【1:1】どこかのくらがり #4
街の中だか、森の中だか、あるいは屋内。あなたはどこかのくらがりを訪れる。
休もうとして、逃げようとして、あるいは何かに誘われて。
気づけばとなりに、せいたかの人影が立っている。
よかったらお話をしませんか。
お前の願いを叶えましょう。
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・どなたも歓迎の1:1RPスレッドです。
・「場所」「おおよその時刻」を設定してRPでお入りください。
悪い妖精が願いを伺いに参ります。
・最初のレスから1か月経過するか、20~30レスを目安に終了します。

(√汎神解剖機関の中心街、その外れに位置する通称監視棟と呼ばれる一角。深夜の中庭、その暗がりにて)(長いベンチに座り、小さなビニール袋を膝において。ショコラの香りを纏いながら空を見上げている白衣姿の女が、独り)
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(妖精はイラついていた。というのも、この中庭に漂う香りだ!脳髄を痺れさせるような、淡く蠱惑的な甘い香り!何から発せられているのかは知らないが、先程から魂の抜けたようにぼうっとしているあの女が出所であるのははっきりしている)
(あの鬱陶しい女に一泡吹かせるため、妖精は一計を企てた。中庭の出入り口、その庇の下にぬっと現れ、目もくらむような光を女の顔めがけて照射したのだ!)
おい貴様、そこで何をしている!現在中庭は立入禁止だ!
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は、えっ……、ぅ、まぶし…、(きゅっと苺色の目を閉じて)(出現した男に対し、ショコラの香りがぞわりと牙をむき出しにした魚の様相を成す)
警備員、それとも監視員かい? 聞き覚えのない声だなぁ…
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(逆光の向こうで、人影がたじろぐ気配があった。光が消える。貴方の双眸が再び夜闇に慣れてきても、そこに立っていた影を視認するまでは少し時間がかかっただろう)
(なにせその姿はひょろりと長く、暗がりと同じ色のコートを纏っている。まず目についたのはユーモラスなとんがり帽子かもしれない。そしてその下に猜疑心の強そうなふたつの蒼。偏屈そうな鷲鼻。無機質な中庭にはおおよそ似つかわしくない、妙な姿の男がひとり。)
……おい、その煙たいのをひっこめろ!癪に障って仕方ねえ!(堅苦しい声の演技をやめた妖精は、出入り口を背にして身構えながら貴方へ怒鳴る)
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…、?(まだ少しちかちかする目を凝らせば、風変わりな格好の男が居て思わず目を擦る)
(幻覚ではなかったのだと、少しの逡巡の後にようやくすっきりしてきた眼でもう一度男を上から下まで眺めた)
警備員の制服でもないし、怪異、…でもないねぇ、なんだろう不思議だなぁ。煙がおいやなのかい? 引っ込めてはあげるけれど、手荒な真似はやめてほしいよ(くるりと指先を回せば、甘い香りの魚は残り香もなく消え失せる)
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(不定形の魚が立ち消えるのを見ると、確かめるように四方へすんすんと鼻を動かして確かめる)
怪異だあ?どいつもこいつも失礼な奴らばかりだ!(暗がりに溶けるように消えると、次に現れたのはベンチの上、女の真横)
オレは妖精、幸運の妖精サマさ!チョコレートくさい姉ちゃん、アンタこそ何者だ?
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!(苺色の瞳を瞬かせて、隣に現れた男をじぃっと見上げる)
……………、妖精、人間災厄ではなく? はじめて見たかも。幸運とは程遠そうな言動に思えるけれど、それはそれとして。
私はここの監視対象でここの職員だよ。今はナギと名乗っています。
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災厄と幸運じゃあ、真逆だろーがよ。こんなつまんねえ石の監獄に来てくれる幸運なんて、オレくらいのもんだぜ。kec-kec-kec!!(板を叩くような奇妙な音を出す。どうやら笑ったらしい) ……ああどうもご丁寧に。妖精トムテのダゴールです。(ぺこり)
それで、監視対象のナギくんはどんな悪いことをしたのかな?(牧師がどうぞ話してごらんと勧めるように、掌を見せる)
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!!(今の不思議化音はどこから?もしや口の中?と、まじまじと見つめる)
ダゴール君がお名前であっているかな? よろしければよろしくどうぞ(お返しの会釈)
うううん、ドラマの詐欺師か押し売りのセールスマンを彷彿とさせるねぇ…。悪いこと、というか、所謂心霊テロを起こしたらしいのだけれど、なにぶん記憶がないものでナギに自覚はありません
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ふむ。オレってやつはどうやっても胡散臭く見えちまうらしい。こんなに善良な妖精なのにな。憐れんでくれて構わんよ。(コンクリートの隙間に生える雑草を靴でいじくっていたが、貴方の境遇を聞くとぴくりと片眉を上げた) 憶えのない悪事で収監されてんのか?よく大人しくしてられんなあ。ナギはそれで納得してんのかよ。
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覚えはないのだけれど、被害者には会ったことがあるよ。おめめがぱぁん!てしてしまったから、眼球を入れ換えたといっていたなぁ。
(膝の上のビニール袋を手持ち無沙汰に指が撫でて、かさかさと耳障りな音を立てる)善良な妖精さんは私を気遣ってくれているのかな、それとも不条理がお嫌いかね?
