこに、宵燕と影燕が襲い掛かる。
「無茶な力任せで、押し通れると思わないでください」
「ぐぞお……おれば……」
男の声が消える。
そして、クラーラの世界から、とげとげしい気配が消え、残るのは背後の小さな気配だけ。
「もう大丈夫です」
その気配――少年に声をかければ、小さな安堵のため息が聞こえる。
「とはいえ、また敵が来るかもしれません。速やかに移動しましょう」
「うん」
クラーラが先導し、二人は移動を始める。
そう、まだ終わったわけではないのだから。
🔵🔵🔵 大成功
立花・翼(サポート)人間災厄「小夜啼鳥」のレゾナンスディーヴァ×護霊「雪白のナハティガル」14歳の女の子です。
普段の口調はステシを参照して頂けると幸いです
基本的にはよほど年上・機関の人と確定してなければ通常口調です
護霊「雪白のナハティガル」のことは『夜ちゃん(小夜啼鳥仲間だから)』と呼び、使役したりじゃれたりしています
赤いバラを胸に飾った、白い光の小鳥の姿をしています
√能力は指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の√能力者に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。ギャグでもシリアスでも!
よろしくおねがいします!
「っ!」
誘拐未遂犯の登場に、保護していた少年が息をのむ。それでも悲鳴を上げないのは、さすがに√仙術サイバー育ち、というところだろう。
「大丈夫。わたしがいるからね」
立花・翼(希望唄うルスキニア・h06488)は怯える子供に優しく声をかける。翼とて、まだまだ子供と言っていい年齢だが、自分より小さな子が怖がっているのを見過ごせない。
「やめてよね! この子、怖がってるんだよ!」
怒ってるんだよ、と翼本人としては真剣に訴えている。だが、いかんせん白い髪、白い肌という、儚く見える少女の怒りは、男たちに嗤いをもたらすだけであった。
「くっくっく、なら嬢ちゃんも一緒にきたらどうだ。きっと楽しいことがあるぞ」
にやにやにやにや。
いかにも馬鹿にしてますという男の様子に、誘拐されかけたことを思い出したのか、少年が顔を青くしていく。
「ね、ねえちゃん」
少年が、不安げな声で、翼に呼び掛ける。
「もう許さないからね」
ますます怒り出した翼に、けれど男たちは嗤っていたのだが。
「|希《こいねが》うなら、もしもの印」
歌うように紡がれる言葉をキーにして、翼の√能力【|小夜啼鳥の紊乱《サヨナキ・サイシュウヘイキ》】が発動する。
途端、彼女の姿が変わる。白レースを何重にも重ね、優美で繊細な華のようなドレスを纏った姿、Vsinger「Ala」のアバターへと。
これまた繊細な刺繍が施された手袋をつけた手には、毒宿す紅薔薇の鞭が握られていた。そしてその肩には、胸元を赤薔薇で彩る、 白い光の小鳥型の護霊『雪白のナハティガル』がとまっていた。
「希望は美しいものなんだよ。子供の希望を台無しにする人は許さないんだから」
怒りを込めた声と共に、翼の美しい手が翻り、艶やかに残酷な鞭が、男たちを打ち据え、赤い花を咲かせていく。
「てめえっ! よくも……いてええっ!」
翼の背後から、剣を振り下ろそうとしていた男に、ナハティガルが襲い掛かる。
「わ、この! ぎゃああっ!」
ナハティガルを払おうとした男を、薔薇鞭が切り裂く。
紅薔薇の鞭が踊る中を、白い鳥が舞飛ぶ。
瞬く間に白と赤の競演の場と化していく。
高みの見物とばかりに後方に控えていたリーダー格の男が、手下の醜態に慌てたように銃を構え、翼を狙う。
「何やって……うおっ!」
男の目を目掛け、ナハティガルが襲い掛かる。慌てて目をかばい、攻撃をかわした男は、変わらず佇む翼を憎々し気に睨みつける。
「俺達を誰だと思っていやがる!」
怒声を合図に、リーダー格の男の能力が発動する。視線の届く範囲のものを痺れさせるそれは、翼を麻痺させるはずであった。
だが、麻痺させたはずの翼の姿がぶれるように消えた。
「なっ!」
驚きに目を瞬いた男の背を、翼の薔薇鞭がしたたかに打ち据えた。
先ほどのナハティガルの攻撃により、リーダー格の男の視界が塞がった瞬間、翼は幻影を生み出し背後に回っていたのだ。
