【個】楽園の入り口
“彼”と別れてから、どのくらい経ったのか……ふらふらとした足取りの少年は、ある建物の前までやってくる。
大正建築のアパート──メゾン・ド・エデン。
そこで出会うのは──
◇
#エディ・ルーデンス
#水藍・徨
◇発言終了◇

(そのアパートの入り口付近では)
(日焼けした長身の男が、長い金髪を揺らしながら)ふんふふーん、ふんふーん……(鼻歌歌いながら、箒で落ち葉を掃き寄せていた)
ふふふふーん\ゴン/ごん……ごん?
(はっと顔を上げて、不思議な音の出所を見る)
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(■■■しい。きょとん、として、差し出された手を見てから……自分の手も差し出してみる)
……? ありがとう、ございます……?
(フードの中から、ぼんやりとした表情があなたを見ることだろう)
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(されるがままに引っ張りあげられ、腰に手を回されても特に表情が変わることは無いが)
……?
(あなたは何をしているんだろう? とは少し思ったような表情は見えたかもしれない)
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だいじょ~ぶ?お尻冷えなかった~?(立たせてからも、手はまだ離さない)
(穏やかに笑みを浮かべながら、じっと、キミの顔を観察している)
……今日、ごはん食べた?
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(食が細かった、にしてもやややせており、疲労が伺える顔色。年頃の男子にしても、体つきはかなり細い方だろう)
(観察され続けられて……視線が俯き加減になる)
いいえ……食べてません……
(首を横に振る気力は、ない)
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そっか、そっか~(頷き、目を細めて)
……えい!(手を引き、片手でひょいと腰を掬い上げた)まーまーまーキミちょっと時間ある~?(横抱きで連れ去りが発生しようとしている!!)
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(目を、ぱちくり)……え……はい……?(また、ぱちくり)
(大人しく抱きかかえられる自分。疑問は浮かんで、あなたをじっと見るしかできない)
(暴れる、なんて選択肢は元々ないのだから)
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……(ここまでして大人しいキミに向かって、一瞬)(ますます目を細めた)
(一歩が大きいのか、然程揺れもせずに滑るように、キミの体はぶつかった建物の一角へと向かっていく)
(道路側に大きく入り口を開いたそこは、見たところ雑貨屋か何かのようで、「エデンマート」と若干古臭いペンキ看板が掲げられていた)
たっだいま~!
(コーヒーやお惣菜やらの匂いが入り混じる、暖かな店内。そのレジカウンターの裏にある、小さな椅子に)まーまーまー(キミを降ろして座らせた。)寒くない?
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(されるがままに連れられて、看板を見、店内を見る。自由帳以外の、新しい彩りに……それでも、大人しいまま座らされる)
え、っと……
(言われてみれば、手は酷く冷たいし、寒さを感じていたのに気付いた。でも、ここは店内だから)
……ここは、暖かい、です……。
(こくん、と頷くだろう)
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ん。いいね~(満足げに頷いて、)
えーっと……(なんだか品物のとっちらかった商品棚をひょこひょこ眺めて回りだす)お肉~、は、あとでにしとこーねぇ。とりあえず~で~……
(そして最終的にキミの目の前には、温かく甘い湯気を立てる、ココアの入ったマグカップが置かれているのだ)
ちょーっとずつ飲んでね、ちょーっとずつ~。ヤケドしちゃうから~。
(一方の大男、そのカップが置かれたカウンターの上に尻を乗っけて盛大にキミを見下ろしている)
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(あなたが棚を見て回る様子を、ボーッとした表情で眺めてから)
(目の前に置かれたマグカップを見て、素直に受け取る)
は、はい……
(言われた通りに、少しずつ飲んでみる。甘さと温かさで、自分では把握していない緊張がゆっくり解けていく)
(あたたかい。美味しい。)
……美味しい、で……(ぐぅ)、す……?
(お腹が鳴った気がした。とりあえず、ココアをちびちび飲んでいる)
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おいしい!?(ぱぁぁ✨)でっしょ~(屈託ない笑顔)
あ~! お腹もすいちゃった~?
……キミさ~(す、と目を細めて)おうちは? 警察のひと、呼ぼうか?
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(こくん、と頷いて、ちびちびと飲み……)
おうち……(家は)……分かりません……
警察……は……
(迷いが生まれた。警察なら、僕の両親の場所が分かるかもしれない。
でも、もしも、また管理機関に入れられることになれば……ここまで来たのに?)