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ほう。抉り取るなら聞く話だが、弾けるとは景気がいいな。アンタ、なかなかのエンターテイナーだ。(とんとんとん、と指先を合わせる小さな拍手)
幸運の妖精としちゃあ、気の毒なニンゲンを見捨ててはおけないと思ってね。……てか、なんだいそれ。(ビニールを指さす)
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んふ、そうか妖精さんなら抉り取ることもあるのだね。形が残っている方がお好きなのかな。
(幸運の妖精、と繰り返してちらと男を見やる)
ンー…? ああこれかい?(ビニール袋を鳴らしながら手を入れ、取り出されたものは小さな箱)私のお昼ご飯だよ。固形の、ぱっさぱさな栄養補助食品、とってもおいしくないんだよなぁ…
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ニンゲンってそういうところがあるな。(栄養補助食品を悍ましいものかのように見る)
この√が資源に乏しいことは知っているが、尚更なぜ優れた技術を生きる楽しみに充てないのか理解できん。なんでわざわざ手間をかけて、不味いものを作る?
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わかる…わかりすぎるぐらいわかるよ。おいしくないものなんて自分の手料理だけで充分なのだよなぁ…どうして外に出てきてまで時間がないからとこんなものを食べなければいけないのか、本当に意味がわからないよ(溜まっていた鬱憤を吐き出して、ぎゅっと眉間に皺が寄る)
お外に食べに行きたくても、今監視役の手が離せないから棟のお外に出てはいけないのだって
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窮屈なご身分だな……どれ、このオレがひとつ、幸運をもたらしてやろうかね……。(意味深に笑う妖精。右手を差し出してくるんと回すとその上には――貴方が手にしているのと似たようなブロック食品) ……ありゃ?おかしいな……。(ぽいと投げ捨て、もう一度くるん。ゼリー飲料のパック) んん?おい、この周囲のニンゲンはこんなもんしか食わねえのか!?(一応、という感じでパックが貴方に投げ渡される)
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! !! わ、手品、手品だね?(ぱっと喜んだのも束の間、現れる見慣れすぎた見たくなかった食品に、どんどん顔色がしおしおしょんぼりになっていく…)
これは…生臭い香りのゼリー飲料だよ…………………
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待て、見損なうな。ここまでは前フリってやつだ……次こそ!(三度目のくるん。高級感のある銀のパッケージに包まれたチョコバー) ……オエ。(今度は妖精の顔が歪む。指先で汚いものでも摘まむようにして、貴方に渡された) こ、これならどうだ……。
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まるで汚物を扱うかのよう(しげしげとチョコバーを眺める)
それで? 幸運の妖精さんが求める対価は何かな? ここまで労力を割いていて無償ということもないだろう?
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じゃあ「ありがとう」と言ってくれ。(チョコバーから視線を外さずに、ベンチの上の尻を貴方から少し遠くへ置きなおす) 無償でなかったらオレは”幸運の妖精”じゃなく、ただの”チョコレート屋さん”になっちまうだろう。
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……、なにかこう、ちぐはぐだねぇ、君(男の視線がチョコバーに注がれ続けていることに気づきながら) 妖精の逸話にありがちな名前当てもなかったことだし、いいでしょう。
──「ありがとう」
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筋を通すのは苦手でね。柔軟すぎる妖精と呼ばれている。
(お礼の言葉を聞くと、ニッと笑った)
そうそう、素直なのは素敵なことだ。特にこんな場所じゃあな。そうだ、サービスでモニター越しの監視員くんのポケットに馬糞でも詰めておいてやろうか?
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ふぅん…(笑うのか、と。じっと見つめて)
君が監視カメラに映っていないなら悪くはないご提案なのだけれ、ど(言いかけてから、想像の間)…いや、よくない、建物内の狭い部屋と廊下中に漂う馬糞臭はナギが泣いてしまいます…(再びのしおしお)
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そいつは可哀想だ、やめとこう。(最後にくるん、と手の平を返す。萎びたビーフジャーキーの袋。それを貴方の膝の上に置くと、立ち上がった) それじゃ、監視員くんに咎められないうちに退散しよう。また妖精の助けが必要になったら、くらがりに向かってダゴールの名を呼ぶといい。……あの魚は引っ込めた上で。
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(膝に置かれた袋を眺めてから、立ち上がったその姿を苺色の瞳が追う)
またがあるのかぁ、思ってもみなかったな。妖精の助け、ナギに……助け、ねぇ。それは、とてもすごいことだね。
では次は見つけてもらうのではなく、私が君を呼ぼうかな、もちろんお魚抜きで。鎖になる約束はいらないよ、でもきっと来ておくれね、トムテのダゴール(ふ、と歪んだ唇から鋭い牙がちらりと覗いた)
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kec-kec-kec!! いいね。お前は妖精との付き合い方が上手い。(妖精は笑いながらベンチの後ろへ歩いていく。振り返ってもそこには夜闇しかない。周囲のくらがりが、貴方にだけ囁いた) またな、ショコラ雲のナギ。アンタに、くらがりの安らぎがありますように。
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(囁きに女は振り返ることなく。重みの増えた膝の上を見てから、独りであった時間に巻き戻るように、夜空に視線を移す)
またね、幸運の妖精さん。またいつぞやかの、月のない夜にて。(どこか満足げな呟きが、くらがりにぽつりと落ちた)
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