ぐうたらチョコレートフェスティバル!
「チョコだー! お祭りだー! チョコレートフェアだー!!」
目の前に広がる光景を見て、透羽・花羅(天翔ける唐紅・h00280)は両手を広げながら一直線に走り出す。
沢山のお菓子にフルーツ、他にも少し変わった品の数々、それらに囲まれ中央にそびえ立つのは噴水のようなチョコレートファウンデン。
甘いもの好きであればまさに夢のような状況。それを叶えているのがここ、遊園地ぐうたらんどである。
「はーい、今日はえんちょのおごりだからねー。好きに食べていいよー」
そう言って園長である灰羽・江良(|えらかわ《🩵🤍🩵🤍》🎀|えらえんちょ《🩵🤍🩵🤍🩵🤍》・h00029)は串にマシュマロを数個突き刺すと、慣れた手つきで流れ落ちるチョコの滝に入れる。甘く塗り上げられるその表面には殆どムラがなく、鮮やかな出来栄えにやってきた人々から感嘆の声が上がった。
「素晴らしいネえんちょ、早速僕にくれないかな?」
「いやいやアヤネちゃん、こういうのは自分でやるから楽しいんじゃなーい?」
「生憎、家事と名のつくものは苦手でネ」
「んーなら仕方ないか、それじゃあ僕が作るよ!」
催促するように手を伸ばすアヤネ・ラグランジェ・オルタナティブ(災霊を使役する者・h06900)に、彩音・レント(響奏絢爛・h00166)は屈託のない笑顔を浮かべながらいくつかのフルーツをチョコに潜らせると、紙皿に乗せてアヤネへと渡す。江良の作ったチョコレートマジュマロは一番目を輝かせていた花羅の手に渡された。
「ルーシー、むこうに簡易喫煙所があるから煙草はそっちでお願いねぇ?」
「へい承知、ただ今日はちっこい子も多いしヤニふかすような事は──」
話ながらも懐へ伸びた手を、もう片方の手がガッと掴んで止める。そんな一人芝居を始めたルーシー・チルタイムダブルエクスクラメーションルーシー・チルタイムダブルエクスクラメーション(チルタイム!!ショータイム!!・h01895)は硬直した笑顔で自分の腕を見つめる、完全に無意識に煙草へと手が伸びていた。
そんな彼女を微笑ましいような、嘲笑うような目で見つめる八海・雨月(とこしえは・h00257)が無言で喫煙所への道を指し示すと、ルーシーは葛藤と自責が複雑に入り混じった表情を浮かばせながら懐の煙草を握る。
「メェー」
「きっと大人の会話をしているのです、邪魔をしてはいけないのです」
そんなルーシーを見て心配そうな声を上げるふわ・もこ(|迷える《ここはど》|子《こ》ひつじ・h00231)を抱きかかえ、不破・ふわり(ふわふわり・h00647)は共にチョコレートフォンデュの前に向かう。パンに果物、野菜と次々に視線を移していくふわりだったが、一通り会場に用意されたものを見ると申し訳なさそうにもこの身体を撫でた。
「もこ様のお口に合うものは少なそうなのです……まずはいちごで良いですか?」
「メェー」
気にしてないよと言う様にもこは鳴き声を上げると、ふわりから差し出された苺をモグモグと食べる。好みの味だったのだろう、嬉しそうに耳がパタパタと揺れるのを見てふわりはほっと胸を撫で下ろすと、自分も苺を串に刺してチョコレートに潜らせた。
「メェー」
「もこさま?」
ただでさえ甘酸っぱくて美味しい苺にさらに甘いコーティングのされた魅惑の果実。それを前にしてもこは甘えるような鳴き声を上げて林檎に顔を近づけるが、舌を伸ばせば届きそうな距離になった瞬間ふわりが串を持つ手を上げてもこからチョコレートを遠ざける。
「チョコレートに含まれるテオブロミンはもこさまには有毒、我慢してもらうしかないのです」
「ピャー!!?」
絶望の声を上げるもこだが、これは意地悪ではなく純然たる事実である。
犬にチョコレートを食べさせてはいけないという話は有名だが、これは羊にも当てはまり、摂取すれば神経系に異常が起こり痙攣や心臓発作を起こす危険がある。ふわりは大切な仲間であるもこの身を案じているに過ぎない。