いや、です……
(首を横に振った。無意識に、自由帳を握りしめる。)
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(その、手の動きを見下ろす)そっかぁ……(大男、はじめて思案気な顔をした)
(ひょい、とカウンターから降りて、棚から適当な菓子パンを拾ってくる。どこにでも売っているような、4個入りの小さなクリームパンだ)
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(またもや、あなたの動きを見つめてから)
(渡されたクリームパン達を見る。一つ、取り出してみてから)
(問われた問いに、暫くの間があって)
……、両親が、いる場所……でも……
(元々、両親に会いたかっただけ。その為には抜け出すしかなくて、宛もなく探すしかなくて)
その場所が……分かりません……
(薄ぼんやりと、少年の前に両親らしい男女が描かれていく。|想像の創造《ディミウルグ》によるものだが、顔は流石に描かれていないようだ)
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(ぱく、大きな口でクリームパンにかぶりつく)もぐもぐ……む、場所がわかんない。それじゃあやっぱ警察……
……ん?!(顔のない幻に目を大きく見開いて)なんかいる!? なんかいるけど!!??(大きな身振りで指さした)
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(食べる彼に見習って、小さく一口。もぐもぐ、もぐもぐ。ごくん……飲み込んで)
い、いやです……帰りたく、ない……
(再び首を横に振って、今度は自分の周りに壁のような物を創り始める。その壁の模様は、あなたにとって見慣れたアパートの壁模様とそっくり)
(両親らしい像も、壁も、この少年からの産物なのだ)
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あー、うわー……
(苦笑いしながら、カウンターの向こうの“アパート外壁”を触る。コンコン叩く)
キミは、おとーさんとおかーさんが居るところに「行きたい」ワケだ。
今……なんかどっか、出てきたところには「帰りたくない」。
そんなら、「帰んなくていーじゃん」?(穏やかに、壁の向こうに語りかける)
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……ぁ。
(思わず、創ってしまった。でも、あそこに帰る訳には行かなくて、つい)
(コンコン、壁越しに声が聞こえてくる)
……帰らなくて、いい、ですか?
(ゆっくりと壁が透けていき、少年の姿が見えてくる。じ、と金色の眼差しを、あなたへ向けて)
(クリームパン2個目を、もぐもぐする)
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だ~って、キミは旅立ったんでしょ~?
(カウンターに身を屈め、頬杖ついて)
じゃ~、帰らないこともあるじゃんね。他の地に根を下ろすことだってあるかも。
(なんでもない、それが当然、みたいな口振りで)
……イマドキはそーゆーの、珍しいぽいけど。俺はイイと思うよ。
ま、そこにキミのお部屋作んなくても。
この“エデン”には、余ってるお部屋い~っぱいあるけどね。一個いる?
(なんでもない、お菓子余ったからいる?くらいの軽さで)
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……。
(管理機関の人達は僕のことを探しているはず。いずれは……いずれは、帰らないと行けないかもしれないけれど、当分は……)
(そう思っていたら、軽い調子のあなたに少し、ほんの少しだけ、驚いた表情を見せて)
……え。い、良いの、ですか?
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だって、ここ、アパートだもん?
(自慢げに腕を広げて)ひとが集まって、寄り添って暮らす、棲み処だよ。
キミもここに棲むなら、俺は大歓迎!
……お家賃はもらうけど~、ま~、そこは応相談で~。
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アパート……あの、僕……その……
(そうだ、部屋を借りるのだから、一番必要なものがあるだろう)(緩慢な動きで手持ちを探る)
(持ち物は自由帳とペン、とポケットの中にたまたま入れていた薬の錠剤が幾つか。……と、硬貨が幾つかくらい)
……お金、多分……ない……です……
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(心許ない全所持品に、またも目を細めた)
(これしか持たずに、どこかを出た)
(この旅には計画性がない、か)(この仔に許された最大限の自由がこの程度)
(疲労と空腹で衰弱していたとはいえ、警戒心がちぐはぐすぎる)
(――――“野良”とは正反対の存在だろう、と)(大家は思う。)
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(細めた目を静かに伏せて)
(厳かに)(手を掲げる。指三本立てて。)
……初回三か月無料サービス?(何故か疑問形だった)まー、棲んでからお仕事探してみてもいーんじゃん? どーしても困ったら、俺、近所のお店に頼んでみてもいーしさ~。
("野良"でないなら、外では生き難かろう。先程までの様子を見れば、尚更)
(その自覚が、この仔にあるかはわからないし)(それを態々指摘はしないが)
(仔が野垂れ死ぬのを見るのは、もう嫌だった)
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……?(指が三本立った)
初回三か月無料サービス……?(疑問形に疑問形を返して、小首を傾げる)
……、それなら……はい……住みたい、です。
ありがとう、ございます……
(ぺこ、とお辞儀をした。壁はもう消えている。ふと、あなたの名前を知らないことに気付いて、忘れないうちに……聞きたい、と思った)
あの、えっと……あなたの、名前……何て呼べば……
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大家さん……エディ、ですね。僕、は……ディミ……
(管理されていた間、ずっと|想像の創造《ディミウルグ》、と呼ばれ続けていたから……すっかり自分の名前を忘れかけていた)
(自由帳の、一番最初のページを見る。『|水藍・徨《すいら・こう》』と書かれたそこを見て……)
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