はんぶんこ

【1:1】傘屋

ジャン・ローデンバーグ 3月14日17時

春の芽吹き。
某日、豪雨。午後11時半。
√汎神解剖機関、「傘屋」。


 * * * * *


終末の地球、変な店シリーズ第一号「傘屋」

1.その名の通り、傘を売っている。
2.雨の日の夜、傘を持たない人の前にだけ「傘屋↑奥 受付日付変更迄」という看板が見える。
3.矢印の方向の路地裏に店がある。明かりがぽっつりと、そこだけともっている。
4.店主は"化け物みたいな顔をした"婆さんらしい。
5.翌日、同じ場所に行こうとしても辿り着けない。そんな所に路地裏はない。


〔おだいは、きみのだいじなものをひとつ〕

狭い店内の奥には木のカウンター。
カウンター上の紙に書いてあるのはそれだけだ。
横には「おだいばこ」と書かれた木箱。ぶしつけで、そっけない。

横手の壁には和傘からビニール傘まで、色々な傘が揃っている。
他に特筆すべきものはない。
カウンターの奥には扉が一枚。すりガラスで奥は見えない。

カウンター受付の位置で、王冠を被った少年が暇そうに昔の少年漫画を読んでいる。


 * * * * *


(1:1RP、どなたでも)
(一週間のレスなしor区切りの良い所で終了)
ジャン・ローデンバーグ 3月14日17時
(何度も読まれた跡がある漫画本は、√EDENでいうコロコロ系の本だった。濡れたのか、たまにページが張り付いている。状態は悪い)――はーあ(一つ欠伸をする。見たところ店番らしいが、やる気はなさそうだ。ちらりと時間を確認した)
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ダゴール・トムテ 3月14日18時
くーださーいなー……。
(調子っぱずれな鼻歌とともに、男が入ってくる。尖った耳。険の強い双眸。偏屈そうな鷲鼻。暗色のローブに包まれた体は細長く、扉をくぐる際に妙ちくりんなとんがり帽子が引っかからないよう、少し屈む必要があった)
……店主は婆と聞いたんだが。噂なんていい加減なもんだな。(男は貴方を見下ろす。帽子から落ちた雫がカウンターに小さな水たまりを作った)
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ジャン・ローデンバーグ 3月15日00時
(11時32分。今日もこれを読んでいるうちに終わりそうだと考えている、――と)
驚いたな。ここ、人来るんだ。(開口一番そう言われた。頭の上に王冠を鈍く光らせた少年は、いらっしゃい、と座ったまま声をかける。相手の顔を物珍しそうにじろじろ見る辺り、店員教育は全然なっていない)張り紙見たの?それとも、噂の方?(相手の言葉を聞いて、後者か、と息をついた。持っていた漫画をカウンターに置くと、手を組んで顎を上に置く。自然とすごく見上げる形となった)店長なら、奥でもうおねむだよ。俺はただの店番。――傘、どれにする?
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ダゴール・トムテ 3月15日13時
(貴方の話を聞きながら、もしくは聞き流しながら。男は壁の傘を見回した) ガキももう寝る時間なんじゃないのか……やっぱり、夜が眩しいのはよくねえな。だあれも寝静まりやしない。kec-kec-kec…(喉から、板を叩くような奇妙な音が聞こえる。笑ったらしい) ……ここにあるので全部か?
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ジャン・ローデンバーグ 3月15日20時
普通のガキはそうかもね。王様は24時間駆け回るもんだから(以上は、さっきまで暇そうに漫画を読んでいたやつの台詞だ。頬杖をついて相手を見上げている。変な音がしたと思ったら、笑ったらしい)……全部かって…(つられて壁を見る。100はないだろうが、そこそこの品揃えには見える)裏にもうちょっとあるけど。なに?傘に拘りでも?
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ダゴール・トムテ 3月15日21時
王様……(眉が跳ねて、男の視線が貴方に戻る。ふたつのインディゴが王冠を捉え、呆けたような間があったが。男はそれに触れることはなく、聞かれたことに答えた)
……探してる傘があるんだ。まっくろなボロのコウモリ傘で、6つの穴が空いてる。黒檀の持ち手の先にはトルコ石。失くし物なんだが、知らないかい。
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ジャン・ローデンバーグ 3月15日21時
そう。今から敬う態度でも取る?(ふ、と冗談めかして口だけ笑った。頭の上には鈍く光るボロの冠。相手の要望をふんふんと聞いていたが)……失くした奴かよ。そりゃ、壁には置いてねえや(カウンターの奥に少し顔が引っ込んだ。暫くして、ブルーシートにビニール紐がぐるぐるに巻かれた塊を出してカウンターに置く)えーっと、鋏、はさみ……