しかし、それは普通の羊であればの話である。絶食宣告を受けたもこは思い切り身体を揺すると、飛び出すようにふわりの腕から逃げ出した
「あ、もこさま……!」
ふわりの静止も聞かず、もこはチョコを手に持つ花羅の足元に駆け寄ると、潤んだ目で彼女を見上げる。人の言葉は喋れないもこだが、その瞳は確実に何かを訴えかけていた。
「んー?どうしたのもこ、チョコレート食べたいのかな?」
「メェー!」
自分の思いが届いた喜びにもこはぴょんぴょんと飛び跳ねる。そんな二人を止めようとするふわりの肩をアヤネが掴んだ。
「もこも√能力者だ、心配する必要はないんじゃないかな?」
「そーそー、いざとなればえんちょーの力もあるしね」
肩の力を緩めるようにレントがふわりの口にチョコレートマシュマロを入れる。ほのかな苦味とそれを包み込む柔らかな甘さが口の中いっぱいに広がり、少しだけ気分が落ち着いたふわりだったが、それでもその瞳は心配そうにもこを見つめていた。
そんな彼女の様子を見て、やれやれとアヤネは腰を上げる。
「何か落ち着く飲み物でも入れてこようか、リクエストはあるかな?」
「あらぁ、さっき家事は苦手って言っていなかった」
「そうだよ、だから手伝いがほしいところだネ」
わざとらしく肩を竦めて見せるアヤネに、雨月ははいはいと軽く返しながら共にバックヤードへ向かう。一種の人でなしである者同士、どこか気の合う所があるのかもしれない。
「はいそれじゃあどうぞ!」
そんなやり取りがされている中、花羅が江良から貰ったマシュマロをもこに差し出すと、彼女は串に飛びついて一口でマシュマロを平らげる。耳の揺れが激しさを増している所から、大変口にあったのだろう。
「メェー!」
「美味しい?良かったー!それじゃあ私も……」
「へっへっへ……お嬢ちゃん、そんなやわなお菓子よりもっと良いものがありまっせ……」
「あ、そういうのいいんでー」
何故かもみ手をしながら接近してきたルーシーを笑顔のままスルーし、彼女を視界から外すように花羅はくるりと踵を返す。思ったよりもクールな反応を返されたルーシーは、慌てた様子で花羅の前に回り込んだ。
「冗談!冗談やて!?敬語やめて!?」
「もう……ルーシーおねーさん、あんまり変なこと言ってると勘違いされちゃうよ?」
「反省しまーす……でも、良いものがあるのは本当やで?」
自分より一回り年下の少女に諭されしょんぼりとした表情を浮かべていたルーシーだったが、一転して不敵な笑顔を浮かべるとどこからか取り出した桐箱の蓋を開ける。
「おー、和菓子がいっぱーい」
どこからかやって来て、箱の中を覗き込んだ江良がひゅーと緩い口笛を鳴らす。団子にカステラ苺大福などの甘いものから、餅や煎餅などチョコレートと合うか想像もつかない変わり種まで、箱の中には多種多様な和菓子が詰め込まれていた。
「凄ーっ!?これも全部使って良いの?」
「店の売れ残りやからな、タダで処理してもらえるならむしろありがたいくらいや」
「あらぁ、お店の経営も大変なのねぇ……可哀そうに」
「マジな感じで言うなや……」
アヤネと共に食器を持って戻ってきた雨月が大げさに涙ぐむのにツッコミながら、ルーシーは和菓子に串を刺していく。煎餅など硬いものは下手に刺すと砕けてしまいそうなので、別途取る用の箸を用意した。
「ルーシーちゃん、苺大福貰ってもいい?」
「あ、私も!それにカステラもちょうだい!」
「はいよ、重いから落とさんようにな」
レントと花羅のリクエストを受けると、ルーシーは二人に向かって軽いノリで苺大福とカステラを投げ渡す。綺麗な弧を描いて向かってくる和菓子を危なげない様子でキャッチした二人は、そのまま嬉しそうにチョコレートファウンデンへと向かっていった。
