【1:1】どこかのくらがり #5
街の中だか、森の中だか、あるいは屋内。あなたはどこかのくらがりを訪れる。
休もうとして、逃げようとして、あるいは何かに誘われて。
気づけばとなりに、せいたかの人影が立っている。
よかったらお話をしませんか。
お前の願いを叶えましょう。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
・どなたも歓迎の1:1RPスレッドです。
・「場所」「おおよその時刻」を設定してRPでお入りください。
悪い妖精が願いを伺いに参ります。
・最初のレスから1か月経過するか、20~30レスを目安に終了します。

(時刻は何時だったか。日付が変更した所までは見届けた。それから先は見ちゃいない。気にする必要が無いからだ。ただ、ここがどこかの世界で、どこかの路地裏だと言うことは理解をしている。)……迷ったか。まあ、いいか。(いつかは抜け出せるのだろう。気にする必要もない。しかし、不意に足を止める。朝が来る前には帰らなければならないと言うことを思い出したのだ。)何も良くねぇな。
0

何が良くない?
(貴方は話しかけられた。後ろ……というほどでもない。ここまでほんの半歩違いで肩を並べて歩いていたような、隣からだ)(そちらを見るなら、半身を影に隠して同じような背丈の男が、当たり前のような顔で見返す)(蒼い双眸、高い鷲鼻、長い耳。奇妙なとんがり帽子を被っているぶん、貴方よりももっと高い)
腹が減ったか。脚が痛いか。酔いが醒めたか。それとも……靴底の減りが気になるか?
0

(半歩後ろを振り返る。目線の高さはほぼ同じ。違う事と言えば、その男には色彩と奇妙な帽子があると言う事だ。)いや。(特段驚いた様子もなく、止まったばかりの透けた足で再び歩み始めた。)なにも無ければのんびりと歩いて帰る所だが、残念ながら今日は朝が来るまでには帰らねぇと。っつー約束なんだよ。なのに困った。オレは迷子らしい。
0

(妖精のジョークは幽霊にはウケが悪いようだ。靴底の減りを心配する必要のある妖精は、口をとがらせて同じ方向へ進む) そりゃああれか?生前の約束を果たせなかったお前さんが、毎夜帰路を探して徘徊してるっていう……そういう類の迷子じゃあなかろうな?家で待つ女房は、とっくに婆か墓の中かもしれねえぞ?
0

(半歩後ろの足音を聞く限りでは、着いてきているのだろう。これまた気にする様子もなく、相手の好きにさせておく。)残念ながら生前の記憶はねぇんだ。女房も子どもも、もしかすると孫やひ孫も全員あの世に行っているかもしんねぇな。そもそも、そんな奴は居ないかもしれない。ところで……(もう一度振り返る。)お前、だれだ?この辺に住む奴か?
0

そうか。無駄なしがらみがなくて重畳だな。
オレの成りが”ちょっと井戸まで水を汲みに”って感じに見えるなら、あんた相当センスが悪いぜ。(とんがり帽子をピンと指で弾いた) 幸運の妖精、トムテのダゴールだ。困っているなら力を貸そうか?(吊り上げた口端から犬歯が覗く)
0

(頭上のとがった帽子は、辺りの景色に溶け込んでいない。どちらかと言えば不釣り合いなそれだ。)へぇ。妖精って本当に居るんだな。(興味深いと呟き落とす。)幸運の妖精ってことは、いいことがあるって?妖精がタダで力を貸すってのは珍しい。と噂で聞いたことがあるんだが、どんな物を支払えば良いんだい。金?酒?それとも他の物か?
0

(妖精は大きく脚を延ばして、一歩で貴方の前に進み出た)
道端でコインを拾うとき、アンタは対価を払うかい?ここでオレに出会ったことがアンタの幸運さ。オベロン王に誓って、騙すつもりはないんだ。オレが役に立ったのなら、”ありがとう”を一言貰えりゃいい。kec-kec-kec!! (喉から板を叩くような音を発する。笑ったらしい)
0

(妖精と名乗る彼に合わせて回れ右。今度は彼が前に出た。)(一連の話からするに、どうやら噂に聞いていた妖精とは違うらしい。手元に綺麗な宝石も、コインもない。騙すつもりもないらしい。)それだけでいいのかよ。そちらさんはそれでやって行けるのかい?いやまあ、幸運だったと思えばそれはそれで。(暫し考えることにした)…………なら。迷子になってんだ。道案内をお願いしたい。朝までに、っつー条件付きだ。日付変更までは確認したが……たぶん今は2時くらいか…?目的地は――。あー、なんか狸の置物があった気がする。でっけー狸の置物。出来るかい?
0