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ダゴール・トムテ 3月15日22時
オレを臣下にできるなら大したもんだ。(冗談は軽口で流れていった。外の雨音は依然衰えず。) ……あ?こん中にあるのか?(まさかという顔で覗き込む) 鋏、貸そうか。
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ジャン・ローデンバーグ 3月15日23時
意固地そうだもんな(扉のガラスにたまに雨が当たり、凄い音がしている。覗き込まれた顔に片手を出した。くれ、ということだろう)さあ。拾いもんだったらこの中だよ。あるかどうかは、自分の神様にでも祈って。
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ダゴール・トムテ 3月15日23時
……。(一瞬、男は不規則に雨音を響かす扉の方へ視線を投げる。しかしすぐに向き直ると、ローブの懐から古めかしい鋏を取り出し、渡した。とんでもなく先の尖った、銀製のアンティーク) 信じる神もいなければ、庇護を受けるべき王もお隠れになった。そうだな……オレ自身の運に祈ろう。これ以上分の悪い賭けはなかなかない。(何が面白いのか、ニィッと口端が吊り上がる)
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ジャン・ローデンバーグ 3月16日12時
すげー鋏。兄さん何してる人?(言いながら、用途以上にとんがった鋏を受け取ってビニール紐に刃を入れた。チョキンと紐が切れて、ブルーシートからざらざらと傘が出てくる。赤、木、黒、既に曲がっているもの。花柄。竹でできたもの。木のカウンターに、あっという間に無数の傘の山ができた。……どう見ても、見かけの質量より中の傘の量が多い。壁のものより多いかもしれない)どうぞ、自分の運を試して。無けりゃ、適当な傘を買って帰りなよ(鋏の持ち手の部分を向けて相手に返す)
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ダゴール・トムテ 3月17日14時
幸運の妖精。(今度は男のほうが茶目っ気で返した。それが本当に冗談かどうかはともかく。) うおっ……(転がり落ちそうになった傘を受け止める。1、2……3本目は取り落とした) 自分で探せって?こいつは手間だな……。(落ちたものをカウンターに戻し、鋏を受け取って、山と積み上がった傘を見上げる)
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ジャン・ローデンバーグ 3月18日00時
幸運の妖精?(オウム返し。上から下まで、また見て)……どっちかっていうと、悪い魔法使いって感じだけどな。(こっち側に落ちた傘も拾い上げると、カウンターの山に適当に置いた。バランスが崩れてまた少し雪崩が起きる)品物選ぶまではセルフサービス。(サービスの悪い店)でも、要らない奴はその辺に積んどいていいよ。明日かたづけるから。
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ダゴール・トムテ 3月18日11時
店番してる王様に言われちゃ敵わねえな。(何本か傘を手に取って、目当てのものがないとわかると脇へ積みなおす。崩れた山の隣に、新しい山を作っていく) ……傘の王様ってのは大変かい?まっすぐな奴らが多いからな。命令はよく聞きそうだが。
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ジャン・ローデンバーグ 3月18日21時
王様は多才だからな。なんでも出来ちゃうんだ。(才能が怖いな、と嘯いて。傘の山の向こうで頬杖をする場所はなかったから、今度は頭の後ろで両手を組んだ)大変って事はないんだが、ちょっと強く言うと折れちゃう奴が多くて困るな。退職が早い。――どう?自分の運勢は。
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ダゴール・トムテ 3月19日18時
どうと言われてもな。オレの場合、二十面ある賽子に一面だけの当たりを願うようなもんだから……これも違う。(そろそろ左右の山は均等な高さになってきた) 最近も買おうとした古書が全集の一巻だけしか売ってなかったり、悪い魔女に目をつけられたりと散々だよ。そろそろ揺り戻しがあってもいい頃だと思うんだがね。気晴らしに王様の景気のいい話でも聞かせてくれないか。
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ジャン・ローデンバーグ 3月20日01時
妖精と魔女といえば仲良しが多いイメージがあるけど。随分と苦労してるんだな(言いながらもあんまり同情している風ではない。本当にセルフサービスらしく、全く相手の動作に口や手を挟むことはなく、たまにこちら側に転がろうとする傘を手でそっと押しとめるのが精々の気遣いだ)人の国を気晴らしに使われてもなあ。小さい国の景気なんて、いつものんびり横這いだぞ。急にあがることがあったらひっくり返るね。(そこまで言ってから、)……ああ。じゃあ、幸運の妖精に会った話にしとこうか。景気良さそうじゃん。