それを微笑ましく見守っていた雨月だったが、ふと視界の端に黙々と手を動かし続ける人物が映った。
「園長、それ交代するわよぉ?あなた作ってばかりで全然食べる気がないじゃなぁい」
「んー?いやいや、食べる気はたくさんありますよー」
声を掛けられながらも江良は手を止めることなく、ホワイトチョコをコーティングさせたお菓子や果物を並べていく。言葉とは裏腹に江良本人が食べ物に手を着ける気配はなく、作られていくお菓子は主にもこが食べ進めていた。
「もこは良く食べるわねぇ、虫歯にならないように気を付けるのよぉ?」
「メェー」
小さい子供に教え聞かせるように話しかけながら、雨月は優しい手つきでもこの毛並みを撫でる。軽く押すだけで手が沈み込む極上のふわふわに雨月はすっかり夢中になっているようだった。
「ふー……家事は苦手だと言っているのだけどネ」
「それじゃあ、苦手な事を頑張っているアヤネくんには特別愉快なやつを差し上げよー」
「いいネ、いただくよ」
ひょいと江良に差し出されたチョコレートを前に、アヤネは手に食器を持ったまま無防備に口を開ける。その瞬間、江良の瞳が僅かに煌めいた事にアヤネは気が付かなかった。
「はいどーぞ」
ぽいと放り込まれたチョコレートが舌に触れると、一瞬にしてアヤネの表情が消える。そのまましばらく無の表情で硬直していた彼女だったが、やがてチョコを咀嚼し始めるとガリゴリと硬質な音が頬の奥から鳴り響いた。
「……うん、とても美味しいチョコレートだネ。雨月も一本どうだい?」
「遠慮しないでぇ、そんなに美味しいならオルタに全部あげるわぁ」
うっすらと火花が見えるような雰囲気を放ち、笑顔で対峙するアヤネと雨月。そんな二人の間に小さな手が割って入り、アヤネが食べたものと同じチョコレートを掴んだ。
「お、ふわりくん挑戦しちゃう?」
「江良さまは、いたずらはしてもイジワルはしないと思うのです」
そう言いながらも少し恐る恐るといった様子でふわりはチョコレートを舌先で舐める。まだ普通のホワイトチョコレートだ、砂利が混ざっているような風味はしない、一先ず味に異常がない事を確かめたふわりは思い切ってチョコレートを全て口の中に含んだ。
「……!?」
瞬間、パチンと弾ける音が鳴ると同時に突き刺さるような刺激が舌に走る。思わずチョコレートを口から出したふわりが半ば溶けたチョコレートを自分の目の前に持ってくると、その表面でパチパチと音を立てながら無数の気泡が浮かび上がっては破裂しているのが見えた。
「これって……」
「パチパチキャンディー、中に炭酸が入ってる飴だよ、どう?」
「始めて食べたのです……」
心を落ち着けるように深呼吸したふわりは、改めてチョコレートを口にする。少し酸味の強いレモン風味のキャンディにホワイトチョコの甘さがよくマッチしている。炭酸の刺激も最初は驚いてしまったが、慣れてくると中々癖になってくる。
「あ、わたあめに入ってるやつ!こっちだと初めて見た!」
「わたあめに入ってるやつ?」
部屋の一角に人が集まっていることに興味を惹かれ、やってきた花羅とレントが対照的な声を上げる。流行りが残り続ける妖怪百鬼夜行と、日進月歩で新たな流行が生まれるドラゴンファンタジーの差だろう。
「美味しいよ?レントおにーさんも食べてみなよ!」
「ほーう?どれどれ……」
花羅に勧められるままキャンディ入りのチョコレートを口にしたレントは驚いたように大きく肩を跳ねさせ、慌てて口から取り出したチョコレートをしげしげと見つめる。自分よりも遥かに大人の男性が同じようなリアクションを取ることがなんだかおかしくてふわりがくすりと笑みを漏らすと、レントは恥ずかしそうに頭を掻いた。
「うへー、びっくりした……でも本当に美味しいよ!」
「でしょ?私も大好き!」
「おー、思ったより好評」