リーダー格の男は、背を真っ赤に染め地面に倒れ伏している。けれど、油断は禁物と、翼は周囲を見渡したが、男たちは全員動かなくなっていた。
「よっし、もう大丈夫だよ」
少年に呼びかければほっとした顔で、翼のもとへと歩み寄ってくる。
「けど、このままだと危ないから、一緒にもっと安全なところに行こう」
「う、うん」
頷いた少年の手を取って、翼は歩き出す。
小さな希望を守るために。
🔵🔵🔴 成功
第3章 ボス戦 『妖魔公女『冥鈴・ガルガンチュア』』
POW
指極七星斬
命中する限り「【七星剣】による攻撃→技能攻撃→[七星剣]攻撃→技能攻撃」を何度でも繰り返せる。技能攻撃の成功率は技能レベルに依存し、同じ技能は一度しか使えない。
命中する限り「【七星剣】による攻撃→技能攻撃→[七星剣]攻撃→技能攻撃」を何度でも繰り返せる。技能攻撃の成功率は技能レベルに依存し、同じ技能は一度しか使えない。
SPD
崩霊公主陣
【羅盤と尻尾】による近接攻撃で1.5倍のダメージを与える。この攻撃が外れた場合、外れた地点から半径レベルm内は【運気崩壊領域】となり、自身以外の全員の行動成功率が半減する(これは累積しない)。
【羅盤と尻尾】による近接攻撃で1.5倍のダメージを与える。この攻撃が外れた場合、外れた地点から半径レベルm内は【運気崩壊領域】となり、自身以外の全員の行動成功率が半減する(これは累積しない)。
WIZ
|妖震《ゴーストクエイク》
【仙術衝撃波】を放ち、半径レベルm内の指定した全対象にのみ、最大で震度7相当の震動を与え続ける(生物、非生物問わず/震度は対象ごとに変更可能)。
【仙術衝撃波】を放ち、半径レベルm内の指定した全対象にのみ、最大で震度7相当の震動を与え続ける(生物、非生物問わず/震度は対象ごとに変更可能)。
「うむ、よく来たな」
まるでホールのように開けた場所。その中央に一人の女がいた。優美、というには残忍さがにじみ出た女であった。
機嫌が良いのか、背後では尾がゆうらりと揺れる。
「てめえら、待ちやがれ!」
女が口を開こうとしたとき、マフィアの生き残りだろう男が一人、その場所に飛び込んできた。
途端、女が苛立ち気に眉をひそめる。
「邪魔だ」
男が状況を理解するより早く、女の冷たい声が告げた。
「へ、あ……」
途端、男の体が真っ二つになり、そのままべしゃりと地面に倒れ、動かなくなる。
その間も、女性の視線は√能力者たちだけを見つめている。
「一応、自己紹介はしておくべきか。妾は、冥鈴・ガルガンチュア。主らに会いたくてのう」
ふと、冥鈴の視線が、√能力者の後ろで、震える子供達へと向かう。
「ああ、心配せずとも、それらには手を出さん。ま、邪魔になれば取り除くがのう」
子供たちを見る視線は、冷え切ったものであった。彼女にとって子供たちは、あらかじめ排除する必要がないものだから、放置する。それだけなのだろう。
「さあ、お前たちの力を妾に見せてみよ」
にいっと、冥鈴は好戦的な笑みを浮かべた。
アタシはアタシの出来ることをやりましょう。
一人称 アタシ
です、ます口調
・行動
【鳥の竜巻】
回避は<見切り><受け流し>
[動力偃月刀]
〈怪力〉〈念動力〉<先制攻撃><地形の利用>
敵が高所にいる時
[動力偃月刀]<念動力>で操って<先制攻撃>を試みる
〉虎門による他の√能力者仲間への評価
確実にアタシよりも強い!掃溜めに鶴!垂涎の的!保護された子どもたちが向ける眼差しは母鳥を見定めたヒヨコの如し!
(アタシはアタシの出来ることをやりましょう)
囀・虎門(人間(√仙術サイバー)の仙術武侠・h12534)は、子供達を下がらせ、一歩前に出る。その目は油断なく、冥鈴を捉えていた。
「ほうほう。まずはお主か。ふむ、この√の者かのう」
冥鈴は強者の余裕とばかりに悠然と佇むが、その瞳にギラギラとした残酷な好奇心を宿して、虎門を見る。
「さあ、妾に力を見せてみよ」
冥鈴が動こうとした瞬間。
「トォ〜リ! トリ!! トリ!!!」
虎門の√能力【|鳥の竜巻《トリマキ》】により召喚された無数の鳥が、冥鈴の周囲を取り囲む。視界を遮られ、しかし冥鈴は怪訝そうにするだけだ。
「これで、妾の動きが止められると?」
纏いつく鳥を気にも留めず、冥鈴が虎門へと肉薄する。
――ビュウッ!