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ダゴール・トムテ 3月20日12時
オレは魔女にこき使われるような軟弱な妖精では――(言葉が唐突に途切れて、動きも止まる。話題を変えるべき適切な切欠でも探すような間があったが、貴方の方から別の話を続けると即座にそこへ繋げた) Ahh…幸運をお求めかい?王様に差し上げるとしたらどんなものが喜ばれるのかね。オレは領土なんて持っちゃいねえし……ああ、そうだ。(妖精がくるりと掌を返せば、その上にブリキの缶が現れた。直方体の箱をレンガの家に見立てた印刷が施されてる) こんな小さな家でよければどうぞ。キャンディ入りだぜ。
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ジャン・ローデンバーグ 3月20日22時
?(今まで饒舌に喋っていた口から出た不自然な間に、流石にそちらを向いた。――が、子供は移り気だ。掌の上に現れたレンガのおうちにすぐ目が向いた。髪から覗く片目が僅かに輝いたように見える)――すっごい!(椅子から立って、カウンター越しに相手の顔を見上げて)今の何!?どっから出したの?キャンディ、何味?
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ダゴール・トムテ 3月21日12時
kec-kec-kec!! 妖精にはこれくらいお手のもんだ。(特徴的な笑い声が上機嫌に鳴った) さて、何味だったか……うっ。(キャンディ缶の屋根を開けて中身を覗くと、妖精の鼻がひくりと動いた。閉じられる蓋) ……この甘酸っぱい香り。ストロベリーだな。(消沈した様子で缶をカウンターへ置き、貴方へ差し出す)
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ジャン・ローデンバーグ 3月21日23時
(意気揚々と、宝石でも受け取る様に缶を受け取った。今にも「わー!」だの、そういう声が聞こえてきそうだ。四角い缶を少し掲げて、えへへ、と口の端を挙げて微笑み)いいね、ストロベリー。オレンジもいいけど、……グレープとかラズベリーでも(そこまで言ってから、ん?と相手の顔を見る)幸運の妖精さんは、イチゴ味は嫌い?
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ダゴール・トムテ 3月22日13時
甘いものはオレの|銀の弾丸《シルバーブレット》でね……その缶も、手に入れたときはキャンディ入りだとは思わなかったんだ。(傘探しもとい、傘運びを再開する) 包装されていれば大丈夫と思ったのに……悪いが、食べたら蓋を開けたままにしないでくれ。香りで頭がクラクラしちまう。(苦々しい言葉とは裏腹。妖精の顔に浮かぶのは嫌悪感というより、陶酔のように見えるかもしれない)
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ジャン・ローデンバーグ 3月22日17時
…しるばー……?何それ。(話を聞きながらレンガのおうちの屋根を開けた。かわいく包装されたキャンディをひとつぶ取り出すと、言われた通り蓋を閉じてやる)結局、嫌いなの?好きなの?(包装をびりりと破く。ふわりと舞う甘い香りを、口にパクりと放り込みんだ)
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ダゴール・トムテ 3月23日10時
Ahh……それは難しい問題だ、王様。(気まぐれに、1フィートほどしかない幼児用の傘を取り上げる。開いてみれば、真っ赤な嘴のアヒル柄) オレは呪いで”甘さ”を取り上げられてる。オレがどれだけクリームや砂糖に求愛しても、舌の上ではただの泡や砂にしか感じないのさ。こんな残酷な人生ってあるかい?(ちいさな傘を持ったまま、肩を竦める)
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ジャン・ローデンバーグ 3月23日14時
それはそれは、……礼儀としてお気の毒にと言っておいた方がいい?(カラ、と舌で転がした苺の飴が歯に当たって音を立てる。近付けば匂いが漏れるかもしれないから顔を近づけたりはしないけれど、味わっている様子は外からでも存分に伝わるだろう。)王様のお節介として、一回聞いといてあげるよ。"何かお手伝いできることは?"(May I help you?だ。王様は尊大に椅子に座ったまま、まだ楽しそうに君を見ている。片方だけ覗く目は、ちょこんと開いた傘を見て)その傘が気に入ったからついでに欲しいと言うなら、オマケしておいてあげるケド。
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ダゴール・トムテ 3月24日15時