(踵を返した幽霊を追いかけて、数歩早足でまた後ろについた)kec-kec-kec! 今更財貨なぞ欲しくもねえや。任せてくれよ。……えーっと、ええと。(自らの懐をまさぐる。これか?いや違うな。んん、どこへやったか。) 狸の置物、ね……帰り道ってことは、そこが寝床だろう。商売でもやってんのかい?……あった。(ずるりと引き出したのは、懐に入っていたとは思えない大きさのランタン。そして、右手には銀のティースプーン)
ちょっと失礼。額に触れてもいいか、旦那。心配すんな、痛くはしねえよ。
0

ああ、まあな。そんな所だ。もっともオレがやってんのは店の手伝いだが――。(懐を探る姿をぼんやりと眺めていたのも束の間、どこから取り出したのかと思わず懐を探りたくなるようなそれらに目を見開く。)……驚いたなぁ。それも妖精の力か……と、額?物騒なことが起きるわけじゃねぇなら、お好きなように。(目にかかる前髪を払い。額を妖精に向ける。これから一体何が起こるのだろうか。想像も出来ない。重たい瞳で、事の成り行きを見守る。)
0

便利だろう。妖精のカバンからは、なんでも出てくるぜ。(許可が得られると、ティースプーンが貴方の眼前に迫ってきて額に触れる。硬く冷たい感触が――あったかどうかはわからないが、とにかくスプーンは貴方の額から|何か《・・》を掬った。銀色の尾を引く、光の玉)(妖精はランタンを開けると、ホヤの中にマッチの火ではなく光の玉を閉じ込める)
さてさて……ようし、旦那。どうやらウィスプの言うことには、こっちのようだぜ。(そうして、ホヤの中の光が泳ぐ先へ歩き出した)
0

(眼前に迫るそれ。銀の匙。反射的に瞼を閉じた途端、額に何かが触れたと言うことだけは分かった。声を上げる前に妖精の言葉が行き先を示す。恐る恐る、とも違う。とにかくゆっくりと両目を開いた。)…………何を?(したんだ?とは続かなかった。暗闇に浮遊する光が標になっていたからだ。彼に伴い、光を見つめる。)オレの記憶を掬い上げたか?
0

(振り返って貴方がついてきているかを確認しながら、妖精は先導する)
まあそんなところだ。記憶というか、思念だな。アンタが帰りたいと思っているなら、思念は勝手に家へ向かうさ。(右手のスプーンは、指の間でくるくる回っている) こいつはオレの魔法の杖。普通は使い手に相性のいい木の枝で作るんだろうが、オレには何故か銀が一番馴染むらしい。
0

あぁ……なるほどな…あれがオレの思念なのか……。(何だか不思議な感覚だ。浮遊する光をぼんやりと追いかける。)(先導に合わせて器用に回るそれは杖らしい。魔法の杖と言えば、と魔法使いの使う物を思い浮かべていた。)魔法使いも木の杖を使うらしいな。妖精も似たようなもんか……?異なる文化ってのは興味深い。オレからしてみれば、銀が馴染むってのも初耳――でもねぇか。装飾の類は相性があると聞いたことがあるなぁ。(好奇心の矛先が向く。半歩、前に出た。)他には?妖精の秘密。
0

欲しがるね。まあ妖精には無数の秘密があるからな。道中のオプションサービスってことで、退屈しのぎにいくつか聞かせてやろう。(んべ。貴方に向かって長い舌を見せる。からかっているわけではないようだ) ひとつ。オレは”舌なし”ダゴールという。この|ベロ《・・》には呪いがかかっていて、一切の甘味を感じない。真っ白な角砂糖は砂の塊。とろ~り琥珀色の糖蜜は只の泥。
0

(眼前に舌。舌なし。舌はある、と口にする前に妖精の秘密が明かされる。)へぇ。舌なしの秘密はそういうことかい。しかも甘味のみか?食事には困らねぇが、甘味を出されたらたまったもんじゃねぇな。隠し味に入れられた日には、あっという間に泥に変身。ってか。呪いってもんは厄介な奴だ。
0

(ランタンを掲げて歩く背中が、哀愁を乗せて丸くなる) アンタら幽霊は過去に囚われているのかもしれないが、オレだって似たようなものだ。まるで死人のように味気ない生活さ……。いや失礼。幽霊にだって生きがい――(”死にがい”? 言葉について頭を捻った)…くらいあるだろうが。オレはそれを奪われた。
0

(大きな身体が何だか小さく見えて来た。事情があるらしい。いや、甘味を感じないのだから事情はあるのだろう。しかも呪いだ。)つまるところ、甘いものが好きだが甘いものが食べられなくなってしまった。そういうやつか。……大変だな。同情なんかしねぇたちだが、生きがいを奪われたとなりゃあ素直に可哀相だと思った。(しかし、と続け)一体何をしたんだ。盗み食いかい?
0