ちょっとした遊び心で仕込んだチョコレートが博した意外な評価に江良は感心したように頷く、このような予想外の人気者ができるから皆でやるお祭りは楽しいのだ。
「メェー」
「おおっ、もこもボリボリいってるね」
「舌が傷付かないか心配ねぇ……」
「草食動物の舌は僕達のそれより厚くて丈夫だからネ、問題はないだろう」
そんな言葉と共に花のような、果物のような香りが辺りに漂う。チョコレートとはまた違う甘い香りに振り向けば、そこではアヤネが持って来たカップに飲み物を注いでいるのが見えた。
「そろそろ口直しが欲しい所だろう、リクエストはあるかネ?」
サーバーを軽く叩きながら、アヤネは笑顔を浮かべる。そこにはどんな要望でも応えてみせるという自信が見え隠れしていた。
「はい、じゃあ私は甘くなくてスッキリしてるやつ!」
「珈琲!アヤネちゃんのオススメで!」
「ドロッとするくらい砂糖の入ったエスプレッソをいただけるかしらぁ?」
「私も、甘いコーヒーを貰えると嬉しいです」
「メェー」
「苦めのお茶とかある?」
「ここでクイズ、誰が何の注文をしたでしょー?」
途中翻訳が必須なものと最後に注文ではなく質問が混ざったが、アヤネは迷いなくサーバーを動かしそれぞれに飲み物を配る。
「今の聞き取れたん凄いな?」
「当然の事だネ、ほらルーシーはこれだ」
「はいありがと……コップちっさ!?」
ルーシーがアヤネに渡されたのはどれだけ並々と注いでも一口分がやっとなようなショットグラス。訝しみながらもとりあえずグラスを傾けると、ふと馴染み深い香りが彼女の鼻孔を擽った。
「うん?なんやこれ、なんか煙い感じの匂いが……」
「あらぁ?煙草でも溶かしたのかしらぁ?」
「ああなるほどー…………そこまでニコチン欲してないわ!!?」
「ツッコムところそこじゃなくなーい?」
命の危機には言及しないルーシーにツッコミを入れつつ、江良もカップを覗き込みながらその香りを嗅ぐ。透明なグラスに注がれた暗い茶色の液体からは、確かに木を燃やした時のような臭いがした。
「これあれじゃない?らぷさんすーちょん」
「お、よく知っているネえんちょ」
「え、何それロシアの政治家?」
「あらぁ、煙茶の類を知らないなんてずいぶんモダンな和菓子屋さんなのねぇ?」
「多分これ皮肉言われとるな!?」
「メェー?」
賑やかにやりとりをしている四人の足元に、もこがトコトコとやってくる。そしてルーシーの持っているグラスに向かってスンスンと鼻を鳴らすと……。
「メ゛ッ」
聞いたことのない鳴き声を上げて、そのまま去っていった。
「なあこれ本当に飲んで良いヤツ!?皆して私を騙そうと──」
「アヤネちゃん何この珈琲凄い美味い!!?」
「そうだろうレント、それはパナマゲイシャという良い品物でね」
「聞いて!?」
自分に背を向けてレントの方へと向かうアヤネにルーシーは必死に手を伸ばすが、その指先は虚しく中を切る。行き場のなくした手を呆然と彷徨わせるルーシーの肩に、江良が優しく手を置いた。
「まあ、一本吸って落ち着きなーよ」
そんな言葉と共に差し出されたのは煙草のように細長く形成されたホワイトチョコレート、どこか遊び心のある江良のチョイスにルーシーの顔にも思わず笑みが浮かぶ。
「ありがと……こんな駄菓子あったなぁ」
ココア味というわりにはミントみたいな涼しさがあってたまに食べたくなるんよ、そう言いながらルーシーは慣れた手つきでチョコレートを咥える。
「クエン酸っ!!!!?」
瞬間鳴り響く悲鳴じみたルーシーの声をBGMに、もこは花羅が貰ったハーブティーの香りをすんすんと嗅いで鼻の調子を治すのであった。
そんな混沌とした会場の中で、雨月があらと声を上げる。
「皆結構食べたわねぇ、チョコレートが余っちゃいそう」
色々と騒いでいる裏でもチョコレートは食べ進められていたようで、ルーシーが持ち込んだ和菓子を含めて用意した食材は底をつきそうになっていた。