凄まじい風切り音と共に、冥鈴の背で揺れる尾が左側から、そして、右側から羅盤が襲い掛かる。だが。
――ザンッ!
上空からの鋭い一撃により、冥鈴の角の一本が、綺麗に切り落とされ、地に落ちる。
角の落ちた先を見れば、虎門の動力偃月刀が地面に深々と突き立っていた。
召喚した鳥により、冥鈴の視界が遮られた瞬間、虎門は動力偃月刀を投げ上げていた。そのまま、念動力で空中固定し、機会をうかがっていたのだ。
「なかなか見事。だが、これで終わりではないぞ」
冥鈴の言葉と共に、彼女の手の中の羅盤が光りだす。
彼女の√能力【崩霊公主陣】は、たとえその攻撃を回避しても、一帯に運気崩壊領域を形成する。その領域内にいる者は、行動制限がかかり、能力が半減する。
光は周囲に広がり、虎門を取り込む、はずであった。
だが。
「む?」
光は広がることなく、輝いていた羅盤はその光を失った。虎門の√能力により、冥鈴の技が無効化されたのだ。
予想外の状況に、冥鈴の動きが止まる。
その隙を逃すまいと、虎門は地面に突き立つ動力偃月刀の柄を掴む。虎門の細い腕からは予想もつかない怪力により、地面より引き抜かれた刃が冥鈴を襲う。
はっとした冥鈴が後方に跳ぶ。
「……うむ。なかなかの腕だ」
頬に赤い線を増やした冥鈴は、だが気にも留めず虎門への評価を口にする。
だが、冥鈴の誉め言葉を、虎門は鼻で笑う。
「あいにく、アタシはまだまだ弱いですよ。ですが、彼女たちは確実にアタシよりも強い!」
「ほほう?」
彼女たち、それが子供たちを助けるために集った√能力者たち。
この薄汚れた街に、凛とたつ彼女たちのなんと美しい事か。掃き溜めに鶴とは、まさにこのこと。そして、今言ったように彼女たちは強い。弱肉強食のこの√では、垂涎の的だろう。
保護された子供たちは、あまりに弱く、まるで羽も生えそろわないヒヨコだ。ヒヨコたちは√能力者を母鳥のように、自分たちを守ってくれるだろうかと見つめていた。
未熟な自分は、母鳥にはなれない。
けれど、だからこそ今の自分にできる最大限を。
虎門は油断なく、偃月刀を構えるのであった。
🔵🔵🔵 大成功
守るべきものを脅かしておいて……力を見せよ、ですか。
全く、これだから武強主義と言うのは……。
この土地での修行の経験から、分かってはいるが心情的に相容れない
ただ、武人としての感情だけは理解できないでもない
力が見たいのであれば、私と武を競いましょう。
七星剣の連撃には、飛燕剣と錬成剣を巡らせて捌いて凌ぐ
攻めの切れ目を待って間合いを測り、飛燕剣を足場に一気に踏み込み
錬成剣を解除し、仙術武侠剣へ切り替え、絶え間ない攻撃を叩き込みます。
鋭さと手数で押す相手なら、こちらは受け流して呼吸を奪い、隙に畳みかけるのみ
強さがお好きなら、強さに屈して頂きますよ……!