まあ、それもやったな。(宙に視線を彷徨わせながら、ひとつふたつと指を折る)
盗み食いがたくさん。略奪がたくさん。人攫いが三回、船も一隻沈めた。あとは……ああ、メアリーの件を含めるなら人攫いは四回だった。誤解するなよ、金目当てなんかじゃないぜ?あくまで砂糖や糖蜜のついでさ。
0

(聞けば聞くほど、呪われても仕方が無いのではないかとさえ思った。息を吐く)……妖精さんや。そりゃ、呪われても仕方ねぇ気がする。しかも砂糖や糖蜜のついでだろう?誰かにやれと命令されたわけでも、契約を交わしたわけでもねぇよな?
0

妖精の悪戯くらい笑って許せないようじゃ、器が知れるってもんさ。(のっしのっしと、妖精の歩幅が広くなる) 盗まれた奴らや家族が仕返しに来るならまだわかる!オレだって相手は選ぶからな!だがなんの関係もないやつが、善人面してオレを嗜めてくるんだから余計に腹が立つぜ!(ランタンをぶんぶん振り回した。光の玉が、竦むように小さく震える)
0

おいおいおいおい、光が消えちまうんじゃねぇか?(小さく震えたランタンの中の光を示し、手を添えようと慌ててランタンに手を伸ばす。)まあまあ、そちらの言い分も分かるな。親族なら兎も角、そうじゃねぇやつが仕返しに来てんだから……。とはいえ、妖精の悪戯な~。素直に甘いものが欲しいって言えば……悪戯好きか?いや、妖精だからこそ、悪戯をしたくなる……ってやつか。
0

おやおや、妖精に同情してくれんのかい?(ぴたりと動きを止め、制止してくる手にランタンを持たせる) オレとしてはアンタの共感に拍手を送りたいとこだが、あまり妖精相手にお優しいのは感心しない。オレらとニンゲンは生きてる|土台《・・》が違う。そりゃあもう、海を泳ぐ魚と空を飛ぶ鳥以上に違うのさ。kec-kec-kec!!
0

同情かー、同情っつーよりも、他人事かもしんねぇ。いや、実際にすげー他人事なんだが。大変そうだなーってさ。(ランタンを受け取り光を掲げる。目的の場所はもうすぐそこだろうか。軽く揺らしてみた。)まあ、優しいのもそうじゃねぇのもどの種族にもあるもんだ。特にオレみてぇな魚は、空を飛べたっておかしかねぇ。同情はしねぇけど、おもしれぇ話だな。ってくらいに留めておくさ。それが嘘だろうが本当だろうがな。他人の話を聞くのが好きなんだ。
0

なんだよ。そこは同情しとけよ、この気の毒な妖精さんに!(先を往く男が喚く。そうして、貴方はランタンの微かな光に照らされる風景に気付くかもしれない。それが見慣れた町並みであることを) おや?景色が変わってきたな。そろそろじゃないのかい、幽霊の旦那。
0

可哀相なやつだな。(それはもう心底可哀相だといわんばかりの視線を向けておく。)(揺れるランタンに気を取られていたからか、はたまた夜道のせいかついに迷路を抜け出したことには言われるまで気付かなかった。視線を逸らし)ああ、何かこんな感じだった気がするなぁ。本当に願いを叶えてくれるとは……。本当に妖精だったのか……。ありがとう。
0

ンン。アンタも商売人なら、言葉のニュアンスってやつにはもう少し気を配るべきだぜ。(ランタンの中の明かりはいつの間にか消えている。妖精がティースプーンを軽く振ると、貴方の手の中のランタンは内側へひしゃげるように消失した) kec-kec-kec!! 道に迷わせて大鍋に放り込むとでも思ったのかい。反省したなら、トムテのダゴールは素敵な妖精だと噂しておいてくれよな。
0

ハハ、ご忠告感謝致します。妖精様。(うやうやしく頭を下げ、ランタンを返――そうと思った所で消えてしまった。これもまた目の前の男の力なのだろう。ひとりでに納得をした。)夜一。記録者のやいち。オレの名前だ。商売……っつーものでもねぇけど、記憶を記録してる。この前出会った妖精は、願いをかなえてくれるいい妖精だった。名はトムテのダゴール。と、噂を広げておくさ。ああ、そうだ。また道に迷ったら頼らせてもらおう。(じゃあな、と片手を挙げた。)
0

夜道の案内には、またご指名あれ。記録者の夜一。(妖精は自分の町へ紛れていく幽霊の背中を見送った。一歩、二歩、夜闇に向かって足を引き――三歩目でくるりと回って、霧散する)
(――そして、暗がりは静寂を取り戻した)【〆】
0