追加で持ってきても良いが、皆飲み物で一服した事もあってか食後のようなまったりとした雰囲気が漂っている。あまり多く持って来ると今度は食材を余らせることになってしまいそうだ。
「あ、じゃあ僕やってみたい事があるんだけどいいかな?」
どうしたものかと雨月が思考を巡らせていると、レントが手を上げながらニュっと彼女の視界に割り込んで来る。人によっては驚きそうな現れ方だが、これくらいで動じるほど彼女の経験は浅くない。
「食べ物を無駄にしないならいいわよぉ、園長はどう?」
「同意見ー、好きにやっちゃいなー」
そう言ってひらひらと手を振る江良を見てレントはよーしと気合を入れるように袖を捲ると、細長く口の広いグラスを卓上に置く。
「あ、それもしかしてパフェのグラス!?」
「そう!せっかくだから最後に最強のゴージャスパフェを作ろうとね!」
「私も手伝う!」
言うが早いか、花羅は残った食材をかき集めるとレントと共に次々とグラスに詰め込んでいく。一見すると無計画な行動、しかし甘いもの好きの天性の感か成したものか、積み上げられていく食材はパフェの原型として充分な形として仕上がっていく。
「……ここに果物を、王道のいちごをのせたいのです」
そんな二人の熱量とパフェの出来栄えに当てられたか、ふわりがゆっくりと手を上げながら要望を上げる。
「せっかくのパフェなら満足感も欲しいよねー、るーちーの持って来たカステラいれちゃう?」
「えんちょのパチキャンも評判良かったやん、上にぱらぱら~って撒いてもええんちゃうかな」
「メェー!」
ふわりの言葉を切っ掛けに他のメンバーも次々とアイデアを上げ、パフェはドンドン大きく、カオスになっていく。珈琲を飲みながらその様子を眺めていたアヤネはふと視線を隣に座る雨月へと向けた。
「止めなくていいのかネ?」
「皆楽しそうだし、いいんじゃないかしらぁ?」
私も食べるのを手伝えば良いだけだしねと、自らも楽しそうにしながら語る雨月を見てアヤネは小さく鼻で息を吐く。止めない理由とその後の処理に関しては彼女も同じ意見であった。
そうしてブレーキ不在のままパフェ作りは進められて行き、やがてできた!という六人の声が重なって響いた。
「これが最高伝説最強のパフェ……!」
「苺とマシュマロとカステラのチョコレートパフェ~弾ける衝撃と珈琲の香りを添えて~!!!」
それはまず器が最初と比べて明らかに巨大化……というか改造されたチョコレートファウンデンが器にされており、雨月ですら見上げなければパフェの頂点が見えず、そこからは新鮮なチョコレートの滝が常にパフェへ供給され続けていた。
そして食材の名前が3から5個ほど上げられたが、実際は明らかにそれ以外の食材も入っており苺大福やら煙草型のホワイトチョコレートも突き刺さっていた。
もはやパフェと言えるかも怪しい誰がどうみてもやり過ぎな部類の代物が、ぐうたらんどの面々の前に立ち塞がっていた。
「「……うん!」」
表情は明るい笑顔のままだが、力強くスプーンを握った花羅とレントは真っ直ぐな足取りでチョコレートの山へと向かう。その背中には『製造者責任』という文字が見えた気がした。
「はーい、みんなもしっかり食べようねー」
「メェー」
江良の言葉に促されるまま、他のパフェ作成メンバーも好奇心には勝てなかったと満足げな笑顔を浮かべてスプーンを握る。そんな彼女達を呆れたような感心したような顔で見つめながらアヤネと雨月も続いた。
何やらフリーダムな締めとなってしまったが、せっかくのお祭りなのだ、たまにはこういう事があっても良いだろう。
それに皆で食べる巨大なパフェは、最高最強の味わいのはずなのだから。
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