「守るべきものを脅かしておいて……力を見せよ、ですか」
子供たちを後方に下げた、クラーラ・ミュスティアウゲン(閉ざした瞳の武侠剣士・h12663)は厳しい声を冥鈴に向ける。
「うん? 脅かしてなどおらぬぞ? ただ、邪魔なものは排除する、そういっておるだけじゃ」
心底不思議と言いたげな声に、冥鈴が本当に脅かしたつもりがない事を知り、クラーラは眉をひそめる。
「全く、これだから武強主義と言うのは……」
クラーラはこの√で修行をした経験があった。それゆえに、この√のルールである『武強主義』のことはわかっている。心情的に、クラーラには相容れないものであった。
ただ、武人としての感情だけは、理解できないでもない。
クラーラは幼い頃から冒険者として旅を続け、戦う術を身につけてきたのだから。
「力が見たいのであれば、私と武を競いましょう」
クラーラが錬成剣「藍月」を構える。さらに左右に、仙力で操作した飛燕剣「宵燕」と「影燕」を浮かばせる。
それを見た冥鈴がにやりと笑う。
「威勢がいいのう。だがよし。さあお主の力を見せてみよ」
言うが早いか、目にも止まらぬ速度で抜かれた七星剣が、クラーラに襲い掛かる。
迫りくる刃の軌道を、音で割り出し、藍月で受けるクラーラ。
うち合わさったと思った瞬間、七星剣が引かれる。僅かに前方へと体勢を崩したクラーラに目掛け、七星剣が振り降ろされる。
だが、クラーラが操作した宵燕が剣を受け、影燕が冥鈴の背後から切りかかる。
「ふ、ふふふふふふ! なるほどなるほど、大した腕だ!」
冥鈴は、面白げな笑みを浮かべたまま、その場でくるりと回転し、影燕を弾き飛ばす。止まることなく回転し、再びクラーラへと刃を打ち込む。
こちらを切り裂かんと、襲い来る無数の刃を受け流しながら、クラーラは待っていた。冥鈴の隙を。
打ち込んでも打ち込んでも、凌がれた冥鈴の呼吸が、僅かに乱れた。同時に、仕切り直しでもしようというのか、冥鈴の体が後方へと跳ぶ。
いまこそ、それこそクラーラの待っていた好機。
「逃がしません」
クラーラは宵燕を足場とし、追いすがる。
一瞬驚いた顔をした冥鈴は、だがすぐに楽し気な笑みを浮かべた。
「ほう、どうくる?」
「こうきます」
クラーラの√能力【|仙術武侠剣《インフィニット・ブレイブソード》】により、錬成剣が姿を変える。白い炎を纏った白炎剣へと。
白炎剣が、冥鈴の髪をかすめ、焼き切る。
「ほう、面白い技を使うのう」
身に届こうとした炎の刃を、七星剣で受ける冥鈴は楽し気だ。
「まだまだいきますよ」
クラーラの剣から炎が消え、変わりとばかりに刃が鋭い光を放つ。それは岩をも切り裂く斬岩剣。
怜悧な光を宿した剣が、冥鈴の胴に、細く赤い線を作り出す。
「むっ、よけそこなったのう」
「余裕を見せている場合ではないのでは」
白炎剣と斬岩剣を切り替えながら、クラーラは畳みかけるように攻撃を仕掛ける。
そして。
――ザンッ
気合を込めたクラーラの一撃が、七星剣を真ん中から切り落とした。
「いいな。強いのは良い」
炎を纏った剣を避け、後方へ跳んだ冥鈴は相変わらず楽し気だ。
「強さがお好きなら、強さに屈して頂きますよ……!」
楽し気な冥鈴に、呆れと共感をいだきながら、クラーラは油断なく剣を構えるのであった。
🔵🔵🔵 大成功
シンシア・ファルクラム★心情
竜……!?
いえ。今の一太刀を見れば、戦うべき相手であることは明白。
子供達に興味がないならば好都合でございます。……お覚悟を。
★行動
あの方の放つ衝撃波を受ければ、震動に晒されます。
そうなれば何をするにもままならなくなるため、それは避けねばなりません。
【エネルギーバリア】にて攻撃を受けて時間を稼ぎ、【ウィザードフレイム】を展開。反射の力にて不意を突き、逆に震動の裡に……というのが最善の結果。
そうならなくとも、別の炎を向かわせ、顔を狙い目眩まし。……あまり顔を狙うのは気が引けますが、致し方ありません。
そうして作った隙に、降り注ぐは竜の力。
【伝承・裂空閃】にて、雷の乱打を浴びせます。
剣を持つ手は仙術機械でございましょう。しかし、そうだとしても。通電する金属を握っていようとはそう思えないはず。握れても、通電した身体で振るえるかは話が別でございます。
そうして、空いた身体に。【リラ】を元のディヴァインブレイドの姿に戻し、【祈り】を捧げることで飛行させ。袈裟斬りにして引導を渡すのでございます。
「竜……!?」
冥鈴の姿を見たシンシア・ファルクラム(歌い、奏でる空の柱・h08344)は一瞬、動揺の声を上げた。シンシアは、竜を崇め奉った一族の生き残りだ。
「ふむ、竜にかかわりがある、と。だが、妾は手加減せぬぞ」
急接近した冥鈴が、シンシアに向け七星剣を振るう。慌てて後方に下がるシンシアのすぐ傍を、刃が通過する。
七星剣が切り折れていなければ、シンシアの白い服に、大輪の赤花が咲いたことだろう。
「このまま抵抗せずおるのかのう?」
ひどく冷たい冥鈴の声。
「いえ。今の一太刀を見れば、戦うべき相手であることは明白」
シンシアの言葉に、冥鈴が楽し気に笑う。
「うむうむ、それでよいのじゃ」
ぎらぎらとした冥鈴の目が、ただ自分だけを見つめていることに、シンシアは内心ほっとする。自分の後ろには子供たちがいるのだ。
(子供達に興味がないならば好都合でございます)
目の前の敵に、全力を尽くせる。そんな、シンシアの思いに気づいたのか、ますます楽し気に笑う冥鈴。
「さあ、妾を楽しませよ!」
――ドンッ!