おお、なんと慈悲深いことだ。それじゃあひとつ聞いてくださいますか、王様。(閉じた傘で肩を叩く) 呪いを解くには、幾千人の”願い”を叶えろと魔法使いは言った。そんなキャンディ缶ひとつでも少しはお慰みに足りましたら、どうかこのダゴールに「ありがとう」と言っていただけますかな?(くるり。傘をステッキのように回して、恭しく礼をした)
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ジャン・ローデンバーグ 3月24日21時
(ころりとまた舌で飴を転がした)なんだ、そんな事でいいのか。(椅子に座ったままだが、見上げて笑顔を見せる)"ありがとう"ダゴール。傘の王様をしてなきゃ、もう少しあげられるもんがあるんだけどね。
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ダゴール・トムテ 3月25日12時
kec-kec-kec!! 充分さ。王様からの感謝の言葉なんて、なかなか貰えるもんじゃないからな。(いつの間にか傘の山はすっかり移動しきってしまった。今はただ、ひとつの山が部屋の隅に積み上がっているばかり) 残念ながら、オレの探し物はここにはなかったな。せっかくだからこいつをいただいていくよ。是非、代金を払わせてくれ。じゃないともらったお礼がチャラになっちまう。(何が気に入ったのだろうか。肩幅も収まるかわからない、黄色いアヒルの傘を携えて。)
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ジャン・ローデンバーグ 3月25日23時
俺も何か褒美をって言った時に、感謝の言葉だけで結構と言われたのは初めてだ。…でも、確かに妖精さんに金銀財宝は必要ないか。(飴を消化し終わったのか、積みあがった山を見て「残念だったね」と一声だけ言った。あんまり残念そうではない)――それでいいの?紳士用の、もうちょっと幅が広いのもあるけど。(「おだいばこ」をカウンターの真ん中に運びながら)まあ、それがお気に入りになったのなら素晴らしい。では、御代を。
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ダゴール・トムテ 3月26日16時
(持ち手の先についている、塩化ビニルのアヒルを握る。ポプ!と間抜けな音が鳴った) Wow!! 最高じゃねえか。これでいい。うん、これがいいんだ。(指をすり合わせると、銀貨が一枚現れた。おだいばこの中へ入れる) 足りるかい?
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ジャン・ローデンバーグ 3月27日01時
(鳴ったあひるにくすっと笑顔になる)おまえがそれで足りると思うなら、いいよ。店長も確認には来ないから。(まいどあり、と木箱に収められた銅貨を静かに見た)
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ダゴール・トムテ 3月27日11時
欲のないことだな。もっとがめつくないと長生きできないぞと、婆さんに言っといてやれ。(にやりと笑うと、背中を向けて戸口へ歩いていく。最後、貴方を振り返って) もし、オレの傘がここに辿り着いたら教えてくれるかい。……” まっくろなボロのコウモリ傘。穴が6つ空いていて、黒檀の持ち手の先にはトルコ石 ”、だ。暗がりに向けて呼んでくれたらわかるから。
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ジャン・ローデンバーグ 3月28日00時
そっちは伝えておくけど、特徴の方はもう忘れそう。(傘が退いたので今度こそ頬杖をついた。時刻はちょうど12時の少し前だ。見送りは手を振っただけだった)――ダゴールとか言ったっけ。まあ、期待しないで待っていて。
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ジャン・ローデンバーグ 3月28日00時
ああ、(目を閉じて笑った)俺はジャン。傘屋を今後ともごひいきに。
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ダゴール・トムテ 3月28日14時
――。(ひらひらと手を振って応えながら戸を開ける。サァサァと入り込む雨音と入れ替わりに、妖精は買った傘も開かず夜闇に戻っていった)
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ジャン・ローデンバーグ 3月28日20時
(閉店の札がかかる)
(それでは、また次の雨の夜に)
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ジャン・ローデンバーグ 3月28日20時
(〆)
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