冥鈴の言葉と共に、周囲に仙術衝撃波が放たれる。彼女の√能力【|妖震《ゴーストクエイク》】だ。
くらえば、最大で震度7クラスの震動に晒され、何をするにもままならなくなるだろう。
シンシアはそれを避けるため、即座にエネルギーバリアを張る。
「ほほう。見事見事。じゃが、守ってばかりでは、どうにもならぬぞ」
冥鈴の言葉に応えることなく、シンシアは√能力【ウィザード・フレイム】を発動させる。
シンシアの詠唱を続ける口元に、炎が生み出される。
「ますます防御を固めたか?」
「いいえ」
口元に生み出された炎は、まるで竜が吐き出すかのようにバリアの外へ広がっていった。途端、音ともいえぬ音が生み出される。
「これは!」
シンシアの炎が仙術衝撃波を跳ね返し、冥鈴へと襲い掛かったのだ。喰らえば冥鈴とて、震動の中に囚われるだろう。
「ならば!」
冥鈴は、もう一度√能力を発動し、自分を襲ってきた衝撃波を相殺する。
「ふむ、うまくいきませんでしたか」
言葉ほどがっかりしていないシンシア。
「いやいや、なかなかひやりとさせてくれたものだ」
シンシアが次どう動くか、それに注視していた冥鈴は気づくのが遅れた。自分の真上から、小さな炎が近寄ってきていることに。
「むっ」
気づいた冥鈴が、剣で切り裂こうとした瞬間。
――ボンッ!
炎は強力な光を放ちながら爆ぜた。
攻撃力はない。だが、その一瞬、思わずとばかりに冥鈴が目をつぶった。
それこそ、シンシアの狙っていた瞬間であった。
「憐れみ給え、裂空龍……!」
彼女の声に応え、降り注ぐのは竜の力、すなわち|雷《いかずち》である。シンシアの√能力である【|伝承・裂空閃《リュウノイカリ》】だ。
咄嗟に、冥鈴が剣を大地に突き立て、距離を取る。雷は金属に落ちやすいという性質を利用し、避雷針にしたのだ。思惑通り剣に吸い寄せられた雷は、次々と雷素崩壊を起こし爆発する。
だが、降り注ぐ雷は一つ二つではない。
まるで雨かというほどの雷を、冥鈴が必死に回避するが。
――ドンッ!
冥鈴の右腕は、|仙術義体《サイバーパーツ》である。つまりは金属だ。ぎりぎり避けたはずの雷が、金属に誘われ、腕を這う。それは瞬く間に冥鈴の体を痺れさせ、同時に爆発を起こす。
「ぐうっ!」
痺れと爆風に、さしもの冥鈴もうめき声をあげ、動きが止まる。
「……お覚悟を」
|楽器《リラ》が、本来の姿、ディヴァインブレイドへと戻ると、冥鈴へ向け飛翔する。
痺れる体を叱咤し、回避しようとした冥鈴を、シンシアの祈りを纏った刃は袈裟切りにした。
「く、くっくっく……」
ぼたぼたと血を流しながら、冥鈴が笑う。
「なかなか、面白い、ほう、ほうをつかってくるな」
息が続かず、切れ切れの言葉を紡ぐ冥鈴は、この状態でも楽しそうだ。
「う、む、まあ、こんかい、は、よかろう。では、またあおう」
その言葉を最後に、力を失った冥鈴の体は倒れ、そのまま動かなくなった。
ふうっと息を一つ吐くと、シンシアはディヴァインブレイドをリラへと変えた。そして、背後で息をのんでいた子供たちへと笑顔を向ける。
「もう大丈夫ですよ」
シンシアの言葉に、子供たちが安堵の表情を浮かべる。周囲は戦いの痕跡で荒れ放題なのだが、そんなものは子供たちにとっては見慣れたものだ。
「さあ、今度こそ、安全な場所に移動しますよ。ついてきてくださいね」
ふんわりと微笑んだままシンシアが告げれば、子供たちも笑顔で頷く。
子供たちの笑顔を見て、シンシアは心の中で祈る。彼らの進む道に幸あれと。
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 大成功